Archive for the ‘危険運転致死傷罪’ Category

【事例紹介】てんかんの発作で事故を起こし危険運転致傷罪で逮捕された事例

2024-03-06

【事例紹介】てんかんの発作で事故を起こし危険運転致傷罪で逮捕された事例車が人に追突した人身事故

てんかんの発作が起こる可能性を知りながら車を運転し、発作で事故を起こしたとして危険運転致傷罪の容疑で再逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例

福岡県宇美町の県道で(中略)、登校中の高校生らの列に軽乗用車が突っ込み、歩行者9人が重軽傷を負った事故で、県警は4日、車を運転していた同県須恵町上須恵、(中略)容疑者(66)を自動車運転処罰法違反(危険運転致傷)容疑で再逮捕した。(中略)容疑者は運転中にてんかんの発作を発症し、意識喪失状態となったとみられ、県警はそうした危険性を知りながら運転したとして危険運転致傷容疑を適用した。容疑を認めているという。
再逮捕容疑は(中略)、持病の影響で正常な運転ができない恐れがあると知りながら軽乗用車を運転し、(中略)宇美町宇美5の県道で対向車線の路側帯に進入して歩いていた当時16~28歳の男女9人をはねて顔の骨折など重軽傷を負わせたとしている。(中略)
県警によると、(中略)容疑者は22年3月に医療機関でてんかんと初めて診断され、薬を処方された。その際、医師からは発作が出る恐れがあるとして、運転を禁止されたという。(後略)
(3月4日 毎日新聞デジタル 「危険運転致傷容疑で66歳を再逮捕 発作の恐れ知りながら運転か」より引用)

危険運転致傷罪

自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律第3条
1項 アルコール又は薬物の影響により、その走行中に正常な運転に支障が生じるおそれがある状態で、自動車を運転し、よって、そのアルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態に陥り、人を負傷させた者は十二年以下の懲役に処し、人を死亡させた者は十五年以下の懲役に処する。
2項 自動車の運転に支障を及ぼすおそれがある病気として政令で定めるものの影響により、その走行中に正常な運転に支障が生じるおそれがある状態で、自動車を運転し、よって、その病気の影響により正常な運転が困難な状態に陥り、人を死傷させた者も、前項と同様とする。

大まかに説明すると、事故を起こす危険性があると知りながら運転に支障を及ぼすおそれがあるとして政令で定められている病気の影響で事故を起こし人にけがを負わせた場合には、危険運転致傷罪が成立します。

今回の事例では、容疑者がてんかんの発作で事故を起こす危険性を知りながら車の運転をし、てんかんの発作によって事故を起こして9人に重軽傷を負わせたと報道されています。
てんかんは自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律第3条2項が規定する病気にあたるのでしょうか。

道路交通法第90条1項では、幻覚症状を伴う精神病発作により意識障害や運動障害をもたらす病気にかかっている者については運転免許試験に合格していたとしても免許を与えなくてもいいと規定しています。
また、道路交通方施行令第33条の2の3第2項では、幻覚症状を伴う精神病として統合失調症意識障害や運動障害をもたらす病気としててんかんなどを規定しています。
ですので、統合失調症てんかんなどの病気がある場合には、免許を取得できない可能性があります。
幻覚症状や意識障害、運動障害が発生すれば重大な事故につながるおそれがあるため、統合失調症てんかんなどの病気を患っている方は免許の取得が認められない場合があるのでしょう。
道路交通法施行令は政令にあたりますので、統合失調症てんかんなどが、自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律第3条2項が規定する、自動車の運転に支障を及ぼすおそれがある病気にあたる可能性が高いといえます。

今回の事例では容疑者はてんかんだと診断され、医者から運転を禁止されていたようですから、実際に容疑者がてんかんの発作で事故を起こしたのであれば、危険運転致傷罪が成立するおそれがあります。

事故を起こす危険性を知りながら病気の影響で事故を起こした場合に危険運転致傷罪で有罪になると、12年以下の懲役が科されることになります。
今回の事例では医者から運転を禁止されていたようですので、悪質性が高いと判断される可能性が高いですし、事故により9人が重軽傷を負っているようなので被害も軽いとはいえないでしょうから、重い判決が下される可能性があります。

危険運転致傷罪では、初犯であっても実刑判決を下される可能性があります。
弁護士に相談をすることで、執行猶予付き判決を獲得できる場合がありますので、危険運転致傷罪でお困りの方は、一度弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
初回接見サービス無料法律相談のご予約は、0120ー631ー881で受け付けております。

【事例紹介】モペットの無免許運転で事故 無免許危険運転致傷罪の容疑で書類送検②

2024-01-31

【事例紹介】モペットの無免許運転で事故 無免許危険運転致傷罪の容疑で書類送検②

取調べを受ける男性

前回に引き続き、モペット無免許で運転し、赤信号無視で事故を起こしたとして、無免許危険運転致傷罪の容疑で書類送検された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例

原付き運転免許が必要なペダル付き原動機付き自転車(モペット)を無免許で運転し、赤信号を無視して自転車の女性にけがをさせたとして、警視庁は(中略)男(24)=東京都新宿区=を自動車運転死傷処罰法違反(無免許危険運転致傷)などの疑いで書類送検し、発表した。
(中略)
男の送検容疑は、(中略)新宿区大久保2丁目の都道で無免許でモペットを運転し、赤信号を無視して時速25キロで交差点に進入。自転車に乗った70代女性に衝突し、頭部打撲など8週間のけがをさせた疑いがある。
モペットは、見た目は自転車に似ているが、法律上は原付きバイクと同じ扱いだ。原付き免許、ナンバープレート、自賠責保険への加入、ヘルメットが必要だが、男はいずれもなかったという。(後略)
(2024年1月18日 「無免許でモペット乗り、赤信号無視 女性をけがさせた疑いで書類送検」より引用)

赤信号無視と見落とし

赤信号で交差点に進入して起こしてけがを負わせた事故でも、赤信号を故意に無視したのか、それとも赤信号を見落としてしまったのかで成立する罪が大きく変わる可能性があります。
例えば、赤信号を故意に無視した場合には、前回のコラムで解説した危険運転致傷罪が成立する可能性があります。

一方で、赤信号を故意に無視したのではなく、見落としてしまった、つまり過失があった場合には、危険運転致傷罪ではなく過失運転致傷罪が成立する可能性があります。
過失運転致傷罪は自動車運転処罰法第5条に規定されており、大まかに説明すると、運転中に周囲の確認を怠ったなどの過失によって人にけがをさせてしまった場合に成立します。
不注意によって赤信号を見落としてしまった場合などには、この過失運転致傷罪が成立する可能性が高く、法定刑は7年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金ですので、危険運転致傷罪よりも科される刑罰が軽く規定されています。
また、過失運転致傷罪では、けがの程度が軽い場合には刑を免除される場合があります。

このように危険運転致傷罪過失運転致傷罪では、刑罰の重さがかなり異なります。
ですので、故意に赤信号を無視したのでない場合には、そのことを主張していく必要があります。

交通事件では、刑事事件と同様に取調べを受けることになります。
上記のような主張は取調べですることになるのですが、警察官や検察官はあなたの味方になってくれるわけではありませんので、話しを聞いてもらえないどころか、赤信号を無視したととれる内容の供述をするように誘導してくる可能性があります。
自分の言い分を聞いてもらえない状態が続くとかなりのストレスになりますし、不安にもなるでしょう。
自分に限って供述の誘導に乗ることはないと思っていても、ストレスや疲れで判断能力が鈍り、誘導に乗ってしまうことがあります。
取調べで作成される供述調書は裁判で重要な証拠として扱われますので、赤信号を故意に無視した内容の供述調書が作成されてしまった場合は、たとえ事実に反していたとしても、内容を覆すことは容易ではありませんので、裁判の際に窮地に立たされる可能性がかなり高くなってしまいます。
そういった事態を避けるためにも、取調べ前に準備を行っておくことが重要です。

取調べの準備といっても何をどうすればいいのかわからない方がほとんどでしょう。
ですので、取調べ前に弁護士に相談をすることをおすすめします。
刑事事件や交通事件の経験豊富な弁護士であれば、取調べの際にどういった内容のことが聞かれるのかをある程度予測することができます。
その予測を基に、供述する内容をあらかじめ考えておくことで、取調べに落ち着いて挑むことができる可能性があります。

また、事案によっては、供述した方がいい内容や黙秘した方がいい内容があります。
供述すべき内容なのか、そうでない内容なのかは事案によって異なりますので、警察の捜査を受けている場合には、弁護士に一度、相談をすることが望ましいでしょう。

取調べでどういった対応を取るかによって、危険運転致傷罪過失運転致傷罪のどちらが成立するのかが変わってくる可能性があります。
ですので、赤信号無視による危険運転致傷罪の容疑をかけられている際は、できる限り早い段階で弁護士に相談をすることを強くおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件、交通事件に精通した法律事務所です。
経験豊富な弁護士と取調べ対策を行うことで、不利な状況に陥ることを防いだり、執行猶予付き判決などの良い結果を得られる可能性があります。
交通事件でも、取調べの対策を練っておくことはかなり重要ですので、取調べでご不安な方、危険運転致傷罪などの容疑をかけられている方は、お気軽に、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

【事例紹介】モペットの無免許運転で事故 無免許危険運転致傷罪の容疑で書類送検①

2024-01-24

【事例紹介】モペットの無免許運転で事故 無免許危険運転致傷罪の容疑で書類送検①

赤信号を無視して走る車

モペット無免許で運転し、赤信号無視で事故を起こしたとして、無免許危険運転致傷罪の容疑で書類送検された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例

原付き運転免許が必要なペダル付き原動機付き自転車(モペット)を無免許で運転し、赤信号を無視して自転車の女性にけがをさせたとして、警視庁は(中略)男(24)=東京都新宿区=を自動車運転死傷処罰法違反(無免許危険運転致傷)などの疑いで書類送検し、発表した。
(中略)
男の送検容疑は、(中略)新宿区大久保2丁目の都道で無免許でモペットを運転し、赤信号を無視して時速25キロで交差点に進入。自転車に乗った70代女性に衝突し、頭部打撲など8週間のけがをさせた疑いがある。
モペットは、見た目は自転車に似ているが、法律上は原付きバイクと同じ扱いだ。原付き免許、ナンバープレート、自賠責保険への加入、ヘルメットが必要だが、男はいずれもなかったという。(後略)
(2024年1月18日 「無免許でモペット乗り、赤信号無視 女性をけがさせた疑いで書類送検」より引用)

モペットと原動機付自転車

モペットは自転車と違い、モーターなどでペダルをこがずに自走することが可能なようです。
ですので、モペットは道路交通法上の原動機付自転車に分類されており、自転車のような見た目をしていますが原付バイクと同様の扱いになります。
ですので、自転車の運転には免許は不要ですが、原動機付自転車にあたるモペットの場合は運転をする際に免許が必要になります。

モペットと事故

自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律(以下、「自動車運転処罰法」と言います。)では、自動車による事故で人にけがを負わせたり、人を亡くならせた場合に成立する犯罪などを規定しています。

今回の事例では、容疑者がモペット無免許で運転し、赤信号を無視して女性にけがを負わせたとして無免許危険運転致傷罪の容疑で書類送検されたようです。
無免許危険運転致傷罪は、自動車運転処罰法で規定されており、危険運転致傷罪にあたる行為を無免許で行った場合に成立します。

危険運転致傷罪は、自動車運転処罰法第2条、第3条で規定されています。
アルコールや薬物の影響で正常な運転ができない場合や制御できないほどのスピードで運転する行為などが危険運転致傷罪の対象となっています。
今回の事例では赤信号無視が問題になっているようですが、赤信号無視についても上記の場合と同様に危険運転致傷罪の対象です。

自動車運転処罰法第2条7号
赤色信号又はこれに相当する信号を殊更に無視し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為

自動車運転処罰法第2条では危険運転致傷罪を規定していますので、上記の自動車運転処罰法第2条7号の行為をして人にけがを負わせると、危険運転致傷罪が成立することになります。
自動車運転処罰法第2条7号を簡単に説明すると、赤信号を無視して事故が起こるような危険性のあるスピードで運転する行為を規定しています。

今回の事例は、この自動車運転処罰法第2条7号の行為にあたるのでしょうか。

報道によると、容疑者は赤信号を無視して時速25キロで交差点に進入したようです。
時速25キロで歩行者や自転車にぶつかれば人にけがを負わせたり死亡させてしまう危険性があるといえます。
ですので、時速25キロは重大な交通の危険を生じさせる速度だと判断される可能性があります。
今回の事例で容疑者が赤信号を無視して時速25キロで交差点に進入し、自転車に乗っていた女性にけがを負わせたのであれば、危険運転致傷罪が成立する可能性があります。

無免許危険運転致傷罪

自動車運転処罰法第6条では無免許危険運転による加重処罰を規定しています。

赤信号無視による危険運転致傷罪の法定刑は15年以下の懲役(自動車運転処罰法第2条)なのですが、無免許運転だった場合には6月以上の有期懲役(自動車運転処罰法第6条1項)になります。
赤信号無視の場合の無免許危険運転致傷罪には刑の上限が規定されておらず、通常の危険運転致傷罪に比べてより刑罰が重く規定されていることになります。
ですので、無免許運転の場合に有罪になると、無免許運転ではない同種事案に比べて、より重い刑罰が科されることになります。

また、無免許過失運転致傷罪の法定刑は10年以下の懲役です。(自動車運転処罰法第6条4項)
懲役刑しか規定されていない時点で、無免許過失運転致傷罪もかなり刑罰の重い罪だといえるのですが、赤信号無視の場合の無免許危険運転致傷罪よりも科される刑罰は軽く規定されています。

書類送検

書類送検とは、事件が検察庁に送られたことを指します。
ですので、書類送検で事件が終わることはなく、これから検察官によって起訴、不起訴の判断がされます。
起訴された場合には裁判が行われることになりますので、書類送検後も気を抜かずに取調べなどを受ける必要があります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、初回接見サービス無料法律相談を行っています。
交通事件に精通した弁護士に相談をすることで、より良い結果を得られるかもしれません。
モペットなどの運転で捜査を受けている方は、お気軽に、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

次回のコラムでは、危険運転致傷罪と取調べについて解説します。

昨年の交通事故死者数発表 一番多いのはどの都道府県?

2024-01-17

昨年の交通事故死者数発表 一番多いのはどの都道府県?

車が人に追突した人身事故1月4日に昨年の交通事故死者数が発表されたようです。
交通事故者数はどの都道府県が一番多いのでしょうか。

交通事故の死者数

1月4日、警察庁より、昨年度の事故の統計が発表されました。
昨年の交通事故死者数は大阪府が一番多く、その後に愛知県、東京都が続きます。
また、昨年の全国の交通事故死者数は2678人だったようです。

死亡事故を起こしたら犯罪になるの?

死亡事故を起こしてしまったら罪に問われるのでしょうか。

死亡事故を起こしてしまった場合に成立する可能性が高い犯罪として、過失運転致死罪が挙げられます。

過失運転致死罪は、刑法や道路交通法ではなく、自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律(以下、「自動車運転処罰法」といいます。)という法律で規定されています。

自動車運転処罰法第5条
自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、七年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する。ただし、その傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができる。

簡単に説明すると、周囲の確認など運転するのに必要な注意をしないで事故を起こし、人を死亡させてしまった場合に、過失運転致死罪が成立します。

過失運転致傷罪の法定刑は7年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金です。
ですので、有罪になれば刑務所に行かなければならない可能性があります。

また、自動車運転処罰法第5条には「傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができる」と規定されていますが、死亡事故の場合は傷害が軽いとは言えませんので、死亡事故の場合にこの規定が適用されることはないでしょう。

無免許運転の場合は?

無免許運転だった場合にも過失運転致死罪と同様の刑罰が科されるのでしょうか。

結論から言うと無免許運転であった場合には、より重い刑罰が科されます。

自動車運転処罰法第6条4項
前条の罪を犯した者が、その罪を犯した時に無免許運転をしたものであるときは、十年以下の懲役に処する。

運転上必要な注意を払わずに事故を起こして人を死亡させ、なおかつ無免許運転だった場合には、無免許過失運転致死罪が成立する可能性があります。
無免許過失運転致死罪の法定刑は10年以下の懲役です。
通常の過失運転致死罪では7年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金ですので、禁固刑や罰金刑の規定のない無免許過失運転致死罪はより重い刑罰を科されていることがわかります。
また、無免許過失運転致死罪では罰金刑がありませんので、有罪になってしまった場合には、執行猶予付き判決を得ない限り刑務所に行くことになってしまいます。

危険運転致死罪

自動車運転処罰法では、過失運転致死罪だけでなく危険運転致死罪も規定しています。

運転していた時の状態や運転の仕方によっては、死亡事故を起こした場合に過失運転致死罪ではなく、危険運転致死罪が成立してしまう可能性があります。

危険運転致死罪は簡単に説明すると、アルコールで正常な運転ができない状態での運転や制御できない高速度での運転、あおり運転などの悪質で危険性の高い運転により人を死亡させてしまった場合に成立します。

アルコールや薬物の影響により正常な運転が困難な状態での運転や制御が困難な高速度での運転などで危険運転致死罪で有罪になった場合には、1年以上の有期懲役が科されます。(自動車運転処罰法第2条)
また、アルコールや薬物の影響により運転に支障が生じるおそれがある状態で運転をし、その後正常な運転が困難な状態に陥った場合などに危険運転致死罪で有罪になれば、15年以下の懲役が科されます。(自動車運転処罰法第3条1項)

上記のように危険運転致死罪では、懲役刑しか規定されていませんので、無免許過失運転致死罪と同様に、有罪になれば執行猶予付き判決を得ない限り刑務所に行くことになります。
また、過失運転致死罪と同じように、危険運転致死罪を犯した人が無免許運転だった場合には、より重い刑罰が科されることになります。

死亡事故と執行猶予

過失運転致死罪の容疑をかけらると、人が死亡していることから刑務所にいくことになると思われる方もいるかもしれません。
しかし、人が死亡している場合であっても、執行猶予付き判決を得られる可能性があります。
弁護士が、被害者への謝罪や賠償が行われていることや、今後事故を起こさないように防止策を講じていることなどを裁判官に訴えることで執行猶予付き判決を得られる場合があります。
ですので、過失運転致死罪でお困りの方は、一度、弁護士に相談をしてみることをおすすめします。

また、危険運転致死罪では有罪になると、執行猶予が付かず実刑判決を受けてしまう可能性が高いです。
ですので、危険運転致死罪ではなく、過失運転致死罪の適用を目指す弁護活動が必要になってくる場合があります。
危険運転致死罪で捜査を受けている場合にも、弁護士による弁護活動で、過失運転致死罪の適用を目指せる場合がありますから、危険運転致死罪の容疑をかけられている場合には、速やかに弁護士に相談をすることが望ましいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、交通事故や刑事事件に精通した法律事務所です。
交通事故の弁護経験が豊富な弁護士に相談をすることで、望んだ結果が得られるかもしれません。
弊所は、大阪府愛知県東京都をはじめとした全国12か所に事務所がございます。
無料法律相談も行っていますので、危険運転致死罪過失運転致死罪などの交通事故でお困りの方は、お気軽に、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

【事例紹介】赤信号無視による事故 危険運転致傷罪で起訴された事例

2023-12-06

【事例紹介】赤信号無視による事故 危険運転致傷罪で逮捕された事例赤信号を無視して走る車

赤信号を故意に無視して事故を起こしたとして、危険運転致傷罪道路交通法違反(ひき逃げ)の容疑で起訴された事例について、弁護士法人あいち刑事総合法律事務所が解説します。

事例

札幌地検は29日、危険運転致傷と道路交通法違反(ひき逃げ)の罪で石狩市の(中略)を起訴しました。
起訴状などによりますと、(中略)被告は11月8日、乗用車を運転し、パトカーからの追跡を免れるために、赤信号を故意に無視して時速約42キロから49キロで交差点に進入。
横断歩行中の韓国籍の観光客で27歳の女性と31歳の女性を乗用車のフロントガラスに衝突させ、それぞれ全治約3日と約1週間のけがをさせました。
さらに、乗用車を停止させて救護に必要な措置をせず、その場から立ち去り、警察官に報告しなかったとされています。
(後略)
(11月30日 STVニュース 「韓国人女性2人をひき逃げ 赤信号を故意に無視 23歳男を危険運転致傷などの罪で起訴」より引用)

赤信号無視と危険運転

アルコールや薬物の影響で正常な運転が困難な状態での運転や進行を制御することが困難な高速度での走行、赤信号の殊更な無視かつ重大な交通の危険を生じさせる速度での運転などで、人にけがを負わせた場合には、危険運転致傷罪が成立します。(自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律(以下「自動車運転処罰法」といいます。)第2条)

今回の事例では、容疑者は故意に赤信号を無視して時速約42キロから49キロで交差点に進入したと報道されています。
時速42キロから49キロで走行している車が歩行者などに追突すれば、何らかのけがを負わせる可能性がありますので、時速42キロから49キロでの交差点の侵入は、交通の危険を生じさせる速度での運転だと判断される可能性があります。
実際に容疑者が赤信号を故意に無視したのであれば、赤信号の無視かつ重大な交通の危険を生じさせる速度での運転をして人にけがをさせたとして、容疑者に危険運転致傷罪が成立するおそれがあります。

赤信号無視による危険運転致傷罪の法定刑は、15年以下の懲役ですので、危険運転致傷罪で有罪になった場合には必ず懲役刑が科されることになります。(自動車運転処罰法第2条)

赤信号無視と過失運転

危険運転致傷罪を規定している自動車運転処罰法では、過失運転致傷罪についても規定しています。
過失運転致傷罪とは、簡単に説明すると、運転上払うべき注意を怠り、人にけがを負わせた場合に成立する犯罪です。

例えば、赤信号を青信号だと誤信して横断歩道を横断中の歩行者をはねてけがを負わせてしまった場合、運転手は信号を確認するといった運転上払うべき注意を怠ったことで、歩行者にけがを負わせたことになりますので、過失運転致傷罪が成立する可能性が高いです。
赤信号だと認識しながら殊更に赤信号を無視して事故を起こしけがを負わせた場合には、危険運転致傷罪が成立するおそれがあり、過失により赤信号を見落とし事故を起こしてけがを負わせた場合には、危険運転致傷罪ではなく過失運転致傷罪が成立する可能性が高いです。

今回の事例では、赤信号を故意に無視して事故を起こしたとして、危険運転致傷罪の容疑で起訴されています。
もしも赤信号無視が故意ではなく、信号の見落としなどの過失であった場合には、危険運転致傷罪ではなく過失運転致傷罪が成立する可能性があります。

過失運転致傷罪の法定刑は、7年以下の懲役若しくは禁固又は100万円以下の罰金であり、相手のけがの程度が軽い場合には情状により刑が免除される場合があります。(自動車運転処罰法第5条)
赤信号無視による危険運転致傷罪15年以下の懲役ですので、危険運転致傷罪過失運転致傷罪よりも科される量刑が重くなります。

取調べと危険運転致傷罪

赤信号での事故の場合、故意による赤信号無視なのか、過失による赤信号の見落としなのかで、危険運転致傷罪過失運転致傷罪のどちらの罪が成立するかが変わってきます。
先ほども述べたように、危険運転致傷罪過失運転致傷罪に比べてはるかに科される刑罰が重い犯罪です。
過失運転致傷罪では罰金刑の規定がありますが、危険運転致傷罪にはないため、危険運転致傷罪で有罪になった場合には、執行猶予付き判決を得ない限り刑務所で刑務作業に従事することになります。

逮捕されると、警察官や検察官から連日、取調べを受けることになります。
取調べでは、警察官や検察官が供述を誘導することがあります。
誘導された供述で作成された供述調書だったとしても、署名押印してしまった場合には内容の訂正をすることができません。
供述調書は裁判で証拠として使用されますので、意に反した供述調書を作成されてしまった場合には、裁判で不利な状況に陥ってしまう可能性が非常に高くなります。

例えば、過失により赤信号を見落とした事故の場合に、警察官などに「赤信号だとわかっていて突っ込んだよね」と言われ、赤信号の見落としと故意の赤信号無視どちらも一緒だろうと思い「はい」と答えたとします。
赤信号だとわかっていた場合には、過失によって赤信号を見落としたわけではありませんので、危険運転致傷罪が成立する可能性があります。
ですので、実際には過失により赤信号を見落とした事故であっても、故意に赤信号を無視したという内容の供述調書が作成されることで、危険運転致傷罪で実刑判決が下されてしまうおそれがあります。
こういった事態を避けるためにも、取調べ前に弁護士と取調べ対策を行い、成立する可能性のある犯罪やその犯罪の成立要件を理解したうえで供述すべき内容を整理することが非常に重要になります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、交通事件の豊富な弁護経験を持つ法律事務所です。
経験豊富な弁護士に相談をすることで、執行猶予付き判決の獲得など、少しでも良い結果を得られるかもしれません。
弁護士法人あいち刑事総合法律事務所は、愛知県をはじめ全国に支部がございます。
札幌支部もございますので、北海道で交通事件のことでお困りの方は、弁護士法人あいち刑事総合法律事務所にご相談ください。

(事例紹介)睡眠障害であるバス運転手が危険運転致傷罪で送検された事例②

2023-07-26

(事例紹介)睡眠障害であるバス運転手が危険運転致傷罪で送検された事例②

睡眠障害をもつバスの運転手追突事故を起こし、危険運転致傷罪の容疑で書類送検された事例を基に、危険運転致傷罪の嫌疑をかけられた際の弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例

睡眠障害を自覚しながら路線バスを運転して事故を起こし、乗客7人に重軽傷を負わせたとして、警視庁は29日、バス会社(中略)社員の男(60)(東京都町田市)を自動車運転死傷行為処罰法違反(危険運転致傷)容疑で書類送検した。(中略)
捜査関係者によると、男は(中略)睡眠障害で正常な運転ができない恐れがあると認識しながら、東京都町田市内で路線バスを運転。居眠りして住宅の外壁に衝突し、10~60歳代の乗客の男女7人に顔の骨を折るなどの重軽傷を負わせた疑い。
男は事故直後、「貧血を起こしたような感じで記憶がなくなった」と説明した。警視庁が持病を捜査したところ、医師から睡眠時無呼吸症候群(SAS)と診断され、呼吸を楽にする装置を就寝時に着けるよう指導されていたのに、着けていなかったことなどが判明したという。
(中略)は取材に「産業医からは(SASの)治療を受けながらの通常勤務が可能との診断を受けていた」としている。
(6月30日 読売新聞オンライン 「「睡眠障害」自覚しながら路線バス運転、7人重軽傷事故…「危険運転」適用し書類送検」より引用)

危険運転致傷罪と刑事罰

危険運転致傷罪は有罪になった際に、12年以下の懲役が科されます。(自動車運転死傷行為処罰法第3条1項、2項)
危険運転致傷罪には罰金刑の規定がありませんので、有罪になってしまった場合には、執行猶予付き判決を得ない限り、刑務所に行かなければなりません。

事故の報道で過失運転致傷罪という罪名を目にする方も多いと思います。
過失運転致傷罪の法定刑は、7年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金(自動車運転死傷行為処罰法第5条)であり、危険運転致傷罪過失運転致傷罪と比べると、刑期も長く、罰金刑の定めがないなど、かなり重い刑罰が規定されていることが窺えます。

また、今回の事例では、バスによる事故ですし、容疑者はバスの運転を職業としています。
バスのような大型車での事故や、車の運転を業務としている場合は、事故の危険性や責任が重いと判断され、科される刑罰が重くなる可能性が高いです。

持病による危険運転致傷罪と弁護活動

刑事事件の重要な証拠のひとつに供述調書というものがあります。
供述調書取調べの際に作成される書類のひとつで、容疑者が供述した内容を基に作成されます。
供述調書は裁判などの証拠として扱われますので、万が一、供述内容とは異なる内容や貴方の不利になるような内容の供述調書が作成されてしまった場合は、後の裁判で窮地に陥ってしまう可能性があります。
そういう状況にならないためにも、事前に取調べの対応を行っておくことが大切です。

とはいえ、取調べ対応と言われてもイメージが湧かない方も多いのではないでしょうか。
取調べでは、事故の状況や原因などを聴かれることになります。
今回の事例であれば、睡眠障害の程度や事故の前日に呼吸を楽にする装置を付けていたのかどうか、運転時に眠気があったか、睡眠障害により事故を起こす可能性を自覚していたのかなどを聴かれるのではないでしょうか。
取調べでは、事前に聴かれる内容を想定し、供述すべき内容を整理しておくことが重要になります。
弁護士であれば、聴かれる内容を事前に予測することで、供述内容をアドバイスすることが可能です。
ですので、取調べを受ける際には、事前に弁護士に相談をすることが望ましいでしょう。

また、今回の事例の事故の原因が、容疑者による睡眠障害ではない可能性もあります。
危険運転致傷罪は、簡単に説明すると、政令で定められている病気が運転に支障をきたすおそれがある状態で、その病気の影響により事故を起こし、人にけがを負わせた場合に成立します。
ですので、容疑者の持病である睡眠時無呼吸症候群が事故の原因でない場合には、危険運転致傷罪が成立しない可能性があります。

交通事故に精通した弁護士による弁護活動で、危険運転致傷罪ではなく、過失運転致傷罪での適用を目指せる可能性があります。
事故の状況持病の程度によって事件の見通しは異なりますので、危険運転致傷罪の嫌疑をかけられた場合は、一度、弁護士に相談をすることをお勧めします。

危険運転致傷罪でお困りの方は、ぜひ一度、交通事故に精通した弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、初回接見サービス無料法律相談を行っています。
初回接見サービス無料法律相談のご予約は、0120ー631ー881で受け付けております。

(事例紹介)睡眠障害であるバス運転手が危険運転致傷罪で送検された事例①

2023-07-19

(事例紹介)睡眠障害であるバス運転手が危険運転致傷罪で送検された事例①

睡眠障害をもつバスの運転手追突事故を起こし、危険運転致傷罪の容疑で書類送検された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例

睡眠障害を自覚しながら路線バスを運転して事故を起こし、乗客7人に重軽傷を負わせたとして、警視庁は29日、バス会社(中略)社員の男(60)(東京都町田市)を自動車運転死傷行為処罰法違反(危険運転致傷)容疑で書類送検した。(中略)
捜査関係者によると、男は(中略)睡眠障害で正常な運転ができない恐れがあると認識しながら、東京都町田市内で路線バスを運転。居眠りして住宅の外壁に衝突し、10~60歳代の乗客の男女7人に顔の骨を折るなどの重軽傷を負わせた疑い。
男は事故直後、「貧血を起こしたような感じで記憶がなくなった」と説明した。警視庁が持病を捜査したところ、医師から睡眠時無呼吸症候群(SAS)と診断され、呼吸を楽にする装置を就寝時に着けるよう指導されていたのに、着けていなかったことなどが判明したという。
(中略)は取材に「産業医からは(SASの)治療を受けながらの通常勤務が可能との診断を受けていた」としている。
(6月30日 読売新聞オンライン 「「睡眠障害」自覚しながら路線バス運転、7人重軽傷事故…「危険運転」適用し書類送検」より引用)

持病と危険運転致傷罪

危険運転致傷罪は、刑法ではなく、自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律(以下、「自動車運転死傷行為処罰法」といいます。)の第2条、3条に規定されています。

自動車運転死傷行為処罰法第3条
1項 アルコール又は薬物の影響により、その走行中に正常な運転に支障が生じるおそれがある状態で、自動車を運転し、よって、そのアルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態に陥り、人を負傷させた者は12年以下の懲役に処し、人を死亡させた者は15年以下の懲役に処する。
2項 自動車の運転に支障を及ぼすおそれがある病気として政令で定めるものの影響により、その走行中に正常な運転に支障が生じるおそれがある状態で、自動車を運転し、よって、その病気の影響により正常な運転が困難な状態に陥り、人を死傷させた者も、前項と同様とする。

自動車運転行為処罰法第3条2項が規定しているように、車の運転に支障をきたすような持病があり、その持病により事故を起こしてけがをさせた場合は、危険運転致傷罪が適用される可能性があります。

今回の事例では、容疑者に睡眠障害があり、居眠り運転により衝突事故を起こしたとされています。
自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律施行令第3条6号では、運転に支障を及ぼすおそれがある病気として、重度の眠気の症状を呈する睡眠障害を挙げていますので、容疑者が罹患している睡眠時無呼吸症候群が車の運転に支障をきたす持病にあたる可能性があります。
睡眠時無呼吸症候群睡眠障害のひとつであり、症状として日中の眠気が挙げられます。
容疑者が睡眠障害を自覚しながら、睡眠時無呼吸症候群の症状による日中の眠気が原因で事故を起こしたのであれば、危険運転致傷罪が成立する可能性があります。

弁護士に相談をすることで、執行猶予付き判決の獲得や罪の減軽など、あなたにとって良い結果を得られる可能性があります。
危険運転致傷罪の嫌疑をかけられた方は、お気軽に弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
初回接見サービス無料法律相談のご予約は、0120―631―881までお電話くださいませ。

次回のコラムでは、危険運転致傷罪の嫌疑をかけられた際の弁護活動についてご紹介します。

(事例紹介)年末年始の飲酒運転に注意~道路交通法違反で逮捕された事例

2022-12-29

(事例紹介)年末年始の飲酒運転に注意~道路交通法違反で逮捕された事例

年末年始は、忘年会や新年会、親戚同士の集まりなどにより、飲酒する機会が多くなるという方もいらっしゃるでしょう。
特に、ここしばらくはコロナ禍の影響で行動制限のある年末年始となっていましたが、今回は特に行動制限のかかっていない年末年始期間ということもあり、久しぶりの忘年会・新年会をしたという方や、数年ぶりに親戚一同で集まったという方も多いのではないでしょうか。

こうした中で、飲酒運転による道路交通法違反事件や、飲酒運転をしての交通事故が増加してしまう懸念があります。
実際に、年末の時点で飲酒運転飲酒運転をしての交通事故で逮捕されたという事例が全国各地で、複数報道されています。

~事例1~

福岡県で25日、酒を飲んで車を運転したとして、自称会社員の男2人が逮捕されました。
(略)
また、25日午前7時ごろには、福岡市博多区で酒を飲んで車を運転し、対向車線の車に衝突したとして、福岡県筑紫野市の自称会社員(略)が酒気帯び運転の疑いで逮捕されました。
(略)容疑者は「アルコールは抜けていると思った」と話し、容疑を否認しているということです。
(※2022年12月26日8:50YAHOO!JAPANニュース配信記事より引用)

~事例2~

三重県警名張署は12月27日、道路交通法違反(飲酒運転)の疑いで、伊賀市の会社員の男(52)を現行犯逮捕したと発表した。容疑を認めているという。
発表によると、同日午前1時15分ごろ、伊賀市桐ケ丘2の市道で、飲酒して普通乗用車を運転した疑い。
同署によると、道沿いに停まっていたトラックに男が運転する車が前から衝突する事故が発生。警察官が駆け付けたところ、男から酒の臭いがしたため飲酒検知し、呼気から基準値以上のアルコールが検出された。事故により、トラックのそばで作業をしていた男性が右足を負傷したという。
(略)
(※2022年12月27日伊賀タウン情報ユー配信記事より)

~事例3~

埼玉県警川口署は23日、道交法違反(酒気帯び)の疑いで、川口市西青木2丁目、無職の男(74)を現行犯逮捕した。
逮捕容疑は同日午前10時ごろ、同市青木5丁目の市道で、酒気を帯びた状態で軽自動車を運転し、前方の自動車計2台を巻き込む交通事故を起こした疑い。
同署によると、男は蕨方面から都内に進行中、前方で減速中の普通自動車(40代男性運転)に追突。同車は、前方で停止中の大型貨物自動車(50代男性運転)に衝突した。40代男性が軽傷を負った。50代男性からの110番で署員が駆け付けたところ、男の呼気からは1リットル当たり0・2ミリグラムのアルコールが検出された。その後の調べで、男は無免許で、事故直後に一度逃げていたことなどが分かり、同署は無免許、危険運転致傷、ひき逃げ、事故不申告の罪で送致する予定。男は飲酒運転の容疑は認めているという。
(※2022年12月25日13:41YAHOO!JAPANニュース配信記事より)

ご存知の方も多いように、飲酒運転はそれだけで道路交通法違反となる犯罪行為です。
「忘年会から帰宅するだけ」「新年会の途中で買出しに行くだけ」と軽く考えてはいけません。
飲酒運転自体も刑事事件となる犯罪行為ですし、飲酒運転をして交通事故を起こせば、単に不注意で交通事故を起こした際よりも重く処罰されることになります。
また、交通事故後に飲酒運転の発覚を免れようとすれば、それもまた別の犯罪(過失運転致死傷アルコール等影響発覚免脱罪)が成立することになります。

さらに、場合によっては危険運転致死傷罪に問われる可能性も出てきます。
実際に、ご紹介した事例の3つ目では、飲酒運転をして事故を起こした男性が危険運転致傷罪の容疑で送致予定とされています。
報道だけではこの男性が危険運転致傷罪のどの要件に当たっていると考えられているのかは不明ですが、飲酒運転によって危険運転致死傷罪の容疑がかけられ得るということは間違いありません。

飲酒運転は、やろうとすれば簡単にできてしまう行為かもしれませんが、飲酒運転自体に定められている刑罰も「5年以下の懲役または100万円以下の罰金」もしくは「3年以下の懲役または50万円以下の罰金」(道路交通法第117条の2、同法第117条の2の2)と重いものとなっています。
加えて、先ほども触れた通り、飲酒運転をして交通事故を起こしたということになれば、さらに成立する犯罪が加わり、重い刑罰が下されることが想定されます。
飲酒の機会が増える年末年始だからこそ、飲酒運転をしない・させないということをより強く意識することはもちろんですが、それでも当事者となってしまったら、早い段階から弁護士に相談し、刑事手続に備えることをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、飲酒運転に関わる刑事事件のご相談・ご依頼も承っています。
年末年始弁護士のスケジュール次第では即日対応も可能となっていますので、まずはお気軽にお問い合わせください。

(事例紹介)飲酒運転の末の危険運転致傷罪 執行猶予判決

2022-12-22

(事例紹介)飲酒運転の末の危険運転致傷罪 執行猶予判決

~事例~

(略)被告(55)は、ことし4月、酒を飲んで、正常な運転に支障が生じるおそれがある状態で乗用車を運転し、神戸市須磨区の市道の交差点で、信号待ちをしていたバイクにぶつかり、乗っていた男性に大けがをさせたとして、危険運転傷害の罪に問われました。
これまでの裁判で、検察は懲役1年8か月を求刑し、弁護側は反省しているとして執行猶予の付いた判決を求めていました。
7日の判決で、神戸地方裁判所の西森英司裁判官は「(略)帰りも運転することが分かっていながら大瓶のビール5本以上を飲み、相当酔っ払った状態で運転して事故を起こした。(略)」と指摘しました。
一方で、「自業自得ながら議員を辞職して反省している」などと述べて、懲役1年8か月執行猶予5年の有罪判決を言い渡しました。
(※2022年7月7日17:35NHK NEWS WEB配信記事より引用)

~飲酒運転と危険運転致傷罪~

自動車運転処罰法(正式名称:自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律)では、危険運転致死傷罪を規定しています。

自動車運転処罰法第2条
次に掲げる行為を行い、よって、人を負傷させた者は15年以下の懲役に処し、人を死亡させた者は1年以上の有期懲役に処する。
第1号 アルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態で自動車を走行させる行為

自動車運転処罰法第3条
第1項 アルコール又は薬物の影響により、その走行中に正常な運転に支障が生じるおそれがある状態で、自動車を運転し、よって、そのアルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態に陥り、人を負傷させた者は12年以下の懲役に処し、人を死亡させた者は15年以下の懲役に処する。
第2項 自動車の運転に支障を及ぼすおそれがある病気として政令で定めるものの影響により、その走行中に正常な運転に支障が生じるおそれがある状態で、自動車を運転し、よって、その病気の影響により正常な運転が困難な状態に陥り、人を死傷させた者も、前項と同様とする。

一般に危険運転致死傷罪と呼ばれるのは、自動車運転処罰法第2条のものを指すことが多く、自動車運転処罰法第3条のものは、準危険運転致死傷罪と呼ばれることもあります。

これらは、飲酒運転をして人身事故を起こしたという全ての場合に適用されるわけではなく、「アルコール…の影響により正常な運転が困難な状態」や「アルコール…の影響により、その走行中に正常な運転に支障が生じるおそれがある状態」で車を運転し、人身事故を起こした場合に成立する犯罪です。
大まかに言えば、飲酒による影響が著しく大きい状態で車を運転し、それによって人身事故を起こした場合に、こうした危険運転致死傷罪となるというイメージです。

危険運転致死傷罪は、危険運転行為という故意的な行為によって事故を起こしていることから、悪質性が高いと考えられやすいです。
設定されている刑罰も、「人を負傷させた者は15年以下の懲役に処し、人を死亡させた者は1年以上の有期懲役」「人を負傷させた者は12年以下の懲役に処し、人を死亡させた者は15年以下の懲役」と重いものとなっています。

被害者が亡くなっているのかどうか、被害者が怪我をしているとしてどの程度の怪我なのか、被害者や遺族への謝罪や弁償を行っているのかなど、様々な事情によって、執行猶予の有無や刑罰の重さが判断されます。
今回の事例でも、危険運転致傷罪という罪名ではありますが、最終的に執行猶予判決となっています。
危険運転に関わる犯罪であるからといって、必ずしも実刑判決となるわけではありません。
しかし、先ほど触れた通り、危険運転致死傷罪は悪質であると判断されやすい犯罪であり、決して軽い犯罪ではないため、執行猶予を獲得できるかどうかは非常にシビアな犯罪であることは間違いありません。
ですから、事件の見通しがどのようなものかということも含めて、早めに弁護士に相談してみることをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、飲酒運転に関わる危険運転致死傷事件についてのご相談・ご依頼も受け付けています。
まずはお気軽にお問い合わせください。

(事例紹介)神戸市 危険運転致傷及びひき逃げの疑いで逮捕された事例

2022-09-29

(事例紹介)神戸市 危険運転致傷及びひき逃げの疑いで逮捕された事例

今回は、神戸市危険運転致傷及びひき逃げの疑いで男性が逮捕された事件につき、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

~ケース~

9月13日、神戸市兵庫区で自転車に乗った男性が赤信号を無視した車にはねられたひき逃げ事件で、会社員の男が逮捕されました。
危険運転傷害とひき逃げの疑いで逮捕されたのは、(中略)容疑者(46)です。
警察によりますと、(中略)容疑者は13日午前6時前、神戸市兵庫区で車を運転中、赤信号を無視して交差点に進入し、自転車に乗って横断歩道を渡っていた男性(40代)をはねてそのまま逃げた疑いがもたれています。
(後略)
(9月15日 TBS NEWS DIG 「自転車の男性がはねられ重体のひき逃げ事件…46歳会社員の男を逮捕 神戸・兵庫区」より引用)

~ひき逃げ事件の検挙スピード~

引用したニュースによれば、今回取り上げた事例の容疑者が事故を起こしたのは9月13日午前6時前とありますが、その事故の同日、警察に出頭し、その後逮捕されています。
ひき逃げ事件においては、危険運転致死傷事件のような重大事件を伴っていると、事件から数日中に被疑者が逮捕されることが珍しくありません。
事故を起こしたあと、逃げきれるだろうと思い逃亡を図ること自体、無謀であり、罪を重ねることにもなります。

このような事故を起こしてしまった場合は、すぐに被害者の救護等を行い、弁護士と相談することがベストと考えられます。
逮捕されてしまった場合であっても、弁護士の接見は受けられます。
被害者に対する損害賠償、真摯な謝罪など、加害者においてするべきことは数多くあります。
まずは弁護士から事件解決に向けたアドバイスを受け、今後の対策を立てていく必要があるでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件少年事件を専門とする法律事務所です。
危険運転致傷事件ひき逃げ事件でお困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

« Older Entries
Copyright(c) 2016 弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所 All Rights Reserved.