Archive for the ‘危険運転致死傷罪’ Category

信号無視を指示し死亡事故をひきおこした助手席の男を逮捕

2025-03-14

信号無視を指示し死亡事故をひきおこした助手席の男を逮捕

赤信号を無視して走る車

信号無視を指示し死亡事故をひきおこした助手席の男が逮捕された刑事事件に対する弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

事例

京都府山科警察署は昨年3月10日、京都市山科区内で車を運転中に赤信号を無視し、男性をはねて死亡させたとして、危険運転致死罪で会社員の男2人を逮捕いたしました。
同署によると事故は昨年3月9日18時すぎに発生し、運転をしていた男が、上司である助手席の男(46)から「時間がないから信号は無視して」などと指示され、赤信号を無視して交差点に進入し、自転車で横断中の女性(85)をはねて死亡させたということです。
助手席の男は運転手である実行犯と同等の責任がある「共謀共同正犯」として、危険運転致死罪逮捕されました。
(※実際にあった事件をもとに作成したフィクションです)

共謀共同正犯とは?

刑法第60条に「二人以上共同して犯罪を実行した者は、すべて正犯とする。」共同正犯について規定されております。
共同正犯とは2人以上の者が共謀し犯罪を実行・実現させた場合に該当します。
その中でも共謀共同正犯とは2人以上の者が犯行を共謀し、そのうちのある者がこれを現に実行に移したとき、実行しなかった共謀者も正犯として扱われることををいいます。
①共同の意思ないし正犯意思②共謀の事実③共謀に基づく実行行為、の3要件が成立してはじめて共謀共同正犯に該当し、共謀者も正犯者と同等の罪に問われることになります。

例えば、
複数の者が共謀した上で,そのうちの一人が単独で実行行為を行った強盗事件について,強盗を実行する前の段階で,共謀した者の間で強盗を共同して遂行する合意があったこと、実行者以外の者も自己の犯罪を行う意思で強盗に加担したとして,強盗についての共同遂行の合意及び正犯意思が認められるとし、共謀共同正犯の成立が認められるとされ、実行犯と同じ強盗罪が成立した事例(平成27年3月31日富山地裁判決)があります。

共謀共同正犯と教唆犯、幇助犯との違いは?

教唆犯は刑法第61条1項に「人を教唆して犯罪を実行させた者には,正犯の刑を科する。」と規定されております。
共謀共同正犯には共謀して実行に移す「意思」が必要ですが、教唆犯では実行者に「単独」で犯行を行う決意をさせる点に相違があります。
教唆犯も他人に犯行を決意し実行させ、犯行を実現させているため正犯と同等の罪に問われます。

また幇助犯は刑法第62条1項に「正犯を幇助した者は、従犯とする。」と規定されております。
従犯(幇助犯)が成立するためには、正犯(実行犯)に犯行が容易に行われるよう助ける行為と意思が必要で、さらに正犯の実行行為があったことを要します。
例えば、強盗を目的と知りつつ道具を貸したなど物理的に実行行為を促す行為はもとより、行為者を励まし犯意を強化するなど心理的に実行行為を促した場合も、幇助となります。

今回の事例では同じ車に乗っている助手席の男が運転手の男に信号無視をするように命令(共謀)することによって、運転手が犯行を現に実行し、犯罪が起こっております。
そのため、共謀共同正犯が成り立ち、運転手と同罪である危険運転致死罪が該当するでしょう。
ちなみに、赤信号無視により危険運転致死罪で有罪になった場合には、1年以上の有期懲役が科せられます。(自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律第2条7号)

逮捕・勾留されてしまったら

今回の事例では、部下に軽い気持ちで指示(共謀)し部下が犯行(赤信号無視)に至った結果、危険運転致死罪という大きな犯罪につながっております。

共謀共同正犯逮捕された場合、実行犯やその他の共謀者との間で口裏合わせをするなどの証拠隠滅をするのではないかとの恐れから勾留される可能性は十分にあるでしょう。
万が一勾留されることになれば、裁判所が勾留決定をした日から最大20日間、身柄拘束されることになります。
また釈放されずに起訴されれば、さらに身柄拘束が続き、通常の社会生活を送ることは難しくなります。
そのため、失業や退学を余儀なくされることもあるでしょう。

被害者の有無・犯罪の態様によっては、被害者との示談交渉により、早期に身柄解放につながる可能性もあります。
また前科がつかない不起訴になったり、量刑が軽くなる場合もあるでしょう。
そのためには法律に精通した弁護士を通して、示談交渉をしてもらったり、警察や検察に働きかける防御活動が重要になってきます。
法律や手続きに詳しくない方にとって、弁護士のサポートは心強い味方となるでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、ご相談・ご依頼に関するお問い合わせを24時間365日受付しております。
お気軽に弊所フリーダイヤル(0120―631―881)にご連絡ください。

酒気帯び運転で男を逮捕②

2025-02-19

酒気帯び運転で男を逮捕②

飲酒運転

前回のコラムに引き続き、酒気帯び運転逮捕された刑事事件に対する弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

事例

京都府宮津警察署は昨年6月3日、宮津市酒気帯び運転をしたとして、会社員の男(26)を現行犯逮捕いたしました。
同署によりますと、男は宮津市内の飲食店で酒を飲み車で帰宅途中物損事故を起こし、かけつけた警察により逮捕されました。
男は「社会人としての自覚が足りず、反省している」と話しているということです。
(※実際にあった事件をもとに作成したフィクションです)

飲酒運転による死傷事故

アルコールの影響で死傷事故を起こした場合には、自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律(以下「自動車運転処罰法」)が規定する、危険運転致死傷罪が成立する可能性があります。

アルコールの影響により正常な運転が困難な状態で自動車を走行して、人を負傷させた場合には15年以下の懲役、人を死亡させた場合は1年以上の有期懲役に処されます。(自動車運転処罰法律第2条)

また、アルコールの影響により、その走行中に正常な運転に支障が生じるおそれがある状態で自動車を運転して、走行中にアルコールの影響で正常な運転が困難な状態に陥ったことで、人を負傷させた場合には12年以下の懲役、人を死亡させた場合は15年以下の懲役に処されます。(自動車運転処罰法第3条1項)

このように、アルコールの影響により、他人を死傷させて場合は、危険運転致死傷罪が成立する可能性があり、とても重い罪が科せられます。

酒気帯び運転で逮捕・勾留されてしまったら

警察に逮捕・身柄拘束をされると、警察は48時間以内に身柄解放か検察に送る(送致)かを決定します。
その後、検察官は送致されてから24時間以内に、引き続きの身柄拘束である勾留を請求すべきかを考え、勾留請求が必要だと考えた場合には、裁判所に勾留請求をします。
勾留請求が行われると、裁判所は被疑者に質問をし、勾留が必要と決定した場合、そこから最大20日間勾留されることになります。

裁判所が勾留を決定する要因は以下の三点です。
①住所が定まっているか
②証拠隠滅(証拠書類・証拠物を破損・隠匿をしたり、証人・被害者・共犯者などに接触し不利なことを言わないよう接触する等)をしないか
③逃亡(行方をくらます)のおそれはないか

特に②、③に関してはあると疑うに足りる相当な理由がないと裁判所が判断するよう、働きかけることが大事になります。
弁護士が意見書を通じて裁判所に主張することで、早期に釈放される可能性がみえてきます。

豊富な経験と専門知識をもつ弁護士のサポートは心強い味方となり、またご家族の方の不安を和らげる可能性があります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件に精通した法律事務所です。
お困りの方はフリーダイヤル0120―631―88124時間365日受付中)までお気軽にお問合せください。
ご家族が逮捕され、最短当日中に弁護士が接見に向かう初回接見サービス(有料)のご相談も承っております。

酒気帯び運転で男を逮捕①

2025-02-12

酒気帯び運転で男を逮捕①

飲酒運転

酒気帯び運転逮捕された刑事事件に対する弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

事例

京都府宮津警察署は昨年6月3日、宮津市酒気帯び運転をしたとして、会社員の男(26)を現行犯逮捕いたしました。
同署によりますと、男は宮津市内の飲食店で酒を飲み車で帰宅途中物損事故を起こし、かけつけた警察により逮捕されました。
男は「社会人としての自覚が足りず、反省している」と話しているということです。
(※実際にあった事件をもとに作成したフィクションです)

酒気帯び運転の罰則は?

飲酒運転には程度により2種類あり、罰則の軽重も異なります。

①酒酔い運転とは

「アルコールの影響により正常な運転ができないおそれがある状態」(道路交通法第117条の2 1項2号)を酒酔い運転といいます。
つまり酒に酔った状態が客観的にわかる状態 (ろれつが回らない・歩行が揺れるなど)が認められる場合をいいます。
処罰は「5年以下の懲役又は100万円以下の罰金」(道路交通法第117条の2 1項)と定められております。

また行政処分はもあり、
違反点数35点、免許取消、欠格期間(免許取消処分を受けてから運転免許が取得できない期間)3年
と重い内容になっております。

②酒気帯び運転とは

酒に酔った状態ではないものの政令で定める一定基準以上のアルコール(呼気1ℓ中 0.15mg以上)を身体に保有している状態を酒気帯び運転といいます。
処罰は「3年以下の懲役又は50万円以下の罰金」(道路交通法第117条の2の2 1項)と定められております。

また行政処分は
呼気1ℓ中 0.15mg以上0.25mg未満の場合、違反点数13点、免許停止期間90日
呼気1ℓ中 0.25mg以上の場合、違反点数25点、欠格期間2年
となっております。

加えて酒酔い運転酒気帯び運転ともに運転者以外でも車両を提供した者、酒類を提供・同乗した者にも同様に罰則が課せられます。

今回の事例はお店でお酒を飲んだ後、自動車の運転をし、物損事故を起こした事をきっかけにしてかけつけた警察官により、酒気帯び運転の疑いで逮捕されました。
お酒を飲んで帰宅する際の事故ですので、事故当時の男性は基準値を超えるアルコールを保有していてもおかしくはありませんし、呼気検査により基準値を超えるアルコールが検出されたことで、酒気帯び運転逮捕に至ったのでしょう。
ですので、事例の男性には、酒気帯び運転により道路交通法違反が成立し、5年以下の懲役又は100万円以下の罰金が科される可能性があり、行政処分を受ける可能性もあります。
また、事例の男性がアルコールの影響により正常な運転ができないおそれがある状態だと判断された場合には、酒気帯び運転ではなく、より科される刑罰の重い、酒酔い運転が該当する可能性があるといえます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、初回接見サービスを行っています。
ご家族が逮捕された方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所初回接見サービスをご利用ください。

あおり運転で男を逮捕

2025-02-05

あおり運転で男を逮捕

ブレーキ

あおり運転逮捕に伴う弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

事例

京都府宇治市で前方の車に対し、パッシングやクラクションを鳴らすなどのあおり運転をした疑いで、会社員の男が逮捕されました。
あおり運転の疑いで逮捕されたのは、宇治市在住の会社員の男(31)です。
京都府宇治警察署によりますと、男は昨年4月8日の午後6時ごろ、宇治市の国道で乗用車を運転中、前方の車に対し運転を妨害するため、運転手が運転に集中できなくなるほどパッシングし、クラクションを鳴らしたうえ、車間距離を保たずに走行した疑いが持たれています。
同署は、被害者のドライブレコーダーから男を特定し、21日に逮捕しました。
(※実際にあった事件をもとに作成したフィクションです)

あおり運転とは?

2017年からあおり運転による死亡事故などが相次ぎ、2020年6月には改正道路交通法が施行され、妨害運転罪(あおり運転)に対する罰則が創設されました。

改正道路交通法では、「他の車両等の通行を妨害する目的」かつ、「当該他の車両等に道路における交通の危険を生じさせるおそれのある方法」により、故意に以下の10種の行為をした場合、処罰(3年以下の懲役又は50万円以下の罰金)の対象となります。(道路交通法第117条の2の2第1項8号)

・通行区分違反(逆走など)
・急ブレーキ禁止違反
・車間距離不保持
・進路変更禁止違反
・追越し違反
・減光等義務違反(過度のハイビームや執拗なパッシングなど)
・警音器使用制限違反(執拗にクラクションを鳴らす行為など)
・安全運転義務違反
・最低速度違反
・高速自動車国道等駐停車違反

上記の罪を犯し、高速道路・国道等において相手の車を停止させ、その他道路における著しい交通の危険を生じさせた場合は、さらに重い罰則(5年以下の懲役又は100万円以下の罰金)が適用されます((道路交通法第117条の2第1項4号)。

結果的に妨害運転罪(あおり運転)によって相手が怪我や死亡に至る大きな事故にあった場合には、危険運転致死傷罪などに問われ、更に重い罰則(負傷させた場合は15年以下の懲役、死に至らしめた場合は1年以上の有期懲役(自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律第2条))が課せられる可能性もあります。

さらに刑事罰とは別に行政罰として運転免許を取消されたり、点数が減点される場合もあります。

警察庁のHPによりますと、『妨害運転罪や危険運転致死傷罪等の適用が困難で、点数制度による処分に至らない場合であっても、悪質・危険な運転に起因して暴行、傷害 、脅迫、器物損壊等が行われ、「自動車等を運転することが著しく道路における交通の危険を生じさせるおそれがあるとき」と認められる場合には、危険性帯有者として、運転免許の停止処分を積極的に行うこと』、とされています。

今回の事例では運転手が運転に集中できなくなるほどパッシングし(減光等義務違反)、クラクションを鳴らしたうえ(警音器使用制限違反)、車間距離を保たず(車間距離不保持)に走行していますので、妨害運転罪(あおり運転)に該当する可能性があるでしょう。

あおり運転で逮捕されてしまったら弁護士へ

妨害運転罪(あおり運転)により不起訴を目指す場合は、相手方との示談交渉が大事になります。
しかし相手方と示談を進めていく際、加害者の行為により怖い思いをした相手方と連絡をとり、直接交渉するのは難しいと思われます。
弁護士が相手方との間に入ることにより、より円滑に交渉を進めることができ、成立に向かう可能性があるでしょう。

また逮捕され、検察官の請求により勾留された場合、最大20日勾留されることになり、仕事や学業に支障がでる可能性もあります。
証拠隠滅・逃亡の恐れがないことを弁護士を通じて裁判所に書類を提出すれば、身柄解放の可能性も見えてくるでしょう。

私ども、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、あおり運転はもちろん、様々な刑事事件の弁護活動を担当した実績を多く持つ、刑事事件に精通した法律事務所です。

ご家族の方が逮捕され初回接見(有料)をしてほしい、警察の捜査、呼び出しを受けて困っている、被害者と示談したいなどございましたら、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所フリーダイヤル0120―631―881)までお気軽にお問合せください。

時速150kmを上回る高速度で事故を起こし、けがを負わせた事例②

2024-11-06

時速150kmを上回る高速度で事故を起こし、けがを負わせた事例②

車が人に追突した人身事故

前回のコラムに引き続き、時速150kmを超える速度で走行し、人身事故を起こした事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例

東京都新宿区に住むAさんは、スポーツカーを購入し、自分の車がどれだけのスピードを出せるか気になっていました。
深夜であれば近所の道路も往来がないだろうと考え、未明に近所の道路を法定速度をはるかに上回る時速150kmの高速度で走行しました。
以降、高速度での走行が病みつきになったAさんは、時速150kmを超える速度での走行を繰り返していたのですが、ある日、初めて事故を起こしてしまい、この事故によってVさんにけがを負わせてしまいました。
(事例はフィクションです。)

危険運転致傷罪と過失運転致傷罪

前回のコラムで解説したように、今回の事例では、Aさんに危険運転致傷罪過失運転致傷罪が成立する可能性があります。

制御困難な高速度による危険運転致傷罪の法定刑は15年以下の懲役(自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律(以下「自動車運転処罰法」)第2条)、過失運転致傷罪の法定刑は7年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金(自動車運転処罰法第5条)です。

過失運転致傷罪には罰金刑の規定があるのに対し、危険運転致傷罪には懲役刑の規定しかありません。
また、危険運転致傷罪の懲役刑の上限が15年であるのに対し、過失運転致傷罪では7年となっており、過失運転致傷罪と比べて危険運転致傷罪の方がはるかに重い刑罰が規定されていることがうかがえます。

取調べ対策

繰り返しになりますが、危険運転致傷罪過失運転致傷罪では、危険運転致傷罪の方が科される刑罰が重く、場合によっては過失運転致傷罪の成立に向けた弁護活動が必要になってくる可能性があります。
過失運転致傷罪成立に向けた弁護活動の一つとして、取調べ対策が挙げられます。

取調べでは、供述調書が作成されます。
これは供述内容を基に作成される書面で、裁判などで証拠として使用されます。
供述内容を基に作成されるわけですから、供述を誘導されたことによって不利な内容を供述してしまった結果、意に反した供述調書を作成されてしまうこともあるでしょう。
一度作成された供述調書を訂正することは容易ではありませんから、意に反した供述調書を作成されたことで、裁判が不利に進んでしまうことも考えられます。

今回の事例では、Aさんが出していたスピードが制御困難な高速度にあたるのかが争点になると思われます。
ですので、おそらく取調べでは、事故当時Aさんが車を制御できていたのかなどを聞かれるでしょう。
もちろんAさんの供述だけで制御困難な高速度にあたるかどうか判断されるわけではありませんが、判断材料の一つにはなるでしょうから、不利な供述調書を作成されることで、成立する罪名が変わってしまうおそれも考えられます。
弁護士と事前に取調べ対策を行うことで、不利な内容の供述調書の作成を防げる可能性がありますから、取調べを受ける際は、弁護士に相談をしてから臨むことをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、無料法律相談を行っています。
危険運転致傷罪過失運転致傷罪でお困りの方、取調べがご不安な方は、ぜひ一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

時速150kmを上回る高速度で事故を起こし、けがを負わせた事例①

2024-10-30

時速150kmを上回る高速度で事故を起こし、けがを負わせた事例①

事故

時速150kmを超える速度で走行し、人身事故を起こした事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例

東京都新宿区に住むAさんは、スポーツカーを購入し、自分の車がどれだけのスピードを出せるか気になっていました。
深夜であれば近所の道路も往来がないだろうと考え、未明に近所の道路を法定速度をはるかに上回る時速150kmの高速度で走行しました。
以降、高速度での走行が病みつきになったAさんは、時速150kmを超える速度での走行を繰り返していたのですが、ある日、初めて事故を起こしてしまい、この事故によってVさんにけがを負わせてしまいました。
(事例はフィクションです。)

交通事故によるけがと犯罪

交通事故を起こして人にけがを負わせてしまった場合には、危険運転致傷罪過失運転致傷罪などが成立する可能性があります。

危険運転致傷罪過失運転致傷罪はどちらも、自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律(以下「自動運転処罰法」)で規定されています。

危険運転致傷罪は、大まかに説明すると、事故を起こすような危険な運転を行った結果、事故を起こして人にけがを負わせた場合に成立します。
例えば、アルコールの影響で正常な運転が困難な状態で運転する行為や制御することが困難な高速度で運転する行為、赤信号を殊更に無視して走行する行為などが危険運転にあたります。(自動車運転処罰法第2条)

一方で、過失運転致傷罪は、簡単に説明すると、過失によって事故を起こして人にけがを負わせた場合に成立します。
例えば、周囲の確認がおろそかになって事故を起こしてしまった場合や赤信号を見落としたことで事故を起こした場合など、運転上必要な注意を怠った結果、事故を起こしてしまった場合が該当します。

Aさんに成立するのは

結論から言うと、Aさんには、危険運転致傷罪過失運転致傷罪のどちらかが成立する可能性が高いといえるのですが、どちらが成立するかは明確に判断することができません。
というのは、事例のAさんの運転が危険運転にあたるかどうかが明確に判断できないからです。

事例の時速150kmはとてつもない高速度だといえますし、事故を起こす危険性の高い速度だといえるでしょう。
ですが、Aさんは今までにも時速150kmを超える速度での運転を繰り返しており、事故を起こしたことはありませんでした。
事故以前はAさんは時速150kmで問題なく走行できていたと考えられ、Aさんが時速150kmを超える速度で運転していた行為が、危険運転に該当するような、進行を制御することが困難な高速度での運転にあたるかどうかを明確に判断することは難しいとえいます。

Aさんの運転が危険運転にあたると判断されれば危険運転致傷罪が成立する可能性が、危険運転にあたらないと判断されれば過失運転致傷罪が成立する可能性が高いでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、無料法律相談を行っています。
危険運転致傷罪過失運転致傷罪でお困りの方は、お気軽に、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

遅刻を免れるため赤信号を無視して交差点に進入し事故を起こした事例

2024-07-31

遅刻を免れるため赤信号を無視して交差点に進入し事故を起こした事例

赤信号を無視して走る車

赤信号を無視して事故を起こした事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例

車で通勤しているAさんは、仕事に遅れそうだったため、赤信号を無視しながら走行していました。
Aさんが大きい交差点に差し掛かった際もAさん側の信号は赤だったのですが、目視で確認したところ、車は来ていなかったため交差点に進入してしまいました。
実はAさんが走行している交差点の横断歩道ではVさんが横断中であり、Vさんに気づかなかったAさんはVさんを車ではねてしまい、全治3か月のけがを負わせてしまいました。
Aさんは、危険運転致傷罪の容疑で、神奈川県鶴見警察署の警察官に逮捕されました。
(事例はフィクションです。)

危険運転致傷罪

自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律第1項(一部省略)
次に掲げる行為を行い、よって、人を負傷させた者は十五年以下の懲役に処し、人を死亡させた者は一年以上の有期懲役に処する。
7号 赤色信号又はこれに相当する信号を殊更に無視し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為

赤信号を殊更に無視し、交通の危険を生じるような速度で運転して事故を起こし、人にけがを負わせた場合には、危険運転致傷罪が成立します。

今回の事例では、Aさんは仕事に遅れないようにするために赤信号を無視しながら職場へ向かっていたようです。
ですので、赤信号を殊更に無視したと判断される可能性がありそうです。
また、AさんはVさんを車ではねて、けがを負わせているわけですから、重大な交通の危険を生じさせる速度だったと判断されるおそれがあります。
ですので、今回の事例のAさんは危険運転致傷罪の罪に問われる可能性があります。

危険運転致傷罪と執行猶予

赤信号無視による危険運転致傷罪は有罪になると15年以下の懲役が科されます。
危険運転致傷罪に罰金刑の規定はありませんので、有罪になると必ず懲役刑が科されることになります。

ですが、有罪になってしまうと必ず刑務所に行かなければならないわけではありません。
執行猶予付き判決を得ることができれば、刑務所に行かなくて済む場合があります。

例えば被害者に誠心誠意謝罪と賠償を行うことで、執行猶予付き判決を得られる可能性があります。
加害者本人が被害者と連絡を取ることは不可能ではありませんが、連絡先を教えてもらえない可能性や思わぬトラブルに発展してしまうおそれがあります。
弁護士であれば連絡先を教えてもらえたり、トラブルを回避できる可能性がありますので、被害者との示談を考えている方は、弁護士に相談をしてみることをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、初回接見サービス無料法律相談を行っています。
危険運転致傷罪などの交通事件でお困りの方は、ぜひ一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

【事例紹介】横断歩道を横断中の小学生をひき、過失運転致傷罪で逮捕された事例②

2024-06-12

【事例紹介】横断歩道を横断中の小学生をひき、過失運転致傷罪で逮捕された事例②

ひき逃げ

横断歩道を渡っていた小学生を車でひいてけがを負わせたとして、過失運転致傷罪の容疑で逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例

名古屋市中村区の路上を車で走行していたAさんは、青信号の横断歩道を横断中の小学性をひいて全治2か月のけがを負わせてしまいました。
その後、Aさんは、過失運転致傷罪の容疑で愛知県中村警察署の警察官に逮捕されました。
(事例はフィクションです。)

危険運転致傷罪

自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律第2条
次に掲げる行為を行い、よって、人を負傷させた者は十五年以下の懲役に処し、人を死亡させた者は一年以上の有期懲役に処する。
(1号から6号省略)
7号 赤色信号又はこれに相当する信号を殊更に無視し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為
(以降省略)

赤信号を殊更に無視して重大な交通の危険を生じさせる速度で車を運転し、人にけがを負わせた場合には、危険運転致傷罪が成立します。

事例のAさんは赤信号であるにもかかわらず横断歩道に侵入し、横断中の小学生をひいてしまっています。
もしもAさんが赤信号を見落としたのではなく、急いでいたなどの理由から赤信号を意図的に無視したのであれば、赤信号を殊更に無視したと判断されるかもしれません。

また、赤信号無視による危険運転致傷罪の成立には、重大な交通の危険を生じさせる速度で走行していたことが必要になりますが、Aさんは小学生をひいて全治2か月のけがを負わせており、事故を回避できない速度で走行していたわけですから、重大な交通の危険を生じさせる速度であったと判断される可能性があります。

ですので、事例のAさんは、逮捕罪名である過失運転致傷罪ではなく、危険運転致傷罪が成立してしまう可能性があります。

過失運転致傷罪危険運転致傷罪では、危険運転致傷罪の方が科される刑罰が重くなる可能性が高いです。
ですので、過失によって赤信号を見落としてしまった場合と、故意に赤信号を無視した場合とでは、科される刑罰が異なる可能性があります。
故意に赤信号を無視したわけではないのに、危険運転致傷罪の容疑で起訴されてしまう場合もあるかもしれません。
弁護士に相談をすることで、危険運転致傷罪での起訴を避けられる可能性があります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、初回接見サービス無料法律相談を行っています。
過失運転致傷罪危険運転致傷罪でお困りの方は、ぜひ一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

【事例紹介】高速度で車を運転し同乗者を死傷させた事例

2024-05-22

【事例紹介】高速度で車を運転し同乗者を死傷させた事例

無保険状態で事故を起こし、途方に暮れる男性

制御困難な高速度で車を運転し死傷事故を起こしたとして危険運転致死傷罪の容疑で逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例

去年11月、福岡県篠栗町の峠道で4人が乗った車が横転し、乗っていた16歳の高校生が死亡した事故で、運転していた21歳の男が危険運転致死傷の疑いで22日、逮捕されました。
(中略)
警察によりますと、(中略)福岡県篠栗町若杉の若杉山の峠道で、制御困難なスピードで軽乗用車を運転し、助手席に乗っていた小郡市の16歳の高校生を死亡させ、後部座席の那珂川市のアルバイトの16歳の少女にケガをさせた疑いです。
警察の調べに対し「速い速度で車を運転して右カーブを曲がりきれず、横転したことは間違いありません」と話し、と容疑を認めているということです。
(後略)
(5月22日 FBS NEWS NNN 「峠道を制御困難なスピードで走行して横転 同乗の高校生を死亡させた疑い 21歳の男を「危険運転致死傷」で逮捕 福岡」より引用)

危険運転致死傷罪

危険運転致死傷罪は刑法ではなく、自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律(以下「自動車運転処罰法」といいます)第2条、3条で規定されています。

自動車運転処罰法第2条
次に掲げる行為を行い、よって、人を負傷させた者は十五年以下の懲役に処し、人を死亡させた者は一年以上の有期懲役に処する。
1号 アルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態で自動車を走行させる行為
2号 その進行を制御することが困難な高速度で自動車を走行させる行為
(以下省略)

進行を制御することが困難な高速度で車を運転し、事故を起こして人を死傷させると危険運転致死傷罪が成立します。
高速度での危険運転により、人にけがをさせ危険運転致傷罪で有罪になった場合には15年以下の懲役、人を死亡させ危険運転致死罪で有罪になった場合には1年以上の有期懲役が科されます。

今回の事例では、容疑者が制御困難なスピードで軽乗用車を運転し、同乗していた少女2人を死傷させたと報道されています。
危険運転致死傷罪は同乗していた人を死傷させた場合にも成立しますので、実際に容疑者が制御困難なスピードで運転をし、事故を起こして同乗者を死傷させたのであれば、容疑者に危険運転致死傷罪が成立する可能性があります。

危険運転致死傷罪には罰金刑の規定がなく、有罪になると懲役刑を科されることになります。
懲役刑を科されてしまうと、刑務所にいかなければならないわけですから、何としてでも避けたいと思われる方も多いのではないでしょうか。
刑事事件や交通事件では、執行猶予付き判決を獲得することができれば、刑務所に行かなくても済む場合があります。

執行猶予付き判決を獲得するためには、取調べ対策や裁判に向けた準備など、裁判が始まる前から執行猶予付き判決の獲得に向けた活動が重要になってきます。
ですので、執行猶予付き判決の獲得を目指す場合には、できる限り早い段階で弁護士に相談をすることをお勧めします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、初回接見サービス無料法律相談を行っています。
交通事件に精通した弁護士に相談をすることで、執行猶予付き判決を獲得できる場合があります。
危険運転致死傷罪の容疑で逮捕、捜査されている方は、お気軽に、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

【事例紹介】てんかんの発作で事故を起こし危険運転致傷罪で逮捕された事例

2024-03-06

【事例紹介】てんかんの発作で事故を起こし危険運転致傷罪で逮捕された事例車が人に追突した人身事故

てんかんの発作が起こる可能性を知りながら車を運転し、発作で事故を起こしたとして危険運転致傷罪の容疑で再逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例

福岡県宇美町の県道で(中略)、登校中の高校生らの列に軽乗用車が突っ込み、歩行者9人が重軽傷を負った事故で、県警は4日、車を運転していた同県須恵町上須恵、(中略)容疑者(66)を自動車運転処罰法違反(危険運転致傷)容疑で再逮捕した。(中略)容疑者は運転中にてんかんの発作を発症し、意識喪失状態となったとみられ、県警はそうした危険性を知りながら運転したとして危険運転致傷容疑を適用した。容疑を認めているという。
再逮捕容疑は(中略)、持病の影響で正常な運転ができない恐れがあると知りながら軽乗用車を運転し、(中略)宇美町宇美5の県道で対向車線の路側帯に進入して歩いていた当時16~28歳の男女9人をはねて顔の骨折など重軽傷を負わせたとしている。(中略)
県警によると、(中略)容疑者は22年3月に医療機関でてんかんと初めて診断され、薬を処方された。その際、医師からは発作が出る恐れがあるとして、運転を禁止されたという。(後略)
(3月4日 毎日新聞デジタル 「危険運転致傷容疑で66歳を再逮捕 発作の恐れ知りながら運転か」より引用)

危険運転致傷罪

自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律第3条
1項 アルコール又は薬物の影響により、その走行中に正常な運転に支障が生じるおそれがある状態で、自動車を運転し、よって、そのアルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態に陥り、人を負傷させた者は十二年以下の懲役に処し、人を死亡させた者は十五年以下の懲役に処する。
2項 自動車の運転に支障を及ぼすおそれがある病気として政令で定めるものの影響により、その走行中に正常な運転に支障が生じるおそれがある状態で、自動車を運転し、よって、その病気の影響により正常な運転が困難な状態に陥り、人を死傷させた者も、前項と同様とする。

大まかに説明すると、事故を起こす危険性があると知りながら運転に支障を及ぼすおそれがあるとして政令で定められている病気の影響で事故を起こし人にけがを負わせた場合には、危険運転致傷罪が成立します。

今回の事例では、容疑者がてんかんの発作で事故を起こす危険性を知りながら車の運転をし、てんかんの発作によって事故を起こして9人に重軽傷を負わせたと報道されています。
てんかんは自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律第3条2項が規定する病気にあたるのでしょうか。

道路交通法第90条1項では、幻覚症状を伴う精神病発作により意識障害や運動障害をもたらす病気にかかっている者については運転免許試験に合格していたとしても免許を与えなくてもいいと規定しています。
また、道路交通方施行令第33条の2の3第2項では、幻覚症状を伴う精神病として統合失調症意識障害や運動障害をもたらす病気としててんかんなどを規定しています。
ですので、統合失調症てんかんなどの病気がある場合には、免許を取得できない可能性があります。
幻覚症状や意識障害、運動障害が発生すれば重大な事故につながるおそれがあるため、統合失調症てんかんなどの病気を患っている方は免許の取得が認められない場合があるのでしょう。
道路交通法施行令は政令にあたりますので、統合失調症てんかんなどが、自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律第3条2項が規定する、自動車の運転に支障を及ぼすおそれがある病気にあたる可能性が高いといえます。

今回の事例では容疑者はてんかんだと診断され、医者から運転を禁止されていたようですから、実際に容疑者がてんかんの発作で事故を起こしたのであれば、危険運転致傷罪が成立するおそれがあります。

事故を起こす危険性を知りながら病気の影響で事故を起こした場合に危険運転致傷罪で有罪になると、12年以下の懲役が科されることになります。
今回の事例では医者から運転を禁止されていたようですので、悪質性が高いと判断される可能性が高いですし、事故により9人が重軽傷を負っているようなので被害も軽いとはいえないでしょうから、重い判決が下される可能性があります。

危険運転致傷罪では、初犯であっても実刑判決を下される可能性があります。
弁護士に相談をすることで、執行猶予付き判決を獲得できる場合がありますので、危険運転致傷罪でお困りの方は、一度弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
初回接見サービス無料法律相談のご予約は、0120ー631ー881で受け付けております。

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