15歳の少年が電動キックボードを運転し犯罪に? 問われる罪とは

2023-11-29

15歳の少年が電動キックボードを運転し犯罪に? 問われる罪とは

電動キックボードに乗る男性

15歳の少年らが電動キックボードのシェアリングサービスを利用して電動キックボードを運転していたとされている事例を基に、16歳未満の者の電動キックボードの運転や16歳未満の者への電動キックボードの提供について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例

16歳未満の運転が禁止されている電動キックボードに、15歳の少年らが乗車し、警察が捜査していることがわかった。
捜査関係者によると2023年9月、電動キックボードのシェアリングサービス会社「(中略)」が「16歳未満に貸し出していたことがわかった」などと警察に申告した。
電動キックボードは2023年7月から、16歳以上なら運転免許なしで乗れるようになったが、7月以降、複数の15歳の少年が(中略)を利用して乗っていたという。
(中略)の利用者は専用アプリで身分証明書を提出するが、少年らはマイナンバーカードを提出していたという。
(中略)
警察は、道交法違反の疑いなども視野に捜査している。
(11月10日 FNNプライムオンライン 「“16歳未満禁止”の電動キックボードに15歳少年らが乗車…シェアリングサービス会社が申告、警察が捜査」より引用)

電動キックボードと法律

電動キックボードは道路交通法で規定されている原動機付自転車に該当します。
今年7月の道路交通法改正により、原動機付自転車の中でも免許が必要な一般原動機付自転車、免許が不要な特定小型原動機付自転車特例特定小型原動機付自転車の3つの区分に分けられることになりました。
特定小型原動機付自転車特例特定小型原動機付自転車に該当する電動キックボードは免許が不要であり、基準を満たせば歩道を走行することができるものもありますが、電動キックボード原動機付自転車に該当する以上、道路交通法上の車両として扱われます。
ですので、道路交通法などの法で定められた交通ルールを守らないと、道路交通法違反などの罪が成立することになります。

特定小型原動機付自転車特例特定小型原動機付自転車に該当する電動キックボードの運転は、16歳以上であれば免許の所持に関係なく誰でも運転することができますが、16歳未満である場合には、電動キックボードを運転することができません。

今回の事例では、15歳の少年が電動キックボードを運転していたようです。
15歳の少年や電動キックボードを貸し出した電動キックボードのシェアリングサービス会社は罪に問われるのでしょうか。

電動キックボードの運転と年齢

道路交通法第64条の2
1項 十六歳未満の者は、特定小型原動機付自転車を運転してはならない。
2項 何人も、前項の規定に違反して特定小型原動機付自転車を運転することとなるおそれがある者に対し、特定小型原動機付自転車を提供してはならない。

道路交通法では、16歳未満の場合に特定小型原動機付自転車を運転してはいけないと規定しています。
上記条文では特例特定小型原動機付自転車の運転については触れていないので特例特定小型原動機付自転車であれば運転できるんじゃないのかと思われる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、特定小型原動機付自転車のうち、最高速度が時速6キロメートル以下などの基準を満たすものについて特例特定小型原動機付自転車として定めていますので、特例特定小型原動機付自転車特定小型原動機付自転車に分類されます。
ですので、特例特定小型原動機付自転車に該当する電動キックボードに関しても16歳未満の運転は禁止されています。

道路交通法で16歳未満は特定小型原動機付自転車を運転してはいけないと定められている以上、16歳未満の者が電動キックボードを運転した場合には、道路交通法違反が成立します。
また、電動キックボードを運転する者が16歳未満だと知りながら、電動キックボードを提供した者も道路交通法違反の罪に問われることになります。
16歳未満の者が電動キックボードを運転した場合または16歳未満の者に電動キックボードを提供した場合に、道路交通法違反で有罪になると、6月以下の懲役又は10万円以下の罰金が科されます。(道路交通法第118条1項2号、3号)

今回の事例では、15歳の少年らが電動キックボードに乗車していたと報道されています。
上記のとおり、電動キックボードについて16歳未満の者が運転することを道路交通法では禁止していますから、実際に少年らが電動キックボードを運転していたのであれば道路交通法違反の罪に問われる可能性があります。
また、電動キックボードのシェアリングサービス会社は、少年らのマイナンバーカードを確認したうえで電動キックボードを貸し出していた報道されているようですので、実際に15歳の少年らに電動キックボードを貸し出していたのであれば、16歳未満の者への電動キックボードの提供により、道路交通法違反が成立する可能性があります。

交通事件などの刑事事件では、罰金刑であっても刑罰を受けた場合には、前科が付くことになります。
前科が付くことにより、進学就職活動転職活動などに悪影響を及ぼしてしまうことも少なくありません。
犯罪を犯すと必ずしも刑罰を科され、前科が付くわけではありません。
刑事事件では、起訴猶予により不起訴処分を得られる場合があります。

起訴猶予とは、簡単に説明すると、犯罪に当たる行為はしているが起訴はしないということです。
略式命令による罰金刑も含め、起訴されなければ刑罰を科されることはありませんし、前科もつきません。
ですので、前科を避けるためには、不起訴処分の獲得に向けた弁護活動が重要になります。

弁護士は検察官に対して、処分交渉をすることができます。
この処分交渉で、悪質性は低いことや再犯防止に努めていることなどを検察官に訴え、不起訴処分を求めることで、不起訴処分を得られる可能性があります。
ですので、不起訴処分の獲得を目指す場合には、弁護士に相談をすることをお勧めします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、交通事件をはじめとする刑事事件に精通した法律事務所です。
数多くの事件で不起訴処分を獲得してきた経験豊富な弁護士に相談をすることで、不起訴処分を獲得できるかもしれません。
電動キックボードなどの道路交通法違反事件でお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

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