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ひき逃げと自首

2021-10-12

 

ひき逃げ事件と自首について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

大阪府内の県道で車を運転していたAさんは、信号で止まっていたVさんの車に衝突しました。慌てたAさんは、そのまま現場を立ち去り、現場から近いコンビニに車を停め、コンビニで飲料を買いました。我に返ったAさんは、現場に戻ろうとも考えましたが、逮捕が怖くそのまま自宅に帰りました。しかし、やはりAさんは逮捕が不安で警察に自首しようか悩んでいます。
(フィクションです)

~ひき逃げの罪~

自動車の運転上必要な注意を怠り(過失により),人に怪我をさせた場合は過失運転致傷罪,死亡させた場合過失運転致死罪が成立します。この罪は,自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律5条に規定されており,罰則は7年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金です。
また、交通事故を起こしたにもかかわらず,車両等(軽車両を除く)の運転者が人の救護措置を怠った場合には救護措置義務違反が成立します。義務規定については道路交通法72条1項前段に規定されており,罰則については117条1項・2項に規定されています。2項は,人の死傷が当該運転者の運転に起因するものであるときの規定で10年以下の懲役又は100万円以下の罰金,1項はそうでないときの規定で5年以下の懲役又は50万円以下の罰金です。

~自首~

Aさんは自首を検討しているようです。

自首とは、捜査機関に犯罪事実又は犯人が発覚する前に、犯人が自ら進んで自己の犯罪事実を捜査機関に申告し、その処分を委ねる意思表示のことをいうとされています。
 「捜査機関」とは,主に検察官,警察官のことをいいます。
「自首」というためには、捜査機関に犯罪事実又は犯人が発覚する前に申告することが必要です。
ただし、「犯罪事実又は犯人」とされていますから、犯罪事実は発覚していても,まだ犯人が誰であるか発覚していない段階でも自首に当たる可能性はあります。
自首の方法としては自ら申告する場合のほか、他人を介して自己の犯罪事実を申告させることもできます。また,書面による申告も有効と解されています。ただし,こうした場合は、犯人がいつでも捜査機関の支配下にいることが条件となると解されています。
なお、自首というためには「捜査機関に処分を委ねること」、つまり、犯罪事実を認めていることが前提です。書面のみを提出して所在不明となった場合,氏名を秘匿している場合などは,処分を委ねる意思がないものとみなされるでしょう。

このように、「自首」を主張するためにはいくつかのハードル(要件)を超えなければならないことが分かります。
自首の要件を満たさないのに捜査機関に申告しても、それは「自首」ではなく単なる「出頭」にしか当たりません。

「自首」の最大の特徴は、必ず減刑されることです。
しかし、減軽といっても、その対象は法定刑(強制わいせつ罪であれば6月以上10年以下の懲役、強制わいせつ致傷罪であれば3年以上の懲役)であって、実際の「量刑」は法定刑が減軽された後の範囲で決せられます。したがって、自首に当たるからといって必ずしも執行猶予が確約されたわけではなく、やはり実刑に処せられることもあります。

もう一つの特徴としては、逮捕を免れる可能性があるということです。これは「自首」ではなく「出頭」に当たる場合でも同様です。
罪証隠滅のおそれ、逃亡のおそれがないと判断されやすいからです。
ただし、反対に、そのおそれがやはりあるとして逮捕される可能性もあります。
ですから、捜査機関に申告する前に、弁護士とよく相談して様々なアドバイスを受け、対策を取る必要があります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件でお悩みの方は、まずはお気軽に0120-631-881までお電話ください。専門のスタッフが、24時間体制で、無料法律相談、初回接見サービスを受け付けております。

過失運転致死罪で示談

2021-10-05

過失運転致死罪で示談について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

Aさんは自動車を運転して帰宅途中、信号のない交差点で原動機付自転車と衝突する事故を起こし、乗っていた男性を死亡させました。事故当時Aさんはスマホを見ながら運転しており、そのため交差点に進入してきた原動機付自転車の発見が遅れ、この死亡事故につながりました。Aさんは過失運転致死事件の被疑者として取調べを受けることになっています。
(フィクションです)

~過失運転致死罪~

過失運転致死罪は自動車運転死傷処罰法(正式名称:自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律)第5条に規定されている罪です。
条文は「自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、7年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金に処する。ただし、その傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができる」となっています。

過失運転致死傷罪における自動車とは、原動機によって走行する車で、レールや架線を用いないものを意味します。
よって、自動二輪車や原動機付自転車も過失運転致死罪の処罰対象になります。

そして、「自動車の運転」とは、発進に始まり停止に終わるものとされています。
ただし、普通乗用自動車を運転していた者が車を道路左端に停車後、降車しようとして後方を十分確認することなく運転席ドアを開けたため後方から進行してきた自転車にドアをぶつけ、自転車に乗っていた人に傷害を負わせたという事件で、自動車の運転自体はすでに終了しており自動車運転上の過失は認められないものの、自動車の運転に付随する行為であり自動車運転業務の一環としてなされたものから傷害結果が発生したものとして業務上過失傷害罪の成立が認められた判例(東京高判平成25・6・11高刑速平成25年73頁)があります。
また、停止させる場所が不適切だったために事故につながった場合にも自動車運転過失致死傷罪の適用が考えられます。

過失運転致死傷罪が成立するためには、自動車の運転に必要な注意を怠ったこと、すなわち過失が必要です。
ここでの「過失」は、前方不注意やわき見運転、巻き込み確認を怠ったこと、歩行者や自転車等の飛び出しに気付かなかったこと、方向指示器(ウインカー)を点滅させずに方向転換したことなど、ちょっとした不注意でもこれにあたるとされています。
さらには、自分では注意を払ったつもりでも、別の行為をとっていたりより注意深くしていれば事故を避けることができたと裁判所が判断し過失が認定されてしまうケースもあります。

今回のケースでは、Aさんはスマホの画面を見ながら運転していますから、Aさんに過失があったと認定される可能性はかなり高いと考えられます。

~示談~

交通死亡事故で示談する意義は正式起訴を回避できる(略式起訴での罰金刑で済む)という点です。
正式起訴とは公開の法廷で刑事裁判を受ける必要のある起訴のことです。正式起訴されると刑事裁判を受け、裁判で有罪の認定を受ければ禁錮刑に処されます。
一方、略式起訴は公開の法廷で刑事裁判を受ける必要のない起訴のことです。略式起訴されると禁錮刑ではなく罰金刑に処されます。
略式起訴を目指すには、検察官が刑事処分を出す前に示談を成立させなければなりません。
しかし、ご遺族側とすれば、何も加害者の刑事処分が決まる前に示談しなければならない理由はありません。ですから、この場合、刑事処分前に示談できるよう、検察官、ご遺族側の弁護士等と円滑に交渉を進めていく必要があるのです。仮に、ここで示談できずに正式起訴されたとしても、その後示談できれば正式裁判で執行猶予付き判決を獲得できたり、禁錮刑ではなく罰金刑となる可能性は十分に考えられます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は、まずは0120-631-881までお気軽にお電話ください。無料法律相談、初回接見サービスを24時間体制で受け付けております。無料相談や初回接見後のご報告では、事件の見通しや、刑事手続の説明の他、弁護士費用などについてご納得いただけるまでご説明させていただきます。

赤信号無視で危険運転

2021-09-28

赤信号無視で危険運転について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

Aさんは、深夜午前1時頃、普通乗用自動車を運転して帰宅途中、前方約70メートルにある交差点の対面信号が赤色表示をしていたにも関わらず、「深夜だし交差点を通過する車はいないだろう」「早く家に帰ってゆっくりしたい」などと思って、時速約60キロメートルで交差点に進入したところ、右方から交差点に進入してきたVさん運転の軽自動車に自車を衝突させ、Vさん運転の軽自動車を電柱に衝突させてVさんに加療約1か月間を要する怪我を負わせました。Aさんは、警察官に過失運転致傷罪で現行犯逮捕され、その後、検察庁において、罪名を危険運転致傷罪に切り替えられて起訴されました。
(フィクションです)

~過失運転致傷罪、危険運転致傷罪~

過失運転致傷罪、危険運転致傷罪とも「自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律(以下、法律)」に規定されています。
過失運転致傷罪は法律5条に、危険運転致傷罪は法律2条に定められています。
危険運転致死傷罪については法律2条1号から6号にその類型が定められており、本件は法律2条5号が適用されそうです(罰則15年以下の懲役)。
法律2条5号には赤色信号(略)を殊更に無視し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為定められています。

「赤色信号を殊更に無視し」とは、故意に赤色信号に従わない行為のうち、およそ赤色信号に従う意思のないものをいいます。この意思があるかどうかは、運転者が、どの地点で対面信号が赤色表示していたのを認識していたかにもよります。

次に、「重大な交通の危険を生じさせる速度」とは、自車が相手方と衝突すれば大きな事故を生じさせると一般的に認められる速度、あるいは、相手方の動作に即応するなどしてそのような大きな事故を回避することが困難と認められる速度のことをいい、通常時速20~30キロメートルであればこれに当たると考えられています。

~両罪の違い~

まず、大きな違いは法定刑です。
過失運転致傷罪が「七年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金」であるのに対し、危険運転致死傷罪は「人を負傷させた者は十五年以下の懲役に処し、人を死亡させた者は一年以上の有期懲役」です。
特に、危険運転致死罪の場合、1年以上の有期懲役ですから、起訴され、有罪となれば実刑判決を受ける可能性も十分にあります。

次に、前者は過失、すなわち不注意によって交通事故を起こした場合に適用されるのに対し、後者は故意、すなわち法律5条各号に規定されている状態・状況を運転者が認識しながらあえて自動車を運転して交通事故を起こした場合に適用される法律です。

たとえば、前述の5号の「赤色信号」を例にとりましょう。
運転者が前方の赤色信号を認識しつつ、あえてこれに従わず交差点に進入したと認められる場合(かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転した場合)は危険運転が適用される可能性が高いでしょう。他方、不注意によって赤色信号を示していた交差点に進入してしまい交通事故を起こした場合は過失運転が適用されるでしょう。

危険運転か過失運転かは、交通事故態様や事故時。事故後の状況などを総合して判断されます。
よって、捜査の結果、危険運転から過失運転になったり、あるいはその逆となることもあります。

危険運転で捜査を受けお困りの方は弁護士までご相談ください。

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無免許で原付を運転中に人身事故を起こし逃亡

2021-09-07

今回は、無免許で原付を運転している際に人身事故を起こし、逃亡してしまった場合に問われうる犯罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

~ケース~

Aさんは、無免許で原付を運転中、誤って歩行者Vと接触してしまい、怪我を負わせてしまいました。
しかし、無免許運転が発覚するとまずいと考えたAさんは、警察や救急車を呼ばずにその場から逃走してしまいました。
Aさんはいつ逮捕されるのかと、不安にかられています。
どうすればよいのでしょうか。(フィクションです)

~Aさんに成立しうる犯罪~

(無免許過失運転致傷罪)
自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者が、その罪を犯した時に無免許運転をしたものであるときは、10年以下の懲役に処せられます(自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律第6条4項・5条)。

「自動車」には、原付も含まれます(自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律第1条1項)。
Aさんは原付を運転中、誤ってVと接触し、怪我を負わせていますが、この時Aさんは無免許運転をしていました。
上記の事実関係によれば、無免許過失運転致傷罪が成立する可能性が高いと考えられます。

(救護義務違反、危険防止等措置義務違反)
一般に「ひき逃げ」と呼ばれる犯罪です。
道路交通法第72条1項前段は、
「交通事故があつたときは、当該交通事故に係る車両等の運転者その他の乗務員(以下この節において「運転者等」という。)は、直ちに車両等の運転を停止して、負傷者を救護し、道路における危険を防止する等必要な措置を講じなければならない」
としています。

Vの怪我は明らかにAさんの運転に起因するものと考えられますが、無免許運転が発覚するとまずいと考えたAさんは、救急車を呼び、Vを救護することも、道路の危険を防止する措置を講じることもなく、事故現場から立ち去ってしまいました。
上記行為は、道路交通法違反の罪(救護義務違反・危険防止等措置義務違反)を構成する可能性が高いと思われます。
法定刑は、10年以下の懲役又は100万円以下の罰金となっています。

~Aさんは今後どうなる?~

ひき逃げ事件の犯人が数日以内に検挙されることは珍しくありません。
ある日、警察がAさんの自宅に現れ、そのまま逮捕されてしまう可能性は十分あります。
すぐにでも刑事事件に詳しい弁護士と相談し、アドバイスを受ける必要があります。

~自首・出頭を検討~

とはいえ、弁護士を依頼することによって、逃走の支援を受けたり、証拠隠滅のアドバイスを受けることはできません。
ケースの場合は、自首・出頭することを検討することになると思われます。

(自首・出頭を行うメリット)
自首が成立すれば、有罪判決を受ける場合に刑の減軽がなされる場合があります。
また、自ら犯罪事実を申告したことが評価され、逮捕されずに済む場合もあります。

自首が成立するためには厳格な要件があり、これを満たさない場合には「出頭」扱いとなります。
出頭に留まった場合には、これによって刑が減軽されることはありませんが、いずれにしても自ら犯罪事実を申告したことが肯定的に評価される可能性は存在します。

また、Aさんはいつ逮捕されてしまうのか、と不安にかられています。
自首・出頭することにより、そのような状況に終止符を打つことができるでしょう。

(自首・出頭を行うデメリット)
ケースの場合、自首・出頭を行うことにより、ほとんど確実に無免許過失運転致傷・ひき逃げ事件の被疑者となってしまいます。
また、ケースの事件は比較的悪質な事件であり、自首・出頭後に逮捕されてしまう可能性も存在します。

「自分が事件の犯人である」と申告するのですから、被疑者とされるのは仕方がないという他にありませんが、逮捕・勾留されてしまうリスクも考えなければなりません。
自首・出頭により事件解決を目指す場合には、被疑者となってしまうことについて覚悟ができる場合に限られます。

~自首・出頭前に弁護士を依頼する~

上記のように、自首・出頭することによってデメリットを被る可能性は否定できません。
自首・出頭前にあらかじめ弁護士を依頼しておくことにより、被疑者となってしまった後、あるいは、逮捕されてしまった後において、早期に弁護活動を開始することができます。
まずは弁護士と相談し、今後の対策についてアドバイスを受けることをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
無免許過失運転致傷事件・ひき逃げ事件を起こしてしまい、お困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

交通事件での身体拘束

2021-08-21

交通事件での身体拘束の可能性について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~
ある朝、警視庁西新井警察署の警察官が東京都足立区にあるAさん宅を訪れました。
Aさんは、先日の交通事故の件で話が聞きたいと警察官から言われ、西新井警察署に連れて行かれました。
お昼ごろ、Aさんの妻に連絡があり、「ご主人をひき逃げ事件の件で逮捕しました。」と言われ、妻はまさか逮捕されるとは思っておらず大変驚いています。
このままAさんの身体拘束が続くのかどうか心配になったAさんの妻は、すぐに対応してくれる弁護士をネットで探すことにしました。
(フィクションです。)

刑事事件での身体拘束

あなたが罪を犯したと疑われた場合、捜査機関によってあなたの身柄が拘束されることがあります。
すべての事件において、被疑者・被告人が身体拘束を強いられるわけではありません。
人の身体の自由を一定期間奪うわけですから、法律に定められている要件を満たす場合にのみ、被疑者・被告人の身柄を拘束することが許されるのです。

捜査段階では、まず、「逮捕」という身体拘束を伴う強制処分があります。
これは、被疑者の取調べを目的として、被疑者の意思に反して、身体・行動の自由という重要な権利利益を侵害する処分です。
ですので、この処分を実施するためには、法律、ここでは刑事訴訟法と呼ばれるものですが、それに定められている要件を満たしていることが前提となります。
逮捕には、①通常逮捕、②現行犯逮捕、③緊急逮捕の3種類があります。
ここでは、①通常逮捕の要件について説明します。

通常逮捕とは、事前に裁判官が発行する逮捕令状に基づいて、被疑者を逮捕するもので、これが逮捕の原則的な形態です。
逮捕の要件は、①逮捕の理由、および、②逮捕の必要性です。
①逮捕の理由とは、被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があることです。
そして、②逮捕の必要性というのは、被疑者が逃亡するおそれや罪証隠滅するおそれがある場合をいいます。
検察官または司法警察員が逮捕状の請求を行い、その請求を受けて、裁判官が逮捕の理由と逮捕の必要性を審査し、逮捕状を発布するか、請求を却下するかを判断します。

逮捕に引き続いて行われ得る身体拘束を伴う強制処分として、「勾留」というものがあります。
勾留は、比較的長期間の身体拘束を伴うものです。
勾留は、起訴前の勾留(「被疑者勾留」ともいいます。)と起訴後の勾留(「被告人勾留」ともいいます。)とに分けられます。

被疑者勾留の要件は、①犯罪の嫌疑、②勾留の理由、③勾留の必要性、の3つです。
①犯罪の嫌疑の要件とは、被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があることをいいます。
②勾留の理由については、住居不定、罪証隠滅のおそれ、逃亡のおそれ、のいずれかに該当する場合にあるものと判断されます。
そして、②勾留の理由がある場合であっても、被疑者を勾留することにより得られる利益と、これによって生じる不利益を比較してつり合いがとれないようなときは、被疑者を勾留することは許されません。
これを③勾留の必要性(もしくは相当性)といいます。
検察官が勾留を請求し、裁判官が勾留の要件を満たしているかどうかを判断します。
被疑者勾留の期間は、原則、検察官が勾留請求をした日から10日間です。
ただし、検察官が勾留延長の請求をし、それを裁判官が認めた場合には、最大で更に10日間となります。

被疑者が起訴されると、勾留も被疑者勾留から被告人勾留へと切り替わります。
勾留されている被疑者が起訴された場合、当然に被告人勾留が開始されます。
被告人勾留の要件は、被疑者勾留のそれと同じです。
ただし、勾留期間は起訴の日から2か月で、裁判所は、特に継続の必要があるときは、勾留期間を1か月ごとに更新することができます。

以上のように、刑事事件において身体拘束は絶対ではありませんが、要件を満たす場合には長期間の身体拘束を余儀なくされることがあります。

交通事件での身体拘束の可能性

交通に関する刑事事件、例えば、無免許運転や飲酒運転による道路交通法違反や、人身事故による過失運転致死傷や危険運転致死傷事件を起こした場合、通常の刑事事件と同様に、先に述べたように身柄が拘束される可能性があります。
単純な無免許運転や飲酒運転の場合、多くが現行犯逮捕となりますが、逃亡のおそれも罪証隠滅のおそれもないと判断され、その後釈放されるケースが多いでしょう。
人身事故を起こした場合については、過失運転致死傷に該当するケースであり被害がそこまで大きくないのであれば、勾留されずに釈放となる可能性が高いでしょう。
一方、危険運転致死傷に該当するような重大な事故の場合や、ひき逃げ事件では、被疑者の身柄を確保して捜査を継続する必要がある判断される傾向にあります。
特に、ひき逃げ事件については、いったん現場から逃走しているため、逃亡のおそれが高いと判断されるからです。
しかしながら、長期の身体拘束は、退学や懲戒解雇といった過度な不利益を被疑者・被告人に課すものであるため、不当不要な身体拘束は避けなければなりません。
そのため、逮捕された場合や、逮捕されそうな場合には、早期に弁護士に相談し、身柄解放に向けて動いてもらいましょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
ご家族が刑事事件・少年事件で逮捕されて対応にお困りであれば、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。
無料法律相談初回接見サービスに関するご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881で24時間受け付けております。

睡眠導入剤の影響による危険運転致死傷罪

2021-08-14

睡眠導入剤影響による危険運転致死傷罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~
Aさんは、運転中に意識障害に陥り、福岡県うきは市の道路の左端を歩いていた歩行者に衝突し、全治1か月の怪我を負わせる事故を起こしてしまいました。
Aさんは、前夜に睡眠導入剤を服用しており、その影響があったのではないかと、福岡県うきは警察署危険運転致死傷の適用も視野に入れて捜査をしています。
(フィクションです。)

危険運転致死傷罪とは

人身事故を起こした場合、通常は、自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律(以下、「自動車運転処罰法」といいます。)に規定されている「過失運転致死傷罪」が適用されます。
これは、自動車を運転する上で必要な注意を怠り、人を死傷させる罪です。
しかし、過失の程度がひどく、故意や故意に近いような重大な過失によって交通事故を起こした場合には、自動車運転処罰法に規定されている「危険運転致死傷罪」に問われることになります。

自動車運転処罰法2条1号は、「アルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態で自動車を走行させる行為」を行い、よって、人を負傷させた場合は15年以下の懲役に、人を死亡させた場合は1年以上の有期懲役に処することを定めています。

■薬物の影響により正常な運転が困難な状態■

「薬物」とは、覚せい剤や麻薬といった規制薬物や、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保に関する法律」(以下、「医薬品医療機器等法」といいます。)で指定された指定薬物に限らず、中枢神経系の興奮もしくは抑制または幻覚の作用などを有する物質であって、自動車を運転する際の判断能力や運転操作能力に影響を及ぼす性質を持つ物質であればよいとされています。

「薬物の影響」とは、薬物の摂取により正常な身体又は精神の状態に変化を生じ、運転に際して注意力の集中、距離感の確保等ができないため、運転者に課せられた周囲義務を果たすことができないおそれのある状態をいいます。
「薬物の影響により」とあるように、運転操作に対する障害は、薬物の「影響により」もたらされなければなりません。
そのため、薬物を摂取した場合であっても、睡眠不足や過労の影響で注意力が散漫になり、その結果、事故を起こしたのであれば、それは薬物の影響により惹起されたものではなく、本罪は成立しません。

「正常な運転が困難な状態」については、道路及び交通の状況等に応じた運転操作を行うことが困難な心身の状態にあることをいいます。

そして、「よって」という文言があるように、本罪が成立するためには、薬物の影響により正常な運転が困難な状態であったということと、当該事故との間に因果関係があることが必要です。
つまり、当該事故が、的確な運転行為を行っていたとしても回避不能であると認められる場合には、因果関係が否定されることになります。

■故意■

危険運転致死傷罪は故意犯であるため、罪を犯す意思がなければなりません。
つまり、被疑者が当該車両を運転している際に、自己が「薬物の影響により正常な運転が困難な状態」にあることを認識している必要があるのです。
この点、被疑者に求められる認識は、法的評価の伴う「薬物の影響により正常な運転が困難な状態」ではなく、それを基礎付ける事実についての認識です。
薬物を摂取して頭がふらふらするとか、幻覚がちらついているとか、正常な運転が困難な状態に陥るための事実関係を認識していれば足りるとされています。
単に、被疑者自身が「正常に運転できる」と思っていたとしても、過去に薬物を摂取して運転して意識障害を何度も起こしている、薬物の効能を知っている、といった事実があれば薬物の影響により正常な運転が困難である状態であることを認識していたものと認められます。

また、同法3条1号は、「アルコール又は薬物の影響により、その走行中に正常な運転に支障が生じるおそれがある状態で、自動車を運転し、よって、そのアルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態に陥り」、人を負傷させた場合は12年以下の懲役に、人を死亡させた場合は15年以下の懲役に処する、と規定しています。

■その走行中に正常な運転に支障が生じるおそれがある状態で■

「正常な運転に支障が生じるおそれがある状態」とは、先の「正常な運転が困難な状態」であるとまではいえないものの、自動車を運転するのに必要な注意力、判断能力または操作能力が、そうではないときの状態と比べると相当程度減退して危険性のある状態、そして、そのような危険性のある状態になり得る具体的なおそれがある状態をいうとされています。

■故意■

運転開始前、または運転中に薬物を摂取し、それによって「正常な運転に支障が生じるおそれがある状態」となっていることを認識しながら運転したのであれば、「正常な運転に支障が生じるおそれがある状態」を認識していたと言えます。
先に述べたように、薬物の薬理作用を知っていながら摂取した場合は、「正常な運転が困難な状態」の認識があったことになるものと考えられます。
しかし、初めて当該薬物を用いる場合、その薬理作用について正確な知識がない場合でも、少なくとも精神・神経に何らかの影響を与えることは十分承知しているはずであるから、その未必的な危険性については認識しており、「正常な運転に支障が生じるおそれがある状態」についての認識があったと認められるでしょう。

睡眠導入剤の影響による危険運転致死傷罪

睡眠導入剤には、脳の機能を低下させ、大脳辺縁系や脳幹網様体と呼ばれる部分の神経作用を抑えることで睡眠作用をもたらす薬理作用があります。
睡眠導入剤影響による危険運転致死傷罪の成立が争われる場合、
①運転操作に睡眠導入剤影響を与えたか否かが不明であるから、薬物の影響によりその走行中に正常な運転に支障が生じるおそれがある状態で自動車を運転してはいない、薬物の影響により正常な運転が困難な状態に陥ってもいない。
②薬物の影響によりその走行中に正常な運転に支障が生じるおそれがある状態で自動車を運転することについての認識がない。
といった主張がなされるケースが想定されます。
睡眠導入剤影響のよる危険運転致死傷罪が成立し得るのか、事案によって異なりますので、交通事件に対応する弁護士に相談されるのがよいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、交通事件を含めた刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
ご家族が危険運転致死傷事件で逮捕されてお困りであれば、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。
無料法律相談初回接見サービスに関するご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881で24時間受け付けております。

道路交通法違反(速度超過)事件

2021-08-07

道路交通法違反速度超過)について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~
京都府木津川市の指定速度制限が40キロである道路を時速75キロで走行したとして、Aさんが道路交通法違反速度超過)の容疑で京都府木津川警察署に検挙されました。
Aさんは、取調べにおいて、「40キロ制限の標識があるなんて知らなかった。自分は法定速度の60キロで走行していたと思っていた。」と主張しています。
取調べ後に、Aさんは自分の主張が通るのかどうか弁護士に相談することにしました。
(フィクションです。)

スピード違反は、道路交通法違反速度超過)であり、程度によっては刑事罰の対象となります。

道路交通法第22条1項は、車両の最高速度遵守義務について次のように規定しています。

車両は、道路標識等によりその最高速度が指定されている道路においてはその最高速度を、その他の道路においては政令で定める最高速度をこえる速度で進行してはならない。

「道路標識等によりその最高速度が指定されている道路」とは、公安委員会が道路交通法第4条の規定に基づき道路標識等を設置して、その最高速度が指定されている道路のことです。
外側が赤い円で囲んであり、中は白色で、その中に青色で規制の速度が書かれている標識がありますよね。
その標識に50と書いてあれば、その道路は時速50キロを超える速度で車を運転してはならないということです。

道路標識等により最高速度が指定されている道路以外の道路においては、政令で定める最高速度を超えて走行してはなりません。
政令で定める最高速度とは、
高速自動車国道の本線車道またはこれに接する加速車線もしくは減速車線を通行する場合の最高速度は、普通自動車については時速100キロです。
高速自動車国道の本線車道やこれに接する加速車線および原則車線以外の道路を通行する場合は、時速60キロです。

最高速度違反に対する罰則は、次の通りとなっています。

第118条 次の各号のいずれかに該当する者は、6月以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。
1 第22条(最高速度)の規定の違反となるような行為をした者
(略)
2 過失により前項第1号の罪を犯した者は、3月以下の禁錮又は10万円以下の罰金に処する。

速度違反の故意犯については、6月以下の懲役または10万円以下の罰金、過失犯については3月以下の禁固または10万円以下の罰金を科すものとしています。
故意とは、罪を犯す意思のことで、故意犯については故意がなければ犯罪は成立しません。
速度違反の場合には、行為者の認識と実際に発生した事実が一致しない場合(これを「事実の錯誤」といいます。)が問題となることがあります。
例えば、警察官の測定速度が時速75キロ、運転者Aが認識した速度が時速65キロ、法定速度が時速60キロの場合、Aが「65キロしか出してない。」と主張しても、それは同一構成要件内で具体的事実に錯誤があったとしても故意を阻却しないという考え方から、Aは5キロ超過分に対する故意犯ではなく、15キロ超過分全体について故意を阻却しないことになります。
故意の成立は、犯罪構成要件事実の認識で足りるとされており、その認識の程度は、必ずしも犯罪構成要件事実を確定的に認識することまで必要とされません。
そのため、「時速60キロを超えていたかもしれない。」という未必的認識であっても故意が認められます。
また、道路標識等によって最高速度が指定されている道路において、運転者がその標識に気付かず、最高速度を超えて走行した場合には、過失犯となる可能性がありますが、標識に気付かなかっただけでなく、運転者が内心法定速度を超えて走行していることを認識していた場合には、指定された制限速度についての認識がなくとも、故意による指定制限速度違反の罪が成立する可能性があります。

速度超過道路交通法違反ですが、超過速度の程度によっては、交通反則通告制度の対象となり、反則金を納めることによって刑事責任の追及を逃れることができます。
一般道では30キロ以上、高速自動車国道では40キロ以上の速度超過であれば、交通反則通告制度は適用されず、刑事罰の対象となります。

Aさんのように故意を争いたいが、自分の主張が通るのかどうか不安だという方は、一度弁護士に相談されるのがよいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、交通事犯を含めた刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
刑事事件を起こして対応にお困りであれば、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。
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交通事犯で逮捕、保釈で釈放

2021-07-31

交通事犯逮捕され、保釈釈放を目指す場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~
兵庫県神戸市垂水区で人身事故を起こしたAさんは、兵庫県垂水警察署逮捕されました。
Aさんは、飲酒運転により人身事故を起こしており、警察は危険運転致死傷の適用も視野に入れて捜査をしているようです。
Aさんは、接見に来た弁護士に釈放の可能性について聞いています。
(フィクションです。)

交通事犯で逮捕されたら

交通事犯については、全体として厳罰化の傾向にあります。
交通事犯というのは、一般に、自動車運転に係る犯罪のことを意味し、道路交通法違反、過失運転致死傷罪や危険運転致死傷罪などの犯罪のことをいいます。
交通事犯は、単純な無免許運転や飲酒運転(酒気帯び運転、酒酔い運転)のような被害者のいないものから、過失運転致死傷罪や危険運転致傷罪などの被害者がいるものと、その態様は様々です。

そのため、交通事犯逮捕された場合、その後の身体拘束についても、その態様に軽重に比例する傾向にあります。
単純な無免許運転や飲酒運転、スピード違反、被害の程度が比較的軽微である人身事故であれば、逮捕後に勾留されずに釈放される可能性はあります。

勾留というのは、逮捕後に引き続き被疑者の身柄を比較的長期間拘束する裁判とその執行のことをいいます。
検察官からの勾留請求を受けて、裁判官が勾留の要件を充たしているかどうかを検討し、勾留の決定をするかどうかを判断します。
勾留の要件には、①勾留の理由、そして、②勾留の必要性、の2つがあります。
①勾留の理由とは、罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があること、そして、定まった住居を有しないこと、罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があること、あるいは、逃亡し又は逃亡すると疑うに足りる相当な理由があること、のいずれかに該当することです。
これらの理由がある場合であっても、被疑者を勾留することにより得られる利益が極めて弱い場合や、被疑者が勾留によって被る不利益が著しく大きい場合には、勾留の実質的な相当性(必要性)を欠くとして、勾留は認められません。

交通事犯においては、死亡事故等、被害が重大な場合を除いては、身体拘束がなされることが比較的少ないことが特徴です。
ただ、危険運転致死傷罪に当たるような事故を起こした場合には、逮捕後に勾留となる可能性は高まります。
捜査段階での釈放が困難な場合には、起訴後に保釈を利用して釈放されることを目指します。

保釈で釈放を目指す

一定額の保釈保証金を納付することを条件として、被告人に対する勾留の執行を停止し、その身柄拘束を解く裁判及びその執行を「保釈」といいます。
保釈は、起訴された段階から請求することが出来ますが、起訴前の被疑者勾留では請求することは出来ません。
保釈には、以下の3つの種類があります。

1.権利保釈(必要的保釈)
裁判所は、権利保釈の除外事由に該当しない場合には、保釈請求があったときは、原則として保釈を許可しなければなりません。
除外事由は、以下の通りです。
①被告人が、死刑又は無期若しくは短期1年以上の懲役若しくは禁固に当たる罪を犯したものであるとき。
②被告人が、前に、死刑又は無期若しくは長期10年を超える懲役若しくは禁固に当たる罪につき有罪の宣告を受けたことがあるとき。
③被告人が常習として長期3年以上の懲役又は禁錮に当たる罪を犯したものであるとき。
④被告人が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由のあるとき。
⑤被告人が、被害者その他事件の審判に必要な知識を有すると認められる者若しくはその親族の身体若しくは財産に害を加え又はこれらの者を畏怖させる行為をすると疑うに足りる相当な理由があるとき。
⑥被告人の氏名又は住居が分からないとき。

2.裁量保釈(任意的保釈)
裁判所は、上の権利保釈の除外事由がある場合であっても、適当と認めるときは、職権で保釈を許可することが出来ます。

3.義務的保釈
裁判所は、勾留による拘禁が不当に長くなったときは、請求により、又は職権により、保釈を許可しなければなりません。

危険運転致死傷罪という重い罪であっても、単独犯であり組織的な背景がないことが多いですから、罪証隠滅のおそれはそれほど高いものではなく、保釈が認められる可能性はあります。

交通事犯逮捕され、捜査段階での釈放が困難な場合には、起訴後すぐに保釈を請求し、保釈が認められるよう事前に準備しておくことが必要があります。

交通事犯逮捕され、早期釈放をお望みであれば、刑事事件に強い弁護士にご相談ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、交通事犯を含めた刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
無料法律相談初回接見サービスに関するご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881で24時間受け付けております。

酒酔い運転容疑で逮捕

2021-07-24

酒酔い運転について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~
大阪府富田林警察署は、道路交通法違反(酒酔い運転)の疑いで、Aさんを現行犯逮捕しました。
Aさんは、大阪府富田林市の交差点を直進しようとした際、右折した車と接触事故を起こし、現場に駆け付けた大阪府富田林警察署により事件が発覚しました。
Aさんは、「酒は飲んだが、酔いはさめている。」と述べ容疑を否認しています。
(フィクションです。)

酒酔い運転とは

道路交通法は、その第65条第1項において、酒気を帯びて車両等を運転することを全面的に禁止しています。
「酒気を帯びて」とは、酒を飲み体にアルコールを保有している状態で、社会通念上酒気帯びといわれる状態をいうものであり、顔色、呼気等、外観上認知できる状態にあることをいいます。
道路交通法は、この状態で車両等を運転することを禁止しているのですが、刑事罰の対象となるのは、政令で定められた数値以上の「酒気帯び運転」、そして、「酒酔い運転」です。
政令で定められた数値未満の「酒気帯び運転」については、道路交通法違反とはなりますが、刑事罰の対象とはなりません。

政令で定められた数値とは、「血液1ミリリットルにつき0.3ミリグラム又は呼気1リットルにつき0.15ミリグラム」です。
呼気検査でこの数値以上となれば、「酒気帯び運転」に該当し、有罪となれば、3年以下の懲役または50万円以下の罰金の範囲内で刑事罰が科される可能性があります。

一方、「酒酔い運転」は、酒気を帯びて車両等を運転し、その場合において酒に酔った状態にあった場合に成立します。
「酒に酔った状態」というのは、アルコールを摂取しているだけではなく、アルコールが原因で正常な判断や動作ができない状態にあることを意味します。
酒酔い運転は、数値による形式的な判断基準ではなく、真っすぐ歩けるかどうか、呂律が回っているか、視覚や聴覚が正常に機能しているかどうかといった点を考慮し、酒に酔った状態であるかどうかが判断されます。
酒酔い運転の法定刑は、5年以下の懲役または100万円以下の罰金と、酒酔い運転の法定刑よりも重くなっています。

「酒気帯び運転」も「酒酔い運転」も、犯罪が成立するためには、行為者において罪を犯す意思(故意)がなければなりません。
つまり、「酒気帯び運転」については、「酒気を帯びて車両等を運転する」ことの認識、認容が必要となります。
単に、「アルコールが残っていないと思っていた。」という主張だけでは故意がないことが認められるわけではありません。
客観的にみても、「アルコールが残っていないと思っていた。」という主張が妥当で、信用することができるものでなければなりません。

「酒気を帯びて車両等を運転する」ことの認識、認容は、酒気を帯びて運転していることの認識、認容でよく、政令で定められた数値以上のアルコールを身体に保有しているということまでの認識、認容は必要ではありません。
また、「酒酔い運転」の故意についても、政令で定められた数値以上のアルコールを身体に保有し、酒酔いなる状態に陥っていることまでも認識している必要はなく、飲酒によって自己の体内に相当量の酒気を保持して車両等を運転するという認識があれば故意が認められます。

酒酔い運転自体の法定刑は、5年以下の懲役または100万円以下の罰金と厳しいものとなっていますが、人身事故を起こした場合には、過失運転致傷罪も成立し、より重い刑事罰が科せられる可能性があります。
また、危険運転致死傷罪が適用される可能性もあります。

ご家族が酒酔い運転逮捕された場合には、できる限り早期に弁護士に相談・依頼されるのがよいでしょう。
弁護士は、身柄解放に向けた活動やできる限り寛大な処分となるよう関係機関に働きかけるなど、穏便に事件が解決できるよう活動します。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、交通事件をはじめとする刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
ご家族が刑事事件・少年事件で逮捕されてお困りであれば、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。
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無免許飲酒運転でひき逃げ

2021-07-17

無免許飲酒運転ひき逃げした事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~
大阪府大阪市都島区の交差点で、横断中の歩行者をひいて逃走したとして、大阪府都島警察署は、車を運転していたAさんを逮捕しました。
事件後、現場から少し離れた駐車場で車を止め、車内で寝ていたAさんを発見し、呼気検査をしたところ、基準値を超えるアルコールが検出されました。
また、Aさんは免停中であることが発覚し、警察は、Aさんが、無免許のうえ、酒を飲んで車を運転し、横断していた被害者をひき逃げした疑いで、捜査を進めています。
(フィクションです。)

無免許飲酒運転でひき逃げした場合

無免許運転かつ飲酒運転ひき逃げをした、という上の事例のようなケースでは、どのような罪が成立するのでしょうか。

1.飲酒運転

道路交通法第65条第1項は、「何人も、酒気を帯びて車両等を運転してはならない。」と規定しており、身体にアルコールを保有したまま車両等を運転することは禁止されています。
そして、一定程度以上のアルコールを身体に保有したまま車両等を運転する行為は、刑事罰の対象となります。

■酒気帯び運転■
血中アルコール濃度が一定量に達しているかどうか、という形式的な基準で判断されます。
その基準とは、「呼気1リットルあたりのアルコール濃度が0.15ミリグラム以上」です。
酒気帯び運転の法定刑は、3年以下の懲役または50万円以下の罰金です。

■酒酔い運転■
酒酔い運転は、アルコール濃度の検知値には関係なく、「アルコールの影響により正常な運転ができないおそれがある状態」で車両等を運転した場合に成立します。
具体的には、直線を真っすぐ歩けるか、呂律が回っているか等といった点から判断されます。酒酔い運転の法定刑は、5年以下の懲役または100万円以下の罰金と、酒気帯び運転の法定刑よりも重くなっています。

2.人身事故

■過失運転致死傷■
通常、人身事故を起こした場合、「自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律」(以下、「自動車運転処罰法」といいます。)で規定される「過失運転致死傷罪」が適用されます。
この罪は、「自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた」場合に成立します。
前方不注意や巻き込み確認を怠ったこと等の不注意によって相手を死亡させた場合には、過失運転致死傷罪が適用されます。
過失運転致死傷罪の法定刑は、7年以下の懲役もしくは禁錮または100万円以下の罰金です。

■危険運転致死傷■
ところが、飲酒運転で人身事故を起こした場合、より重い罪が成立する可能性があります。
それは、「危険運転致死傷罪」です。
危険運転致死傷罪は、「アルコールの影響により正常な運転が困難な状態で自動車を走行させ」、「よって、人を負傷させた」場合に成立します。
この場合の法定刑は、人を負傷させた場合は15年以下の懲役、人を死亡させた場合は1年以上の有期懲役と、かなり重くなります。
また、「アルコールの影響により、その走行中に正常な運転に支障が生じるおそれがある状態で、自動車を運転し、よって、そのアルコールの影響により正常な運転が困難な状態に陥り、人を負傷させ」た場合は12年以下の懲役、人を死亡させた場合は15年以下の懲役が科される可能性があります。
危険運転致死傷罪が適用される場合、道路交通法違反(酒気帯び運転、酒酔い運転)は危険運転致死傷罪に吸収されるため、別個には成立しません。

3.無免許運転

■無免許運転■
道路交通法第64条第1項で、「何人も、第84条第1項の規定による公安委員会の運転免許を受けないで、自動車又は原動機付自転車を運転してはならない。」と規定し、無免許運転を禁止しています。
無免許運転の法定刑は、3年以下の懲役または50万円以下の罰金です。

■無免許運転による加重■
自動車運転処罰法第6条は、「第2条(危険運転致死傷)の罪を犯した者が、その罪を犯した時に無免許運転をしたものであるときは、6月以上の有期懲役に処する。」と規定しています。
また、第3条(準危険運転致死傷罪)の罪を犯した者が、その罪を犯した時に無免許運転をした者であるときは、人を負傷させた場合は15年以下の懲役、人を死亡させた場合は6月以上の有期懲役と加重されます。
更に、第5条(過失運転致死傷)を犯した者が、無免許運転をしたときは、10年以下の懲役と刑が加重されます。

4.ひき逃げ

■救護義務違反■
道路交通法第72条第1項前段は、「交通事故があったといは、当該交通事故に係る車両等の運転者その他の乗務員は、直ちに車両等の運転を停止して、負傷者を救護し、道路における危険を防止する等必要な措置を講じなければならない。」と規定しています。
これを「救護義務」といい、これに反して現場から逃走する行為を「ひき逃げ」と呼びます。
救護義務違反の法定刑は、5年以下の懲役または50万円以下の罰金ですが、人身事故が、「人の死傷が当該運転者の運転に起因する」ものである場合に救護義務に違反した場合は、10年以下の懲役または100万円以下の罰金となります。

■過失運転致死傷アルコール等影響発覚免脱■
自動車処罰法第4条は、アルコールの影響によりその走行中に正常な運転に支障が生じるおそれがある状態で自動車を運転した者が、運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた場合において、その運転の時にアルコールの影響の有無又は程度が発覚することを免れる目的で、更にアルコールを摂取すること、その場を離れて身体に保有するアルコールの濃度を減少させることその他その影響の有無又は程度が発覚することを免れるべき行為をしたときは、12年以下の懲役に処すると規定しています。
この罪を犯した者が、無免許運転であった場合には、刑は15年以下の懲役に加重されます。

無免許運転かつ飲酒運転ひき逃げをした場合で、成立し得る罪としては、次の4つのケースが考えられます。
①道路交通法違反(酒気帯び運転、または酒酔い運転)、無免許過失運転致死傷、道路交通法違反(救護義務違反)の3罪。
②無免許危険運転致死傷、道路交通法違反(救護義務違反)の2罪。
③無免許準危険運転致死傷、道路交通法違反(救護義務違反)の2罪。
④無免許過失運転致死傷アルコール等影響発覚免脱、道路交通法違反(救護義務違反)の2罪。
いずれの場合も、実刑の可能性が高く、弁護人は、被害者との示談成立、被告人の反省の態度や再発防止措置が講じられている等の被告人に有利な事情を示し、できる限り刑が軽くなるように弁護することになるでしょう。
また、危険運転致死が成立する場合には、裁判員裁判の対象となりますので、裁判員裁判に向けた公判準備を行う必要もあります。
交通事故を起こし対応にお困りの方は、早期に弁護士に相談することをお勧めします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、交通事件にも対応する刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
無料法律相談初回接見サービスに関するご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881で24時間受け付けております。

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