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【事例紹介】電動キックボードの無免許運転でひき逃げ事故を起こした事例②

2024-02-29

【事例紹介】電動キックボードの無免許運転でひき逃げ事故を起こした事例②電動キックボードに乗る男性

今回のコラムでは前回のコラムに引き続き、電動キックボードによるひき逃げについて弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

 

電動キックボードとひき逃げ

前回のコラムで解説したように、電動キックボード原動機付自転車に分類されます。
原付バイクでは、事故を起こして負傷者の救護等せずに逃げればひき逃げになりますので、同じ原動機付自転車に分類される電動キックボードでも事故を起こして適切な対処をせずに逃げるとひき逃げになります。

ひき逃げとは、事故を起こした際に、負傷者の救護を行わなかったり、警察に事故の報告をしないことをいいます。
この負傷者の救護と事故の報告は、道路交通法第72条で義務付けられていますので、事故を起こした際にこれらの行為を行わないと道路交通法違反の罪に問われてしまう可能性があります。

自分の運転が原因で人にけがを負わせ救護を行わなかった場合に道路交通法違反で有罪になると、10年以下の懲役又は100万円以下の罰金が科されます。(道路交通法第117条2項)
また、警察に事故の報告を行わなかったことで道路交通法違反で有罪になった場合には、3月以下の懲役又は5万円以下の罰金が科されることになります。(道路交通法第119条1項17号)

逮捕と釈放

逃亡や証拠隠滅のおそれがあると判断された場合には、逮捕勾留のリスクが高まります。
勾留とは逮捕に続く身体拘束のことをいい、勾留されない場合には、釈放されることになります。
ですので、勾留されない場合には、会社に出勤するなど、普段通りの生活を送ることができます。

ひき逃げ事件では、一度事故現場から逃走しているわけですから、逃亡するおそれがあると判断される可能性があります。
繰り返しになりますが、逃亡のおそれや証拠隠滅のおそれがあると判断された場合には、勾留される可能性が高いです。
ですので、ひき逃げ事件では勾留されてしまう可能性のある犯罪だといえます。

勾留の期間は最長で20日間ですので、20日間勾留されることで、会社の無断欠勤が続き解雇されてしまったなんてこともあるかもしれません。
弁護士は勾留判断前に検察官や裁判官に意見書を提出できますし、勾留決定後には裁判所に準抗告の申し立てを行うことができます。
弁護士が身柄開放活動を行うことで、早期釈放を実現でき、解雇を避けられるかもしれません。

前回のコラムでご紹介したような、電動キックボードによるひき逃げ事故でも、逃亡のおそれがあると判断される場合には、勾留されてしまう可能性があるといえます。
勾留判断前に提出する意見書は逮捕後72時間以内に提出する必要がありますので、時間との勝負になります。
弁護士に相談をすることで早期釈放を実現できる可能性がありますので、ひき逃げ事件でお困りの方は、お気軽に弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
初回接見サービスのご予約は、0120ー631ー881までご連絡ください。

【事例紹介】電動キックボードの無免許運転でひき逃げ事故を起こした事例①

2024-02-21

【事例紹介】電動キックボードの無免許運転でひき逃げ事故を起こした事例①

電動キックボードに乗る男性

無免許電動キックボードを運転し、ひき逃げ事故を起こしたとして、無免許過失運転致傷罪道路交通法違反の容疑で逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例

無免許で電動キックボードに乗って歩行者と衝突し、大けがをさせたまま逃げたとして、愛知県警は8日、(中略)容疑者(44)を自動車運転死傷処罰法違反(無免許危険運転致傷)と道路交通法違反(ひき逃げ)の疑いで逮捕した。ひき逃げ容疑は認める一方、「免許が必要だと思っていなかった」と一部を否認しているという。
中署によると、(中略)容疑者は2月3日午後5時10分ごろ、同市中区栄4丁目の路上で電動キックボードを無免許で運転。一方通行を危険な速度で逆走し、路上を横断していた同市東区の自営業男性(47)とぶつかり、そのまま逃げた疑いがある。男性は鎖骨が折れるなどの重傷を負った。
(中略)
県警によると、(中略)容疑者が乗っていた電動キックボードは、最高速度が時速25キロに達し、緑色のランプもないなど新分類に該当せず、免許が必要だった。
(2月9日 朝日新聞デジタル 「電動キックボードでひき逃げ容疑 逮捕の男「免許不要だと思った」」より引用)

電動キックボードと無免許運転

道路交通法第64条1項
何人も、第八十四条第一項の規定による公安委員会の運転免許を受けないで(中略)、自動車又は一般原動機付自転車を運転してはならない。

電動キックボードは原動機付自転車に該当します。
原動機付自転車、いわゆる原付バイクを運転する際は免許が必要ですから、原付と同じ分類である電動キックボードを運転する際にも当然、免許が必要になります。
しかし、原動機付自転車を細分化すると、一般原動機付自転車と特定小型原動機付自転車、特例特定小型原動機付自転車の3分類に分けることができ、特定小型原動機付自転車、特例特定小型原動機付自転車の2分類に限って免許がなくても運転できることになっています。
どういったものが特定小型原動機付自転車や特例特定小型原動機付自転車に分類されるかは、車体の大きさや最高速度などで判断されています。

電動キックボードというと免許が不要なイメージもありますが、特定小型原動機付自転車、特例特定小型原動機付自転車に該当する電動キックボードのみ免許が不要ですので、一般原動機付自転車に該当する電動キックボードについては免許が必要になります。
特定小型原動機付自転車は最高速度が時速20キロメートル以下である必要がありますし、特例特定小型原動機付自転車に関しては最高速度が時速6キロメートル以下でなくてはなりません。
今回の事例の容疑者が運転していたとされている電動キックボードは最高速度が時速25キロメートルに達するとのことですので、一般原動機付自転車に分類されるでしょう。
一般原動機付自転車は免許が必要ですので、事例の電動キックボードを運転する際には免許が必要であったと考えられます。

無免許運転は道路交通法で禁止されていますから、無免許運転をした場合には道路交通法違反が成立することになります。
今回の事例でも、一般原動機付自転車に分類される電動キックボード無免許で運転したのであれば、道路交通法違反が成立する可能性があります。

無免許運転による道路交通法違反の法定刑は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金です。(道路交通法第117条2の2)

無免許過失運転致傷罪

自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律第5条
自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、七年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する。ただし、その傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができる。

自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律第6条4項
前条の罪を犯した者が、その罪を犯した時に無免許運転をしたものであるときは、十年以下の懲役に処する。

過失運転致傷罪は、簡単に説明すると、運転するにおいて払うべき注意を払わずに事故を起こしてけがを負わせた場合に成立する犯罪です。
過失運転致傷罪では、けがの程度が軽い場合には、刑が免除されることがあります。

無免許過失運転致傷罪は、無免許運転過失運転致傷罪にあたる行為をした際に成立する犯罪です。
過失運転致傷罪では刑の免除についての規定がありましたが、無免許過失運転致傷罪には免除の規定はありません。
また、無免許過失運転致傷罪には罰金刑の規定がなく有罪になれば懲役刑が科されることになるわけですから、過失運転致傷罪よりもはるかに重い刑罰が規定されていることがうかがえます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、初回接見サービス無料法律相談を行っています。
交通事故に精通した弁護士に相談をすることで、不起訴処分執行猶予付き判決を獲得できるかもしれません。
無免許過失運転致傷罪電動キックボードなどの事故でお困りの方は、お気軽に弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

次回のコラムではひき逃げについて解説します。

【事例紹介】停車中の車に追突してけがを負わせ、逃走した事例

2024-01-11

【事例紹介】停車中の車に追突してけがを負わせ、逃走した事例

路上駐車の車に追突した物損事故車を運転中に停車していた軽自動車に追突し、けがをさせて逃走したとして、過失運転致傷罪などの疑いで逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例

過失運転致傷などの疑いで、長岡市に住む会社員の男(50)が9日、逮捕されました。
警察の調べによりますと、(中略)乗用車を運転中、前に停まっていた軽自動車に追突する事故を起こし軽自動車に乗っていた40代女性と50代男性に頸椎捻挫などのケガをさせたのに逃走した疑いです。
(後略)
(1月11日 TeNY NEWS NNN 「大みそかの未明 追突事故おこし2人にケガさせ、車を残して逃走 会社員の50歳男を逮捕《新潟》」より引用)

過失運転致傷罪

過失運転致傷罪は、自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律(以下「自動運転処罰法」といいます。)第5条で規定されています。

自動車運転処罰法第5条
自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、七年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する。ただし、その傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができる。

簡単に説明すると、自動車を運転するのに必要な注意をせずに人にけがを負わせた場合に、過失運転致傷罪が成立します。

今回の事例では、容疑者は車を運転中に前に停車していた軽自動車に追突して事故現場から逃走したとされています。
また、報道によると、追突された軽自動車に乗っていた女性と男性は頸椎捻挫などのけがを負っているようです。
車を運転するうえで前方に注意を払うのが当然ですし、通常は前方をしっかりと確認していれば追突する前に停車している車に気づくと思います。
ですので、実際に容疑者が停車中の車に追突する事故を起こしており、前をしっかりと見ていれば避けられるような事故だった場合には、運転上必要な注意を怠ったとして、過失運転致傷罪が成立する可能性があります。

ひき逃げ

ひき逃げは道路交通法第72条1項に規定されています。

道路交通法第72条1項(一部省略しています。)
交通事故があつたときは、当該交通事故に係る車両等の運転者その他の乗務員は、直ちに車両等の運転を停止して、負傷者を救護し、道路における危険を防止する等必要な措置を講じなければならない。この場合において、当該車両等の運転者は、警察官が現場にいるときは当該警察官に、警察官が現場にいないときは直ちに最寄りの警察署の警察官に当該交通事故が発生した日時及び場所、当該交通事故における死傷者の数及び負傷者の負傷の程度並びに損壊した物及びその損壊の程度、当該交通事故に係る車両等の積載物並びに当該交通事故について講じた措置を報告しなければならない。

事故を起こした場合には、負傷者の救護警察署への報告の2点を行う必要があります。
負傷者の救護や警察署への報告を行わない場合には、ひき逃げとして扱われることになります。

今回の事例では、容疑者は追突事故を起こして逃走したとされています。
実際に容疑者が事故を起こして、被害者の救護や事故の報告を行わずに逃走したのであれば、道路交通法違反が成立するおそれがあります。

自己の運転が原因で事故を起こしてけがをさせ、救護をしなかった場合に道路交通法違反で有罪になれば、10年以下の懲役又は100万円以下の罰金が科されます。(道路交通法第117条2項)

また、事故を起こして警察に報告せずに道路交通法違反で有罪になった場合には、3月以下の懲役又は5万円以下の罰金が科されます。(道路交通法第119条1項17号)

逮捕されたら

刑事事件や交通事件では、逮捕されると72時間以内に勾留の判断がなされます。
勾留が決定した場合には、最長で20日間、勾留前の期間も合わせると23日間にわたって身体拘束を受けることになります。
この期間は自由が制限されますので、会社へ通勤することはできませんし、家族との面会も制限されます。
普段の日常とはかけ離れた生活を送ることになりますので、1か月に満たない期間であってもかなりのストレスがかかることが予想されます。

精神的に不安な状態で取調べを受けることで、意に反する内容の供述調書が作成されてしまう危険性もあります。
法律に詳しい弁護士が接見を行うことで、少しでも今後の不安が和らぐ可能性がありますし、取調べのアドバイス等も受けられますので、ご家族が逮捕された際には、弁護士に相談をすることをお勧めします。

また、弁護士は勾留前や勾留決定後に釈放を求める働きかけを行うことができます。
弁護士が釈放に向けた身柄開放活動を行うことで、早期釈放を実現できる可能性があります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、初回接見サービスを行っています。
弁護士に相談をすることで、少しでもご家族の不安を和らげることができるかもしれません。
また、早期釈放を実現できる可能性がありますので、ご家族が逮捕された方は、お気軽に、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

ひき逃げと弁護活動

2023-11-01

ひき逃げと弁護活動

ニュースでひき逃げの報道を目にする人は多いのではないでしょうか。
ですが、ひき逃げをした場合にどのような量刑が科されるのか知らない方もいらっしゃると思います。
今回のコラムでは、具体的な事例を交えて、ひき逃げについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例

Aさんは、北海道札幌市中央区の道路で車を運転していました。
道路を左折しようとした際に、道路を横断していたVさんにに気づかず巻き込んでしまいました。
怖くなったAさんはその場を離れました。
Vさんは事故が原因で全治3か月のけがを負っており、後日、Aさんは札幌方面中央警察署の警察官に逮捕されました。
(事例はフィクションです。)

ひき逃げとは

ひき逃げという言葉は、交通事故を起こした後、その場から逃げる行為を指します。
ひき逃げはひき逃げ罪というものがあるわけではなく、道路交通法で規定されています。

道路交通法第72条第1項前段では、交通事故が発生した場合、関係する車両の運転手は直ちに停車し、負傷者に対する救護や危険の防止など、必要な措置を講じなければならないとされています。
この義務を怠った場合、救護義務違反となる可能性があります。

また、道路交通法第72条第1項後段では、交通事故を起こした場合に、警察署へ事故を報告しなければならないと定めています。
この警察への事故の報告も救護義務と同様に義務ですので、事故の報告を怠った場合は、報告義務違反になるおそれがあります。

救護義務違反報告義務違反にあたる場合に、ひき逃げとして扱われます。

道路交通法におけるひき逃げの罰則

ひき逃げ事件が発生した場合、その運転手は道路交通法に基づいて厳しく罰せられる可能性があります。
具体的には、加害者の運転が原因で被害者がけがを負い、救護をしなかった場合には、道路交通法第117条第2項により、10年以下の懲役または100万円以下の罰金が科されることがあります。

この罰則は、交通事故によって人々が受ける影響の深刻さと、運転手が負うべき社会的責任を反映しています。
特に、ひき逃げ事件では事故後すぐに被害者が適切な医療措置を受けられない可能性が高く、その結果、命に関わる事態にもつながりかねません。

また、罰則が厳しい理由の一つとして、ひき逃げ行為が他の交通違反とは異なり、故意によるものであることが多い点も挙げられます。
運転手が故意に逃走することで、事故の解決が困難になる場合が多く、そのために厳罰化されているのです。

また、報告義務違反に該当し道路交通法違反で有罪になる場合には、3月以下の懲役又は5万円以下の罰金が科されます。(道路交通法第119条第1項第19号)

今回の事例のAさんは事故を起こしたにもかかわらず、事故現場を去っていますので、ひき逃げにあたり、道路交通法違反が成立するおそれが高いといえます。

過失運転致傷罪とは

ひき逃げ事件においては、救護義務違反報告義務違反による道路交通法違反だけでなく、過失運転致傷罪も問われる可能性があります。
この罪は、自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律(以下「自動車運転処罰法」といいます。)で規定されています。

簡単に説明すると、運転上必要な注意を怠って事故を起こし、人を傷つけた場合に過失運転致傷罪が成立します。
過失運転致傷罪で有罪になると、7年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金が科されます。(自動車運転処罰法第5条)
ただし、その傷害が軽い場合には、情状によっては刑罰が免除される可能性もあります。

過失運転致傷罪は、故意ではなく過失によって人を傷つけた場合に適用される罪です。
しかし、その過失が重大であればあるほど、罰則も厳しくなる傾向にあります。

この罪に問われると、運転免許の剥奪や社会的信用の失墜、さらには職を失う可能性も考えられます。
そのため、過失運転致傷罪は、単なる交通違反以上の深刻な影響を及ぼす可能性があるのです。

今回の事例のAさんに過失運転致傷罪は成立するのでしょうか。

今回の事例では事故に巻き込まれたVさんが全治3か月のけがを負っています。
この事故はAさんが周囲の確認をしっかりと行わずに左折したことで起きた事故だと考えられます。
今回の事故の原因はAさんによる過失だと推測できますので、Aさんの運転上の過失によりVさんにけがを負わせた行為は、過失運転致傷罪が成立する可能性が極めて高いといえます。

ひき逃げ事件での弁護活動のポイント

ひき逃げ事件が発生した場合、被疑者やその家族が最初に考えるべきは、適切な弁護活動を行うことです。

ひき逃げ事件で行う弁護活動として、大きく以下の4つが挙げられます。

①釈放を求める活動

逮捕された場合は逮捕後72時間以内勾留の判断が行われます。
勾留が決定してしまった場合には、最長で20日間勾留されますので、早期釈放を目指す場合には勾留を阻止する弁護活動を行う必要があります。
弁護士は勾留の判断前であれば、意見書を検察官や裁判官に提出することができます。
意見書を提出することで、早期釈放を認めてもらえる可能性があります。

勾留が決定し、身体拘束が続けば、学校や職場に事件のことを知られるリスクが高く、最悪の場合には退学処分解雇処分に付されてしまう可能性もあります。
弁護士に相談をすることで勾留を阻止できる可能性があるので、早期釈放を目指す場合には弁護士に相談をすることが望ましいでしょう。

②不起訴処分を目指す活動

ひき逃げによる交通事件では、被害者と示談を締結することで不起訴処分を獲得できる可能性があります。
加害者本人が示談交渉をしても応じてもらえない場合が多々あります。
弁護士を介して示談交渉を行うことで示談に応じてもらえる場合があります。

③執行猶予の獲得を目指す活動

示談を締結することで、執行猶予付き判決を得られる可能性があります。
また、示談を得られない場合であっても、加害者が反省し、二度と事故を起こさないような対策を立てていることなどを弁護士が裁判官に主張することで、不起訴処分を得られる場合があります。

④ひき逃げについて争う

運転する車の種類や事故の程度によって、人を轢いたことに気づけない場合があります。
そういった場合には、弁護士がひき逃げの成否を争うことで、ひき逃げによる道路交通法違反について無罪を得られる可能性があります。

ひき逃げに強い弁護士を

ひき逃げ事件は、その行為自体が非倫理的であるだけでなく、法的にも厳しく罰せられる行為です。
事件後すぐに弁護士に相談をすることで、不起訴処分執行猶予付き判決の獲得など、良い結果を得られる可能性があります。
ひき逃げで捜査を受けている方、ご家族が逮捕された方は、お早めに、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
初回接見サービス無料法律相談のご予約は、0120ー631ー881で受け付けております。

【事例紹介】無免許運転でひき逃げ事故 大阪③

2023-10-18

【事例紹介】無免許運転でひき逃げ事故 大阪③

前回のコラムに引き続き、大阪府寝屋川市で起きた無免許運転によるひき逃げ事故について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例

無免許運転でひき逃げ事故を起こしたとして、大阪府警寝屋川署は3日、自動車運転死傷処罰法違反(無免許過失運転致傷)や道交法違反(ひき逃げ)の疑いで、大阪府守口市(中略)容疑者(64)を逮捕したと発表した。逮捕は2日付。「無免許がばれて処罰されるのが怖くなった」などと容疑を認めているという。
逮捕容疑は(中略)、大阪府寝屋川市仁和寺町の府道交差点で車を無免許運転して右折しようとしたところ、横断歩道を歩いていた(中略)男性(49)と衝突したが、逃走したとしている。男性は右足骨折などで全治2カ月の重傷。
(10月3日 産経新聞 THE SANKEI NEWS 「「無免許ばれるのが怖くて…」ひき逃げ 容疑で64歳男逮捕 大阪・寝屋川署」より引用)

ひき逃げ

救護義務報告義務といった言葉を聞いたことがある方もいらっしゃるかもしれません。
救護義務は、事故を起こした場合に負傷者を救護する義務。
報告義務は、事故を起こした場合に警察に事故を報告する義務を指します。

道路交通法第72条1項では、交通事故があったときは負傷者を救護し、警察官に事故を報告しなければならないとしています。
ですので、救護義務報告義務を怠った場合、つまり、事故を起こして相手にけがを負わせたのに救護をしなかった場合や、警察に事故の報告をしなかった場合には、道路交通法違反が成立することになります。

ひき逃げは事故を起こしたのに救護を行わなかったり、事故の報告をしないことをいいますので、ひき逃げをした場合は、道路交通法違反が成立することになります。

自分の運転により人にけがを負わせ、なおかつ、救護を行わなかったことで道路交通法違反で有罪になった場合には、十年以下の懲役又は百万円以下の罰金が科されます。(道路交通法第117条2項)
また、事故を起こしたのに報告を行わず、道路交通法違反で有罪になった場合は、三月以下の懲役又は五万円以下の罰金が科されます。(道路交通法第119条1項17号)

今回の事例では、車を運転している容疑者が歩行者に追突し、逃走したと報道されています。
実際に容疑者が歩行者の救護や事故の報告をしていないのであれば、ひき逃げにあたり、道路交通法違反が成立することになります。

逮捕とひき逃げ

逮捕されると刑罰が確定するまでは留置場などから出られないと思っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
実は、釈放が認められれば、刑罰が確定していなくても普段通りの生活に戻れる場合があります。

刑事事件では、逮捕されるとそのまま身体拘束が続くのではなく、逮捕後72時間の間に、勾留をするかどうかの判断が行われます。
勾留は1回につき10日間認められており、1回までであれば延長が認められていますので、勾留が決定してしまうと長い場合には20日間勾留が続く可能性があります。

勾留の判断基準については、刑事訴訟法第60条1項で規定されています。

刑事訴訟法第60条1項
裁判所は、被告人が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由がある場合で、左の各号の一にあたるときは、これを勾留することができる。
一 被告人が定まった住居を有しないとき。
二 被告人が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき。
三 被告人が逃亡し又は逃亡すると疑うに足りる相当な理由があるとき。

上記の3つのうちの1つでも当てはまるのであれば、勾留が決定するおそれがあります。

ひき逃げ事件では、一度容疑者が事故現場から逃走していますので、3つ目の「逃亡すると疑うに足りる相当な理由があるとき」に該当してしまう可能性が高いです。

ですが、ひき逃げをしたからといって、必ずしも勾留が決定してしまうわけではありません。

弁護士は勾留が決定される前であれば、検察官や裁判官に働きかけを行うことができます。
ですので、勾留が決定する前に、容疑者に身元引受人がいることや、容疑者が逃亡しないように監視監督ができる人がいることを検察官や裁判官に訴えることで、勾留されずに釈放される可能性があります。

この勾留前の検察官や裁判官への働きかけは、逮捕後72時間以内に行う必要があります。
提出する書類等の準備もありますので、早期釈放を目指す場合には、早い段階で弁護士に相談をすることが望ましいです。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、初回接見サービスを行っています。
初回接見サービスのご予約は、0120―631―881で受け付けておりますので、ご家族が逮捕された方、ひき逃げでお困りの方は、即日対応可能弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

(事例紹介)電動キックボードでひき逃げした事例①~道路交通法違反~

2023-09-15

電動キックボードでひき逃げした事例①~道路交通法違反~

電動キックボードで歩行者をひき逃げしたとして道路交通法違反の容疑で逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例

電動キックボードで歩行者をひき逃げしたとして、警視庁池袋署は、道交法違反(ひき逃げ)などの疑いで、埼玉県吉川市、(中略)容疑者(23)を再逮捕した。捜査関係者への取材で分かった。調べに対し「当たってはいないが、女性が転倒したのは私が原因だと思う」と容疑を一部否認している。
再逮捕容疑は、(中略)電動キックボードを運転中、東京都豊島区東池袋の歩道で、商業施設から出てきた60代の女性と衝突し、肋骨(ろっこつ)骨折などの重傷を負わせたが、立ち去ったとしている。
(中略)容疑者が乗っていた電動キックボードはレンタルしたもので、歩道を走行できない機種だった。(後略)
(9月11日 産経新聞 THE SANKEI NEWS  「電動キックボードでひき逃げ 女を再逮捕 警視庁」より引用)

ひき逃げ

事故を起こした場合は、けが人の救護と警察署への報告を行わなければなりません。(道路交通法第72条1項)
けが人の救護や警察署への事故の報告を行わない行為をひき逃げといい、ひき逃げを行った場合には、道路交通法違反が成立する可能性があります。

けが人を救護せず道路交通法違反で有罪になると、5年以下の懲役又は50万円以下の罰金が科されます。(道路交通法第117条1項)
また、被害者のけがが加害者の運転によるもので、加害者が被害者の救護をしなかった場合には、道路交通法違反で有罪になると、10年以下の懲役又は100万円以下の罰金が科されます。(道路交通法第117条2項)
そして、事故の報告をせずに道路交通法違反で有罪になった場合は、3月以下の懲役又は5万円以下の罰金が科されます。(道路交通法第119条1項17号)

電動キックボードとひき逃げ

電動キックボードは、一般的な原動機付自転車特定小型原動機付自転車特例特定小型原動機付自転車の3つに分かれます。
一般的な原動機付自転車は運転をするのに免許が必要になりますが、特定小型原動機付自転車特例特定小型原動機付自転車免許がなくても運転をすることができます
また、特例特定小型原動機付自転車の基準を全て満たしている場合には、電動キックボードで一部の歩道を走行することが可能です。

歩道の走行が可能であったり、免許が不要な電動キックボードであっても、原動機付自転車に該当しますので、道路交通法では「車両」に該当します。(道路交通法第2条1項8号)
ですので、電動キックボードで事故を起こした場合に、けが人の救護や事故の報告をしない場合には、ひき逃げになりますし、道路交通法違反が成立してしまいます。

今回の事例では、容疑者が電動キックボードで事故を起こし、被害者にけがを負わせたが立ち去ったと報道されています。
容疑者が実際に、被害者の救護や警察への事故の報告を行っていないのであれば、ひき逃げにあたり、容疑者に道路交通法違反が成立するおそれがあります。

ひき逃げと釈放

今回の事例では道路交通法違反の容疑で再逮捕されたと報道されています。
再逮捕の場合も刑事事件の流れは1回目の逮捕と同様です。
ですので、再逮捕であっても逮捕後72時間以内勾留するかどうかの判断が行われることになります。
弁護士は勾留が決まるまでの逮捕後72時間の間であれば、意見書を検察官や裁判官に提出することができます。

今回の事例ではひき逃げでの再逮捕だと報道されています。
ひき逃げということは、事件現場から逃走しているということですので、逃亡のおそれがあると判断されて釈放が認められづらい可能性があります。
ですが、弁護士が家族などの監督により逃亡のおそれがないことなどを主張することで、釈放が認められる可能性があります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件に精通した法律事務所です。
刑事事件の豊富な弁護経験を持つ弁護士による弁護活動で、釈放を実現できるかもしれません。
意見書の提出は逮捕後72時間以内にする必要がありますので、ご家族が逮捕された方は、お早めに弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

今回の事例では、電動キックボードでもひき逃げになる可能性があると解説しました。
実は今回の事例では、ひき逃げによる道路交通法違反の他に、過失運転致傷罪が成立する可能性があります。
次回のコラムでは、キックボードと過失運転致傷罪について解説します。

(事例紹介)ひき逃げ事件で問題となる罪と弁護活動

2023-06-07

(事例紹介)ひき逃げ事件で問題となる罪と弁護活動

いわゆるひき逃げ事件の報道を踏まえ、過失運転致傷罪と道路交通法違反について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説致します。

・参考事件

21日早朝、茅ヶ崎市で乗用車同士が衝突し、運転していた女性が重傷を負った事故で、神奈川県警は、現場から逃走した別の乗用車を運転していた35歳の男をひき逃げなどの疑いで逮捕しました。

過失運転傷害と道路交通法違反のひき逃げの疑いで逮捕されたのは、茅ヶ崎市に住む35歳の男です。
県警によりますと、男は21日午前4時半頃、茅ヶ崎市菱沼の県道で対向車線を走ってきた乗用車と衝突。

運転していた藤沢市の67歳の女性がケガをしていたにも関わらず、そのまま車を放置して逃げた疑いがもたれています。
女性は搬送時に意識はあったものの、内臓損傷の疑いもあり重傷ということです。
その後、男が現場に戻ってきたところを県警が事情を聴くなどして逮捕しました。

調べに対して「事故を起こして現場に車を放置して逃げたのは間違いありません」と容疑を認めているということです。 県警が当時の状況を調べています。

(tvkニュース(テレビ神奈川) 令和5年5月21日(月) 22時49分配信 「乗用車の衝突で重傷負わせて逃げたか 35歳の男を逮捕 茅ヶ崎市の県道」より引用)

・ひき逃げについて①~救護義務違反(道路交通法違反)~

参考事例で男性にかかっている嫌疑の1つは道路交通法違反です。
「道路交通法違反のひき逃げ」と取り上げたニュースで書かれていますが、いわゆるひき逃げは法律用語ではなく、道路交通法第72条第1項前段に違反したことを意味する俗称です。
この条文は交通事故が発生した場合、事故に関係する車両の運転手およびその他乗務員は直ちに車両を止め、負傷者を救護し道路における危険を防止する等の必要な措置を講じ、警察官に連絡しなければならないと定めています。
これを、救護義務違反と言います。
救護義務違反の場合の法定刑は「10年以下の懲役又は100万円以下の罰金」としています。(同法117条2項)

・ひき逃げについて②~過失運転致傷~

参考事例の男性に対しては、①に加え人身事故を起こした点について捜査されると考えられます。
参考事例では過失運転傷害という文言が用いられていますが、法律用語としては「過失運転致傷」の罪とされています。
過失運転致傷罪は、自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律(以下、自動車運転死傷行為処罰法)に以下のとおり規定されています。

自動車運転死傷行為処罰法5条
自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、7年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金に処する。ただし、その傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができる。

・ひき逃げ事件での弁護活動

ひき逃げ事件での弁護活動については、大別すると
A 身柄解放を求める活動
B 起訴を回避するための活動
C 起訴された場合に厳しい刑事処罰を回避する活動
D 犯人ではないとして否認する活動
が挙げられます。

Aについては、逮捕・勾留されている場合に、捜査(被疑者)段階であれば釈放を求める意見書の提出・準抗告申立て・勾留取消請求が、起訴後(被告人)段階であれば保釈を求める弁護活動が考えられます。
BとCとは共通する部分もありますが、示談交渉や起訴回避のための意見書の提出、起訴され裁判になった場合の情状弁護などがあります。
Dについては、そもそも犯人ではないと主張する場合です。
ひき逃げ事件の場合、多くは警察官により防犯カメラ映像や遺留物などから被疑者を特定しますが、捜査対象の車両と事件で用いられた車両が一致しなかったり、一致していたとしても別の者が乗っている等の場合に、犯人ではないとして犯人性否認する場合です。
日本の刑事手続きでは、証拠は起訴されるまでは弁護人であっても見ることができないため、弁護士は被疑者が逮捕・勾留されている場合には接見を頻繁に行い、取調べで質問された内容を正確に聴取し証拠を推測するとともに、応答の仕方や黙秘するべき部分の説明などのアドバイスを行う必要があるでしょう。

ひき逃げ事件の場合、事件の内容によって必要な弁護活動が大きく異なります。
家族がひき逃げ事件で逮捕されてしまった場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご連絡ください。

(事例紹介)バイクと自転車の事故でひき逃げ

2023-04-19

(事例紹介)バイクと自転車の事故でひき逃げ

ひき逃げ事件における道路交通法違反について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

・参考事例

岐阜県池田町で、14歳の女子中学生を原付バイクでひき逃げしたとして、男が逮捕されました。
(中略)
逮捕された(略)は、3月22日、池田町池野の交差点で、自転車に乗っていた14歳の女子中学生を原付バイクではねて逃げたひき逃げなどの疑いが持たれています。
女子中学生は右肩などに軽いケガをしました。

(略)容疑者の自宅から一部が壊れた原付バイクが見つかり、調べに対し(略)容疑者は、容疑を認めているということです。

(CBCテレビ 令和5年3月28日(火) 1時48分配信 「自転車の女子中学生を原付バイクでひき逃げ  50歳の男を逮捕 岐阜・池田町」より引用)

・ひき逃げ

紹介したニュースで取り上げられている「ひき逃げ」という言葉は通称で、法的には「道路交通法違反」被疑事件・被告事件と呼ばれます。
問題となる条文は以下のとおりです。

道路交通法第72条第1項
交通事故があつたときは、当該交通事故に係る車両等の運転者その他の乗務員…は、直ちに車両等の運転を停止して、負傷者を救護し、道路における危険を防止する等必要な措置を講じなければならない。
(後段につき省略)

条文のとおり、道路交通法72条1項前段では交通事故を起こして負傷者等が生じた場合に負傷者等を救護をする義務が規定されていて、この義務に違反した場合に問題となるのがいわゆるひき逃げです。
ひき逃げの法定刑は10年以下の懲役又は100万円以下の罰金です。(道路交通法第117条第2項)

また、刑事事件とは別途行政処分を受ける可能性があります。
救護義務違反の反則点数は35点の加点で、更に事故を起こしたこと自体(過失運転致傷罪)の反則点数が加点されますので、運転免許証は取り消され、少なくとも3年間は運転免許証の再取得ができなくなります。

・過失運転致傷罪

参考事件の場合、運転上必要な注意を怠ったため女子中学生に怪我をさせたと判断されれば、過失運転致傷罪(自動車運転死傷行為処罰法5条)にも問われる可能性があります。
過失運転致傷罪については、過失の程度や被害者の怪我によって刑事罰が決まってきます。
車両同士の事故では、相手方の運転手がスピード違反していたり赤信号を見落としたりするなどの事情があれば自身には過失がないと判断される可能性もありますが、報道のような車両対自転車(あるいは歩行者)の事案では、よほど特殊な状況でない限り車両の運転手の注意義務が大きいと認められ、運転手に刑事罰が科せられる可能性が高いです。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所はひき逃げや過失運転致傷罪など交通事故事件をはじめとする、刑事事件を中心に取り扱う弁護士事務所です。
当事務所では、ご家族が逮捕されている場合に逮捕されたご家族のもとに弁護士が直接伺う初回接見サービス(有料)などを受け付けています。
また、在宅事件の場合は無料での法律相談を受け付けています。

ひき逃げを疑われている方、家族がひき逃げ事件で逮捕されている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご連絡ください。

(事例紹介)自転車によるひき逃げ事件で逮捕

2023-02-01

(事例紹介)自転車によるひき逃げ事件で逮捕

・参考事例

自転車で歩行者をはね、そのまま逃走したとして、79歳の男が逮捕された。
(中略)容疑者(79)は、1月5日、東京・大田区の路上で、歩いていた70代の男性に自転車で後ろからぶつかり重傷を負わせ、そのまま逃走した疑いが持たれている。
(中略)容疑者は、「病院に行く時間が迫っていた」などと話し、容疑を認めている。
(FNNプライムオンライン 1月18日 6:25配信「自転車でひき逃げ 79歳男逮捕 「病院に行く時間が迫って…」 東京・大田区」より引用)

・ひき逃げ

参考事例はひき逃げが取り上げられています。
ひき逃げとは、下記の道路交通法に記載されている条文に違反したことを意味する俗称で、「ひき逃げ」という言葉が正式な罪名ということではありません。

道路交通法第72条第1項
交通事故があつたときは、当該交通事故に係る車両等の運転者その他の乗務員(以下この節において「運転者等」という。)は、直ちに車両等の運転を停止して、負傷者を救護し、道路における危険を防止する等必要な措置を講じなければならない。
この場合において、当該車両等の運転者(運転者が死亡し、又は負傷したためやむを得ないときは、その他の乗務員。以下次項において同じ。)は、警察官が現場にいるときは当該警察官に、警察官が現場にいないときは直ちに最寄りの警察署(派出所又は駐在所を含む。以下次項において同じ。)の警察官に当該交通事故が発生した日時及び場所、当該交通事故における死傷者の数及び負傷者の負傷の程度並びに損壊した物及びその損壊の程度、当該交通事故に係る車両等の積載物並びに当該交通事故について講じた措置を報告しなければならない。

車両の運転手は上記にあるとおり、交通事故が起きた際に果たさなければならない救護の義務・危険防止の義務・報告(通報)の義務があります。
これらの義務を果たさなかった場合、道路交通法違反のいわゆる「ひき逃げ」が成立します。
道路交通法における自転車は「軽車両」という扱いであり、道路交通法第72条第1項の車両に該当するため、自転車でも「ひき逃げ」は成立します。

・過失傷害罪/重過失致傷罪/業務上過失致傷罪

自転車ひき逃げの被害にあった人物が怪我をしてしまった場合、過失傷害罪や業務上過失致傷罪・重過失致傷罪に問われる可能性もあります。
条文は以下のとおりです。

(過失傷害)
刑法209条1項 過失により人を傷害した者は、30万円以下の罰金又は科料に処する。
 2項 前項の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。

(業務上過失致死傷等)
刑法211条 業務上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、5年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金に処する。重大な過失により人を死傷させた者も、同様とする。

過失傷害罪は刑法209条2項にあるように親告罪であるため、被害者による告訴がなければ裁判になることはありません。
重過失致傷罪や業務上過失致傷罪は、親告罪ではなく告訴がない場合でも起訴され裁判になる可能性があります。
過失致傷罪や重過失致傷罪・業務上過失致傷罪に加えてひき逃げ(道路交通法違反)が同時に成立し、両罪で起訴された場合、厳しい刑事処罰が科せられる恐れがあります。

人身事故における刑罰は被害者の怪我の程度によっても左右されるので、詳細は弁護士に相談することが好ましいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、車やバイクの事件だけでなく、自転車での人身事故・ひき逃げ事件などの交通事件も取り扱っております。
自転車で交通事故を起こしてしまった方は、弊所のフリーダイヤル(0120-631-881)へお気軽にご相談ください。

(事例紹介)年末年始の飲酒運転に注意~道路交通法違反で逮捕された事例

2022-12-29

(事例紹介)年末年始の飲酒運転に注意~道路交通法違反で逮捕された事例

年末年始は、忘年会や新年会、親戚同士の集まりなどにより、飲酒する機会が多くなるという方もいらっしゃるでしょう。
特に、ここしばらくはコロナ禍の影響で行動制限のある年末年始となっていましたが、今回は特に行動制限のかかっていない年末年始期間ということもあり、久しぶりの忘年会・新年会をしたという方や、数年ぶりに親戚一同で集まったという方も多いのではないでしょうか。

こうした中で、飲酒運転による道路交通法違反事件や、飲酒運転をしての交通事故が増加してしまう懸念があります。
実際に、年末の時点で飲酒運転飲酒運転をしての交通事故で逮捕されたという事例が全国各地で、複数報道されています。

~事例1~

福岡県で25日、酒を飲んで車を運転したとして、自称会社員の男2人が逮捕されました。
(略)
また、25日午前7時ごろには、福岡市博多区で酒を飲んで車を運転し、対向車線の車に衝突したとして、福岡県筑紫野市の自称会社員(略)が酒気帯び運転の疑いで逮捕されました。
(略)容疑者は「アルコールは抜けていると思った」と話し、容疑を否認しているということです。
(※2022年12月26日8:50YAHOO!JAPANニュース配信記事より引用)

~事例2~

三重県警名張署は12月27日、道路交通法違反(飲酒運転)の疑いで、伊賀市の会社員の男(52)を現行犯逮捕したと発表した。容疑を認めているという。
発表によると、同日午前1時15分ごろ、伊賀市桐ケ丘2の市道で、飲酒して普通乗用車を運転した疑い。
同署によると、道沿いに停まっていたトラックに男が運転する車が前から衝突する事故が発生。警察官が駆け付けたところ、男から酒の臭いがしたため飲酒検知し、呼気から基準値以上のアルコールが検出された。事故により、トラックのそばで作業をしていた男性が右足を負傷したという。
(略)
(※2022年12月27日伊賀タウン情報ユー配信記事より)

~事例3~

埼玉県警川口署は23日、道交法違反(酒気帯び)の疑いで、川口市西青木2丁目、無職の男(74)を現行犯逮捕した。
逮捕容疑は同日午前10時ごろ、同市青木5丁目の市道で、酒気を帯びた状態で軽自動車を運転し、前方の自動車計2台を巻き込む交通事故を起こした疑い。
同署によると、男は蕨方面から都内に進行中、前方で減速中の普通自動車(40代男性運転)に追突。同車は、前方で停止中の大型貨物自動車(50代男性運転)に衝突した。40代男性が軽傷を負った。50代男性からの110番で署員が駆け付けたところ、男の呼気からは1リットル当たり0・2ミリグラムのアルコールが検出された。その後の調べで、男は無免許で、事故直後に一度逃げていたことなどが分かり、同署は無免許、危険運転致傷、ひき逃げ、事故不申告の罪で送致する予定。男は飲酒運転の容疑は認めているという。
(※2022年12月25日13:41YAHOO!JAPANニュース配信記事より)

ご存知の方も多いように、飲酒運転はそれだけで道路交通法違反となる犯罪行為です。
「忘年会から帰宅するだけ」「新年会の途中で買出しに行くだけ」と軽く考えてはいけません。
飲酒運転自体も刑事事件となる犯罪行為ですし、飲酒運転をして交通事故を起こせば、単に不注意で交通事故を起こした際よりも重く処罰されることになります。
また、交通事故後に飲酒運転の発覚を免れようとすれば、それもまた別の犯罪(過失運転致死傷アルコール等影響発覚免脱罪)が成立することになります。

さらに、場合によっては危険運転致死傷罪に問われる可能性も出てきます。
実際に、ご紹介した事例の3つ目では、飲酒運転をして事故を起こした男性が危険運転致傷罪の容疑で送致予定とされています。
報道だけではこの男性が危険運転致傷罪のどの要件に当たっていると考えられているのかは不明ですが、飲酒運転によって危険運転致死傷罪の容疑がかけられ得るということは間違いありません。

飲酒運転は、やろうとすれば簡単にできてしまう行為かもしれませんが、飲酒運転自体に定められている刑罰も「5年以下の懲役または100万円以下の罰金」もしくは「3年以下の懲役または50万円以下の罰金」(道路交通法第117条の2、同法第117条の2の2)と重いものとなっています。
加えて、先ほども触れた通り、飲酒運転をして交通事故を起こしたということになれば、さらに成立する犯罪が加わり、重い刑罰が下されることが想定されます。
飲酒の機会が増える年末年始だからこそ、飲酒運転をしない・させないということをより強く意識することはもちろんですが、それでも当事者となってしまったら、早い段階から弁護士に相談し、刑事手続に備えることをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、飲酒運転に関わる刑事事件のご相談・ご依頼も承っています。
年末年始弁護士のスケジュール次第では即日対応も可能となっていますので、まずはお気軽にお問い合わせください。

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