過失運転致死罪で示談

2021-10-05

過失運転致死罪で示談について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

Aさんは自動車を運転して帰宅途中、信号のない交差点で原動機付自転車と衝突する事故を起こし、乗っていた男性を死亡させました。事故当時Aさんはスマホを見ながら運転しており、そのため交差点に進入してきた原動機付自転車の発見が遅れ、この死亡事故につながりました。Aさんは過失運転致死事件の被疑者として取調べを受けることになっています。
(フィクションです)

~過失運転致死罪~

過失運転致死罪は自動車運転死傷処罰法(正式名称:自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律)第5条に規定されている罪です。
条文は「自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、7年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金に処する。ただし、その傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができる」となっています。

過失運転致死傷罪における自動車とは、原動機によって走行する車で、レールや架線を用いないものを意味します。
よって、自動二輪車や原動機付自転車も過失運転致死罪の処罰対象になります。

そして、「自動車の運転」とは、発進に始まり停止に終わるものとされています。
ただし、普通乗用自動車を運転していた者が車を道路左端に停車後、降車しようとして後方を十分確認することなく運転席ドアを開けたため後方から進行してきた自転車にドアをぶつけ、自転車に乗っていた人に傷害を負わせたという事件で、自動車の運転自体はすでに終了しており自動車運転上の過失は認められないものの、自動車の運転に付随する行為であり自動車運転業務の一環としてなされたものから傷害結果が発生したものとして業務上過失傷害罪の成立が認められた判例(東京高判平成25・6・11高刑速平成25年73頁)があります。
また、停止させる場所が不適切だったために事故につながった場合にも自動車運転過失致死傷罪の適用が考えられます。

過失運転致死傷罪が成立するためには、自動車の運転に必要な注意を怠ったこと、すなわち過失が必要です。
ここでの「過失」は、前方不注意やわき見運転、巻き込み確認を怠ったこと、歩行者や自転車等の飛び出しに気付かなかったこと、方向指示器(ウインカー)を点滅させずに方向転換したことなど、ちょっとした不注意でもこれにあたるとされています。
さらには、自分では注意を払ったつもりでも、別の行為をとっていたりより注意深くしていれば事故を避けることができたと裁判所が判断し過失が認定されてしまうケースもあります。

今回のケースでは、Aさんはスマホの画面を見ながら運転していますから、Aさんに過失があったと認定される可能性はかなり高いと考えられます。

~示談~

交通死亡事故で示談する意義は正式起訴を回避できる(略式起訴での罰金刑で済む)という点です。
正式起訴とは公開の法廷で刑事裁判を受ける必要のある起訴のことです。正式起訴されると刑事裁判を受け、裁判で有罪の認定を受ければ禁錮刑に処されます。
一方、略式起訴は公開の法廷で刑事裁判を受ける必要のない起訴のことです。略式起訴されると禁錮刑ではなく罰金刑に処されます。
略式起訴を目指すには、検察官が刑事処分を出す前に示談を成立させなければなりません。
しかし、ご遺族側とすれば、何も加害者の刑事処分が決まる前に示談しなければならない理由はありません。ですから、この場合、刑事処分前に示談できるよう、検察官、ご遺族側の弁護士等と円滑に交渉を進めていく必要があるのです。仮に、ここで示談できずに正式起訴されたとしても、その後示談できれば正式裁判で執行猶予付き判決を獲得できたり、禁錮刑ではなく罰金刑となる可能性は十分に考えられます。

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