(事例紹介)道路に金属片 車をパンクさせて器物損壊罪・道路交通法違反
(事例紹介)道路に金属片 車をパンクさせて器物損壊罪・道路交通法違反
~事例~
路上に金属片をまき散らして車をパンクさせたとして、大阪府警は15日、大阪府河内長野市の会社員の男(48)を器物損壊と道路交通法違反(道路における禁止行為)の疑いで大阪地検堺支部に書類送検し、発表した。
(略)
富田林署によると、男は6月7日と同10日の夕方、同府富田林市の住宅街の路上で、鉄くず(長さ約3センチ、幅約5ミリ)をひとつかみ程度まき散らし、通過した乗用車1台の左前輪タイヤをパンクさせた疑いがある。
(略)
(※2022年9月15日17:55朝日新聞デジタル配信記事より引用)
~道路に金属片をまいて道路交通法違反~
今回取り上げた事例の報道内容は、男性が道路に金属片をまき、車をパンクさせたという器物損壊罪と道路交通法違反の容疑で男性が書類送検されたというものになっています。
男性の容疑として挙げられている犯罪は、
・器物損壊罪
・道路交通法違反
の2つとなっています。
まず、この2つの犯罪のうち、器物損壊罪は刑法に定められている犯罪(刑法第261条)であり、簡単にいえば人の物を壊したり使えなくしたりした際に成立する犯罪です。
器物損壊罪の刑罰は「3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料」と定められています。
この事例では、男性には、道路に金属片をまき、その金属片によって車をパンクさせたという容疑がかけられていますが、車をパンクさせたという部分が他人の物を損壊した=器物損壊罪に当たると判断されたものと考えられます。
もう1つの容疑となっている道路交通法違反についても確認してみましょう。
道路交通法では、以下のようにして、道路における禁止行為を定めています。
道路交通法第76条第4項
何人も、次の各号に掲げる行為は、してはならない。
第4号 石、ガラスびん、金属片その他道路上の人若しくは車両等を損傷するおそれのある物件を投げ、又は発射すること。
第7号 前各号に掲げるもののほか、道路又は交通の状況により、公安委員会が、道路における交通の危険を生じさせ、又は著しく交通の妨害となるおそれがあると認めて定めた行為
道路交通法第76条では、道路における禁止行為を定めていますが、その第4項第4号では、「…金属片…を投げ、又は発射すること」を禁止しています。
今回の事例では、報道によると、男性は金属片を道路にまいたという容疑をかけられているため、金属片を「投げ、又は発射」したと考えられているのかは不明ですが、同じく道路交通法第76条第4項の第7号では、この「…金属片…を投げ、又は発射すること」以外にも、「道路又は交通の状況により、公安委員会が、道路における交通の危険を生じさせ、又は著しく交通の妨害となるおそれがあると認めて定めた行為」が禁止されています。
これに関連して、各都道府県ではそれぞれ道路交通規則が定められており、例えば大阪府の「大阪府道路交通規則」では、以下のような条文があります。
大阪府道路交通規則第14条
法第76条第4項第7号の規定による道路における禁止行為は、次の各号に掲げるものとする。
第1号 みだりに交通の妨害となるように道路に物を干し、泥土や汚水をまき、又は物を捨てること。
(※注:「法」とは、道路交通法のことを指します。)
金属片を道路にまくことは「みだりに交通の妨害となるように道路に…物を捨てること」に当たり得るといえるでしょう。
ですから、金属片を道路にまくという行為が、道路交通法第76条第4項第4号の「…金属片…を投げ、又は発射すること」に当たらなかったとしても、道路交通法第76条第4項第7号の「道路又は交通の状況により、公安委員会が、道路における交通の危険を生じさせ、又は著しく交通の妨害となるおそれがあると認めて定めた行為」として道路交通法違反になるということが考えられるということになります。
こうした道路における禁止行為をして道路交通法違反となった場合、刑罰は「5万円以下の罰金」(道路交通法第120条第1項第10号)となります。
道路交通法違反というと、飲酒運転やスピード違反、無免許運転などのいわゆる交通違反がイメージされやすいですが、今回取り上げたような、「道路上の危険を引き起こす」というような行為も道路交通法違反事件として刑事事件になります。
道路交通法違反という罪名ではあるものの、いわゆる交通違反によって刑事事件となったケースとは対応も変わってきますし、求められる活動内容も異なるものとなることが予想されます。
まずは弁護士に相談し、可能な活動や行うべき活動を把握してみることをおすすめします。
刑事事件を多く取り扱う弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、様々な種類の刑事事件に対応が可能です。
交通違反による道路交通法違反事件はもちろん、今回取り上げたような、道路における禁止行為をしてしまったという道路交通法違反事件のご相談・ご依頼も受け付けています。
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