Archive for the ‘交通事故・交通違反の刑事手続’ Category

デリバリー自転車事故を起こしたら

2020-12-05

デリバリー自転車事故を起こした場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~
自転車を使用して飲食店のデリバリー業務に従事している大学生のAさん(20歳)は、埼玉県さいたま市浦和区の歩道の左側を通行中、左手の路地から出てきた歩行者と衝突してしまいました。
歩行者は転倒した際にお尻を強く地面に打ち付けたようですぐには立ち上がれない様子でした。
歩行者は、その後、救急搬送されましたが、幸い命には別条ないとのことでした。
Aさんは、現場に駆け付けた埼玉県浦和警察署の警察官から事情を聴かれており、そのまま警察署で取調べを受けることになりました。
警察官からは、過失傷害か重過失傷害事件として処理することになると言われたAさんは、今後どのように対応すべきか分からず不安でたまりません。
Aさんは、翌日、両親と一緒に、自転車事故に対応してくれる弁護士に相談することにしました。
(フィクションです)

デリバリーの自転車事故の急増

コロナ感染防止対策として家で過ごす時間が増えたことに比例し、デリバリーの需要も急速に増えています。
特に、自転車を使用してのデリバリーが急増しており、それに伴って、デリバリー自転車事故も増加傾向にあります。
スピードを出して走行していた自転車が歩行者とぶつかり、相手方に怪我を負わせてしまうというケースは少なくありません。
今回は、自転車事故を起こした場合、つまり、加害者となった場合について説明していきます。

自転車事故を起こした場合

自転車事故を起こしてしまい、相手方に怪我を負わせてしまった場合には、自動車で事故を起こしたときと同じように、相手方に生じた損害を賠償しなければなりません。
自転車の場合、加害者が自転車事故にも対応する保険に加入していないことが少なくありません。
保険に加入していなければ、損害賠償金を全額負担しなければなりません。
また、保険に加入している場合であっても、相手方との交渉が保険の補償内容に組み込まれていないことも多く、加害者が直接相手方と交渉しなければなりません。
どのように賠償額を決めればよいのか分からず、また、相手方との交渉が過度なストレスになり精神的に参ってしまう方も多くいらっしゃいます。

そのような場合には、弁護士を介して交渉を依頼されるのがよいでしょう。
法律の専門家である弁護士は、妥当な過失割合や怪我の程度から適切な賠償額となるよう、当事者の間に入り、冷静な交渉を行うことが期待されます。
交渉の結果、示談が成立することができれば、最終的な刑事処分にも大きく影響してきますので、早期に弁護士を介して被害者との示談交渉を行うのがよいでしょう。

自転車事故を起こし、相手方に怪我を負わせてしまった場合には、損害賠償責任のみならず、刑事責任が問われる可能性があります。
自転車事故の場合、過失傷害、過失傷害致死、重過失傷害致死といった犯罪が成立することがあります。

自転車事故の発生を受けて、警察は捜査を開始します。
自転車事故の加害者は、警察での取り調べを受けた後、今度は検察官により取り調べを受けることになります。
そして、検察官は、加害者である被疑者について起訴するか否かを判断します。
ここで、起訴しないとなれば、不起訴処分で事件は終了します。
起訴されていないため、有罪となることもなく、前科も付きません。
不起訴処分の獲得のためには、被害者との示談を成立させることが重要です。

一方、怪我や過失の程度によっては、不起訴処分獲得が難しいこともあります。
そのような場合には、略式手続がとられたり、公判請求となることがあります。
略式手続となれば、前科は付きますが、書類上の手続で済むため、法廷に立つ必要はありません。

自転車事故の内容にもよりますので、早期に刑事事件に強い弁護士に相談し、できる限り穏便に事件を解決できるよう対応することが重要でしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、交通事故を含めた刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
無料法律相談初回接見サービスに関するご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881で24時間受け付けております。
まずは、お気軽にお電話ください。

交通事件に強い弁護士

2020-11-28

交通事件に強い弁護士に弁護活動を依頼するメリットについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~

神奈川県厚木市の交差点で、自家用車を運転していたAさんは、横断中の歩行者とぶつかってしまいました。
Aさんは、すぐに車から降り、倒れた歩行者の容態を確認し、救急車を呼びました。
現場に駆け付けた神奈川県厚木警察署の警察官は、Aさんに事情を聴いていますが、Aさんに飲酒の疑いが出たため、呼気検査をしたところ、基準値を超えるアルコール濃度が検出されました。
Aさんは、過失運転致傷および道路交通法違反(酒気帯び運転)の疑いで逮捕されました。
逮捕の連絡を受けたAさんの妻は、家族と話し合った結果、急いで交通事件に強い弁護士に法律相談することにしました。
(フィクションです)

交通事故は、車両を運転する人なら誰しもが起こす可能性のあるものです。
交通事故を起こした場合、行政処分のみならず、刑事処分をも受けることがあります。
例えば、人身事故を起こした場合には、「自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律」に規定される「過失運転致死傷罪」や「危険運転致死傷罪」、あるいは「準危険運転致死傷罪」が成立する可能性があります。
また、交通事件であっても、逮捕・勾留といった身体拘束を受けることもあります。
交通事故を起こし、被疑者・被告人として刑事手続に付された場合には、被疑者・被告人となった方は、いつでも弁護人を選任することができます。

1.取り調べ対応についてのアドバイス

交通事故を起こし、刑事事件として事件が処理されると、事件を起こした方は、捜査機関から取り調べを受けることになります。
法律や手続について精通しているという一般の方はそう多くありませんので、捜査機関からの取り調べを受けるにあたって、どのように対応するべきかについて不安に思われることでしょう。
特に、逮捕・勾留されている場合には、取調べに応じなければならず、自由に取調室を出入りすることはできませんので、精神的に追い詰められ、取調官の誘導に乗り、自己に不利な内容の供述調書が作成されたり、違法な取調べにより事実とは異なる供述をしてしまうおそれもあります。
逮捕・勾留されていない場合であっても、取調室という特殊な空間に身を置かれた状態では、取調べを受ける方の心境も同様でしょう。

そのような不安を取り除き、必要以上に不利な供述がとられないよう、事前に弁護士から取調べの適切な対応方法についてアドバイスを受けておくことが重要です。

2.身柄解放活動

逮捕・勾留されてしまったら、できる限り早期に釈放されたいと願われることでしょう。
身体拘束が長引けば長引くほど、会社や学校に行くことができない期間も延びますし、それによって被る不利益は小さくありません。
そのような事態を回避するためにも、早期に弁護士に依頼し、身柄解放活動に着手することが重要です。
弁護士は、逮捕後、勾留に付されないよう、勾留の要件を充たしていない旨を客観的証拠に基づき、検察官や裁判官に説得的に主張します。
勾留が決定した後であっても、勾留に対する準抗告を行い、不要・不当な身体拘束からの解放に向けて活動します。

3.被害者対応

人身事故の場合、自動車保険の保険会社を通じて、被害者との示談交渉を行うことが多いのですが、被害者対応を保険会社に丸投げした結果、被害者の処罰感情が消えず、最終的な処分にも大きく影響してしまうことがあることに注意が必要です。
保険会社の示談交渉とは別に、弁護士を介して示談交渉を行い、刑事処罰を望まない旨の合意を成立させることができれば、最終的な処分にも良い方向で影響する可能性を高まるでしょう。

4.不起訴獲得、無罪判決、執行猶予付判決獲得に向けた活動

容疑を認める場合には、起訴猶予での不起訴処分の獲得、執行猶予付判決の獲得を目指し、被疑者・被告人に有利な事情を収集・主張します。
否認・無罪を主張する場合では、被疑者・被告人に有利な証拠を探し出し、無実・無罪を証明する、検察官提出の証拠を精査し、その信頼性・信用性に疑問があることを主張し、裁判で証拠とすることができないよう訴えるといった弁護活動を行います。

このような活動は、交通事件に強い弁護士に任せるのがよいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、交通事件にも対応する刑事事件専門の法律事務所です。
ご家族が交通事件で逮捕されてお困りであれば、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。
無料法律相談初回接見サービスに関するご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881で24時間受け付けております。

自転車であおり運転

2020-11-21

自転車あおり運転をし摘発される場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~
東京都東村山警察署は、Aさんを道路交通法違反(妨害運転)の疑いで逮捕しました。
Aさんは、東京都清瀬市の道路を自転車で走行中、道路中央に飛び出すなどの蛇行運転を繰り返しており、Aさんの後方を運転していたWさんが警察に通報し、ドライブレコーダーの映像からAさんを割り出すに至ったとのことです。
(実際の事件を基にしたフィクションです)

先月、自転車による妨害運転、いわゆる「あおり運転」を行ったとして、埼玉県警は、県内の男性を逮捕したとのニュースが報道されました。
あおり運転自転車の運転者を逮捕するのは全国初ということです。

道路交通法違反(妨害運転)とは

道路を走行する自動車、自動二輪、自転車などに対して、周囲の運転者が、極端な幅寄せをしたり、車間距離を詰めたり、クラクションを必要に鳴らしたりするなどして、道路における交通の危険を生じさせる行為のことを、「あおり運転」と呼びます。
近年、あおり運転に起因した悲惨な事故が多発したため、あおり運転に対しての厳罰化を望む声が高まっていました。

そのような声に答える形で、2020年6月30日に施行された改正道路交通法では、あおり運転に関する行為を処罰する規定が盛り込まれています。

【妨害運転(交通の危険のおそれ)】
他の車両等の通行を妨害する目的で、以下の行為であって、当該他の車両等に道路における交通の危険を生じさせるおそれのある方法によるものをした者は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
①通行区分違反
②急ブレーキ禁止違反
③車間距離の不保持
④進路変更禁止違反
⑤追越しの方法違反
⑥車両等の灯火違反
⑦警音器の使用等違反
⑧安全運転義務違反
⑨最低速度違反(高速道路)
⑩高速道路等における駐車違反

【妨害運転(著しい交通の危険)】
妨害運転により、高速道路等において他の自動車を停止させ、その他道路における著しい交通の危険を生じさせた者は、5年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。

以上のように、妨害運転、いわゆるあおり運転に該当する行為をおこなった場合には、それにより事故を起こさなくても、道路交通法違反として厳しく処罰されることになっています。

自転車であおり運転をした場合にも適用されるの?

それでは、道路交通法における妨害運転は、自転車にも適用されるのでしょうか。

上の妨害運転のうち、⑥⑨⑩を除く以下の行為については、軽車両に当たる自転車による行為についても適用されます。
①通行区分違反
②急ブレーキ禁止違反
③車間距離の不保持
④進路変更禁止違反
⑤追越し違反
⑦警音器使用制限違反
⑧安全運転義務違反

自転車あおり運転を行った場合も、自動車の場合と同様の罰則が科される可能性があります。
また、自転車によるあおり運転行為を含む危険行為で3年以内に2回以上検挙された場合、都道府県公安委員会により、自動車運転者講習の受講が命じられます。
この講習命令に従わない場合には、5万円以下の罰金が科される可能性があります。

自転車であってもあおり運転行為により検挙される、場合によっては逮捕されることもありますので、十分注意して運転するよう心がけましょう。

ご家族が交通事件で逮捕されて対応にお困りの方は、今すぐ弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
交通事件にも対応する刑事事件専門弁護士が対応します。
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交通事件で刑事裁判

2020-11-07

交通事件刑事裁判を受けることになった場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~

福岡県春日市の住宅街で車を走行していたAさんは、左の路地から出てきた自転車に気付くのが遅れ、Aさんの運転する車は自転車と衝突しました。
Aさんは、すぐに車を停め、転倒した相手方の様態を確かめたところ、負傷していたので救急車を呼びました。
相手方は救急搬送され、命に別状はないものの全治2か月の怪我を負っています。
Aさんは、福岡県春日警察署で取り調べを受けた後、福岡地方検察庁に呼び出しを受け出頭しました。
Aさんは、過失運転致傷で起訴され、福岡地方裁判所刑事裁判を受けることになりました。
Aさんは、裁判所から弁護人を付けるよう言われたため、交通事件に詳しい弁護士を探しています。

自動車を運転して交通事故を起こし、人に怪我を負わせたり、死亡させてしまうと、多くの場合、「自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律」(通称、自動車運転処罰法)が適用されることになります。
自動車運転処罰法に規定される罪のなかでも、自動車を運転する上での注意義務に反した結果、事故を起こし、人を死傷させた場合には、「過失運転致死傷罪」が、自動車の危険な運転によって人を死傷させた場合には、「危険運転致死傷罪」が成立する可能性があります。
「過失運転致死傷罪」の法定刑は、7年以下の懲役もしくは禁固または100万円以下の罰金です。
過失運転致傷事件では、運転行為の態様、相手方の怪我の程度、被害者との間に示談が成立しているか否かといった点により、不起訴となる可能性もありますし、略式手続に付され罰金が科されることもあります。
不起訴や略式起訴となれば、正式な刑事裁判を受けることはありません。
過失運転致傷事件で正式な刑事裁判となるのは、相手方が死亡している事件や被害者の怪我の程度が重い事件、飲酒運転に起因する事故やひき逃げ事件などといった単に過失運転致死傷罪だけでなく他の罪にも問われている事件などです。

一方、危険運転致死傷罪の法定刑は、人を負傷させた場合は15年以下の懲役、人を死亡させた場合は1年以上の有期20年以下の懲役であり、懲役刑の規定しかありません。
危険運転致死傷事件では、起訴されると正式な刑事裁判を受けることになります。

検察官が公判請求をすると、事件は公開の法廷で審理されます。
被告人は、公判廷に出頭しなければなりません。
原則、被告人がいないときは、開廷することができません。
もちろん、公判期日に出頭するだけでは、被告人は自身の権利・利益を十分に擁護することはできません。
被告人の権利・利益を代弁する、法律の専門家である弁護人による援助が欠かせません。
被告人は、いつでも弁護人を依頼することができます。
弁護人の出頭は、一般的には開廷の要件ではありませんが、死刑または無期もしくは長期3年を超える懲役もしくは禁固に当たる事件を審理する場合には、弁護人がいなければ開廷することができません。
このような事件を、「必要的弁護事件」と呼びます。
交通事件の場合、過失運転致死傷罪または危険運転致死傷罪に問われることが多いのですが、これらの法定刑は重く、必要的弁護事件に該当します。
ですので、起訴後に弁護人がついていない場合には、裁判所は被告人に弁護人選任についてどうするか確認します。
弁護人には、被疑者・被告人が貧困などの理由で私選弁護人を選任することができない場合に、国がその費用で弁護人を付ける「国選弁護人」と、自分で選任し費用も自己負担する「私選弁護人」とがあります。
どちらも弁護人であることに違いはありませんが、自分で選択できるという点が大きな違いでしょう。
もちろん、私選弁護人を選任すれば、費用を自己負担することになるので、経済的負担は大きくなりますが、交通事件や刑事事件に強い弁護士であれば、安心して弁護を任せられます。

交通事件で公判請求されてお困りの方は、一度弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
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交通事件における身体拘束からの解放

2020-10-31

交通事件における身体拘束からの解放に向けた活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~

会社の仲間と酒を飲んだ後に、車を運転して帰宅しようとしていたAさんは、交差点で横断中の歩行者を見落とし、はねてしまいました。
飲酒運転がばれると思ったAさんは、倒れた歩行者を助けることなく、その場を後にしました。
しかし、後日、Aさんは、京都府舞鶴警察署の警察官に過失運転致傷、道路交通法違反の疑いで逮捕されることとなりました。
Aさんは、おおむね容疑を認めていますが、この先いつ釈放されることになるのか不安で仕方ありません。
(フィクションです)

交通事件における身体拘束

あなたが交通事故を起こし、何らかの罪が成立する場合、捜査機関が捜査を行う上で身体拘束が必要であると判断した場合、あなたの身柄は確保される可能性があります。
特に、人身事故や無免許、飲酒運転、ひき逃げ事件については、逮捕されることが多いでしょう。
多くが捜査機関に発覚したときに、その場で逮捕される(現行犯逮捕)されますが、ひき逃げであれば、その後の捜査の結果、犯人であることの証拠を一定程度収集した後に、逮捕令状を持って捜査機関が自宅などに来て逮捕することになるでしょう。

逮捕は、比較的短時間(最大で48時間)被疑者の身柄を拘束する強制処分のことですが、捜査を行う上で、逮捕後も引き続き被疑者の身柄を拘束する必要があると判断される場合には、「勾留」に付される可能性があります。

勾留は、被疑者・被告人の身柄を比較的長期間拘束する強制処分です。
逮捕に引き続いての勾留を「被疑者勾留」と呼びます。
逮捕から48時間以内に、警察は被疑者を釈放するか、検察に被疑者の身柄を証拠書類などと共に送ります。
検察に当該事件についての処理を引き継ぐ手続を「送致」と呼び、検察官が事件についての最終的な処分を決めます。
具体的に言えば、被疑者を起訴するか否かの判断であり、この判断は検察官だけが行うことができます。
検察官は、事件を受理すると、事件処理を行うのですが、通常は事件を受理してすぐに処理についての判断をすることはできませんので、引き続き捜査を行った上で最終的な処分を決定します。
そのために被疑者の身柄を引き続き拘束する必要があると考える場合には、検察官は裁判官に対して当該被疑者についての勾留請求を行います。
検察官からの勾留請求を受けて、裁判官は、被疑者と面談をし、送られてきた書類を見た上で、当該被疑者を勾留に付すか否かを判断します。
裁判官が勾留の決定をなせば、検察官が勾留請求をした日から原則10日間、被疑者は引き続き身体拘束を受けることになります。
勾留期間の延長が必要だと検察官が判断すれば、検察官は勾留延長の請求をし、請求を受けた裁判官は勾留延長の許否について判断します。
延長が認められれば、身体拘束の期間は最大で勾留請求の日から20日となります。

身柄事件では、検察官は身体拘束の期限内に起訴・不起訴の判断をします。
この期間中に判断が難しい場合には、最終的な処分を保留して被疑者の身柄を釈放することもあります。

検察官が公判請求をすると、被疑者は「被告人」となり、勾留は「被告人勾留」に切り替わります。
被告人勾留の勾留期間は、原則、公訴の提起があった日から2か月です。
特に継続の必要がある場合においては、1か月毎に更新されます。
逮捕から判決の言い渡しまで身体拘束が継続し、実刑判決となった場合には、そのまま刑務所に入ることになり、一度も外に出ることがないといった事態もあり得なくはないのです。

身体拘束からの解放に向けた活動

最終的にどのような結果になるにしろ、長期の身体拘束は、被疑者・被告人だけでなく、その家族にも多大なる不利益を生じるおそれがあるため、可能な限り避けるべきです。

弁護士は、できる限り早期に釈放となるよう、段階毎に身柄解放活動を行います。

1.捜査段階

逮捕された場合、勾留を回避すべく関係機関に働きかけます。
検察官に事件が送致されたタイミングで、意見書の提出や面会を行うなどして検察官に勾留請求しないよう働きかけます。
ここで、検察官が勾留請求をする必要がないと判断すれば、被疑者は釈放されることになります。

検察官が勾留請求を行った場合には、今度は裁判官に対して、意見書の提出や面談を通じて、勾留の要件を充たさないことを主張し、勾留をしないよう働きかけます。
裁判官が、検察官の勾留請求を却下すれば、即日被疑者は釈放されます。

裁判官が勾留の判断をした場合であっても、その裁判に対して不服申し立てを行います。
不服申し立てをすると、今度は、勾留の裁判をした裁判官ではない3人の裁判官が先の勾留の裁判に誤りがないか否かを判断することになります。
ここで先の裁判を取り消し、検察官の勾留請求を取り消す旨の判断がされると、被疑者の身体拘束は解かれることになります。

交通事件では、重大な罪(危険運転致死傷罪など)やひき逃げ事件では、勾留となるケースが多いですが、人身事故でない無免許・飲酒運転、被害が比較的軽い過失運転致傷事件では、家族などの監督が期待できる場合などは勾留を回避できる可能性は高いでしょう。

2.起訴後

捜査段階では身体拘束を解くことが難しい場合であっても、起訴後に保釈が認められて釈放される可能性もあります。
保釈は、保釈保証金の納付や一定の遵守事項を守ることを条件として、勾留の執行を一定期間猶予する制度です。
弁護士は、起訴されたタイミングで、すぐに保釈請求を行い、早期に釈放となるよう動きます。

ご家族が交通事件で逮捕され、身体拘束からの解放をご希望であれば、刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所に今すぐご相談ください。
無料法律相談初回接見サービスに関するご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881で24時間受け付けております。

交通事件と交通反則通告制度

2020-09-19

交通反則通告制度について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~

神奈川県茅ヶ崎市の国道を自家用車で走行していたAさんは、神奈川県茅ヶ崎警察署の警察官に停止を求められました。
法定速度を25キロオーバーしていたとして、交通切符の交付を受けたのですが、Aさんは25キロもオーバーしていた認識はなく、反則金の納付を拒否し、警察署にもその旨を主張しました。
反則行為を争いたいAさんでしたが、このまま反則金納付を許否した場合、どのような手続となるのか心配になり、翌日、交通事件にも対応する弁護士に相談することにしました。
(フィクションです)

交通違反をした際に支払う「反則金」を、刑罰である「罰金」と混同されている方が多くいらっしゃいますが、反則金と「交通反則通告制度」に基づく行政処分で科せられる過料のことを指し、罰金とは、刑事処分の一種です。

交通反則通告制度とは、自動車や原動機付自転車の運転者がした違反行為のうち、反則行為については、一定期間内に郵便局又は銀行に反則金を納めることによって、刑事裁判、少年の場合は家庭裁判所の審判を受けることなく事件が処理される制度のことです。
自動車による交通が増加し、道路交通法違反事件の数が飛躍したことで、検察庁や裁判所の業務に負担をかけることになったため、軽微な交通違反については刑事手続によらず処理することとし、交通反則通告制度が設けられました。

反則行為が発覚すると、交通反則告知書(通称、交通切符、青切符)と反則金仮納付書が交付されます。
告知を受けた日の翌日から起算して7日以内に反則金を納付すれば、納付をもって手続は終了します。

他方、7日以内に反則金を納付しない場合には、通告センターに出頭し、通告書及び納付書の交付を受ける、出頭できなかった場合には、通告書及び納付書が送付されるので、通告を受けた日の翌日から起算して10日以内に反則金を納付することによって手続を終了させることができます。
10日以内に反則金を納付しなかった場合には、刑事手続に移行し刑事裁判、少年の場合には家庭裁判所の審判を受けることになるので留意が必要です。

反則金を納付すれば、刑事手続に移行することなく手続が終了するため、前科が付くことはありません。
ちなみに、前科とは、過去に有罪判決を受けたという事実のことを指します。

無免許運転、飲酒運転、反則行為の結果交通事故を起こした場合には、交通反則通告制度は適用されません。

反則行為を認めている場合、そして反則金を納付することによって刑事手続を避けたい場合には、交通反則通告制度に従い反則金を納付するのがよいでしょう。
しかし、反則行為を認めないのであれば、刑事裁判で争うことになります。

最初に警察官から交付される反則金仮納付書に従って納付せず、次の交付される納付書についても同様に対応した場合には、刑事手続に移行することになり、今度は検察庁から出頭を要請されます。
検察庁では、取調べを受けた上で、略式手続を提示されることになりますが、これについても拒否した場合には、検察官は公判請求をすることになり、刑事裁判がひらかれます。
検察官が、嫌疑不十分での不起訴又は起訴猶予での不起訴となれば、事件は終了となります。
そうでなければ、略式手続を断ると、正式な裁判となります。
反則行為を争う場合には、交通事件にも対応する刑事事件に強い弁護士に相談されるのがよいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、交通事件を含めて刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
交通事件でお困りの方は、弊所の弁護士にお気軽にご相談ください。
無料法律相談初回接見サービスについては、フリーダイヤル0120-631-881にて24時間受け付けております。

駐車場での当て逃げ

2020-09-05

駐車場での当て逃げ事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~

東京都目黒区のスーパーマーケットでの買い物を終えたAさんは、駐車場に停めていた車を発進させました。
Aさんがハンドルを右にきって駐車場を出ようとしたところ、前に駐車してあった車の前方に当ててしまいました。
Aさんは、「たいしたことないだろう。ここは駐車場だから、道路上での事故ではないから、警察に通報しなくてもいいだろうし。」と思い、その場を後にしました。
数日後、警視庁碑文谷警察署の警察官が、Aさんの留守中にAさんの自宅を訪ね、「先日、〇×マーケットの駐車場当て逃げ事件が発生したのですが、被害に遭った車のドライブレコーダーにAさんの車が映っていましたので、お話を伺えればと思いまして。」とAさんの妻に言いました。
Aさんは留守だったため、警察官は「また日を改めて伺います。」と言って帰って行きました。
妻から話を聞いたAさんは、素直に出頭しようと思っていますが、その前に今後の流れについて弁護士に相談することにしました。
(フィクションです)

駐車場での当て逃げ事件は、残念ながら少なくありません。
人身事故ではなく物損事故であることや、被害に遭った車の持ち主がその場にいないことが多いので、「バレないだろう。」と多寡を括り、そのまま駐車場を後にするケースが多いようです。
また、「駐車場内の事故は交通事故ではない。」と思われている方も多いようですが、「駐車場内での事故」は、「交通事故」として処理されないのでしょうか。

道路交通法における「道路」とは

「交通事故」というのは、陸上・海上・航空交通における事故の総称をいいますが、ここでは道路上の交通事故(道路交通事故、自動車事故)を指すものとします。

交通事故の定義を定める主要な法律は、「道路交通法」です。
道路交通法第67条2項によれば、交通事故とは、「車両等の交通による人の死傷若しくは物の損壊」をいいます。
道路交通法上の「車両」には、「自動車、原動機付自転車、軽車両及びトロリーバス」が含まれます。
「交通」とは、道路、すなわち歩道や路側帯をも含めた道路上における交通のことをいいます。
ですので、道路以外の場所で車両等の走行により人が死傷し、物が損壊したとしても、交通事故とはならないのです。
それでは、道路交通法における「道路」とは何を指すのでしょうか。
道路交通法第2条1項1号は、「道路」の意義について、「道路法第2条第1項に規定する道路、道路運送法第2条8項に規定する自動車道及び一般交通の用に供するその他の場所をいう」と定義付けています。
「道路法第2条1項に規定する道路」とは、一般交通の用に供する道で、高速自動車国道、一般国道、都道府県道及び市町村道をいい、トンネル、橋、渡船施設、道路用エレベーター等道路と一体となってその効用を全うする施設又は工作物及び道路の付属物でその道路に附属して設けられているものを含むとしています。
「道路運送法第2条8項に規定する自動車道」とは、専ら自動車の交通の用に供することを目的として設けられた道で、先の道路法による道路以外のものをいいます。
そして、「一般交通の用に供するその他の場所」とは、道路法第2条1項に規定する道路及び道路運送法第2条8項に規定する自動車道を除いた場所において、現実の交通の有無をとらえてこの法律上の道路とするものをいいます。
事実上道路の体裁をなしてい交通の用に供されている私道や、道路の体裁はなしてはいないけれども、広場、大学の構内の道路、公園内の通路といった、一般交通の用に供され開放され、かつ、一般交通の用に客観的にも使用されている場所を指します。
駐車場というのは、基本的に私有地に当たりますが、不特定多数の人、車両等が交通のために利用している場所であれば、道路の形態を備えていなくとも、「一般交通の用に供するその他の場所」に当たり、道路交通法における「道路」に該当することになります。

そのため、「駐車場」での事故は、交通事故として処理される場合もあるのです。

交通事故を起こした場合には、当該交通事故に係る車両等の運転手その他の乗務員は、

①直ちに車両等の運転を停止して、負傷者を救護し、道路における危険を防止する等必要な措置を講じなければならず(救護措置義務)、
②救護措置義務を生じ、必要な措置をとった場合に、当該車両等の運転手は、警察官に対して事故について報告しなければなりません(事故報告義務)。

物損事故の場合、負傷者が出ていないため、警察に報告する義務がないと誤解されていることが多いのですが、事故報告義務は、車両等の交通により人の死傷があったときはもとより、単に物の損壊があっただけの場合においても、その損壊の大小を問わず、また、その交通事故により交通秩序が混乱したかどうか、すでに負傷者が救護されたかどうか等の具体的状況のいかんに関係なく、当該車両等の運転者は警察官に報告しなければなりません。

よって、駐車場内で物損事故を起こし、そのまま立ち去った場合には、道路交通法違反が成立し、刑事責任に問われる可能性があります。

人身事故のひき逃げ事件と比べて、当て逃げ事件においては、身体が拘束された上で捜査がされる可能性は低いでしょう。
しかし、被疑者として取調べを受けることになりますので、取調べ対応や被害者への謝罪・被害弁償等、事件を穏便に終わらせるためにも弁護士に相談の上対応するのがよいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、交通事故にも対応する刑事事件専門の法律事務所です。
交通事故を起こしてお困りであれば、弊所の弁護士にご相談ください。

スピード違反の否認事件

2020-08-15

スピード違反否認事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~

兵庫県明石市の国道を車で運転していたAさんは、兵庫県明石警察署の速度取締で、法定速度の30キロオーバーで赤切符が切られました。
しかし、Aさんは、法定速度を30キロもオーバーした認識はなく、車の速度メーターでも30キロは超えていなかったと記憶しています。
Aさんは、スピード違反否認事件にも対応してくれる弁護士に相談することにしました。
(フィクションです)

スピード違反:道路交通法違反(速度超過)

警察庁によれば、平成29年及び30年に取り締まった道路交通法違反事件のうち、最も多かったのがスピード違反です。

道路交通法は、道路標識等によりその最高速度が指定されている道路においてはその最高速度を、その他の道路においては政令で定める最高速度を超える速度で車両を進行してはならないと定めています。(道路交通法第22条1項)

法令で定める最高速度については、高速自動車国道の本線車道以外の道路における、自動車の最高速度は60キロ、自動車が高速自動車国道の本線車道を通行する場合の最高速度は、車種などによって異なりますが、普通自動車の場合は100キロです。
指定又は法定最高速度を超える速度で走行した場合、例えそれが1キロオーバーであっても、速度超過となり、道路交通法に違反することになります。

道路交通法に違反した場合、行政処分や刑事処分を受けることになります。
ここでいう行政処分とは、道路交通法に基づき、都道府県公安委員会が行う免許取消処分、免許停止処分、免許許否処分、免許保留処分、運転禁止処分のことです。
車両の運転において、道路交通法に規定される違反行為があった場合、違反の程度に応じた違反点数が科せられます。
この違反点数が累積され一定の点数になるなど、所定の条件を満たした場合に行政処分を受けることになります。

また、車両の運転者がした違反行為のうち、反則行為については、一定期間内に郵便局か銀行に反則金を納めると、刑事裁判(少年の場合は家庭裁判所の審判)を受けずに事件が処理される「交通反則通告制度」が適用されます。
速度超過による道路交通法違反において、超過速度が30キロ未満の場合には当該制度が適用されます。
しかし、超過速度が高速自動車国道の本線車道以外の道路において30キロ以上の場合、高速自動車国道の本線車道において40キロ以上の場合には、交通反則通告制度は適用されず、刑事手続がとられ、刑事罰(6月以下の懲役又は10万円以下の罰金)が科される可能性が生じます。

スピード違反の否認事件

多くのスピード違反事件は、走行している車の速度計を基準に検挙するのではなく、何らかの方法で警察官が車の速度を測定し、それに基づいて検挙を行います。
警察が行う測定の方法としてレーダー式の測定や、レーザー光線を用いた測定などが知られています。
しかし、これらの測定が常に100%性格であるとは限りません。
科学技術を用いた捜査が行われる場合、その捜査による結果に信用性が認められるためには、一般に①原理が科学的根拠を有すること②(科学的に)適切な方法により検査等が実施されたことが要求されます。
たとえレーダーやレーザー光線自体の原理が科学的に間違いないないとしても(おそらく、多くは間違いないと思われますが)、その実施方法に問題があれば測定結果等は誤ったものになってしまいます。
たとえば、自動車の速度を機械を用いて図る場合には、自動車と機械の位置関係が重要になってきます。
レーダーで波を照射する角度が異なれば、反射時間等が変化しますし、あくまでも機械の設定上は車が真っ直ぐに走行することを想定していますから、車体が何らかの事情で斜めになっていた場合などには、必ずしも測定結果が正確になるとは限りません(ただし、このような場合でも正確に測定できる場合もあります)。
スピード違反を通告され、実際に走行していた速度について争う場合には、ドライブレコーダーの映像や、タコグラフを用いて争い、同時にスピードの測定方法等を争うことになります。
しかし、この主張は,高度に科学的な問題でもありますから、専門的な知識が必要となります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、交通事件を含めた刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
スピード違反否認事件でお悩みであれば、弊所の弁護士にご相談ください。
無料法律相談初回接見サービスのご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881で24時間受付ております。

携帯電話使用で交通事故

2020-07-04

携帯電話使用交通事故を起こした場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~

東京都立川市の道路を自家用車で走行していたAさんは、スマートフォンを手に取り、メッセージを確認していたところ、横断歩道があることに気が付かず、横断中の歩行者にぶつかってしまいました。
Aさんは、すぐに車を停車し、歩行者の安否を確認し、すぐに119番通報しました。
幸い、歩行者の怪我の程度は軽く済みましたが、Aさんは駆け付けた警視庁立川警察署の警察官に事故の原因について話を聞かれています。
(フィクションです)

携帯電話使用等に関する罰則の強化

スマートフォンや携帯電話は、今や私たちの生活に欠かすことができない必需品となっていますよね。
しかし、運転中にスマートフォンや携帯電話の画面を注視していたことに起因する交通事故が多く、運転中の「ながらスマホ」が社会的に問題となっています。
運転中のスマートフォンや携帯電話の使用は、スマートフォンや携帯電話に気をとられ、運転をする上での注意義務を欠くことで重大な交通事故を引き起こし得る大変危険な行為です。

令和元年12月1日に施行された改正道路交通法は、携帯電話使用等に関する罰則を強化しました。

(1)携帯電話使用等(保持)

携帯電話を保持して通話する行為や携帯電話の画面を注視する行為が禁止されています。
これに違反した場合、改正前は普通車に対する反則金が6,000円だったのに対し、改正後は18,000円と3倍に引き上げられました。
また、罰則については、改正前が5万円以下の罰金となっていたものが、改正後には6月以下の懲役または10万円以下の罰金と、罰金刑のみならず懲役刑が設けられました。

自動車や原動機付自転車の運転者がした違反行為のうち、反則行為については、一定期間内に郵便局か銀行に反則金を納めると、刑事裁判(少年の場合は、家庭裁判所の審判)を受けずに事件が処理される制度(交通反則通告制度)があります。
ですので、反則金の適用がある場合には、期限内に反則金を納付することで刑事処分を受けることなく事件を終了させることができます。
ただし、反則金を納付しなければ、刑事裁判(少年の場合には、家庭裁判所の審判)を受けることになります。

(2)携帯電話使用等(交通の危険を生じさせた場合)

携帯電話を保持しての通話や画面の注視、カーナビの画面の注視によって交通の危険を生じさせる行為については、交通反則通告制度の適用はなく、罰則は1年以下の懲役または30万円以下の罰金となります。

携帯電話使用で事故を起こした場合

さて、携帯電話を保持して画面を注視したことにより、交通事故を起こしてしまった場合について考えてみましょう。

交通事故は、物損事故と人身事故とに分けられます。

物損事故は、物にぶつかって破損させる交通事故です。
人が乗車している車にぶつかった場合であっても、相手方に怪我を負わせていなければ、物損事故として処理されることがあります。
運転中の携帯電話使用に起因して物損事故を起こした場合には、先述したように交通の危険を生じさせた場合として、道路交通法違反が成立し、法定刑の1年以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられる可能性があります。

他方、人に怪我を負わせた人身事故の場合には、道路交通法違反の他に、自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律で定められる過失運転致死傷罪が成立するでしょう。
この場合、事件内容にもよりますが、公判請求され、刑事裁判を受ける可能性が高いでしょう。

刑事裁判での弁護は、交通事件を含めた刑事事件に精通する弁護士に任せるのがよいでしょう。
迅速かつ適切な弁護活動により、執行猶予判決の獲得を目指します。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、交通事件を含めた刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
交通事故を起こし対応にお困りの方は、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。
無料法律相談初回接見サービスのご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881までお電話ください。

あおり運転で刑事事件に

2020-06-20

あおり運転刑事事件になる場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~

福岡県久留米市の車道を走行していたVさんでしたが、後方の車が急接近するなどのあおり運転を繰り返してきたため、Vさんは恐怖を感じて何とか逃げようと速度を上げました。
後方の車は、追い越し車線でVさんを追い越し、Vさんの前に割り込み、今度は低速度での運転をはじめました。
その車は、急に停止したため、Vさんはその車を回避しようとハンドルを左にきったため、ガードレールに衝突してしまいました。
後日、福岡県久留米警察署は、あおり運転をし事故を誘発したとして会社員のAさんを逮捕しました。
(フィクションです)

あおり運転により成立し得る罪は?

あおり運転は、一般的に、道路を走行する自動車やバイクなどに対して、車間距離を極端に詰めて威圧したり、幅寄せや急停止で運転を妨害するなど、意図して嫌がらせを行う危険行為のことを指します。
あおり運転は、重大な交通事故につながる悪質かつ危険な行為です。

現状、あおり運転については、道路交通法違反や刑法上の暴行罪を適用して対処しています。

1.道路交通法違反

道路交通法は、「あおり運転罪」なる罪を設けているわけではありません。
あおり運転」とみなされる個々の運転行為が、道路交通法に違反するのです。
以下、よくある「あおり運転」の行為についてみていきましょう。

(A)車間距離を必要以上に詰める行為:車間距離所持義務違反

第二十六条 車両等は、同一の進路を進行している他の車両等の直後を進行するときは、その直前の車両等が急に停止したときにおいてもこれに追突するのを避けることができるため必要な距離を、これから保たなければならない。

車間距離所持義務違反の罰則は、高速道路を走行中のケースでは、3か月以下の懲役又は5万円以下の罰金、その他の道路を走行中のケースでは、5万円以下の罰金です。

(B)隣の車線に車を幅寄せする行為:進路変更禁止違反

第二十六条の二 車両は、みだりにその進路を変更してはならない。
2 車両は、進路を変更した場合にその変更した後の進路と同一の進路を後方から進行してくる車両等の速度又は方向を急に変更させることとなるおそれがあるときは、進路を変更してはならない。
3 車両は、車両通行帯を通行している場合において、その車両通行帯が当該車両通行帯を通行している車両の進路の変更の禁止を表示する道路標示によつて区画されているときは、次に掲げる場合を除き、その道路標示をこえて進路を変更してはならない。
一 第四十条の規定により道路の左側若しくは右側に寄るとき、又は道路の損壊、道路工事その他の障害のためその通行している車両通行帯を通行することができないとき。
二 第四十条の規定に従うため、又は道路の損壊、道路工事その他の障害のため、通行することができなかつた車両通行帯を通行の区分に関する規定に従つて通行しようとするとき。

罰則は、5万円以下の罰金です。

(C)急ブレーキをかける行為:急ブレーキ禁止違反

第二十四条 車両等の運転者は、危険を防止するためやむを得ない場合を除き、その車両等を急に停止させ、又はその速度を急激に減ずることとなるような急ブレーキをかけてはならない。

罰則は、3か月以下の懲役又は5万円以下の罰金です。

2.暴行罪

刑法第二百八条 暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、二年以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。

暴行罪の「暴行」とは、「不法な有形力の行使が人の身体に対して加えられる」場合を指します。
殴る蹴るといった暴力のみならず、狭い四畳半の部屋で在室中の被害者を脅かすために、日本刀の抜き身を振り回す行為も「暴行」に当たります。
あおり運転」の場合、車間距離の接近、幅寄せや威嚇といった行為が「有形力の行使」に当たるとみなされると、暴行罪が適用される可能性があります。

このように、あおり運転とみなされる運転行為を行っただけでも、道路交通法違反や暴行罪が成立し、刑事事件として処理されることになります。

あおり運転の結果、事故を起こした場合は?

あおり運転をした結果、交通事故を起こし、人を死傷させてしまった場合には、危険運転致死傷罪(妨害目的運転)に該当する可能性があります。

危険運転致死傷罪とは、以下の行為を行うことにより人を負傷又は死亡させた場合に成立する犯罪です。
①アルコール・薬物の影響により正常な運転が困難な状況で自動車を走行させる行為
②進行を制御することが困難な高速度で自動車を走行させる行為
③進行を制御する技能を有しないで自動車を走行させる行為
④人・車の通行を妨害する目的で、走行中の自動車の直前に侵入し、その他通行中の人・車に著しく接近し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為
⑤赤信号を殊更に無視し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為
⑥通行禁止道路を進行し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為

あおり運転は上の④に該当し得、結果、相手方に怪我を負わせてしまった場合には、危険運転致傷罪が成立する可能性があるでしょう。

あおり運転、危険運転で逮捕されてお困りであれば、交通事件・刑事事件に精通する弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士にご相談ください。

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