交通事犯で逮捕、保釈で釈放

2021-07-31

交通事犯逮捕され、保釈釈放を目指す場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~
兵庫県神戸市垂水区で人身事故を起こしたAさんは、兵庫県垂水警察署逮捕されました。
Aさんは、飲酒運転により人身事故を起こしており、警察は危険運転致死傷の適用も視野に入れて捜査をしているようです。
Aさんは、接見に来た弁護士に釈放の可能性について聞いています。
(フィクションです。)

交通事犯で逮捕されたら

交通事犯については、全体として厳罰化の傾向にあります。
交通事犯というのは、一般に、自動車運転に係る犯罪のことを意味し、道路交通法違反、過失運転致死傷罪や危険運転致死傷罪などの犯罪のことをいいます。
交通事犯は、単純な無免許運転や飲酒運転(酒気帯び運転、酒酔い運転)のような被害者のいないものから、過失運転致死傷罪や危険運転致傷罪などの被害者がいるものと、その態様は様々です。

そのため、交通事犯逮捕された場合、その後の身体拘束についても、その態様に軽重に比例する傾向にあります。
単純な無免許運転や飲酒運転、スピード違反、被害の程度が比較的軽微である人身事故であれば、逮捕後に勾留されずに釈放される可能性はあります。

勾留というのは、逮捕後に引き続き被疑者の身柄を比較的長期間拘束する裁判とその執行のことをいいます。
検察官からの勾留請求を受けて、裁判官が勾留の要件を充たしているかどうかを検討し、勾留の決定をするかどうかを判断します。
勾留の要件には、①勾留の理由、そして、②勾留の必要性、の2つがあります。
①勾留の理由とは、罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があること、そして、定まった住居を有しないこと、罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があること、あるいは、逃亡し又は逃亡すると疑うに足りる相当な理由があること、のいずれかに該当することです。
これらの理由がある場合であっても、被疑者を勾留することにより得られる利益が極めて弱い場合や、被疑者が勾留によって被る不利益が著しく大きい場合には、勾留の実質的な相当性(必要性)を欠くとして、勾留は認められません。

交通事犯においては、死亡事故等、被害が重大な場合を除いては、身体拘束がなされることが比較的少ないことが特徴です。
ただ、危険運転致死傷罪に当たるような事故を起こした場合には、逮捕後に勾留となる可能性は高まります。
捜査段階での釈放が困難な場合には、起訴後に保釈を利用して釈放されることを目指します。

保釈で釈放を目指す

一定額の保釈保証金を納付することを条件として、被告人に対する勾留の執行を停止し、その身柄拘束を解く裁判及びその執行を「保釈」といいます。
保釈は、起訴された段階から請求することが出来ますが、起訴前の被疑者勾留では請求することは出来ません。
保釈には、以下の3つの種類があります。

1.権利保釈(必要的保釈)
裁判所は、権利保釈の除外事由に該当しない場合には、保釈請求があったときは、原則として保釈を許可しなければなりません。
除外事由は、以下の通りです。
①被告人が、死刑又は無期若しくは短期1年以上の懲役若しくは禁固に当たる罪を犯したものであるとき。
②被告人が、前に、死刑又は無期若しくは長期10年を超える懲役若しくは禁固に当たる罪につき有罪の宣告を受けたことがあるとき。
③被告人が常習として長期3年以上の懲役又は禁錮に当たる罪を犯したものであるとき。
④被告人が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由のあるとき。
⑤被告人が、被害者その他事件の審判に必要な知識を有すると認められる者若しくはその親族の身体若しくは財産に害を加え又はこれらの者を畏怖させる行為をすると疑うに足りる相当な理由があるとき。
⑥被告人の氏名又は住居が分からないとき。

2.裁量保釈(任意的保釈)
裁判所は、上の権利保釈の除外事由がある場合であっても、適当と認めるときは、職権で保釈を許可することが出来ます。

3.義務的保釈
裁判所は、勾留による拘禁が不当に長くなったときは、請求により、又は職権により、保釈を許可しなければなりません。

危険運転致死傷罪という重い罪であっても、単独犯であり組織的な背景がないことが多いですから、罪証隠滅のおそれはそれほど高いものではなく、保釈が認められる可能性はあります。

交通事犯逮捕され、捜査段階での釈放が困難な場合には、起訴後すぐに保釈を請求し、保釈が認められるよう事前に準備しておくことが必要があります。

交通事犯逮捕され、早期釈放をお望みであれば、刑事事件に強い弁護士にご相談ください。

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