(事例紹介)10代の集団暴走事件 道路交通法違反と共同危険行為

2022-11-05

(事例紹介)10代の集団暴走事件 道路交通法違反と共同危険行為

~事例~

(略)
福岡県警城南署は10日、署付近の歩道を走行するなどの集団暴走をしたとして、福岡市早良区や城南区に住む18~19歳の少年4人を道路交通法違反(共同危険行為)の疑いで福岡地検に書類送検した。
署によると、4人は5月27日午後11時ごろ、バイクに乗って、城南区七隈7丁目の城南署前から早良区荒江2丁目付近まで、約4キロにわたって蛇行運転や信号無視をしながら暴走した疑いがある。
(後略)
(※2022年8月12日12:00YAHOO!JAPANニュース配信記事より引用)

・道路交通法違反と共同危険行為

今回の事例で取り上げたような集団暴走行為は、道路交通法でいう「共同危険行為」にあたることが多く、その場合には共同危険行為をしたことによる道路交通法違反となります。

道路交通法第68条(共同危険行為等の禁止)
二人以上の自動車又は原動機付自転車の運転者は、道路において二台以上の自動車又は原動機付自転車を連ねて通行させ、又は並進させる場合において、共同して、著しく道路における交通の危険を生じさせ、又は著しく他人に迷惑を及ぼすこととなる行為をしてはならない。

道路交通法第68条の条文によると、「道路において二台以上の自動車又は原動機付自転車を連ねて通行させ、又は並進させる場合において、共同して、著しく道路における交通の危険を生じさせ、又は著しく他人に迷惑を及ぼすこととなる行為」がいわゆる共同危険行為になると考えられます。

今回の事例を例に考えてみましょう。
報道によれば、18歳~19歳の少年4人が、バイクに乗って蛇行運転や信号無視をしながら暴走したとされています。
少年らは4人でバイクを運転していたようですから、道路交通法の条文にある「二人以上の自動車又は原動機付自転車の運転者」という主体に当てはまり、かつ、「道路において二台以上の自動車又は原動機付自転車を連ねて通行させ、又は並進させる場合」であったと推測されます。
そして、少年らは一緒に蛇行運転や信号無視をしてバイクを走らせる集団暴走をしたとのことですので、複数人で一緒になって道路上で事故を引き起こすような行為をしたといえます。
こうしたことから、「共同して、著しく道路における交通の危険を生じさせ、又は著しく他人に迷惑を及ぼすこととなる行為」に当たる=共同危険行為をしたと判断され、道路交通法違反で検挙されるに至ったのでしょう。

・10代の集団暴走事件

今回取り上げた事例では、18歳~19歳の少年が複数人で集団暴走をしたと報道されています。
今年の4月、改正民法の施行により、成人年齢は20歳から18歳に引き下げられました。
しかし、少年法上では20歳未満の者は「少年」として扱われ(少年法第2条第1項)、10代の者が罪を犯せば少年法が適用され、原則として家庭裁判所で開かれる審判を受けることになります。
こういった集団暴走事件では、関与した者が暴走族的な集団に属しているかどうかに限らず、仲間内で集団暴走行為に及んでしまうというケースが度々見られます。

少年事件として手続が進んでいく場合には、その後の更生に適切な環境を整えることが求められます。
特に今回のような集団暴走事件では、先ほど触れたように、仲間内で集団暴走をしたというケースが多いため、関係の精算や生活環境の改善が課題となってくることが考えられます。

また、今回取り上げた事例のような、18歳~19歳の少年であった場合、少年事件の手続ではなく、成人の刑事事件の手続同様の扱いとなる可能性もあります。
そうなると、罰金刑となることも考えられますし、場合によっては刑事裁判となる可能性もあります。
手続の見通しを立てるためにも、適切な処分を求めていくためにも、弁護士に相談するなどして専門家の意見を聞いてみることをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、少年の集団暴走による道路交通法違反事件なども取り扱ってきました。
まずは手続の把握や今後の見通しを知りたいという方にも対応できる、初回無料法律相談や初回接見サービスをご用意していますので、お気軽にお問い合わせください。

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