(事例紹介)トラックの荷台に人を乗せ、過失運転致死罪②

2023-08-30

(事例紹介)トラックの荷台に人を乗せ、過失運転致死罪②

前回のコラムに引き続き、トラックの荷台から人が転落死したとして、過失運転致死罪の容疑で逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例

群馬県片品村の国道401号で14日夜、走行中の軽トラックの荷台から転落した同県高崎市の男性(中略)が死亡した事故で、沼田署は16日、軽トラックを運転していた同県渋川市の消防士の男(23)を、自動車運転死傷行為処罰法違反(過失運転致死)容疑で逮捕した。
現場は片側1車線の右カーブ。同署によると、2人は親戚同士で、荷台にはほかにも複数人が乗っていたとみられる。
(後略)
(8月16日 読売新聞オンライン 「軽トラック荷台から17歳転落死、運転していた消防士逮捕…親戚同士でほかにも複数人同乗か」より引用)

荷台への乗車と道路交通法

前回のコラムでは、過失運転致死罪について解説しました。
報道によると、容疑者はトラックの荷台に人を乗せて走行していたと報道されています。
トラックの荷台に人を乗せて走行する行為は法律上問題ないのでしょうか。

道路交通法第55条1項
車両の運転者は、当該車両の乗車のために設備された場所以外の場所に乗車させ、又は乗車若しくは積載のために設備された場所以外の場所に積載して車両を運転してはならない。ただし、もっぱら貨物を運搬する構造の自動車で貨物を積載しているものにあっては、当該貨物を看守するため必要な最小限度の人員をその荷台に乗車させて運転することができる。

道路交通法第55条1項が規定しているように、原則として、トラックの荷台に人を乗せて走行する行為禁止されています。
ただ、荷台に乗せた荷物を見守る目的であれば、荷台に人を乗せて走行する行為は禁止されていないので、荷台の荷物を見守る目的で乗車しているのであれば、道路交通法違反に問われることはありません。

今回の事例ではトラックの荷台に人を乗せて走行したと報道されています。
人が荷台に乗っていた目的が荷物の見守りであれば罪に問われることはありませんが、そういった目的がないのであれば、道路交通法違反に問われる可能性が高いです。

荷台に人を乗せて走行し、道路交通法違反で有罪になった場合には、5万円以下の罰金が科されることになります。(道路交通法第120条2項1号)

道路交通法違反と不起訴処分

繰り返しになりますが、荷台に人を乗せて走行する行為は、目的によっては道路交通法違反が成立する可能性があります。
荷台に人を乗せて走行したことで、道路交通法違反で有罪になった場合の刑罰は5万円以下の罰金であり、重い刑罰が科されるわけではありませんが、罰金刑を科されてしまうと前科が付くことになってしまいます。

前科を避ける手段として、不起訴処分の獲得が挙げられます。
不起訴処分は検察官が起訴しない判断をした場合に出される処分ですので、刑罰などは科されませんし、前科が付くこともありません

不起訴処分を目指す弁護活動として、取調べ対応や検察官との処分交渉が挙げられます。

荷台の荷物を看守するためなどの荷台に人を乗せることに正当な理由があったのであれば、取調べで供述することで、不起訴処分を狙える可能性があります。
しかし、取調べでは警察官などに、あなたの不利になるような供述を誘導される可能性があります。
誘導に乗ってしまうことで、あなたの不利な内容や事実とは反した内容の供述調書が作成されてしまうと、後の検察官の起訴の判断の際や裁判などで不利に働く可能性が極めて高くなります。
そういった事態を避けるためにも、弁護士と打合せを行い事前に供述内容を整理しておくことが重要になります。

また、弁護士は検察官に対して処分交渉を行うことができます。
弁護士が検察官に、荷台に人を乗せて走行したことに正当な理由があることや、前科が付くことで多大な不利益を被ってしまう可能性などを主張することで、不起訴処分を獲得できるかもしれません。

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