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内定を得ていた大学生が学生生活最後の思い出作りに複数人でバイクで蛇行運転を行い逮捕された事例
内定を得ていた大学生が学生生活最後の思い出作りに複数人でバイクで蛇行運転を行い逮捕された事例
5人で蛇行運転を行い、道路交通法違反の容疑で逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
事例
希望する会社から内定をもらっていた大学4年生のAさんは学生生活最後の思い出作りとして、夜間に4人の友人とバイクで東京都八王子市内を走行していました。
段々、普通に走行するだけでは物足りなくなり、5人で横並びで並走し蛇行運転などをしていたところ、パトロール中の警察官に見つかり、Aさんらは八王子警察署の警察官に道路交通法違反の容疑で逮捕されました。
(事例はフィクションです。)
共同危険行為等と道路交通法
道路交通法第68条
二人以上の自動車又は原動機付自転車の運転者は、道路において二台以上の自動車又は原動機付自転車を連ねて通行させ、又は並進させる場合において、共同して、著しく道路における交通の危険を生じさせ、又は著しく他人に迷惑を及ぼすこととなる行為をしてはならない。
道路交通法第68条では、共同危険行為等を禁止しています。
共同危険行為等とは、大まかに説明すると、バイクなどで2台以上連なって走行したり、並走することで、交通の危険を生じさせたり、他人に迷惑を及ぼすような行為を共同して行うことをいいます。
今回の事例では、Aさんとその友人らは東京都八王子市内の道路を5人で並走し、蛇行運転をしていたようです。
蛇行運転では、バイクの操作を誤ることで事故を起こして周囲の人にけがを負わせてしまう危険性があるといえます。
ですので、Aさんらが道路上で並走し蛇行運転をした行為は共同危険行為等にあたる可能性があり、Aさんらに道路交通法違反が成立するおそれがあります。
共同危険行為等により、道路交通法違反で有罪になった場合には、2年以下の懲役又は50万円以下の罰金が科せられます。(道路交通法違反第117条の3)
共同危険行為で逮捕されたら
共同危険行為等は共犯者がいる行為ですから、証拠隠滅のおそれがあると判断されて勾留が決定してしまう可能性があります。
証拠というと、犯行に使用したバイクなどの物的証拠を思い浮かべる方が多いかもしれませんが、Aさんや友人らの当事者の供述なども証拠となります。
Aさんや友人らが口裏を合わせることで供述内容が変化してしまうおそれがあるため、共犯事件では、単独犯での事件と比較して勾留が決定してしまう可能性が高いです。
弁護士は勾留判断前(逮捕後72時間以内)に検察官や裁判官に対して、意見書を提出し釈放を求めることができます。
弁護士の訴えにより、釈放を認めてもらえる可能性がありますので、ご家族が逮捕された方はお早めに弁護士に相談をすることをお勧めします。
また、Aさんは会社から内定をもらっている状態です。
このような状態で、前科が付いてしまうと内定が取り消されてしまうかもしれません。
懲役刑だけでなく、罰金刑であっても、前科は付いてしまいます。
ですので、共同危険行為等により道路交通法違反で有罪になってしまうと、必ず前科が付くことになります。
弁護士は検察官に対して処分交渉を行うことができます。
弁護士が刑罰を科されることで、多大な不利益を被ってしまうことなどを検察官に訴え不起訴処分を求めることで、前科が付くことを回避できる可能性があります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、初回接見サービス、無料法律相談を行っています。
ご家族の釈放を求めている方、前科を回避したい方は、ぜひ一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
(事例紹介)少年3人がバイクで暴走し逮捕された事例
(事例紹介)少年3人がバイクで暴走し逮捕された事例
少年らがバイクで信号無視や逆走、歩道を走行したとして、道路交通法違反の容疑で逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
事例
「パト鬼(パトカーとの鬼ごっこ)」と称して、自分たちが運転する原付きバイクを警察に追跡させるため、暴走行為をしながら交番やパトカーに生卵約20個を投げつけたなどとして、埼玉県警は22日、いずれも17歳の高校生ら少年3人を公務執行妨害や道路交通法違反(共同危険行為等の禁止)の疑いで逮捕した、と発表した。(中略)
逮捕されたのは、同県朝霞市とさいたま市の男子高校生2人と、さいたま市の無職の少年。
浦和署によると、高校生2人は共謀して(中略)約10分間、さいたま市南区のJR武蔵浦和駅周辺で原付きバイク2台を運転中、信号無視や逆走、歩道上での走行などをした疑いがある。無職の少年は片方のバイクに同乗していた。
(後略)
(6月23日 朝日新聞DIGITAL 「パトカーや交番に生卵投げつけ容疑 「パト鬼したかった」17歳逮捕」より引用)
共同危険行為等の禁止
道路交通法第68条
2人以上の自動車又は原動機付自転車の運転者は、道路において2台以上の自動車又は原動機付自転車を連ねて通行させ、又は並進させる場合において、共同して、著しく道路における交通の危険を生じさせ、又は著しく他人に迷惑を及ぼすこととなる行為をしてはならない。
道路交通法では、2台以上のバイクや車を連ねて又は並進させて、交通の危険や周囲への迷惑を生じさせる行為を共同危険行為等といい、集団での信号無視や蛇行運転など交通事故につながるような運転を禁止しています。
今回の事例では、少年らがバイクを運転し、信号無視や逆走、歩道の走行をしたと報道されています。
おそらく少年らは、2台で固まって走行していたでしょうし、信号無視や逆走、歩道の走行は、交通事故が起きる可能性が高く交通の危険を生じさせると考えられます。
実際に少年らがバイクで歩道を走行したり、信号無視や逆走を行っていたのであれば、共同危険行為等にあたり道路交通法違反が成立する可能性が高そうです。
共同危険行為等と少年
今回の事例の容疑者らは20歳未満ですので、少年法が適用されることになります。
少年事件では、家庭裁判所に事件が送られ、家庭裁判所による調査を受けることになります。
少年事件の場合は刑罰を受けないと思っていらっしゃる方もいるかもしれませんが、家庭裁判所による調査で刑事罰が相当だと判断された場合には、再度検察庁に事件が送られ(逆送)、懲役刑や罰金刑などが科される場合があります。
共同危険行為等による道路交通法違反で有罪になった場合には、2年以下の懲役又は50万円以下の罰金(道路交通法第173条の2)が科されますので、今回の事例の少年らが逆送された場合は懲役刑が科されてしまう可能性があります。
少年事件では、少年の更生がとりわけ重要視されます。
ですので、逆送を避けるためにも、少年が深く反省をしていることや刑事罰を科されなくても少年が更生できることを裁判官にアピールする必要があります。
弊所では、付添人である弁護士が少年と面談を行うことで、少年の課題を探り、その課題について付添人が少年と共に考えることで更生に向けた手助けを行います。
上記のような活動を行い、少年が深く反省し、刑事罰がなくても更生できることを裁判官へ訴えることで、逆送を避けられる可能性があります。
少年事件と刑事事件では、弁護活動がかなり異なってきますので、お子様が犯罪の容疑をかけられた場合は、少年事件に詳しい弁護士に相談をすることをお勧めします。
また、信号無視や逆走、歩道の走行は、交通事故を生じさせる危険性があるのは当然ですが、犯行当時の道路の交通状況によって危険性は異なってきます。
そういった道路の交通状況等で、事件の見通しなどは変わってきますから、共同危険行為等の容疑をかけられた際は、交通事故に精通した弁護士に相談をしてみることが望ましいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、交通事故や少年事件に精通した法律事務所です。
お子様が共同危険行為等などの道路交通法違反の容疑をかけられた方や、逮捕された方は、お気軽に弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
0120ー631ー881では、24時間365日、初回接見サービス、無料法律相談のご予約を受け付けております。
(報道事例)共同危険行為による逮捕のリスク
(報道事例)共同危険行為による逮捕のリスク
共同危険行為がどのような罪なのか、また、逮捕のリスクはあるのか等について、報道をもとに弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説致します。
・報道
広島県福山市の交差点で「渦巻き走行」などをした疑いで、先月、20歳の男が逮捕された事件で、警察は9日、男が運転する乗用車に同乗していたとして20歳の男と、乗用車に連なってバイクを運転したとして17歳の少年を、逮捕しました。
道路交通法違反(共同危険行為)の疑いで逮捕されたのは、いずれも福山市の20歳の男と17歳の少年の2人です。
この事件は、1月8日午後2時すぎ、福山市入船町の「府中分かれ交差点」で、乗用車とバイクを連ねて渦巻走行をするなどの暴走行為をした疑いなどで、20歳の男が、先月逮捕・送検されたものです。
車を運転していた男がSNSに投稿したとみられる動画には、助手席に同乗する人物の姿も映っていて、警察は、同乗者と車両を追走したとみられるバイクの運転手についても、捜査を進めていました。
(RCC中国放送 2月9日(木) 11時36分配信 「【速報】警察署前の交差点で暴走… 同乗の男(20)とバイクの少年(17)の2人逮捕 「20歳の集い」開催の日に」より引用)
・共同危険行為
自動車などに乗って危険行為をすることは、道路交通法によって禁止されています。
2台以上の自動車などを連ねて通行、又は並走させての暴走行為は共同危険行為と呼ばれ、下記の条文で禁じられています。
道路交通法第68条
2人以上の自動車又は原動機付自転車の運転者は、道路において2台以上の自動車又は原動機付自転車を連ねて通行させ、又は並進させる場合において、共同して、著しく道路における交通の危険を生じさせ、又は著しく他人に迷惑を及ぼすこととなる行為をしてはならない。
(罰則 第107条の3)
道路交通法第107条の3
第68条(共同危険行為等の禁止)の規定に違反した者は、2年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
共同危険行為が成立する場合には、最低でも2名が犯行に及んでいるため、共犯者がいる形になります。
共犯者がいる事件の場合、口裏合わせにより事件について嘘を示し合わせたり、証拠を隠滅したりする可能性が高いと判断されるので、共同危険行為は逮捕リスクが高い道路交通法違反だと言えます。
逮捕されると警察官は釈放か検察官への送致かを48時間以内に決定し、検察官が送致を受けると釈放するか裁判官への勾留を申請するか24時間以内に決定します。
勾留されれば、留置施設で10日間身体を拘束され、勾留が延長されれば更に10日間身体を拘束されます。
つまり逮捕されると最大で23日間は身体拘束されることになります。
長期の拘束を避けるためには弁護士に依頼し、釈放に向けての活動を進めることが必須です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件を専門に扱っている、刑事事件に強い法律事務所です。
弊所では逮捕または勾留された方へ弁護士が直接伺う初回接見サービスを実施しています。初回接見サービスのお申し込みは24時間対応しているため、共同危険行為等の交通事件でお困りの方はフリーダイヤル「0120-631-881」へお電話ください。
(事例紹介)阪神高速で逆走・急停止 道路交通法違反で逮捕
(事例紹介)阪神高速で逆走・急停止 道路交通法違反で逮捕
~事例~
大阪府内の高速道路で逆走などの危険な運転を繰り返したとされる男が現行犯逮捕されました。
警察によりますと、午前10時15分ごろ、阪神高速東大阪線の上り車線で「急停車や車線変更を繰り返している」と目撃者から通報がありました。
その後も同様の通報が相次ぎ、11時前には阪神高速松原線の下り車線で「逆走している」という情報が入りました。
紺色の普通乗用車ということで、パトカーが先回りして発見しましたが、停止の呼びかけに応じず逆走したり、加速・減速を繰り返したりしながら、阪神高速堺線の堺出口から一般道に逃走したということです。
(略)
運転していたのは、自称・奈良市内居住の40代の男で、道路交通法違反の疑いで現行犯逮捕されました。
(略)
(※2022年12月20日17:55YAHOO!JAPANニュース配信記事より引用)
~高速道路での逆走~
今回取り上げた事例では、男性が阪神高速で逆走などの危険な運転を繰り返し、道路交通法違反の容疑で現行犯逮捕されたと報道されています。
道路交通法では、以下のようにして車両が道路を通行する際の方向について定めています。
道路交通法17条
第4項 車両は、道路(歩道等と車道の区別のある道路においては、車道。以下第九節の二までにおいて同じ。)の中央(軌道が道路の側端に寄つて設けられている場合においては当該道路の軌道敷を除いた部分の中央とし、道路標識等による中央線が設けられているときはその中央線の設けられた道路の部分を中央とする。以下同じ。)から左の部分(以下「左側部分」という。)を通行しなければならない。
第5項 車両は、次の各号に掲げる場合においては、前項の規定にかかわらず、道路の中央から右の部分(以下「右側部分」という。)にその全部又は一部をはみ出して通行することができる。この場合において、車両は、第一号に掲げる場合を除き、そのはみ出し方ができるだけ少なくなるようにしなければならない。
第1号 当該道路が一方通行(道路における車両の通行につき一定の方向にする通行が禁止されていることをいう。以下同じ。)となつているとき。
第2号 当該道路の左側部分の幅員が当該車両の通行のため十分なものでないとき。
第3号 当該車両が道路の損壊、道路工事その他の障害のため当該道路の左側部分を通行することができないとき。
第4号 当該道路の左側部分の幅員が六メートルに満たない道路において、他の車両を追い越そうとするとき(当該道路の右側部分を見とおすことができ、かつ、反対の方向からの交通を妨げるおそれがない場合に限るものとし、道路標識等により追越しのため右側部分にはみ出して通行することが禁止されている場合を除く。)。
第5号 勾配の急な道路のまがりかど附近について、道路標識等により通行の方法が指定されている場合において、当該車両が当該指定に従い通行するとき。
つまり、道路交通法第17条第4項において、原則として車両は道路の左側を通行すると定められており、右側通行ができるのは、道路交通法第17条第5項に定められている例外のみということになっています。
ですから、道路交通法第17条第5項に定められているような例外に当てはまらないのにも関わらず、道路を右側通行=逆走すれば、この道路交通法第17条第4項に違反するということになるのです。
道路交通法第17条第4項に違反してしまうと、「3月以下の懲役又は5万円以下の罰金」となる可能性が出てきます(道路交通法第119条第1項第6号)。
今回の事例では、男性が阪神高速を逆走しているところを通報によって臨場した警察官らも目撃しているようです。
当然、阪神高速などの高速道路もこの道路交通法の対象となりますから、阪神高速での逆走行為も道路交通法第17条第4項に違反することとなります。
報道によると、この逆走行為などによってけが人などはいないようですが、もしもこれらの行為によって交通事故が起こり死傷者が出た場合、道路交通法違反に加え、危険運転致死傷罪や過失運転致死傷罪などが成立することが考えられます。
道路交通法違反というと、単なる交通違反のように思えるかもしれませんが、こうした逆走行為なども道路交通法違反として刑事事件になります。
刑事手続については分からないことも多いと思いますので、ご自身やご家族が当事者となったら、早めに専門家である弁護士に相談されることをおすすめします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、初回無料の法律相談を受け付けています。
逆走行為などによって道路交通法違反事件の捜査を受けることになった、刑事事件の当事者になって困っているといったケースのご相談が可能です。
まずはお気軽にお問い合わせください。
(事例紹介)暴走行為のほう助で逮捕された事例
(事例紹介)暴走行為のほう助で逮捕された事例
~事例~
佐賀大前交差点で6月5日にあった暴走行為をほう助したとして、佐賀県警は5日、道交法違反(共同危険行為ほう助)の疑いで3人を逮捕したと発表した。
(中略)
交通指導課によると、建設作業員の男の逮捕容疑は、暴走行為に使われると知りながらオートバイ1台を提供した疑い。ほか2容疑者はオートバイの車体の特徴を隠すためにテープを貼って装飾し、少年らに暴走行為をしやすくさせた疑い。認否は明らかにしていない。
(※2022年12月6日7:00佐賀新聞配信記事より引用)
~ほう助とは~
今回の事例では、「ほう助」という単語が使われています。
「ほう助」とは、簡単に言うと、その犯罪をする人が犯罪をしやすくするように手助けをすることを指します。
ですから、例えば、「窃盗罪のほう助」と言った場合には、窃盗行為をするための道具を貸し出すなど、窃盗罪をしやすくする行為をすることを指します。
ほう助については共犯の一種とされており、刑法では以下のように定められています。
刑法第62条第1項
正犯を幇助した者は、従犯とする。
刑法第63条
従犯の刑は、正犯の刑を減軽する。
ほう助犯(幇助犯)は、刑法上「従犯」という扱いになり、「従犯」は正犯=実際に犯罪を実行した人の刑罰よりも減軽されるということになっています。
刑罰の減軽の方法としては、刑法で以下のように定められています。
刑法第68条
法律上刑を減軽すべき一個又は二個以上の事由があるときは、次の例による。
第1号 死刑を減軽するときは、無期の懲役若しくは禁錮又は十年以上の懲役若しくは禁錮とする。
第2号 無期の懲役又は禁錮を減軽するときは、七年以上の有期の懲役又は禁錮とする。
第3号 有期の懲役又は禁錮を減軽するときは、その長期及び短期の二分の一を減ずる。
第4号 罰金を減軽するときは、その多額及び寡額の二分の一を減ずる。
第5号 拘留を減軽するときは、その長期の二分の一を減ずる。
第6号 科料を減軽するときは、その多額の二分の一を減ずる。
~共同危険行為のほう助~
今回の事例では、男性が共同危険行為(道路交通法違反)のほう助であるとして逮捕されています。
共同危険行為とは、道路交通法で禁止されている行為で、大まかに言えば、いわゆる暴走族による集団暴走行為などが当てはまります。
道路交通法第68条(共同危険行為等の禁止)
二人以上の自動車又は原動機付自転車の運転者は、道路において二台以上の自動車又は原動機付自転車を連ねて通行させ、又は並進させる場合において、共同して、著しく道路における交通の危険を生じさせ、又は著しく他人に迷惑を及ぼすこととなる行為をしてはならない。
今回の事例では、逮捕された容疑者らは、少年らが暴走行為をすると知りながら、
・オートバイ1台を提供
・オートバイが特定されにくくなるよう車体を装飾
したとされています。
暴走行為をするためのオートバイを貸したのであれば暴走行為をやりやすくしているといえますし、オートバイが特定されづらいよう装飾することで、少年らが暴走行為をしても自分達が特定されにくくなる=暴走行為をしやすい状況を手助けしているといえるでしょう。
こうしたことから、今回の事例では、共同危険行為(道路交通法違反)のほう助という容疑がかけられているのだと考えられます。
刑事事件では、まさにその犯罪を実行したという人だけではなく、その手助けをした人もほう助犯という形で罪に問われることがあります。
具体的にどういった行為がほう助犯となり得るのか、実際にどういった刑罰が考えられるのかなどは、個別的に事案を検討しなければいけませんから、まずは弁護士に相談してみることをおすすめします。
0120-631-881では、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所のスタッフが、ご相談者様のご状況に合わせたサービスをご案内中です。
刑事事件について弁護士の見解を聞いてみたい、ひとまず弁護士に相談してみたいという場合には、まずはお気軽にお問い合わせ下さい。
(事例紹介)10代の集団暴走事件 道路交通法違反と共同危険行為
(事例紹介)10代の集団暴走事件 道路交通法違反と共同危険行為
~事例~
(略)
福岡県警城南署は10日、署付近の歩道を走行するなどの集団暴走をしたとして、福岡市早良区や城南区に住む18~19歳の少年4人を道路交通法違反(共同危険行為)の疑いで福岡地検に書類送検した。
署によると、4人は5月27日午後11時ごろ、バイクに乗って、城南区七隈7丁目の城南署前から早良区荒江2丁目付近まで、約4キロにわたって蛇行運転や信号無視をしながら暴走した疑いがある。
(後略)
(※2022年8月12日12:00YAHOO!JAPANニュース配信記事より引用)
・道路交通法違反と共同危険行為
今回の事例で取り上げたような集団暴走行為は、道路交通法でいう「共同危険行為」にあたることが多く、その場合には共同危険行為をしたことによる道路交通法違反となります。
道路交通法第68条(共同危険行為等の禁止)
二人以上の自動車又は原動機付自転車の運転者は、道路において二台以上の自動車又は原動機付自転車を連ねて通行させ、又は並進させる場合において、共同して、著しく道路における交通の危険を生じさせ、又は著しく他人に迷惑を及ぼすこととなる行為をしてはならない。
道路交通法第68条の条文によると、「道路において二台以上の自動車又は原動機付自転車を連ねて通行させ、又は並進させる場合において、共同して、著しく道路における交通の危険を生じさせ、又は著しく他人に迷惑を及ぼすこととなる行為」がいわゆる共同危険行為になると考えられます。
今回の事例を例に考えてみましょう。
報道によれば、18歳~19歳の少年4人が、バイクに乗って蛇行運転や信号無視をしながら暴走したとされています。
少年らは4人でバイクを運転していたようですから、道路交通法の条文にある「二人以上の自動車又は原動機付自転車の運転者」という主体に当てはまり、かつ、「道路において二台以上の自動車又は原動機付自転車を連ねて通行させ、又は並進させる場合」であったと推測されます。
そして、少年らは一緒に蛇行運転や信号無視をしてバイクを走らせる集団暴走をしたとのことですので、複数人で一緒になって道路上で事故を引き起こすような行為をしたといえます。
こうしたことから、「共同して、著しく道路における交通の危険を生じさせ、又は著しく他人に迷惑を及ぼすこととなる行為」に当たる=共同危険行為をしたと判断され、道路交通法違反で検挙されるに至ったのでしょう。
・10代の集団暴走事件
今回取り上げた事例では、18歳~19歳の少年が複数人で集団暴走をしたと報道されています。
今年の4月、改正民法の施行により、成人年齢は20歳から18歳に引き下げられました。
しかし、少年法上では20歳未満の者は「少年」として扱われ(少年法第2条第1項)、10代の者が罪を犯せば少年法が適用され、原則として家庭裁判所で開かれる審判を受けることになります。
こういった集団暴走事件では、関与した者が暴走族的な集団に属しているかどうかに限らず、仲間内で集団暴走行為に及んでしまうというケースが度々見られます。
少年事件として手続が進んでいく場合には、その後の更生に適切な環境を整えることが求められます。
特に今回のような集団暴走事件では、先ほど触れたように、仲間内で集団暴走をしたというケースが多いため、関係の精算や生活環境の改善が課題となってくることが考えられます。
また、今回取り上げた事例のような、18歳~19歳の少年であった場合、少年事件の手続ではなく、成人の刑事事件の手続同様の扱いとなる可能性もあります。
そうなると、罰金刑となることも考えられますし、場合によっては刑事裁判となる可能性もあります。
手続の見通しを立てるためにも、適切な処分を求めていくためにも、弁護士に相談するなどして専門家の意見を聞いてみることをおすすめします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、少年の集団暴走による道路交通法違反事件なども取り扱ってきました。
まずは手続の把握や今後の見通しを知りたいという方にも対応できる、初回無料法律相談や初回接見サービスをご用意していますので、お気軽にお問い合わせください。
あおり運転で逮捕・交通事件の弁護活動
あおり運転で逮捕されてしまった事例を題材に、交通事件における弁護活動等について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。
事例:Aは自車を運転中、前方を進行していたV車の運転に一方的に腹を立て、V車の通行を妨害する目的で、急ブレーキや車間距離を急激に詰めるといった行為等し、その進行を妨害した。
警察官は、Aを道路交通法違反(あおり運転)の疑いで逮捕した。
Aの家族は、交通事件に強いと評判の弁護士に相談することにした(本件は事実をもとにしたフィクションです。)。
~あおり運転と道路交通法改正~
近年のいわゆる「あおり運転」の社会問題化を契機に、2020年に道路交通法の改正が行われています。
これは、平成以降における交通事故事件の厳罰化の流れに掉さすものとされており、改正後の道路交通法は以下のように規定しています。
(なお、あおり運転に関しては自動車運転死傷行為処罰法にも改正が及んでいますが、同法に関する解説は別稿に譲ることとします。)
117条の2の2 次の各号のいずれかに該当する者は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
(…略…)
11 他の車両等の通行を妨害する目的で、次のいずれかに掲げる行為であつて、当該他の車両等に道路における交通の危険を生じさせるおそれのある方法によるものをした者
この本条第11号は「次のいずれかに掲げる行為」として、イ~ヌまで10類型を掲げています(急ブレーキの禁止や車間距離の保持など)。
そしてかかる行為を、「他の車両等の通行を妨害する目的」をもって「当該他の車両等に道路における交通の危険を生じさせるおそれのある方法」で行ったものを処罰する旨をいわゆる「あおり運転」として処罰する旨を定めています。
したがって、本件Aの行為は、あおり運転として上記法に反するものと考えられるのです。
なお、このようないわゆる「あおり運転」の処罰には、以下のような加重規定が存在し、この点についても注意する必要があります。
117条の2 次の各号のいずれかに該当する者は、5年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。
(…略…)
6 次条(注:上記117条の2の2)第11号の罪を犯し、よつて高速自動車国道等において他の自動車を停止させ、その他道路における著しい交通の危険を生じさせた者
本条はいわゆる高速道路において、上記第11号の罪を犯し、さらに「他の自動車を停止させ、その他道路における著しい交通の危険を生じさせ」た場合をより重く処罰する規定です。
~交通事件における弁護活動~
上述のとおり、特に平成以降の法改正によって交通事件は厳罰化の傾向にあります。
特に被害者が存在する交通事件においては被害者への対応は重要であり、この対応如何によって刑事処分を大きく変わってくる可能性があります。
特に被害者との示談が重要であることは、よく知られているところだと思います。
したがって、示談の対応に関しては、早期に被害者に対して謝罪の意向を示すなど、被害者感情に配慮した対応が不可欠です。
本件のように被疑者が逮捕されている場合の示談対応等については、在宅事件と比べ工夫が必要となることもあることから、刑事事件を専門としている弁護士と相談・協議することが重要といえるでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、あおり運転などの交通事件を含む刑事事件専門の法律事務所です。
交通事件に関する解決実績を多数有する弁護士が、ご相談等をお受けいたします。
道路交通法違反事件(あおり運転)で逮捕された方のご家族等は、年中無休のフリーダイヤル(0120-631-881)にまずはご連絡ください。
少年の共同危険行為
少年の共同危険行為について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
福岡県北九州市八幡西区の交差点で信号待ちをしていたVさんは、信号が青に変わったため、交差点を左折しようとしました。
すると、右側から原動機付自転車が走行してきたため、Vさんは慌ててブレーキを踏みましたが、Vさんの車後方に原動機付自転車がぶつかりました。
幸い、この事故による負傷者は出ませんでした。
原動機付自転車を運転していた少年Aくんは、赤信号を見落としたものとして福岡県八幡西警察署から話を聞かれていましたが、Vさんの車の搭載されていたドライブレコーダーの映像から、Aくんは一人ではなく複数人で連なって原動機付自転車を走行させており、信号が赤信号に変わってから間もなく交差点に集団で侵入したことが判明しました。
福岡県八幡西警察署は、Aくんを共同危険行為の疑いで逮捕し、逃げた他の共犯者を追っています。
(フィクションです。)
共同危険行為
共同危険行為とは、「道路において2台以上の自動車または原動機付自転車を連ねて通行させ、または並進させる場合において、共同して、著しく道路における交通の危険を生じさせ、または著しく他人に迷惑を及ぼすこととなる行為」のことをいい、道路交通法68条で禁止されています。
◇主体◇
共同危険行為罪の主体は、「2人以上の自動車又は原動機付自転車の運転者」です。
自動車または原動機付自転車のいずれかの台数が2台以上の場合や、自動車または原動機付自転車を合わせた台数が2台以上の場合の運転者を指し、現実に自動車または原動機付自転車を運転している者のことです。
◇形態◇
2人以上の自動車又は原動機付自転車の運転者が、道路において2台以上の自動車又は原動機付自転車を連ねて通行させる場合、又は並進させる場合において、という要件が設けられています。
「連ね」とは、自動車・原動機付自転車が前の自動車・原動機付自転車に追従して縦列に同方向に走行している状態を指します。
また、「並進」とは、2台以上の自動車・原動機付自転車が同一の速度で並んで進行する横の状態を示します。
◇行為者の連携◇
共同危険行為罪には、行為者の連携がなければなりません。
条文の「共同して」とは、2人以上の自動車・原動機付自転車の運転者が、道路において交通の危険または迷惑行為を行うという共同の意思をもって、2台以上の自動車・原動機付自転車を連ねて通行させまたは並進させ、お互いの行為を利用し合いながら、全体として暴走行為を実行することをいいます。
◇行為◇
禁止される行為は、「交通の危険を生じさせることとなる行為、著しく他人に迷惑を及ぼすこととなる行為」であり、具体的な危険、迷惑が生じる必要はなく、抽象的な危険、抽象的な迷惑の発生でも構いません。
現実に他の車両や歩行者の通行を故意に妨げ、その通行の事由を奪うなどの行為が発生していなくとも、現場に車両等があれば、当然、交通の危険を生じさせ、あるいは他人に迷惑を及ぼすこととなる集団暴走行為については、集団暴走行為が行われたことを現認したり、ビデオやカメラ等から立証すれば、その現場に危険に遭った者や迷惑を被った者がいなかったとしても、道路交通法68条の禁止行為違反となります。
違反となる走行形態としては、次のようなものがあります。
・広がり通行:道路いっぱいに広がって通行するもの。
・巻込み通行:暴走族集団の車両以外を中に巻込んで事実上その車両の走行の自由を拘束して走行するもの。
・蛇行通行:集団が一体となって蛇行しながら走行するもの。
・交互追越し:暴走族の集団がいくつかのグループに分かれ、それらが交互に追越しを行いながら走行するもの。
・信号無視:暴走族集団のグループ員の車両で交差道路の交通をふさぎ、集団で赤信号を無視して走行するもの。
・一定区間内の周回:一定区間の道路上において、周回、急発進、急停止等を行い、他の車両の通行を遮断するもの。
共同危険行為罪の法定刑は、2年以下の懲役または50万円以下の罰金ですが、少年の場合は、少年法に基づいた手続を踏んで処理されることになります。
少年事件では、原則としてすべての事件が家庭裁判所に送られ、家庭裁判所による調査・審判を経て最終的な処分が言い渡されることになります。
家庭裁判所に送致されるまでの間は、成人の刑事事件とほぼ同様の手続がとられることになるため、少年であっても、逮捕・勾留による身体拘束が伴うことがあります。
共同危険行為罪で逮捕された場合は、共犯との接触・口裏合わせを防ぐために逮捕の後に勾留となる可能性は高いでしょう。
共同危険行為罪の法定刑は、2年以下の懲役または50万円以下の罰金と、他の犯罪と比べるとそこまで重いものではありません。
しかし、家庭裁判所の審判では、非行事実のみならず要保護性が審理の対象となるため、必ずしも非行の軽重が処分に直接影響するとは限りません。
要保護性というのは、簡単に言えば、少年による再犯の危険性があり、保護処分により再犯の防止ができること、です。
要保護性が高いと判断されれば、少年院送致という重い処分となることも少なくありません。
そのため、少年事件では、要保護性を解消することが最終的な処分に大きく影響することになり、非常に重要です。
このように、少年の場合は、成人の刑事事件とは異なる手続がとられますので、少年事件に精通する弁護士に相談されるのがよいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
お子様が共同危険行為で逮捕されてお困りの方は、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。
無料法律相談・初回接見サービスに関するご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881で24時間受け付けております。
危険運転致傷罪で逮捕
危険運転致傷罪で逮捕
危険運転致傷罪で逮捕された事案を題材に、交通事件における弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。
【事例】
警ら中のパトカーに追いかけられていたAは、これを振り切るため、赤信号の点灯していることを認識しながら交差点を直進したところ、Vさんが運転する車と衝突し、Vさんに怪我を負わせた。
大阪府高石警察署の警察官は、Aを危険運転致傷の疑いで逮捕した。
Aの家族は、交通事件に詳しい弁護士に相談することにした。
(本件は事実をもとにしたフィクションです)
~危険運転致死傷罪とその類型~
交通事故に関する刑事責任を規定する法律として「道路交通法」以外にも、「自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律」(以下、自動車運転死傷行為処罰法)があります。
これは、かつて刑法によって処罰されていた交通犯罪について、その重大性や悪質性に対応するため、刑罰を重くするなどして新たに平成25年11月に制定された法律です。
本件でAは、危険運転致傷罪で逮捕されていますが、自動車運転死傷行為処罰法のどの規定に反することによるものなのでしょうか。
同法2条は危険運転致死傷罪に該当する危険運転行為を複数定めています。
同条1号は飲酒・薬物摂取状態での運転、2号でスピード違反、3号で技術がない状態での運転、4号で妨害行為、5号で赤信号無視、6号で通行禁止道路進行の危険運転行為がそれぞれ定められています。
本件では、赤信号無視の危険運転行為が問題となることは明らかであり、5号に関して詳しく見ていくこととします。
自動車運転死傷行為処罰法2条
次に掲げる行為を行い、よって、人を負傷させた者は15年以下の懲役に処し、人を死亡させた者は1年以上の有期懲役に処する。
一~四(略)
五 赤色信号又はこれに相当する信号を殊更に無視し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為
この条文にある通り、「赤信号」を「殊更に無視」して「重大な交通の危険を生じさせる速度」で運転し、事故を起こして他人にケガをさせると危険運転致死傷罪が成立します。
本件Aは、赤信号であることを認識しながら、パトカーを振り切るために、停止位置で停止することが十分可能であるにもかかわらず、これを無視して自車を直進させていると考えられることから、赤信号を「殊更に無視」したものといえます。
そして、「重大な交通の危険を生じさせる速度」とは、この文言だけ見ると、かなりの高速度が要求されているようにも読めますが、判例・実務では時速20~30キロでもこの要件に該当しうると解されています。
したがって、Aさんが交差点に進入した時にこの程度の速度だったとしても、Vさんに怪我を負わせた以上、危険運転致傷罪が成立する可能性があることに注意が必要です。
~危険運転致死傷事件における弁護活動~
一般に交通事件は、逮捕されることなく在宅事件として捜査されることが多い事件類型と考えられています。
また、仮に逮捕されてしまった場合でも、勾留されることなく釈放されるケースが目立ちます。
しかし、交通事件の中でも重い危険運転致死傷罪で逮捕された場合は、勾留されて身柄拘束期間が長くなる可能性が高くなります。
また、軽い事件では今回は大目に見てもらうという意味で、前科も付かずに手続きが終わる不起訴処分になることがありますが、危険運転致傷罪では起訴されて刑事裁判を受けることが多いです。
したがって刑事裁判を受けることを前提とした弁護活動が必要になってきます。
危険運転致死傷罪には罰金刑は法定されていないことから、執行猶予判決を得るための弁護活動を行っていくことが重要となってくるでしょう。
あなたやご家族が交通事故を起こしお困りの方は、ぜひ弁護士にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、危険運転致死傷事件などの交通事件を含む刑事事件専門の法律事務所です。
24時間対応のフリーダイヤル0120-631-881までご連絡ください。
あおり運転で道路交通法違反
あおり運転で道路交通法違反
あおり運転で道路交通法違反となったケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
Aさんは、大阪市西区内を通っている高速道路で、前方を走っていたVさんの車(以下、V車)が追い抜き車線へ車線変更せず前方に進出できないことに憤慨し、V車の後方からヘッドライトを点滅させました。
さらに、AさんはV車の後方約1メートル以内に自車をつけ、約500メートルにわたり走行し続けました。
そうしたところ、Aさんはパトロール中の大阪府西警察署の警察官に当該行為を現認され、道路交通法違反で検挙されてしまいました。
(フィクションです。)
~ あおり運転自体に対する現在の法令、罰則、反則金 ~
昨今、あおり運転がニュースなどで大きく取り上げられています。
このあおり運転についての明確な定義はなく、現在のところあおり運転そのものを処罰する法令、罰則はありません。
警察庁が公表している、あおり運転の例として、
①前方の車に激しく接近し、もっと速く走るよう挑発する
②危険防止を理由としない、不必要な急ブレーキをかける
③後方から進行してくる車両等が急ブレーキや急ハンドルで避けなければならなくなるような進路変更を行う
④左側から追い越す
⑤夜間、他の車両の交通を妨げる目的でハイビームを継続する
⑥執拗にクラクションを鳴らす
⑦車体を極めて接近させる幅寄せ行為を行う
行為が挙げられています。
しかしながら、罰則は①(車間距離保持義務違反)、②(急ブレーキ禁止違反)、④(追い越しの方法違反)、⑦(安全運転義務違反)については3月以下の懲役又は5万円以下の罰金、③(進路変更禁止違反)、⑤(減光等義務違反)、⑦(初心者運転者等保護義務違反)については5万円以下の罰金、⑥(警音器使用制限違反)については2万円以下の罰金又は科料と比較的軽い罰則しか規定されていません。
そして、①から⑦までの行為は全て反則行為とされます。
反則行為を行った場合、「刑事手続」ではなく交通反則通告制度により、上記の懲役、罰金ではなく反則金が科され、納付をすれば刑事手続によらず事件は終了、ということになります。
ちなみに、普通乗用自動車の①(車間距離保持義務違反)、②(急ブレーキ禁止違反)、⑦(安全運転義務違反)の反則金は1万5000円です。
~ 刑法の適用、法改正の動きも ~
もっとも、近年は多発するあおり運転に対応するため、捜査機関は積極的にあおり運転に刑法を適用しています。
警察庁もホームページで、「故意に自車を他人の車に著しく接近させるなどの運転態様、当事者の認識、周囲の道路状況等に照らし、その行為が、相手の運転者に対する有形力の行使と認められる場合には暴行罪(刑法208条)が成立する場合がある」としています。
暴行罪(刑法208条)
暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。
近年、あおり運転に暴行罪が適用された事例としては
2018年4月 愛媛県砥部市 時速20キロから30キロで走行し、急ブレーキを繰り返す
2018年7月 北海道小樽市 約2キロにわたり急接近や幅寄せを繰り返して停止させる
2018年9月 愛媛県西予市 Uターンした後に逆走し、接近して急停止させる
2019年3月 静岡県沼津市 700から800メートルにわたって車間距離を詰めるなどする
2019年4月 佐賀県武雄市 急ブレーキで2度にわたって急停止させる
といった事例が報道されています。
あおり運転で刑事事件となってしまったら、まずは自分にどういった犯罪が成立しうるのか、弁護士に相談してみましょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。
あおり運転事件のご相談ももちろん受け付けておりますので、刑事事件・少年事件でお困りの方は、まずはお気軽に0120-631-881までお電話ください。
24時間、無料法律相談、初回接見サービスの予約受付を承っております。