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飲酒運転でひき逃げ

2020-07-11

飲酒運転ひき逃げした場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~

会社員のAさんは、神奈川県藤沢市の市道で酒に酔った状態で車を運転し、自転車に乗っていた男性をはねてそのまま逃げた疑いで、神奈川県藤沢警察署に逮捕されました。
Aさんは、取調べに対して「飲酒運転をしていたのは認めるが、人をひいた覚えはない。」と容疑を否認しているようです。
逮捕の連絡を受けたAさんの母親は、すぐに接見に行ってくれる弁護士を探しています。
(フィクションです)

1.飲酒運転に対して問われる罪

飲酒運転は、道路交通法により固く禁じされています。
身体に一定以上のアルコールを保持したまま車などを運転した場合には、道路交通法違反が成立し、刑事罰の対象となります。

(1)酒気帯び運転

呼気1リットル中のアルコール濃度が0.15mg以上、もしくは血液1mlあたり0.3㎎以上のアルコールを含んで車両を運転する行為が、「酒気帯び運転」に当たり、刑事罰は3年以下の懲役または50万円以下の罰金です。

(2)酒酔い運転

「酒酔い運転」は、呼気アルコール濃度などは関係なく、飲酒の影響で正常に車両が運転できないおそれがある状態で車両を運転する行為です。
例えば、まっすぐ歩くことができなかったり、呂律が回っていないなどの状況から、正常に車両が運転できない状況か否かが判断されます。
酒酔い運転の刑事罰は、5年以下の懲役または100万円以下の罰金です。

2.ひき逃げに対して問われる罪

人身事故を起こしてしまった場合、運転手は、負傷者を助けたり、警察に事故を報告しなければなりません。
負傷者を適切に助ける義務を「救護義務」、警察に通報する義務を「報告義務」と呼び、これらの義務を行った場合は、道路交通法違反が成立することになります。
救護義務違反についての刑事罰は10年以下の懲役または100万円以下の罰金です。

3.人身事故を起こしたことにより問われる罪

飲酒運転で事故を起こしてしまい、人に怪我を負わせた、あるいは、人を死亡させてしまった場合には、「自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律」に定められる以下の罪が適用される可能性があります。

(1)過失運転致死傷罪

自動車の運転上必要な注意義務を怠り、よって人を死傷させた場合に成立する罪です。
過失運転致死傷罪の法定刑は、7年以下の懲役もしくは禁錮または100万円以下の罰金です。
その傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができるとされています。

(2)危険運転致死傷罪

アルコールの影響により、正常な運転が困難な状態で車両を走行させる行為を行い、よって人を死傷させた場合に成立する罪です。
「正常な運転が困難な状態」というのは、道路や交通の状況などに応じた運転をすることが難しい状態になっていることを指します。
飲酒運転の場合、アルコールによる酔いのために、前方をしっかり見て運転することが難しい状態、自分が思ったとおりにハンドルやブレーキなどを操作するのが難しい状態などが該当します。
本罪の法定刑は、人を死亡させた場合は1年以上の有期懲役、人を負傷させた場合は15年以下の懲役となっており、非常に重い罪と言えます。

また、アルコールの影響により正常な運転に支障が生じるおそれがある状態で、そのことを認識しながら車両を運転した上、客観的に正常な運転が困難な状態に陥って人を死亡させた場合には15年以下の懲役、人を負傷させた場合には12年以下の懲役が科される可能性があります。(通称、「準危険運転致死傷罪」)
「正常な運転に支障が生じるおそれがある状態」とは、正常な運転が困難な状態に陥っているわけではないが、アルコールのために、自動車を運転するのには必要な注意力・判断力・操作能力が相当程度低下しており、危険である状態のことをいいます。

4.飲酒運転でひき逃げした場合は?

飲酒運転で人身事故を起こし、その場から逃走した場合には、次のような罪が成立する可能性があります。

①道路交通法違反(酒気帯び運転)+道路交通法違反(救護義務違反)+過失運転致死傷罪

②危険運転致死傷罪+道路交通法違反(救護義務違反)

③準危険運転致死傷罪+道路交通法違反(救護義務違反)

これらの罪は、併合罪となり、その処断刑は、併合罪のうち2個以上の罪について有期懲役・禁錮に処するときは、その最も重い罪の刑について定めた刑の長期にその2分の1を加えたものを長期とします。
①の場合には、長期15年以下の懲役、②死亡の場合は長期30年以下の懲役、怪我をさせた場合は長期22年6月以下の懲役、③死亡の場合は長期22年6月以下の懲役、怪我をさせた場合は長期18年以下の懲役、となります。

このように、飲酒運転ひき逃げをした場合には、重い罪に問われる可能性があります。
公判請求され、正式裁判となることが予想されますので、早期に弁護士に相談することをお勧めします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、交通事件を含めた刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
ご家族が交通事件を起こし対応にお困りであれば、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。

携帯電話使用で交通事故

2020-07-04

携帯電話使用交通事故を起こした場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~

東京都立川市の道路を自家用車で走行していたAさんは、スマートフォンを手に取り、メッセージを確認していたところ、横断歩道があることに気が付かず、横断中の歩行者にぶつかってしまいました。
Aさんは、すぐに車を停車し、歩行者の安否を確認し、すぐに119番通報しました。
幸い、歩行者の怪我の程度は軽く済みましたが、Aさんは駆け付けた警視庁立川警察署の警察官に事故の原因について話を聞かれています。
(フィクションです)

携帯電話使用等に関する罰則の強化

スマートフォンや携帯電話は、今や私たちの生活に欠かすことができない必需品となっていますよね。
しかし、運転中にスマートフォンや携帯電話の画面を注視していたことに起因する交通事故が多く、運転中の「ながらスマホ」が社会的に問題となっています。
運転中のスマートフォンや携帯電話の使用は、スマートフォンや携帯電話に気をとられ、運転をする上での注意義務を欠くことで重大な交通事故を引き起こし得る大変危険な行為です。

令和元年12月1日に施行された改正道路交通法は、携帯電話使用等に関する罰則を強化しました。

(1)携帯電話使用等(保持)

携帯電話を保持して通話する行為や携帯電話の画面を注視する行為が禁止されています。
これに違反した場合、改正前は普通車に対する反則金が6,000円だったのに対し、改正後は18,000円と3倍に引き上げられました。
また、罰則については、改正前が5万円以下の罰金となっていたものが、改正後には6月以下の懲役または10万円以下の罰金と、罰金刑のみならず懲役刑が設けられました。

自動車や原動機付自転車の運転者がした違反行為のうち、反則行為については、一定期間内に郵便局か銀行に反則金を納めると、刑事裁判(少年の場合は、家庭裁判所の審判)を受けずに事件が処理される制度(交通反則通告制度)があります。
ですので、反則金の適用がある場合には、期限内に反則金を納付することで刑事処分を受けることなく事件を終了させることができます。
ただし、反則金を納付しなければ、刑事裁判(少年の場合には、家庭裁判所の審判)を受けることになります。

(2)携帯電話使用等(交通の危険を生じさせた場合)

携帯電話を保持しての通話や画面の注視、カーナビの画面の注視によって交通の危険を生じさせる行為については、交通反則通告制度の適用はなく、罰則は1年以下の懲役または30万円以下の罰金となります。

携帯電話使用で事故を起こした場合

さて、携帯電話を保持して画面を注視したことにより、交通事故を起こしてしまった場合について考えてみましょう。

交通事故は、物損事故と人身事故とに分けられます。

物損事故は、物にぶつかって破損させる交通事故です。
人が乗車している車にぶつかった場合であっても、相手方に怪我を負わせていなければ、物損事故として処理されることがあります。
運転中の携帯電話使用に起因して物損事故を起こした場合には、先述したように交通の危険を生じさせた場合として、道路交通法違反が成立し、法定刑の1年以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられる可能性があります。

他方、人に怪我を負わせた人身事故の場合には、道路交通法違反の他に、自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律で定められる過失運転致死傷罪が成立するでしょう。
この場合、事件内容にもよりますが、公判請求され、刑事裁判を受ける可能性が高いでしょう。

刑事裁判での弁護は、交通事件を含めた刑事事件に精通する弁護士に任せるのがよいでしょう。
迅速かつ適切な弁護活動により、執行猶予判決の獲得を目指します。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、交通事件を含めた刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
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覚醒剤使用後に運転し事故を起こしたら

2020-06-27

覚せい剤使用後運転事故を起こした場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~

東京都世田谷区の国道で自家用車を運転中に、歩道を歩いていた歩行者をはねて死亡させ、そのまま逃げた疑いで、警視庁世田谷警察署は、運転していたAさんを過失運転致死および道路交通法違反の容疑で逮捕しました。
しかし、Aさんの尿から覚せい剤の陽性反応が出たため、警察はAさんが覚せい剤を使用した状態で車を運転していたとみて、危険運転致死の適用も視野に捜査しています。
(フィクションです)

車を運転し人身事故を起こした場合

交通事故には、物損事故と人身事故とがあります。
物損事故と人身事故の違いは、簡単に言えば、交通事故により物が壊れたのか、人が怪我をしたり死亡してしまったりしたのか、にあります。
人身事故の場合、加害者は行政処分、民事処分、そして刑事処分の対象となります。

人身事故を起こした多くの場合、刑事事件として立件され、「自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律」(以下、「自動車運転致傷処罰法」といいます。)により過失運転致死傷罪に問われることになります。

過失運転致死傷罪は、自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた場合に成立する罪です。
その法定刑は、7年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金ですが、その傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができるとされています。

覚醒剤使用後に運転し人身事故を起こした場合

覚せい剤を使用した後に車を運転し、人身事故を起こした場合には、過失運転致死傷罪ではなく危険運転致死傷罪に問われる可能性があります。

危険運転致死傷罪は、薬物の影響により、正常な運転が困難な状態で自動車を走行させ、よって、人を死傷させた場合に成立します。
「正常な運転が困難な状態」とは、道路や交通の状況などに応じた運転をすることが難しい状態になっていることをいいます。
人を負傷させた場合の法定刑は、15年以下の懲役、人を死亡させた場合は1年以上の有期懲役と非常に重くなっています。

また、薬物の影響により正常な運転に支障が生じるおそれがある状態で、そのことを認識しながら自動車を運転した上、客観的に正常な運転が困難な状態に陥って人を死傷させた場合も、危険運転致死傷罪に問われることになります。
この場合の法定刑は、人を負傷させた者については12年以下の懲役、人を死亡させた者は15年以下の懲役です。
「正常な運転に支障が生じるおそれがある状態」とは、正常な運転が困難な状態に陥っているわけではないが、薬物のために、自動車を運転するのに必要な注意力・判断力・操作能力が相当程度低下して、危険である状態のことをいいます。

加えて、覚せい剤を使用していたことにより、覚せい剤取締法違反(覚せい剤使用)についても罪に問われることになります。

危険運転致死傷罪は非常に重い罪であり、前科がなくともいきなり実刑となる可能性は大いにあります。
このような場合には、言い渡される刑が少しでも軽くなるよう刑事事件に精通する弁護士に相談・依頼するのがよいでしょう。

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あおり運転で刑事事件に

2020-06-20

あおり運転刑事事件になる場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~

福岡県久留米市の車道を走行していたVさんでしたが、後方の車が急接近するなどのあおり運転を繰り返してきたため、Vさんは恐怖を感じて何とか逃げようと速度を上げました。
後方の車は、追い越し車線でVさんを追い越し、Vさんの前に割り込み、今度は低速度での運転をはじめました。
その車は、急に停止したため、Vさんはその車を回避しようとハンドルを左にきったため、ガードレールに衝突してしまいました。
後日、福岡県久留米警察署は、あおり運転をし事故を誘発したとして会社員のAさんを逮捕しました。
(フィクションです)

あおり運転により成立し得る罪は?

あおり運転は、一般的に、道路を走行する自動車やバイクなどに対して、車間距離を極端に詰めて威圧したり、幅寄せや急停止で運転を妨害するなど、意図して嫌がらせを行う危険行為のことを指します。
あおり運転は、重大な交通事故につながる悪質かつ危険な行為です。

現状、あおり運転については、道路交通法違反や刑法上の暴行罪を適用して対処しています。

1.道路交通法違反

道路交通法は、「あおり運転罪」なる罪を設けているわけではありません。
あおり運転」とみなされる個々の運転行為が、道路交通法に違反するのです。
以下、よくある「あおり運転」の行為についてみていきましょう。

(A)車間距離を必要以上に詰める行為:車間距離所持義務違反

第二十六条 車両等は、同一の進路を進行している他の車両等の直後を進行するときは、その直前の車両等が急に停止したときにおいてもこれに追突するのを避けることができるため必要な距離を、これから保たなければならない。

車間距離所持義務違反の罰則は、高速道路を走行中のケースでは、3か月以下の懲役又は5万円以下の罰金、その他の道路を走行中のケースでは、5万円以下の罰金です。

(B)隣の車線に車を幅寄せする行為:進路変更禁止違反

第二十六条の二 車両は、みだりにその進路を変更してはならない。
2 車両は、進路を変更した場合にその変更した後の進路と同一の進路を後方から進行してくる車両等の速度又は方向を急に変更させることとなるおそれがあるときは、進路を変更してはならない。
3 車両は、車両通行帯を通行している場合において、その車両通行帯が当該車両通行帯を通行している車両の進路の変更の禁止を表示する道路標示によつて区画されているときは、次に掲げる場合を除き、その道路標示をこえて進路を変更してはならない。
一 第四十条の規定により道路の左側若しくは右側に寄るとき、又は道路の損壊、道路工事その他の障害のためその通行している車両通行帯を通行することができないとき。
二 第四十条の規定に従うため、又は道路の損壊、道路工事その他の障害のため、通行することができなかつた車両通行帯を通行の区分に関する規定に従つて通行しようとするとき。

罰則は、5万円以下の罰金です。

(C)急ブレーキをかける行為:急ブレーキ禁止違反

第二十四条 車両等の運転者は、危険を防止するためやむを得ない場合を除き、その車両等を急に停止させ、又はその速度を急激に減ずることとなるような急ブレーキをかけてはならない。

罰則は、3か月以下の懲役又は5万円以下の罰金です。

2.暴行罪

刑法第二百八条 暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、二年以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。

暴行罪の「暴行」とは、「不法な有形力の行使が人の身体に対して加えられる」場合を指します。
殴る蹴るといった暴力のみならず、狭い四畳半の部屋で在室中の被害者を脅かすために、日本刀の抜き身を振り回す行為も「暴行」に当たります。
あおり運転」の場合、車間距離の接近、幅寄せや威嚇といった行為が「有形力の行使」に当たるとみなされると、暴行罪が適用される可能性があります。

このように、あおり運転とみなされる運転行為を行っただけでも、道路交通法違反や暴行罪が成立し、刑事事件として処理されることになります。

あおり運転の結果、事故を起こした場合は?

あおり運転をした結果、交通事故を起こし、人を死傷させてしまった場合には、危険運転致死傷罪(妨害目的運転)に該当する可能性があります。

危険運転致死傷罪とは、以下の行為を行うことにより人を負傷又は死亡させた場合に成立する犯罪です。
①アルコール・薬物の影響により正常な運転が困難な状況で自動車を走行させる行為
②進行を制御することが困難な高速度で自動車を走行させる行為
③進行を制御する技能を有しないで自動車を走行させる行為
④人・車の通行を妨害する目的で、走行中の自動車の直前に侵入し、その他通行中の人・車に著しく接近し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為
⑤赤信号を殊更に無視し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為
⑥通行禁止道路を進行し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為

あおり運転は上の④に該当し得、結果、相手方に怪我を負わせてしまった場合には、危険運転致傷罪が成立する可能性があるでしょう。

あおり運転、危険運転で逮捕されてお困りであれば、交通事件・刑事事件に精通する弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士にご相談ください。

スピード違反による交通事故

2020-06-13

スピード違反による交通事故が起きた場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~

京都府長岡京市の高速道路を時速180キロで走行していたAさんは、前方を走行していた車が車線変更したことに気が付くのが遅く、速度を十分に落とすことができず、前を走っていた車に衝突してしまいました。
前の車に乗車していた夫婦は、怪我をしているようで、通報を受けて駆け付けた救急車に運ばれていきました。
Aさんは、京都府警察の警察官に過失運転致傷および道路交通法違反(速度超過)の疑いで現行犯逮捕されました。
(フィクションです。)

スピード違反について成立する罪

法定速度を超える速度で運転した場合、いわゆるスピード違反は、重大な事故につながるおそれがあることから、道路交通法で厳しく規制されています。
スピード違反は、道路交通法において「速度超過」と呼ばれ、次のように禁止されています。

道路交通法第22条 
車両は、道路標識等によりその最高速度が指定されている道路においてはその最高速度を、その他の道路においては政令で定める最高速度をこえる速度で進行してはならない。

政令で定める最高速度とは、一般道では時速60キロ、高速道路では時速100キロです。
法定速度を1キロでもオーバーすれば速度超過となります。
一般道路において、超過速度が30キロ未満であれば、反則金の納付による行政処分で終了しますが、超過速度が30キロ以上となれば、行政処分ではなく刑事処分の対象となります。
高速道路であれば、超過速度が40キロ以上で刑事手続に付されます。
速度超過による道路交通法違反の罰則は、6月以下の懲役又は10万円以下の罰金です。
お金を納めるという点では、反則金も罰金も同じですが、罰金は刑事罰であり、有罪判決を受けたことが前提となりますので、前科が付くことになります。

スピード違反による交通事故を起こした場合

スピード違反交通事故を起こし、相手に怪我を負わせてしまった場合、以下の罪が成立する可能性があります。

(1)過失運転致死傷罪

自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、7年以下の懲役もしくは禁固または100万円以下の罰金に処される可能性があります。
ただし、その傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができるとされています。

(2)危険運転致死傷罪

危険運転致死傷罪は、次に掲げる行為を行い、よって、人を負傷させる罪です。
①アルコールや薬物の影響により、正常な運転が困難な状態で自動車を走行させる行為。
②進行を制御することが困難な高速度で自動車を走行させる行為。
③信仰を制御する技能を有しないで自動車を走行させる行為。
④人又は車の通行を妨害する目的で、走行中の自動車の直前に進入し、その他通行中の人又は車に著しく接近し、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為。
⑤赤信号等を殊更無視し、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為。
⑥交通禁止道路を進行し、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為。
スピード違反の程度が、②の「進行を制御することが困難な高速度」である場合には、危険運転致傷罪が成立する可能性があります。
「進行を制御することが困難な高速度」であるか否かは、スピードだけでなく、走行していた道路の状況等を考慮して判断されます。
危険運転致死傷罪の刑罰は、人を負傷させた場合は15年以下の懲役、人を死亡させた場合には1年以上の有期懲役と、過失運転致死傷罪よりも重くなっています。

スピード違反交通事故を起こした場合、道路交通法違反や過失運転致死傷罪、場合によっては危険運転致死傷罪が成立することがあります。
多くが正式裁判となり、危険運転致死傷罪で有罪となれば実刑の可能性もあります。
ですので、交通事件にも対応する刑事事件に強い弁護士に相談・依頼し、できる限り寛大な処分となるよう動くことが重要です。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、交通事件を含めた刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
交通事件でお困りの方は、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。

道路交通法違反(乗車積載方法違反)で現行犯逮捕

2020-06-06

道路交通法違反乗車積載方法違反)で現行犯逮捕されるケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~

会社員のAさんは、兵庫県西宮市の国道で、飼い犬のトイプードルを自分の膝の上に乗せて運転していました。
付近をパトロール中だった兵庫県甲子園警察署の署員が、運転席側の窓から顔を出している犬を発見し、Aさんの車に停車するよう呼び止めました。
Aさんは停車しましたが、「犬を運転席には乗せていない。」と容疑を否認して、免許証の提示を拒否しそのまま走り去ろうとしたため、署員はAさんを現行犯逮捕しました。
逮捕の知らせを受けたAさんの家族は、Aさんのことや今後のことが心配になり、すぐに対応してくれる弁護士を探しています。
(実際の事件を基にしたフィクションです。)

道路交通法違反(乗車積載方法違反)とは

道路交通法は、道路における危険を防止し、その他交通の安全と円滑を図り、及び道路の交通に起因する障害の防止に資することを目的とする法律です。(道路交通法第1条)
ざっくり言うと、道路交通法は、主に車両の運転者や歩行者が道路において守るべきルールを定めるものです。
そのルールのなかでも取り締まりの件数が多いのが、携帯電話使用等違反、座席ベルト装着義務違反等、駐停車違反、一時不停止、最高速度違反だと言われています。
上の事例では、乗車積載方法違反に問われているようですが、あまり耳にしない違反ですね。
どのような違反なのでしょうか。

道路交通法第55条2項は、乗車又は積載の方法について次のように規定しています。

車両の運転者は、運転者の視野若しくはハンドルその他の装置の操作を妨げ、後写鏡の効用を失わせ、車両の安定を害し、又は外部から当該車両の方向指示器、車両の番号標、制動灯、尾灯若しくは後部反射器を確認することができないこととなるような乗車をさせ、又は積載をして車両を運転してはならない。

積載装置以外の場所に荷物を積載したり、運転席や助手席の視野を妨げる行為を行う場合に、乗車積載方法違反となります。
犬などのペットを運転席に入れ、膝の上に乗せて運転する場合や、日よけカーテンの装着等が、運転者の視野やハンドル等の操作を妨げるような場合には、乗車積載方法違反となります。

乗車積載方法違反の罰則は、5万円以下の罰金です。
反則金は、普通車6,000円、中・大型車7,000円です。
乗車積載方法違反の場合、通常は反則金を支払うことで事件は終了します。

比較的軽微な道路交通法違反であっても、逮捕されることもあります。
事例において、Aさんは現行犯逮捕されていますが、現行犯逮捕される場合とはどのような場合なのでしょうか。

現行犯逮捕される場合とは

原則として、人を逮捕する場合には、事前に裁判官が発布した逮捕状がなければなりません。
しかし、逮捕状がなくとも逮捕することができる場合もあります。
そのひとつが「現行犯逮捕」です。

現行犯逮捕は、現行犯人に対して行う逮捕です。
現行犯逮捕については、刑事訴訟法第213条で次のように規定しています。

現行犯人は、何人でも、逮捕状なくしてこれを逮捕することができる。

ここでいう「現行犯人」とは、どういった人のことを言うのでしょう。

それについては、刑事訴訟法第212条に次のように規定されています。

第二百十二条 現に罪を行い、又は現に罪を行い終つた者を現行犯人とする。
2 左の各号の一にあたる者が、罪を行い終つてから間がないと明らかに認められるときは、これを現行犯人とみなす。
一 犯人として追呼されているとき。
二 贓物又は明らかに犯罪の用に供したと思われる兇器その他の物を所持しているとき。
三 身体又は被服に犯罪の顕著な証跡があるとき。
四 誰何されて逃走しようとするとき。

つまり、「現行犯人」というのは、「現に罪を行」う者、そして、「現に罪を行い終わった」者のことです。
犯罪が行われた状況や犯罪が終わった状況を目撃し、その犯罪が行われる最中、あるいは、犯罪が行われた後時間を置かずに逮捕することが「現行犯逮捕」です。

また、一定の条件に当てはまる者が罪を行い終わってから間がないと明らかに認めるときは、現行犯人とみなされ、現行犯逮捕が認められます。
この場合を、現行犯人と区別して「準現行犯」と呼びます。
準現行犯とする要件は、
①犯人として追呼されているとき。
犯人として追われている、犯人として呼び掛けられている場合です。
②贓物(不法に領得された財物)や、明らかに犯罪に使われたと思われる兇器その他の物を身に着けて携帯しているような場合。
③返り血を浴びたような血痕が身体や服に付着しているといった、身体や服に犯罪の顕著な証跡が残っている場合。
④警察官から声をかけられて逃げ出そうとしている、呼び止められて逃げようとしている場合。

現行犯人や準現行犯人であっても、30万円以下の罰金、拘留又は科料に当たる軽微な犯罪を行った者については、その者の住居や氏名が明らかでないとき、又は、逃亡のおそれがあるときのみ逮捕することができます。
Aさんは、5万円以下の罰金に当たる軽微な犯罪を行った者と疑われるところですが、その場から走り去ろうとしたため、逃亡の恐れがあると認められ、現行犯逮捕されたのでしょう。

現行犯逮捕された後の流れは、通常の逮捕の場合と同じです。
逮捕から48時間以内に、被疑者は釈放されるか、検察庁に送致されます。
検察庁に送致された場合、検察官は被疑者の身柄を受けてから24時間以内に、被疑者を釈放するか、若しくは勾留請求を行います。
勾留請求されると、検察官からの勾留請求を受けた裁判官が、勾留について判断することになります。
裁判官が勾留の決定をした場合には、検察官が勾留請求をした日から原則10日間、被疑者は警察署の留置場での身体拘束を余儀なくされます。
延長が認められれば、最大で20日間身柄が拘束されることになります。

そのような長い期間身柄が拘束されると、学校や会社に行くことはできませんので、最悪の場合、退学や懲戒解雇となってしまうおそれもあります。
できる限り早い段階での釈放で、その後の生活への支障を最小限に抑えることが重要です。

ご家族が道路交通法違反事件で逮捕されてしまったのであれば、今すぐ刑事事件・少年事件に精通する弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
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少年の交通事件

2020-05-30

少年交通事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

 

~事例~

Aくんは、大阪府堺市南区の高校に通う17歳です。
長期休み中、大学生の友人Bくんが運転する車で市内の商業施設に向かいました。
その帰りに、AくんがBくんの車を運転することになりました。
するとその途中で、Aくんは一旦停止を怠り、大阪府堺南警察署の警察官に車を停止するよう言われました。
車を停止させたAくんに、警察官は運転免許証の提示するよう求めたところ、Aくんが無免許運転であることが発覚しました。
Aくんは、そのまま警察署に連行され、調べを受けた後に、両親が身元引受人となり釈放されました。
警察から、いずれ家庭裁判所に送致することになると言われ、どのような処分が下されるのか不安になった両親は、少年事件に強い弁護士に相談することにしました。
(フィクションです。)

少年事件の流れ

20歳未満の者(以下、「少年」といいます。)が、刑罰法令に違反したり、将来違反する可能性がある行為を行った場合には、刑事事件に関する手続を定めた刑事訴訟法の他に、少年法が適用されます。

捜査段階では、被疑者が少年の場合でも、基本的には刑事訴訟法が適用されます。
ですので、少年であっても逮捕、勾留される可能性はあります。
ただし、14際未満の少年は、刑事責任を問われませんので、刑罰法令に触れる行為を行ったとしても犯罪とはならず、逮捕されることもありません。(しかし、警察からの調査や、児童相談所による一時保護を受けることがあります。)

捜査機関が捜査を終え、犯罪の嫌疑がある、あるいは、犯罪の嫌疑はないものの家庭裁判所の審判に付すべき事由があると判断したときは、すべての事件を家庭裁判所に送致します。
これを「全件送致主義」といいます。

事件が家庭裁判所に送致された後は、少年保護事件として、成人の刑事事件とは異なる手続が進められます。
家庭裁判所は、審判に付すべき少年について、事件の調査を行います。
その後、非公開の審判において、非行事実および要保護性について審理され、終局処分が言い渡されます。

以上が、少年事件の大まかな流れとなります。

少年の交通事件

家庭裁判所が受理する少年事件は、交通事件とそれ以外の一般事件とに分けられます。
交通事件は、その事件数も多く、また、交通事件に特性に着目した処遇や教育的措置が必要であるといわれており、一般の少年事件とは異なる処遇がなされることがあります。
しかし、共同危険行為や、危険運転致死傷、過失運転致死傷については、通常の少年事件と同様の手続となります。

以下、交通事件が一般の少年事件と異なる手続について概観します。

◇交通反則通告制度◇
道路交通違反事件の場合、全件送致主義の例外として、交通反則通告制度があります。
交通反則通告制度は、自動車の運転者の違反行為のうち、比較的軽微な交通違反を反則行為とし、刑事処分に代えて反則金を納付するという方法で処理する制度です。
反則行為に該当する行為を行った少年については、所定の手続に従い反則金を納付した場合には家庭裁判所に送致されません。
このような交通反則通告制度により処理される事件や共同危険行為、危険運転致死傷、過失運転致死傷等以外の道路交通法違反事件は、家庭裁判所送致後に、以下のような手続がとれらます。

◇調査・集団講習◇
事件が家庭裁判所に送致されると、一般事件と同様に調査官による調査が行われます。
調査の一環として、家庭裁判所で少年に対する交通講習が実施されることがあります。
少年の講習に取り組む姿勢や結果も処遇を判断する材料となります。
調査官は、少年の処遇に関する意見を裁判官に提出します。
調査官からの意見を受けて、裁判官は審判を開始する必要がないと判断すれば、審判不開始決定を出します。

◇審判◇
交通事件では、集団審判が行われることが多くなっています。
少年保護事件は、原則個別処理されるのですが、交通事件では自動車運転に関する非行が問題とされ、一般事件とは異なる交通要保護性に着目した教育的措置や処遇が必要となります。
また、同種の事件が大量に繰り返し係属するので、処理の合理化・迅速化を図る必要があることから、交通事件に関しては一般事件と異なる取り扱いがなされます。

◇保護処分◇
交通事件の処遇も、一般事件と同様に、不処分決定、保護処分、検察官送致などです。
交通事件における保護観察には、交通事件を対象としたものがあります。
交通保護観察と交通短期保護観察です。

交通短期保護観察:原則、保護観察官が直接集団処遇を行い、少年に毎月その生活状況を報告させるもので、実施期間は原則として3か月以上4か月以内とされます。
交通保護観察:交通法規や運転技術等に関するテキスト等を用いた個別処遇を行うことが多いようです。

少年交通事件は、一般事件とは異なる手続・処遇となることがあります。
お子様が交通事件を起こしお困りであれば、少年事件を数多く取り扱う弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
無料法律相談・初回接見サービスに関するお問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881までお電話ください。

空き地で交通違反・交通事故

2019-06-15

空き地で交通違反・交通事故

京都府城陽市に住むAさんはお酒を飲んだ後,駐車スペースを空けるため,空き地において軽自動車を運転したところ,たまたま近くを通りかかった京都府城陽警察署のパトカーに呼び止められました。
Aさんは,警察官から呼気検査を受けたところ,呼気1リットルにつき0.2mgのアルコールが検出されました。
そして,Aさんは,道路交通法違反(酒気帯び運転の罪)の被疑者として警察官から赤切符の交付を受けました。
Aさんとしては,「空き地であれば酒気帯び運転しても問題ない」と考えていましたが,警察官からは「私道でも交通違反になることがある」と言われてしまいました。
(フィクションです)

~ はじめに ~

自動車を運転する道は必ずしも公道だけに限らず,私道の場合もあります。
そして,そこが道路交通法上の「道路」と認められる場合である場合は,たとえ「私道」であっても道路交通法の適用を受けるのです。
そこで,今回は,道路交通法の基本中の基本である「道路」の意義を中心に解説したいと思います。

~ 道路交通法上の「道路」の意義 ~

道路交通法2条1項1号で「道路」とは,「道路法第2条第1項に規定する道路,道路運送法第2条第8項に規定する自動車道及び一般交通の用に供するその他の場所をいう」とされています。
「道路法第2条第1項に規定する道路」とは,①高速自動車国道,②一般国道,③都道府県道,④市町村道をいいます。
なお,都市高速道路は,都道府県道又は市町村道のいずれかに当たります。
「道路運送法第2条第8項に規定する自動車道」とは,専ら自動車の交通の用に供することを目的として設けられた道で道路法による道路以外のものをいい,「一般自動車道」と「専用自動車道」に分けられます。
「一般自動車道」とは,専用自動車道以外の自動車道をいい,「専用自動車道」とは,自動車運送事業者(自動車運送事業を経営 する者をいう。以下同じ。)が専らその事業用自動車(自動車運送事業者がその自動車運送事業の用に供する自動車をいいます。

~ 一般交通の用に供するその他の場所 ~

では,最後の「一般交通の用に供するその他の場所」とはどのような場所をいうのでしょうか?
「一般交通の用に供するその他の場所」とは,不特定の人や車両が自由に通行できる場所をいい,公道であるか私道であるかを問わないとされています。
そして,交通実務では,次の3点から「一般交通の用に供するその他の場所」かどうかを判断しています。

①一般交通の用に供されていると客観的に識別できること
②当該道路が反復,継続して利用されていること
③公開されていること

これらの要素が満たされた場所であれば,「私道」,「空地」,「広場」,「海辺」,「公開中の公園の道路」,「学校の構内の道路」,「神社の境内」等を問わず,道路交通法上の「道路」とされます。

~ 「道路」であるとどうなるの? ~

「道路」であると認められる場合は,道路交通法に基づく罰則を科される可能性が出てきます。
ちなみに,Aさんは酒気帯び運転をした疑いが高いわけですが,酒気帯び運転について定めた道路交通法65条1項は,まず,「何人も,酒気を帯びて運転してはならない」と規定し,さらに「運転」の意義については,道路交通法2条1項17号で「『道路』において,車両又は路面電車(以下,車両等という)をその本来の用い方に従って用いることをいう。」とされています。
したがって,「空き地,駐車場では絶対に交通違反にはならない」などという認識は誤りですから注意しましょう。

* 人身事故の場合は? *
仮に,「道路」では場所で,人身事故を起こした場合はどうでしょうか?
この場合,道路交通法の適用とありませんが,過失により人に怪我をさせたり死亡させた場合は,「自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律」に規定される過失運転致死傷罪に問われる可能性があります。
同罪の罰則は「7年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金」です。

~ おわりに ~

道路交通法は,「道路」における危険を防止し,その他交通の安全と円滑を図り,及び道路の交通に起因する障害の防止に資することを目的としています。
したがって,道路交通法を理解することは「道路」意義を理解するといっていいほど「道路」の意義は重要です。
皆さんも,日頃運転している道が「道路」なのか否か少し気に留めてみてはいかがでしょうか?

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,交通違反をはじめとする刑事事件少年事件専門の法律事務所です。
交通違反に関連する刑事事件でお困りの方は,0120-631-881までお気軽にお電話ください。
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飲酒検知拒否罪で逮捕

2019-04-01

飲酒検知拒否罪で逮捕

東京都台東区に住むAさんは,警視庁上野警察署飲酒検知拒否罪の容疑で逮捕されました。
逮捕の知らせを受けたAさんの家族は,釈放してもらうため,刑事事件専門の弁護士に刑事弁護を依頼しました。
(フィクションです)

~飲酒検知拒否罪~

飲酒検知許否罪とはどんな罪なのでしょうか?
飲酒検知許否罪に関する規定である道路交通法118条の2及び63条3項を確認してみましょう。

道路交通法118条の2
第67条(危険防止の措置)第3項の規定による警察官の検査を拒み,又は妨げた者は,3月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

道路交通法67条第3項
車両等に乗車し,又は乗車しようとしている者が第65条第1項の規定に違反して車両等を運転するおそれがあると認められるときは,警察官は,(略),その者の呼気の検査をすることができる。
(※第65条第1項=何人も,酒気を帯びて車両等を運転してはならない)

では,どんな場合に飲酒検知許否罪が成立するのでしょうか?
上の規定を項目ごとにまとめると以下のとおりとなります。

1 誰が?     →車両等に乗車し,又は乗車しようとしている者
2 どういう場合に?→飲酒運転の規定に違反して車両等を運転するおそれがあると認められたとき
3 何をした?   →警察官の飲酒検知検査を拒み,又は妨げた

以下,項目ごとに解説いたします。

~誰が?(上記1について)~

乗車しようとしている」の程度については,車両等のドアに手をかけた又はかけようとしている段階と解されています。
よって,ある方が居酒屋から飲酒状態で出てきて,ドライブキーを持ちながら駐車場に停めてある車の方に向かっているのを現認したとしても,その段階では「乗車しようとしている」とは言えず,飲酒検知拒否罪は成立しません。

~どういう場合に?(上記2について)~

外観上(顔色,呼気,言動等)から飲酒状態と認知できる状態で,車両等を運転する可能性が認められるときという意味です。
外観上から認知できればよいのですから,機器等で正確にアルコール保有値を図る必要はありませんし,酒気帯び運転の基準である0.15mg以下であっても飲酒検知拒否罪は成立し得ます。

~何をした?(上記3について)~

拒み」とは,言語,動作,態度により,拒否の意思が客観的に明らかになったと認められる段階のことをいいます。

・明確に「嫌だ」と拒否する
・風船を受け取らない
・うがいをしない
・風船を受け取ったがふくまらせない

などがこれに当たります。
なお,拒む前提として,警察官による飲酒検査の要求行為を必要とします。
過去に,警察官の要求行為も,被告人の拒否行為も認めることができないから被告人を無罪とした裁判例があります(横浜地裁平成27年9月9日)。

~逮捕後の流れ~

では,飲酒検知拒否罪の容疑で逮捕されてしまったら,どのような手続きを受けることになるのでしょうか。
逮捕から勾留までの流れをご紹介いたします。

・逮捕から送致まで
逮捕された犯人を受け取った警察官は,「弁解録取」という犯人から弁解を聴く手続を取ります。
その上で犯人の身柄拘束が必要か否か判断し,必要ないと判断したときは犯人を釈放し,必要と判断したときは,逮捕のときから48時間以内に事件と犯人を検察官の元へ送致する手続きを取ります。
また,逮捕期間中,警察官による取調べも行われます。
  
・送致から勾留請求まで
犯人,事件が検察官の元に送致された場合,検察官は,警察官と同様「弁解録取」という手続を取ります。
その上で, 犯人の身柄拘束が必要か否か判断し,必要ないと判断したときは犯人を釈放し,必要がある判断したときは犯人の身柄を受け取ってから24時間以内に勾留請求の手続きを取ります。
  
・勾留請求から勾留決定まで
検察官が勾留の請求をした場合,今度は,裁判官による「勾留質問」の手続を受けます。
裁判官は,勾留質問の結果を経て犯人を勾留するか否かを判断します。
勾留の必要がないと判断したときは,原則,釈放されます。
ここで「原則」と申し上げたのは,検察官の不服申し立てにより,その判断が覆される(身柄拘束が続く)おそれがあるからです。
勾留の必要があると判断したとき(勾留決定があったとき)は,裁判官が指定された場所(通常は警察の留置施設)に勾留されることになります。
この場合の期間は,検察官の勾留の請求があった日から10日間です。

逮捕されれば,日常生活に大きな不利益をもたらします。
釈放して不利益を少しでも軽減させたいなどとお考えの方へ弊所までお気軽にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,飲酒検知拒否罪をはじめとする刑事事件少年事件専門の法律事務所であり,釈放に向けた弁護活動等に特化しております。
【0120-631-881】24時間初回接見サービス無料法律相談のお申込みを受け付けております。
警視庁上野警察署までの初回接見費用:36,500円

福岡県の当て逃げで書類送検 物損事故でも刑事事件専門弁護士に相談が吉

2019-01-10

福岡県の当て逃げで書類送検 物損事故でも刑事事件専門弁護士に相談が吉

Aは、福岡県小郡市で自動車を運転している際、V宅玄関の石垣に衝突し、これを破壊したまま逃走した。
Vが防犯カメラの映像をもって福岡県小郡警察署に相談したことでAの当て逃げ行為が発覚し、Aは捜査の末、道路交通法違反(当て逃げ)の疑いで書類送検された。
そこでAは、交通事件に強い刑事事件専門弁護士に相談することにした。
(本件はフィクションです。)

~当て逃げと刑事罰~

本件Aは、いわゆる物損事故を起こしてしまったうえその場から逃走する当て逃げによって書類送検されてしまっています。
道路交通法72条1項は、一般に救護義務を規定しているとされ、ひき逃げなどの人身事故に対して適用される規定だと思われがちです。
しかし、道路交通法72条1項前段は、「交通事故があつたときは、当該交通事故に係る車両等の運転者その他の乗務員は、直ちに車両等の運転を停止して、……道路における危険を防止する等必要な措置を講じなければならない」と規定しているのであり、そこで運転者等に求められる義務は「負傷者を救護」することに限られません。
そして、さらに上記場合においては、当該車両等の運転者は、
・警察官が現場にいるときは当該警察官に対して
・警察官が現場にいないときは直ちに最寄りの警察署の警察官に対して
・当該交通事故が発生した日時及び場所、当該交通事故における……損壊した物及びその損壊の程度、当該交通事故に係る車両等の積載物並びに当該交通事故について講じた措置を報告しなければならない。
と当該運転車の義務を規定しているのです(道路交通法72条1項後段)。
つまり、物損事故であったとしても、警察官や警察署に事故を届け出なければ、この規定に反することになり、道路交通法違反(当て逃げ)となってしまうのです。

道路交通法72条1項前段の違反は、道路交通法117の5第1号により「1年以下の懲役又は10万円以下の罰金」という刑事罰をが定められていることに注意が必要です。
また、道路交通法119条1項10号は、道路交通法72条1項後段に違反した場合にも、「3月以下の懲役又は5万円以下の罰金」という刑罰を定めています。

この通り、すでに当て逃げ等をして現場から去ってしまっている場合、物損事故でも刑事罰の対象になり得ます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、交通事件も多数扱う刑事事件の弁護活動に強いと評判の法律事務所です。
道路交通法違反事件(当て逃げ)で書類送検されてしまった方は、フリーダイヤル(0120-631-881)まで無料相談等のご依頼のお電話をお受付しております。

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