Archive for the ‘飲酒運転’ Category
無免許飲酒運転でひき逃げ
無免許飲酒運転でひき逃げした事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
大阪府大阪市都島区の交差点で、横断中の歩行者をひいて逃走したとして、大阪府都島警察署は、車を運転していたAさんを逮捕しました。
事件後、現場から少し離れた駐車場で車を止め、車内で寝ていたAさんを発見し、呼気検査をしたところ、基準値を超えるアルコールが検出されました。
また、Aさんは免停中であることが発覚し、警察は、Aさんが、無免許のうえ、酒を飲んで車を運転し、横断していた被害者をひき逃げした疑いで、捜査を進めています。
(フィクションです。)
無免許飲酒運転でひき逃げした場合
無免許運転かつ飲酒運転でひき逃げをした、という上の事例のようなケースでは、どのような罪が成立するのでしょうか。
1.飲酒運転
道路交通法第65条第1項は、「何人も、酒気を帯びて車両等を運転してはならない。」と規定しており、身体にアルコールを保有したまま車両等を運転することは禁止されています。
そして、一定程度以上のアルコールを身体に保有したまま車両等を運転する行為は、刑事罰の対象となります。
■酒気帯び運転■
血中アルコール濃度が一定量に達しているかどうか、という形式的な基準で判断されます。
その基準とは、「呼気1リットルあたりのアルコール濃度が0.15ミリグラム以上」です。
酒気帯び運転の法定刑は、3年以下の懲役または50万円以下の罰金です。
■酒酔い運転■
酒酔い運転は、アルコール濃度の検知値には関係なく、「アルコールの影響により正常な運転ができないおそれがある状態」で車両等を運転した場合に成立します。
具体的には、直線を真っすぐ歩けるか、呂律が回っているか等といった点から判断されます。酒酔い運転の法定刑は、5年以下の懲役または100万円以下の罰金と、酒気帯び運転の法定刑よりも重くなっています。
2.人身事故
■過失運転致死傷■
通常、人身事故を起こした場合、「自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律」(以下、「自動車運転処罰法」といいます。)で規定される「過失運転致死傷罪」が適用されます。
この罪は、「自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた」場合に成立します。
前方不注意や巻き込み確認を怠ったこと等の不注意によって相手を死亡させた場合には、過失運転致死傷罪が適用されます。
過失運転致死傷罪の法定刑は、7年以下の懲役もしくは禁錮または100万円以下の罰金です。
■危険運転致死傷■
ところが、飲酒運転で人身事故を起こした場合、より重い罪が成立する可能性があります。
それは、「危険運転致死傷罪」です。
危険運転致死傷罪は、「アルコールの影響により正常な運転が困難な状態で自動車を走行させ」、「よって、人を負傷させた」場合に成立します。
この場合の法定刑は、人を負傷させた場合は15年以下の懲役、人を死亡させた場合は1年以上の有期懲役と、かなり重くなります。
また、「アルコールの影響により、その走行中に正常な運転に支障が生じるおそれがある状態で、自動車を運転し、よって、そのアルコールの影響により正常な運転が困難な状態に陥り、人を負傷させ」た場合は12年以下の懲役、人を死亡させた場合は15年以下の懲役が科される可能性があります。
危険運転致死傷罪が適用される場合、道路交通法違反(酒気帯び運転、酒酔い運転)は危険運転致死傷罪に吸収されるため、別個には成立しません。
3.無免許運転
■無免許運転■
道路交通法第64条第1項で、「何人も、第84条第1項の規定による公安委員会の運転免許を受けないで、自動車又は原動機付自転車を運転してはならない。」と規定し、無免許運転を禁止しています。
無免許運転の法定刑は、3年以下の懲役または50万円以下の罰金です。
■無免許運転による加重■
自動車運転処罰法第6条は、「第2条(危険運転致死傷)の罪を犯した者が、その罪を犯した時に無免許運転をしたものであるときは、6月以上の有期懲役に処する。」と規定しています。
また、第3条(準危険運転致死傷罪)の罪を犯した者が、その罪を犯した時に無免許運転をした者であるときは、人を負傷させた場合は15年以下の懲役、人を死亡させた場合は6月以上の有期懲役と加重されます。
更に、第5条(過失運転致死傷)を犯した者が、無免許運転をしたときは、10年以下の懲役と刑が加重されます。
4.ひき逃げ
■救護義務違反■
道路交通法第72条第1項前段は、「交通事故があったといは、当該交通事故に係る車両等の運転者その他の乗務員は、直ちに車両等の運転を停止して、負傷者を救護し、道路における危険を防止する等必要な措置を講じなければならない。」と規定しています。
これを「救護義務」といい、これに反して現場から逃走する行為を「ひき逃げ」と呼びます。
救護義務違反の法定刑は、5年以下の懲役または50万円以下の罰金ですが、人身事故が、「人の死傷が当該運転者の運転に起因する」ものである場合に救護義務に違反した場合は、10年以下の懲役または100万円以下の罰金となります。
■過失運転致死傷アルコール等影響発覚免脱■
自動車処罰法第4条は、アルコールの影響によりその走行中に正常な運転に支障が生じるおそれがある状態で自動車を運転した者が、運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた場合において、その運転の時にアルコールの影響の有無又は程度が発覚することを免れる目的で、更にアルコールを摂取すること、その場を離れて身体に保有するアルコールの濃度を減少させることその他その影響の有無又は程度が発覚することを免れるべき行為をしたときは、12年以下の懲役に処すると規定しています。
この罪を犯した者が、無免許運転であった場合には、刑は15年以下の懲役に加重されます。
無免許運転かつ飲酒運転でひき逃げをした場合で、成立し得る罪としては、次の4つのケースが考えられます。
①道路交通法違反(酒気帯び運転、または酒酔い運転)、無免許過失運転致死傷、道路交通法違反(救護義務違反)の3罪。
②無免許危険運転致死傷、道路交通法違反(救護義務違反)の2罪。
③無免許準危険運転致死傷、道路交通法違反(救護義務違反)の2罪。
④無免許過失運転致死傷アルコール等影響発覚免脱、道路交通法違反(救護義務違反)の2罪。
いずれの場合も、実刑の可能性が高く、弁護人は、被害者との示談成立、被告人の反省の態度や再発防止措置が講じられている等の被告人に有利な事情を示し、できる限り刑が軽くなるように弁護することになるでしょう。
また、危険運転致死が成立する場合には、裁判員裁判の対象となりますので、裁判員裁判に向けた公判準備を行う必要もあります。
交通事故を起こし対応にお困りの方は、早期に弁護士に相談することをお勧めします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、交通事件にも対応する刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
無料法律相談・初回接見サービスに関するご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881で24時間受け付けております。
交通事件で逮捕:弁護士との接見
交通事件で逮捕された場合の弁護士との接見について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
東京都八王子市の交差点で、車を右折した際に、直進してきたバイクと接触する事故をおこしたAさん。
事故後、すぐに救急車を呼び、バイクの運転手は病院に運ばれましたが、幸いにも怪我の程度は軽く済みました。
現場に駆け付けた警視庁南大沢警察署の警察官は、Aさんに事故当時について詳しく話を聞いていましたが、Aさんの飲酒運転を疑い、呼気検査をしました。
すると、基準値以上のアルコールが検出されたため、警察官は、道路交通法違反(酒気帯び運転)と過失運転致傷の疑いでAさんを逮捕しました。
Aさんは、警察から弁護人を選任でき、弁護士と接見できるとの説明を受け、交通事件にも対応する弁護士との接見を希望しています。
(フィクションです。)
弁護士との接見
Aさんは、刑事事件の被疑者として警察に逮捕されました。
犯罪を犯した疑いがあり、捜査の対象とされている人を「被疑者」と呼びます。
すべての交通事件が犯罪に該当するわけではありませんが、無免許運転や飲酒運転、人身事故を起こした場合などは、犯罪が成立する可能性があり、刑事事件の手続に基づいて、犯罪が成立するのか否か、成立するのであればどのような刑罰を科すべきか、という点について検討されることになります。
捜査段階では、警察をはじめとする捜査機関が、犯罪があると考えるときに、被疑者を特定・発見し、必要な場合には被疑者の身柄を確保するとともに、証拠を収集・保全します。
捜査機関は、逮捕・勾留、捜索・差押えなどの強制処分を行うことができ、それに比べると、被疑者は、刑事事件の一当事者としては弱い立場にあると言えます。
そのため、法律は、充分な防御ができるよう被疑者に様々な権利を保障しています。
今回は、被疑者の権利の一つである「接見交通権」について説明します。
被疑者には、弁護人の援助を受ける権利(「弁護人選任権」といいます。)が保障されています。
憲法は、被告人について、常に弁護人選任権があるとしており、被疑者についても、身柄の拘束を受けたときの弁護人選任権を認めています。
さらに、刑事訴訟法は、身体拘束の有無にかかわらず、被疑者にも弁護人選任権があることを規定しています。
そのため、被疑者となった場合には、いつでも弁護人を選任し、不当な捜査活動から自身の権利・利益を保護し、公判に向けた準備を十分に行うことができます。
被疑者が逮捕・勾留により身体拘束を受けている場合には、外界とのコンタクトが制限された環境に身を置くことになり、身体的にも精神的にもかなりの苦痛を強いられてしまいます。
身体拘束を受けているときには、家族や恋人、そして弁護人からの支援が特に必要不可欠となります。
身体拘束を受けている被疑者は、外部の者との面会や書類・物のやりとりを行うことができます。
これを「接見交通権」といいます。
接見交通は、家族らとの接見交通と弁護士との接見交通とで保障される内容が少し異なります。
被疑者の逃亡や罪証隠滅を防ぐために、家族らとの接見交通は制限されています。
面会には、必ず立会人がおり、時間もだいたい20分に限られています。
逃亡や罪証隠滅のおそれがあると疑うに足りる相当な理由があるときは、裁判官が家族らとの面会を禁止する「接見禁止」決定を行うこともあります。
一方、弁護人(弁護人になろうとする弁護士も含めて)との面会には立会人はいませんし、時間的制限もありません。
書類や物のやりとりをすることもできます。
裁判官が接見禁止とした場合であっても、弁護人は被疑者と面会することができます。
弁護人との面会では、取調べ対応についてのアドバイスといった法的支援のほかにも、家族らからの伝言を伝えたりすることもできますので、特に接見禁止に付されている場合には、弁護士との面会は、被疑者の精神的な支えともなります。
突然の逮捕で身柄が拘束された被疑者は、今後の流れや見込まれる処分、取調べの対応方法など、様々な点において分からず、とてつもない不安を抱えています。
その不安を少しでも早く和らげるためにも、弁護士との接見は重要です。
弊所では、逮捕・勾留された方のもとに赴き接見を行う「初回接見サービス」を提供しています。
逮捕直後は、ご家族の方であっても被疑者と面会することはできませんし、捜査機関から事件について詳しいことを教えてもらえないことも多いため、被疑者だけではなく、その家族もまた不安に苛まれています。
そのような場合には、弊所にご相談ください。
最短、ご依頼いただいた日に刑事事件専門の弁護士が留置先に赴き、逮捕・勾留されている方との接見を行い、事件について伺った上で、今後の流れや見通し、取調べ対応についてのアドバイス、ご家族からの伝言やご家族への伝言を承ります。
接見後には、事件についてや今後の対応方法など、ご家族に向けた接見の報告を行います。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
ご家族の突然の逮捕でお困りであれば、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。
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飲酒運転の認識
飲酒運転の認識について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
Aさんは、酒を飲んだにもかかわらず、「そんなに酔ってないし、運転に支障はないだろう。」と高をくくり、車を運転して帰宅することにしました。
しかし、信号待ちをしていた車に気付くのが遅れ、衝突してしまいました。
相手方が110番通報し、現場に駆け付けた福岡県東警察署の警察官は、Aさんの酒の匂いに気付き、呼気検査をしたところ、基準値を上回るアルコール濃度が検出されたため、Aさんを道路交通法違反の疑いで現行犯逮捕しました。
Aさんは、「確かに運転する前に酒は飲んだが、法律に反する基準以上に酒を飲んでいたと思わなかった。」と供述しています。
(フィクションです。)
飲酒運転に関する罪
アルコールが体内に保有された状態での運転行為(「飲酒運転」)は、法律によって規制されています。
道路交通法は、飲酒運転それ自体を禁止し、違反者に対して処罰を科すものとしています。
道路交通法違反(酒気帯び運転、酒酔い運転)
道路交通法第65条第1項は、
何人も、酒気を帯びて車両等を運転してはならない。
と規定し、飲酒運転を一般的に禁止しています。
その上で、一定基準以上の飲酒運転をした者に対して、刑罰を科すとしています。
①酒気帯び運転
道路交通法第117条の2の2第3号は、
第65条(酒気帯び運転等の禁止)第1項の規定に違反して車両等(軽車両を除く。次号において同じ。)を運転した者で、その運転をした場合において身体に政令で定める程度以上にアルコールを保有する状態にあつたもの
である場合には、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処すると定めています。
身体に政令基準以上のアルコールを保有して車両等を運転する行為が、酒気帯び運転となります。
政令の基準とは、呼気1リットル中のアルコール濃度0.15ミリグラムです。
②酒酔い運転
道路交通法第117条の2第1号は、
第65条(酒気帯び運転等の禁止)第1項の規定に違反して車両等を運転した者で、その運転をした場合において酒に酔つた状態(アルコールの影響により正常な運転ができないおそれがある状態をいう。以下同じ。)にあつたもの
に対して、5年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処するとしています。
これについては、政令等で定められる基準値による判断ではなく、アルコールの影響で正常な運転ができないおそれがある状態で運転したことが要件となります。
呂律が回っていなかったり、まっすぐ歩くことができない状態であれば、アルコールの影響により正常な運転ができないおそれがある状態に当たると考えられます。
呼気検査の結果、①の酒気帯び運転に該当しない低い数値が検出されたとしても、酒酔い運転に該当するということもあり得るのです。
①酒気帯び運転も、②酒酔い運転も故意犯ですので、罪を犯す意思がなければ、いずれの罪も成立しません。
それでは、一体どの程度の認識が犯罪の成立に必要となるのでしょうか。
①酒気帯び運転については、政令で定める基準値(呼気1リットル中のアルコール濃度0.15ミリグラム)以上のアルコールを保有して車両等を運転していることの認識・認容が求められるのでしょうか。
これについて判例は、行為者においてアルコールを自己の身体に保有しながら車両等の運転をすることの認識があれば足り、政令で定める基準値の数値まで認識している必要はない、と解しています。(最決昭52・9・19)
②酒酔い運転に関しても、行為者において飲酒によりアルコールを自己の身体に保有しながら車両等の運転をすることの認識があれば足り、そのアルコールの影響により正常な運転ができないおそれがある状態に達していることまで認識している必要はない、としています。(最判昭46・12・23)
①酒気帯び運転であれ、②酒酔い運転であれ、アルコールを自己の身体に保有しながら車両等の運転をすることの認識があればよいのであって、細かくどの程度酔っているか、アルコール濃度の数値がどの程度あるかまでを認識している必要はないのです。
故意が争えるのは、そのような認識すらなかった場合です。
アルコール保有の認識の有無について争う場合であっても、単に「アルコールが残っていないと思っていた。」というような主張だけでは不十分ですので、客観的にみても「アルコールが残っていないと思っていた。」という主張が妥当であり、アルコール保有の認識がなかった可能性が残ると判断してもらうことが必要になります。
飲酒運転で検挙され、その認識について争うのであれば、早期に弁護士に相談し対応する必要があるでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、交通事件を含めた刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
ご自身やご家族が刑事事件・少年事件を起こし対応にお困りであれば、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。
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交通事件:略式起訴と公判請求
略式起訴と公判請求について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
飲食店で酒を飲んだ後、「少しぐらい大丈夫だろう。」と思い、Aさんは会社の駐車場に停めていた車に乗って帰宅することにしました。
ところが、兵庫県尼崎市の交差点で左折した際に、右側から横断していた自転車に気付くのが遅れ、自転車と接触してしまいました。
幸い、自転車の運転者はかすり傷で済みましたが、兵庫県尼崎南警察署の警察官には飲酒運転が発覚し、過失運転死傷と道路交通法違反で在宅で捜査されることになりました。
警察からは、「検察に事件を送ったが、起訴されるかもしれない。」と言われており、不安になったAさんは交通事件にも対応する弁護士に相談することにしました。
(フィクションです。)
交通事件の流れ
交通事故を起こした場合や、飲酒運転、無免許運転といった一定の交通ルールに違反した場合には、運転者は刑事上の責任を問われることがあります。
この場合、運転者は事件の被疑者として警察や検察の取調べを受けます。
捜査段階での事件を最終的に処理するのは、検察官です。
検察官は、捜査を遂げた結果、被疑者を起訴するかどうかを決めます。
交通事件では、例えば、過失運転致傷罪に問われるようなケースで、被害者の怪我の程度が軽く、被害者への対応も適切に行われており、被害者の処罰感情もないような場合には、検察官が起訴しないとする決定をすることがあります。
しかしながら、被害の程度が軽いとは言えない場合や、人身事故を起こしていない場合でも重大な事故に繋がりかねない飲酒運転や無免許運転については、起訴される可能性が高いでしょう。
起訴には、通常の起訴と簡易な手続による起訴とがあります。
通常の起訴とは、「公判請求」と呼ばれるもので、検察官が、裁判所に対して特定の犯罪事実について特定の被告人に対する実体的審理及び有罪の判決を求める意思表示のことをいいます。
公判が請求されると、被告人は、公開の法廷において、検察官と弁護人が提出した証拠に基づいて、罪を犯したことが合理的な疑いを超えて証明されたかどうか、有罪であるとすればどのような刑罰を科すべきかについて審理されることになります。
一方、簡易な手続による起訴には、「略式起訴」と呼ばれるものがあります。
検察官が簡易裁判所に対して略式手続を行い略式命令を出すよう求めるものです。
略式手続というのは、簡易裁判所が、原則として、検察官の提出した資料のみに基づいて、公判を開かずに、略式命令により罰金又は科料を科す手続のことです。
略式手続は、事件が比較的軽微であり、被告人にとって公判出頭の必要がなく、また迅速な裁判が期待できるといった被告人の利益となることや、簡易手続が訴訟経済にも益することなどがその趣旨であると言われています。
略式手続の特徴としては、
・略式命令の請求(略式起訴)は、公訴の提起と同時に書面でしなければならない。
・被疑者が略式手続によることについて異議がないことを書面で明らかにしなければならない。
・検察官による略式命令の請求と同時に、必要な書類や証拠物も裁判所に提出しなければならない。
・略式命令では、100万円以下の罰金又は科料を科すことができる。
といった点があります。
簡略化された手続で事件が処理されるため、被疑者の公判請求の負担を回避できるといったメリットがあります。
交通事件においては、悪質かつ重大ではない場合、例えば、被害が比較的軽い、初犯である、人身事故を起こしていない単純な酒気帯び運転や無免許運転といった罰金・科料に相当する事件では、略式起訴されることが多くなっています。
しかしながら、罰金・科料が相当でない事件、危険運転致死傷罪やひき逃げ事件、飲酒運転や無免許運転での人身事故などは、略式起訴ではなく公判請求される可能性が高いでしょう。
交通事件でも、その内容によっては不起訴となる場合もあれば、起訴されることもあります。
また、起訴される場合でも、略式起訴で略式手続に付されるか、公判請求され公開の法廷で審理されるのかによっても、その後の流れが違ってきます。
どのような対応をすべきかについては、弁護士に相談されるのがよいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、交通事件にも対応する刑事事件専門の法律事務所です。
無料法律相談・初回接見サービスに関するご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881で24時間受け付けております。
運転者以外に問われる飲酒運転関連罪
運転者以外に問われる飲酒運転関連罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
大阪府豊中市に住むAさんは、友人BさんとAさん宅から車で10分ほどのところにある寿司屋に向かうことにしました。
Aさんは、「車で行こう。」と言い、Bさんの運転で寿司屋に行きました。
寿司屋で酒を飲んだものの、Bさんが運転する形で乗ってきた車でAさん宅まで帰ることにしました。
帰宅途中、検問中の大阪府豊中警察署の警察官に停車を求められ、Bさんの飲酒運転が発覚しました。
Aさんは、警察から車両提供罪及び同乗罪の疑いで取調べを受けています。
(フィクションです。)
飲酒運転は、酒などを飲んだ後、そのアルコールの影響がある状態で自動車などの車両を運転することです。
飲酒運転は、道路交通法によって禁止されており、ある一定以上のアルコール濃度を身体に保有した状態で車両等を運転させた場合には、刑事罰が科されてしまう可能性があります。
飲酒運転が犯罪となり得ることは周知のところですが、車両等の運転者以外の者もまた、飲酒運転を助長したとして刑事罰の対象となる可能性があることを知らない方も少なくありません。
平成19年9月19日に施行された改正道路交通法は、飲酒運転等に対する罰則を強化した他、これまで規制されていなかった飲酒運転者の周囲の者に対する罰則を設け、車両提供罪、酒類提供罪、同乗罪が新たに設けられました。
1.車両提供罪
道路交通法65条2項は、
何人も、酒気を帯びている者で、前項の規定に違反して車両等を運転することとなるおそれがあるものに対し、車両等を提供してはならない。
と規定しています。
車両等を提供した結果、当該車両運転者が、酒酔い運転の犯行に及んだ場合には、5年以下の懲役又は100万円以下の罰金に、酒気帯び運転の犯行に及んだ場合には、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処せられることになります。
①主観的構成要件
提供者は、運転者が酒気を帯びているとの認識、そして、当該運転者が同車両を運転することとなるおそれがあるという認識を有していることが必要です。
まず、運転者が酒気を帯びているという認識についてですが、警察に検挙されるような酒気帯び運転に該当する程度であったかどうかではなく、当該運転者が飲酒していたという程度の認識で足りるとされます。
そして、運転者が車両を運転することとなるおそれがあるという認識については、確実にその車両を運転するとまで思っている必要はなく、運転するかもしれないが、それでもかまわない(=未必の故意)と思っていれば、その認識があったもののと判断されます。
②客観的構成要件
①主観的構成要件に加えて、当該車両を実際に提供したこと、及び実際にその車両が運転されたこと、そして運転者に酒気帯び運転等の要件が満たされることが必要となります。
2.酒類提供罪
道路交通法65条3項は、
何人も、第1項の規定に違反して車両等を運転することとなるおそれがある者に対し、酒類を提供し、又は飲酒をすすめてはならない。
と規定しています。
そのような行為の結果、当該車両運転者が、酒酔い運転の犯行に及んだ場合には、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に、酒気帯び運転の犯行に及んだ場合には、2年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処することと定められています。
車両提供罪と同じく、本罪の提供者もまた、酒類の提供を受ける者等が車両を運転することとなるおそれがあるという認識を有していなければなりません。
客観的要件は、酒類を実際に提供したこと、実際にその車両が運転されたこと、運転者に酒気帯び運転等の要件が満たされることとなります。
3.同乗罪
道路交通法65条4項は、
何人も、車両(中略)の運転者が酒気を帯びていることを知りながら、当該運転者に対し、当該車両を運転して自己を運送することを要求し、又は依頼して、当該運転者が第1項の規定に違反して運転する車両に同乗してはならない。
と規定しています。
結果として、当該車両運転者が、酒酔い運転の犯行に及んだ場合には、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に、酒気帯び運転の犯行に及んだ場合には、2年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処せられることとされています。
本罪の成立には、車両提供罪や酒類提供罪のように、当該運転者が酒気を帯びているという認識が必要となります。
また、客観的要件として、当該車両を運転して自己を運送するように要求又は依頼したこと、実際にその車両が運転されたこと、そして、運転者に酒気帯び運転等の要件が満たされることが求められます。
「要求」とは、同乗者が運転者に自分を運送するよう求めたり指示したりすることで、「依頼」とは、運転者に自分を運送してほしい旨頼むことをいいます。
そのため、要求・依頼することなく、単に飲酒運転を了解して同乗していただけの場合には同乗罪は成立しないことになります。
ただ、事案によっては、明示的な要求・依頼がなくとも、黙示的要求・依頼があったもの認定されるケースもあります。
飲酒運転関連罪で検挙され、対応にお困りの方は、一度交通事件にも対応する弁護士にご相談されるのがよいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、交通事件を含めた刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
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まずはお気軽にお電話ください。
無免許運転と飲酒運転
無免許運転と飲酒運転で検挙された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
Aさんは、道路交通法違反(無免許運転、酒酔い運転)の疑いで千葉県松戸警察署に現行犯逮捕されました。
Aさんの運転免許は、以前取消しとなっていたにもかかわらず、Aさんはそれ以降も車を運転しており、事件当日は、自宅を飲んだ後に車を運転していたところ、警察官に検挙されました。
(フィクションです。)
無免許運転
車両等の運転には、運転の許可を得なければなりません。
道路交通法は、運転免許を受けないで自動車や原動機付自転車を運転することを禁止しています。
運転免許を受けないで自動車等を運転することを「無免許運転」といいます。
無免許運転には、今まで一度も運転免許証を交付されたことがない場合だけでなく、免許が取り消された後に運転する場合や、免許の停止中に運転する場合、そして、運転しようとする自動車等の種類に応じた免許証がないにもかかわらず運転する場合があります。
また、うっかり免許証の更新を忘れており、免許証の有効期限が切れていることを認識していながら運転する場合も無免許運転として扱われます。
無免許運転の法定刑は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金となっており、決して軽い罪ではないことがわかりますね。
飲酒運転
道路交通法は、「何人も、酒気を帯びて車両等を運転してはならない。」として、一切の酒気帯び運転を禁止しており、その中で一定の要件をとらえて罰則規定を定めています。
罰則の対象となる飲酒運転には、「政令酒気帯び運転」と「酒酔い運転」の2種類があります。
①政令酒気帯び運転
政令で定める一定基準を超えたアルコールを身体に保有して運転する場合が該当します。
つまり、呼気1リットル中のアルコール濃度が0.15mg以上検出された状態がこれに当たります。
この酒気帯び運転の法定刑は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金です。
②酒酔い運転
先の酒気帯び運転とは異なり、酒酔い運転は身体内に保有するアルコール濃度の数値ではなく運転者の客観的状態から判断されます。
アルコールが原因で正常な運転ができないおそれがある状態(=酒に酔った状態)で車両等を運転した場合には、酒酔い運転となります。
酒酔いの認定は、アルコール保有量の科学的検査、飲酒量、身体の状況(言語、歩行、直立能力など)、自動車の運転状況、その他の諸般の事情を総合的に考慮して行われます。
酒酔い運転の法定刑は、5年以下の懲役又は100万円以下の罰金と、酒気帯び運転よりも重くなっています。
無免許運転と酒酔い運転の関係は?
無免許運転でありながら酒酔い運転にも当たる一連の行為については、どのように処理されるのでしょうか。
これについては、判例は、無免許運転の所為と酒酔い運転の所為は刑法54条1項後段の観念的競合の関係にあるとしています。(最高裁昭和49.5.29)
「観念的競合」というのは、1個の行為が2個以上の罪名に触れる場合のことを意味します。
この場合、そのうち最も重い刑で処断されることになります。
同一の日時場所において、無免許でかつ酒に酔った状態で自動車を運転する行為は、どちらも車両運転者の属性にすぎないため、無免許でかつ酒に酔った状態で運転していたことは、自然的観察のもとにおける社会的見解上明らかに1個の運転行為であると考えられているので、無免許運転と酒酔い運転は観念的競合の関係にあり、裁判官が被告人を有罪とすると、当該被告人に科すべき刑は、2つの罪の重い刑、つまり、酒酔い運転の法定刑である5年以下の懲役又は100万円以下の罰金の範囲内で決められることになります。
ちょっとそこまでと気を緩めて無免許や飲酒運転をすると、決して軽いとは言えない刑事処分が科されてしまうことになります。
無免許運転、飲酒運転で逮捕された、検挙されて対応にお困りであれば、今すぐ弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
弊所は、交通事件にも対応する刑事事件専門の法律事務所です。
無料法律相談・初回接見サービスに関するご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881で24時間受け付けております。
交通違反・交通事故と刑事処分
交通違反・交通事故と刑事処分について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
福岡県行橋市の国道で車を走行中のAさんは、交通警戒にあたってた福岡県行橋警察署の警察官に停車を求められました。
対応した警察官は、Aさんの飲酒を疑い、呼気検査に応じるよう求め、Aさんは仕方なく指示に従いました。
すると、基準値を超えるアルコールが検出されたため、Aさんは道路交通法違反(酒気帯び運転)の疑いで現行犯逮捕されました。
Aさんは、どのような刑事処分を受けることになるのか不安でなりません。
(フィクションです)
交通違反を犯したり、交通事故を起こした場合、様々な手続に従って処分が科されます。
この場合の処分には、行政処分と刑事処分、そして民事上の処分とがあります。
交通違反・交通事故の行政処分
交通違反や交通事故を起こした場合に科される行政処分は、道路交通の安全確保を目的としてもので、公安委員会による行政法上の処分です。
行政処分には、運転免許の効力の停止や取り消しなどがあります。
このような処分が科される基準として、点数制度というものが適用されます。
これは、運転者の将来における道路交通上の危険性を点数的に評価する仕組みで、交通違反を犯すと、その違反行為ごとに基礎点数と呼ばれる一定の点数が計上され、交通事故を起こすと、被害の程度などによる付加点数が基礎点数に加算されます。
例えば、酒気帯び運転(呼気1リットル中のアルコール濃度0.15ミリグラム以上0.25ミリグラム未満)については、基礎点数は13点です。
速度違反については、その超過程度によりますが、一般道で30キロ以上50キロ未満の場合、6点です。
交通事故の場合、例えば、脇見運転をして歩行者と接触し、歩行者に2週間程度の怪我を負わせたというケースであれば、安全運転義務違反について基礎点数が2点、付加点数3点、計5点が計上されます。
行政処分は、処分の対象となった交通違反・交通事故を基準日として、運転者の過去3年以内の免許の停止等の処分回数と累積点数によって決まります。
また、処分の対象となった違反が、特定違反行為か一般違反行為かで、処分基準は異なります。
先の例で言えば、酒気帯び運転(呼気1リットル中のアルコール濃度0.15ミリグラム以上0.25ミリグラム未満)についての基礎点数は13点で、この運転者がこれまで行政処分を一度も受けていないとしても、酒気帯び運転により、90日間の免許停止という行政処分が科されることになるのです。
また、交通違反については「交通反則通告制度」というものがあります。
これは、軽微な交通違反をした場合の手続を簡略化するための制度で、本来はすべての交通違反について刑事手続をすすめるところ、一定の交通違反については行政上の手続のみで完了させることにより、事件を簡易・迅速に処理することができます。
この制度では、対象となる違反(=反則)を犯した場合、反則金を納めることで、刑事手続がとられることなく事件が終了します。
30キロ未満の速度超過は、交通反則通告制度の対象となります。
交通違反・交通事故の刑事処分
交通反則通告制度の対象とはならない、飲酒運転や人身事故、無免許運転などについては、刑事上の責任が問われることになります。
この場合、被疑者・被告人として刑事手続に付され、最終的に刑事処分が科されます。
交通違反・交通事故を起こし、事件が捜査機関に発覚すると、刑事事件としての捜査が開始されます。
逮捕の要件を満たしている場合には、逮捕により身体が拘束されることもあります。
もちろん、逮捕後更に被疑者の身体を拘束して捜査をするべきだと判断されれば、勾留に付される可能性はあります。
交通違反・交通事故で勾留となるケースは、ひき逃げや危険運転致傷、無免許や飲酒による人身事故など悪質な事故です。
事件は警察から検察に送られ、検察官が起訴・不起訴の判断を行います。
不起訴は、起訴しない処分ですので、裁判官による有罪無罪の言渡しもないため、前科(有罪の言渡しを受けた事実)は付きません。
他方、起訴された場合で有罪となれば、前科が付きます。
起訴にも種類があり、略式起訴であれば、公開の審理を経ることなく、書面のみでの審理となり、言い渡される刑は100万円以下の罰金または科料です。
検察官が公判を請求した場合には、公開の法廷で審理されることになり、裁判官が有罪・無罪、有罪の場合には被告人に科す刑についても判断します。
先に述べたひき逃げや危険運転、無免許や飲酒による人身事故などについては、公判請求される可能性が高いでしょう。
以上のように、交通違反を犯した場合や交通事故を起こした場合には、行政処分や民事上の処分だけでなく、刑事処分が科されることがあります。
そのような場合には、できる限り寛容な処分となるよう、早い段階から交通事件にも対応する弁護士に相談・依頼し、適切に対応することが重要です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、交通事件を含めた刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
交通違反・交通事故で刑事処分が科されるのではと心配されている方は、弊所の弁護士にご相談ください。
無料法律相談・初回接見サービスに関するご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881で24時間受け付けております。
交通事件に強い弁護人選任
交通事件での弁護人選任について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
自営業のAさんは、ある日、飲酒運転で交通事故を起こしてしまいました。
現場に駆け付けた大阪府貝塚警察署の警察官に事情を聴かれ、呼気検査を受けたところ、Aさんから基準値を超えるアルコールが検出されました。
警察官は、Aさんを道路交通法違反の疑いで逮捕しました。
Aさんは、仕事のこともあり、長期間の身体拘束はなんとか免れないかと心配しています。
(フィクションです)
交通事件について
交通違反や交通事故を起こした場合、事案によって、民事上の責任、行政上の責任、刑事上の責任が発生します。
刑事上の責任とは、交通違反や交通事故のうち重大で悪質なものについて、交通違反や交通事故を起こした者に課せられる刑事処分のことをいいます。
交通事故を起こし人を負傷させたり死亡させてしまった場合、飲酒運転や無免許運転などの交通違反については、例え交通事故を起こしていない場合でも、刑事上の責任が問われることになります。
(1)身体拘束について
道路交通法違反の場合、逮捕されたとしても、その後勾留されずに在宅捜査となるケースも少なくありません。
そのため、道路交通法違反の疑いで逮捕されたのであれば、例え事件当時に一度現場から離れてしまったという不利な事情があっても、養うべき家族がいることや定職に就いており身分が安定していることなどの事情を主張し、勾留を回避するための活動を行うことによって、逮捕後の勾留を回避することを目指すことが重要でしょう。
自動車運転処罰法違反に問われている場合、道路交通法違反の場合と同様に、逮捕はされても勾留されないことが多くなっています。
ただし、事故後に逃走した場合や危険運転行為による事故の場合であれば、逮捕後に勾留される可能性は高いでしょう。
そのため、検察官や裁判官に対して、逃亡や罪証隠滅を疑うに足りる相当な理由がないことを主張し、疎明資料を提出し、勾留回避に向けて働きかける必要があるでしょう。
(2)起訴
道路交通法違反の場合、一般的に初犯であれば略式手続に付されることが多いですが、飲酒運転については公判請求されるケースも少なくありません。
また、無免許運転については、初犯であれば略式起訴で罰金刑となることが一般的ですが、常習性が認められるような悪質な場合には公判請求される可能性もあります。
自動車運転処罰法違反の場合、軽微な事故であれば略式起訴され罰金刑で終わるケースが多いですが、過失の程度や被害が一定以上の場合には公判請求される可能性が高いです。
特に、危険運転行為を伴うものや、ひき逃げや飲酒運転が伴うもの、被害結果が重大な場合などは、一般的に公判請求されます。
公判請求されると、公開の法廷で審理されることになります。
有罪となれば、刑罰が科されることになりますので、公判請求された場合には、弁護士は執行猶予や刑の減軽を目指した弁護活動を行います。
弁護人について
刑事手続において被疑者・被告人が正当な権利を行使し、正当な利益を保護する者が、弁護人です。
被疑者・被告人は、いつでも弁護人を選任することができます。
弁護人が行う弁護活動には、先に述べた身柄解放活動や情状弁護など様々です。
弁護人は、私選弁護人と国選弁護人との2種類あります。
どちらの弁護人も、基本的な権利・義務は同じですが、次のような特徴があります。
(1)私選弁護人
私選弁護人は、被疑者・被告人や一定の関係人が選んだ弁護人です。
弁護費用は自己負担となりますが、被疑者・被告人等が自ら選ぶことができるので、経験豊富な弁護士、やる気のある弁護士、刑事事件専門の弁護士といったように自分に合った弁護士を選べるのが最大のメリットでしょう。
(2)国選弁護人
国選弁護人は、裁判所、裁判長または裁判官が選任する弁護人です。
被疑者・被告人はいつでも弁護人を選任することができますが、被疑者段階では、国選弁護人の選任要件を充たしていること、そして、勾留状が発せられていることが国選弁護人が選任される要件となっていますので、勾留前に国選弁護人が選任されることはありません。
そのため、勾留阻止の活動を希望される場合には、国選弁護人が選任されるのを待っていると、勾留が付くのを回避することは望めません。
弁護費用は国が負担することになる経済的メリットはありますが、被疑者・被告人等が自ら弁護人を選ぶことはできませんので、刑事事件を専門としない弁護士が弁護人となることもあります。
以上のような特徴を持つ2種類の弁護人ですが、両者とも基本的な権利・義務は同じです。
しかしながら、刑事事件に精通する弁護士であれば、刑事事件に豊富な知識や経験があるため、特に時間的制限のある身柄事件では、すばやく適切に活動することが期待できるでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、交通事件をはじめとする刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
ご家族が交通事件で逮捕されてお困りであれば、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。
無料法律相談・初回接見サービスに関するご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881で24時間受け付けております。
酒酔い運転で逮捕
酒酔い運転で逮捕されるケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
会社員のAさんは、車で通勤しています。
ある夜、会社の忘年会に参加するため、帰りはタクシーか代行業者に頼んむ予定をしていましたが、「車の中で仮眠すれば大丈夫だろう。」と思ったAさんは、忘年会後に車で3~4時間寝ました。
その後、Aさんは車を運転して自宅に戻ろうとしましたが、途中から記憶がなく、気が付いたら道路上の分離帯に乗り上げて停車しており、大阪府吹田警察署の警察官に取り囲まれていました。
Aさんは、呼気検査の上、警察官に道路交通法違反の疑いで逮捕されました。
(フィクションです)
酒酔い運転とは
道路交通法第65条1項は、「何人も、酒気を帯びて車両等を運転してはならない。」と規定しており、酒気を帯びて車両等を運転することを全面的に禁止しています。
「酒気」とは、アルコール分のことを指しており、それが酒、ビール、ウィスキー等のアルコール飲料に含まれているものであると、アルコールそのものであると、あるいは飲料以外の薬品等に含まれているものであるとを問いません。
そして、「酒気を帯びて」とは、社会通念上酒気帯びといわれる状態をいい、顔色や呼気といった外観上認知できる状態にあることをいいます。
「車両等」については、自動車、原動機付自転車、軽車両及びトロリーバスをいうのであって、酒気を帯びた状態で、軽車両である自転車を運転する場合にも、道路交通法に違反することになります。
このように、酒気を帯びた状態での車両等の運転は全面的に禁止されていますが、刑事罰の対象となるのは、ある一定程度の基準以上のものに限られます。
①酒気帯び運転
道路交通法第117条の2の2第3号は、「第65条(酒気帯び運転等の禁止)第1項の規定に違反して車両等(軽車両を除く。次号において同じ)を運転した者で、その運転した場合において身体に政令で定める程度以上にアルコールを保有する状態であったもの」についての罰則を定めています。
ここでいう「身体に政令で定める程度以上にアルコールを保有する状態」というのは、「血液1ミリリットルにつき0.3ミリグラム又は呼気1リットルにつき0.15ミリグラム」です。
この基準以上であれば、道路交通法違反の酒気帯び運転にあたり、かつ、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金の範囲での刑罰が科せられる可能性があります。
②酒酔い運転
道路交通法第117条の2第1号は、「第65条(酒気帯び運転等の禁止)第1項の規定に違反して車両等を運転した者で、その運転した場合において酒に酔った状態(アルコールの影響により正常な運転ができないおそれがある状態をいう。以下同じ。)にあったもの」についての罰則を定めています。
酒酔い運転については、①酒気帯び運転のように基準数値以上であるか否かで判断するのではなく、「酒に酔った状態」、つまり、「アルコールの影響により正常な運転ができないおそれがある状態」にあったか否かで判断されます。
「酒に酔った状態」とは、酩酊の度合いが車両を運転するに必要な注意力や判断力を失わせるおそれがあると一般に評価される程度でよく、現実に運転行為において具体的な危険が発生することまでも必要としない。」(東京高裁昭50・1・16)、「酔いにより注意力が減弱し、前方に対する注意力が散漫になるなど安全運転に対する判断力が低下し、運転の継続によって危険が予測し得る状態」(徳島地裁昭40・8・16)であると解釈されています。
「正常な運転ができないおそれ」とは、「正常な運転の能力に支障を惹起する可能性が具体的に相当高度の蓋然性のある場合であることが必要」(仙台高裁昭40・8・6)とされています。
酒酔い運転の認定にあたっては、アルコール保有量の科学的検査、飲酒量、言語・歩行・直立能力等の身体の状況、自動車の運転状況、その他の諸般の事情を総合して認定されます。
そのため、①酒気帯び運転における政令数値以上のアルコールを保有していても酒酔いでない場合や、政令数値以下でも酒酔いにあたる場合があります。
酒酔い運転の罪は、故意犯であるため、本罪成立には故意が必要となります。
つまり、飲酒によりアルコールを自己の身体に保有しながら運転することの認識です。
判例は、アルコールの影響により正常な運転ができないおそれがある状態に達しているかどうかについては、客観的に判断すべきであり、行為者においてそこまで認識していることは必要としない、との立場を示しています。(最高裁昭46・12・23)
酒酔い運転の罰則は、5年以下の懲役又は100万円以下の罰金と、①酒気帯び運転のそれよりも重くなっています。
酒酔い運転などの飲酒運転は、警察の検問で呼気検査をして発覚するケースや、物損事故・人身事故を起こして発覚するケースが多く見受けられます。
酒酔い運転の場合、発覚した時点で逮捕されることが多いですが、容疑を素直に認めている場合や人身事故でなければ、逮捕後48時間以内に釈放される可能性はあるでしょう。
ただ、容疑を否認していたり、罪証を隠滅するような行為が疑われたり、人身事故の場合には、逮捕後勾留となる可能性も少なくありません。
勾留となれば、長期間の身体拘束を余儀なくされることになり、日常生活にも多大な損失を残すことになりかねません。
酒酔い運転で逮捕されたのであれば、早期に弁護士に相談し、身柄解放活動を行うのがよいでしょう。
飲酒運転により悲惨な事故が絶えない昨今、飲酒運転に対する処罰も厳格化の傾向にあります。
飲酒運転でご家族が逮捕されてお困りの方は、今すぐ弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士にご相談ください。
身柄解放活動や寛大な処分・刑罰を目指した弁護活動は、交通事件にも対応する刑事事件専門弁護士にお任せください。
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飲酒運転と危険運転致死傷罪
飲酒運転と危険運転致死傷罪との関係について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
Aさんは、居酒屋で飲酒した後、それ程酔っていないと感じたため、自分の車で帰ることにしました。
Aさんは、千葉県柏市の交差点に向かって進行していましたが、赤信号で停止していた車及びその後ろに停止していたバイクに気が付くのが遅れ、急ブレーキをかけましたが間に合わず、バイクの後方から追突しました。
バイクは、追突された勢いで、前方に停止していた車に追突しました。
バイクの運転手は重傷を負い、車の運転手は軽傷を負っています。
Aさんは、現場に駆け付けた千葉県柏警察署の警察官に事情を聴かれていますが、事故直前についてあまり思い出せません。
警察からは危険運転致傷罪も視野に入れて捜査する旨を伝えられ、とても心配しています。
(フィクションです)
飲酒運転による人身事故
飲酒後にそのアルコールの影響がある状態で車両等を運転した結果、人に怪我を負わせる(最悪の場合には、人を死亡させる)事故を起こした場合には、どのような罪が成立するのでしょうか。
1.道路交通法違反及び過失運転致死傷罪
飲酒運転による人身事故を起こした場合、道路交通法違反(酒気帯び運転又は酒酔い運転)、そして、「自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律」(以下、「自動車運転処罰法」といいます。)で規定されている過失運転致死傷罪が成立する可能性があります。
◇道路交通法違反◇
まず、飲酒運転について、道路交通法違反が成立します。
道路交通法は、「何人も、酒気を帯びて車両等を運転してはならない。」とし、酒気帯び運転等の禁止について定めています。(道路交通法第65条1項)
つまり、一般的に、飲酒運転は禁止されています。
そのうち、道路交通法は、「酒酔い運転」又は政令数値以上酒気帯び運転に当たるときに限り罰則を設けており、政令数値未満の単なる酒気帯び運転については、訓示規定にとどめています。
呼気1リットル中のアルコール濃度が0.15ミリグラム以上である状態が、政令数値以上の酒気帯び運転となります。
酒気帯び運転に対する罰則は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金です。
一方、酒酔い運転は、アルコール濃度の検知数に関係なく、アルコールの影響により正常な運転ができないおそれがある状態である場合をいいます。
酒酔い運転に当たるか否かは、例えば、まっすぐに歩けるかどうか、受け答えがおかしいかといった点を総合的にみて判断されます。
酒酔い運転に対する罰則は、5年以下の懲役又は100万円以下の罰金です。
◇過失運転致死傷罪◇
人身事故を起こした場合に適用される罪の多くは、過失運転致死傷罪です。
この罪は、「自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた」場合に成立するものです。
前方不注意、スピード違反、標識の見落としなどにより、人身事故を起こした場合には、過失運転致死傷罪が成立することになるでしょう。
過失運転致死傷罪の罰則は、7年以下の懲役若しくは禁固又は100万円以下の罰金です。
以上、飲酒運転をし、人身事故を起こした場合に成立し得る罪としては、まずは、道路交通法違反及び過失運転致死傷罪が考えられます。
この場合、2つの罪は併合罪となり、2つの罪のうち最も重い罪の刑について定めた刑の長期にその2分の1を加えたものを長期となります。
2.危険運転致死傷罪
次に、飲酒運転で人身事故を起こした場合に成立し得る罪として挙げるのは、危険運転致死傷罪です。
自動車運転処罰法は、「アルコールの影響により正常な運転が困難な状態で自動車を走行させる行為」を行い、よって、人を負傷させた者は15年以下の懲役に処し、人を死亡させた者は1年以上の有期懲役に処することを定めています。(自動車運転処罰法第2条1号)
「アルコールの影響により正常な運転が困難な状態」というのは、道路及び交通の状況等に応じた運転操作を行うことが困難な心身の状態にあることをいいます。
先の述べた「酒酔い運転」における「正常な運転ができないおそれがある状態」とは異なり、泥酔状態で、前方の注視が困難になったり、ハンドルやブレーキ等の捜査の時期や加減について、これを思い通りに行うことが現実に困難な状態にあることが必要となります。
そのため、運転者において、道路や交通の状況、自動車の性能等に応じた運転操作を行うことが困難な心身の状態にあることを認識していたことが求められます。
また、本罪が成立するためには、アルコールの提供により正常な運転が困難な状態であったということと、当該事故との間に因果関係がなければなりません。
つまり、当該事故が、的確な運転行為を行っても避けることができないと認められる場合には、因果関係が否定され、本罪は成立しませんが、アルコールの影響により正常な運転が困難な状態下での運転行為においては、道路や交通の状況を正確に認識し、これらの状況に応じた運転操作を的確に行うことが困難な心身の状態にあり、そうした中において脇見をしたり、ハンドル操作を誤ったり、前方不注視を行った場合であれば、正常な運転が困難な状態に起因するものであるため、因果関係が認められることになります。
自動車運転処罰法は、「アルコールの影響により、その走行中に正常な運転に支障が生じるおそれがある状態で、自動車を運転し、よって、そのアルコールの影響により正常な運転が困難な状態に陥り、人を負傷させた者は12年以下の懲役に処し、人を死亡させた者は15年以下の懲役に処する」と規定しています。(自動車運転処罰法第3条1項)
先の危険運転致死傷罪(自動車運転処罰法第2条1号)は、アルコールの影響により正常な運転が困難な状態で、そのことを認識して自動車を運転し、人を死傷させた者を処罰対象としているのに対して、自動車運転処罰法第3条1項は、アルコールの影響により正常な運転に支障が生じるおそれがある状態という抽象的な危険性がある状態で、そのことを認識しつつ自動車を運転し、その結果としてアルコールの影響により正常な運転が困難な状態に陥って人を死傷させた者を処罰対象とするものです。
「正常な運転に支障が生じるおそれがある状態」というのは、自動車運転処罰法第2条1号における「正常な運転が困難な状態」には至っていないが、アルコールの影響のために自動車を運転するために必要な注意力、判断能力、捜査能力が相当程度低下して危険性のある状態や、そのような危険性のある状態になり得る具体的なおそれがある状態を指します。
酒気帯び運転に当たる程度のアルコールを身体に保有する状態は、この状態に当たるとされています。
ただ、本罪は、酒気帯び運転のように、客観的に一定の基準以上のアルコールを身体に保有しながら車両等を運転する行為を処罰するものではなく、運転の危険性や悪質性に着目した罪であるため、アルコールの影響を受けやすい者が、酒気帯び運転に該当しない程度のアルコールを保有している場合であっても、自動車を運転するのに必要な注意力等が相当程度減退して危険性のある状態にあれば、「正常な運転に支障が生じるおそれがある状態」に該当すると考えられます。
しかし、本罪の成立には、単に酒気帯び運転に該当する程度のアルコールを身体に保有する状態であることを認識しているだけでなく、それが「正常な運転に支障が生じるおそれがある状態」であることを認識していることが必要となります。
自動車運転処罰法の危険運転致死傷罪は、道路交通法の酒気帯び運転又は酒酔い運転を前提にしているため、前者が成立する場合には後者の罰則は適用されません。
Aさんの場合、運転開始当初は、「正常な運転に支障が生じるおそれがある状態」でしかなかったと考えられますが、事故前の運転状況や事故態様如何によっては、事故を起こした際には「正常な運転が困難な状態」にあったと認定される可能性もあります。
飲酒運転で人身事故を起こした場合、どのような罪が成立するかは、事故の内容によって異なりますので、交通事件に精通する弁護士にきちんと相談されるのがよいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、交通事件にも対応する刑事事件専門の法律事務所です。
無料法律相談・初回接見サービスに関するご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881で24時間受け付けております。
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