交通違反・交通事故と刑事処分

2021-01-16

交通違反交通事故と刑事処分について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~
福岡県行橋市の国道で車を走行中のAさんは、交通警戒にあたってた福岡県行橋警察署の警察官に停車を求められました。
対応した警察官は、Aさんの飲酒を疑い、呼気検査に応じるよう求め、Aさんは仕方なく指示に従いました。
すると、基準値を超えるアルコールが検出されたため、Aさんは道路交通法違反(酒気帯び運転)の疑いで現行犯逮捕されました。
Aさんは、どのような刑事処分を受けることになるのか不安でなりません。
(フィクションです)

交通違反を犯したり、交通事故を起こした場合、様々な手続に従って処分が科されます。
この場合の処分には、行政処分と刑事処分、そして民事上の処分とがあります。

交通違反・交通事故の行政処分

交通違反交通事故を起こした場合に科される行政処分は、道路交通の安全確保を目的としてもので、公安委員会による行政法上の処分です。
行政処分には、運転免許の効力の停止や取り消しなどがあります。
このような処分が科される基準として、点数制度というものが適用されます。
これは、運転者の将来における道路交通上の危険性を点数的に評価する仕組みで、交通違反を犯すと、その違反行為ごとに基礎点数と呼ばれる一定の点数が計上され、交通事故を起こすと、被害の程度などによる付加点数が基礎点数に加算されます。

例えば、酒気帯び運転(呼気1リットル中のアルコール濃度0.15ミリグラム以上0.25ミリグラム未満)については、基礎点数は13点です。
速度違反については、その超過程度によりますが、一般道で30キロ以上50キロ未満の場合、6点です。
交通事故の場合、例えば、脇見運転をして歩行者と接触し、歩行者に2週間程度の怪我を負わせたというケースであれば、安全運転義務違反について基礎点数が2点、付加点数3点、計5点が計上されます。

行政処分は、処分の対象となった交通違反交通事故を基準日として、運転者の過去3年以内の免許の停止等の処分回数と累積点数によって決まります。
また、処分の対象となった違反が、特定違反行為か一般違反行為かで、処分基準は異なります。

先の例で言えば、酒気帯び運転(呼気1リットル中のアルコール濃度0.15ミリグラム以上0.25ミリグラム未満)についての基礎点数は13点で、この運転者がこれまで行政処分を一度も受けていないとしても、酒気帯び運転により、90日間の免許停止という行政処分が科されることになるのです。

また、交通違反については「交通反則通告制度」というものがあります。
これは、軽微な交通違反をした場合の手続を簡略化するための制度で、本来はすべての交通違反について刑事手続をすすめるところ、一定の交通違反については行政上の手続のみで完了させることにより、事件を簡易・迅速に処理することができます。
この制度では、対象となる違反(=反則)を犯した場合、反則金を納めることで、刑事手続がとられることなく事件が終了します。
30キロ未満の速度超過は、交通反則通告制度の対象となります。

交通違反・交通事故の刑事処分

交通反則通告制度の対象とはならない、飲酒運転や人身事故、無免許運転などについては、刑事上の責任が問われることになります。
この場合、被疑者・被告人として刑事手続に付され、最終的に刑事処分が科されます。

交通違反交通事故を起こし、事件が捜査機関に発覚すると、刑事事件としての捜査が開始されます。
逮捕の要件を満たしている場合には、逮捕により身体が拘束されることもあります。
もちろん、逮捕後更に被疑者の身体を拘束して捜査をするべきだと判断されれば、勾留に付される可能性はあります。
交通違反交通事故で勾留となるケースは、ひき逃げや危険運転致傷、無免許や飲酒による人身事故など悪質な事故です。

事件は警察から検察に送られ、検察官が起訴・不起訴の判断を行います。
不起訴は、起訴しない処分ですので、裁判官による有罪無罪の言渡しもないため、前科(有罪の言渡しを受けた事実)は付きません。
他方、起訴された場合で有罪となれば、前科が付きます。
起訴にも種類があり、略式起訴であれば、公開の審理を経ることなく、書面のみでの審理となり、言い渡される刑は100万円以下の罰金または科料です。
検察官が公判を請求した場合には、公開の法廷で審理されることになり、裁判官が有罪・無罪、有罪の場合には被告人に科す刑についても判断します。
先に述べたひき逃げや危険運転、無免許や飲酒による人身事故などについては、公判請求される可能性が高いでしょう。

以上のように、交通違反を犯した場合や交通事故を起こした場合には、行政処分や民事上の処分だけでなく、刑事処分が科されることがあります。
そのような場合には、できる限り寛容な処分となるよう、早い段階から交通事件にも対応する弁護士に相談・依頼し、適切に対応することが重要です。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、交通事件を含めた刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
交通違反交通事故刑事処分が科されるのではと心配されている方は、弊所の弁護士にご相談ください。
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