Archive for the ‘交通事故・交通違反の刑事手続’ Category

交通事件と交通反則通告制度

2020-09-19

交通反則通告制度について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~

神奈川県茅ヶ崎市の国道を自家用車で走行していたAさんは、神奈川県茅ヶ崎警察署の警察官に停止を求められました。
法定速度を25キロオーバーしていたとして、交通切符の交付を受けたのですが、Aさんは25キロもオーバーしていた認識はなく、反則金の納付を拒否し、警察署にもその旨を主張しました。
反則行為を争いたいAさんでしたが、このまま反則金納付を許否した場合、どのような手続となるのか心配になり、翌日、交通事件にも対応する弁護士に相談することにしました。
(フィクションです)

交通違反をした際に支払う「反則金」を、刑罰である「罰金」と混同されている方が多くいらっしゃいますが、反則金と「交通反則通告制度」に基づく行政処分で科せられる過料のことを指し、罰金とは、刑事処分の一種です。

交通反則通告制度とは、自動車や原動機付自転車の運転者がした違反行為のうち、反則行為については、一定期間内に郵便局又は銀行に反則金を納めることによって、刑事裁判、少年の場合は家庭裁判所の審判を受けることなく事件が処理される制度のことです。
自動車による交通が増加し、道路交通法違反事件の数が飛躍したことで、検察庁や裁判所の業務に負担をかけることになったため、軽微な交通違反については刑事手続によらず処理することとし、交通反則通告制度が設けられました。

反則行為が発覚すると、交通反則告知書(通称、交通切符、青切符)と反則金仮納付書が交付されます。
告知を受けた日の翌日から起算して7日以内に反則金を納付すれば、納付をもって手続は終了します。

他方、7日以内に反則金を納付しない場合には、通告センターに出頭し、通告書及び納付書の交付を受ける、出頭できなかった場合には、通告書及び納付書が送付されるので、通告を受けた日の翌日から起算して10日以内に反則金を納付することによって手続を終了させることができます。
10日以内に反則金を納付しなかった場合には、刑事手続に移行し刑事裁判、少年の場合には家庭裁判所の審判を受けることになるので留意が必要です。

反則金を納付すれば、刑事手続に移行することなく手続が終了するため、前科が付くことはありません。
ちなみに、前科とは、過去に有罪判決を受けたという事実のことを指します。

無免許運転、飲酒運転、反則行為の結果交通事故を起こした場合には、交通反則通告制度は適用されません。

反則行為を認めている場合、そして反則金を納付することによって刑事手続を避けたい場合には、交通反則通告制度に従い反則金を納付するのがよいでしょう。
しかし、反則行為を認めないのであれば、刑事裁判で争うことになります。

最初に警察官から交付される反則金仮納付書に従って納付せず、次の交付される納付書についても同様に対応した場合には、刑事手続に移行することになり、今度は検察庁から出頭を要請されます。
検察庁では、取調べを受けた上で、略式手続を提示されることになりますが、これについても拒否した場合には、検察官は公判請求をすることになり、刑事裁判がひらかれます。
検察官が、嫌疑不十分での不起訴又は起訴猶予での不起訴となれば、事件は終了となります。
そうでなければ、略式手続を断ると、正式な裁判となります。
反則行為を争う場合には、交通事件にも対応する刑事事件に強い弁護士に相談されるのがよいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、交通事件を含めて刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
交通事件でお困りの方は、弊所の弁護士にお気軽にご相談ください。
無料法律相談初回接見サービスについては、フリーダイヤル0120-631-881にて24時間受け付けております。

駐車場での当て逃げ

2020-09-05

駐車場での当て逃げ事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~

東京都目黒区のスーパーマーケットでの買い物を終えたAさんは、駐車場に停めていた車を発進させました。
Aさんがハンドルを右にきって駐車場を出ようとしたところ、前に駐車してあった車の前方に当ててしまいました。
Aさんは、「たいしたことないだろう。ここは駐車場だから、道路上での事故ではないから、警察に通報しなくてもいいだろうし。」と思い、その場を後にしました。
数日後、警視庁碑文谷警察署の警察官が、Aさんの留守中にAさんの自宅を訪ね、「先日、〇×マーケットの駐車場当て逃げ事件が発生したのですが、被害に遭った車のドライブレコーダーにAさんの車が映っていましたので、お話を伺えればと思いまして。」とAさんの妻に言いました。
Aさんは留守だったため、警察官は「また日を改めて伺います。」と言って帰って行きました。
妻から話を聞いたAさんは、素直に出頭しようと思っていますが、その前に今後の流れについて弁護士に相談することにしました。
(フィクションです)

駐車場での当て逃げ事件は、残念ながら少なくありません。
人身事故ではなく物損事故であることや、被害に遭った車の持ち主がその場にいないことが多いので、「バレないだろう。」と多寡を括り、そのまま駐車場を後にするケースが多いようです。
また、「駐車場内の事故は交通事故ではない。」と思われている方も多いようですが、「駐車場内での事故」は、「交通事故」として処理されないのでしょうか。

道路交通法における「道路」とは

「交通事故」というのは、陸上・海上・航空交通における事故の総称をいいますが、ここでは道路上の交通事故(道路交通事故、自動車事故)を指すものとします。

交通事故の定義を定める主要な法律は、「道路交通法」です。
道路交通法第67条2項によれば、交通事故とは、「車両等の交通による人の死傷若しくは物の損壊」をいいます。
道路交通法上の「車両」には、「自動車、原動機付自転車、軽車両及びトロリーバス」が含まれます。
「交通」とは、道路、すなわち歩道や路側帯をも含めた道路上における交通のことをいいます。
ですので、道路以外の場所で車両等の走行により人が死傷し、物が損壊したとしても、交通事故とはならないのです。
それでは、道路交通法における「道路」とは何を指すのでしょうか。
道路交通法第2条1項1号は、「道路」の意義について、「道路法第2条第1項に規定する道路、道路運送法第2条8項に規定する自動車道及び一般交通の用に供するその他の場所をいう」と定義付けています。
「道路法第2条1項に規定する道路」とは、一般交通の用に供する道で、高速自動車国道、一般国道、都道府県道及び市町村道をいい、トンネル、橋、渡船施設、道路用エレベーター等道路と一体となってその効用を全うする施設又は工作物及び道路の付属物でその道路に附属して設けられているものを含むとしています。
「道路運送法第2条8項に規定する自動車道」とは、専ら自動車の交通の用に供することを目的として設けられた道で、先の道路法による道路以外のものをいいます。
そして、「一般交通の用に供するその他の場所」とは、道路法第2条1項に規定する道路及び道路運送法第2条8項に規定する自動車道を除いた場所において、現実の交通の有無をとらえてこの法律上の道路とするものをいいます。
事実上道路の体裁をなしてい交通の用に供されている私道や、道路の体裁はなしてはいないけれども、広場、大学の構内の道路、公園内の通路といった、一般交通の用に供され開放され、かつ、一般交通の用に客観的にも使用されている場所を指します。
駐車場というのは、基本的に私有地に当たりますが、不特定多数の人、車両等が交通のために利用している場所であれば、道路の形態を備えていなくとも、「一般交通の用に供するその他の場所」に当たり、道路交通法における「道路」に該当することになります。

そのため、「駐車場」での事故は、交通事故として処理される場合もあるのです。

交通事故を起こした場合には、当該交通事故に係る車両等の運転手その他の乗務員は、

①直ちに車両等の運転を停止して、負傷者を救護し、道路における危険を防止する等必要な措置を講じなければならず(救護措置義務)、
②救護措置義務を生じ、必要な措置をとった場合に、当該車両等の運転手は、警察官に対して事故について報告しなければなりません(事故報告義務)。

物損事故の場合、負傷者が出ていないため、警察に報告する義務がないと誤解されていることが多いのですが、事故報告義務は、車両等の交通により人の死傷があったときはもとより、単に物の損壊があっただけの場合においても、その損壊の大小を問わず、また、その交通事故により交通秩序が混乱したかどうか、すでに負傷者が救護されたかどうか等の具体的状況のいかんに関係なく、当該車両等の運転者は警察官に報告しなければなりません。

よって、駐車場内で物損事故を起こし、そのまま立ち去った場合には、道路交通法違反が成立し、刑事責任に問われる可能性があります。

人身事故のひき逃げ事件と比べて、当て逃げ事件においては、身体が拘束された上で捜査がされる可能性は低いでしょう。
しかし、被疑者として取調べを受けることになりますので、取調べ対応や被害者への謝罪・被害弁償等、事件を穏便に終わらせるためにも弁護士に相談の上対応するのがよいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、交通事故にも対応する刑事事件専門の法律事務所です。
交通事故を起こしてお困りであれば、弊所の弁護士にご相談ください。

スピード違反の否認事件

2020-08-15

スピード違反否認事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~

兵庫県明石市の国道を車で運転していたAさんは、兵庫県明石警察署の速度取締で、法定速度の30キロオーバーで赤切符が切られました。
しかし、Aさんは、法定速度を30キロもオーバーした認識はなく、車の速度メーターでも30キロは超えていなかったと記憶しています。
Aさんは、スピード違反否認事件にも対応してくれる弁護士に相談することにしました。
(フィクションです)

スピード違反:道路交通法違反(速度超過)

警察庁によれば、平成29年及び30年に取り締まった道路交通法違反事件のうち、最も多かったのがスピード違反です。

道路交通法は、道路標識等によりその最高速度が指定されている道路においてはその最高速度を、その他の道路においては政令で定める最高速度を超える速度で車両を進行してはならないと定めています。(道路交通法第22条1項)

法令で定める最高速度については、高速自動車国道の本線車道以外の道路における、自動車の最高速度は60キロ、自動車が高速自動車国道の本線車道を通行する場合の最高速度は、車種などによって異なりますが、普通自動車の場合は100キロです。
指定又は法定最高速度を超える速度で走行した場合、例えそれが1キロオーバーであっても、速度超過となり、道路交通法に違反することになります。

道路交通法に違反した場合、行政処分や刑事処分を受けることになります。
ここでいう行政処分とは、道路交通法に基づき、都道府県公安委員会が行う免許取消処分、免許停止処分、免許許否処分、免許保留処分、運転禁止処分のことです。
車両の運転において、道路交通法に規定される違反行為があった場合、違反の程度に応じた違反点数が科せられます。
この違反点数が累積され一定の点数になるなど、所定の条件を満たした場合に行政処分を受けることになります。

また、車両の運転者がした違反行為のうち、反則行為については、一定期間内に郵便局か銀行に反則金を納めると、刑事裁判(少年の場合は家庭裁判所の審判)を受けずに事件が処理される「交通反則通告制度」が適用されます。
速度超過による道路交通法違反において、超過速度が30キロ未満の場合には当該制度が適用されます。
しかし、超過速度が高速自動車国道の本線車道以外の道路において30キロ以上の場合、高速自動車国道の本線車道において40キロ以上の場合には、交通反則通告制度は適用されず、刑事手続がとられ、刑事罰(6月以下の懲役又は10万円以下の罰金)が科される可能性が生じます。

スピード違反の否認事件

多くのスピード違反事件は、走行している車の速度計を基準に検挙するのではなく、何らかの方法で警察官が車の速度を測定し、それに基づいて検挙を行います。
警察が行う測定の方法としてレーダー式の測定や、レーザー光線を用いた測定などが知られています。
しかし、これらの測定が常に100%性格であるとは限りません。
科学技術を用いた捜査が行われる場合、その捜査による結果に信用性が認められるためには、一般に①原理が科学的根拠を有すること②(科学的に)適切な方法により検査等が実施されたことが要求されます。
たとえレーダーやレーザー光線自体の原理が科学的に間違いないないとしても(おそらく、多くは間違いないと思われますが)、その実施方法に問題があれば測定結果等は誤ったものになってしまいます。
たとえば、自動車の速度を機械を用いて図る場合には、自動車と機械の位置関係が重要になってきます。
レーダーで波を照射する角度が異なれば、反射時間等が変化しますし、あくまでも機械の設定上は車が真っ直ぐに走行することを想定していますから、車体が何らかの事情で斜めになっていた場合などには、必ずしも測定結果が正確になるとは限りません(ただし、このような場合でも正確に測定できる場合もあります)。
スピード違反を通告され、実際に走行していた速度について争う場合には、ドライブレコーダーの映像や、タコグラフを用いて争い、同時にスピードの測定方法等を争うことになります。
しかし、この主張は,高度に科学的な問題でもありますから、専門的な知識が必要となります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、交通事件を含めた刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
スピード違反否認事件でお悩みであれば、弊所の弁護士にご相談ください。
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携帯電話使用で交通事故

2020-07-04

携帯電話使用交通事故を起こした場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~

東京都立川市の道路を自家用車で走行していたAさんは、スマートフォンを手に取り、メッセージを確認していたところ、横断歩道があることに気が付かず、横断中の歩行者にぶつかってしまいました。
Aさんは、すぐに車を停車し、歩行者の安否を確認し、すぐに119番通報しました。
幸い、歩行者の怪我の程度は軽く済みましたが、Aさんは駆け付けた警視庁立川警察署の警察官に事故の原因について話を聞かれています。
(フィクションです)

携帯電話使用等に関する罰則の強化

スマートフォンや携帯電話は、今や私たちの生活に欠かすことができない必需品となっていますよね。
しかし、運転中にスマートフォンや携帯電話の画面を注視していたことに起因する交通事故が多く、運転中の「ながらスマホ」が社会的に問題となっています。
運転中のスマートフォンや携帯電話の使用は、スマートフォンや携帯電話に気をとられ、運転をする上での注意義務を欠くことで重大な交通事故を引き起こし得る大変危険な行為です。

令和元年12月1日に施行された改正道路交通法は、携帯電話使用等に関する罰則を強化しました。

(1)携帯電話使用等(保持)

携帯電話を保持して通話する行為や携帯電話の画面を注視する行為が禁止されています。
これに違反した場合、改正前は普通車に対する反則金が6,000円だったのに対し、改正後は18,000円と3倍に引き上げられました。
また、罰則については、改正前が5万円以下の罰金となっていたものが、改正後には6月以下の懲役または10万円以下の罰金と、罰金刑のみならず懲役刑が設けられました。

自動車や原動機付自転車の運転者がした違反行為のうち、反則行為については、一定期間内に郵便局か銀行に反則金を納めると、刑事裁判(少年の場合は、家庭裁判所の審判)を受けずに事件が処理される制度(交通反則通告制度)があります。
ですので、反則金の適用がある場合には、期限内に反則金を納付することで刑事処分を受けることなく事件を終了させることができます。
ただし、反則金を納付しなければ、刑事裁判(少年の場合には、家庭裁判所の審判)を受けることになります。

(2)携帯電話使用等(交通の危険を生じさせた場合)

携帯電話を保持しての通話や画面の注視、カーナビの画面の注視によって交通の危険を生じさせる行為については、交通反則通告制度の適用はなく、罰則は1年以下の懲役または30万円以下の罰金となります。

携帯電話使用で事故を起こした場合

さて、携帯電話を保持して画面を注視したことにより、交通事故を起こしてしまった場合について考えてみましょう。

交通事故は、物損事故と人身事故とに分けられます。

物損事故は、物にぶつかって破損させる交通事故です。
人が乗車している車にぶつかった場合であっても、相手方に怪我を負わせていなければ、物損事故として処理されることがあります。
運転中の携帯電話使用に起因して物損事故を起こした場合には、先述したように交通の危険を生じさせた場合として、道路交通法違反が成立し、法定刑の1年以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられる可能性があります。

他方、人に怪我を負わせた人身事故の場合には、道路交通法違反の他に、自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律で定められる過失運転致死傷罪が成立するでしょう。
この場合、事件内容にもよりますが、公判請求され、刑事裁判を受ける可能性が高いでしょう。

刑事裁判での弁護は、交通事件を含めた刑事事件に精通する弁護士に任せるのがよいでしょう。
迅速かつ適切な弁護活動により、執行猶予判決の獲得を目指します。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、交通事件を含めた刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
交通事故を起こし対応にお困りの方は、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。
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あおり運転で刑事事件に

2020-06-20

あおり運転刑事事件になる場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~

福岡県久留米市の車道を走行していたVさんでしたが、後方の車が急接近するなどのあおり運転を繰り返してきたため、Vさんは恐怖を感じて何とか逃げようと速度を上げました。
後方の車は、追い越し車線でVさんを追い越し、Vさんの前に割り込み、今度は低速度での運転をはじめました。
その車は、急に停止したため、Vさんはその車を回避しようとハンドルを左にきったため、ガードレールに衝突してしまいました。
後日、福岡県久留米警察署は、あおり運転をし事故を誘発したとして会社員のAさんを逮捕しました。
(フィクションです)

あおり運転により成立し得る罪は?

あおり運転は、一般的に、道路を走行する自動車やバイクなどに対して、車間距離を極端に詰めて威圧したり、幅寄せや急停止で運転を妨害するなど、意図して嫌がらせを行う危険行為のことを指します。
あおり運転は、重大な交通事故につながる悪質かつ危険な行為です。

現状、あおり運転については、道路交通法違反や刑法上の暴行罪を適用して対処しています。

1.道路交通法違反

道路交通法は、「あおり運転罪」なる罪を設けているわけではありません。
あおり運転」とみなされる個々の運転行為が、道路交通法に違反するのです。
以下、よくある「あおり運転」の行為についてみていきましょう。

(A)車間距離を必要以上に詰める行為:車間距離所持義務違反

第二十六条 車両等は、同一の進路を進行している他の車両等の直後を進行するときは、その直前の車両等が急に停止したときにおいてもこれに追突するのを避けることができるため必要な距離を、これから保たなければならない。

車間距離所持義務違反の罰則は、高速道路を走行中のケースでは、3か月以下の懲役又は5万円以下の罰金、その他の道路を走行中のケースでは、5万円以下の罰金です。

(B)隣の車線に車を幅寄せする行為:進路変更禁止違反

第二十六条の二 車両は、みだりにその進路を変更してはならない。
2 車両は、進路を変更した場合にその変更した後の進路と同一の進路を後方から進行してくる車両等の速度又は方向を急に変更させることとなるおそれがあるときは、進路を変更してはならない。
3 車両は、車両通行帯を通行している場合において、その車両通行帯が当該車両通行帯を通行している車両の進路の変更の禁止を表示する道路標示によつて区画されているときは、次に掲げる場合を除き、その道路標示をこえて進路を変更してはならない。
一 第四十条の規定により道路の左側若しくは右側に寄るとき、又は道路の損壊、道路工事その他の障害のためその通行している車両通行帯を通行することができないとき。
二 第四十条の規定に従うため、又は道路の損壊、道路工事その他の障害のため、通行することができなかつた車両通行帯を通行の区分に関する規定に従つて通行しようとするとき。

罰則は、5万円以下の罰金です。

(C)急ブレーキをかける行為:急ブレーキ禁止違反

第二十四条 車両等の運転者は、危険を防止するためやむを得ない場合を除き、その車両等を急に停止させ、又はその速度を急激に減ずることとなるような急ブレーキをかけてはならない。

罰則は、3か月以下の懲役又は5万円以下の罰金です。

2.暴行罪

刑法第二百八条 暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、二年以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。

暴行罪の「暴行」とは、「不法な有形力の行使が人の身体に対して加えられる」場合を指します。
殴る蹴るといった暴力のみならず、狭い四畳半の部屋で在室中の被害者を脅かすために、日本刀の抜き身を振り回す行為も「暴行」に当たります。
あおり運転」の場合、車間距離の接近、幅寄せや威嚇といった行為が「有形力の行使」に当たるとみなされると、暴行罪が適用される可能性があります。

このように、あおり運転とみなされる運転行為を行っただけでも、道路交通法違反や暴行罪が成立し、刑事事件として処理されることになります。

あおり運転の結果、事故を起こした場合は?

あおり運転をした結果、交通事故を起こし、人を死傷させてしまった場合には、危険運転致死傷罪(妨害目的運転)に該当する可能性があります。

危険運転致死傷罪とは、以下の行為を行うことにより人を負傷又は死亡させた場合に成立する犯罪です。
①アルコール・薬物の影響により正常な運転が困難な状況で自動車を走行させる行為
②進行を制御することが困難な高速度で自動車を走行させる行為
③進行を制御する技能を有しないで自動車を走行させる行為
④人・車の通行を妨害する目的で、走行中の自動車の直前に侵入し、その他通行中の人・車に著しく接近し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為
⑤赤信号を殊更に無視し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為
⑥通行禁止道路を進行し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為

あおり運転は上の④に該当し得、結果、相手方に怪我を負わせてしまった場合には、危険運転致傷罪が成立する可能性があるでしょう。

あおり運転、危険運転で逮捕されてお困りであれば、交通事件・刑事事件に精通する弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士にご相談ください。

スピード違反による交通事故

2020-06-13

スピード違反による交通事故が起きた場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~

京都府長岡京市の高速道路を時速180キロで走行していたAさんは、前方を走行していた車が車線変更したことに気が付くのが遅く、速度を十分に落とすことができず、前を走っていた車に衝突してしまいました。
前の車に乗車していた夫婦は、怪我をしているようで、通報を受けて駆け付けた救急車に運ばれていきました。
Aさんは、京都府警察の警察官に過失運転致傷および道路交通法違反(速度超過)の疑いで現行犯逮捕されました。
(フィクションです。)

スピード違反について成立する罪

法定速度を超える速度で運転した場合、いわゆるスピード違反は、重大な事故につながるおそれがあることから、道路交通法で厳しく規制されています。
スピード違反は、道路交通法において「速度超過」と呼ばれ、次のように禁止されています。

道路交通法第22条 
車両は、道路標識等によりその最高速度が指定されている道路においてはその最高速度を、その他の道路においては政令で定める最高速度をこえる速度で進行してはならない。

政令で定める最高速度とは、一般道では時速60キロ、高速道路では時速100キロです。
法定速度を1キロでもオーバーすれば速度超過となります。
一般道路において、超過速度が30キロ未満であれば、反則金の納付による行政処分で終了しますが、超過速度が30キロ以上となれば、行政処分ではなく刑事処分の対象となります。
高速道路であれば、超過速度が40キロ以上で刑事手続に付されます。
速度超過による道路交通法違反の罰則は、6月以下の懲役又は10万円以下の罰金です。
お金を納めるという点では、反則金も罰金も同じですが、罰金は刑事罰であり、有罪判決を受けたことが前提となりますので、前科が付くことになります。

スピード違反による交通事故を起こした場合

スピード違反交通事故を起こし、相手に怪我を負わせてしまった場合、以下の罪が成立する可能性があります。

(1)過失運転致死傷罪

自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、7年以下の懲役もしくは禁固または100万円以下の罰金に処される可能性があります。
ただし、その傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができるとされています。

(2)危険運転致死傷罪

危険運転致死傷罪は、次に掲げる行為を行い、よって、人を負傷させる罪です。
①アルコールや薬物の影響により、正常な運転が困難な状態で自動車を走行させる行為。
②進行を制御することが困難な高速度で自動車を走行させる行為。
③信仰を制御する技能を有しないで自動車を走行させる行為。
④人又は車の通行を妨害する目的で、走行中の自動車の直前に進入し、その他通行中の人又は車に著しく接近し、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為。
⑤赤信号等を殊更無視し、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為。
⑥交通禁止道路を進行し、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為。
スピード違反の程度が、②の「進行を制御することが困難な高速度」である場合には、危険運転致傷罪が成立する可能性があります。
「進行を制御することが困難な高速度」であるか否かは、スピードだけでなく、走行していた道路の状況等を考慮して判断されます。
危険運転致死傷罪の刑罰は、人を負傷させた場合は15年以下の懲役、人を死亡させた場合には1年以上の有期懲役と、過失運転致死傷罪よりも重くなっています。

スピード違反交通事故を起こした場合、道路交通法違反や過失運転致死傷罪、場合によっては危険運転致死傷罪が成立することがあります。
多くが正式裁判となり、危険運転致死傷罪で有罪となれば実刑の可能性もあります。
ですので、交通事件にも対応する刑事事件に強い弁護士に相談・依頼し、できる限り寛大な処分となるよう動くことが重要です。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、交通事件を含めた刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
交通事件でお困りの方は、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。

道路交通法違反(乗車積載方法違反)で現行犯逮捕

2020-06-06

道路交通法違反乗車積載方法違反)で現行犯逮捕されるケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~

会社員のAさんは、兵庫県西宮市の国道で、飼い犬のトイプードルを自分の膝の上に乗せて運転していました。
付近をパトロール中だった兵庫県甲子園警察署の署員が、運転席側の窓から顔を出している犬を発見し、Aさんの車に停車するよう呼び止めました。
Aさんは停車しましたが、「犬を運転席には乗せていない。」と容疑を否認して、免許証の提示を拒否しそのまま走り去ろうとしたため、署員はAさんを現行犯逮捕しました。
逮捕の知らせを受けたAさんの家族は、Aさんのことや今後のことが心配になり、すぐに対応してくれる弁護士を探しています。
(実際の事件を基にしたフィクションです。)

道路交通法違反(乗車積載方法違反)とは

道路交通法は、道路における危険を防止し、その他交通の安全と円滑を図り、及び道路の交通に起因する障害の防止に資することを目的とする法律です。(道路交通法第1条)
ざっくり言うと、道路交通法は、主に車両の運転者や歩行者が道路において守るべきルールを定めるものです。
そのルールのなかでも取り締まりの件数が多いのが、携帯電話使用等違反、座席ベルト装着義務違反等、駐停車違反、一時不停止、最高速度違反だと言われています。
上の事例では、乗車積載方法違反に問われているようですが、あまり耳にしない違反ですね。
どのような違反なのでしょうか。

道路交通法第55条2項は、乗車又は積載の方法について次のように規定しています。

車両の運転者は、運転者の視野若しくはハンドルその他の装置の操作を妨げ、後写鏡の効用を失わせ、車両の安定を害し、又は外部から当該車両の方向指示器、車両の番号標、制動灯、尾灯若しくは後部反射器を確認することができないこととなるような乗車をさせ、又は積載をして車両を運転してはならない。

積載装置以外の場所に荷物を積載したり、運転席や助手席の視野を妨げる行為を行う場合に、乗車積載方法違反となります。
犬などのペットを運転席に入れ、膝の上に乗せて運転する場合や、日よけカーテンの装着等が、運転者の視野やハンドル等の操作を妨げるような場合には、乗車積載方法違反となります。

乗車積載方法違反の罰則は、5万円以下の罰金です。
反則金は、普通車6,000円、中・大型車7,000円です。
乗車積載方法違反の場合、通常は反則金を支払うことで事件は終了します。

比較的軽微な道路交通法違反であっても、逮捕されることもあります。
事例において、Aさんは現行犯逮捕されていますが、現行犯逮捕される場合とはどのような場合なのでしょうか。

現行犯逮捕される場合とは

原則として、人を逮捕する場合には、事前に裁判官が発布した逮捕状がなければなりません。
しかし、逮捕状がなくとも逮捕することができる場合もあります。
そのひとつが「現行犯逮捕」です。

現行犯逮捕は、現行犯人に対して行う逮捕です。
現行犯逮捕については、刑事訴訟法第213条で次のように規定しています。

現行犯人は、何人でも、逮捕状なくしてこれを逮捕することができる。

ここでいう「現行犯人」とは、どういった人のことを言うのでしょう。

それについては、刑事訴訟法第212条に次のように規定されています。

第二百十二条 現に罪を行い、又は現に罪を行い終つた者を現行犯人とする。
2 左の各号の一にあたる者が、罪を行い終つてから間がないと明らかに認められるときは、これを現行犯人とみなす。
一 犯人として追呼されているとき。
二 贓物又は明らかに犯罪の用に供したと思われる兇器その他の物を所持しているとき。
三 身体又は被服に犯罪の顕著な証跡があるとき。
四 誰何されて逃走しようとするとき。

つまり、「現行犯人」というのは、「現に罪を行」う者、そして、「現に罪を行い終わった」者のことです。
犯罪が行われた状況や犯罪が終わった状況を目撃し、その犯罪が行われる最中、あるいは、犯罪が行われた後時間を置かずに逮捕することが「現行犯逮捕」です。

また、一定の条件に当てはまる者が罪を行い終わってから間がないと明らかに認めるときは、現行犯人とみなされ、現行犯逮捕が認められます。
この場合を、現行犯人と区別して「準現行犯」と呼びます。
準現行犯とする要件は、
①犯人として追呼されているとき。
犯人として追われている、犯人として呼び掛けられている場合です。
②贓物(不法に領得された財物)や、明らかに犯罪に使われたと思われる兇器その他の物を身に着けて携帯しているような場合。
③返り血を浴びたような血痕が身体や服に付着しているといった、身体や服に犯罪の顕著な証跡が残っている場合。
④警察官から声をかけられて逃げ出そうとしている、呼び止められて逃げようとしている場合。

現行犯人や準現行犯人であっても、30万円以下の罰金、拘留又は科料に当たる軽微な犯罪を行った者については、その者の住居や氏名が明らかでないとき、又は、逃亡のおそれがあるときのみ逮捕することができます。
Aさんは、5万円以下の罰金に当たる軽微な犯罪を行った者と疑われるところですが、その場から走り去ろうとしたため、逃亡の恐れがあると認められ、現行犯逮捕されたのでしょう。

現行犯逮捕された後の流れは、通常の逮捕の場合と同じです。
逮捕から48時間以内に、被疑者は釈放されるか、検察庁に送致されます。
検察庁に送致された場合、検察官は被疑者の身柄を受けてから24時間以内に、被疑者を釈放するか、若しくは勾留請求を行います。
勾留請求されると、検察官からの勾留請求を受けた裁判官が、勾留について判断することになります。
裁判官が勾留の決定をした場合には、検察官が勾留請求をした日から原則10日間、被疑者は警察署の留置場での身体拘束を余儀なくされます。
延長が認められれば、最大で20日間身柄が拘束されることになります。

そのような長い期間身柄が拘束されると、学校や会社に行くことはできませんので、最悪の場合、退学や懲戒解雇となってしまうおそれもあります。
できる限り早い段階での釈放で、その後の生活への支障を最小限に抑えることが重要です。

ご家族が道路交通法違反事件で逮捕されてしまったのであれば、今すぐ刑事事件・少年事件に精通する弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
無料法律相談初回接見サービスに関するお問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881までお電話ください。

反則金の納付を怠り逮捕

2020-04-30

今回は、反則金の納付を怠り逮捕されてしまった場合の弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

~ケース~

Aさんは東京都町田市内の道路において自動車を運転していた際、一時停止の標識を認識したにも関わらず、自動車を一旦停止させずに走行したところを警察官に現認され、交通反則告知書(いわゆる青切符)を切られてしまいました。
しかし、Aさんは取締りに納得がいかなかったため、長期間、反則金の納付をせずにいました。
ある日の早朝、Aさんの自宅に警視庁町田警察署の警察官が数名現れ、逮捕状を示したあと、Aさんを道路交通法違反の疑いで逮捕しました。
Aさんにとって逮捕は青天の霹靂で、驚いています。
どうすればよいのでしょうか。(フィクションです)

~一時不停止について解説~

道路交通法第43条は、
「車両等は、交通整理が行なわれていない交差点又はその手前の直近において、道路標識等により一時停止すべきことが指定されているときは、道路標識等による停止線の直前(道路標識等による停止線が設けられていない場合にあつては、交差点の直前)で一時停止しなければならない。この場合において、当該車両等は、第三十六条第二項の規定に該当する場合のほか、交差道路を通行する車両等の進行妨害をしてはならない」
としています。

さらに、上記に違反する行為につき同法第119条1項2号は、「三月以下の懲役又は五万円以下の罰金」を予定しています。
一時不停止は立派な犯罪行為なのです。

~交通反則通告制度について~

もっとも、一時不停止を犯したからといって、直ちに上記の刑罰を受けるわけではありません。
法令が定める反則金を納付すれば事件は終了し、法廷などに行く必要もありません。
いわゆる青切符の制度であり、自動車を運転する方であれば、殆どの方がご存知でしょう。

正式には「交通反則通告制度」といいます。
最高裁判所は交通反則通告制度を、
「車両等の運転者がした道路交通法違反行為のうち、比較的軽微であって、警察官が現認する明白で定型的なものを反則行為とし、反則行為をした者に対しては、警察本部長が定額の反則金の納付を通告し、その通告を受けた者が任意に反則金を納付したときは、その反則行為について刑事訴追をされず、一定の期間内に反則金の納付がなかったときは、本来の刑事手続が進行するということを骨子とするものであり、これによって、大量に発生する車両等の運転者の道路交通法違反事件について、事案の軽重に応じた合理的な処理方法をとるとともに、その処理の迅速化を図ろうとしたものである」
と位置付けています(最高裁昭和57年7月15日判決)。

道路交通法第128条第2項も、
「前項の規定により反則金を納付した者は、当該通告の理由となつた行為に係る事件について、公訴を提起されず、又は家庭裁判所の審判に付されない」
として、刑事訴追されない旨を明らかにしています。

~Aさんが逮捕されてしまった理由~

ただし前述の通り反則行為は本来、犯罪に該当する行為です。
したがって、反則金を納付しなければ、通常の刑事手続が開始されます。
逮捕の要件さえ満たせば、青切符で済む程度の交通違反であっても、逮捕されてしまう場合があるということです。

ケースには明記していませんが、警察はAさんに対して警告し、反則金を納付するよう求めたと思われます。
これに対して長期間何らの応答もなかったので、「罪証隠滅・逃亡のおそれ」があると判断され、逮捕に至ったものと考えられます。

Aさんが一時停止をしたか、しなかったかを裁判で争う方法はあります。
違反行為を争うつもりであれば、自己判断で青切符を無視せず、弁護士と相談することをおすすめします。

~身柄解放活動を弁護士に依頼~

逮捕されてしまうと、捜査段階で最長23日間、身体拘束を受けることになります。
ケースの事件は、初期の段階で適切な弁護活動を行うことにより、勾留されることなく釈放される可能性が高いと思われます。
まずは弁護士に身柄解放活動を依頼し、今後の善後策を立てて行きましょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
ご家族が道路交通法違反の疑いで逮捕されてしまった方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

実況見分の対応法【交通事故】

2020-04-20

実況見分の対応法【交通事故】

交通事故の後になされる実況見分の対応法について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【事例】
福岡県筑後市に住むAさんは、軽自動車を運転中、交差点を通過しようとしたところ、信号が赤であることに気づかずに交差点に進入したところ、Vさん運転のバイクと衝突。
Vさんは路上に転倒し、Vさんに加療約1か月間の怪我を負ってしまいました。
Aさんは大変なことをしてしまったと思い、車から降り、110番通報しました。

Aさんは現場に駆け付けた福岡県筑後警察署の警察官から「今から実況見分をするのでお時間いただけないか」と言われました。
免許を取り立てで、かつ、交通事故を起こしたのが初めてだったAさんは聞き慣れない言葉に驚きましたが、警察官から「事故状況を明らかにするために行います」と聞き、ひとまず安心しました。

~交通事故を起こしたら?~

まず、交通事故を起こしたら、必ず交通事故現場に留まって被害者の救護活動をし、かつ、警察に電話して事故状況等を報告しなければなりません。
これを怠ると「救護義務違反」「報告義務違反」として処罰の対象となります。

「救護義務違反」の罰則は、交通事故の原因が自分にある場合は「10年以下の懲役又は100万円以下の罰金」、自分に原因がない場合は「5年以下の懲役又は50万円以下の罰金」です。

~実況見分調書とは?~

皆さんも、テレビドラマなどで実況見分という言葉を聞かれたことはあるのではないでしょうか?

実況見分とは、事故や事件の現場を確認する捜査です。
交通事故の場合も、事故後に事故状況を明らかにするために行われます。
そして、実況見分の結果を書類にしたものが実況見分調書です。

実況見分調書は刑事事件、民事事件の両方で活用されます。

刑事事件では、
・起訴、不起訴の刑事処分を判断する
・裁判で有罪・無罪を判断する
ためなどに活用されます。

民事事件では、
・交通事故の加害者と被害者との間で過失割合(交通事故に対する責任の割合)を巡って争いが生じた場合に、事故状況を明らかにする
ためなどに活用されます。

交通事故の加害者、被害者は警察官から実況見分への立ち会いを求められます。
そして、交通事故では、加害者・被害者双方の立ち会いがあることが望ましいとされています。
これは、実況見分の信用性、公平性を担保するためです。
つまり、一方当事者が不在の実況見分では「警察官が立会人に肩入れしたのではないか?」との疑念を持たれかねないからです。

また、双方不在の実況見分では「警察官が勝手に作ったものではないか?」「ねつ造したものではないか?」との疑念を持たれかねないからです。
重症で事故直後の立ち会いが難しいという場合は、怪我の回復を待ってから実況見分への立ち会いを求められます。

実況見分への立ち会いを求められると、今度は、警察官から事故状況に関する聴き取りが始まります。
本件の赤信号の見落としの場合であれば、「信号表示を見落とした原因は何か」、「どの時点で被害者の車に気付いたか」「どの地点で衝突したか」などといったことを聞かれると思います。
そこで話した内容は裁判などで使われる可能性がありますので、適当なことは話さず記憶のまま話すようにしましょう。

~不安があれば弁護士にご相談を~

あなたやご家族が交通事故を起こしてしまった場合、実況見分で話した内容が不利に働くのではないか、今後どのような手続が進んでいくのか、どのくらいの刑罰を受けるのかなど、不安な点が多いと思います。

ぜひ一度、弁護士にご相談いただければと思います。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。
刑事事件・少年事件でお困りの方は、まずは0120-631-881までお電話ください。
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酒気帯び運転で逮捕

2020-04-10

酒気帯び運転で逮捕

今回は、酒気を帯びて自動車を運転してしまった場合における弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

~ケース~
Aさんは、兵庫県神戸市内の居酒屋で酒を飲んだあと、乗ってきた自家用車に乗って帰路につきました。
兵庫県兵庫警察署のパトカーが、左右にフラフラしながら運転するAさんの車を見つけたので、飲酒運転を疑い、停止させました。
呼気検査をしたところ、呼気1リットルにつき、0.20ミリグラムのアルコールが検出されたため、Aさんは道路交通法違反(酒気帯び運転)の疑いで現行犯逮捕されてしまいました。
Aさんはこれからどうなってしまうのか不安に感じています。(フィクションです)

~飲酒運転について解説~

【酒気帯び運転の罪】
身体に政令で定める程度以上にアルコールを保有する状態で車両等(軽車両を除く)を運転すると、酒気帯び運転の罪が成立します。
酒気帯び運転につき起訴され、裁判で有罪が確定すると、3年以下の懲役または50万円以下の罰金に処せられます(道路交通法第117条の2の2第3号)。

「政令で定める程度」とは、「血液1ミリリットルにつき0.3ミリグラム又は呼気1リットルにつき0.15ミリグラム」です(道路交通法施行令第44条の3)。
Aさんは呼気1リットルにつき0.20ミリグラムのアルコールが検出される状態で自動車を運転していたのですから、酒気帯び運転の罪が成立する可能性は極めて高いと思われます。

【酒酔い運転の罪】
酒に酔った状態、すなわち、アルコールの影響により正常な運転ができないおそれがある状態で、道路交通法第65条1項の規定に違反して車両等を運転した場合には、酒酔い運転の罪が成立します。
酒気帯び運転よりも法定刑が重く、5年以下の懲役または100万円以下の罰金が予定されています(道路交通法第117条の2第1号)。

上記の通り「酒に酔った状態」で車両等を運転すれば、身体に保有しているアルコールの程度が酒気帯び運転の基準である「呼気1リットルにつき0.15ミリグラム未満」であったとしても、酒酔い運転の罪が成立することになります。

酒酔い運転か酒気帯び運転かは、被疑者の歩行能力や、直立能力などを確認することにより判別されます。

ケースのAさんは、身体に保有するアルコールの程度が「政令で定める程度」以上でしたが、「酒に酔った状態」ではないと判断されたため、酒気帯び運転の罪で逮捕されたものと思われます。
反対に、Aさんが千鳥足になっていたり、警察官と正常なやりとりができないほどに酩酊していた場合には、酒酔い運転の被疑者として検挙されていた可能性が高いと思われます。

~釈放に向けてどうするべきか?~

Aさんは酒気帯び運転をしましたが、交通事故を起こしたわけではありません。
したがって、刑事手続の初期において、適切な弁護活動を尽くすことにより、数日以内に釈放される可能性もあります。
そのため、すぐに弁護士を呼び、身柄解放活動を依頼することをおすすめします。

釈放に向けた弁護活動について詳しくはこちらをご覧ください。
交通事故・交通違反事件と釈放

~処分・判決はどうなるか?~

Aさんが初犯であれば、略式手続がなされた結果、罰金刑を言い渡される可能性が高いと思われます。

略式手続とは、Aさんの同意があることを前提に、原則として検察官のみの証拠により、書面によって審理する手続です。
略式手続がなされたということは、起訴されたということになりますが、ドラマで見るような法廷に立つ必要はありません。
略式命令により罰金刑を言い渡された後、これを納付することによって事件が終了します。

ただし、Aさんの言い分を裁判官に伝えることはできません。
犯行を認めていない、捜査に違法な点があるといった場合には略式手続に応じず、公開の法廷での正式な裁判を受けることも検討しなければなりません。

どのような方針で行くべきか、事件の内容に応じてアドバイス致しますので、ぜひ一度ご相談いただければと思います。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
ご家族が飲酒運転などで逮捕されてしまった方は、お早めにご連絡ください。

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