交通違反・交通事故の刑事責任

 

【交通違反・交通事故の各種責任】

交通違反や交通事故を起こした場合、事案に応じて、
①民事上の責任
②行政上の責任
③刑事上の責任

が発生します。

民事上の責任とは、交通違反や交通事故の被害者又は被害者遺族に対する賠償のことです。

行政上の責任とは、交通違反や交通事故による減点や反則金、免許の停止・取消などのことです。刑事上の責任とは、交通違反や交通事故のうち重大・悪質なものについて、交通違反や交通事故を起こした者に課せられる懲役刑・禁固刑・罰金刑などの刑事処分のことです。

例えば、自動車を運転していて人身事故を起こした場合、被害者又は被害者遺族に対する賠償金がいくらになるのかという問題(民事上の責任)と、免許が停止・取消になるかという問題(行政上の責任)と、過失運転致死傷罪による懲役刑・禁固刑・罰金刑などに問われる問題(刑事上の責任)が、同時に生じます。
 

【交通違反・交通事故の刑事責任】

交通違反・交通事故による刑事上の責任は、刑事手続・刑事裁判で問われることになります。

刑事裁判で有罪判決が出された場合、略式裁判による罰金処分であっても前科がつくことになりますし、懲役判決であれば刑務所に行く可能性が出てきてしまいます(もちろん前科がつきます)。

なお、交通違反や交通事故を起こした場合の民事・行政責任については、刑事責任とは手続き、内容、担当機関も異なるため、独立並行して問われていくことになります。

ただ、記録や証拠が共通する部分も多いため、不起訴処分や無罪判決によって刑事責任が否定された場合には、運転免許の取消・停止などの行政処分を免れたり、被害者側に対する賠償責任が軽減又は回避できる可能性が出てきます。
 

【反則金と罰金の違い】

交通違反や交通事故における行政上の責任と刑事責任の区別が分かりにくい理由として、反則金と罰金の存在が挙げられます。

「駐車違反で罰金を支払った」「スピード違反で罰金を払った」「飲酒運転で罰金を払った」といった表現をよく見聞きしますが、これらの表現は行政上の反則金と刑事罰である罰金を区別せずにまとめて罰金と表現しています。

法律上は、反則金と罰金は明確に区別され、内容や効果に違いがあります。
反則金と罰金は、どちらも交通違反や交通事故を起こした者に課せられる金銭的制裁という意味で共通しています。

しかし、反則金は、比較的軽微な交通法規違反(反則行為)の場合に認められる行政上の制裁金で、交通反則告知書(いわゆる青キップ)による反則金を納めることで刑事裁判は行われずに刑事責任が免除されるというものです。
反則金を支払えば刑事責任は免除されるので前科はつきません。

これに対して告知票(いわゆる赤キップ)などによる罰金は、比較的重大な交通法規違反行為(非反則行為)に課せられるもので、刑罰の一つとして前科となります。

前述の例でいえば、駐車違反の場合に支払うのは反則金、飲酒運転の場合に支払うのは罰金ということになります。

スピード違反については、軽微な違反(反則行為)であれば青キップによる反則金制度が適用されて、反則金を支払えば起訴されることはなく、前科もつきません。
しかし、赤キップの対象となる大幅なスピード違反(一般道路では時速30キロメートル以上 、高速道路では時速40キロメートル以上の速度超過)や反則金を支払わなかったりすると、罰金または懲役刑という刑事罰が科せられることになります(前科となります)。

 

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