無免許運転で人とぶつかってしまった事例

2023-11-22

無免許運転で人とぶつかってしまった事例

車が人に追突した人身事故

無免許人身事故を起こした場合、どのような罪が成立するのでしょうか。
今回のコラムでは、無免許人身事故を起こした場合に成立する罪や科される量刑について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例

Aさんは友達の車を借り、ドライブをしていました。
さいたま市大宮区の路上を走行中、道路を横断している歩行者に気づくのが遅れてしまい、ぶつかってしまいました。
その後、埼玉県大宮警察署から連絡があり、この事故が原因で、歩行者は全治4か月のけがを負ったと知らされました。
後日取調べのために、埼玉県大宮警察署に来てほしいと言われたAさんですが、実はAさんは車の免許を取得していません(無免許)でした。
Aさんにはどのような罪が成立するのでしょうか。
(事例はフィクションです。)

人身事故を起こした場合に成立する罪

人身事故を起こした際に成立する可能性が高い犯罪として、過失運転致傷罪が挙げられます。
過失運転致傷罪は、運転者が運転上必要な注意を怠り、その結果として人にけがを負わせた場合に成立する罪です。
また、運転上の不注意で人を死亡させてしまった場合には、過失運転致死罪が成立します。
過失運転致傷罪過失運転致死罪は、自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律(以降「自動車運転処罰法」といいます。)第5条で定められており、運転中の不注意や前方不注視などが原因で他人にけがを負わせた場合や死亡させた場合に適用されます。

過失運転致傷罪過失運転致死罪で有罪になると、7年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金が科されます。(自動車運転処罰法第5条)
ただし、けがの程度が軽い場合には、情状によって刑が免除されることもあります。(自動車運転処罰法第5条)

無免許運転の法的影響

無免許運転過失運転致傷罪に与える影響は、法的に重大です。
無免許での運転は、自動車運転処罰法において別途罰せられる行為であり、これが過失運転致傷罪と組み合わさると、無免許過失運転致傷罪が成立し、罪の重さが増します。
具体的には、無免許過失運転致傷罪の場合、法定刑は10年以下の懲役となり、通常の過失運転致傷罪における罰金刑の適用はありません。(自動車運転処罰法第6条4項)
このように、無免許運転過失運転致傷罪の刑罰を重くする要因となり、法的な責任が大幅に増加することになります。
運転免許を持たない状態での運転は、万が一事故を起こした場合、その法的な結果は非常に深刻なものとなるのです。

Aさんに成立する犯罪は

今回の事例のAさんは、道路を横断している歩行者に気づくのが遅れたことで衝突してしまいました。
前方に注意していれば事故を防げた可能性は高いでしょうから、事例の事故はAさんの前方不注意による事故だと推測できます。
前方を注意してみることは運転上必要な注意ですから、必要な注意を怠ったとして、過失運転致傷罪の成立が考えられます。
今回の事例ではAさんは免許を持っていませんので、Aさんには無免許過失運転致傷罪が成立する可能性が高いといえます。

刑罰と執行猶予

事例のAさんに成立する可能性のある、無免許過失運転致傷罪の法定刑は10年以下の懲役となり、罰金刑の適用はありません。
しかし、有罪判決を受けた場合でも、すべてのケースで実際に刑務所に収容されるわけではありません。
裁判所は、被告人の過去の犯罪歴、事故の状況、被害者との示談状況などを考慮して、執行猶予を付与することがあります。
執行猶予付き判決を得ることができれば、被告人は刑務所に行くことなく、一定期間の猶予期間中に新たに犯罪を起こすことがなければ通常の生活を続けることができます。
このため、無免許過失運転致傷罪で起訴された場合、弁護士と協力し、示談締結など執行猶予付き判決の獲得に向けて入念に裁判の準備を行う必要があります。

交通事件と示談

刑事事件と同様に、無免許運転過失致傷罪などの交通事件に関しても、被害者との示談の締結は有利に働く可能性が高いです。
例えば、被害者と示談を締結していることで、不起訴処分の獲得や執行猶予付き判決の獲得、科される罪の減刑など、あなたにとってより良い結果につながる可能性があります。

ただ、今回の事例では被害者が全治4か月に及ぶけがを負っていますし、そのうえ、加害者が無免許だったこともあり、処罰感情が苛烈である可能性があります。
被害者が強い処罰感情を持っている場合、加害者本人からの連絡は火に油を注いでしまうことにもなりかねません。
そういった事態を避けるためにも、示談交渉は弁護士を代理人として行うことをお勧めします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、無料法律相談を行っています。
人身事故を起こしてしまった場合、今後の生活が不安になるかと思います。
ですが、弁護士に相談をし、今後の事件の展開や見通しを聞くことで、少しでも不安を和らげられるかもしれません。
無料法律相談のご予約は、0120―631―881で受け付けております。
埼玉県で交通事故、刑事事件でお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所さいたま支部にご相談ください。

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