【事例紹介】無免許運転によるひき逃げ事故で逮捕(京都市伏見区)

2022-10-27

【事例紹介】無免許運転によるひき逃げ事故で逮捕(京都市伏見区)

無免許運転交通事故を起こしそのまま逃亡(ひき逃げ)した事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例

京都府警伏見署は17日、自動車運転処罰法違反(無免許過失運転致傷)と道交法違反(ひき逃げ)の疑いで、京都市伏見区、解体業の男(29)を逮捕した。
逮捕容疑は、(中略)無免許でオートバイを運転中、前方を走行していた会社員女性(36)の軽乗用車に追突し、首に捻挫を負わせ、そのまま逃げた疑い。
(後略)
(10月18日 京都新聞 「無免許で軽乗用車に追突、運転女性にけが負わせ逃走 ひき逃げ疑いで男逮捕」より引用)

無免許運転による過失運転致傷罪

おおまかに説明すると、運転中の過失により人にけがを負わせた場合は、過失運転致傷罪が適用されます。

今回の事例の報道によると、おそらく容疑者の男性は被害者が運転する車に追突しようと思って追突したのではないでしょうから、運転中に何かしらの過失があり追突してしまったのだと考えられます。
そして、追突された被害者は首に捻挫(けが)を負っているので、容疑者の男性には過失運転致傷罪の容疑がかけられています。
なお、もしも今回の事例の容疑者が、過失ではなく、被害者にけがを負わせるつもりで追突した場合は傷害罪などの別の罪が適用されることになります。

今回の事例のように、無免許運転により過失運転致傷罪に問われるような事故を起こした場合は、免許を所持した状態での過失運転致傷罪に比べて罪が重くなります。
過失運転致傷罪の量刑は7年以下の懲役もしくは禁錮または100万円以下の罰金(自動車運転処罰法第5条)ですが、無免許運転だった場合には10年以下の懲役(自動車運転処罰法第6条第4項)になります。

報道によると、容疑者の男性は無免許運転をしていたとされており、この報道が事実であれば、容疑者の男性が過失運転致傷罪で有罪になった場合、執行猶予が付かない限り懲役刑が科されることになります。

ひき逃げ

道路交通法第72条第1項では、事故を起こした場合について、以下のことをしなければならないと定めています。

①負傷者の救護
②事故現場等の安全の確保
③警察官への事故の報告

以上の3つは事故を起こした際に必ずしなければならないことですので、今回の事例のように事故を起こしてそのまま事故現場から逃げた場合は道路交通法違反(ひき逃げ)になります。

また、①負傷者の救護や②事故現場の安全の確保を行わずに道路交通法違反で有罪になった場合は、以下のような量刑が科されます。
(ア)被害者がけがをしていた場合
5年以下の懲役または50万円以下の罰金(道路交通法第117条第1項)

(イ)被害者のけがが加害者の運転に起因するものであった場合
10年以下の懲役または100万円以下の罰金(道路交通法第117条第2項)

(ウ)被害者がけがをしていなかった場合
1年以下の懲役または10万円以下の罰金(道路交通法第117条の5第1号)

今回の事例で考えてみると、被害者は捻挫(けが)を負っていますので、(ア)か(イ)のどちらかのパターンが考えられます。
今回の事例の場合、容疑者の過失がなければ追突しなかった場合には、(イ)の容疑者本人の運転が原因でけがをした場合が適当だと考えられます。
しかし、もしも被害者側にも事故の原因の一端があった場合(例えば急ブレーキをかけたなど)には、(ア)が適用されるかもしれません。

ですので、報道内容が事実であった場合に、①負傷者の救護、②安全確保を行わずに道路交通法違反で有罪になれば、容疑者の男性は(ア)~(イ)の中で一番重い10年以下の懲役または100万円以下の罰金が科される可能性があります。

また、③事故を申告せずに道路交通法違反で有罪になった場合には、3月以下の懲役または5万円以下の罰金(道路交通法第119条第1項第10号)が科されます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件に強い法律事務所です。
刑事事件に強い弁護士を付けアドバイスや示談交渉のサポートを受けることによって、手続をスムーズかつ有利に進められることが期待できます。
また、今回の事例のように逮捕されてしまっている場合には、できるだけ早く釈放に向けた弁護活動を行う必要があります。
交通事故により、捜査・逮捕された方は弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

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