(事例紹介)自転車によるひき逃げ事件で逮捕

2023-02-01

(事例紹介)自転車によるひき逃げ事件で逮捕

・参考事例

自転車で歩行者をはね、そのまま逃走したとして、79歳の男が逮捕された。
(中略)容疑者(79)は、1月5日、東京・大田区の路上で、歩いていた70代の男性に自転車で後ろからぶつかり重傷を負わせ、そのまま逃走した疑いが持たれている。
(中略)容疑者は、「病院に行く時間が迫っていた」などと話し、容疑を認めている。
(FNNプライムオンライン 1月18日 6:25配信「自転車でひき逃げ 79歳男逮捕 「病院に行く時間が迫って…」 東京・大田区」より引用)

・ひき逃げ

参考事例はひき逃げが取り上げられています。
ひき逃げとは、下記の道路交通法に記載されている条文に違反したことを意味する俗称で、「ひき逃げ」という言葉が正式な罪名ということではありません。

道路交通法第72条第1項
交通事故があつたときは、当該交通事故に係る車両等の運転者その他の乗務員(以下この節において「運転者等」という。)は、直ちに車両等の運転を停止して、負傷者を救護し、道路における危険を防止する等必要な措置を講じなければならない。
この場合において、当該車両等の運転者(運転者が死亡し、又は負傷したためやむを得ないときは、その他の乗務員。以下次項において同じ。)は、警察官が現場にいるときは当該警察官に、警察官が現場にいないときは直ちに最寄りの警察署(派出所又は駐在所を含む。以下次項において同じ。)の警察官に当該交通事故が発生した日時及び場所、当該交通事故における死傷者の数及び負傷者の負傷の程度並びに損壊した物及びその損壊の程度、当該交通事故に係る車両等の積載物並びに当該交通事故について講じた措置を報告しなければならない。

車両の運転手は上記にあるとおり、交通事故が起きた際に果たさなければならない救護の義務・危険防止の義務・報告(通報)の義務があります。
これらの義務を果たさなかった場合、道路交通法違反のいわゆる「ひき逃げ」が成立します。
道路交通法における自転車は「軽車両」という扱いであり、道路交通法第72条第1項の車両に該当するため、自転車でも「ひき逃げ」は成立します。

・過失傷害罪/重過失致傷罪/業務上過失致傷罪

自転車ひき逃げの被害にあった人物が怪我をしてしまった場合、過失傷害罪や業務上過失致傷罪・重過失致傷罪に問われる可能性もあります。
条文は以下のとおりです。

(過失傷害)
刑法209条1項 過失により人を傷害した者は、30万円以下の罰金又は科料に処する。
 2項 前項の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。

(業務上過失致死傷等)
刑法211条 業務上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、5年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金に処する。重大な過失により人を死傷させた者も、同様とする。

過失傷害罪は刑法209条2項にあるように親告罪であるため、被害者による告訴がなければ裁判になることはありません。
重過失致傷罪や業務上過失致傷罪は、親告罪ではなく告訴がない場合でも起訴され裁判になる可能性があります。
過失致傷罪や重過失致傷罪・業務上過失致傷罪に加えてひき逃げ(道路交通法違反)が同時に成立し、両罪で起訴された場合、厳しい刑事処罰が科せられる恐れがあります。

人身事故における刑罰は被害者の怪我の程度によっても左右されるので、詳細は弁護士に相談することが好ましいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、車やバイクの事件だけでなく、自転車での人身事故・ひき逃げ事件などの交通事件も取り扱っております。
自転車で交通事故を起こしてしまった方は、弊所のフリーダイヤル(0120-631-881)へお気軽にご相談ください。

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