(事例紹介)神戸市中央区 無免許当て逃げ事件で逮捕された事例

2022-10-20

(事例紹介)神戸市中央区 無免許当て逃げ事件で逮捕された事例

~事例~

無免許でトラックを運転し、当て逃げ事故を起こしたとして、兵庫県警葺合署は7日、道交法違反(無免許運転、事故不申告など)の疑いで、明石市の会社員の男(62)を逮捕した。
逮捕容疑は7日午前10時20分ごろ、神戸市中央区磯上通1の市道を無免許で運転。上り坂の交差点で信号待ち中にブレーキ操作を誤って後退させ、後続の大型トラックにぶつかったが、そのまま走り去った疑い。容疑を認めているという。
(後略)
(※2022年10月8日8:35神戸新聞NEXT配信記事より引用)

~当て逃げ事件~

今回取り上げた事例では、会社員の男性が無免許運転の末に当て逃げをしたとして、道路交通法違反の容疑で逮捕されています。

当て逃げとは、物損事故を起こしたにも関わらず、事故を起こした際に果たさなければならない義務を果たさなかったことを指します。
道路交通法では、交通事故を起こした際に果たさなければならない義務を定めています。

道路交通法第72条第1項
交通事故があつたときは、当該交通事故に係る車両等の運転者その他の乗務員(以下この節において「運転者等」という。)は、直ちに車両等の運転を停止して、負傷者を救護し、道路における危険を防止する等必要な措置を講じなければならない。
この場合において、当該車両等の運転者(運転者が死亡し、又は負傷したためやむを得ないときは、その他の乗務員。以下次項において同じ。)は、警察官が現場にいるときは当該警察官に、警察官が現場にいないときは直ちに最寄りの警察署(派出所又は駐在所を含む。以下次項において同じ。)の警察官に当該交通事故が発生した日時及び場所、当該交通事故における死傷者の数及び負傷者の負傷の程度並びに損壊した物及びその損壊の程度、当該交通事故に係る車両等の積載物並びに当該交通事故について講じた措置を報告しなければならない。

この道路交通法第72条第1項では、その前段で交通事故があったときには直ちに運転を停止して、負傷者の救護をすること(救護義務)や道路上の危険を防止する措置を取ること(危険防止措置義務)を定めており、後段では、警察などに交通事故を報告する義務(報告義務)を定めています。
これらは運転者に科せられている義務であるため、この義務を果たさなければ道路交通法違反という犯罪になります。

通常、交通事故のうち、人に対して怪我をさせたり人を死亡させてしまったりする人身事故ではなく、物が壊れたというだけの物損事故の場合、上記の道路交通法に定められている義務を果たせば、犯罪が成立することはありません。
物損事故では死傷者がいませんから、上記の道路交通法で定められている義務のうち、救護義務については問題にならないでしょう。
ですから、物損事故の場合は、その物損事故によって道路上に危険がないようにする(危険防止措置義務)とともに、物損事故を警察に届け出る(報告義務)ことをすればよいということになります。
しかし、物損事故を起こした際にこの危険防止措置義務や報告義務を果たさずにいれば、先述のように道路交通法違反となります。
これが一般に「当て逃げ」と呼ばれる犯罪行為になるのです。

今回の事例では、逮捕された男性は後続のトラックにぶつかる交通事故を起こしています。
この交通事故で死傷者が出ていないのであれば物損事故ということになりますから、報告義務などを果たせば刑事事件になることは基本的にはないということになります。
ですが、報道によると運転していた男性は警察への通報などをせずに現場から逃げているようです。
これは、先ほど触れた道路交通法の報告義務を果たしていない=当て逃げをしたことによる道路交通法違反に当たる行為となりますので、男性の逮捕容疑に事故不申告による道路交通法違反が含まれていると考えられます。

「けが人がいないから」「単なる物損事故だから」と通報などを怠れば、当て逃げとなり、道路交通法違反という犯罪が成立します。
当て逃げをすることにより、刑事事件とならずに済んだ交通事故でも刑事事件として立件されたり、逮捕・勾留によって身体拘束を受けたりするため、交通事故を起こしてしまったら、すぐに通報等を行い、道路交通法上の義務を果たすようにしましょう。
それでも、咄嗟の交通事故で気が動転してしまったなどの理由によって当て逃げをしてしまった場合には、すぐに弁護士に相談されることをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、当て逃げ事件についてのご相談やご依頼についても承っています。
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