(事例紹介)暴走行為のほう助で逮捕された事例

2022-12-15

(事例紹介)暴走行為のほう助で逮捕された事例

~事例~

佐賀大前交差点で6月5日にあった暴走行為をほう助したとして、佐賀県警は5日、道交法違反(共同危険行為ほう助)の疑いで3人を逮捕したと発表した。
(中略)
交通指導課によると、建設作業員の男の逮捕容疑は、暴走行為に使われると知りながらオートバイ1台を提供した疑い。ほか2容疑者はオートバイの車体の特徴を隠すためにテープを貼って装飾し、少年らに暴走行為をしやすくさせた疑い。認否は明らかにしていない。
(※2022年12月6日7:00佐賀新聞配信記事より引用)

~ほう助とは~

今回の事例では、「ほう助」という単語が使われています。
ほう助」とは、簡単に言うと、その犯罪をする人が犯罪をしやすくするように手助けをすることを指します。
ですから、例えば、「窃盗罪のほう助」と言った場合には、窃盗行為をするための道具を貸し出すなど、窃盗罪をしやすくする行為をすることを指します。
ほう助については共犯の一種とされており、刑法では以下のように定められています。

刑法第62条第1項
正犯を幇助した者は、従犯とする。

刑法第63条
従犯の刑は、正犯の刑を減軽する。

ほう助犯(幇助犯)は、刑法上「従犯」という扱いになり、「従犯」は正犯=実際に犯罪を実行した人の刑罰よりも減軽されるということになっています。
刑罰の減軽の方法としては、刑法で以下のように定められています。

刑法第68条
法律上刑を減軽すべき一個又は二個以上の事由があるときは、次の例による。
第1号 死刑を減軽するときは、無期の懲役若しくは禁錮又は十年以上の懲役若しくは禁錮とする。
第2号 無期の懲役又は禁錮を減軽するときは、七年以上の有期の懲役又は禁錮とする。
第3号 有期の懲役又は禁錮を減軽するときは、その長期及び短期の二分の一を減ずる。
第4号 罰金を減軽するときは、その多額及び寡額の二分の一を減ずる。
第5号 拘留を減軽するときは、その長期の二分の一を減ずる。
第6号 科料を減軽するときは、その多額の二分の一を減ずる。

~共同危険行為のほう助~

今回の事例では、男性が共同危険行為(道路交通法違反)ほう助であるとして逮捕されています。
共同危険行為とは、道路交通法で禁止されている行為で、大まかに言えば、いわゆる暴走族による集団暴走行為などが当てはまります。

道路交通法第68条(共同危険行為等の禁止)
二人以上の自動車又は原動機付自転車の運転者は、道路において二台以上の自動車又は原動機付自転車を連ねて通行させ、又は並進させる場合において、共同して、著しく道路における交通の危険を生じさせ、又は著しく他人に迷惑を及ぼすこととなる行為をしてはならない。

今回の事例では、逮捕された容疑者らは、少年らが暴走行為をすると知りながら、
・オートバイ1台を提供
・オートバイが特定されにくくなるよう車体を装飾
したとされています。
暴走行為をするためのオートバイを貸したのであれば暴走行為をやりやすくしているといえますし、オートバイが特定されづらいよう装飾することで、少年らが暴走行為をしても自分達が特定されにくくなる=暴走行為をしやすい状況を手助けしているといえるでしょう。
こうしたことから、今回の事例では、共同危険行為(道路交通法違反)のほう助という容疑がかけられているのだと考えられます。

刑事事件では、まさにその犯罪を実行したという人だけではなく、その手助けをした人もほう助犯という形で罪に問われることがあります。
具体的にどういった行為がほう助犯となり得るのか、実際にどういった刑罰が考えられるのかなどは、個別的に事案を検討しなければいけませんから、まずは弁護士に相談してみることをおすすめします。

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