交通事故・交通違反事件の刑事手続の流れ
1 逮捕
交通事故・交通違反事件で警察に逮捕された加害者・違反者または容疑者は、警察官による取調べ等を受け、48時間以内に検察庁の検察官に送られる(いわゆる検察官送致・送検)ことになります。
交通事故・交通違反事件の加害者・違反者または容疑者は、検察庁の検察官のもとに送られた後、24時間以内に勾留(逮捕に引き続く身柄拘束)されるかどうかが決まります。
逮捕直後のこの期間は、現場検証や取り調べによって重要な証拠が作成されたり、勾留による身体拘束の継続の有無が決まるなど加害者・違反者または容疑者にとって極めて重要な時期になります。
ところが、この逮捕直後から検察官送致までの期間は、交通事故・交通違反事件で逮捕された方と面会できるのは基本的に弁護士のみに限られます。
また、国が割り当てる国選弁護士の制度は適用されず、自分で依頼をした私選弁護士を選任するしかありません。
もし逮捕直後の段階から交通事故・交通違反事件に詳しい私選弁護士を付けることができれば、幅広い弁護活動による充実したサポートを受けられます。
2 勾留
交通事故・交通違反事件で警察に逮捕された加害者・違反者または容疑者に対して検察官の勾留請求がなされた場合、加害者・違反者または容疑者を勾留するかどうかは裁判所の裁判官が判断します。
裁判所の裁判官によって勾留が認められる決定(勾留決定)がされると、加害者・違反者または容疑者は警察署の留置場などに10~20日間留置されます。
勾留が認められなければ釈放されます。
勾留された加害者・違反者または容疑者は、身体を拘束されて会社や学校に行くことはできず、一人で連日の取調べに耐えなければなりません。
交通事故・交通違反事件の事案の性質、主張内容などによっては、弁護士を除き、家族関係者などと一切面会できなくなる接見禁止決定が付されることがあります。
交通事故・交通違反事件で勾留されている加害者・違反者または容疑者は、勾留期間中は、外部と自由に連絡を取ることはできず、取調室という密室の中で連日の取調べを受けることになります。
勾留期間中は、加害者・違反者または容疑者にとっては過酷な期間となりますので、後悔しないように、なるべく早く交通事故・交通違反事件に強い弁護士を選任して弁護活動を受けることが重要になります。
3 起訴
検察官は、交通事故・交通違反事件の加害者・違反者または容疑者が逮捕・勾留されているかどうかを問わず、送致された交通事故・交通違反事件について起訴する(刑事裁判にかける)かどうか、起訴する場合にはどんな内容で起訴するかを決めます。
起訴のうち略式請求(略式起訴)の場合には、公判(裁判所の法廷で行う正式な裁判)は開かれずに罰金処分(の通知)を受けて刑事手続きは終了することになります。
起訴のうち公判請求の場合には、裁判所で公判が開かれて、交通事故・交通違反事件の加害者・違反者または容疑者について有罪・無罪と有罪の場合の刑の重さ(量刑)が決定されることになります。
起訴・不起訴処分及び起訴後の裁判は、交通事故・交通違反事件の加害者・違反者または容疑者の刑事処分が決まる重要な時期です。
必ず弁護人を選任して弁護活動を受けるようにしましょう。
交通事故・交通違反事件の刑事手続フローチャート