少年の無免許運転

2021-01-09

少年無免許運転事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~
京都府亀岡市に住む高校生のAくんは、ある夜、家族が所有する軽自動車を運転し、ガードレールに衝突する事故を起こしました。
目撃者からの通報を受けて駆け付けた京都府亀岡警察署の警察官は、Aくんの運転免許証の提示を求めたところ、Aくんの無免許運転が発覚しました。
警察官は、Aくんを道路交通法違反(無免許運転)の疑いで現行犯逮捕しました。
Aくんの家族は、Aくんが帰宅しないことを心配し、警察に連絡したところ、今回の事件で逮捕されていたことが分かりました。
AくんとAくんの家族は、今後どのような流れでどんな処分を受けることになるのか分からず不安に駆られています。
(フィクションです)

無免許運転

道路交通法は、道路における危険を防止し、その他交通の安全と円滑を図り、及び道路の交通に起因する障害の防止に資することを目的とする法律です。

法務省がまとめた犯罪白書によれば、令和元年における特別法犯の主な統計データ(検察庁新規受理人員)は、その73パーセントを道路交通法違反が占めていることを示しています。
道路交通法違反の送致事件について、令和元年に関しては、速度超過、酒気帯び・酒酔い、無免許運転の順で占めています。

道路交通法は、その64条1項において、無免許運転を禁止しています。
ここでいう「無免許運転」というのは、公安委員会の運転免許を受けないで、自動車又は原動機付自転車を運転することです。
自動車等を運転しようとする者は、道路交通法84条1項の規定により公安委員会の運転免許を受けなければなりません。
無免許運転には、免許を受けないで運転する行為のみならず、免許の効力が停止されている者が自動車等を運転する行為や免許が取消された後に運転する行為、一部の運転免許はあるが運転しようとする自動車等の種類に応じた運転免許を受けていないにもかかわらず運転する行為も含まれます。

無免許運転による道路交通法違反に対する罰則は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金です。
無免許運転は、交通反則通告制度の対象外であるため、反則金を支払って終了することはありません。

少年の無免許運転事件

犯罪白書によれば、令和元年における犯罪少年(犯罪に該当する行為をした14歳以上20歳未満の者)の検察庁新規受理人員の罪名別構成比は、窃盗に続いて道路交通法違反が約22パーセントが占めています。

少年が事件を起こすと、捜査機関が捜査を開始します。
捜査段階では、刑事訴訟法が準用されるため、成人とほぼ同様の手続に付されます。
そのため、身体拘束の理由・必要性があると判断されれば、少年であっても逮捕・勾留されます。(ただし、14未満の者については刑事責任が問われないため、犯罪は成立せず、逮捕することはできません。)
警察は、捜査を遂げた結果、犯罪の嫌疑があると思料するときは、交通反則通行制度に基づく反則金の納付があった道路交通法違反事件を除き、罰金以下の刑に当たる犯罪の被疑事件については家庭裁判所に送致し、それ以外の刑に当たる犯罪の被疑事件については検察官に送致します。
検察官は、捜査を遂げた結果、犯罪の嫌疑があると思料するとき、又は、犯罪の嫌疑はないものの家庭裁判所の審判に付すべきと思料するときは、事件を家庭裁判所に送致します。

検察官等からの送致を受けた家庭裁判所は、事件について調査するため、調査官に命じて非ちうような調査を行います。
家庭裁判所は、審判を行うために必要な場合には、事件が継続している間いつでも、観護措置をとることができます。
観護措置には、調査官の観護に付す措置と少年鑑別所に送致する措置とがありますが、通常は後者の措置がとられます。
少年鑑別所は、送致された少年を、収容し、医学・心理学・社会学・教育学といった専門的見地から鑑別します。
家庭裁判所は、調査の結果に基づいて、審判開始又は審判不開始の決定を行います。
審判は非公開で行われ、非行事実及び要保護性について審理され、少年の更生に適した処分を決定します。

無免許運転の場合、交通保護観察あるいは検察官送致(刑事処分相当)の処分となる可能性が高いでしょう。
交通保護観察は、交通関係事件で保護観察に付され、短期処遇勧告がなされていない者を対象として処分です。
つまり、交通保護観察は保護観察の一種です。
家庭裁判所が、審判で少年に言い渡す処分のなかに「保護観察処分」があり、これは、犯罪を行った又は非行のある少年が、社会内で保護観察所の指導・監督を受けながら攻勢を図る処分です。
交通保護観察は、できるだけ交通事件を専門に担当する保護観察官や保護司を指名するよう配慮されています。
一方、検察官送致とは、家庭裁判所が、少年に保護処分ではなく刑事処分を科すことが相当であると判断した場合に、検察官に送致する旨の決定のことをいいます。
刑事処分相当を理由とする検察官送致は、「死刑、懲役又は禁錮に当たる罪」を犯した少年について、「その罪質及び情状に照らして刑事処分を相当と認めるとき」に検察官送致とするものです。
また、行為時16歳以上の少年で、「故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪」に当たる事件の場合には、検察官送致の決定をしなければなりません。
無免許運転で検察官送致となった場合には、略式手続に付され略式命令(罰金)が言い渡される可能性が高いでしょう。

少年が交通違反・交通事故で警察に検挙・逮捕された場合、以上のような流れとなり、成人の刑事事件とは異なる手続となります。
そのため、少年事件に精通する弁護士に相談・依頼されるのがよいでしょう。

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