Archive for the ‘危険運転致死傷罪’ Category
遅刻を免れるために信号無視をして死亡ひき逃げ事故を起こした事例⑦
遅刻を免れるために信号無視をして死亡ひき逃げ事故を起こした事例⑦
信号無視による死亡事故について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
事例
Aさんは寝坊してしまい仕事に遅刻しそうだったため、赤信号を無視して車を運転していました。
京都府綾部市の交差点に赤信号で侵入したAさんは、横断歩道を横断中の歩行者Vさんを車でひいてしまいました。
AさんはVさんを車でひいたことを認識しながらも、Vさんの救護や警察署へ事故の報告をすることなく、職場に向かいました。
数時間後、Aさんは、Aさんが起こした事故がニュースで報道されていることを知りました。
報道によると、VさんはAさんによる事故が原因で亡くなってしまったようです。
(事例はフィクションです。)
勾留阻止と釈放
前回のコラムで解説したように、勾留は検察官によって請求され、請求を受けた裁判官が判断を下します。
勾留請求がなされる前であれば検察官に、勾留請求され勾留の判断がまだなのであれば裁判官に、弁護士は勾留しないように求める意見書を提出することができます。
意見書ではAさんが証拠隠滅や逃亡をしないこと、勾留されてしまうことで不利益を被ることを検察官や裁判官に訴えることになります。
Aさんに同居している家族がいるのであれば、Aさんが証拠隠滅や逃亡を行えないように家族がAさんと行動を共にし、責任をもって監視監督をすることを訴えるのが効果的だと考えられます。
また、Aさんは会社員のようですから、勾留されることで会社に事件のことを知られるリスクが高くなり、解雇処分に付されるなどの不利益を被る可能性があるでしょう。
弁護士がAさんの家族がAさんが証拠隠滅や逃亡をすることがないように監視監督を行うこと、勾留されてしまうと解雇される可能性があることを訴え釈放を求めることによって、勾留されずに釈放される可能性があります。
勾留は逮捕後72時間以内に判断されますから、意見書の提出は時間との勝負になります。
ご家族が逮捕された場合は、早い段階で弁護士に相談をすることが望ましいでしょう。
勾留が決定したら
勾留期間は延長も含めると20日間にも及びます。
勾留期間中は釈放されないということはなく、勾留期間中であっても釈放が認められる場合があります。
弁護士が裁判所に勾留決定に対する準抗告の申し立てを行い釈放を求めることで釈放を認めてもらえる可能性があります。
ですので、勾留後であっても速やかに弁護士に相談をすることをおすすめします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件に精通した法律事務所です。
数々の刑事事件で釈放を実現させてきた弁護士に相談をすることで、釈放を認めてもらえるかもしれません。
ご家族が逮捕された方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
初回接見サービスのご予約は、0120ー631ー881までご連絡くださいませ。
遅刻を免れるために信号無視をして死亡ひき逃げ事故を起こした事例⑤
遅刻を免れるために信号無視をして死亡ひき逃げ事故を起こした事例⑤
信号無視による死亡事故について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
事例
Aさんは寝坊してしまい仕事に遅刻しそうだったため、赤信号を無視して車を運転していました。
京都府綾部市の交差点に赤信号で侵入したAさんは、横断歩道を横断中の歩行者Vさんを車でひいてしまいました。
AさんはVさんを車でひいたことを認識しながらも、Vさんの救護や警察署へ事故の報告をすることなく、職場に向かいました。
数時間後、Aさんは、Aさんが起こした事故がニュースで報道されていることを知りました。
報道によると、VさんはAさんによる事故が原因で亡くなってしまったようです。
(事例はフィクションです。)
逮捕
刑事訴訟法第199条
1項 検察官、検察事務官又は司法警察職員は、被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があるときは、裁判官のあらかじめ発する逮捕状により、これを逮捕することができる。ただし、三十万円(省略)以下の罰金、拘留又は科料に当たる罪については、被疑者が定まつた住居を有しない場合又は正当な理由がなく前条の規定による出頭の求めに応じない場合に限る。
2項 裁判官は、被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があると認めるときは、検察官又は司法警察員(省略)の請求により、前項の逮捕状を発する。ただし、明らかに逮捕の必要がないと認めるときは、この限りでない。
3項 (省略)
拘留にあたる罪などを除き、犯罪を犯したと疑うのに足りる相当な理由がある場合には、明らかに逮捕の必要がないと認められる場合を除いて逮捕される可能性があります。
以前のコラムで解説したように、今回の事例では道路交通法違反(ひき逃げ)や危険運転致死罪、過失運転致死罪などが成立する可能性があります。
上記犯罪は全て拘禁刑が規定されていますので、事例のAさんに定まった住居があったり出頭要請に応じていた場合であっても逮捕されてしまう可能性があるといえるでしょう。
明らかに逮捕の必要がないと認められる場合には逮捕がなされないようですが、どのような場合があてはまるのでしょうか。
刑事訴訟規則第143条の3
逮捕状の請求を受けた裁判官は、逮捕の理由があると認める場合においても、被疑者の年齢及び境遇並びに犯罪の軽重及び態様その他諸般の事情に照らし、被疑者が逃亡する虞がなく、かつ、罪証を隠滅する虞がない等明らかに逮捕の必要がないと認めるときは、逮捕状の請求を却下しなければならない。
刑事訴訟規則第143条の3の規定によると、逃亡するおそれがなく、かつ、罪証を隠滅するおそれがない場合などが明らかに逮捕の必要がないと認められる場合にあたるようです。
今回の事例では、Aさんはひき逃げをしていますから、現場から逃走していることになります。
すでにAさんは一度逃走しているわけですから、逃亡のおそれがあると判断されてもおかしくないでしょう。
ですので、Aさんは逮捕の必要がないと認められない可能性が高く、今後の捜査でAさんが犯人であると発覚すればAさんが逮捕されてしまう可能性があるといえます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、初回接見サービス、無料法律相談を行っています。
ひき逃げをして逮捕されないかご不安な方、ご家族が逮捕された方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
遅刻を免れるために信号無視をして死亡ひき逃げ事故を起こした事例④
遅刻を免れるために信号無視をして死亡ひき逃げ事故を起こした事例④
信号無視による死亡事故について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
事例
Aさんは寝坊してしまい仕事に遅刻しそうだったため、赤信号を無視して車を運転していました。
京都府綾部市の交差点に赤信号で侵入したAさんは、横断歩道を横断中の歩行者Vさんを車でひいてしまいました。
AさんはVさんを車でひいたことを認識しながらも、Vさんの救護や警察署へ事故の報告をすることなく、職場に向かいました。
数時間後、Aさんは、Aさんが起こした事故がニュースで報道されていることを知りました。
報道によると、VさんはAさんによる事故が原因で亡くなってしまったようです。
(事例はフィクションです。)
不起訴処分に向けた弁護活動
不起訴処分は起訴されない処分ですから、不起訴処分を獲得することができれば、刑罰はかされず、前科がつかないことになります。
以前のコラムで解説したように、今回の事例では危険運転致死罪が成立する可能性があります。
赤信号無視により死亡事故を起こした場合に危険運転致死罪で有罪になると、1年以上の有期拘禁刑(自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律第2条)が科されます。
罰金刑の規定はありませんから、有罪になると必ず拘禁刑が科され、執行猶予を得ない限り刑務所に行かなければならなくなります。
ですが、不起訴処分を得ることができれば、刑罰は科されませんので刑務所に行かずにすむことになります。
被害者と示談を締結することが不起訴処分の獲得に有利にはたらくことがあります。
今回の事例では被害者が亡くなっているため、Vさんの遺族と示談交渉することになるでしょう。
加害者であるAさんがVさん遺族に直接示談交渉をすることも不可能ではありませんが、Vさん遺族はAさんに厳しい処罰感情を抱いている可能性が高いと思われますので、AさんがVさん遺族に連絡を取ることすらできない可能性が考えられます。
弁護士であれば話を聞いてもいいと思われる方もいらっしゃいますので、示談交渉は弁護士に任せることをおすすめします。
また、起訴された場合であっても、被害者や被害者遺族と示談を締結していることが加害者にとって有利にはたらく可能性があります。
示談を締結することで執行猶予付き判決を獲得できる可能性があるでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、初回接見サービス、無料法律相談を行っています。
ご家族が危険運転致死罪の疑いで逮捕された方、死亡事故を起こして示談交渉でお悩みの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
初回接見サービス、無料法律相談のご予約は0120ー631ー881までご連絡くださいませ。
遅刻を免れるために信号無視をして死亡ひき逃げ事故を起こした事例③
遅刻を免れるために信号無視をして死亡ひき逃げ事故を起こした事例③
信号無視による死亡事故について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
事例
Aさんは寝坊してしまい仕事に遅刻しそうだったため、赤信号を無視して車を運転していました。
京都府綾部市の交差点に赤信号で侵入したAさんは、横断歩道を横断中の歩行者Vさんを車でひいてしまいました。
AさんはVさんを車でひいたことを認識しながらも、Vさんの救護や警察署へ事故の報告をすることなく、職場に向かいました。
数時間後、Aさんは、Aさんが起こした事故がニュースで報道されていることを知りました。
報道によると、VさんはAさんによる事故が原因で亡くなってしまったようです。
(事例はフィクションです。)
ひき逃げ
道路交通法第72条1項
交通事故があつたときは、当該交通事故に係る車両等の運転者その他の乗務員(省略)は、直ちに車両等の運転を停止して、負傷者を救護し、道路における危険を防止する等必要な措置を講じなければならない。この場合において、当該車両等の運転者(省略)は、警察官が現場にいるときは当該警察官に、警察官が現場にいないときは直ちに最寄りの警察署(省略)の警察官に当該交通事故が発生した日時及び場所、当該交通事故における死傷者の数及び負傷者の負傷の程度並びに損壊した物及びその損壊の程度、当該交通事故に係る車両等の積載物並びに当該交通事故について講じた措置(省略)を報告しなければならない。
道路交通法第72条1項が規定するように、事故を起こした場合には、負傷者の救護や事故の報告、危険防止措置を講じなければなりません。
死傷事故が起きた際に救護や事故の報告などをしないことをひき逃げといいます。
負傷者の救護や事故の報告などを行うことは道路交通法で義務付けられていますから、行わなかった場合には、道路交通法違反が成立することになります。
ですので、ひき逃げをすると道路交通法違反が成立するといえるでしょう。
今回の事例では、AさんはVさんを死亡させる事故を起こし、Vさんの救護などをすることなく、職場に向かっています。
ですので、Aさんの行為はひき逃げにあたり、道路交通法違反が成立する可能性が高いです。
自身の運転が原因で事故を起こし、人を死傷させて救護をしなかった場合には、道路交通法違反で有罪になると、10年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金(道路交通法第117条2項)が科されます。
また、事故の報告を怠り、道路交通法違反で有罪になった場合には、3月以下の拘禁刑又は5万円以下の罰金(道路交通法第119条1項17号)が科されます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、無料法律相談を行っています。
ひき逃げで捜査されている方は、お気軽に、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
遅刻を免れるために信号無視をして死亡ひき逃げ事故を起こした事例②
遅刻を免れるために信号無視をして死亡ひき逃げ事故を起こした事例②
信号無視による死亡事故について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
事例
Aさんは寝坊してしまい仕事に遅刻しそうだったため、赤信号を無視して車を運転していました。
京都府綾部市の交差点に赤信号で侵入したAさんは、横断歩道を横断中の歩行者Vさんを車でひいてしまいました。
AさんはVさんを車でひいたことを認識しながらも、Vさんの救護や警察署へ事故の報告をすることなく、職場に向かいました。
数時間後、Aさんは、Aさんが起こした事故がニュースで報道されていることを知りました。
報道によると、VさんはAさんによる事故が原因で亡くなってしまったようです。
(事例はフィクションです。)
危険運転致死罪
前回のコラムでは過失運転致死罪について解説しましたが、自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律(以下「自動車運転処罰法」)では、危険運転致死罪についても規定しています。
自動車運転処罰法第2条
次に掲げる行為を行い、よって、人を負傷させた者は十五年以下の拘禁刑に処し、人を死亡させた者は一年以上の有期拘禁刑に処する。
(省略)
七 赤色信号又はこれに相当する信号を殊更に無視し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為
(省略)
大まかに説明すると、赤信号を故意に無視して交通事故を起こす可能性のある速度で車を運転し死亡事故を起こすと危険運転致死罪が成立します。
今回の事例では、Aさんは故意に赤信号を無視しています。
また、遅刻を回避しようとしていたようですから、危険が生じないように車を減速させるようなことはしていないでしょう。
ですので、Aさんは赤信号を殊更に無視し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で車を運転したといえそうです。
Aさんの行為によって死亡事故が起きていますから、Aさんに危険運転致死罪が成立する可能性があるでしょう。
危険運転致死罪の法定刑は1年以上の有期拘禁刑です。
過失運転致死罪の法定刑は7年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金(自動車運転処罰法第5条)ですから、危険運転致死罪は過失運転致死罪に比べてはるかに科される刑罰の重い犯罪だといえるでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、無料法律相談を行っています。
弁護士に相談をすることで少しでも良い結果を得られる可能性がありますから、危険運転致死罪で捜査を受けている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
無料法律相談のご予約は0120ー631ー881で受け付けております。
遅刻を免れるために信号無視をして死亡ひき逃げ事故を起こした事例①
遅刻を免れるために信号無視をして死亡ひき逃げ事故を起こした事例①
信号無視による死亡事故について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
事例
Aさんは寝坊してしまい仕事に遅刻しそうだったため、赤信号を無視して車を運転していました。
京都府綾部市の交差点に赤信号で侵入したAさんは、横断歩道を横断中の歩行者Vさんを車でひいてしまいました。
AさんはVさんを車でひいたことを認識しながらも、Vさんの救護や警察署へ事故の報告をすることなく、職場に向かいました。
数時間後、Aさんは、Aさんが起こした事故がニュースで報道されていることを知りました。
報道によると、VさんはAさんによる事故が原因で亡くなってしまったようです。
(事例はフィクションです。)
過失運転致死罪
自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律(以下「自動車運転処罰法」)第5条では、過失運転致死罪が規定されています。
自動車運転処罰法第5条
自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、七年以下の拘禁刑又は百万円以下の罰金に処する。ただし、その傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができる。
交通事故で人を死亡させてしまった場合には、過失運転致死罪が成立することが多いでしょう。
過失運転致死罪を大まかに説明すると、運転をするうえで払うべき注意を怠り、事故を起こして人を死亡させると成立する犯罪です。
信号無視による死亡事故で過失運転致死罪は成立するのでしょうか。
車を運転をする場合には、進行方向の信号を確認することや周囲に歩行者などがいないかを確認する必要があるといえます。
ですので、不注意により赤信号や歩行者の存在を見落としてしまい事故を起こして人を死亡させてしまったのであれば、過失運転致死罪が成立すると考えられます。
ですが、今回の事例のAさんのように、赤信号だと知っていながら信号無視をした場合には、不注意による事故だとはいえませんので、過失運転致死罪は成立しないと考えられます。
ですので、不注意などの過失により信号を見落としてしまった場合の死亡事故では過失運転致死罪が、故意に信号無視をして死亡事故を起こした場合には過失運転致死罪ではなく別の犯罪が成立する可能性があるでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、無料法律相談を行っています。
信号無視による死亡事故を起こしてしまった方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
信号無視を指示し死亡事故をひきおこした助手席の男を逮捕
信号無視を指示し死亡事故をひきおこした助手席の男を逮捕
信号無視を指示し死亡事故をひきおこした助手席の男が逮捕された刑事事件に対する弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。
事例
京都府山科警察署は昨年3月10日、京都市山科区内で車を運転中に赤信号を無視し、男性をはねて死亡させたとして、危険運転致死罪で会社員の男2人を逮捕いたしました。
同署によると事故は昨年3月9日18時すぎに発生し、運転をしていた男が、上司である助手席の男(46)から「時間がないから信号は無視して」などと指示され、赤信号を無視して交差点に進入し、自転車で横断中の女性(85)をはねて死亡させたということです。
助手席の男は運転手である実行犯と同等の責任がある「共謀共同正犯」として、危険運転致死罪で逮捕されました。
(※実際にあった事件をもとに作成したフィクションです)
共謀共同正犯とは?
刑法第60条に「二人以上共同して犯罪を実行した者は、すべて正犯とする。」と共同正犯について規定されております。
共同正犯とは2人以上の者が共謀し犯罪を実行・実現させた場合に該当します。
その中でも共謀共同正犯とは2人以上の者が犯行を共謀し、そのうちのある者がこれを現に実行に移したとき、実行しなかった共謀者も正犯として扱われることををいいます。
①共同の意思ないし正犯意思②共謀の事実③共謀に基づく実行行為、の3要件が成立してはじめて共謀共同正犯に該当し、共謀者も正犯者と同等の罪に問われることになります。
例えば、
複数の者が共謀した上で,そのうちの一人が単独で実行行為を行った強盗事件について,強盗を実行する前の段階で,共謀した者の間で強盗を共同して遂行する合意があったこと、実行者以外の者も自己の犯罪を行う意思で強盗に加担したとして,強盗についての共同遂行の合意及び正犯意思が認められるとし、共謀共同正犯の成立が認められるとされ、実行犯と同じ強盗罪が成立した事例(平成27年3月31日富山地裁判決)があります。
共謀共同正犯と教唆犯、幇助犯との違いは?
教唆犯は刑法第61条1項に「人を教唆して犯罪を実行させた者には,正犯の刑を科する。」と規定されております。
共謀共同正犯には共謀して実行に移す「意思」が必要ですが、教唆犯では実行者に「単独」で犯行を行う決意をさせる点に相違があります。
教唆犯も他人に犯行を決意し実行させ、犯行を実現させているため正犯と同等の罪に問われます。
また幇助犯は刑法第62条1項に「正犯を幇助した者は、従犯とする。」と規定されております。
従犯(幇助犯)が成立するためには、正犯(実行犯)に犯行が容易に行われるよう助ける行為と意思が必要で、さらに正犯の実行行為があったことを要します。
例えば、強盗を目的と知りつつ道具を貸したなど物理的に実行行為を促す行為はもとより、行為者を励まし犯意を強化するなど心理的に実行行為を促した場合も、幇助となります。
今回の事例では同じ車に乗っている助手席の男が運転手の男に信号無視をするように命令(共謀)することによって、運転手が犯行を現に実行し、犯罪が起こっております。
そのため、共謀共同正犯が成り立ち、運転手と同罪である危険運転致死罪が該当するでしょう。
ちなみに、赤信号無視により危険運転致死罪で有罪になった場合には、1年以上の有期懲役が科せられます。(自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律第2条7号)
逮捕・勾留されてしまったら
今回の事例では、部下に軽い気持ちで指示(共謀)し部下が犯行(赤信号無視)に至った結果、危険運転致死罪という大きな犯罪につながっております。
共謀共同正犯で逮捕された場合、実行犯やその他の共謀者との間で口裏合わせをするなどの証拠隠滅をするのではないかとの恐れから勾留される可能性は十分にあるでしょう。
万が一勾留されることになれば、裁判所が勾留決定をした日から最大20日間、身柄拘束されることになります。
また釈放されずに起訴されれば、さらに身柄拘束が続き、通常の社会生活を送ることは難しくなります。
そのため、失業や退学を余儀なくされることもあるでしょう。
被害者の有無・犯罪の態様によっては、被害者との示談交渉により、早期に身柄解放につながる可能性もあります。
また前科がつかない不起訴になったり、量刑が軽くなる場合もあるでしょう。
そのためには法律に精通した弁護士を通して、示談交渉をしてもらったり、警察や検察に働きかける防御活動が重要になってきます。
法律や手続きに詳しくない方にとって、弁護士のサポートは心強い味方となるでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、ご相談・ご依頼に関するお問い合わせを24時間365日受付しております。
お気軽に弊所フリーダイヤル(0120―631―881)にご連絡ください。
酒気帯び運転で男を逮捕②
酒気帯び運転で男を逮捕②
前回のコラムに引き続き、酒気帯び運転で逮捕された刑事事件に対する弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。
事例
京都府宮津警察署は昨年6月3日、宮津市で酒気帯び運転をしたとして、会社員の男(26)を現行犯逮捕いたしました。
同署によりますと、男は宮津市内の飲食店で酒を飲み車で帰宅途中物損事故を起こし、かけつけた警察により逮捕されました。
男は「社会人としての自覚が足りず、反省している」と話しているということです。
(※実際にあった事件をもとに作成したフィクションです)
飲酒運転による死傷事故
アルコールの影響で死傷事故を起こした場合には、自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律(以下「自動車運転処罰法」)が規定する、危険運転致死傷罪が成立する可能性があります。
アルコールの影響により正常な運転が困難な状態で自動車を走行して、人を負傷させた場合には15年以下の懲役、人を死亡させた場合は1年以上の有期懲役に処されます。(自動車運転処罰法律第2条)
また、アルコールの影響により、その走行中に正常な運転に支障が生じるおそれがある状態で自動車を運転して、走行中にアルコールの影響で正常な運転が困難な状態に陥ったことで、人を負傷させた場合には12年以下の懲役、人を死亡させた場合は15年以下の懲役に処されます。(自動車運転処罰法第3条1項)
このように、アルコールの影響により、他人を死傷させて場合は、危険運転致死傷罪が成立する可能性があり、とても重い罪が科せられます。
酒気帯び運転で逮捕・勾留されてしまったら
警察に逮捕・身柄拘束をされると、警察は48時間以内に身柄解放か検察に送る(送致)かを決定します。
その後、検察官は送致されてから24時間以内に、引き続きの身柄拘束である勾留を請求すべきかを考え、勾留請求が必要だと考えた場合には、裁判所に勾留請求をします。
勾留請求が行われると、裁判所は被疑者に質問をし、勾留が必要と決定した場合、そこから最大20日間勾留されることになります。
裁判所が勾留を決定する要因は以下の三点です。
①住所が定まっているか
②証拠隠滅(証拠書類・証拠物を破損・隠匿をしたり、証人・被害者・共犯者などに接触し不利なことを言わないよう接触する等)をしないか
③逃亡(行方をくらます)のおそれはないか
特に②、③に関してはあると疑うに足りる相当な理由がないと裁判所が判断するよう、働きかけることが大事になります。
弁護士が意見書を通じて裁判所に主張することで、早期に釈放される可能性がみえてきます。
豊富な経験と専門知識をもつ弁護士のサポートは心強い味方となり、またご家族の方の不安を和らげる可能性があります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件に精通した法律事務所です。
お困りの方はフリーダイヤル0120―631―881(24時間365日受付中)までお気軽にお問合せください。
ご家族が逮捕され、最短当日中に弁護士が接見に向かう初回接見サービス(有料)のご相談も承っております。
酒気帯び運転で男を逮捕①
酒気帯び運転で男を逮捕①
酒気帯び運転で逮捕された刑事事件に対する弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。
事例
京都府宮津警察署は昨年6月3日、宮津市で酒気帯び運転をしたとして、会社員の男(26)を現行犯逮捕いたしました。
同署によりますと、男は宮津市内の飲食店で酒を飲み車で帰宅途中物損事故を起こし、かけつけた警察により逮捕されました。
男は「社会人としての自覚が足りず、反省している」と話しているということです。
(※実際にあった事件をもとに作成したフィクションです)
酒気帯び運転の罰則は?
飲酒運転には程度により2種類あり、罰則の軽重も異なります。
①酒酔い運転とは
「アルコールの影響により正常な運転ができないおそれがある状態」(道路交通法第117条の2 1項2号)を酒酔い運転といいます。
つまり酒に酔った状態が客観的にわかる状態 (ろれつが回らない・歩行が揺れるなど)が認められる場合をいいます。
処罰は「5年以下の懲役又は100万円以下の罰金」(道路交通法第117条の2 1項)と定められております。
また行政処分はもあり、
違反点数35点、免許取消、欠格期間(免許取消処分を受けてから運転免許が取得できない期間)3年
と重い内容になっております。
②酒気帯び運転とは
酒に酔った状態ではないものの政令で定める一定基準以上のアルコール(呼気1ℓ中 0.15mg以上)を身体に保有している状態を酒気帯び運転といいます。
処罰は「3年以下の懲役又は50万円以下の罰金」(道路交通法第117条の2の2 1項)と定められております。
また行政処分は
呼気1ℓ中 0.15mg以上0.25mg未満の場合、違反点数13点、免許停止期間90日
呼気1ℓ中 0.25mg以上の場合、違反点数25点、欠格期間2年
となっております。
加えて酒酔い運転、酒気帯び運転ともに運転者以外でも車両を提供した者、酒類を提供・同乗した者にも同様に罰則が課せられます。
今回の事例はお店でお酒を飲んだ後、自動車の運転をし、物損事故を起こした事をきっかけにしてかけつけた警察官により、酒気帯び運転の疑いで逮捕されました。
お酒を飲んで帰宅する際の事故ですので、事故当時の男性は基準値を超えるアルコールを保有していてもおかしくはありませんし、呼気検査により基準値を超えるアルコールが検出されたことで、酒気帯び運転で逮捕に至ったのでしょう。
ですので、事例の男性には、酒気帯び運転により道路交通法違反が成立し、5年以下の懲役又は100万円以下の罰金が科される可能性があり、行政処分を受ける可能性もあります。
また、事例の男性がアルコールの影響により正常な運転ができないおそれがある状態だと判断された場合には、酒気帯び運転ではなく、より科される刑罰の重い、酒酔い運転が該当する可能性があるといえます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、初回接見サービスを行っています。
ご家族が逮捕された方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の初回接見サービスをご利用ください。
あおり運転で男を逮捕
あおり運転で男を逮捕
あおり運転の逮捕に伴う弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。
事例
京都府宇治市で前方の車に対し、パッシングやクラクションを鳴らすなどのあおり運転をした疑いで、会社員の男が逮捕されました。
あおり運転の疑いで逮捕されたのは、宇治市在住の会社員の男(31)です。
京都府宇治警察署によりますと、男は昨年4月8日の午後6時ごろ、宇治市の国道で乗用車を運転中、前方の車に対し運転を妨害するため、運転手が運転に集中できなくなるほどパッシングし、クラクションを鳴らしたうえ、車間距離を保たずに走行した疑いが持たれています。
同署は、被害者のドライブレコーダーから男を特定し、21日に逮捕しました。
(※実際にあった事件をもとに作成したフィクションです)
あおり運転とは?
2017年からあおり運転による死亡事故などが相次ぎ、2020年6月には改正道路交通法が施行され、妨害運転罪(あおり運転)に対する罰則が創設されました。
改正道路交通法では、「他の車両等の通行を妨害する目的」かつ、「当該他の車両等に道路における交通の危険を生じさせるおそれのある方法」により、故意に以下の10種の行為をした場合、処罰(3年以下の懲役又は50万円以下の罰金)の対象となります。(道路交通法第117条の2の2第1項8号)
・通行区分違反(逆走など)
・急ブレーキ禁止違反
・車間距離不保持
・進路変更禁止違反
・追越し違反
・減光等義務違反(過度のハイビームや執拗なパッシングなど)
・警音器使用制限違反(執拗にクラクションを鳴らす行為など)
・安全運転義務違反
・最低速度違反
・高速自動車国道等駐停車違反
上記の罪を犯し、高速道路・国道等において相手の車を停止させ、その他道路における著しい交通の危険を生じさせた場合は、さらに重い罰則(5年以下の懲役又は100万円以下の罰金)が適用されます((道路交通法第117条の2第1項4号)。
結果的に妨害運転罪(あおり運転)によって相手が怪我や死亡に至る大きな事故にあった場合には、危険運転致死傷罪などに問われ、更に重い罰則(負傷させた場合は15年以下の懲役、死に至らしめた場合は1年以上の有期懲役(自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律第2条))が課せられる可能性もあります。
さらに刑事罰とは別に行政罰として運転免許を取消されたり、点数が減点される場合もあります。
警察庁のHPによりますと、『妨害運転罪や危険運転致死傷罪等の適用が困難で、点数制度による処分に至らない場合であっても、悪質・危険な運転に起因して暴行、傷害 、脅迫、器物損壊等が行われ、「自動車等を運転することが著しく道路における交通の危険を生じさせるおそれがあるとき」と認められる場合には、危険性帯有者として、運転免許の停止処分を積極的に行うこと』、とされています。
今回の事例では運転手が運転に集中できなくなるほどパッシングし(減光等義務違反)、クラクションを鳴らしたうえ(警音器使用制限違反)、車間距離を保たず(車間距離不保持)に走行していますので、妨害運転罪(あおり運転)に該当する可能性があるでしょう。
あおり運転で逮捕されてしまったら弁護士へ
妨害運転罪(あおり運転)により不起訴を目指す場合は、相手方との示談交渉が大事になります。
しかし相手方と示談を進めていく際、加害者の行為により怖い思いをした相手方と連絡をとり、直接交渉するのは難しいと思われます。
弁護士が相手方との間に入ることにより、より円滑に交渉を進めることができ、成立に向かう可能性があるでしょう。
また逮捕され、検察官の請求により勾留された場合、最大20日勾留されることになり、仕事や学業に支障がでる可能性もあります。
証拠隠滅・逃亡の恐れがないことを弁護士を通じて裁判所に書類を提出すれば、身柄解放の可能性も見えてくるでしょう。
私ども、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、あおり運転はもちろん、様々な刑事事件の弁護活動を担当した実績を多く持つ、刑事事件に精通した法律事務所です。
ご家族の方が逮捕され初回接見(有料)をしてほしい、警察の捜査、呼び出しを受けて困っている、被害者と示談したいなどございましたら、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所フリーダイヤル0120―631―881)までお気軽にお問合せください。
« Older Entries