店舗に車で突っ込んで逮捕されてしまった事例

2022-04-14

店舗に車で突っ込んで逮捕されてしまった事例

店舗に車で突っ込んで逮捕されてしまった事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

~ケース~

4月7日午後、大阪市中央区の金券ショップに軽自動車を突入させてしまい、3人に重軽傷を負わせた過失運転致傷の疑いで、30代男性が逮捕されました。
男性は急なめまいを感じ、意識がなくなったなどと述べています。
また、男性の母親は男性に低血糖の症状があると説明しています。
(カンテレ 「大阪・ミナミで金券ショップに車に突っ込み3人重軽傷 運転手の男を逮捕」(令和4年4月8日16:14配信)より引用)

こうしたケースでは、今後、どのような弁護活動が考えられるのでしょうか。

~過失運転致死傷罪について解説~

過失運転致死傷罪は、自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた場合に成立します(自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律第5条)。
過失運転致死傷罪の法定刑は、7年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金となっています。

ケースの被害者らは重軽傷を負いましたが、死者はおらず、飲酒運転や信号無視等の重大な違反行為が明らかでないため、ひとまず、過失運転致傷罪の疑いで逮捕したものと考えられます。
なお、自動車の運転上必要な注意を怠り、人を死亡させてしまった場合においては、過失運転致死罪が成立します。

~危険運転致死傷罪について解説~

アルコールや薬物の影響により正常な運転が困難な状態で自動車を走行させ、人を死傷させた場合は過失運転致死傷罪よりも重い危険運転致死傷罪が成立するのはよく知られていると思います。
法定刑は危険運転致傷罪の場合は15年以下の懲役危険運転致死罪の場合は、1年以上20年以下の懲役となります(自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律第2条)。

一方で、正常な運転が困難な状態とまではいえずとも、これに準ずる状態で自動車を運転し人を死傷させた場合も、重く処罰されます。
自動車の運転に支障を及ぼすおそれがある病気として政令で定めるものの影響により、その走行中に正常な運転に支障が生じるおそれがある状態で、自動車を運転し、よって、その病気の影響により正常な運転が困難な状態に陥り、人を死傷させた」場合も、危険運転致死傷罪となります(自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律第3条2項)。
ただし、こちらの場合の法定刑は、先ほど触れた第2条の危険運転致死傷罪の場合よりは軽く、致傷の場合は12年以下の懲役、死亡させた場合は、15年以下の懲役となります(自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律第3条2項・1項)。
この政令で定める病気として、「自動車の安全な運転に必要な認知、予測、判断又は操作のいずれかに係る能力を欠くこととなるおそれがある症状を呈する低血糖症」があります(自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律施行令第3条4号)。

~今後の弁護活動~

ケースの運転手は逮捕されています。
逮捕中は、当然、会社へ出勤することも学校へ登校することもできなくなるため、無断欠勤・無断欠席が続いた場合、会社や学校から不利益な処分を受けることが懸念されます。
そのため、早期に弁護士を依頼し、身柄解放活動を行ってもらうことが必要となるでしょう。

また、起訴され、有罪判決を受けた場合には前科がつくことになってしまいます。
自動車保険などを活用して被害者に生じさせた損害を賠償し、示談を成立させることができれば、不起訴処分あるいは略式罰金などの軽微な処分を獲得できる可能性が高まります。

起訴されてしまった場合においても、実刑判決を回避するため、誠心誠意謝罪をし、被害者と示談を成立させることが重要です。

そして、低血糖の影響により運転中に正常な運転が困難な状態に陥り負傷させたと判断されれば、危険運転致死傷罪で起訴され、より重い処罰が下されることも考えられます。

低血糖といっても自動車の運転の能力を欠けさせるような症状はないこと、被疑者もそのような症状を認識していなかったことなどの事情があれば、弁護士からそういった事情を主張し、危険運転致傷罪で起訴しないよう働きかけることも考えられるでしょう。
こういった事情があるにも関わらず危険運転致傷罪で起訴された場合、過失運転致傷罪に留まることを公判で主張することも予想されます。

いずれの場合にしろ、逮捕・勾留による身体拘束への対応や、被害者への謝罪・弁償といった被害者対応、刑事裁判を見据えた対応など、すぐに取りかかるべき活動は多く存在します。
だからこそ、早期に弁護士に相談・依頼するメリットは大きいといえるでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件少年事件を中心に取り扱う法律事務所です。
ご家族が過失運転致傷罪の疑いで逮捕されてしまった場合には、遠慮なく、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

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