Archive for the ‘交通事故(死亡事故)’ Category

【事例紹介】物だと思ったと容疑を否認しているひき逃げ事件②

2024-04-03

【事例紹介】物だと思ったと容疑を否認しているひき逃げ事件②

車が人に追突した人身事故

前回に引き続き、高齢女性が車でひかれ死亡したひき逃げ事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例

今月24日、東京の池袋駅近くの路上で、高齢の女性が頭から血を流して倒れているのが見つかりその後死亡した事件で、警視庁はひき逃げなどの疑いで62歳の男を逮捕しました。
警視庁によりますと、(中略)容疑者は今月24日、豊島区東池袋の路上で(中略)さんを車でひき、そのまま逃走した疑いがもたれています。(中略)さんは搬送先の病院で死亡が確認されました。
(中略)
調べに対し、(中略)容疑者は「何かにぶつかった衝撃はあったが物だと思った。車を見たが壊れてなかったし、何にぶつかったか見えなかったので家に帰った」と容疑を否認しているということです。
(3月27日 日テレNEWS 「高齢女性ひき逃げか 男を逮捕 東京・池袋駅近くの路上」より引用)

過失運転致死罪

自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律(以下「自動車運転処罰法」といいます)では、車の運転中に事故を起こし、相手を死傷させた場合などについて規定しています。

自動車運転処罰法第5条
自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、七年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する。ただし、その傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができる。

自動車運転処罰法第5条では、過失運転致死罪過失運転致傷罪が規定されています。
過失運転致死罪過失運転致傷罪の法定刑はどちらも7年以下の懲役若しくは禁固又は100万円以下の罰金です。
法定刑が同じであることから過失運転致死罪過失運転致傷罪ではたいした差がないように思えるかもしれませんが、過失運転致傷罪と比べると人が亡くなっている過失運転致死罪の方がより重い刑罰を科される傾向にあります。

過失運転致死罪とは簡単に説明すると、周囲の歩行者の確認など運転上払うべき注意を怠って事故を起こし、人を死亡させた場合に成立する犯罪です。

今回の事例では、容疑者が運転する車が被害者にぶつかり、その後被害者は死亡したようです。
容疑者が注意をしていれば防げたのにもかかわらずに事故を起こし、その結果被害者が亡くなってしまったのであれば、容疑者に過失運転致死罪が成立する可能性があります。

交通事件では、しっかりと謝罪と賠償をすることで執行猶予付き判決を得られる可能性があります。
過失運転致死罪では人がお亡くなりになっているため、残された遺族が激しい処罰感情を抱いている場合も少なくありません。
そのような状態で加害者が直接遺族とやり取りを行ってしまうことで、遺族の処罰感情を逆なでしてしまう可能性や思わぬトラブルに発展してしまうおそれがあります。
そういった事態を避けるためにも、謝罪や賠償を考えている場合には、一度、弁護士に相談をしてみることが望ましいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、初回接見サービス無料法律相談を行っています。
弁護士に相談をすることで執行猶予付き判決を得られる可能性がありますので、過失運転致死罪などの交通事件でお困りの方は、お気軽に弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

【事例紹介】物だと思ったと容疑を否認しているひき逃げ事件①

2024-03-29

【事例紹介】物だと思ったと容疑を否認しているひき逃げ事件①

車が人に追突した人身事故

高齢女性が車でひかれ死亡したひき逃げ事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例

今月24日、東京の池袋駅近くの路上で、高齢の女性が頭から血を流して倒れているのが見つかりその後死亡した事件で、警視庁はひき逃げなどの疑いで62歳の男を逮捕しました。
警視庁によりますと、(中略)容疑者は今月24日、豊島区東池袋の路上で(中略)さんを車でひき、そのまま逃走した疑いがもたれています。(中略)さんは搬送先の病院で死亡が確認されました。
(中略)
調べに対し、(中略)容疑者は「何かにぶつかった衝撃はあったが物だと思った。車を見たが壊れてなかったし、何にぶつかったか見えなかったので家に帰った」と容疑を否認しているということです。
(3月27日 日テレNEWS 「高齢女性ひき逃げか 男を逮捕 東京・池袋駅近くの路上」より引用)

ひき逃げ

道路交通法第72条では交通事故があった場合に取らなければならない措置について規定しています。
事故があった際は、負傷者の救護を行い、最寄りの警察署の警察官に報告しなければなりません。(道路交通法第72条1項)
ひき逃げとは事故の対応を行わずに、事故現場から去ることをいいます。
負傷者の救護や警察署への報告は義務ですので、行わなかった場合には、道路交通法違反が成立します。
ですので、ひき逃げをした場合には道路交通法違反が成立することになります。

今回の事例では、容疑者が被害者を車でひき、そのまま逃走したと報道されています。
また、「何かにぶつかった衝撃はあったが物だと思った。車を見たが壊れてなかったし、何にぶつかったか見えなかったので家に帰った」と容疑を否認しているようです。
繰り返しになりますが、ひき逃げは事故が起きているのに、負傷者を救護しなかったり、事故の報告をしないことをいいます。
今回の事例では、実際に容疑者が救護や報告をしていないのであればひき逃げにあたりそうですが、容疑者は道路交通法違反の罪に問われるのでしょうか。

実は、事故に気づかなかった場合にはひき逃げにあたらず、道路交通法違反が成立しない可能性があります。

では、今回の事例について考えていきましょう。
「何かにぶつかった衝撃はあったが物だと思った。車を見たが壊れてなかったし、何にぶつかったか見えなかったので家に帰った」と容疑者は供述していると報道されています。
何かにぶつかった衝撃はあったようなので、事故について何も気づかなかったというわけではないようです。
また、通常、運転している車が何かにぶつかってしまった場合、運転をやめて何にぶつかってしまったのかを確認すると思います。
車から降りて確認をしていれば人にぶつかってしまったことがわかったでしょうから、おそらく容疑者は事故後すぐに車から降りて確認することを怠ったのだと思われます。
検察官や裁判官は何にぶつかったのかをきちんと確認しなかったことを疑問に思うでしょうし、人にぶつかったとわかったから確認せずに逃走したのではないかと疑う可能性が高く、何かにぶつかったことはわかっている状況で人だと思わなかったという主張を認めてもらうのはかなり難しいかもしれません。
ですので、報道内容が事実であった場合には、容疑者に道路交通法違反の罪が科されてしまう可能性があります。

自らの運転が原因で人を死傷させ救護を行わなかった場合に、道路交通法違反で有罪になると、10年以下の懲役又は100万円以下の罰金が科されます。(道路交通法第117条2項)
事故の報告をせずに道路交通法違反で有罪になった場合には、3月以下の懲役又は5万円以下の罰金が科せられます。(道路交通法第119条1項17号)

ひき逃げは懲役刑を科される可能性があり、決して科される罪の軽い犯罪だとはいえません。
また、事故を起こして人を死傷させてしまった場合、過失運転致死傷罪などが成立するおそれがあります。
今回の事例でも、報道によれば事故により人が亡くなっているようなので、過失運転致死罪が成立する可能性が考えられます。
過失運転致死傷罪も懲役刑が規定されており、執行猶予付き判決獲得に向けた弁護活動が重要になってくる可能性が高いです。

弁護士に相談をすることで、執行猶予付き判決を獲得できる場合がありますので、ひき逃げなどの道路交通法違反事件過失運転致死傷罪でお困りの方は、お気軽に弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

次回のコラムでは、過失運転致死傷罪について解説します。

昨年の交通事故死者数発表 一番多いのはどの都道府県?

2024-01-17

昨年の交通事故死者数発表 一番多いのはどの都道府県?

車が人に追突した人身事故1月4日に昨年の交通事故死者数が発表されたようです。
交通事故者数はどの都道府県が一番多いのでしょうか。

交通事故の死者数

1月4日、警察庁より、昨年度の事故の統計が発表されました。
昨年の交通事故死者数は大阪府が一番多く、その後に愛知県、東京都が続きます。
また、昨年の全国の交通事故死者数は2678人だったようです。

死亡事故を起こしたら犯罪になるの?

死亡事故を起こしてしまったら罪に問われるのでしょうか。

死亡事故を起こしてしまった場合に成立する可能性が高い犯罪として、過失運転致死罪が挙げられます。

過失運転致死罪は、刑法や道路交通法ではなく、自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律(以下、「自動車運転処罰法」といいます。)という法律で規定されています。

自動車運転処罰法第5条
自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、七年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する。ただし、その傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができる。

簡単に説明すると、周囲の確認など運転するのに必要な注意をしないで事故を起こし、人を死亡させてしまった場合に、過失運転致死罪が成立します。

過失運転致傷罪の法定刑は7年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金です。
ですので、有罪になれば刑務所に行かなければならない可能性があります。

また、自動車運転処罰法第5条には「傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができる」と規定されていますが、死亡事故の場合は傷害が軽いとは言えませんので、死亡事故の場合にこの規定が適用されることはないでしょう。

無免許運転の場合は?

無免許運転だった場合にも過失運転致死罪と同様の刑罰が科されるのでしょうか。

結論から言うと無免許運転であった場合には、より重い刑罰が科されます。

自動車運転処罰法第6条4項
前条の罪を犯した者が、その罪を犯した時に無免許運転をしたものであるときは、十年以下の懲役に処する。

運転上必要な注意を払わずに事故を起こして人を死亡させ、なおかつ無免許運転だった場合には、無免許過失運転致死罪が成立する可能性があります。
無免許過失運転致死罪の法定刑は10年以下の懲役です。
通常の過失運転致死罪では7年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金ですので、禁固刑や罰金刑の規定のない無免許過失運転致死罪はより重い刑罰を科されていることがわかります。
また、無免許過失運転致死罪では罰金刑がありませんので、有罪になってしまった場合には、執行猶予付き判決を得ない限り刑務所に行くことになってしまいます。

危険運転致死罪

自動車運転処罰法では、過失運転致死罪だけでなく危険運転致死罪も規定しています。

運転していた時の状態や運転の仕方によっては、死亡事故を起こした場合に過失運転致死罪ではなく、危険運転致死罪が成立してしまう可能性があります。

危険運転致死罪は簡単に説明すると、アルコールで正常な運転ができない状態での運転や制御できない高速度での運転、あおり運転などの悪質で危険性の高い運転により人を死亡させてしまった場合に成立します。

アルコールや薬物の影響により正常な運転が困難な状態での運転や制御が困難な高速度での運転などで危険運転致死罪で有罪になった場合には、1年以上の有期懲役が科されます。(自動車運転処罰法第2条)
また、アルコールや薬物の影響により運転に支障が生じるおそれがある状態で運転をし、その後正常な運転が困難な状態に陥った場合などに危険運転致死罪で有罪になれば、15年以下の懲役が科されます。(自動車運転処罰法第3条1項)

上記のように危険運転致死罪では、懲役刑しか規定されていませんので、無免許過失運転致死罪と同様に、有罪になれば執行猶予付き判決を得ない限り刑務所に行くことになります。
また、過失運転致死罪と同じように、危険運転致死罪を犯した人が無免許運転だった場合には、より重い刑罰が科されることになります。

死亡事故と執行猶予

過失運転致死罪の容疑をかけらると、人が死亡していることから刑務所にいくことになると思われる方もいるかもしれません。
しかし、人が死亡している場合であっても、執行猶予付き判決を得られる可能性があります。
弁護士が、被害者への謝罪や賠償が行われていることや、今後事故を起こさないように防止策を講じていることなどを裁判官に訴えることで執行猶予付き判決を得られる場合があります。
ですので、過失運転致死罪でお困りの方は、一度、弁護士に相談をしてみることをおすすめします。

また、危険運転致死罪では有罪になると、執行猶予が付かず実刑判決を受けてしまう可能性が高いです。
ですので、危険運転致死罪ではなく、過失運転致死罪の適用を目指す弁護活動が必要になってくる場合があります。
危険運転致死罪で捜査を受けている場合にも、弁護士による弁護活動で、過失運転致死罪の適用を目指せる場合がありますから、危険運転致死罪の容疑をかけられている場合には、速やかに弁護士に相談をすることが望ましいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、交通事故や刑事事件に精通した法律事務所です。
交通事故の弁護経験が豊富な弁護士に相談をすることで、望んだ結果が得られるかもしれません。
弊所は、大阪府愛知県東京都をはじめとした全国12か所に事務所がございます。
無料法律相談も行っていますので、危険運転致死罪過失運転致死罪などの交通事故でお困りの方は、お気軽に、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

【事例紹介】警察官が事故を起こし、逮捕、釈放された事例

2023-12-13

【事例紹介】警察官が事故を起こし、逮捕、釈放された事例車が人に追突した人身事故

京都府警・舞鶴署の警察官が事故を起こしたとして、過失運転致傷罪の容疑で逮捕され、その後釈放された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例

(前略)京都市右京区の西大路通で、会社員(中略)が車にひかれ、死亡しました。
警察によりますと(中略)さんは、片側2車線の道路の中央車線寄りでうずくまっていたということです。
警察は、車を運転していた京都府警・舞鶴署の男性警察官(51)を、過失運転致傷の疑いで逮捕しました。
「男性に気づかなかった」と話し、容疑を認めているということです。
警察は、「逃亡や証拠隠滅のおそれがない」として逮捕した警察官を釈放し、調べを続けています。
(12月2日 ABCニュース 「深夜に路上でうずくまっていた男性 車にひかれ死亡 運転の警察官逮捕 「逃亡や証拠隠滅のおそれがない」として釈放 京都・右京区」より引用)

過失運転致死傷罪

自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律第5条
自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、七年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する。ただし、その傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができる。

大まかに説明すると、前方の確認を怠ったなどの運転上の不注意で人を亡くならせてしまった場合には過失運転致死罪が、人にけがを負わせてしまった場合には過失運転致傷罪が成立します。

今回の事例では、男性警察官は片側2車線の道路の中央車線寄りでうずくまっていた被害者に気づかずに車でひいてしまったようです。
前方の確認不足などの不注意が原因による事故の場合には、過失運転致死罪過失運転致傷罪が成立します。
報道では過失運転致傷罪の容疑で逮捕されたと報じられていますが、被害者が亡くなられているようなので、過失運転致死罪が成立する可能性があります。

逮捕と釈放

報道によると「逃亡や証拠隠滅のおそれがない」として男性警察官は釈放されたようです。
どうして男性警察官は釈放されたのでしょうか。

刑事訴訟法第60条1項
裁判所は、被告人が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由がある場合で、左の各号の一にあたるときは、これを勾留することができる。
1号 被告人が定まつた住居を有しないとき。
2号 被告人が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき。
3号 被告人が逃亡し又は逃亡すると疑うに足りる相当な理由があるとき。

刑事訴訟法第60条1項では、犯人だと疑うに足りる相当な理由があるうえで、容疑者が定住していない場合や証拠隠滅のおそれがある場合、逃亡のおそれがある場合には勾留することができると定めています。
逆に言うと、容疑者が定住していて証拠隠滅や逃亡のおそれがある場合には、勾留は認められないことになります。

今回の事例では、男性警察官は「逃亡や証拠隠滅のおそれがない」として釈放されていますので、おそらく勾留の要件には当てはまらなかったのでしょう。

ひき逃げと釈放

交通事故のニュースを見ていると、ひき逃げによる道路交通法違反で逮捕されているケースが多いように思われます。
実は、ひき逃げは、逮捕勾留されるリスクが高く、釈放が認められづらい犯罪の1つです。

繰り返しになりますが、定住しておらず証拠隠滅や逃亡のおそれがある場合に、勾留されることになります。
刑事事件では、逮捕後72時間以内に検察官が勾留請求を行うかどうかの判断をし、勾留請求を行った場合には、裁判官が勾留の有無を判断します。
この際に、定まった住所がなかったり、証拠隠滅や逃亡のおそれがあると判断された場合には、勾留されることになります。
ひき逃げは、事故を起こした場合に、救護や事故の報告をせずに事故現場から逃げると成立しますので、勾留の判断を行う際に逃亡のおそれがあると判断されてしまう可能性が高いです。

ですが、ひき逃げをしたからといって釈放が認められないわけではありません。
弁護士が釈放を求めることで、釈放が認められる可能性があります。

弁護士が検察官や裁判官に意見書を提出し、釈放してもらわなければ困る理由や証拠隠滅や逃亡をしないように家族が監視監督できる体制が整っていることなどを訴えることで釈放を認めてもらえる可能性があります。
この意見書は勾留が決定するまでのあいだ、つまり逮捕後72時間以内に提出する必要があります。
意見書の提出には入念な準備が必要になりますから、意見書の提出を行う場合には、なるべく早い段階で弁護士に相談をすることが重要になります。

また、ひき逃げをしていない場合でも勾留されてしまう可能性は十分にあります。
ですので、ご家族が逮捕された場合には速やかに弁護士に相談をすることが望ましいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件に精通した法律事務所です。
身柄開放活動の経験豊富な弁護士に相談をすることで、早期釈放を実現できるかもしれません。
ご家族が逮捕された方、過失運転致死罪などでお困りの方は、お気軽に弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
初回接見サービス無料法律相談のご予約は、0120―631―881で受け付けております。

(事例紹介)トラックの荷台に人を乗せ、過失運転致死罪②

2023-08-30

(事例紹介)トラックの荷台に人を乗せ、過失運転致死罪②

前回のコラムに引き続き、トラックの荷台から人が転落死したとして、過失運転致死罪の容疑で逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例

群馬県片品村の国道401号で14日夜、走行中の軽トラックの荷台から転落した同県高崎市の男性(中略)が死亡した事故で、沼田署は16日、軽トラックを運転していた同県渋川市の消防士の男(23)を、自動車運転死傷行為処罰法違反(過失運転致死)容疑で逮捕した。
現場は片側1車線の右カーブ。同署によると、2人は親戚同士で、荷台にはほかにも複数人が乗っていたとみられる。
(後略)
(8月16日 読売新聞オンライン 「軽トラック荷台から17歳転落死、運転していた消防士逮捕…親戚同士でほかにも複数人同乗か」より引用)

荷台への乗車と道路交通法

前回のコラムでは、過失運転致死罪について解説しました。
報道によると、容疑者はトラックの荷台に人を乗せて走行していたと報道されています。
トラックの荷台に人を乗せて走行する行為は法律上問題ないのでしょうか。

道路交通法第55条1項
車両の運転者は、当該車両の乗車のために設備された場所以外の場所に乗車させ、又は乗車若しくは積載のために設備された場所以外の場所に積載して車両を運転してはならない。ただし、もっぱら貨物を運搬する構造の自動車で貨物を積載しているものにあっては、当該貨物を看守するため必要な最小限度の人員をその荷台に乗車させて運転することができる。

道路交通法第55条1項が規定しているように、原則として、トラックの荷台に人を乗せて走行する行為禁止されています。
ただ、荷台に乗せた荷物を見守る目的であれば、荷台に人を乗せて走行する行為は禁止されていないので、荷台の荷物を見守る目的で乗車しているのであれば、道路交通法違反に問われることはありません。

今回の事例ではトラックの荷台に人を乗せて走行したと報道されています。
人が荷台に乗っていた目的が荷物の見守りであれば罪に問われることはありませんが、そういった目的がないのであれば、道路交通法違反に問われる可能性が高いです。

荷台に人を乗せて走行し、道路交通法違反で有罪になった場合には、5万円以下の罰金が科されることになります。(道路交通法第120条2項1号)

道路交通法違反と不起訴処分

繰り返しになりますが、荷台に人を乗せて走行する行為は、目的によっては道路交通法違反が成立する可能性があります。
荷台に人を乗せて走行したことで、道路交通法違反で有罪になった場合の刑罰は5万円以下の罰金であり、重い刑罰が科されるわけではありませんが、罰金刑を科されてしまうと前科が付くことになってしまいます。

前科を避ける手段として、不起訴処分の獲得が挙げられます。
不起訴処分は検察官が起訴しない判断をした場合に出される処分ですので、刑罰などは科されませんし、前科が付くこともありません

不起訴処分を目指す弁護活動として、取調べ対応や検察官との処分交渉が挙げられます。

荷台の荷物を看守するためなどの荷台に人を乗せることに正当な理由があったのであれば、取調べで供述することで、不起訴処分を狙える可能性があります。
しかし、取調べでは警察官などに、あなたの不利になるような供述を誘導される可能性があります。
誘導に乗ってしまうことで、あなたの不利な内容や事実とは反した内容の供述調書が作成されてしまうと、後の検察官の起訴の判断の際や裁判などで不利に働く可能性が極めて高くなります。
そういった事態を避けるためにも、弁護士と打合せを行い事前に供述内容を整理しておくことが重要になります。

また、弁護士は検察官に対して処分交渉を行うことができます。
弁護士が検察官に、荷台に人を乗せて走行したことに正当な理由があることや、前科が付くことで多大な不利益を被ってしまう可能性などを主張することで、不起訴処分を獲得できるかもしれません。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、初回接見サービス無料法律相談を行っています。
過失運転致死罪道路交通法違反でお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

(事例紹介)トラックの荷台に人を乗せ、過失運転致死罪①

2023-08-23

(事例紹介)トラックの荷台に人を乗せ、過失運転致死罪①

トラックの荷台から人が転落死したとして、過失運転致死罪の容疑で逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例

群馬県片品村の国道401号で14日夜、走行中の軽トラックの荷台から転落した同県高崎市の男性(中略)が死亡した事故で、沼田署は16日、軽トラックを運転していた同県渋川市の消防士の男(23)を、自動車運転死傷行為処罰法違反(過失運転致死)容疑で逮捕した。
現場は片側1車線の右カーブ。同署によると、2人は親戚同士で、荷台にはほかにも複数人が乗っていたとみられる。
(後略)
(8月16日 読売新聞オンライン 「軽トラック荷台から17歳転落死、運転していた消防士逮捕…親戚同士でほかにも複数人同乗か」より引用)

過失運転致死罪

自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律第5条
自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、7年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金に処する。ただし、その傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができる。

上記の条文が過失運転致死罪の条文です。
過失運転致死罪は大まかに説明すると、運転中に払うべき注意を怠った結果、事故により人を殺してしまった際に成立します。

今回の事例では、被害者が走行中の軽トラックの荷台から転落して亡くなったと報道されています。
走行中の車の荷台に人を乗せる行為は原則として、道路交通法第55条1項で禁止されています。
荷台に人を乗せて走行しなければ今回の事故を起きなかったでしょうから、荷台に人を乗せて走行した行為自体が運転上必要な注意を怠ったと判断されるおそれがあり、今回の事例では過失運転致死罪が成立してしまう可能性があります。

過失運転致死罪と執行猶予

過失運転致死罪の法定刑は7年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金ですので、有罪になると懲役刑が科されてしまう可能性があります。
懲役刑が科されてしまうと、刑務所に収容され刑務作業に従事しなければなりません。
刑務所に入るとなると、今まで通りの生活は送れないですし、当然仕事にも行けませんから、仕事を解雇されてしまう可能性があります。

執行猶予という言葉を聞いたことがある方もいらっしゃるかもしれません。
執行猶予はその名の通り、刑の執行が猶予されることを指しますので、執行猶予付き判決を獲得できれば、刑務所に収容されずにすむ場合があります。

刑事事件では、示談を締結することで科される刑罰を軽くできる場合があります。
これは交通事故の場合も同様であり、被害者遺族と示談を締結することで、執行猶予付き判決の獲得などを目指せる可能性があります。

ただ、今回の事例のように被害者が亡くなっている場合は、遺族の処罰感情が苛烈であることが多く、連絡を拒まれたり、示談交渉が難航する可能性が高いです。
弁護士が代わりに示談交渉を行うことで、スムーズに示談交渉を行える場合がありますので、示談でお困りの方は弁護士に相談をすることが望ましいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、交通事故の豊富な弁護経験を持つ法律事務所です。
過失運転致死罪などの交通事故でお困りの方は、お気軽に弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
初回接見サービス無料法律相談のご予約は、0120ー631ー881までお電話ください。

次回のコラムでは、今回の事例を用いて、人を荷台に乗せて走行した際に成立する犯罪について解説します。

【事例紹介】滋賀県長浜市 過失運転致傷罪・ひき逃げ容疑で逮捕

2022-09-22

【事例紹介】滋賀県長浜市 過失運転致傷罪・ひき逃げ容疑で逮捕

滋賀県長浜市で起きた交通事故を基に、過失運転致傷罪ひき逃げについて弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例

滋賀県警木之本署は8日、中型トラックを運転中に自転車の男性に衝突してけがを負わせたとして、自動車運転処罰法違反(過失運転致傷)と道交法違反(ひき逃げ)の疑いで、岐阜県輪之内町のトラック運転手の男(69)を逮捕した。 

逮捕容疑は、8日午前2時10分ごろ、滋賀県長浜市西浅井町塩津浜の国道8号で中型トラックを運転中、自転車の湖南市の男性(27)に後方から衝突し、尻に打撲を負わせて、そのまま逃げた疑い。(中略)容疑を否認している。
(9月9日 京都新聞 「トラックで自転車に衝突、ひき逃げ疑い男を逮捕 滋賀・長浜、けが負わす」 より引用)

過失運転致傷

自動車運転処罰法第5条
自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、7年以下の懲役もしくは禁錮または100万円以下の罰金に処する。
ただし、その傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができる。

自動車の運転上必要な注意を怠った過失により人を死傷させてしまった場合は、自動車運転処罰法第5条の過失運転致死傷罪が適用されます。
過失による交通事故で人を死なせてしまった場合も怪我をさせてしまった場合も同じ条文が適用されますので、どちらの場合で有罪になったとしても、7年以下の懲役か禁錮もしくは100万円以下の罰金が科されます。
しかし、但し書きで相手の怪我の度合いが軽かった場合には刑が免除されることもあるとされています。

ひき逃げ

道路交通法第72条第1項は、交通事故を起こした際に講じなければならない措置について規定しています。
道路交通法第72条第1項が規定しているその義務として代表的なものは、救護義務と報告義務が挙げられます。
すなわち、人身事故を起こした際に、負傷者の救護(救護義務)、警察官への事故の報告(報告義務)を行わなかった場合は道路交通法第72条第1項に違反することになります。

ひき逃げは、救護義務違反や報告義務違反をした場合の総称ですので、人身事故を起こしたにも関わらず救護や報告を行わなかった場合に、ひき逃げを疑われることになります。

救護義務違反で有罪になった場合は1年以下の懲役または10万円以下の罰金が科されます。(道路交通法第117条の5第1項第1号)
また、報告義務違反で有罪になった場合は3月以下の懲役または5万円以下の罰金が科されることになります。(道路交通法第119条第1項第10号)

ひき逃げを疑われ、無罪に

ひき逃げの自覚がないのに、ひき逃げだと疑われた場合は有罪になるのでしょうか。

これからご紹介するのは千葉県で起きたひき逃げ事件の裁判例です。
この裁判では、被告側がひき逃げについて無罪を主張しており、事故当時の被告人の行為がひき逃げにあたるのかについて争われました。

千葉県長生村職員の男性は、29歳の男性をひき逃げし、死亡させてしまいました。
職員の男性は「人をひいたという認識はなかった」として、ひき逃げについて否認しており、無罪を主張していました。
ひき逃げについて争われた裁判では、職員の男性が、ごみなどをひいたと認識し、人をひいたと認識していなかったと考えられることや、深夜の車道に人が横たわっていると想定することは困難であることなどから、裁判官は職員の男性にひき逃げの容疑について無罪を言い渡しました。
なお、過失運転致死罪の裁判では、職員の男性は有罪になり、50万円の罰金が科されています。
(2017年9月16日 千葉日報 「村職員に無罪判決 「人の認識ない」と千葉地裁 長生ひき逃げ事件」より)

ひき逃げ事件については、「ひき逃げをしてしまった」という認識のないまま容疑をかけられているケースも存在します。
ご紹介した無罪判決のようなケースもありますので、ひき逃げの容疑を否認しているという場合には、早期に弁護士に相談することで、見通しや可能な弁護活動、適切な取調べ対応等を把握して刑事手続きに臨むことが期待できます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を中心に扱う法律事務所です。
ひき逃げを疑われている方や、かけられた容疑を否認していて悩んでいる方は、刑事事件でお困りの方はぜひ弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

(事例紹介)死亡事故誘発で実刑判決に 過失運転致死傷罪の事例

2022-09-15

(事例紹介)死亡事故誘発で実刑判決に 過失運転致死傷罪の事例

~事例~

群馬県の北関東自動車道でおととし、乗用車がガードレールに衝突し2人が死亡した事故で、タブレット端末の操作に気をとられて乗用車に接近し事故を誘発した罪に問われた元会社役員に対し、前橋地方裁判所は「注意散漫な運転をしたのは見過ごしがたく刑事責任は重い」として禁錮2年の判決を言い渡しました。

群馬県の北関東自動車道でおととし12月、乗用車がガードレールに衝突し女性2人が死亡、2人が重軽傷を負った事故では、(中略)被告(55)が時速100キロほどで走行中、タブレット端末の操作に気をとられて、後ろから走ってきた乗用車に気づかないまま接近し事故を誘発したとして過失運転致死傷の罪に問われていました。
これまでの裁判で被告は起訴内容を認め、検察は禁錮4年を求刑していました。
18日の判決で、前橋地方裁判所の柴田裕美裁判長は「とりわけ注意深い運転が要求される高速道路で基本的な注意義務を怠り録画番組を見ていたタブレットを操作したのは全く不必要な行動で過失の程度は大きい」などと指摘しました。
また、被告の車が乗用車が走行していた車線に全部、または大部分入っていたという検察側の主張について「証拠に疑義が残る」と指摘する一方で、被告について「それまで交通違反で複数回検挙されていたのに、注意散漫な運転をしたのは見過ごしがたく刑事責任は重い」などと述べ、禁錮2年の判決を言い渡しました。
(後略)
(※2022年8月18日17:14NHK NEWS WEB配信記事より引用)

~事故を誘発して過失運転致死傷罪~

今回取り上げた事例では、男性が死亡事故を誘発したとして過失運転致死傷罪で起訴され、禁錮2年の実刑判決が下されたと報道されています。
この事例では、当初は死亡事故の被害者の方の単独事故として捜査されていたところ、同乗の被害者の方の証言などから単なる単独事故ではないと捜査の方針が転換されたという経緯があります(参考記事)。
報道によると、被告の男性は、タブレット端末を操作しながら車線変更を行ったことで、被害者の方の運転する自動車に接近する形となり、それを避けようとした被害者の方の運転する自動車がガードレールに衝突する事故となってしまったという内容のようです。

過失、すなわち不注意による人身事故・死亡事故は、いわゆる自動車運転処罰法の中で定められている、過失運転致死傷罪が成立することが多いです。

自動車運転処罰法第5条
自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、7年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金に処する。
ただし、その傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができる。

例えば、よそ見運転で自動車と衝突する事故を起こしてしまったり、周囲の確認不足で通行人と接触する事故を起こしてしまったりした場合には、この過失運転致死傷罪が成立することが考えられます(相手が怪我をしてしまったのか亡くなってしまったのかという結果の違いで成立する犯罪も異なります。)。
一般にイメージされる過失運転致死傷事件は、自分自身が人身事故や死亡事故の当事者として車や歩行者に衝突したり接触したりしているものでしょう。

しかし、今回取り上げた事例では、被告の男性が運転する車が被害者の方の運転する自動車に接触・衝突したわけではなく、被告の男性が運転する車の挙動によって被害者の方の運転する自動車が事故を起こしてしまったという内容です。
「自身の運転する車が接触・衝突しているわけではない」という部分に違和感を感じられる方もいらっしゃるかもしれませんが、ここで過失運転致死傷罪の条文を確認してみましょう。
条文には、「自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた」ことで過失運転致死傷罪が成立することが定められています。
過失運転致死傷罪の成立する条件としては、あくまで「自動車の運転上必要な注意を怠」ることによって人を死傷させることが定められています。
ですから、今回の事例のように、自動車の運転中によそ見をしていた=「自動車の運転上必要な注意を怠」ったことにより死亡事故を誘発させ、被害者の方を死亡させ、同乗者の方に怪我を負わせたということであっても過失運転致死傷罪が成立し得るということになります。

人身事故・死亡事故も、自身が直接接触をしたものだけに限らず、様々なケースが想定されます。
ご自身・ご家族が人身事故・死亡事故を起こしてしまったというときに、それがどういった犯罪に当たり得るのか、どういった見通し・手続となるのかを迅速に把握することで、次に取るべき適切な活動も見えてきます。
まずは弁護士に相談してみましょう。

0120-631-881では、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の初回接見サービスや初回無料法律相談のお問い合わせ・お申し込みを受け付けています。
交通事件についても取扱っていますので、まずはお気軽にお電話ください。

(事例紹介)千葉県で起きた過失運転致死事件の事例

2022-07-21

(事例紹介)千葉県で起きた過失運転致死事件の事例

今回は、千葉県で起きた過失運転致死事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

~ケース~

千葉県君津市貞元の県道で21日午後7時50分ごろ、歩行中の女性が乗用車にはねられ、搬送先の病院で死亡した。
君津署は自動車運転処罰法違反(過失傷害)の疑いで乗用車の同市、自称派遣社員の男(67)を現行犯逮捕。
容疑を過失致死に切り替え詳しい原因を調べる。
同署によると、容疑者は「前を見ていたが気付かなかった」と供述している。
現場は中央線のない直線。
(6月24日YAHOO!JAPANニュース配信記事より引用)

~過失運転致死事件を起こしてしまった場合の弁護活動~

自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた場合には、自動車運転処罰法違反となり、いわゆる「過失運転致死傷罪」が成立します。
被害者が死亡した場合には、このうち「過失運転致死罪」が成立します。
過失運転致死罪の法定刑は、「7年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金」となっています。
(以上、自動車運転処罰法5条より)

今回取り上げた報道の事例では、当初男性は過失運転致傷罪の容疑で逮捕されたようです。
しかし、被害者の方が搬送先の病院で亡くなったということを受け、被疑罪名が過失運転致死罪に切り替えられて捜査されているようです。
人身事故事件の場合、被害者の方の怪我や容体が後になってから分かったり変化したりすることがあるため、こうした被疑罪名の切り替えが行われることも珍しくありません。

人身事故事件では、過失運転致傷罪の程度に留まり被害者の方の怪我が軽く、示談も成立している場合には不起訴処分を獲得できる可能性もあります。
しかし、過失運転致死事件の場合は、被害者の方が亡くなっているということもあり、起訴される可能性は高いといえます。
こうしたケースでは、被害者の遺族への謝罪・弁償を行った上で示談をすることや、再犯防止のために自動車を廃車・売却したり運転免許証を返納したりすることや運転マナーについての講習を受けることなどによって、執行猶予付き判決を獲得できる可能性を上げていくことが考えられます。
過失運転致死事件を起こしてしまった場合はすぐに弁護士と相談し、今後の弁護活動についてアドバイスを受けることをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件少年事件を中心に取り扱う法律事務所です。
過失運転致死傷事件などの人身事故事件の刑事手続についてのご相談もお受けしていますので、お困りの際はお気軽にご相談下さい。

京都市右京区の危険運転致死傷事件を相談したい

2022-04-07

京都市右京区の危険運転致死傷事件を相談したい

京都市右京区危険運転致死傷事件を相談したいというケースについて弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

ケース

Aさんは、仕事終わりに京都市右京区にある友人の家へ車で遊びに来ていました。
友人宅にはお酒がたくさん用意されており、断るのも悪いと思ったAさんは少しだけなら酔っぱらうこともないだろうし、酔わない程度に飲もうと自分に言い聞かせてお酒を飲み始めました。
飲み始めは遠慮がちに飲んでいたAさんでしたが、友人の家を出るころには、真っ直ぐ歩けないほどに酔っぱらっていました。
明日も仕事に行かなければいけないAさんは、自分にかぎって事故を起こすことはないだろうと思い、車を運転しました。
Aさんの運転する車が京都市右京区の交差点に差し掛かったころ、車が何かにぶつかったのか強い衝撃を感じました。
車を降りてみてみると、Aさんの車の前方に人が横たわっていました。
Aさんは赤信号に気付かずに横断歩道に突っ込み、横断歩道を渡っていたVさんを轢いてしまっていたのです。
Aさんは救急車を呼びましたが、その場でVさんの死亡が確認されました。
翌日、Aさんは京都府右京警察署の警察官に危険運転致死罪の容疑で逮捕されました。
(フィクションです。)

飲酒運転

危険運転致死傷罪について解説する前に、飲酒運転について解説します。

飲酒運転の禁止は道路交通法で定められています。
道路交通法第65条1項「何人も、酒気を帯びて車両等を運転してはならない。」が飲酒運転を禁止している条文となります。

道路交通法第65条1項に違反して、身体に政令で定める程度以上にアルコールを保有する状態で飲酒運転を行った者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金が科されます。(道路交通法第117条の2)

また、お酒に酔ったことで正常な運転ができない状態で運転を行った者は、五年以下の懲役または百万円以下の罰金が科されることとなります。(道路交通法第117条の2)

危険運転致死傷罪

危険運転致死傷罪は、危険運転行為をしたことによって、人に怪我を負わせたり、人を死なせてしまったときに適用されます。
危険運転致死傷罪は「自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律」で規定されています。
飲酒運転に関わる危険運転致死傷罪の条文は、以下のものです。

自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律
第2条 次に掲げる行為を行い、よって、人を負傷させた者は十五年以下の懲役に処し、人を死亡させた者は一年以上の有期懲役に処する。
1号 アルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態で自動車を走行させる行為

第3条 アルコール又は薬物の影響により、その走行中に正常な運転に支障が生じるおそれがある状態で、自動車を運転し、よって、そのアルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態に陥り、人を負傷させた者は十二年以下の懲役に処し、人を死亡させた者は十五年以下の懲役に処する。

自動車運転処罰法の2条と3条では、どちらもアルコールの影響に関連した危険運転による人身事故について定めていますが、刑罰の重さが異なります。
この2つの条文で定めるものの違いは、簡単に言えば、正常な運転が困難になったタイミングです。

自動車運転処罰法2条では、車を運転する前に自分の今の状態では正常な運転が困難な状態であるのがかっている状態で運転するケースを定めています。
対して、自動車運転処罰法3条では、走行中に正常な運転に支障が生じるおそれがあるという程度の状態で運転を開始し、運転中に正常な運転が困難な状態に陥ったというケースを定めています。
このうち、最初から正常な運転が困難な状態=より危険な状態であるにもかかわらず運転を開始した状況である自動車運転処罰法2条の方が重い刑罰が設定されているということなのです。

今回のケースでは、Aさんは、運転をする前に、まっすぐ歩けないほどに酔っぱらっている状態ですので、「正常な運転が困難な状態」であるにもかかわらず運転し、死亡事故を起こしたと考えられ、自動車運転処罰法2条の危険運転致死罪が成立すると考えられます。

危険運転致死傷事件に強い弁護士に相談

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、数多くの刑事事件少年事件を取り扱っており、危険運転致死傷事件についてもご相談・ご依頼を受け付けています。
ご予約は、フリーダイヤル0120―631―881でいつでも受け付けておりますので、まずはお気軽にお問い合わせください。

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