少年の交通事件

2020-05-30

少年交通事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

 

~事例~

Aくんは、大阪府堺市南区の高校に通う17歳です。
長期休み中、大学生の友人Bくんが運転する車で市内の商業施設に向かいました。
その帰りに、AくんがBくんの車を運転することになりました。
するとその途中で、Aくんは一旦停止を怠り、大阪府堺南警察署の警察官に車を停止するよう言われました。
車を停止させたAくんに、警察官は運転免許証の提示するよう求めたところ、Aくんが無免許運転であることが発覚しました。
Aくんは、そのまま警察署に連行され、調べを受けた後に、両親が身元引受人となり釈放されました。
警察から、いずれ家庭裁判所に送致することになると言われ、どのような処分が下されるのか不安になった両親は、少年事件に強い弁護士に相談することにしました。
(フィクションです。)

少年事件の流れ

20歳未満の者(以下、「少年」といいます。)が、刑罰法令に違反したり、将来違反する可能性がある行為を行った場合には、刑事事件に関する手続を定めた刑事訴訟法の他に、少年法が適用されます。

捜査段階では、被疑者が少年の場合でも、基本的には刑事訴訟法が適用されます。
ですので、少年であっても逮捕、勾留される可能性はあります。
ただし、14際未満の少年は、刑事責任を問われませんので、刑罰法令に触れる行為を行ったとしても犯罪とはならず、逮捕されることもありません。(しかし、警察からの調査や、児童相談所による一時保護を受けることがあります。)

捜査機関が捜査を終え、犯罪の嫌疑がある、あるいは、犯罪の嫌疑はないものの家庭裁判所の審判に付すべき事由があると判断したときは、すべての事件を家庭裁判所に送致します。
これを「全件送致主義」といいます。

事件が家庭裁判所に送致された後は、少年保護事件として、成人の刑事事件とは異なる手続が進められます。
家庭裁判所は、審判に付すべき少年について、事件の調査を行います。
その後、非公開の審判において、非行事実および要保護性について審理され、終局処分が言い渡されます。

以上が、少年事件の大まかな流れとなります。

少年の交通事件

家庭裁判所が受理する少年事件は、交通事件とそれ以外の一般事件とに分けられます。
交通事件は、その事件数も多く、また、交通事件に特性に着目した処遇や教育的措置が必要であるといわれており、一般の少年事件とは異なる処遇がなされることがあります。
しかし、共同危険行為や、危険運転致死傷、過失運転致死傷については、通常の少年事件と同様の手続となります。

以下、交通事件が一般の少年事件と異なる手続について概観します。

◇交通反則通告制度◇
道路交通違反事件の場合、全件送致主義の例外として、交通反則通告制度があります。
交通反則通告制度は、自動車の運転者の違反行為のうち、比較的軽微な交通違反を反則行為とし、刑事処分に代えて反則金を納付するという方法で処理する制度です。
反則行為に該当する行為を行った少年については、所定の手続に従い反則金を納付した場合には家庭裁判所に送致されません。
このような交通反則通告制度により処理される事件や共同危険行為、危険運転致死傷、過失運転致死傷等以外の道路交通法違反事件は、家庭裁判所送致後に、以下のような手続がとれらます。

◇調査・集団講習◇
事件が家庭裁判所に送致されると、一般事件と同様に調査官による調査が行われます。
調査の一環として、家庭裁判所で少年に対する交通講習が実施されることがあります。
少年の講習に取り組む姿勢や結果も処遇を判断する材料となります。
調査官は、少年の処遇に関する意見を裁判官に提出します。
調査官からの意見を受けて、裁判官は審判を開始する必要がないと判断すれば、審判不開始決定を出します。

◇審判◇
交通事件では、集団審判が行われることが多くなっています。
少年保護事件は、原則個別処理されるのですが、交通事件では自動車運転に関する非行が問題とされ、一般事件とは異なる交通要保護性に着目した教育的措置や処遇が必要となります。
また、同種の事件が大量に繰り返し係属するので、処理の合理化・迅速化を図る必要があることから、交通事件に関しては一般事件と異なる取り扱いがなされます。

◇保護処分◇
交通事件の処遇も、一般事件と同様に、不処分決定、保護処分、検察官送致などです。
交通事件における保護観察には、交通事件を対象としたものがあります。
交通保護観察と交通短期保護観察です。

交通短期保護観察:原則、保護観察官が直接集団処遇を行い、少年に毎月その生活状況を報告させるもので、実施期間は原則として3か月以上4か月以内とされます。
交通保護観察:交通法規や運転技術等に関するテキスト等を用いた個別処遇を行うことが多いようです。

少年交通事件は、一般事件とは異なる手続・処遇となることがあります。
お子様が交通事件を起こしお困りであれば、少年事件を数多く取り扱う弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
無料法律相談・初回接見サービスに関するお問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881までお電話ください。

Copyright(c) 2016 弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所 All Rights Reserved.