(事例紹介)トラックの荷台に人を乗せ、過失運転致死罪①
(事例紹介)トラックの荷台に人を乗せ、過失運転致死罪①
トラックの荷台から人が転落死したとして、過失運転致死罪の容疑で逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
事例
群馬県片品村の国道401号で14日夜、走行中の軽トラックの荷台から転落した同県高崎市の男性(中略)が死亡した事故で、沼田署は16日、軽トラックを運転していた同県渋川市の消防士の男(23)を、自動車運転死傷行為処罰法違反(過失運転致死)容疑で逮捕した。
現場は片側1車線の右カーブ。同署によると、2人は親戚同士で、荷台にはほかにも複数人が乗っていたとみられる。
(後略)
(8月16日 読売新聞オンライン 「軽トラック荷台から17歳転落死、運転していた消防士逮捕…親戚同士でほかにも複数人同乗か」より引用)
過失運転致死罪
自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律第5条
自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、7年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金に処する。ただし、その傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができる。
上記の条文が過失運転致死罪の条文です。
過失運転致死罪は大まかに説明すると、運転中に払うべき注意を怠った結果、事故により人を殺してしまった際に成立します。
今回の事例では、被害者が走行中の軽トラックの荷台から転落して亡くなったと報道されています。
走行中の車の荷台に人を乗せる行為は原則として、道路交通法第55条1項で禁止されています。
荷台に人を乗せて走行しなければ今回の事故を起きなかったでしょうから、荷台に人を乗せて走行した行為自体が運転上必要な注意を怠ったと判断されるおそれがあり、今回の事例では過失運転致死罪が成立してしまう可能性があります。
過失運転致死罪と執行猶予
過失運転致死罪の法定刑は7年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金ですので、有罪になると懲役刑が科されてしまう可能性があります。
懲役刑が科されてしまうと、刑務所に収容され刑務作業に従事しなければなりません。
刑務所に入るとなると、今まで通りの生活は送れないですし、当然仕事にも行けませんから、仕事を解雇されてしまう可能性があります。
執行猶予という言葉を聞いたことがある方もいらっしゃるかもしれません。
執行猶予はその名の通り、刑の執行が猶予されることを指しますので、執行猶予付き判決を獲得できれば、刑務所に収容されずにすむ場合があります。
刑事事件では、示談を締結することで科される刑罰を軽くできる場合があります。
これは交通事故の場合も同様であり、被害者遺族と示談を締結することで、執行猶予付き判決の獲得などを目指せる可能性があります。
ただ、今回の事例のように被害者が亡くなっている場合は、遺族の処罰感情が苛烈であることが多く、連絡を拒まれたり、示談交渉が難航する可能性が高いです。
弁護士が代わりに示談交渉を行うことで、スムーズに示談交渉を行える場合がありますので、示談でお困りの方は弁護士に相談をすることが望ましいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、交通事故の豊富な弁護経験を持つ法律事務所です。
過失運転致死罪などの交通事故でお困りの方は、お気軽に弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
初回接見サービス、無料法律相談のご予約は、0120ー631ー881までお電話ください。
次回のコラムでは、今回の事例を用いて、人を荷台に乗せて走行した際に成立する犯罪について解説します。