あおり運転で道路交通法違反

2019-12-27

あおり運転で道路交通法違反

あおり運転道路交通法違反となったケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

Aさんは、大阪市西区内を通っている高速道路で、前方を走っていたVさんの車(以下、V車)が追い抜き車線へ車線変更せず前方に進出できないことに憤慨し、V車の後方からヘッドライトを点滅させました。
さらに、AさんはV車の後方約1メートル以内に自車をつけ、約500メートルにわたり走行し続けました。
そうしたところ、Aさんはパトロール中の大阪府西警察署の警察官に当該行為を現認され、道路交通法違反で検挙されてしまいました。
(フィクションです。)

~ あおり運転自体に対する現在の法令、罰則、反則金 ~

昨今、あおり運転がニュースなどで大きく取り上げられています。
このあおり運転についての明確な定義はなく、現在のところあおり運転そのものを処罰する法令、罰則はありません。

警察庁が公表している、あおり運転の例として、

①前方の車に激しく接近し、もっと速く走るよう挑発する
②危険防止を理由としない、不必要な急ブレーキをかける
③後方から進行してくる車両等が急ブレーキや急ハンドルで避けなければならなくなるような進路変更を行う
④左側から追い越す
⑤夜間、他の車両の交通を妨げる目的でハイビームを継続する
⑥執拗にクラクションを鳴らす
⑦車体を極めて接近させる幅寄せ行為を行う

行為が挙げられています。
しかしながら、罰則は①(車間距離保持義務違反)、②(急ブレーキ禁止違反)、④(追い越しの方法違反)、⑦(安全運転義務違反)については3月以下の懲役又は5万円以下の罰金、③(進路変更禁止違反)、⑤(減光等義務違反)、⑦(初心者運転者等保護義務違反)については5万円以下の罰金、⑥(警音器使用制限違反)については2万円以下の罰金又は科料と比較的軽い罰則しか規定されていません。

そして、①から⑦までの行為は全て反則行為とされます。
反則行為を行った場合、「刑事手続」ではなく交通反則通告制度により、上記の懲役、罰金ではなく反則金が科され、納付をすれば刑事手続によらず事件は終了、ということになります。
ちなみに、普通乗用自動車の①(車間距離保持義務違反)、②(急ブレーキ禁止違反)、⑦(安全運転義務違反)の反則金は1万5000円です。

~ 刑法の適用、法改正の動きも ~

もっとも、近年は多発するあおり運転に対応するため、捜査機関は積極的にあおり運転に刑法を適用しています。
警察庁もホームページで、「故意に自車を他人の車に著しく接近させるなどの運転態様、当事者の認識、周囲の道路状況等に照らし、その行為が、相手の運転者に対する有形力の行使と認められる場合には暴行罪(刑法208条)が成立する場合がある」としています。

暴行罪(刑法208条)
暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。

近年、あおり運転に暴行罪が適用された事例としては

2018年4月 愛媛県砥部市 時速20キロから30キロで走行し、急ブレーキを繰り返す
2018年7月 北海道小樽市 約2キロにわたり急接近や幅寄せを繰り返して停止させる
2018年9月 愛媛県西予市 Uターンした後に逆走し、接近して急停止させる
2019年3月 静岡県沼津市 700から800メートルにわたって車間距離を詰めるなどする
2019年4月 佐賀県武雄市 急ブレーキで2度にわたって急停止させる

といった事例が報道されています。
あおり運転刑事事件となってしまったら、まずは自分にどういった犯罪が成立しうるのか、弁護士に相談してみましょう。

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あおり運転事件のご相談ももちろん受け付けておりますので、刑事事件少年事件でお困りの方は、まずはお気軽に0120-631-881までお電話ください。
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