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ひき逃げ,当て逃げの弁護方針は?
ひき逃げ,当て逃げの弁護方針は?
東京都杉並区に住むAさんは,ひき逃げ事故を起こしたとして警視庁杉並警察署に,過失運転致傷罪,道路交通法違反の容疑で逮捕されました。
逮捕の知らせを受けたAさん妻は,交通事件に強い弁護士にAさんとの接見を依頼しました。
(フィクションです)
~ ひき逃げと当て逃げの違い ~
「ひき逃げ」は,①車両等(軽車両を除く)の運転者が,当該車両等の交通による人の死傷があった場合(交通事故のうち人身事故があった場合)において,直ちに車両等の運転を停止して,負傷者を救護し,道路における危険を防止する等必要な措置を講じなければならない(以下,救護義務)にもかかわらず,救護義務を果たさなった場合,あるいは,②①の場合において,人の死傷が当該運転者の運転に起因するものであるのに,救護義務を果たさなかった場合に成立する犯罪です(道路交通法72条1置く)。
①の法定刑は5年以下の懲役又は50万円以下の罰金(道路交通法117条1項),②は10年以下の懲役又は100万円以下の罰金(117条2項)です。
* ①と②の違い *
①と②との法定刑は大きく違います。
なぜ,このように違いがあるかというと,②の場合は「人の死傷が当該運転者の運転に起因」した場合の救護義務違反の規定で,①の場合よりも悪質であるからです。
これが①と②の大きな違いです。
例えば,道路脇の影から子供が突然飛び出し(当該車が適法に走っていた際のスピードの制動距離範囲内に飛び込んできた),怪我を負わせたあるいは死亡させたとします。
この場合,通常,子供の死傷が「当該運転者の運転に起因」したとは認められません。
よって,この場合,救護義務違反をすれば①が適用されることになります。
言い方を変えれば,自己に過失なく人を死傷させた場合でも救護義務は発生しますから注意が必要です。
* 同時に処理される罪 *
よく,ひき逃げと同時に処理される罪として過失運転致死傷罪(7年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金),危険運転致傷罪(15年以下の懲役),危険運転致死罪(1年以上の有期懲役)などがあります。
危険運転致死傷罪には罰金刑がありませんから,同時に起訴されれば,ひき逃げでも懲役刑を選択されます。
過失運転致死傷罪で罰金刑を選択された場合は,ひき逃げでも罰金刑が選択されますが,①の場合,150万円(100万円+50万円)以下の罰金,②の場合,200万円(100万円+100万円)以下の範囲ので刑が科されます。
「当て逃げ」は,交通事故のうち物損事故があった場合において,当該交通事故に係る車両等の運転手等が救護義務を果たさなかった場合に成立する犯罪です。法定刑は1年以下の懲役又は10万円以下の罰金(道路交通法117条の5第1号)です。
~ ひき逃げ,当て逃げの弁護方針 ~
ひき逃げの場合も当て逃げの場合も,交通事故を起こしたなどたことの認識(「人を怪我させた死亡させた」,人を怪我させたかもしれない,死亡させたかもしれない」など)がなければ成立しません。
そこで,運転者本人から交通事故に至るまでの経緯,交通事故の状況等を詳しくお聴き取りをする必要が出てくる場合もございます。
また,上記のとおり,運転者本人の運転に起因するかどうかで法定刑が異なりますから,客観的証拠から事故の状況を詳しく検討する必要が出てくる場合もございます。
ひき逃げ,当て逃げいずれの場合も,被害者への謝罪,被害弁償が必要である点はいうまでもありません(罪を認める場合)。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,ひき逃げ,当て逃げなどの交通事故・刑事事件専門の法律事務所です。
ひき逃げ,当て逃げを起こしお困りの方は,まずは0120-631-881までお気軽にお電話ください。
(警視庁杉並警察署までの初回接見費用:35,200円)
過失運転致死罪で逮捕・交通事件における弁護活動
過失運転致死罪で逮捕・交通事件における弁護活動
Aは福岡県直方市において、自車を運転しながら、所有しているスマートフォンを操作したことで、前方の確認を怠り、停止していたV車に追突し、これによりVは死亡した。
福岡県直方警察署の警察官は、Aを過失運転致死罪の疑いで逮捕した。
Aの家族は、人身事故などの交通事件に強いと評判の弁護士に相談することにした。
(本件は事実を基にしたフィクションです。)
~スマートフォン等によるながら運転で死亡事故~
Aは、自車をV車に追突させ、Vを死亡させたことによって過失運転致死罪で逮捕されてしまっています。
自動車運転死傷行為等処罰法5条本文は、「自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、7年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金に処する」と、過失運転致傷罪とともに過失運転致死罪も定めています。
過失運転致死罪は、元々同様の条文が刑法211条2項によって規定されていたものです。
交通事故被害者家族の署名運動などを契機に交通事件に対する厳罰化の世論の高まりもあり、現在では自動車運転死傷行為等処罰法として立法された(2014年に施行)、特別法によって処罰が規定されています。
過失運転致死罪にいう「必要な注意を怠り」とは過失のことであり、自動車の運転上尽くすべき注意義務を尽くさずこれに違反して、人を死亡させてしまった場合に、過失運転致死罪の適用が問題となります。
近年では、携帯電話からより多機能なスマートフォンの所有率が急増し、いわゆる「ながら運転」による交通事故事件も増加傾向にあるといわれています。
本件も含めスマホの操作等に気を取られ、前方注視の義務を怠った場合に過失が認められることには争いがないことがほとんどでしょう。
~交通事件における刑事弁護活動~
交通事件において弁護士としては、刑事裁判を回避する不起訴を目指しつつ、起訴された場合には執行猶予を得るための弁護活動を行っていくことが考えられます。
もっとも、本件では死亡という結果を引き起こしてしまっている以上、被害者の処罰感情も高く、結果の重大性から起訴は避けられない可能性もあります(この点については、被害者側の過失なども考慮されることになると思われます)。
ただ、本件のようなスマートフォンの操作等によるながら運転による事故も、過失の態様は様々といえます。
例えば、身につけていたり車内に置いていたりしたスマホが床に落ちてしまい、これを拾おうとして前方不注視により事故を起こしてしまった場合と、スマホに入っているアプリ等でゲームをしながら運転していたために事故を起こしてしまった場合とでは過失の態様が大きく異なります。
裁判例(大阪高判平30年10月4日等)にも、スマートフォンには、小さい画面に意識を集中させ、旧来の携帯電話よりも画面の確認が不可欠になるため、意識を奪われやすいという特徴があり、(上記の後者の例のような場合には)運転者が積極的にながら運転を選択したという点で非難の程度が高い旨を指摘するものがあります。
したがって、弁護士としては、情状面においても、過失の態様について詳しく被疑者・被告人から聞き取り、場合によっては自ら調査するなどの弁護活動が重要となってきます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、過失運転致死事件などの人身事故も含む刑事事件専門の法律事務所です。
刑事事件において逮捕されてしまった場合、弁護士による素早い接見(面会)と事件に対する経緯の聞き取りなどが肝要です。
過失運転致死事件で逮捕された方のご家族は、24時間対応のフリーダイヤル(0120-631-881)までお問い合わせください。
刑事事件専門の弁護士が迅速な弁護活動を行うためにも、お早目のお電話をお待ちしております。
京都市左京区内の酒気帯び運転事件
京都市左京区内の酒気帯び運転事件
~ケース~
Aさんは京都市左京区にある居酒屋でアルコールを飲んだ後、そのまま運転してきた自動車を運転して帰路につきました。
帰宅途中、京都府下鴨警察署のパトカーに停止を求められたので、酒気帯びが発覚するとまずいと思い、スピードを上げて逃走しました。
結局、パトカーに追いつかれて止められたのですが、Aさんからアルコールの臭いがするので、警察官は呼気検査を行いました。
検査の結果、呼気1リットルにアルコールが0.35ミリグラム含まれていることが判明したので、Aさんは酒気帯び運転の疑いで現行犯逮捕され、京都府下鴨警察署で取調べを受けています。
(フィクションです)
~酒気帯び運転の罪について解説~
道路交通法第65条1項は、酒気を帯びて車両等を運転することを禁止しています。
これに違反して車両等(軽車両は除かれます)を運転し、その運転をした場合において身体に政令で定める程度以上にアルコールを保有する状態にあった場合に、酒気帯び運転の罪が成立します。
酒気帯び運転の法定刑は3年以下の懲役又は50万円以下の罰金です(道路交通法第117条の2の2第3号)。
「政令で定めるアルコールの程度」は、血液1ミリリットルにつき0.3ミリグラム又は呼気1リットルにつき0.15ミリグラムです(道路交通法施行令第44条の3)。
Aさんは、警察官による呼気検査の結果、呼気1リットルにアルコールが0.35ミリグラム含まれている状態で自動車を運転したことが判明しました。
このような状況では、酒気帯び運転の罪が成立する可能性は極めて高いと思われます。
~逮捕されたのはなぜか?~
刑事手続は任意捜査が原則であり、逮捕などの強制の処分はあくまでも例外的な措置です。
したがって、現行犯であっても、逃亡や罪証隠滅のおそれがないのに逮捕をすると、違法な逮捕となります。
Aさんが逮捕された理由は、パトカーの停止の求めに応じず、スピードを上げて逃走したことにより、逃亡のおそれがあると判断されたからであると考えられます。
~ちなみに呼気検査を拒否するとどうなるか?~
酒気帯び運転などを見極めるための呼気検査を拒否すると、呼気検査拒否、妨害罪で検挙される場合があります。
呼気検査拒否、妨害罪はその名の通り、道路交通法第67条3項の規定による警察官の検査を拒み、又は妨げる犯罪です。
法定刑は3月以下の懲役又は50万円以下の罰金です。
もちろん犯罪なので、酒気帯び運転ではなく、呼気検査拒否、妨害罪で現行犯逮捕されることも考えられます。
さらに、鑑定処分許可令状や身体検査令状を請求され、強制的に採血されることもあります。
採血の結果が、酒気帯び運転を行ったことを立証する証拠となります。
むやみに呼気検査を拒否することは、無用なリスクを生むため、得策ではないでしょう。
~逮捕されたAさんはどうなる?~
逮捕されてしまえば、警察署に引致され、取調べを受けます。
釈放されない場合には、逮捕時から48時間以内に検察へ身柄が送致され、検察官の取調べを受けます。
検察官は、身柄を受け取った時から24時間以内にAさんの勾留を請求するか、釈放するか、あるいは起訴するかを決めます。
勾留請求をされた場合、裁判官がAさんを勾留するかどうかを決めます。
勾留請求が却下されれば、釈放されますが、勾留決定が出されれば最長10日間、勾留延長がなされればさらに最長10日間身体拘束をされます。
逮捕され、勾留、勾留延長されると、捜査段階で最長23日間外に出られない、ということになります。
~身柄解放活動を弁護士に依頼~
上記のように逮捕後に長期間勾留されると、職場復帰などに悪影響が生じます。
23日間も無断欠勤をすると、勤務先から懲戒処分を受け、解雇されることも十分考えられます。
したがって、逮捕されてしまった場合には、まず勾留をさせないこと、勾留されてしまった場合には、勾留決定に対する不服申し立て、保釈請求などを通じ、なるべく早く外に出られるよう活動することが大切です。
身柄解放活動には、刑事手続に関する高度な知識を要します。
したがって、弁護士に身柄解放活動を依頼し、なるべく早くAさんが外に出られるよう動いてもらうのが適切です。
弁護士は法律の専門家でありますから、疑問に思ったことを尋ねることもできます。
依頼した弁護士はAさんの利益のために活動する、心強い存在となるでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所であり、酒気帯び運転事件の解決実績も豊富です。
ご家族、ご友人が酒気帯び運転事件を起こし逮捕されてしまった方は、お気軽にご相談ください。
初回接見サービスのご依頼は0120-631-881まで。
京都府下鴨警察署までの初回接見費用:35,000円
神戸市長田区のスピード違反
神戸市長田区のスピード違反
~ケース~
神戸市長田区在住のAさんはある日,出産間近の妻が陣痛を訴えたため,急いで妻を病院に連れて行くために一般道路を時速110km程度の速度で走行した。
その際,法定上限速度は時速60kmであったため,道路に設置してあったオービスが作動した。
後日,オービスによって撮影された写真からAさんはスピード違反をした道路交通法違反の疑いで兵庫県長田警察署によって呼び出しを受けた。
(フィクションです)
~オービス~
オービスとは正式には自動速度違反取締装置といい,公道上の特定の場所に設置されています。
オービスが作動すると当該車両の速度を記録し,ナンバープレートおよび運転手の撮影が行われます。
基本的には一発免停となる非反則行為の違反のみを取締対象としており,一般道路では時速30km,高速道路では時速40km以上のスピード違反(速度超過)の際に作動します。
オービスによって撮影されると,数日から遅くとも30日以内に警察から当該車両の所有者に出頭通知が送付されます。
このオービスによる撮影は,車両の運転者を無断で撮影しているのでプライバシーの侵害に当たるのではないかと指摘されています。
また,助手席に同乗している違反者ではない者も同時に撮影されるため,同様にプライバシーの侵害に当たると指摘されています。
加えて,オービスが作動した現場には通常警察官はおらず,違反者は後日,呼出しを受けた際に初めて弁明の機会が与えられるので,警察官による取り締まりに比べて,被疑者の防御権が著しく制限されていると指摘されています。
プライバシーの侵害について,昭和44年12月24日の最高裁判所大法廷判決を踏まえ,「犯罪が現に行われ」「証拠を確保する必要性および緊急性があり」「方法が合理的である」場合には本人の同意がなくとも警察官による容貌の撮影が許容されるとしています。
オービスによる取り締まりは,最高速度超過という「犯罪が現に行われ」ており,その場で撮影しなければ走り去ってしまうため「証拠を確保する必要性および緊急性があり」,「合理的な方法」による撮影であるから,プライバシー権の侵害とはならないとされています。
~赤切符の場合~
一発免停となるスピード違反(速度超過)の場合,反則金のみで事件終了とはならず,刑罰の対象となります。
スピード違反(速度超過)で起訴された場合,6ヵ月以下の懲役または10万円以下の罰金となります(道路交通法118条)。
しかし,今回のケースでは,Aさんは陣痛を訴えた妻を病院に連れていくためにやむを得ず高速で道路を走行したのですから,正当防衛または緊急避難が成立しないでしょうか。
それぞれ条文を確認してみましょう
刑法36条(正当防衛)
1.急迫不正の侵害に対して,自己又は他人の権利を防衛するため,やむを得ずにした行為は,罰しない。
刑法37条(緊急避難)
1.自己又は他人の生命,身体,自由又は財産に対する現在の危難を避けるため,やむを得ずにした行為は,これによって生じた害が避けようとした害の程度を超えなかった場合に限り,罰しない。
ただし,その程度を超えた行為は,情状により,その刑を減軽し,又は免除することができる。
正当防衛は,急迫不正の侵害に対して防衛行為を行った場合には罰しないという規定になります。
不正とは違法であることをいいますので,今回のケースでは違法な侵害行為があったとはいえませんので正当防衛を主張することは難しいでしょう。
しかし,緊急避難であれば現在の危難に不正であることは求められていません。
Aさんの妻が陣痛を訴えたことは,身体に対する現在の危難であるといえるでしょう。
そして,その現在の危難を避けるため,やむを得ずスピード違反(速度超過)をしたことになりますので緊急避難が成立するように思われます。
しかし,緊急避難の成立は正当防衛の成立よりも要件が厳格であり,緊急避難を主張しても簡単には認めてもらえません。
そこで,刑事事件の弁護経験が豊富な弁護士に相談し,緊急避難の成立を正しく主張してもらうことで,認めてもらえる確率を上げていくことをおすすめいたします。
また,緊急避難が認められない場合でも,弁護士に主張してもらうことで,過剰避難として刑の免除や減軽を求めていくこともできるでしょう。
まずは刑事事件の弁護経験の豊富な弁護士に相談されることをおすすめします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件専門の法律事務所です。
やむを得ずしてしまった行為で罪に問われそうになってしまいお困り・お悩みの方は0120-631-881までお気軽にご相談ください。
初回接見サービス・無料法律相談のご予約を24時間受け付けております。
(兵庫県長田警察署での初回接見費用:35,200円)
大阪市此花区の交通事故で刑の免除
大阪市此花区の交通事故で刑の免除
~ケース~
ある日,Aさんが大阪市此花区内で自動車を運転し,右折しようとした際,前方に停車していた大型トラックの脇から直進してきた自転車に乗るVさんと接触してしまった。
Vさんは転倒し,全治1週間の軽い怪我を負った。
Aさんはその場で大阪府此花警察署および救急車を呼び,交通事故を大阪府此花警察署に報告した。
なお,交通事故当時は右折信号が点灯しており,歩行者信号は赤であった。
(フィクションです)
~交通事故~
交通事故の中でも自動車による人身事故の場合,原則として自動車運転処罰法によって罰せられます。
自動車運転処罰法は全6条の法律で飲酒運転での事故,過失による人身事故,危険な運転による人身事故を起こしてしまった場合の処罰を規定しています。
その中でも特に用いられることの多い条文は以下になります。
(危険運転致死傷)
第2条 次に掲げる行為を行い,よって,人を負傷させた者は15年以下の懲役に処し,人を死亡させた者は1年以上の有期懲役に処する。
1 アルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態で自動車を走行させる行為
2 その進行を制御することが困難な高速度で自動車を走行させる行為
3 その進行を制御する技能を有しないで自動車を走行させる行為
4 人又は車の通行を妨害する目的で、走行中の自動車の直前に進入し、その他通行中の人又は車に著しく接近し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為
5 赤色信号又はこれに相当する信号を殊更に無視し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為
6 通行禁止道路(道路標識若しくは道路標示により、又はその他法令の規定により自動車の通行が禁止されている道路又はその部分であって、これを通行することが人又は車に交通の危険を生じさせるものとして政令で定めるものをいう。)を進行し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為
(過失運転致死傷)
第5条 自動車の運転上必要な注意を怠り,よって人を死傷させた者は,7年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金に処する。
ただし,その傷害が軽いときは,情状により,その刑を免除することができる。
~交通事故の弁護活動~
今回のケースではAさんはその場で救急車や警察を呼び,交通事故報告をしています。
仮に,今回のケースで軽い怪我であることもあり,警察を呼ばなかった場合にはどうなるでしょうか。
道路交通法では交通事故が発生した場合に,運転者に負傷者の救護義務,道路における危険防止措置義務,警察官への事故の報告義務が規定されています。
これらの義務に違反し,事故現場から去ることをいわゆる「ひき逃げ」と呼びます。
ひき「逃げ」と呼ばれていますが,逃げること自体は要件となっておらず,道路交通法の定める義務違反が一般的にひき逃げと呼ばれています。
報告義務違反の場合は3か月以下の懲役または5万円以下の罰金,救護義務および危険防止措置違反の場合は1年以下の懲役または100万円以下の罰金となります。
今回のケースでAさんはその場で警察や救急車を呼んでいますので,交通事故が発生した場合における道路交通法上の義務は果たしているといえるでしょう。
そのため,Aさんに適用されるのは自動車運転処罰法の過失運転致傷罪のみであると考えられます。
また,過失運転致傷罪は「傷害が軽いときは,情状により,その刑を免除することができる。」と規定されています。
この規定は怪我が軽い場合に刑の裁量的減免を規定しています。
裁量的減免ですので,怪我が軽い場合には罰せられないという規定ではないことに注意が必要です。
「情状により」とは交通事故時および交通事故後の被害者の方への対応などが考慮されると考えられます。
いわゆるひき逃げ状態であった場合には怪我が軽くても悪質な事案とみなされ過失運転致傷罪が適用されてしまう場合もあります。
しかし,今回のケースでAさんは道路交通法上の義務を果たしていますので,被害者の方への謝罪や治療費の支払いなどをすれば刑が免除される可能性も出てくるでしょう。
刑の免除が明らかな場合には検察官は事件を不起訴処分にしますので,刑事裁判を受けることも前科となることもありません。
このような場合には,弁護士は被害者の方との交渉や検察官へ刑の免除による不起訴処分とするように意見書を提出することが主な弁護活動となります。
被害者の方の怪我が軽くても自動的に刑が免除されるわけではありませんので,もし交通事故を起こしてしまった場合には弁護士に相談されることをお勧めします。
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(法律相談は初回無料です)
【さいたま市】飲酒運転と犯人隠避罪②
【さいたま市】飲酒運転と犯人隠避罪②
Aさんは,さいたま市浦和区の居酒屋で一緒に酒を飲んでいた交際相手であるBさんから「ちょっとコンビニまでたばこを買いに行きたい」「車を貸してほしい」と頼まれ,運転キーをBさんに渡しました。
そして,Bさんは,Aさん名義の車を運転してコンビニまで向かう途中,運転を誤って車を道路端の電柱にぶつけてしまいました。
Bさんは,車を動かすことができず,警察に電話しようかと考えました。
しかし,Bさんは飲酒運転をしてきた上に,大事な就職試験をひかえていたことからAさんに電話し,「大変なことをしてしまった」「飲酒運転がばれると就職できなくなるから,ここはお前が運転していたことにしてくれないか」といいました。
Aさんはどうしようか迷いましたが,長年交際してきたBさんのためならと思い,急いで現場に急行し,現場に来た警察官に自分が飲酒運転の犯人である旨を言いました。
ところが,後日,Bさんが飲酒運転していたことが判明し,Aさんは犯人隠避罪,道路交通法違反(車両提供の罪),Bさんは道路交通法違反(酒気帯び運転の罪),犯人隠避教唆の罪で逮捕されました。
(フィクションです)
~ はじめに ~
先日の「飲酒運転と犯人隠避罪①」では,Aさんの犯人隠避罪,道路交通法違反(車両提供の罪)についてご説明いたしました。
本日は,Bさんの道路交通法違反(酒気帯び運転の罪)及び犯人隠避教唆の罪についてご説明したいと思います。
~ 酒気帯び運転の罪 ~
酒気帯び運転の罪に関する規定は,道路交通法(以下「法」)65条1項,117条の2の2第3号,道路交通法施行令(以下「施行令」)44条の3にあります。
法65条1項
何人も,酒気を帯びて車両等を運転してはならない。
法117条の2の2 次の各号のいずれかに該当する者は,3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
3号 第65条(酒気帯び運転等の禁止)第1項の規定に違反して車両等(軽車両を除く)を運転した者で,その運転した場合いおいて身体に政令で定める程度以上に アルコールを保有する状態にあったもの
施行令44条の3
法第117条の2の2第3号の政令で定める身体に保有するアルコールの程度は,血液1ミリリットルにつき0.3ミリグラム又は呼気1リットルにつき0.15ミリグラムとする。
これからすると,酒気帯び運転とは,血液1ミリリットルにつき0.3mg又は呼気1リットルにつき0.15mg以上アルコールを保有する状態で車両等(軽車両(自転車など)を除く)を運転することをいいます。
そして,酒気帯び運転の罪では,3年以下の懲役又は50万円以下の罰金の刑を科されるおそれがあります。
~ 犯人隠避教唆の罪 ~
犯人隠避についてご説明する前に,まず,「教唆」とは何なのかご説明いたします。
= 教唆とは =
教唆とは,まだその犯罪に対する実行の決意を生じていない他人を唆して,犯罪実行の決意を生じさせることをいいます。
教唆は,特定の犯罪の実行を決意させるに足りるものでなければならないとされています。
よって,例えば,単に「何か犯罪をやってこい」とか,漠然と「何か金になるものを盗ってこい」といっても教唆には当たりません。
しかし,実行すべき犯罪を特定して教唆すれば,いちいち,犯罪の日時,場所,方法,客体など詳細まで指示する必要はないとされています。
本件では,BさんがAさんに,電話で「飲酒運転がばれると就職できなくなるから,ここはお前が運転していたことにしてくれないか」といっています。
これは,犯人隠避罪という特定の犯罪を決意させるために必要,十分な言葉だといえます。
よって,Bさんのかかる行為は「教唆」に当たり得るのです。
= 犯人蔵匿・隠避罪 =
しかし,ここである一つの疑問が生じます。
それは,なぜBさんは犯人隠避罪ではなく,犯人隠避教唆の罪に問われているのかという点です。
まず,犯人自身が逃げ隠れても犯人隠避罪に問われることはありません。
これは犯人隠避罪を規定した刑法103条を見ても明らかです。
また,実際上も,犯人が自ら逃げ隠れたりするのは人情の自然であり,一般に期待可能性がないからなどと説明されています。
つまり,罪を犯した人に逃げも隠れもするなと法律で求めようとしても,そういったことを犯人に期待するのは無理な話だろう,ということです。
しかし,他人を教唆してまで逃げ隠れすることは犯人隠避罪の教唆犯に当たるとするのが最高裁判所の考え方です(昭和40年2月26日)。
その理由とするところは,犯人自身の隠匿行為が不可罰とされるのは,これらの行為を罰することが刑事訴訟法における被告人の防御の地位と相容れないからであるのに対して,他人を教唆してまでその目的を達成しようとすることは,もはや法の放任する防御の範囲を逸脱するという点にあるとされています。
先日,Aさんに犯人隠避罪が成立することはご説明いたしました。
Bさんは,そのAさんを唆しているわけですから犯人隠避教唆の罪に問われているわけです。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,飲酒運転に関連する犯人隠避罪をはじめとする刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。
刑事事件・少年事件でお困りの方は0120-631-881までお気軽にお電話ください。
無料法律相談,初回接見サービスのご予約・お問い合わせを24時間受け付けております。
(埼玉県浦和警察署までの初回接見費用:35,900円)
【さいたま市】飲酒運転の犯人隠避罪①
【さいたま市】飲酒運転の犯人隠避罪①
Aさんは,さいたま市浦和区で一緒に居酒屋で酒を飲んでいた交際相手であるBさんから「ちょっとコンビニまでたばこを買いに行きたい」「車を貸してほしい」と頼まれ,運転キーをBさんに渡しました。
そして,Bさんは,Aさん名義の車を運転してコンビニまで向かう途中,運転を誤って車を道路端の電柱にぶつけてしまいました。
Bさんは,車を動かすことができず,埼玉県浦和警察署に電話しようかと考えました。
しかし,Bさんは飲酒運転をしてきた上に,大事な就職試験をひかえていたことからAさんに電話し,「大変なことをしてしまった」「飲酒運転がばれると就職できなくなるから,ここはお前が運転していたことにしてくれないか」といいました。
Aさんはどうしようか迷いましたが,長年交際してきたBさんのためならと思い,急いで現場に急行し,現場に来た警察官に自分が飲酒運転の犯人である旨を言いました。
ところが,後日,Bさんが飲酒運転していたことが判明し,Aさんは犯人隠避罪,道路交通法違反(車両提供の罪),Bさんは道路交通法違反(酒気帯び運転の罪),犯人隠避教唆の罪で逮捕されました。
(フィクションです)
~ はじめに ~
事例のように,酒酔い・酒気帯び運転,無免許運転など運転者の身代わりとなって,警察官に「自分が犯人だ」などと虚偽の供述をするというケースが散見されます。
これのようなケースが起きやすいのは,事故(あるいは違反)発生から警察官の現場臨場まで時間があること,実際の運転行為を現認している者がいないことなどの理由から,比較的,当事者間で口裏合わせをしやすいことが原因だと思われます。
本件では,Aさんが「自分が飲酒運転の犯人だ」などと言って虚偽の供述をし,犯人隠避罪に問われています。
そこで,まず,犯人隠避罪とはどんな罪なのかみていきたいと思います。
~ 犯人蔵匿・隠避罪 ~
犯人隠避罪については刑法103条に規定されています。
刑法103条
罰金以上の刑に当たる罪を犯した者(略)を蔵匿し,又は隠避させた者は,3年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。
= 罰金以上の刑に当たる罪 =
「罰金以上の刑に当たる罪」とは,法定刑として罰金刑以上の刑が規定されていればよく,選択刑として拘留・科料が規定されていても構わないとされています。
この点,Bさんは道路交通法違反(酒気帯び運転の罪)に問われているわけですが,酒気帯び運転の罪の法定刑は「3年以下の懲役又は50万円以下の罰金」ですから,Bさんが犯した罪は「罰金以上の刑に当たる罪」に当たることになります。
= 罪を犯した者 =
「罪を犯した者」の意義については,
・無実の者を蔵匿・隠避する行為は,国家の刑事司法作用を侵害する程度が著しく低く,期待可能性に乏しいなどとして,真犯人に限るという説
・国家の刑事司法作用を害する者を処罰するという103条の趣旨に鑑み,真犯人に限らず,犯罪の嫌疑を受けて捜査又は訴追されている者も含むとする説
がありますが,判例は後者の説に立っています。
本件では,Bさんが真犯人であることは明らかですから,いずれの説に立つにしてもBさんは「罪を犯した者」に当たります。
= 蔵匿・隠避 =
「蔵匿」とは,犯人に場所を提供してかくまってやることをいいます。
「隠避」とは,蔵匿以外の方法によって官憲による逮捕・発見を免れされる一切の行為を指し,Aさんのように,Bさんの代わりに警察官に「自分が犯人だ」と言う行為,自首する行為,犯人に変装用の衣服や旅費を与える行為などは「隠避」に当たります。
= 故意 =
本件の故意としては,Aさんが被蔵匿者又は被隠避者が「罰金以上の刑に当たる罪を犯した者」であることの認識が必要ですが,判例は,罰金以上の刑に当たる罪質の犯罪事実を犯した者であることを知っていれば,その罪の法定刑が罰金以上であることの認識までは必要ないとしています。
つまり,Aさんが,Bさんが「飲酒運転を起こした人」であるという程度のことが分かっていれば故意は認められそうです。
この点,Aさんは,Bさんと一緒に酒を飲んでいたこと,Bさんから飲酒運転したことを打ち明けられていることからすれば故意は認められそうです。
以上から,Aさんには犯人隠避罪が成立しそうです。
~ 車両提供罪 ~
本罪は,相手方が酒気を帯びている者で,酒気を帯びて車両等を運転すること(飲酒運転すること)となるおそれがあることを認識しながら,相手方に車両等を提供した場合に成立する犯罪です(道路交通法65条2項)。
罰則は,5年以下の懲役又は100万円以下の罰金です(道路交通法117条の2第2号)。
「提供」とは,提供を受ける者が利用し得る状態に置くことをいい,Aさんのようにエンジンキーを渡す行為などがこれに当たります。
Aさんは,車両提供罪でも処罰される可能性があります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,飲酒運転に関連する犯人隠避罪をはじめとする刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。
刑事事件・少年事件でお困りの方は0120-631-881までお気軽にお電話ください。
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神奈川県横須賀市の無免許運転・人身事故
神奈川県横須賀市の無免許運転・人身事故
神奈川県横須賀市在住のAさん(20歳)は,2019年現在,建設会社に勤めている。
ある日,Aさんは上司に頼まれて建設資材をトラックで現場まで運ぶように指示された。
Aさんがトラックで資材を現場まで運んでいる途中,道路脇から飛び出してきたVさんとぶつかってしまい,Vさんは全治2週間の怪我を負った。
人身事故を起こしてしまい,神奈川県田浦警察署に捜査されることとなったAさんは,今後のことが不安になり,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の無料相談を利用した。
(フィクションです)
~交通事故~
人身事故を起こしてしまった場合には,原則として自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律(略称:自動車運転処罰法)によって処罰されることになります。
この法律は全6条で,危険運転,飲酒運転,過失によって人身事故を起こした場合の罰則等が定められています。
今回のAさんはいわゆる危険運転によって事故を起こしたわけではないので過失運転致傷罪(第5条)となるでしょう。
過失運転致傷罪の罰則は7年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金となっています。
ただし,被害者の怪我が軽微なときは情状によって刑を免除することができると定められています。
~免許の種類~
ところで,Aさんは2019年現在20歳ですので運転免許を取得したのは年齢から考えると早くとも2017年ということになります。
ここで,道路交通法の改正によって,免許を取得した時期によって普通運転免許で運転することができる車種に違いがあることに注意が必要です。
具体的には以下のようになります。
2017年3月12日以降に取得した場合→車両総重量3.5t未満,最大積載量2.0t未満,乗員定員10人以下
2007年6月2日から2017年3月11日に取得した場合→車両総重量5.0t未満,最大積載量3.0t未満,乗員定員10人以下
2007年6月1日以前に取得した場合→車両総重量8.0t未満,最大積載量5.0t未満,乗員定員10人以下
今回のケースでAさんは建設資材をトラックで運んでいますので,おそらく最大積載量が高めのトラックを運転していたと思われます。
仮に最大積載量が3t以上のトラックであった場合,AさんはAさんの所持する免許では運転できない車種を運転しているということになり,無免許運転となってしまいます。
今回のケースのように,上司が部下にトラックなどを運転させた際に,免許の取得時期によって実は運転してはいけない車種であったというケースは多いと思われます。
また,何らかの交通違反によって免許取消処分を受けた方が,再度免許を取得した場合でも上記の車種制限はかかりますので,以前と同じようにトラックなどを運転してしまい無免許運転に問われるケースも多いようです。
~無免許運転過失致傷~
仮に,今回のケースでAさんは自身の運転免許で運転できない積載量のトラックを運転していた無免許運転であったとします。
そうなると,Aさんは無免許運転で人身事故を起こしてしまったことになりますので,無免許運転過失致傷罪として刑が加重され,10年以下の懲役と定められてます(自動車運転処罰法第6条)。
しかし,無免許運転は無免許であると認識しつつ運転をする場合と,無免許運転となるとは知らずに運転してしまった場合の2つに大別することができます。
今回のケースでは,AさんもAさんにトラックの運転を頼んだ上司も,Aさんはそのトラックを運転してもよいと考えていたと思われます。
このような場合,実際の裁判での判決を見ると,殊更刑を加重し実刑判決等を出す必要はないと考えられているようです。
無免許運転などの交通違反の前科がないような場合では,執行猶予付きの判決となっていることも多いです。
しかし,いずれも任意保険に加入していた,被害者の方と示談が成立していたなど被害者の方に対する被害弁償等が済んでいる場合が多いですから,再犯防止対策を練ることはもちろん,被害者対応等の弁護活動も十分行う必要があると考えられるでしょう。
人身事故の場合,被害弁償等には被害者だけでなく保険会社も関係してきますので,示談交渉をご自身で進めるのは難しい場合が多いでしょう。
そのような場合には,弁護士に依頼することで示談交渉がスムーズに進むことが多くなります。
専門家である弁護士が示談交渉をすることにより,示談後の再度の示談金の要求といった,後々のトラブル発生を防ぐことも可能です。
人身事故を起こしてしまった場合には弁護士に相談するのがベストな選択肢です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は人身事故を含む刑事事件専門の法律事務所です。
人身事故を起こしてしまいお悩み・お困りの方は0120-631-881までお気軽にご相談ください。
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東京都調布市の重過失傷害罪およびひき逃げ・在宅事件
東京都調布市の重過失傷害罪およびひき逃げ・在宅事件
東京都調布市の歩道を自転車で走っていたAは、前方を注視することもなく、いきなり車道に進路を変更した。
車道を自転車で運転していたVは、いきなりAが正面から割り込んできたことから、これをかわすためにハンドル操作を誤り、転倒し怪我を負った。
しかしAは、110番や119番をすることなく、その場から逃走した。
その後、警視庁調布警察署の警察官は、Aを重過失傷害罪および道路交通法違反(ひき逃げ)の疑いで逮捕した。
AはAの家族を身元引受人として釈放されたが、その後の手続きや処分が不安になり、交通事件に強いと評判の弁護士に相談することにした。
(本件は事実を基にしたフィクションです。)
~重過失傷害罪と道路交通法上の救護義務違反(ひき逃げ)~
昨今では、ロードバイクなどが流行していることもあり、自転車同士あるいは自転車と自動車等との重大な人身事故などを見聞きする機会も増えているかもしれません。
本件で自転車に乗っていたAは、道路交通法上の救護義務違反(ひき逃げ)に加えて重過失傷害罪の容疑でも逮捕されています。
重過失傷害罪とは、一般的にはあまり耳慣れない犯罪かもしれません。
刑法典においても、「業務上過失致死傷等」との見出しを持つ刑法211条の後段において、「重大な過失により人を死傷させた者も、同様(注:前段の業務上過失致死傷と同様ということ)とする」と、定められています。
単純な「過失傷害」が209条において定められているのとは対照的に、やや見落としやすい規定となっています。
刑法209条の過失傷害罪が罰則として罰金と科料のみを規定しているのに対し、刑法211条後段にある重過失傷害罪は「5年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金」と罰則を定めており、法定刑に大きな差があることも見逃せません。
本件のような場合、Aがわずかにでも注意を払えば、車道に対向している自転車を発見することができたといえる場合には「重大な過失」が認められるといえ、これによりVを負傷させていることから重過失傷害罪が問われることになります。
自動車運転死傷行為処罰法が自動車や原動機付自転車には適用されるのに対し、自転車には適用がないことから、自転車による重大な人身事故等に対しては重過失傷害罪が適用される事例が増えつつあります。
また、AはVを放置し現場から逃走していることから、道路交通法72条1項の救護義務違反(ひき逃げ)の成否も問題となります。
道路交通法117条1項は救護義務違反(ひき逃げ)を「5年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する」と規定していることから、こちらの罪も問われうることになるのです。
~交通事件(人身事故)における弁護活動~
人身事故では、被疑者が逮捕されることも少なくありませんが、留置の必要性がないとしてその日のうちに釈放されることもあります。
ただし、釈放されたからといって微罪処分などの警察限りでの不送致処分ではないことに注意が必要です。
こういった場合にも、在宅捜査としてなお、起訴され刑事裁判の対象となる可能性は十分にあるのです。
在宅捜査の場合、逮捕・勾留された事件(いわゆる身柄事件)のような時間的制約がない分、どのように捜査が進行しているかが分かりづらいことがしばしばあります。
したがって、身体拘束を受けていない場合でも、専門知識を有する弁護士による事件の見通しやアドバイスを受けることが重要です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、重過失傷害やひき逃げなどの交通事件を含む刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
身柄事件・在宅事件ともに経験が豊富な弁護士が、相談者様の不安やご不明点等を解消いたします。
重過失傷害事件やひき逃げ事件を起こしてしまった方やそのご家族は、フリーダイヤル(0120-631-881)まで今すぐお問い合わせいただくことをお薦めいたします。
(警視庁調布警察署までの初回接見費用:37,300円)
飲酒検知拒否罪で逮捕
飲酒検知拒否罪で逮捕
東京都台東区に住むAさんは,警視庁上野警察署に飲酒検知拒否罪の容疑で逮捕されました。
逮捕の知らせを受けたAさんの家族は,釈放してもらうため,刑事事件専門の弁護士に刑事弁護を依頼しました。
(フィクションです)
~飲酒検知拒否罪~
飲酒検知許否罪とはどんな罪なのでしょうか?
飲酒検知許否罪に関する規定である道路交通法118条の2及び63条3項を確認してみましょう。
道路交通法118条の2
第67条(危険防止の措置)第3項の規定による警察官の検査を拒み,又は妨げた者は,3月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
道路交通法67条第3項
車両等に乗車し,又は乗車しようとしている者が第65条第1項の規定に違反して車両等を運転するおそれがあると認められるときは,警察官は,(略),その者の呼気の検査をすることができる。
(※第65条第1項=何人も,酒気を帯びて車両等を運転してはならない)
では,どんな場合に飲酒検知許否罪が成立するのでしょうか?
上の規定を項目ごとにまとめると以下のとおりとなります。
1 誰が? →車両等に乗車し,又は乗車しようとしている者
2 どういう場合に?→飲酒運転の規定に違反して車両等を運転するおそれがあると認められたとき
3 何をした? →警察官の飲酒検知検査を拒み,又は妨げた
以下,項目ごとに解説いたします。
~誰が?(上記1について)~
「乗車しようとしている」の程度については,車両等のドアに手をかけた又はかけようとしている段階と解されています。
よって,ある方が居酒屋から飲酒状態で出てきて,ドライブキーを持ちながら駐車場に停めてある車の方に向かっているのを現認したとしても,その段階では「乗車しようとしている」とは言えず,飲酒検知拒否罪は成立しません。
~どういう場合に?(上記2について)~
外観上(顔色,呼気,言動等)から飲酒状態と認知できる状態で,車両等を運転する可能性が認められるときという意味です。
外観上から認知できればよいのですから,機器等で正確にアルコール保有値を図る必要はありませんし,酒気帯び運転の基準である0.15mg以下であっても飲酒検知拒否罪は成立し得ます。
~何をした?(上記3について)~
「拒み」とは,言語,動作,態度により,拒否の意思が客観的に明らかになったと認められる段階のことをいいます。
・明確に「嫌だ」と拒否する
・風船を受け取らない
・うがいをしない
・風船を受け取ったがふくまらせない
などがこれに当たります。
なお,拒む前提として,警察官による飲酒検査の要求行為を必要とします。
過去に,警察官の要求行為も,被告人の拒否行為も認めることができないから被告人を無罪とした裁判例があります(横浜地裁平成27年9月9日)。
~逮捕後の流れ~
では,飲酒検知拒否罪の容疑で逮捕されてしまったら,どのような手続きを受けることになるのでしょうか。
逮捕から勾留までの流れをご紹介いたします。
・逮捕から送致まで
逮捕された犯人を受け取った警察官は,「弁解録取」という犯人から弁解を聴く手続を取ります。
その上で犯人の身柄拘束が必要か否か判断し,必要ないと判断したときは犯人を釈放し,必要と判断したときは,逮捕のときから48時間以内に事件と犯人を検察官の元へ送致する手続きを取ります。
また,逮捕期間中,警察官による取調べも行われます。
・送致から勾留請求まで
犯人,事件が検察官の元に送致された場合,検察官は,警察官と同様「弁解録取」という手続を取ります。
その上で, 犯人の身柄拘束が必要か否か判断し,必要ないと判断したときは犯人を釈放し,必要がある判断したときは犯人の身柄を受け取ってから24時間以内に勾留請求の手続きを取ります。
・勾留請求から勾留決定まで
検察官が勾留の請求をした場合,今度は,裁判官による「勾留質問」の手続を受けます。
裁判官は,勾留質問の結果を経て犯人を勾留するか否かを判断します。
勾留の必要がないと判断したときは,原則,釈放されます。
ここで「原則」と申し上げたのは,検察官の不服申し立てにより,その判断が覆される(身柄拘束が続く)おそれがあるからです。
勾留の必要があると判断したとき(勾留決定があったとき)は,裁判官が指定された場所(通常は警察の留置施設)に勾留されることになります。
この場合の期間は,検察官の勾留の請求があった日から10日間です。
逮捕されれば,日常生活に大きな不利益をもたらします。
釈放して不利益を少しでも軽減させたいなどとお考えの方へ弊所までお気軽にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,飲酒検知拒否罪をはじめとする刑事事件・少年事件専門の法律事務所であり,釈放に向けた弁護活動等に特化しております。
【0120-631-881】で24時間,初回接見サービス,無料法律相談のお申込みを受け付けております。
(警視庁上野警察署までの初回接見費用:36,500円)