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[事例紹介]京都市南区のひき逃げ事件で逮捕された事例
[事例紹介]京都市南区のひき逃げ事件で逮捕された事例
京都市南区で起きたひき逃げ事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
事例
京都府警南署は4日、自動車運転処罰法(過失傷害)と道交法違反(ひき逃げ)の疑いで、京都市南区のアルバイトの男(40)を逮捕した。
逮捕容疑は、同日午前9時すぎ、自宅近くで乗用車を運転中、東山区の女性会社員(50)の自転車に衝突、腰を打撲する軽傷を負わせ、そのまま逃げた疑い。
(7月5日 京都新聞 「自転車の女性に衝突、ひき逃げ疑いで車の男逮捕 女性はけが」より引用)
過失運転致死傷罪とひき逃げ(救護義務違反)
過失運転致死傷罪は、自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律(自動車運転処罰法)第5条で、「自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、7年以下の懲役もしくは禁錮または100万円以下の罰金に処する。ただし、その傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができる。」と定められています。
不注意で起こしてしまった人身事故の場合には、過失運転致死傷罪が成立するケースが多いため、多くの人身事故事件でこの過失運転致死傷罪が問われることになります。
そして、このような人身事故を起こしてしまった場合、救護義務が発生します。
救護義務は道路交通法第72条で規定されており、これに違反した場合は、ひき逃げ(救護義務違反)となります(他にも報告義務や危険防止措置義務などの義務も発生し、これらを果たさなかった場合にも犯罪となり、これらもひき逃げと呼ばれたりします。)。
ひき逃げ(救護義務違反)をした場合は、5年以下の懲役または50万円以下の罰金、自分の運転により事故を引き起こしてしまったにもかかわらずひき逃げ(救護義務違反)をした場合は、10年以下の懲役または100万円以下の罰金に処されます。(道路交通法第117条)
今回取り上げた報道の事例では、逮捕された男性は自分で運転していた車で被害女性と衝突し怪我を負わせる人身事故を起こしています。
報道では事故の原因が何だったのかということには具体的に触れていませんが、男性が過失運転致傷罪の容疑をかけられていることから、男性側に不注意(過失)があり、それが事故の原因となってしまった可能性があります。
そして、先ほど見てきたように、こうした人身事故を起こした場合には、被害者(今回の事例であれば女性会社員)を救護するなどの義務が男性に発生するのですが、男性はその義務を果たさずに現場から立ち去ってしまっているようですから、この行為についてひき逃げという容疑がかけられているのでしょう。
こうした報道は度々流されていることから、過失運転致死傷罪やひき逃げといった罪名や行為についてなんとなくご存知であるという方も少なくないでしょう。
では、実際のひき逃げ(救護義務違反)や過失運転致死傷罪の裁判では、どういった判断が下されているのでしょうか。
以下では、ひき逃げ(救護義務違反)や過失運転致死傷罪の裁判例を紹介します。
ひき逃げ(救護義務違反)の裁判例
この裁判例では、被告人は自動車を運転中に進路前方で倒れていた被害者を轢き、救護や報告などを行わずに事故現場を去りました。
被告人は既に自動車運転過失致死罪(過失運転致死罪)で有罪となっており、さらにひき逃げ(救護義務違反・報告違反)で起訴され裁判となりました。
裁判の結果、被告人のひき逃げ(救護義務違反・報告違反)が認められ、懲役6月執行猶予2年が言い渡されました。
(平成30年1月19日 名古屋地方裁判所)
過失運転致死傷罪の裁判例
この裁判例では、被告人は車を運転中に注意義務を怠り、歩行者に衝突しました。
被告人は、過失運転致死傷罪で有罪となり、禁錮3年執行猶予4年になりました。
(令和2年3月19日 名古屋地方裁判所)
人身事故事件やひき逃げ事件も取り扱っている弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、初回接見サービス、初回無料法律相談を行なっております。
過失運転致死傷罪やひき逃げ(救護義務違反)でお困りの際は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
(事例紹介)過失運転致傷罪の疑いで現行犯逮捕された事例
(事例紹介)過失運転致傷罪の疑いで現行犯逮捕された事例
今回は、報道を基に、過失運転致傷罪の疑いで現行犯逮捕されてしまった場合の刑事手続について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。
~ケース~
21日未明、愛知県春日井市の国道で横断歩道を歩いていた20歳の女性が車にはねられ、意識不明の重体です。
警察は車を運転していた25歳の男を現行犯逮捕しました。
(中略)
警察は乗用車を運転していた春日井市の自称会社員の25歳の男を、過失運転致傷の現行犯で逮捕しました。
調べに対し、男は容疑を認め「友人を家に送る途中で、自分は青信号だった」などと話していて、警察は事故の詳しい原因を調べています。
(6月21日6:33YAHOO!JAPAN配信記事より引用)
~過失運転致死傷罪~
過失運転致死傷罪は、自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた場合に成立します(自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律第5条)。
過失運転致死傷罪の法定刑は、7年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金です。
~過失運転致死傷事件の弁護活動~
過失運転致傷事件において重要となる弁護活動の1つに、被害者との示談交渉が挙げられます。
有効な示談が成立すれば、相手の怪我の程度にもよりますが、不起訴処分を獲得できる可能性もあり、起訴された場合においても、執行猶予付き判決など有利な判決を獲得できる可能性が高まります。
一方で、自分の運転に過失がなかったとして無実を訴えることも考えられます。
自身が全く無過失ではなかったとしても、相手方の想定外の行動により被害が重大なものになったのであれば、過失が相殺され、処分が軽くなる可能性もあります。
どういった主張をするにせよ、過失運転致死傷事件を起こしてしまった場合においては、まず刑事事件に詳しい弁護士と相談し、事件解決に向けたアドバイスを受けましょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、過失運転致死傷事件などを含む刑事事件・少年事件を多数取り扱う法律事務所です。
過失運転致死傷事件についてお困りの方は、お気軽に、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
【解決事例】飲酒運転によるひき逃げで執行猶予付き判決
【解決事例】飲酒運転によるひき逃げで執行猶予付き判決
事件
Aさんは、飲酒した後にバイクを飲酒運転して帰路に着いていました。
しかし、Aさんの自宅がある埼玉県さいたま市浦和区に差し掛かったころ、Vさんの運転する原付自動車と接触する交通事故を起こしてしまいました。
Aさんは、交通事故を起こしてしまったことに驚き、さらに、飲酒運転をしていたこともあり、とっさに現場から立ち去ってしまいました。
通行人が通報し、Aさんは、道路交通法違反(飲酒運転・ひき逃げ)と過失運転致傷罪の容疑で埼玉県浦和警察署に逮捕されましたが、すぐに釈放されました。
釈放後、Aさんは今後の刑事手続きに不安を感じ、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の無料法律相談を利用し、弁護活動を依頼することにしました。
(※守秘義務の関係で一部事実と異なる表記をしています。)
事件解決の流れ
Aさんは、飲酒運転とひき逃げ行為による道路交通法違反と、過失運転致傷罪の容疑で起訴されました。
相談を受けた弁護士は、執行猶予付きの判決を獲得するための弁護活動を行いました。
Aさんが飲酒運転によって起こしたひき逃げ事故により、Vさんは脚を骨折し、病院で治療を受けていました。
そこで、弊所の弁護士は、Vさんに代理人としてついていた弁護士と交渉し、Vさんへの謝罪や賠償の交渉を行いました。
Vさんへの誠意を見せられるよう、弁護士と相談の上、AさんはVさんへの賠償のために用意したお金を保管するための口座を作り、その口座から一切お金を引き出さずにVさんの賠償のためにとっておくなどして、Vさんへ被害弁償するための準備を行いました。
加えて、AさんはVさんに対する謝罪文を作成し、弁護士を通じてVさんへ謝罪文をお渡しし、Aさんの反省とお詫びの気持ちを受け取っていただくことができました。
そして、弁護士は、Aさんに、飲酒運転によって事故を起こしたことにより向き合ってもらうために、飲酒運転による交通事故に遭った被害者やその遺族が書いた手記を読むことを勧めました。
手記を読んだAさんは飲酒運転をしてしまったことを深く反省し、刑事裁判の場でも反省の言葉を述べました。
また、Aさんは今後飲酒を控え、バイクや鍵を母親に管理してもらうなどのことで、再犯防止に努めました。
弁護士は公判で、Aさんが飲酒運転による事故やひき逃げ行為を深く反省していること、被害弁償用のお金を用意し謝罪文をVさんに渡していることからVさんに対する誠意が伺えること、再犯防止に努めていること、事故当時の状況でAさんに有利な事情もあったことなどを訴え、執行猶予付きの判決を求めました。
その結果、Aさんは執行猶予付きの判決が言い渡されました。
執行猶予判決が下されたため、Aさんが直ちに刑務所に入ることはなくなり、Aさんは社会内ですぐに社会復帰に向けて活動を開始することができました。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、数々の執行猶予付き判決を獲得してきました。
飲酒運転やひき逃げなど、交通事件の執行猶予についてお悩みのある場合には、一度お気軽にご相談ください。
0120―631―881では初回接見サービス、無料法律相談のご予約を受け付けております。
(事例紹介)バイクで引きずり殺人未遂罪の疑いで逮捕された事例
(事例紹介)バイクで引きずり殺人未遂罪の疑いで逮捕された事例
今回は、職務質問をしようとした警察官をバイクで引きずり、運転手が殺人未遂罪の疑いで逮捕されたケースにつき、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。
~ケース~
4月22日深夜、東大阪市の路上で、職務質問をしようとした警察官をバイクで引きずり殺害しようとした疑いで、同月24日、20代男性が逮捕されました。
男性は警察官から職務質問を受けた際、バイクを急発進させ、制止した警察官を引きずったまま、約1.5キロにわたり走行した疑いがもたれています。
男性は「無免許がばれるのが怖くてバイクを急発進させて逃げたが、引きずった認識はない」として被疑事実を否認しています。(4月24日 毎日新聞 「バイクで警察官引きずり 殺人未遂容疑で22歳を逮捕 東大阪」より引用)
~故意に人身事故を起こすと殺人未遂罪になる?~
殺人未遂罪が成立するためには、殺人罪の実行に着手される必要があります。
殺人罪の実行に着手したかどうかは、行為者が殺意をもって他人の生命に対する現実的危険性のある行為を開始したかどうかによって判断されます。
殺意の有無は、凶器の有無やその形状、行為の危険性などにより判断されます。
これにより、実際に被害者が死亡した場合には殺人罪の既遂となります。
自動車やバイクを故意に他人にぶつけるなどした場合、生命への危険が非常に大きいことから、殺人(未遂)罪が適用されるケースが多いようです。
例えば先日も、昨年8月に那覇市内の道路で被害者とトラブルになり、車を時速23~25キロメートルの速度で被害者に衝突させ殺害しようとしたとして殺人未遂罪に問われた30代男性被告人に対し、那覇地裁が懲役2年6月保護観察付き執行猶予4年の刑を言い渡したというケースが見られました(3月25日 沖縄タイムス 「後続車と交通トラブル、車を降りて近づいてきた被害者に… 殺人未遂で有罪判決」を参照)。
当然ですが、殺人未遂罪は大変な重罪であり、裁判員裁判対象事件でもあります(裁判員裁判法第2条1項1号)。
早期に弁護士を依頼し、捜査や裁判に向けた対策を講じる必要性が高いと考えられます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件の取り扱いを中心とする法律事務所です。
自身やご家族が、人身事故などに関わる刑事事件で殺人未遂罪に問われ、お困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
【解決事例】大阪府の人身事故事件で不起訴獲得
【解決事例】大阪府の人身事故事件で不起訴獲得
~事例~
Aさんは、大阪府高槻市内の道路で自動車を運転中、不注視によってVさんの運転するバイクと衝突する人身事故を起こしてしまいました。
Vさんは2週間の入院を要する怪我を負ってしまい、Aさんは大阪府高槻警察署で過失運転致傷罪の被疑者として捜査されることとなりました。
Aさんは、被害者の方に謝罪するための被害者対応をどのようにすればよいのかというお悩みと、Aさん自身がみなし公務員として働いていたため前科がつくことを避けたいというお悩みがあり、ご相談のために弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にいらっしゃいました。
(※守秘義務の関係で一部事実と異なる表記をしています。)
~弁護活動と結果~
Aさんは任意保険に加入していたため、金銭面での被害弁償は保険を通じて行われました。
それに加えて、弁護士が被害者であるVさんとお会いしてお話しし、Aさんの反省や謝罪をお伝えすることで、Vさんから刑罰を求めない旨の嘆願書をいただくことができました。
嘆願書の中には、Aさんの反省・謝罪と真摯な対応を受けたことからAさんを許し、Aさんに対する刑事処罰を望んでいないということ、Aさんが失職することも望んでいないので報道なども避けてほしいということ、Aさんに対して寛大な処分を求めるということを書いていただきました。
こうしたVさんからの嘆願書や、Aさんの反省の程度、今後の再犯防止策などを弁護士から検察官に訴えたところ、Aさんの人身事故事件は不起訴処分で終了することとなりました。
不起訴処分で事件が終了したため、Aさんには前科がつくこともありませんでした。
不起訴処分となったため、Aさんは失職することもなく、仕事を継続することができました。
人身事故事件では、被害者の怪我の程度なども処分を決める重要な事情ですが、被害者への謝罪や弁償ができているのかどうか、被害者感情がどのようなものかといった事情も起訴・不起訴や起訴された場合の刑罰の重さに影響する重要な事情です。
迅速かつ適切に被害者対応を行うことや、それらの経緯・結果を適切なタイミングで適切に示していくことが、より有利な処分の獲得に求められることでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、人身事故事件を含む刑事事件・少年事件のご相談・ご依頼を承っております。
人身事故事件に悩まれている方は、お気軽にご相談ください(予約受付:0120-631-881)。
店舗に車で突っ込んで逮捕されてしまった事例
店舗に車で突っ込んで逮捕されてしまった事例
店舗に車で突っ込んで逮捕されてしまった事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。
~ケース~
4月7日午後、大阪市中央区の金券ショップに軽自動車を突入させてしまい、3人に重軽傷を負わせた過失運転致傷の疑いで、30代男性が逮捕されました。
男性は急なめまいを感じ、意識がなくなったなどと述べています。
また、男性の母親は男性に低血糖の症状があると説明しています。
(カンテレ 「大阪・ミナミで金券ショップに車に突っ込み3人重軽傷 運転手の男を逮捕」(令和4年4月8日16:14配信)より引用)
こうしたケースでは、今後、どのような弁護活動が考えられるのでしょうか。
~過失運転致死傷罪について解説~
過失運転致死傷罪は、自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた場合に成立します(自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律第5条)。
過失運転致死傷罪の法定刑は、7年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金となっています。
ケースの被害者らは重軽傷を負いましたが、死者はおらず、飲酒運転や信号無視等の重大な違反行為が明らかでないため、ひとまず、過失運転致傷罪の疑いで逮捕したものと考えられます。
なお、自動車の運転上必要な注意を怠り、人を死亡させてしまった場合においては、過失運転致死罪が成立します。
~危険運転致死傷罪について解説~
アルコールや薬物の影響により正常な運転が困難な状態で自動車を走行させ、人を死傷させた場合は過失運転致死傷罪よりも重い危険運転致死傷罪が成立するのはよく知られていると思います。
法定刑は危険運転致傷罪の場合は15年以下の懲役、危険運転致死罪の場合は、1年以上20年以下の懲役となります(自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律第2条)。
一方で、正常な運転が困難な状態とまではいえずとも、これに準ずる状態で自動車を運転し人を死傷させた場合も、重く処罰されます。
「自動車の運転に支障を及ぼすおそれがある病気として政令で定めるものの影響により、その走行中に正常な運転に支障が生じるおそれがある状態で、自動車を運転し、よって、その病気の影響により正常な運転が困難な状態に陥り、人を死傷させた」場合も、危険運転致死傷罪となります(自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律第3条2項)。
ただし、こちらの場合の法定刑は、先ほど触れた第2条の危険運転致死傷罪の場合よりは軽く、致傷の場合は12年以下の懲役、死亡させた場合は、15年以下の懲役となります(自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律第3条2項・1項)。
この政令で定める病気として、「自動車の安全な運転に必要な認知、予測、判断又は操作のいずれかに係る能力を欠くこととなるおそれがある症状を呈する低血糖症」があります(自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律施行令第3条4号)。
~今後の弁護活動~
ケースの運転手は逮捕されています。
逮捕中は、当然、会社へ出勤することも学校へ登校することもできなくなるため、無断欠勤・無断欠席が続いた場合、会社や学校から不利益な処分を受けることが懸念されます。
そのため、早期に弁護士を依頼し、身柄解放活動を行ってもらうことが必要となるでしょう。
また、起訴され、有罪判決を受けた場合には前科がつくことになってしまいます。
自動車保険などを活用して被害者に生じさせた損害を賠償し、示談を成立させることができれば、不起訴処分あるいは略式罰金などの軽微な処分を獲得できる可能性が高まります。
起訴されてしまった場合においても、実刑判決を回避するため、誠心誠意謝罪をし、被害者と示談を成立させることが重要です。
そして、低血糖の影響により運転中に正常な運転が困難な状態に陥り負傷させたと判断されれば、危険運転致死傷罪で起訴され、より重い処罰が下されることも考えられます。
低血糖といっても自動車の運転の能力を欠けさせるような症状はないこと、被疑者もそのような症状を認識していなかったことなどの事情があれば、弁護士からそういった事情を主張し、危険運転致傷罪で起訴しないよう働きかけることも考えられるでしょう。
こういった事情があるにも関わらず危険運転致傷罪で起訴された場合、過失運転致傷罪に留まることを公判で主張することも予想されます。
いずれの場合にしろ、逮捕・勾留による身体拘束への対応や、被害者への謝罪・弁償といった被害者対応、刑事裁判を見据えた対応など、すぐに取りかかるべき活動は多く存在します。
だからこそ、早期に弁護士に相談・依頼するメリットは大きいといえるでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を中心に取り扱う法律事務所です。
ご家族が過失運転致傷罪の疑いで逮捕されてしまった場合には、遠慮なく、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
過失運転致傷罪と道路交通法違反(報告義務違反)
過失運転致傷罪と道路交通法違反(報告義務違反)について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
AさんがVさんを同乗させて埼玉県上尾市の国道を車で走行中、ハンドル操作を誤り中央分離帯に衝突してVさんは怪我をして気を失いました。
Aさんは人身事故で警察署で取調べを受けるのが面倒だと思い、友人のBさんに車で迎えに来てもらい、VさんはBさんの車で病院に運ばれました。
Aさんはその後すぐ110番通報し、駆け付けた埼玉県上尾警察署の警察官に「同乗者はいません。私は怪我をしていません。」と伝えました。
後日VさんがAさんの起こした交通事故で怪我をしたことを埼玉県上尾警察署の警察官に伝えたため、Aさんは過失運転致傷罪と道路交通法違反(報告義務違反)で話を聴かれることになりました。
(フィクションです)
交通事故を起こし同乗者に怪我をさせたら?
交通事故を起こし人に怪我をさせた場合、どのような罪になるのでしょうか。
過失運転致傷罪が成立し、条文には
「自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、7年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金に処する。ただし、その傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができる。」
(自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律第5条)
とあります。
同乗者に怪我をさせたことを申告しなかったら?
さらに同乗者に怪我をさせたことを申告しなかった場合、どのような罪になるのでしょうか。
道路交通法違反(報告義務違反)が成立し、条文には
当該車両等の運転者(運転者が死亡し、又は負傷したためやむを得ないときは、その他の乗務員。以下次項において同じ。)は、警察官が現場にいるときは当該警察官に、警察官が現場にいないときは直ちに最寄りの警察署(派出所又は駐在所を含む。以下次項において同じ。)の警察官に当該交通事故が発生した日時及び場所、当該交通事故における死傷者の数及び負傷者の負傷の程度並びに損壊した物及びその損壊の程度、当該交通事故に係る車両等の積載物並びに当該交通事故について講じた措置を報告しなければならない。(道路交通法第72条第1項後段)
とあり、罰則は3月以下の懲役または5万円以下の罰金
とあります。
基本的には「最寄りの」警察署に、「直ちに」報告することになります。
「直ちに」とは時間的にすぐにと理解されており、「最寄りの」警察署等への報告というのは例えば朝に人身事故を起こし、その後1日仕事をして自宅へ帰る途中にある警察署に報告したのでは遅く、
事故現場ですぐ110番通報をして、事故現場の最寄りの警察署の警察官にきてもらい報告するのが適切と思われます。
そしてその報告事項の中には「当該交通事故における負傷者の負傷の程度」がありますので、同乗者の怪我について申告をしなかった場合でも道路交通法違反(報告義務違反)が成立します。
事案例について
VさんはAさんの依頼で来た、Cさんの車で病院に搬送されたため救護義務違反(道路交通法第72条第1項前段)は成立しない可能性が有りますが、
しかし、Aさんはその場ですぐ110番通報したものの、その申告した内容が「負傷者の負傷の程度」について正しく報告していないため、報告義務違反が成立すると思われます。
また、Vさんにけがを負わせたため、過失運転致傷罪が成立します。
弁護活動について
過失運転致傷罪については、その成立に争いのない場合、被害者への被害弁償と示談交渉を行うことが大切です。
人身事故については被害が大きくなく運転が悪質でなければ、示談の成立により起訴猶予による不起訴処分を目指すことも可能ですし、起訴猶予による不起訴処分となれば前科にはなりません。
また、過失運転致傷罪や道路交通法違反で逮捕された場合でも、加害者に証拠隠滅や逃亡のおそれがないことを主張し釈放や保釈による身柄を解放するための弁護活動を行っていきます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、年間多数の過失運転致傷罪や道路交通法違反事件への対応をしてきた刑事事件専門の法律事務所です。
ご家族やご自身が過失運転致傷罪や道路交通法違反事件で話を聞かれることになった方、ご家族が逮捕されてしまいお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
酒気帯び運転と保釈
酒気帯び運転と保釈について、あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~ケース~
Aさんは、飲み会でお酒を飲んだ後、終電がないことに気づき車で帰ることにしました。
京都市下京区内の一般道を車で走っていたAさんは、前方を歩いていたVさんに気付かずはねてしまいました。
Aさんは119番通報し、Vさんは病院に搬送され、Vさんは全治2ヵ月の怪我を負いました。
京都府下京警察署の捜査により、Aさんの体内からアルコールが検出されたため、捜査員は飲酒運転で人身事故を起こしたとしてAさんを逮捕しました。
Aさんに国選弁護人が付いていましたが、道路交通法違反(酒気帯び運転)、過失運転致傷で起訴された後、中々保釈が許可されず、不満に思ったAさんの両親は弁護士事務所に相談することにしました。
(フィクションです)
~酒気帯び運転について~
・酒気帯び運転について
酒気帯び運転は、道路交通法及び同法施行令に規定されています。
第六十五条一項
何人も、酒気を帯びて車両等を運転してはならない。
第百十七条の二の二
次の各号のいずれかに該当する者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
第三号
第六十五条(酒気帯び運転等の禁止)第一項の規定に違反して車両等(軽車両を除く。次号において同じ。)を運転した者で、その運転をした場合において身体に政令で定める程度以上にアルコールを保有する状態にあつたもの
同法施行令四十四条の三
法第百十七条の二の二第三号の政令で定める身体に保有するアルコールの程度は、血液一ミリリットルにつき〇・三ミリグラム又は呼気一リットルにつき〇・一五ミリグラムとする。
以上の通り、血液1ミリリットルにつき0.3ミリグラム又は呼気1リットルにつき0.15ミリグラムを身体に保有している状態で車を運転した場合、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に科される恐れがあるということです。
・人身事故について
酒気帯び運転の際の人身事故については、自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律(以下、「自動車運転死傷行為処罰法」と言います。)の5条で処罰されることになります。
第五条
自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、七年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する。ただし、その傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができる。
自動車の運転上必要な注意を怠った結果、人に負傷を負わせたり、死亡させた場合、7年以下の懲役又は100万円以下の罰金が科せられる可能性があります。
~保釈について~
保釈とは保釈金を裁判所に納めることにより、被告人に対する勾留の執行を停止し、身柄拘束を解く判断をする裁判をする制度になります。
保釈は起訴後にしか請求することができず、勾留段階では行うことはできません。
保釈は、3種類に分けられます。
・権利保釈
刑事訴訟法89条各号に掲げる事由に被告人が該当しなければ、保釈の請求があった時には、原則保釈を許さなければならない
・裁量保釈
権利保釈が出来ない場合でも、適当と認められる場合には、職権で保釈を許すことができる。
・義務的保釈
勾留による身柄拘束が不当に長くなった場合、請求又は職権で保釈を許さなければならない
以上の3つがあります。
今回のような事案では権利保釈を目指して、保釈を請求していくことになります。
保釈が請求しても通らないという場合には、刑事訴訟法89条各号に該当している可能性があります。
刑事訴訟法89条各号にある、
・被告人が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき。
・被告人が、被害者その他事件の審判に必要な知識を有すると認められる者若しくはその親族の身体若しくは財産に害を加え又はこれらの者を畏い怖させる行為をすると疑うに足りる相当な理由があるとき。
の2点がクリアできていない可能性があるのではないかと考えます。
そのために弁護士は、親族の協力を得たり、請求の内容で罪証隠滅の可能性や被害者等に危険性が及ばないことを説明していくことになります。
しかし、事案によって異なってくるものであるため、国選弁護人の対応について疑問があるようでしたら、他の弁護士に相談するのも1つの手段です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、酒気帯び運転などの交通違反をはじめとする刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。
あなたやご家族が交通事故などを起こしてお困りの方は、まずは
0120-631-881までお電話ください。無料法律相談、初回接見サービスを24時間体制で受け付けております。
過失運転致傷罪と緊急避難
過失運転致傷罪と緊急避難について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
Aさんは横浜市金沢区の国道で信号待ちをしていました。
その際車が割り込んできたためクラクションを鳴らしたところ、車からBさんが降りてきてAさんの車の窓ガラスを殴りつけてきました。
Aさんが恐怖を感じ逃げようとして急発進をしたところ、後方からバイクに乗ったVさんと衝突し、Vさんは足の骨を折る怪我をしました。
Aさんは神奈川県金沢警察署で過失運転致傷罪の疑いで話を聞かれることになったのですが、Aさんは「交通事故を起こしたのはBから逃げようとしたからだ。だから自分が交通事故を起こしたのはしょうがないことだ。」と考えているため、刑事事件や交通事件に強い弁護士を探しています。
(フィクションです)
~交通事故はどのような罪になりますか~
交通事故を起こし人に怪我をさせた場合、どのような罪になるのか見ていきましょう。
条文には
「自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、7年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金に処する。ただし、その傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができる。」
(自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律第5条)
とあります。
~Aさんが車を急発進させたことについて~
Aさんは自分が交通事故を起こしたのはしょうがないと考えています。
これは「緊急避難」という考え方に基づいたものと思われます。
~緊急避難とはなんですか?~
緊急避難とは条文で
「自己又は他人の生命、身体、自由又は財産に対する現在の危難を避けるため、やむを得ずにした行為は、これによって生じた害が避けようとした害の程度を超えなかった場合に限り、罰しない。
ただし、その程度を超えた行為は、情状により、その刑を減軽し、又は免除することができる。」(刑法第37条)
とあります。
つまり、緊急避難が完全に認められれば、罰せられないということです。
それでは緊急避難についてもう少し詳しく見ていきましょう。
~緊急避難が成立する要件~
緊急避難が成立するためには
1現在の危険があること
現在正に危険が迫っている必要があります。
未来に起こるかもしれない危険、過去に起こった危険については認められません。
2避難の意思があること
1の危険を避ける目的があることが必要です。
3危険から避難するための必要最低限の行為であること
例えば人を押して道を空ければ逃げれる状態で、必要もないのに人を殴って道を空けようとする行為は認められません。
4発生した害が避けようとした害の程度を超えないこと
5その行為が唯一の手段であり、真にやむをえない行為であったこと
等が必要になります。
~事案例について~
Aさんは、自分が車を急発進させたのはBさんから逃げるためだったからしょうがないと思っています。
しかしAさんの場合は、110番通報をする、他の車に注意しながら避難できた可能性が有ることから、車を急発進させた行為は「その行為が唯一の手段であり、真にやむをえない行為」とは認められにくいと考えられます。
よってAさんには、過失運転致傷罪が成立すると思われます。
~弁護活動について~
先に述べたとおり、緊急避難が成立するためには厳しい要件が必要です。
ですので、自分の行為が緊急避難にあたるのではないか等と疑問に思うことがあれば、刑事事件・交通事件に強い弁護士に早急に相談するのが良いでしょう。
また、過失運転致傷罪に問われた時は、事故の相手方の方と早急に示談交渉を行い、示談が成立すれば起訴猶予による不起訴処分を目指すこともできます。
起訴猶予による不起訴処分となれば、前科にはなりません。
また、過失運転致傷罪で逮捕・勾留されることになっても、早期に釈放や保釈による身柄拘束を解くための弁護活動を行うことも可能です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、年間多数の過失運転致傷罪への対応をしてきた刑事事件専門の法律事務所です。
ご家族やご自身が過失運転致傷罪で話を聞かれることになった方、ご家族が逮捕されてしまいお困りの方、緊急避難が成立するか相談したい方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
パトカーから逃走中に人身事故を起こし逮捕
今回は、パトカーから逃走中に人身事故を起こし、逮捕されてしまった場合の弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。
~ケース~
Aさんは、●県の県道を自動車にて走行中、後続のパトカーから職務質問のため停止するように求められましたが、車内に覚醒剤を所持していることを思い出したため、自動車を急加速させて逃走を図りました。
逃走中、時速百数十キロメートルで赤信号の交差点に進入するなどを繰り返していたところ、自動車同士で事故を起こし、Aさんの自動車は停止しました。
これによりAさんと事故の被害者は大怪我を負ったため、両者は病院に搬送され、現在、治療を受けています。
警察はAさんの回復を待ってから、危険運転致傷及び覚醒剤所持の疑いでAさんを逮捕する方針です。(フィクションです)
~Aさんは今後どうなる?~
自動車を運転中に職務質問を受けた際、何らかの犯罪(違法薬物の所持や飲酒運転など)が発覚することを恐れ、無謀な逃走を行い、自動車事故を起こしてしまうケースがあります。
Aさんはまだ逮捕されていませんが、回復を待ってから「危険運転致傷罪」及び「覚醒剤所持罪」の疑いで逮捕されることになるでしょう。
これらの犯罪について解説いたします。
(危険運転致傷罪)
危険運転致傷罪の類型は複数存在しますが、ケースの場合は「自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律」第2条2号または7号の危険運転致傷罪が成立する可能性があります。
※自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律
(危険運転致死傷)
第二条 次に掲げる行為を行い、よって、人を負傷させた者は十五年以下の懲役に処し、人を死亡させた者は一年以上の有期懲役に処する。
一 省略
二 その進行を制御することが困難な高速度で自動車を走行させる行為
三~六 省略
七 赤色信号又はこれに相当する信号を殊更に無視し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為
八 省略
上記の危険運転致傷罪について有罪判決が確定すると、「十五年以下の懲役」に処せられます。
(覚醒剤所持罪)
パトカーから停止を求められた際にAさんが逃亡を図った理由ですが、当然ながら覚醒剤の所持行為についても罪に問われる可能性が高いでしょう。
※覚醒剤取締法
第四十一条の二 覚醒剤を、みだりに、所持し、譲り渡し、又は譲り受けた者(第四十二条第五号に該当する者を除く。)は、十年以下の懲役に処する。
2 営利の目的で前項の罪を犯した者は、一年以上の有期懲役に処し、又は情状により一年以上の有期懲役及び五百万円以下の罰金に処する。
3 前二項の未遂罪は、罰する。
~今後の弁護活動~
(逮捕後の身柄解放活動)
Aさんに対しては、かなり重い犯罪である危険運転致傷罪に加え、身体拘束が長引きがちな覚醒剤所持行為の嫌疑もかけられています。
さらに、覚醒剤の使用行為についても疑いをもたれることになるでしょう。
これによれば、捜査段階での身柄解放の実現はかなりハードルが高いと思われます。
(起訴される可能性)
危険運転致傷罪も、覚醒剤所持(又は使用)罪も、起訴される可能性が非常に高いです。
ケースの事件につき起訴された場合は、実刑判決を受ける可能性も見込まれます。
執行猶予付き判決の獲得、または、実刑判決であっても、より有利な量刑による判決の獲得を目指さなければなりません。
そのためには、被害者に対して誠心誠意の謝罪を行い、生じさせた損害を賠償して示談を成立させる必要があるでしょう。
また、自動車を処分し、二度と自動車を運転しないことを法廷で誓うことも必要となるかもしれません。
危険運転致傷事件、覚醒剤所持事件を起こし、逮捕されてしまった場合には、すぐに弁護士の接見を受け、事件解決に向けたアドバイスを受けましょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
ご家族が危険運転致傷事件、覚醒剤所持事件を起こして逮捕されてしまい、お困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。