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【福岡】危険運転致傷罪の共犯で逮捕
【福岡】危険運転致傷罪の共犯で逮捕
Aは、夜間、福岡県北九州市の公道上において、先行するBの運転するB車とともに、互いの速度を競うように自車を走行させていた。
そして、前方の交差点が赤信号であるにもかかわらず、B車とA車はそのまま直進し、横方向から進行してきたV車とB車が激突し、V車を運転していたVに大怪我を負わせた。
福岡県八幡東警察署の警察官は、Aらを危険運転致傷罪の容疑で逮捕した。
Aの家族は、交通事件に強いと評判の弁護士に相談することにした。
(本件は事実を基にしたフィクションです。)。
~危険運転致死傷罪と共犯~
自動車運転死傷行為処罰法は、危険運転致死傷罪などかつては刑法によって規定されていた犯罪を含め、死傷結果を伴う危険な交通犯罪を包括的に定めた法律です。
本件では、同法2条が規定する危険運転致死傷罪のうち、5号の成否が問題となっています。
自動車運転死傷行為処罰法2条5号は、「赤色信号又はこれに相当する信号を殊更に無視し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為」をし、その行為に「よって、人を負傷させた者は15年以下の懲役」に処する旨を定めています。
本件では、Bの行為が上記行為に該当することは明らかであるといえそうです。
問題は、Vが大怪我を負ったのは、直接にはBの上記行為によりV車と接触したことによるものであり、A車自体はV車とは接触していない点です。
直接事故を起こしていないAも、危険運転致傷罪となってしまうのでしょうか。
この点、刑法60条は、「2人以上共同して犯罪を実行した者は、すべて正犯とする」と共同正犯について定めています。
刑法60条の趣旨は、犯罪結果に対して因果性を与えた者を正犯(主犯)として処罰することにあり、共謀とこれに基づく共同実行がその要件とされています。
したがって、AとBの間に共謀があり、これに基づく実行が認められる場合には、(実行もしくは共謀)共同正犯としてAも危険運転致傷行為に対し刑事責任を負うことになる可能性があります。
この点に関して参考になるのが、最決平成30・10・23の最高裁判例です。
判例は、赤信号殊更無視による危険運転致死傷罪(上記2条5号)に関する共同正犯の成否に関し、赤信号を殊更に無視する意思の下、共犯者間において速度を競うようにして、相互の危険を高めあっていたような関係がある場合には、「赤色信号を殊更に無視し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する意思を暗黙に相通じた上、共同して危険運転行為を行ったものといえる」とし、重大事故を起こした先行車のみならず後続車の運転者も共同正犯としての責任を負うとしています。
したがって、本件におけるAも危険運転致傷罪の共同正犯としての刑事責任を負う可能性があるのです。
~共犯事件に対する弁護士による弁護活動~
本件のような共犯事件においては、共犯者(本件ではB)の主張等を的確に把握することが、Aの弁護方針を決めていくにあたっても極めて重要になります。
ここでは、Aへの接見(面会)等によって事実関係を把握することのみならず、共犯者との関係においてAの主張を再検証する必要があります。
そこで、弁護士としては、共犯者との接見(面会)等の可能性も含めた弁護活動を行っていくことが考えられます。
もっとも、共犯者との接触にあたっては細心の注意を払う必要があり、共犯事件の弁護活動においては、刑事事件に対する経験と専門性が不可欠です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、人身事故などの交通事件を含む刑事事件専門の法律事務所です。
共犯事件に関しても、専門性の高い刑事弁護士に相談することをおすすめします。
危険運転致傷事件で逮捕された方のご家族は、年中無休のフリーダイヤル(0120-631-881)まで、お早目にお問い合わせください。
(福岡県八幡東警察署までの初回接見費用:4,1540円)
京都府八幡市のひき逃げ事件
京都府八幡市のひき逃げ事件
~ケース~
Aさんは、京都府八幡市において自動車を運転していたところ、交差点においてバイクを運転していたVさんと衝突した。
Aさんは怖くなってそのまま現場から逃走してしまった。
Vさんは上記の事故により、骨折等全治3か月の重傷を負った。
その後、Aさんはひき逃げを行ったとして京都府八幡警察署に逮捕された。
Aさんは運転当時スマートフォンを操作していたが、Aさんとしては、事故は自分の前方不注視によるものではなく、Vさんの方がAさんの自動車に衝突してきたと主張している。
(この事例はフィクションです)
道路交通法におけるひき逃げとは、交通事故を起こしてしまった場合に救護などの必要な注意を怠ったといえるときに成立するおそれのある犯罪です。
上記の事例において、Aさんは、Vさんの方から衝突してきたと主張していますが、このAさんの主張は、救護措置を採らなかったことについて正当化しうる主張とまではいえず、道路交通法上のひき逃げに該当すること自体は争うことができない可能性が高いです。
もっとも、Aさんには、上記のひき逃げ行為に加えて、そもそも交差点において自車をVさんのバイクに衝突させた行為についても過失運転致傷罪が成立する可能性があります。
過失運転致傷罪は、いわゆる自動車運転処罰法に規定されています。
過失運転致傷罪は、「自動車の運転上必要な注意を怠り」、それによって「人を死傷させた」場合に成立する犯罪であって、この犯罪が成立する場合には、法定刑として7年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金に処されます。
上記の「自動車の運転上必要な注意を怠り」とは、過失があることをいいます。
過失とは、客観的注意義務違反をいい、事故の予見可能性と結果回避可能性を前提とした結果回避義務違反が認められる必要があります。
本件では、Aさんは、あくまでVさんの方がAさんの自動車に衝突してきたと主張しており、Aさんの弁護士としては、本件での事故については必要な注意を払っていても避けられなかったという結果回避可能性がなかったと主張する必要があります。
これはAさんに本件での事故について過失がなかったことという主張にあたります。
もっとも、上記の事例においては、Aさんは事故の際運転中にスマートフォンを操作しています。
この事実は、Aさんが運転当時前方の確認を怠っていたという運転者として一般に課される前方注視義務違反を基礎づける事実であるといえます。
そのため、Aさんの弁護士としては、Aさんに過失がなかったと主張するのであれば、事故とAさんのスマートフォン捜査との間に関係がなく、事故の原因はあくまでVさんの側の過失にあると積極的に主張していく必要があります。
そして上記の事例のような交通事故やひき逃げ事件において、弁護士が行う主な活動としては、被害者との示談交渉も挙げられます。
一般的に、示談交渉が成功し被害者との間で示談が成立した場合、被疑者(上記事例のAさん)に逮捕や勾留といった身柄拘束がなされていれば、その必要がなくなったとして釈放される可能性があります。
また起訴前の段階であれば、被害者との示談が成功したことを理由に不起訴処分がなされ、前科などが付かずにすむ可能性もあります。
もっとも、被害者側が示談交渉について積極的でない場合も多く、事故の当事者間での交渉によって示談を成立させることが極めて困難なことが多いです。
そのため、加害者と被害者の間に弁護士が入って、被害者の被害感情を抑えつつ示談を成立させることが重要になります。
ひき逃げ事件でお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士にご相談ください。
ひき逃げ事件のような刑事事件は、早期に弁護士に依頼する事が、その後の処分に大きな影響を及ぼします。
刑事事件を専門に扱う弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、初回の法律相談は無料となっております。
逮捕された方向けの初回接見サービスも受け付けておりますので、0120-631-881までお気軽にお電話ください。
(京都府八幡警察署までの初回接見費用 38,200円)
速度超過の暴走行為による危険運転致死事件
速度超過の暴走行為による危険運転致死事件
~ケース~
Aさんは、兵庫県尼崎市内の時速50キロメートル制限の公道において、深夜、自動車を時速130キロメートルで走行させていた際、カーブを曲がり切れず、電柱に衝突し、同乗者Vを死亡させてしまいました。
Aさんは自ら兵庫県尼崎東警察署の警察官を呼び、事故を報告しましたが、時速130キロメートルで走行していたことが発覚し、危険運転致死罪の疑いで現行犯逮捕されてしまいました。
(フィクションです)
~危険運転致死罪~
近年、危険運転致死傷罪がメディアで取り上げられることが少なくありません。
上記のケースは、制限速度を大幅に超過した状況で発生した交通事故です。
Aさんに成立する可能性のある危険運転致死罪とは、どのような犯罪でしょうか。
自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律第2条2号によると、「進行を制御することが困難な高速度で自動車を走行させる行為」を行い、よって人を死亡させた場合に危険運転致死罪が成立します(他にもアルコール・薬物の影響下にあった場合、未熟運転であった場合などの類型が存在します)。
「進行を制御することが困難な高速度での走行」とは、速度が速すぎるために道路状況に応じて進行することが困難な状態で自車を走行させることをいいます。
「進行を制御することが困難な高速度での走行」であったかどうかは、具体的な道路状況に応じて判断されます。
Aさんが走行していた道路にカーブが存在していて、時速130キロメートルでは到底カーブに沿って曲がり切れない、という場合には、「進行を制御することが困難な高速度での走行」と判断される可能性が高いと思われます。
危険運転致死罪でAさんが起訴され、上記のような高速度を出していたためにカーブを曲がり切れず、その結果、電柱に衝突したことによりVを死亡させたものと判断され有罪となった場合、Aさんには1年以上の有期懲役が言い渡されることになります。
~逮捕後、Aさんはどうなるか?~
まず、Aさんは兵庫県尼崎東警察署に引致され、取調べを受けます。
警察官の取調べの結果、Aさんに罪証隠滅、逃亡のおそれがあり、身体拘束を行った上で捜査を行うべきであると判断された場合には、Aさんは逮捕時から48時間以内に身柄を検察に送致されます。
検察では、検察官が取調べを行い、身柄を受け取ったときから24時間以内にAさんの勾留を請求するか、釈放するか、あるいは起訴するかが決められます。
勾留請求をされた場合には、裁判官が勾留の要否を判断します。
勾留された場合には、最長10日間、勾留延長がなされた場合にはさらに最長10日間身体を拘束されます。
この間に、事故現場の状況(カーブがどのようなものであったかなど)について調査する「実況見分」という手続きが行われます。
Aさんが現場に連れていかれ、事件の当時について話を聞かれることもあります。
~Aさんの身柄解放活動~
近年、自動車の暴走行為、あおり運転など、異常な運転の末に事故を起こした者に対する批判が高まっており、ことに危険運転致死傷事件については世間からも厳しい目が向けられています。
もっとも、Aさんが上記のように長期間勾留されるとなると、職を失うなど、社会生活への悪影響が懸念されます。
Aさんを勾留するか否か、という判断は、捜査段階の中でも初期に行われます。
そのため、早期に弁護士に身柄解放活動を依頼し、勾留をさせない活動を行うことが重要です。
弁護士は、Aさんに逃亡のおそれ、罪証隠滅のおそれがないことなど、勾留の要件を満たさないことを検察官、裁判官に訴えかけ、勾留請求、勾留決定の阻止に向けて活動します。
~Vの遺族と示談をする~
Vの遺族と示談ができれば、Aさんにとって有利な事情となりえます。
さらに、Aさんについて寛大な処分を求める嘆願書を差し入れてもらうことができれば理想的です。
示談が成立していることは、検察官が起訴、不起訴を決める際、裁判所が量刑を決める際に有利な事情として扱われることが期待できます。
さらに、民事上の紛争を予防する効果も期待することができます。
繰り返しになりますが、身柄解放活動はなるべく早期に開始するべきです。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では24時間、初回接見サービスの受付を行っており、いつでもお電話いただけます。
ご家族、ご友人が兵庫県尼崎市で危険運転致死事件を起こし、逮捕されてしまった方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士にご相談ください。
初回接見サービスのご相談は0120-631-881まで。
兵庫県尼崎東警察署までの初回接見費用:37,000円
大阪府豊能郡の白タク事件
大阪府豊能郡の白タク事件
~ケース1~
A1さんは,大阪府豊能郡内の観光地においてタクシー業を営んでいた。
A1さんは中古で購入したタクシー車両を使用していたが,国土交通省の認可を受けていないいわゆる「白タク」として営業していた。
ある日,大阪府豊能警察署は交通違反取締キャンペーンの一環として,白タクの一斉摘発を行った。
A1さんも白タクを行っていたとして大阪府豊能警察署に道路運送法違反の疑いで逮捕された。
(フィクションです)
~ケース2~
大阪府豊能郡に住むA2さんは運転代行業を営んでいた。
ある日,運転代行の依頼者からお店から駐車場まで少し距離があるので乗せていってほしいと依頼を受けた。
依頼者を駐車場まで乗せていたところ,交通検問中の大阪府豊能警察署の警察官によって発見され,道路運送法違反の疑いで逮捕された。
(フィクションです)
~白タク~
タクシー事業は道路運送法上の「一般旅客自動車運送事業」に当たります。
そして道路運送法では自動車を「事業用自動車」と「自家用自動車」に分けており,自動車運送事業に用いる自動車は事業用自動車である必要があります。
自動車運送事業は国土交通省の運輸局の許認可が必要であり,許認可を受けた場合には,緑(軽自動車の場合は黒)のナンバープレートが交付されます。
その為,許認可を受けているタクシー車両は緑のナンバープレートを使用しますが,許認可を受けていない場合には通常白いナンバーのままになります。
そのため,許認可を受けていないタクシーはナンバープレートの色から「白タク」と呼ばれているようです。
道路運送法は「一般旅客自動車運送事業を経営しようとする者は,国土交通大臣の許可を受けなければならない」と定めています(第4条)。
無許可で一般旅客自動車運送事業を経営した者=つまり,白タクを経営した者は3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金,またはこれらを併科すると定めています(第96条)。
なお,道路運送法は白タクの経営者のみに罰則を科す規定となっていますので,利用者が道路運送法違反となることは原則ありません。
ただし,白タクは他人の自家用車に乗るのと同じことですので,事故などにあった場合に,十分な補償が受けられない可能性があります。
許認可を受けたタクシーであれば,保険加入が義務付けられています(保険加入が許認可の要件の1つ)ので,個人でも法人でも補償を受けることができます。
仮に白タクの運転手が保険に加入していても保険会社が支払わない可能性がありますので,できるだけ利用しない方がよろしいでしょう。
また,タクシーは2種免許が必要ですが,2種免許を取得せずに白タク営業を行うと無免許運転(3年以下の懲役または50万円以下の罰金)となる場合もあります。
~運転代行と白タク~
運転代行業は通常,依頼者の乗用車を運転する者(2種免許が必要)と依頼者の自宅などから帰るための随伴車を運転する者(2種免許は不要)の2人で営業をします。
運転代行の依頼者が短い距離ですが移動のために随伴車に乗せてほしいと依頼するケースは少なくないそうです。
しかし,随伴車に依頼者を乗せる行為はタクシー営業をみなされ,たとえ運転手が2種免許を持っていたとしても随伴車がタクシーとして許認可を受けていない場合には白タク行為とみなされてしまいます。
また,運転代行の依頼者が随伴車に乗せるように要求することは運転代行業者に違法行為をさせていることになりますので,強要罪や道路運送法違反の共犯となる可能性もあります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件専門の法律事務所です。
交通事件の弁護経験が豊富な弁護士が多数所属しております。
白タク行為で逮捕されてしまいお困りの方は0120-631-881までお気軽にご相談ください。
初回接見サービス・無料法律相談のご予約を24時間受け付けております。
(大阪府豊能警察署までの初回接見費用:お電話にてご案内いたします)
埼玉県加須市の少年による交通事故
埼玉県加須市の少年による交通事故
~ケース~
埼玉県加須市に住む高校2年生のAさんは,夜間に原付を運転しての帰宅途中,人通りの少ない道路でVさんと接触してしまった。
Vさんは転倒して全治2週間の怪我を負った。
Aさんは怖くなってそのまま原付を走らせ帰宅した。
帰宅後,とんでもないことをしてしまったと怖くなったAさんは両親に相談した。
Aさんの両親は今後どうすればいいのか,埼玉県加須警察署に自首などをした方がいのかを弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士に相談した。
(フィクションです)
~ひき逃げ~
今回のケースでAさんは,人身事故を起こしそのまま逃走するいわゆる「ひき逃げ」事件を起こしてしまっています。
道路交通法72条1項前段では「交通事故があったときは,当該交通事故に係る車両等の運転者その他の乗務員 (中略) は,直ちに車両等の運転を停止して、負傷者を救護し、道路における危険を防止する等必要な措置を講じなければならない。」と規定されています。
そして道路交通法117条により,人身事故に係る72条の救護義務・危険防止措置義務に違反した場合に罰則が課せられます。
言葉では「ひき逃げ」となっていますが「逃げる」ことは要件とはなっていません。
罰則は5年以下の懲役または50万円以下の罰金,人身事故が「人の死傷が当該運転者の運転に起因する」ものである場合には117条2項により10年以下の懲役または100万円以下の罰金となっています。
~少年による交通事故~
少年が交通事故で警察に検挙・逮捕された場合は,少年事件となりますので成人の刑事事件とは異なる手続きとなります。
成人の場合は検察官に送致され,起訴された後,公開の刑事裁判を経て判決が出されます。
一方,少年事件の場合は家庭裁判所における非公開の審判手続きによって少年の処分が決定されます。
交通事故事件で警察から捜査を受けた未成年については,犯罪の疑いがあると判断されたものは原則としてすべて家庭裁判所に送られ,家庭裁判所で審判を開くか否かの調査を受けることになります。
今回のAさんのケースではひき逃げ,すなわち人身事故における救護義務・危険防止措置義務に違反していますので犯罪の疑いがあるとして家庭裁判所に送致されます。
家庭裁判所に送致された後は,家庭裁判所調査官による調査が実施されますが,在宅で行われる場合と少年鑑別所に送致される場合があり,多くの場合は後者になります。
その後,家庭裁判所による調査を経て審判を開始するかどうかを決定します。
ここで審判不開始となれば当然,少年院などに送致されることはなくなります。
また,審判が開かれた場合には,多くの場合は保護観察処分となります。
ただし,少年の交通違反であっても暴走族に所属していたり,事案が明らかに悪質であったり,同種の前科があるといった場合には少年院送致となる場合もあります。
少年事件の場合,少年本人の性格,不安などからしっかりと自分の言いたいことを主張するのは困難です。
弁護士が,少年本人と面会し,本人の言いたいことを丁寧に聞き取り,交通事故の内容・状況などを把握し,少年本人の言いたいことが通るように警察・検察といった捜査機関や家庭裁判所に働きかけていきます。
弁護士と面会することで少年本人の不安をやわらげることで,取調べなどで虚偽の自白を防いで真の更生につなげることが可能となります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は少年事件・交通事件・刑事事件専門の法律事務所です。
少年事件・交通事件の経験豊富な弁護士が多数所属しております。
お子様が交通事故を起こしてしまった場合やご自身の交通事故でお困りの方は0120-631-881までお気軽にお電話ください。
初回接見サービス・無料法律相談のご予約を24時間受け付けております。
(初回法律相談:無料)
横浜市瀬谷区の飲酒運転事件
横浜市瀬谷区の飲酒運転事件
~ケース~
横浜市瀬谷区在住のAさんは仕事の帰りに居酒屋で飲酒をし,電車で帰宅後,午前0時過ぎに就寝した。
翌日,休みであったAさんは午後1時に私用車を運転し,出かけたところ,交通安全キャンペーンで行われていた検問で呼気検査をした際,基準値を超えるアルコール濃度(0.26ミリグラム)が検出された。
そして,Aさんは道路交通法違反(酒気帯び運転)の疑いで神奈川県瀬谷警察署に現行犯逮捕された。
Aさんは即日釈放されたが,自分が飲酒運転で逮捕されるのはおかしいと思い,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士に弁護を依頼した。
(実際にあった事例を基にしたフィクションです)
~飲酒運転~
いわゆる飲酒運転は,酒気帯び運転と酒酔い運転の2つに大別されます。
酒気帯び運転は道路交通法65条で禁止されており,罰則は117条の2の2第3号で懲役3年以下または50万円以下の罰金と規定されています。
酒気帯びとは,道路交通法施行令44条の3において,呼気1リットルあたり0.15ミリグラム以上アルコールが含まれている状態をいいます。
一方,酒酔い運転は検知されるアルコール濃度に関係なく,「アルコールの影響により正常な運転ができないおそれがある状態」をいいます。
具体的には,直線の上をまっすぐ歩けるかどうか,視覚や運動・感覚機能が正常に働いているかどうか,言動などから判断能力・認知能力が低下していないかなどの点が総合的に判断されます。
この場合には罰則は5年以下の懲役または100万円以下の罰金となります(道路交通法117条の2第1号)。
加えて,行政罰として酒気帯び運転でアルコール濃度が0.15ミリグラム以上0.25ミリグラムの場合は13点ですのでこれだけで90日間の運転免許停止となります。
0.25ミリグラム以上の場合は25点となり免許取消かつ2年の欠格期間となります。
酒酔い運転の場合には35点で免許取消かつ3年の欠格期間となります。
~酒気帯びの認識~
刑事罰は故意処罰が原則(刑法38条)ですので,酒気帯び運転について故意がなければ処罰されないことになります。
酒気帯び運転についてはアルコールが残っていることを認識しながら車を運転するだけで酒気帯び運転の故意が認められます。
一方で,アルコールが残っているとは思わなかったというだけで故意が否定されるわけではありません。
本人がアルコールが残っていないと思う合理的な理由および客観的な事実から一般人をしてアルコールが残っていないと考えられる事実関係が必要となります。
今回のケースでは,Aさんは午前0時過ぎに就寝しており,運転を始めたのは午後1時です。
したがって,飲酒から少なくとも12時間は経過しており,体内にアルコールが残っていないと考える合理的な理由があると考えられそうです。
また,前日の飲酒の量にもよりますが,12時間も経てばアルコールは残っていないと考えるのが一般的でしょう。
したがって,Aさんには酒気帯び運転の故意はなかったといえそうです。
しかし,こういった客観的事実を取調べ等で正しく主張することは簡単ではありません。
今回のケースのような場合には,正しく主張するために,弁護士により取調べに対するアドバイスを受けることなどが重要になります。
また,事実を争うために刑事裁判となった場合にも,客観的事実を正しく主張し,裁判官を納得させるためには,刑事事件の経験豊富な弁護士のサポートが有効です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は全国でも数少ない刑事事件専門の法律事務所です。
交通事件のみならず様々な刑事事件の公判経験豊富な弁護士が多数所属しています。
飲酒運転に限らず刑事事件でお困りの方は0120-631-881までお気軽にお電話下さい。
初回接見サービス・無料法律相談のご予約を24時間受け付けております。
(神奈川県瀬谷警察署までの初回接見費用:36,500円)
酒気帯び運転・過失運転致死事件
酒気帯び運転・過失運転致死事件
~ケース~
Aさんは、深夜、東京都千代田区にある自宅でお酒を飲んでいましたが、勤務先に忘れ物をしたことを思い出し、自家用車で忘れ物を回収しに出かけました。
その道中、Aさんは道路を横断していたVさんに気付かず、ノーブレーキでVと衝突してしまいました。
Aさんは救急車を呼び、Vさんは病院に搬送されましたが、間もなく死亡が確認されました。
Aさんはお酒に強く、事故当時も歩行や会話のレベルに問題はありませんでしたが、現場に駆け付けた警視庁麹町警察署の警察官に飲酒検知をされ、呼気1リットルあたりのアルコール保有量は0.18ミリグラムと判定されました。
その場でAさんは酒気帯び運転の罪及び過失運転致傷罪の疑いで現行犯逮捕されましたが、警察は被疑事実を過失運転致死罪に切り替える予定です。
(フィクションです)
~酒気帯び運転の罪、過失運転致死傷罪~
(酒気帯び運転の罪)
「身体に政令で定める程度以上にアルコールを保有する状態」で自動車を運転した場合、「3年以下の懲役又は50万円以下の罰金」に処せられます(道路交通法第65条1項、117条の2の2第3号)。
「政令で定める程度」とは、血液1ミリリットルにつき0.3ミリグラム又は呼気1リットルにつき0.15ミリグラムです(道路交通法施行令第44条の3)。
Aさんは、飲酒検査の結果呼気1リットルあたり0.18ミリグラムの酒気を帯びて自動車を運転していたことが発覚したので、道路交通法違反の酒気帯び運転の罪が成立する可能性は極めて高いと思われます。
(過失運転致死傷罪)
過失運転致死傷罪は、自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させる犯罪です。
過失運転致死傷罪で起訴され、裁判で有罪が確定すれば、「7年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金」に処せられます。
ただし、裁判所は、被害者の傷害が軽いとき、情状により刑を免除することができます。
ここにいう「自動車の運転上必要な注意」とは、自動車の各種装置を操作し、そのコントロール下において自動車を動かす上で必要な注意義務をいいます。
Aさんには、運転中、道路横断者の有無に注意し、自動車を進行させる注意義務があったと考えられます。
Aさんはその注意義務を怠り、漫然と自動車を進行させてVさんに衝突した過失があると判断される可能性が高いでしょう。
そのような過失によりVさんが死亡したのであれば、過失運転致死罪が成立することになります。
※危険運転致死傷罪は成立しないのか?
酒気帯び運転は一般的に「危険」な運転行為ですが、一般的に「危険」な運転行為であるからといって直ちに危険運転致死傷罪が成立するとは限りません。
自動車運転処罰法第2条1号は、アルコールの影響により正常な運転が困難な状態で自動車を走行させ、よって人を負傷させたときは15年以下の懲役、死亡させたときは1年以上の懲役に処するとしています。
「アルコールの影響により正常な運転が困難な状態」とは、運転操作ができない「おそれ」がある状態では足らず、運転前に千鳥足になっていたとか、ハンドルがうまく操作できない、意識が朦朧としていたなど、運転の困難性を基礎づける事情が必要です。
Aさんは事故当時、歩行や会話のレベルが通常とそれほど相違なかったため、危険運転致傷罪ではなく過失運転致傷罪で逮捕されたものと考えられます。
~弁護士は酒気帯び運転・過失運転致死傷事件で何ができるか?~
一つの事件につき逮捕され、勾留・勾留延長されてしまうと、捜査段階だけで最長23日間もの間身体拘束を受けることになります。
勤務先に酒気帯び運転で人を怪我させ、逮捕されたことを知られれば、飲酒運転に極めて厳しい目が向けられている近年のことですから、解雇されてしまう可能性もあるでしょう。
(勾留をさせない活動)
そこで、弁護士は勾留阻止に向けて活動することが考えられます。
弁護士は、勾留請求を行う検察官や、勾留決定を行う裁判官に働きかけ、Aさんに逃亡、罪証隠滅のおそれがないことを主張します。
弁護士の主張が認められれば、勾留されずに釈放されるでしょう。
ただし、勾留請求や勾留決定は逮捕直後の短い期間に行われるため、この活動は逮捕直後から開始する必要があります。
(勾留決定に対する不服申立て)
勾留されてしまった場合には、勾留の取消等を求める不服申立て(「準抗告」といいます)を行うことが考えられます。
準抗告が認められれば、勾留決定後でもAさんは釈放されることとなります。
(有利な量刑の獲得)
起訴されてしまった場合にも、やはりAさんにとって有利な証拠を示し、可能な限り量刑が軽くなるよう努めます。
被害者遺族への謝罪・示談交渉や再犯防止のための対策を立てること、それらを証拠として主張することが考えられます。
こうした弁護士の活動は事件によって千差万別です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所には、酒気帯び運転・過失運転致死傷事件につき、豊富な解決実績がございます。
ご家族が酒気帯び運転・過失運転致死傷罪で逮捕された方は、まずはお気軽にご相談ください。
(警視庁麹町警察署までの初回接見費用:3万5,900円)
福岡市内のひき逃げ事件
福岡市内のひき逃げ事件
Aさんは深夜、福岡市東区内の県道を自動車で走行中、横断歩道を渡るVさんに気付かず、Vさんに衝突してしまいました。
Vさんは衝突の衝撃を受けて数メートル先に飛ばされ、地面に落下した後動かなくなりました。
Aさんは怖くなってその場から逃走し、自宅に帰宅してしまいました。
次の日、福岡県東警察署からAさんに電話があり、「これから家まで行く。車を見せてほしい」と言われ、非常に不安な状況です。
(フィクションです)
~Aさんに成立する可能性が高い犯罪~
①過失運転致死傷罪と、②救護義務違反の罪(いわゆる「ひき逃げ」)が成立する可能性が極めて高いと思われます。
(①過失運転致死傷罪)
自動車運転処罰法第5条は、自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させる行為につき、7年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金を法定刑として予定しています(裁判所は、傷害が軽いとき、情状により刑を免除することができます)。
罪名は被害者が死亡した場合「過失運転致死罪」となり、被害者は死亡しなかったが、傷害を負った場合には「過失運転致傷罪」となります。
(②救護義務違反の罪)
いわゆる「ひき逃げ」です。
交通事故を起こし、被害者の死傷が運転者の運転に起因するものであるときに、直ちに車両等の運転を停止して、被害者の救護等を行わない場合には、10年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処せられます。
AさんはVさんに衝突した後、Vさんの救護を何ら行わずにその場を立ち去ったので、救護義務違反の罪が成立する可能性は極めて高いと思われます。
~今後Aさんはどうなるか~
ひき逃げは非常に悪質な犯罪であり、逃走した分、逃亡のおそれも肯定されやすいので、後日警察に逮捕される可能性は十分に考えられます。
逮捕されてしまった場合には、まず警察段階で取調べを受けた後、逮捕時から48時間以内に事件を検察に送致されます。
その後、検察官はAさんを取調べた後、24時間以内に勾留請求をするか、釈放するか、あるいは起訴するかを決めなければなりません。
勾留請求をした場合、勾留請求を受けた裁判官が勾留質問(裁判所で行われます)を行い、被疑者を勾留する必要があると判断すると勾留状を発します。
一旦勾留されれば、最長10日間身体拘束が続きます。
さらにやむをえない事由があると認められるときは、勾留延長がなされ、更に最長10日間身体拘束を受けることになります。
その上で、検察官は勾留の満期日までに、被疑者を起訴するか、あるいは不起訴処分にするか、あるいは処分を保留して釈放するかを決めることになります。
~弁護士に身柄解放活動を依頼~
先に説明した通り、一旦勾留されてしまうと、非常に長い期間身体拘束を受け続けることになるので、Aさんの社会生活(会社や学校など)に対する悪影響は甚大です。
Aさんが逮捕されてしまった場合には、Aさんにとって有利な証拠を収集し、検察官や裁判官に勾留の要件を満たさないことを説得して、勾留を阻止する活動を行うことが考えられます。
身のある身柄解放活動を行うには、高度な法律知識を駆使し、外部で積極的に活動する必要があります。
ひき逃げ事件を起こしてしまったら、なるべく早期に弁護士と相談し、弁護活動を依頼するのがベストです。
~被害者と示談を成立させることの重要性~
外部で被害者と示談交渉を行い、成立させることができれば、様々な場面で有利な処分を得られる可能性が高まります。
勾留請求や、勾留決定の際に示談の成立が評価されれば、勾留されずに済む可能性があります。
また、検察官には、被疑者が犯罪を犯したことを立証できる場合であっても、「起訴猶予処分」(不起訴処分の1つ)を行う裁量があり、ここでも示談の成立はAさんにとって有利な証拠となりえます(起訴猶予処分を得られる可能性が高まる)。
もし起訴されてしまった場合には、示談をしない場合と比べて有利な判決を得られる見込みが高まります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所には、刑事事件を専門とする弁護士が多数在籍しており、交通事件の実績も豊富です。
ひき逃げ、過失運転致死傷罪を犯してしまい、お困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
さらに、既に逮捕されてしまった場合、ご家族、ご友人の方は「初回接見サービス(有料)」をご検討ください。
逮捕されてしまった方のもとへ弊所の弁護士がうかがい、取調べ対応の方法、今後の見込みについて助言させていただきます。
(初回無料相談予約、初回接見のご相談は0120-631-881まで)
危険運転致傷罪で逮捕 あおり運転
危険運転致傷罪で逮捕 あおり運転
Aは、京都市下京区内で自らの自動車を運転していたところ、普段から快く思っていなかったV1およびV2が乗った自動二輪車を発見した。
AはV車を追走しながら、著しく接近し、高速度で走行させた結果、Vらは自動二輪車のコントロールを失い地面に転倒した。
その結果、Vらは全治2か月の怪我を負った。
通報を受けた京都府下京警察署の警察官は、Aを危険運転致傷罪の疑いで逮捕した。
なお、Aは積極的な妨害目的があったことを否認している。
Aの家族は、交通事件に強いと評判の弁護士に相談することにした。
(本件は事実を基にしたフィクションです。)
~自動車運転処罰法とあおり運転~
昨今、あおり運転による人身事故が多発し、世間の耳目を集め社会問題と化しています。
このような社会問題化に対応して、あおり運転に関しては暴行罪や殺人罪など適用される罪名も様々なものとなっているのが現状です。
本稿では、旧来は刑法に規定されていた、危険運転致死傷罪のあおり運転に対する適用について解説していきます。
2014年から施行された自動車運転処罰法は、その2条において危険運転致死傷罪を規定しており、同条各号において危険運転行為を類型化しています。
自動車運転処罰法2条4号は、
・「人又は車の通行を妨害する目的で、走行中の自動車の直前に進入し、その他通行中の人又は車に著しく接近し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為」
によって、「人を負傷させた者」(や「人を死亡させた者」)を処罰する旨を規定しており、この規定があおり運転にも適用される可能性があります。
本罪は各号に類型化した危険運転行為の故意が必要となる、結果的加重犯であり、いわゆる交通犯罪に多い過失犯とは異なる点に注意が必要です。
仮に「走行中の自動車の直前に進入し、その他通行中の人又は車に著しく接近し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為」があったとしても、「人又は車の通行を妨害する目的」がなければ4号は適用されないため、上記目的があるかどうかが争点になることが少なくありません。
この点、裁判例(大阪高判平成28・12・13(本稿執筆段階では上告中))は、「人又は車の通行を妨害する目的」とは、
・人又は車の自由かつ安全な通行を妨げることを積極的に意図する場合のみに限られず
・危険回避のためやむを得ないような状況等もないのに人又は車の自由かつ安全な通行を妨げる可能性があることを認識しながら
・あえて「走行中の自動車の直前に進入し,その他通行中の人又は車に著しく接近し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する」場合
も含まれると判断しています。
したがって、弁護士として上記目的がないと主張する場合には、上記目的の積極的な意図が認められないことのみならず、通行妨害が生じる可能性を認識していたとはいえなかったことまで主張することが必要になってくる可能性があります。
~交通事件における弁護活動~
交通事件に関する否認事件では、弁護士自身による現場検証といった調査活動も重要になってきます。
また、事故時における速度の推定など、交通事件においては科学的知見も必要不可欠です。
捜査機関の盲点を指摘するためにも、交通事件については専門知識の重要性は他の犯罪に比べて大きいともいえるでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、危険運転致傷罪などの交通事件を含む刑事事件専門の法律事務所です。
交通事件の弁護活動にも習熟した弁護士が、依頼者様やご家族の要望や疑問にお応えします。
危険運転致傷罪で逮捕された方のご家族は、弊所フリーダイヤル(0120-631-881)までお早めにお問い合わせください。
交通トラブルで正当防衛主張
交通トラブルで正当防衛主張
A車は、神戸市兵庫区の道路で信号が青に変わったにもかかわらずそれに気づかず停車し続けていた。
そのため後続のV車がA車を追い越して発進したところ、青信号に気付いたA車が発進しようとし、両車両は接触しかけ停車した。
これに激高し自車から降りたVは、A車の開いていた運転席の窓から頭を入れ「ぶっ殺すぞ」などと怒鳴り込んだ。
これにおびえたAは自車を徐行発進させたものの、Vが窓枠を掴んだまま怒鳴り続けていたことから徐々にスピードを上げてVを振り払った。
その結果、Vは転倒し、全治1か月の怪我を負った。
Vが警察に相談したことにより、兵庫県兵庫警察署の警察官は、Aを傷害罪の疑いで逮捕した。
Aの家族は、交通事件に強いと評判の弁護士に相談することにした。
(本件は事実を基にしたフィクションです。)
~交通事件と傷害(暴行)罪~
人の負傷などを伴う交通事故事件では、刑事事件となる場合、「道路交通法」や近年新設された「自動車運転処罰法」による処罰が通常と追われるかもしれません。
もっとも、交通事件が傷害罪や暴行罪といった刑法犯によって処罰されることも少なくありません。
本件も、交通トラブルから加害者と被害者とのさらなるトラブルに発展し、傷害罪や暴行罪といった刑法犯の成否が問題になってしまったケースです。
まず、本件Aが自車のスピードを上げVを振り払った行為は「人の身体を傷害」するものといえ、刑法204条の傷害罪に該当します。
傷害罪は暴行罪の結果的加重犯 であり、本罪の成立には傷害に対する故意は必要なく、暴行の故意があれば、傷害罪は成立してしまいます。
では、暴行の故意(刑法38条1項)が認められるのでしょうか。
本件では、Vが窓枠を掴んだままA車を発進させれば、Vの身体に危険が生じることは十分に認識できたといえます。
したがって、暴行の故意が認められ、結果としてVに傷害を負わせている以上、傷害罪が成立するようにも思われます。
~正当防衛を主張する弁護活動~
しかし、Aとしては、Aが上記のような行為に及んだのは、Vによる危害を避けるためであって、これを回避するためにやむを得なかったと主張することが考えられます。
この点、刑法36条1項は、「急迫不正の侵害に対して、自己又は他人の権利を防衛するため、やむを得ずにした行為は、罰しない」と規定し、正当防衛による刑の不成立を定めています。
まず「急迫不正の侵害」とは、法益侵害が現存し、又は間近に差し迫っていることをいい、VはAを「ぶっ殺すぞ」などと脅しており、「急迫不正の侵害」は認められる可能性があります。
また「自己……の権利を防衛するため」とは、防衛の意思を意味するところ、これは急迫不正の侵害を認識しつつ、これを避けようとする単純な心理状態で足り、Aにこのような意思があるのは明らかです。
では、Aの行為は「やむを得ずにした行為」といえるのでしょうか。
「やむを得ずにした行為」といえるためには、防衛行為として相当であることが必要であるとされています。
まず、Vの行為は「ぶっ殺すぞ」などと繰り返し脅すものですが、何ら凶器等も持っていません。
これに対し、Aの行為は自動車の窓枠を掴んだVを、自動車を発進させ徐々にスピードを上げ振り落とすもので、Vの身体や生命への危険性を有する行為といえます。
もっとも、Aは徐々にスピードを上げたにすぎないことや、運転席の窓を閉め警察官を呼ぶなどの行為によってはVによる侵害を避けることができない可能性があったことなどを考えると、Aが車を発進させる以外にVによる侵害を避けることは困難であり、防衛行為として相当性を越えていないということもできるでしょう。
つまり、今回のケースの場合、正当防衛と認められる可能性はあるものの、より事件の詳細を専門的知識によって検討しなければならないということになるでしょう。
このように、正当防衛の成否に関しては相当性の判断が争いになることも多く、その際には弁護士による専門的な判断が不可欠です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、交通事故事件を含む刑事事件専門の法律事務所です。
ご家族が交通トラブルから傷害罪で逮捕されてしまった方は、年中無休のフリーダイヤル(0120-631-881)まで早急にお問い合わせください。