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(事例紹介)電動キックボードでひき逃げした事例①~道路交通法違反~
電動キックボードでひき逃げした事例①~道路交通法違反~
電動キックボードで歩行者をひき逃げしたとして道路交通法違反の容疑で逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
事例
電動キックボードで歩行者をひき逃げしたとして、警視庁池袋署は、道交法違反(ひき逃げ)などの疑いで、埼玉県吉川市、(中略)容疑者(23)を再逮捕した。捜査関係者への取材で分かった。調べに対し「当たってはいないが、女性が転倒したのは私が原因だと思う」と容疑を一部否認している。
再逮捕容疑は、(中略)電動キックボードを運転中、東京都豊島区東池袋の歩道で、商業施設から出てきた60代の女性と衝突し、肋骨(ろっこつ)骨折などの重傷を負わせたが、立ち去ったとしている。
(中略)容疑者が乗っていた電動キックボードはレンタルしたもので、歩道を走行できない機種だった。(後略)
(9月11日 産経新聞 THE SANKEI NEWS 「電動キックボードでひき逃げ 女を再逮捕 警視庁」より引用)
ひき逃げ
事故を起こした場合は、けが人の救護と警察署への報告を行わなければなりません。(道路交通法第72条1項)
けが人の救護や警察署への事故の報告を行わない行為をひき逃げといい、ひき逃げを行った場合には、道路交通法違反が成立する可能性があります。
けが人を救護せず道路交通法違反で有罪になると、5年以下の懲役又は50万円以下の罰金が科されます。(道路交通法第117条1項)
また、被害者のけがが加害者の運転によるもので、加害者が被害者の救護をしなかった場合には、道路交通法違反で有罪になると、10年以下の懲役又は100万円以下の罰金が科されます。(道路交通法第117条2項)
そして、事故の報告をせずに道路交通法違反で有罪になった場合は、3月以下の懲役又は5万円以下の罰金が科されます。(道路交通法第119条1項17号)
電動キックボードとひき逃げ
電動キックボードは、一般的な原動機付自転車、特定小型原動機付自転車、特例特定小型原動機付自転車の3つに分かれます。
一般的な原動機付自転車は運転をするのに免許が必要になりますが、特定小型原動機付自転車と特例特定小型原動機付自転車は免許がなくても運転をすることができます。
また、特例特定小型原動機付自転車の基準を全て満たしている場合には、電動キックボードで一部の歩道を走行することが可能です。
歩道の走行が可能であったり、免許が不要な電動キックボードであっても、原動機付自転車に該当しますので、道路交通法では「車両」に該当します。(道路交通法第2条1項8号)
ですので、電動キックボードで事故を起こした場合に、けが人の救護や事故の報告をしない場合には、ひき逃げになりますし、道路交通法違反が成立してしまいます。
今回の事例では、容疑者が電動キックボードで事故を起こし、被害者にけがを負わせたが立ち去ったと報道されています。
容疑者が実際に、被害者の救護や警察への事故の報告を行っていないのであれば、ひき逃げにあたり、容疑者に道路交通法違反が成立するおそれがあります。
ひき逃げと釈放
今回の事例では道路交通法違反の容疑で再逮捕されたと報道されています。
再逮捕の場合も刑事事件の流れは1回目の逮捕と同様です。
ですので、再逮捕であっても逮捕後72時間以内に勾留するかどうかの判断が行われることになります。
弁護士は勾留が決まるまでの逮捕後72時間の間であれば、意見書を検察官や裁判官に提出することができます。
今回の事例ではひき逃げでの再逮捕だと報道されています。
ひき逃げということは、事件現場から逃走しているということですので、逃亡のおそれがあると判断されて釈放が認められづらい可能性があります。
ですが、弁護士が家族などの監督により逃亡のおそれがないことなどを主張することで、釈放が認められる可能性があります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件に精通した法律事務所です。
刑事事件の豊富な弁護経験を持つ弁護士による弁護活動で、釈放を実現できるかもしれません。
意見書の提出は逮捕後72時間以内にする必要がありますので、ご家族が逮捕された方は、お早めに弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
今回の事例では、電動キックボードでもひき逃げになる可能性があると解説しました。
実は今回の事例では、ひき逃げによる道路交通法違反の他に、過失運転致傷罪が成立する可能性があります。
次回のコラムでは、キックボードと過失運転致傷罪について解説します。
(事例紹介)電動キックボードの飲酒運転で書類送検②
(事例紹介)電動キックボードの飲酒運転で書類送検②
前回のコラムに引き続き、酒気帯びの状態で電動キックボードを運転したとして、道路交通法違反の容疑で書類送検された事例を基に、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
事例
東京都豊島区の区道で7日、酒を飲んで電動キックボードを運転したとして、警視庁は男子大学生(19)を道路交通法違反(酒気帯び運転)容疑で書類送検する方針を固めた。(中略)
池袋署によると、同区西池袋5丁目の区道で7日午前0時ごろ、大学生の電動キックボードが停車中のタクシーに追突。タクシーに乗客はなく、男性運転手にもけがはなかった。
警察官が駆けつけ、呼気検査で基準値を超えるアルコール成分が検出された。(後略)
(7月11日 朝日新聞デジタル 「酒飲んで電動キックボード運転容疑、書類送検へ 7月から免許不要に」より引用)
電動キックボードでと酒気帯び運転、酒酔い運転
前回のコラムで解説したように、お酒を飲んで電動キックボードを運転した場合には、酒気帯び運転などの道路交通法違反が成立する可能性があります。
また、お酒の影響で正常な運転ができない状態での運転を酒酔い運転といいます。
酒酔い運転での道路交通法違反の法定刑は5年以下の懲役又は100万円以下の罰金になります。(道路交通法第117条の2第1項1号)であり、酒気帯び運転の3年以下の懲役又は50万円以下の罰金(道路交通法第117条の2の2第1項第3号)に比べると、酒酔い運転ではかなり刑罰が重くなっていることがわかります。
酒気帯び運転と酒酔い運転の違いは、正常な運転をできないおそれがあったのかどうかです。
つまり、アルコールにより正常な運転ができないおそれがある状態であったと判断されれば酒酔い運転が成立する可能性が高いですし、そのような状態であったと判断するには合理的な疑いが残ると判断されれば酒気帯び運転が成立する可能性が高くなります。
電動キックボードであっても酒酔い運転が成立してしまう可能性がありますので、注意が必要です。
取調べと酒酔い運転成立の回避
刑事事件の裁判では、取調べで作成される供述調書が証拠として使用されます。
この供述調書は裁判だけでなく、検察官が起訴・不起訴の判断や起訴罪名を決定する際にも使用されるなど、とても重要な証拠になります。
取調べ対策をしっかりと行い、不利な証拠の作成を防ぐことで、酒酔い運転での起訴を避けられる可能性があります。
電動キックボードだからといって、罪に問われないことや、科される刑罰が軽くなるようなことはありません。
ですので、電動キックボードでの飲酒運転の場合も、事件を軽く捉えずに、早い段階から弁護士に相談をして取調べ対策を行うなど、事件早期からしっかりと対策を行っておくことが重要です。
取調べでは、供述する内容を事前に考えておくことで、不利になるような供述をしてしまうことを防げる可能性があります。
今回の事例では、タクシーに衝突したとされている事故の状況や原因、飲んだお酒の量などを聴かれるでしょう。
弁護士は取調べで聴かれるであろう内容をある程度予測することができますし、黙秘すべき内容や供述すべき内容のアドバイスなども行います。
少しでも科される刑罰を軽くするためにも、事前に弁護士に相談をしてから、取調べに挑みましょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、酒気帯び運転などの飲酒運転の弁護活動に精通した法律事務所です。
取調べ対策などをしっかりと行うことで、少しでも科される刑罰を軽くできる可能性があります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、初回接見サービス、無料法律相談を行っています。
取調べ対応でご不安な方や酒気帯び運転などの飲酒運転、電動キックボードによる交通違反事件でお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
(事例紹介)電動キックボードの飲酒運転で書類送検
(事例紹介)電動キックボードの飲酒運転で書類送検
電動キックボードで酒気帯び運転をしたとして、道路交通法違反の容疑で書類送検された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
事例
東京都豊島区の区道で7日、酒を飲んで電動キックボードを運転したとして、警視庁は男子大学生(19)を道路交通法違反(酒気帯び運転)容疑で書類送検する方針を固めた。(中略)
池袋署によると、同区西池袋5丁目の区道で7日午前0時ごろ、大学生の電動キックボードが停車中のタクシーに追突。タクシーに乗客はなく、男性運転手にもけがはなかった。
警察官が駆けつけ、呼気検査で基準値を超えるアルコール成分が検出された。(後略)
(7月11日 朝日新聞デジタル 「酒飲んで電動キックボード運転容疑、書類送検へ 7月から免許不要に」より引用)
電動キックボードと免許
令和5年7月1日の法改正より、原動機付自転車は、運転免許証が必要な一般原動機付自転車、特定小型原動機付自転車、特例特定小型原動機付自転車の3類型に分類されました。
今回の事例で事故を起こしたとされている電動キックボードは、原動機付自転車に該当し、最高速度や出力、車体の大きさなどによって、一般原動機付自転車、特定小型原動機付自転車、特例特定小型原動機付自転車の3類型に細かく分類されることになります。
原動機付自転車の中でも、車体が長さ190cm以下、幅60cm以下で、自転車道で他の車両の通行を妨げず、運転に高い技能を有しないもので、以下の基準を満たすものを特定小型原動機付自転車といいます。
・定格出力が0.6キロワット以下の電動機を用いていること
・最高速度が時速20kmであること
・走行中に最高速度の設定を変更できないこと
・AT機構がとられていること
・最高速度表示灯が付いていること
また、特定小型原動機付自転車の中でも、以下のいずれかに該当し、他の車両を牽引していない場合は、特例特定小型原動機付自転車に該当します。
・歩道等を通行する間は、最高速度表示灯を点滅させていること
・最高速度表示灯を点滅させている間は、時速6kmを超える速度を出せないこと
・サイドカーが付いていないこと
・ブレーキが操作しやすい位置にあること
・車体から鋭く尖った部分が飛び出していないこと
一般的な原動機付自転車の運転は免許が必要ですが、特定小型原動機付自転車、特例特定小型原動機付自転車の場合には免許は不要です。
ですので、電動キックボードの運転の場合も、特定小型原動機付自転車、特例特定小型原動機付自転車に区分される電動キックボードについては、免許は必要ありませんので、16歳以上であればだれでも運転することができます。
電動キックボードと酒気帯び運転
免許が必要ない特定小型原動機付自転車や特例特定小型原動機付自転車に区分される電動キックボードで酒気帯び運転をした場合は、罪に問われるのでしょうか。
結論から言うと、電動キックボードの酒気帯び運転は道路交通法違反が成立します。
道路交通法第2条第1項第8号では、自動車、原動機付自転車、軽車両及びトロリーバスを車両として定義しています。
前述したように、原動機付き自転車は、一般原動機付自転車、特定小型原動機付自転車、特例特定小型原動機付自転車のことをいいますので、免許が必要な一般原動機付自転車はもちろんのこと、免許が不要な特定小型原動機付自転車、特例特定小型原動機付自転車も車両扱いとなります。
つまり、どの区分の電動キックボードであっても、電動キックボードは道路交通法上の車両に該当することになります。
道路交通法第65条第1項では、「何人も、酒気を帯びて車両等を運転してはならない。」としています。
つまり、車両に該当する電動キックボードを酒気を帯びた状態で運転することは、道路交通法で禁止されていることになります。
今回の事例では、容疑者が電動キックボードで事故を起こし、警察官による呼気検査で基準値を超えるアルコール成分が検出されたとされています。
電動キックボードでの酒気帯び運転は道路交通法で禁止されていますので、今回の事例では、道路交通法違反が成立する可能性が高いです。
電動キックボードでの酒気帯び運転と刑事罰
酒気帯び運転の法定刑は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金です。(道路交通法第117条の2の2第1項第3号)
さらに、酒酔い運転(アルコールの影響で正常な運転ができないおそれがある状態での運転)の場合には、酒気帯び運転よりも重い、5年以下の懲役又は100万円以下の罰金になります。(道路交通法第117条の2第1項1号)
電動キックボードでの酒気帯び運転、酒酔い運転であっても、有罪になれば上記のように刑罰が科されることになります。
電動キックボードによっては運転をするのに免許が不要な場合もあり、交通ルールを守る意識が希薄になってしまうかもしれません。
ですが、前述したように電動キックボードは道路交通法上では車両として扱われますので、交通ルールを守らない場合には、道路交通法違反などが成立してしまう可能性があります。
また、免許が不要な電動キックボードであるからと言って罪が軽くなるようなことはありませんので、電動キックボードによる運転で道路交通法違反などの容疑をかけられた場合には、交通事故や交通違反事件に精通した弁護士に相談をすることが望ましいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、交通事故・交通違反事件に精通した法律事務所です。
電動キックボードの運転で、道路交通法違反などの容疑をかけられた方は、お気軽に、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
初回接見サービス、無料法律相談のご予約は、0120ー631ー881までお電話ください。
次回のコラムでは、弁護活動についてご紹介します。
【7月1日法改正】電動キックボードで交通事故に
【7月1日法改正】電動キックボードで交通事故に
令和5年7月1日施行の改正道路交通法により、電動キックボードに関する条文が一部変わります。
当ブログでは、電動キックボードの交通ルールについて解説致します。
【ケース】
山梨県大月市在住のAさんは、大月市内の会社に勤める会社員です。
Aさんは電動キックボードとよばれる電動式モーターの付いた車輪の小さな車両で出勤していました。
事件当日、Aさんは仕事終わりに飲酒して帰宅しようと電動キックボードを運転していたところ、歩行者Vさんと接触してしまい、Vさんは全治3週間の怪我を負いました。
Aさんの通報を受けて臨場した大月市内を管轄する大月警察署の警察官は、Aさんを酒気帯び運転の罪(道路交通法違反)と過失運転致傷罪(自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律違反)で捜査することにしました。
≪ケースはすべてフィクションです。≫
【電動キックボードについて】
電動キックボードとは、電動式モーターが付いていて車輪が小さく、バイクなどと違って立って乗るという特性があります。
電動キックボードは便利で安く、メンテナンスなどの手間も少ないため、便利な乗り物として普及しつつあります。
一方で、報道では電動キックボードが絡む事故や違反も生じているようで、電動キックボードに乗っていて刑事事件の加害者になるということが考えられます。
電動キックボードは車両として扱われますので、道路交通法をはじめとした交通法規が問題となります。
①2023年6月30日までの扱い
このブログがアップロードされている時点で、電動キックボードはバイクとして扱われます。
このうち0.60kw以下の電動キックボードについては原動機付自転車に、0.60kwを超える電動キックボードは普通自動二輪などのバイクに該当します。
原動機付自転車とはいわゆる原付バイク、普通自動二輪は学科試験や技能試験を経て交付される免許を以て運転ができる車両です。
それらと同じ扱いである以上、電動キックボードについても以下のようなルールを順守する必要があります。
・区分(「原付」や「普自二」といった分類)に従った運転免許証が必要
・ヘルメットの着用義務
・車道の通行を厳守、二段階右折等
・ナンバープレートや前照灯などの設置
・自動車賠償責任保険等(いわゆる自賠責)の加入義務
となります。
人身事故を起こした場合には、自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律の定める過失運転致死傷罪に該当し処罰されます。
②2023年7月1日以降の扱い
2023年(令和5年)7月1日施行の改正道路交通法では、原動機付自転車の一類型として「特定小型原動機付自転車」が新たに設置されます。
これにより、電動キックボードはその出力に応じて3つに分類されます。
Ⅰ.(一般)原動機付自転車等
これは①と同様です。
改正後も免許証の取得が必須です。
Ⅱ.特定小型原動機付自転車
新設された分類です。
大きさ・速さの要件があり、原動機付自転車より速度等の制限があります。
運転免許証の取得は不要ですが、16歳以上でなければ運転できません。
・車体が長さ190cm以下、幅60cm以下
・20km/hを超える速度を出すことが出来ないこと
・その他設定がなされていること(ATであること、最高速度表示があること、等)
・自動車損害賠償責任保険に加入していること
・ナンバープレートを付けていること
・ヘルメット着用の努力義務
Ⅲ.特例特定小型原動機付自転車
電動キックボードの出力が最も弱い場合に該当する分類です。
Ⅱの要件に加え、6km/hを超える速度で走行できないこと、速度表示灯を点滅させることが要件となっています。
法改正後も原則として車道を走行することになりますが、Ⅲについては「普通自転車等及び歩行者等専用」という親子と自転車が描かれた青い標識がある歩道についてのみ、走行が認められています。
【電動キックボードで刑事事件に】
上記で紹介したとおり、法改正により電動キックボードは車両の性能により分類が異なることになりますが、ⅠはもとよりⅡ特定小型原動機付自転車とⅢ特例特定小型原動機付自転車についても原動機付自転車の一類型となるため、人身事故を起こした場合には自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律の過失運転致死傷罪により処罰されると考えられます。
また、電動キックボードも車両であり、飲酒をしての運転も認められていません。
その気軽さから電動キックボードは益々普及することが考えられますが、車やバイクと同じ車両であることを踏まえ、法律に従って安全に運転する必要があります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、人身事故や飲酒運転といった交通事件・事故を数多く経験して参りました。
電動キックボードに関しては、法改正により間違った認識で違法行為をしてしまう・捜査を受けてしまうといった恐れもあります。
山梨県大月市にて、電動キックボードの運転が原因で刑事事件に発展した場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
在宅事件の場合、事務所にて無料で相談を受けることができます。
(事例紹介)自転車によるひき逃げ事件で逮捕
(事例紹介)自転車によるひき逃げ事件で逮捕
・参考事例
自転車で歩行者をはね、そのまま逃走したとして、79歳の男が逮捕された。
(中略)容疑者(79)は、1月5日、東京・大田区の路上で、歩いていた70代の男性に自転車で後ろからぶつかり重傷を負わせ、そのまま逃走した疑いが持たれている。
(中略)容疑者は、「病院に行く時間が迫っていた」などと話し、容疑を認めている。
(FNNプライムオンライン 1月18日 6:25配信「自転車でひき逃げ 79歳男逮捕 「病院に行く時間が迫って…」 東京・大田区」より引用)
・ひき逃げ
参考事例はひき逃げが取り上げられています。
ひき逃げとは、下記の道路交通法に記載されている条文に違反したことを意味する俗称で、「ひき逃げ」という言葉が正式な罪名ということではありません。
道路交通法第72条第1項
交通事故があつたときは、当該交通事故に係る車両等の運転者その他の乗務員(以下この節において「運転者等」という。)は、直ちに車両等の運転を停止して、負傷者を救護し、道路における危険を防止する等必要な措置を講じなければならない。
この場合において、当該車両等の運転者(運転者が死亡し、又は負傷したためやむを得ないときは、その他の乗務員。以下次項において同じ。)は、警察官が現場にいるときは当該警察官に、警察官が現場にいないときは直ちに最寄りの警察署(派出所又は駐在所を含む。以下次項において同じ。)の警察官に当該交通事故が発生した日時及び場所、当該交通事故における死傷者の数及び負傷者の負傷の程度並びに損壊した物及びその損壊の程度、当該交通事故に係る車両等の積載物並びに当該交通事故について講じた措置を報告しなければならない。
車両の運転手は上記にあるとおり、交通事故が起きた際に果たさなければならない救護の義務・危険防止の義務・報告(通報)の義務があります。
これらの義務を果たさなかった場合、道路交通法違反のいわゆる「ひき逃げ」が成立します。
道路交通法における自転車は「軽車両」という扱いであり、道路交通法第72条第1項の車両に該当するため、自転車でも「ひき逃げ」は成立します。
・過失傷害罪/重過失致傷罪/業務上過失致傷罪
自転車でひき逃げの被害にあった人物が怪我をしてしまった場合、過失傷害罪や業務上過失致傷罪・重過失致傷罪に問われる可能性もあります。
条文は以下のとおりです。
(過失傷害)
刑法209条1項 過失により人を傷害した者は、30万円以下の罰金又は科料に処する。
2項 前項の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。
(業務上過失致死傷等)
刑法211条 業務上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、5年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金に処する。重大な過失により人を死傷させた者も、同様とする。
過失傷害罪は刑法209条2項にあるように親告罪であるため、被害者による告訴がなければ裁判になることはありません。
重過失致傷罪や業務上過失致傷罪は、親告罪ではなく告訴がない場合でも起訴され裁判になる可能性があります。
過失致傷罪や重過失致傷罪・業務上過失致傷罪に加えてひき逃げ(道路交通法違反)が同時に成立し、両罪で起訴された場合、厳しい刑事処罰が科せられる恐れがあります。
人身事故における刑罰は被害者の怪我の程度によっても左右されるので、詳細は弁護士に相談することが好ましいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、車やバイクの事件だけでなく、自転車での人身事故・ひき逃げ事件などの交通事件も取り扱っております。
自転車で交通事故を起こしてしまった方は、弊所のフリーダイヤル(0120-631-881)へお気軽にご相談ください。