大阪市此花区の交通事故で刑の免除

2019-04-26

大阪市此花区の交通事故で刑の免除

~ケース~
ある日,Aさんが大阪市此花区内で自動車を運転し,右折しようとした際,前方に停車していた大型トラックの脇から直進してきた自転車に乗るVさんと接触してしまった。
Vさんは転倒し,全治1週間の軽い怪我を負った。
Aさんはその場で大阪府此花警察署および救急車を呼び,交通事故大阪府此花警察署に報告した。
なお,交通事故当時は右折信号が点灯しており,歩行者信号は赤であった。
(フィクションです)

~交通事故~

交通事故の中でも自動車による人身事故の場合,原則として自動車運転処罰法によって罰せられます。
自動車運転処罰法は全6条の法律で飲酒運転での事故,過失による人身事故,危険な運転による人身事故を起こしてしまった場合の処罰を規定しています。
その中でも特に用いられることの多い条文は以下になります。

(危険運転致死傷)
第2条 次に掲げる行為を行い,よって,人を負傷させた者は15年以下の懲役に処し,人を死亡させた者は1年以上の有期懲役に処する。
1 アルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態で自動車を走行させる行為
2 その進行を制御することが困難な高速度で自動車を走行させる行為
3 その進行を制御する技能を有しないで自動車を走行させる行為
4 人又は車の通行を妨害する目的で、走行中の自動車の直前に進入し、その他通行中の人又は車に著しく接近し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為
5 赤色信号又はこれに相当する信号を殊更に無視し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為
6 通行禁止道路(道路標識若しくは道路標示により、又はその他法令の規定により自動車の通行が禁止されている道路又はその部分であって、これを通行することが人又は車に交通の危険を生じさせるものとして政令で定めるものをいう。)を進行し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為

(過失運転致死傷)
第5条 自動車の運転上必要な注意を怠り,よって人を死傷させた者は,7年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金に処する。
ただし,その傷害が軽いときは,情状により,その刑を免除することができる。

~交通事故の弁護活動~

今回のケースではAさんはその場で救急車や警察を呼び,交通事故報告をしています。
仮に,今回のケースで軽い怪我であることもあり,警察を呼ばなかった場合にはどうなるでしょうか。
道路交通法では交通事故が発生した場合に,運転者に負傷者の救護義務,道路における危険防止措置義務,警察官への事故の報告義務が規定されています。
これらの義務に違反し,事故現場から去ることをいわゆる「ひき逃げ」と呼びます。
ひき「逃げ」と呼ばれていますが,逃げること自体は要件となっておらず,道路交通法の定める義務違反が一般的にひき逃げと呼ばれています。
報告義務違反の場合は3か月以下の懲役または5万円以下の罰金,救護義務および危険防止措置違反の場合は1年以下の懲役または100万円以下の罰金となります。

今回のケースでAさんはその場で警察や救急車を呼んでいますので,交通事故が発生した場合における道路交通法上の義務は果たしているといえるでしょう。
そのため,Aさんに適用されるのは自動車運転処罰法の過失運転致傷罪のみであると考えられます。
また,過失運転致傷罪は「傷害が軽いときは,情状により,その刑を免除することができる。」と規定されています。
この規定は怪我が軽い場合に刑の裁量的減免を規定しています。
裁量的減免ですので,怪我が軽い場合には罰せられないという規定ではないことに注意が必要です。

「情状により」とは交通事故時および交通事故後の被害者の方への対応などが考慮されると考えられます。
いわゆるひき逃げ状態であった場合には怪我が軽くても悪質な事案とみなされ過失運転致傷罪が適用されてしまう場合もあります。
しかし,今回のケースでAさんは道路交通法上の義務を果たしていますので,被害者の方への謝罪や治療費の支払いなどをすれば刑が免除される可能性も出てくるでしょう。
刑の免除が明らかな場合には検察官は事件を不起訴処分にしますので,刑事裁判を受けることも前科となることもありません。
このような場合には,弁護士は被害者の方との交渉や検察官へ刑の免除による不起訴処分とするように意見書を提出することが主な弁護活動となります。
被害者の方の怪我が軽くても自動的に刑が免除されるわけではありませんので,もし交通事故を起こしてしまった場合には弁護士に相談されることをお勧めします。

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