道路交通法違反(速度超過)事件

2021-08-07

道路交通法違反速度超過)について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~
京都府木津川市の指定速度制限が40キロである道路を時速75キロで走行したとして、Aさんが道路交通法違反速度超過)の容疑で京都府木津川警察署に検挙されました。
Aさんは、取調べにおいて、「40キロ制限の標識があるなんて知らなかった。自分は法定速度の60キロで走行していたと思っていた。」と主張しています。
取調べ後に、Aさんは自分の主張が通るのかどうか弁護士に相談することにしました。
(フィクションです。)

スピード違反は、道路交通法違反速度超過)であり、程度によっては刑事罰の対象となります。

道路交通法第22条1項は、車両の最高速度遵守義務について次のように規定しています。

車両は、道路標識等によりその最高速度が指定されている道路においてはその最高速度を、その他の道路においては政令で定める最高速度をこえる速度で進行してはならない。

「道路標識等によりその最高速度が指定されている道路」とは、公安委員会が道路交通法第4条の規定に基づき道路標識等を設置して、その最高速度が指定されている道路のことです。
外側が赤い円で囲んであり、中は白色で、その中に青色で規制の速度が書かれている標識がありますよね。
その標識に50と書いてあれば、その道路は時速50キロを超える速度で車を運転してはならないということです。

道路標識等により最高速度が指定されている道路以外の道路においては、政令で定める最高速度を超えて走行してはなりません。
政令で定める最高速度とは、
高速自動車国道の本線車道またはこれに接する加速車線もしくは減速車線を通行する場合の最高速度は、普通自動車については時速100キロです。
高速自動車国道の本線車道やこれに接する加速車線および原則車線以外の道路を通行する場合は、時速60キロです。

最高速度違反に対する罰則は、次の通りとなっています。

第118条 次の各号のいずれかに該当する者は、6月以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。
1 第22条(最高速度)の規定の違反となるような行為をした者
(略)
2 過失により前項第1号の罪を犯した者は、3月以下の禁錮又は10万円以下の罰金に処する。

速度違反の故意犯については、6月以下の懲役または10万円以下の罰金、過失犯については3月以下の禁固または10万円以下の罰金を科すものとしています。
故意とは、罪を犯す意思のことで、故意犯については故意がなければ犯罪は成立しません。
速度違反の場合には、行為者の認識と実際に発生した事実が一致しない場合(これを「事実の錯誤」といいます。)が問題となることがあります。
例えば、警察官の測定速度が時速75キロ、運転者Aが認識した速度が時速65キロ、法定速度が時速60キロの場合、Aが「65キロしか出してない。」と主張しても、それは同一構成要件内で具体的事実に錯誤があったとしても故意を阻却しないという考え方から、Aは5キロ超過分に対する故意犯ではなく、15キロ超過分全体について故意を阻却しないことになります。
故意の成立は、犯罪構成要件事実の認識で足りるとされており、その認識の程度は、必ずしも犯罪構成要件事実を確定的に認識することまで必要とされません。
そのため、「時速60キロを超えていたかもしれない。」という未必的認識であっても故意が認められます。
また、道路標識等によって最高速度が指定されている道路において、運転者がその標識に気付かず、最高速度を超えて走行した場合には、過失犯となる可能性がありますが、標識に気付かなかっただけでなく、運転者が内心法定速度を超えて走行していることを認識していた場合には、指定された制限速度についての認識がなくとも、故意による指定制限速度違反の罪が成立する可能性があります。

速度超過道路交通法違反ですが、超過速度の程度によっては、交通反則通告制度の対象となり、反則金を納めることによって刑事責任の追及を逃れることができます。
一般道では30キロ以上、高速自動車国道では40キロ以上の速度超過であれば、交通反則通告制度は適用されず、刑事罰の対象となります。

Aさんのように故意を争いたいが、自分の主張が通るのかどうか不安だという方は、一度弁護士に相談されるのがよいでしょう。

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