Archive for the ‘ブログ’ Category
サウナ後の飲酒運転
サウナ後の飲酒運転
埼玉県入間市に住む会社員のAさんは、久しぶりに会社から連休を得たことから知人と居酒屋に食事することになりました。
Aさんは、「帰りは代行で帰ろう」と思い、自宅から車を運転し、車を居酒屋の駐車場に停めました。
そして、Aさんは、居酒屋でビール(500ミリリットルジョッキ)2杯、焼酎水割り2杯を飲みました。
Aさんは2時間くらい食事を楽しんだ後知人と別れました。
その後、Aさんは、次の日も会社が休みだったことから、「近くの温泉でサウナに入ろう」と思い、車を駐車場に停めたまま徒歩で行ける温泉施設に入り、2時間程度、サウナなどえ汗を流して施設を出ました。
そして、Aさんは、車を停めていた駐車場へ戻り、車を運転して帰宅していたところ、警邏中のパトカーに呼び止められました。
Aさんは埼玉県狭山警察署の警察官の呼気検査に応じたところ、呼気からアルコールが検出されてしまいました。
そこで、Aさんは道路交通法違反(酒気帯び運転の罪)で現行犯逮捕されてしまいました。
(フィクションです。)
~ 飲酒運転でよくある勘違い ~
体内にアルコールが残存していることを確定的に認識しながら飲酒運転することは言語道断です。
また、
1 ひと眠りしたから大丈夫
2 お風呂やサウナで汗を流したから大丈夫
などと勝手に判断して運転をすることも同様に飲酒運転とされてしまいます。
なお、1については、個人差(体型、体調等)はありますが、体重60キロの人が、ビール500ミリリットル1杯を処理できる時間の目安は「約4時間」と言われています。
さらに、睡眠時は肝臓の機能が低下し、体内のアルコール処理速度が低下すると言われていますから、処理時間についてはさらに注意する必要があります。
また、2については、体内のアルコールの大部分は肝臓で分解されますから、汗や尿などでアルコールが抜けることはほとんどありません。
繰り返しますが、ご自身では大丈夫と判断されても、呼気検査等で客観的な数値が出るなどしてしまうと飲酒運転の認識で運転したということになりかねませんから、上記の点はよく注意する必要があります。
~ 飲酒運転(酒気帯び運転と酒酔い運転) ~
ところで、飲酒運転には「酒気帯び運転」と「酒酔い運転」の2種類があります。
酒気帯び運転とは、血液1ミリリットルにつき0.3mg又は呼気1リットルにつき0.15mg以上アルコールを保有する状態で車両等(軽車両(自転車など)を除く)を運転することをいいます(法65条1項、117条の2の2第1号)。
一方で、酒酔い運転は、酒気帯び運転のように数値以上の飲酒を必要としません。
酒酔い運転とは、酒気を帯びて車両等を運転した場合で、その運転した場合に酒に酔った状態(アルコールの影響により正常な運転ができないおそれがある状態)にあった場合の運転をいいます(法65条1項、117条の2第1号)。
このことからすれば、例えば、体質的にアルコールの弱い方が、ビールをコップ1杯飲んだことにより、身体に保有するアルコールの量が上記の数値以下であっても、「酒に酔った状態」と判断されれば酒酔い運転となります。
罰則も異なります。
酒気帯び運転は「3年以下の懲役又は50万円以下の罰金」、酒酔い運転は「5年以下の懲役又は100万円以下の罰金」です。
酒酔い運転の方が、より、交通の危険を惹起するおそれが高いことから、罰則が重く設定されています。
~ 逮捕されたら弁護士と接見! ~
逮捕された方の中には、「今後の生活、仕事はどうなるのか?」「身柄は拘束され続けるのか?」「取調べではどんなことを話せばよいのか?」「取調べで間違ったことを話したら処分や刑が重くなるのではないか?」などと言った悩みや不安を抱えている方がおられます。
そんなときは、弊所の初回接見サービスをご予約いただき、弁護士に接見を依頼されてはどうでしょうか?
接見のご依頼を受けた弁護士は速やかに逮捕された方と面会し、アドバイスをさせていただくことで不安や悩みなどの軽減に貢献させていただきます。
また、予めお預かりしたご家族等からの伝言をお伝えすることも可能です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、飲酒運転をはじめとする刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
刑事事件・少年事件でお悩みの方は、まずは、0120-631-881までお気軽にお電話ください。
24時間、無料法律相談・初回接見サービスの受け付けを行っております。
スピード違反の人身事故で逮捕
スピード違反の人身事故で逮捕
神奈川県相模原市に住むAさんは、自動車でスピードを出したときの爽快感が忘れられず、制限速度を大きくオーバーして運転することを繰り返していました。
ある日、Aさんがいつものように制限速度オーバーで運転していると、道端から猫が飛び出してきました。
慌てて避けようとしてブレーキを踏みつつハンドルを切ったAさん。
その結果、自動車は操縦不能に陥り、歩道に乗り上げ、偶然歩いていた歩行者Vさんをひいてしまいました。
怖くなったAさんはその場から逃走しましたが、神奈川県津久井警察署の捜査の結果、Aさんの犯行であると判明し、Aさんは逮捕されました。
(フィクションです)
~Aさんに成立しうる犯罪~
制限速度を守っていても、突発的な出来事により人身事故が起こる可能性はあります。
ましてや制限速度を大きくオーバーしていれば、人身事故が起こる可能性は高まりますし、人身事故が起こった時の被害も大きくなりやすいです。
Aさんの場合、行政処分として免許停止等となるほか、以下の犯罪が成立する可能性があります。
①過失運転致死傷罪(自動車運転処罰法5条)
→7年以下の懲役もしくは禁錮または100万円以下の罰金
②危険運転致死傷罪(自動車運転処罰法2条2号)
→被害者負傷15年以下の懲役、被害者死亡1年以上20年以下の懲役
③救護義務違反(道路交通法72条1項前段・117条2項)
→10年以下の懲役または100万円以下の罰金
④報告義務違反(道路交通法72条1項後段・119条1項10号)
→3か月以下の懲役または5万円以下の罰金
今回のAさんの場合、少なくとも①過失運転致死傷罪は成立するでしょう。
さらに、大幅に制限速度を超えていれば、進行を制御することが困難な高速度で自動車を走行させたと判断され、より重い②危険運転致死傷罪が成立する可能性もあります。
また、被害者を助けずに逃げた行為については③救護義務違反となります。
加えて、事故を警察に報告しなかったことから④報告義務違反にもなります。
~刑事手続きの流れ~
逮捕されたAさんは、まずは最大で3日間の身体拘束がなされます。
そして逃亡や証拠隠滅のおそれがあるとして、検察官が勾留(こうりゅう)を請求し、裁判官が許可すれば、さらに最大で20日間の身体拘束がされます。
その後、検察官が被疑者を刑事裁判にかけると判断すれば(起訴)、刑事裁判がスタートし、保釈が認められない限り、身体拘束が続きます。
そして裁判で無罪や執行猶予とならない限り、刑罰を受けることになります。
運転の悪質さや被害の程度にもよりますが、これらの手続に関し、弁護士としては以下のような弁護活動を行うことが考えられます。
まず、検察官が勾留請求しなければ、あるいは裁判官が勾留を許可しなければ、最初の3日間で釈放されます。
そこで検察官や裁判官に対し、逃亡や証拠隠滅のおそれがないことや、身体拘束が続くことによる本人や家族などに過度の不利益が生じることを具体的事情に基づいて主張し、勾留をしないよう要請していきます。
また、起訴するか否かの判断は検察官が行いますが、検察官が罰金刑が適切と判断した場合、簡易な裁判手続で罰金刑にする略式起訴をすることもあります。
過失運転致死傷罪にとどまれば罰金刑もありえますので、本人が反省していること、被害者のケガが軽いこと、被害者と示談が締結できたことなど、本人に有利な事情があれば出来る限り主張し、略式起訴を目指していきます。
罰金刑が無理な場合も、執行猶予や、より短い懲役・禁錮を目指して弁護活動をすることになります。
~弁護士に相談を~
人身事故を起こして逮捕された場合、どのような罪が成立するのか、今後の刑事手続きはどうなるのか、取調べにはどのように受け答えしたらよいのかなど、不安点が多いと思います。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門とする弁護士事務所です。
ご家族などからご依頼いただければ、拘束されている警察署等にすみやかに接見に伺います(初回接見サービス)。
仮に逮捕されていない場合には、事務所での法律相談を初回無料で行っております。
接見や法律相談では、上記の不安点などにお答えいたします。
スピード違反やそれに起因する人身事故で逮捕された、捜査を受けたといった場合には、ぜひご相談ください。
東京都西東京市の飲酒検知拒否事件で逮捕
東京都西東京市の飲酒検知拒否事件で逮捕
東京都西東京市に住むAさんは、お酒を飲んで車を運転していたところ、警視庁田無警察署の警察官の一斉検問に遭いました。
Aさんは車から降り、警察官に呼気検査を求められました。
しかし、Aさんは飲酒運転したことが会社にばれたらクビになると思い、警察官の執拗な説得にも関わらずこれを拒否したところ、飲酒検知拒否罪で逮捕されてしまいました。
(フィクションです。)
~ 警察官の呼気検査権と飲酒検知拒否罪 ~
道路交通法67条3項は、警察官に呼気検査権を認める規定です。
道路交通法67条3項
車両等に乗車し、又は乗車しようとしている者が第六十五条第一項の規定に違反して車両等を運転するおそれがあると認められるときは、警察官は、次項の規定による措置に関し、その者が身体に保有しているアルコールの程度について調査するため、政令で定めるところにより、その者の呼気の検査をすることができる。
そして、道路交通法118条の2では、
道路交通法118条の2
第67条(危険防止の措置)第3項の規定による警察官の検査を拒み、又は妨げた者は、3月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
とされています。
これは飲酒検知拒否罪と呼ばれることが多いのですが、実は、妨げた場合でも処罰され得ることから注意が必要です(以下では、拒んだ場合も、妨げた場合もまとめて飲酒検知拒否罪といいます)。
~ 飲酒検知拒否罪が成立するのはどんな場合? ~
上記でご紹介した規定をまとめると、飲酒検知拒否罪が成立するのは以下の場合ということになります。
1 誰が? →車両等に乗車し、又は乗車しようとしている者
2 どういう場合に?→第65条第1項の規定(酒気帯び運転の規定)に違反して車両等を運転するおそれがあると認められたとき
3 何をした? →警察官の飲酒検知検査を拒み、又は妨げた
以下では、各要件についてみていきたいと思います。
~ 誰が?(上記1について) ~
飲酒して、当該車両に乗車したばかりの者、又は現に乗車しようとしている者はもとより、いったん運転を開始して途中停車している者(警察官が一斉検問中、進行してきた車両を停止させたとき、その車両を運転していた者)又は下車して再び乗車しようとしている者も含まれると解され、必ずしも運転したことを要しないと解されています。
「乗車しようとしている」の程度については、車両等のドアに手をかけた又はかけようとしている段階と解されています。
よって、ある方が居酒屋から飲酒状態で出てきて、ドライブキーを持ちながら駐車場に停めてある車の方に向かっている時点では「乗車しようとしている」とはいえません。
~ どういう場合に?(上記2について) ~
酒気帯び運転の禁止に違反して車両等を運転するおそれがあると認められるときをいいます。
「酒気帯び」とは、外観上(顔色,呼気,言動等)から飲酒状態と認知できる状態をいい、外観上から認知できればよいのですから、機器等で正確にアルコール保有値を図る必要はありません。
「車両等を運転するおそれがある認められるとき」とは、周囲の状況等により、その者が車両等を運転することが客観的に認められる状態をいうと解されています。
~ 何をした?(上記3について) ~
「拒み」とは、言語、動作、態度により、拒否の意思が客観的に明らかになったと認められる段階のことをいいます。
・明確に「嫌だ」と拒否する
・風船を受け取らない
・うがいをしない
・風船を受け取ったがふくまらせない
などの行為が挙げられます。
「妨げ」については
・検知管、酒気帯び鑑識カードを破損する、隠匿する
などの行為が挙げられます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、飲酒検知拒否罪をはじめとする刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。
弊所では0120-631-881で24時間、初回接見サービス、無料法律相談のお問い合わせ・ご予約を受け付けております。
東京都の飲酒検知拒否事件でお困りの際は、一度弊所弁護士までご相談ください。
減らない飲酒運転
減らない飲酒運転
福岡県うきは市に住む会社員のAさんは大のお酒好きです。
Aさんは、職場の飲み会に参加し、そこで、ビール2杯(中ジョッキ)、焼酎5杯(200ml水割り、いずれも半分の量)、ウィスキー(ダブル5杯)を飲みました。
飲み会は午前1時に終わり、その際はタクシーで帰宅しました。
そして、Aさんはシャワーを浴び、ひと眠りして午前7時に起きました。
Aさんは、「昨晩、かなりの量のお酒を飲んだ。」との認識はありましたが、「一晩寝たから大丈夫だろう」と思い、いつも通り車を運転して出勤しました。
そうしたところ、Aさんは警邏中の福岡県うきは警察署のパトカーに呼び止められ、警察官から呼気検査を求められました。
すると、呼気から0.5mgのアルコールが検出され、Aさんは道路交通法違反(酒気帯び運転の罪)の被疑者として検挙されてしまいました。
Aさんは逮捕されませんでしたが、その後の処分が気になって弁護士に相談に行きました。
(フィクションです)
~ 根絶には程遠い飲酒運転 ~
飲酒運転の検挙は後を絶ちません。
平成30年度版の犯罪白書によれば、平成29年度に、酒酔い運転・酒気帯び運転の飲酒運転で検挙、検察庁へ送致された件数は、2万7195件だったそうです。
平成で最も検挙者が多かった平成9年の34万3593件に比べれば1/10以上減少していますが、近年の飲酒運転の検挙数に目を向けると
平成25年 2万869件
平成26年 2万7122件
平成27年 2万6664件
平成28年 2万6423件
とほぼ横ばいとなっており、なかなか「飲酒運転の根絶」には程遠い状況です。
~ 飲酒運転による交通事故は? ~
では、飲酒運転による交通事故の件数はどう推移してきているのでしょうか?
警察庁の発表によれば、平成30年は、3355件で、年々減少傾向が続いていますが、平成20年度(6219件)以降は減少幅が落ちてきており、飲酒運転同様根絶には程遠い数字となっています。
* 飲酒運転による死亡事故件数 *
平成30年度の飲酒運転による死亡事故件数は2881件とこれも年々減少傾向にあるといえます。
しかし、飲酒運転時の交通死亡事故発生率は、そうでないときに比べ「約8倍」あるといわれており、飲酒運転は交通死亡事故に繋がりやすいといえます。
~ 飲酒運転に対する刑罰 ~
飲酒運転をすれば以下のような厳しい刑罰を受けるおそれがあります。
・酒気帯び運転の罪【3年以下の懲役又は50万円以下の罰金】
→血液1ミリリットルにつき0.3mg又は呼気1リットルにつき0.15mg以上アルコールを保有する状態で車両等(軽車両(自転車など)を除く)を運転した場合に問われ得る罪です。
・酒酔い運転の罪【5年以下の懲役又は100万円以下の罰金】
→酒気を帯びて車両等を運転した場合に、酒に酔た状態であった場合に問われ得る罪です。
・過失運転致死傷罪【7年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金】
→飲酒運転中に、過失によって人を死傷させた場合に問われ得る罪です。
・危険運転致死傷罪【人を負傷させた場合は15年以下の懲役、死亡させた場合は1年以上の有期懲役】
→アルコールの影響により正常な運転が困難な状態で自動車を走行させて、人を負傷させたり、死亡させた場合に問われ得る罪です。
~ 原因はドライバーの認識の甘さ ~
飲酒運転の原因は、ドライバーの認識の甘さにあるとも言われています。
飲酒運転をした方の中には
・一晩寝たから大丈夫
・酒に強いから大丈夫
・それほど飲んでいないから大丈夫
・これまでに事故を起こしたことがないkら大丈夫
・警察に見つかっていないから大丈夫
などと言い訳をする方がおられます。
アルコールの分解は、性別、年齢、体重、体質、体調などによっても変わり得るもので、睡眠中は分解速度が遅くなると言われています。
たとえ、自分は大丈夫、と思っても、様々な事情から飲酒運転の認識ありとされてしまいますので、注意が必要です。
~ おわりに ~
最近は、飲酒運転による事故ではないものの、交通事故によって幼い子供の命が奪われるという痛ましい事故のニュースをよく目にします。
そういう悲惨な事故を起こさないためにも、お一人お一人が飲酒運転のおそろしさ、怖さを自覚する必要があるでしょう。
もし、飲酒運転でお困りの際は、弊所の弁護士までご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。
お困りの方は、まずはお気軽に0120-631-881までお電話ください。
無料法律相談、初回接見サービスを24時間体制で受け付けております。
空き地で交通違反・交通事故
空き地で交通違反・交通事故
京都府城陽市に住むAさんはお酒を飲んだ後,駐車スペースを空けるため,空き地において軽自動車を運転したところ,たまたま近くを通りかかった京都府城陽警察署のパトカーに呼び止められました。
Aさんは,警察官から呼気検査を受けたところ,呼気1リットルにつき0.2mgのアルコールが検出されました。
そして,Aさんは,道路交通法違反(酒気帯び運転の罪)の被疑者として警察官から赤切符の交付を受けました。
Aさんとしては,「空き地であれば酒気帯び運転しても問題ない」と考えていましたが,警察官からは「私道でも交通違反になることがある」と言われてしまいました。
(フィクションです)
~ はじめに ~
自動車を運転する道は必ずしも公道だけに限らず,私道の場合もあります。
そして,そこが道路交通法上の「道路」と認められる場合である場合は,たとえ「私道」であっても道路交通法の適用を受けるのです。
そこで,今回は,道路交通法の基本中の基本である「道路」の意義を中心に解説したいと思います。
~ 道路交通法上の「道路」の意義 ~
道路交通法2条1項1号で「道路」とは,「道路法第2条第1項に規定する道路,道路運送法第2条第8項に規定する自動車道及び一般交通の用に供するその他の場所をいう」とされています。
「道路法第2条第1項に規定する道路」とは,①高速自動車国道,②一般国道,③都道府県道,④市町村道をいいます。
なお,都市高速道路は,都道府県道又は市町村道のいずれかに当たります。
「道路運送法第2条第8項に規定する自動車道」とは,専ら自動車の交通の用に供することを目的として設けられた道で道路法による道路以外のものをいい,「一般自動車道」と「専用自動車道」に分けられます。
「一般自動車道」とは,専用自動車道以外の自動車道をいい,「専用自動車道」とは,自動車運送事業者(自動車運送事業を経営 する者をいう。以下同じ。)が専らその事業用自動車(自動車運送事業者がその自動車運送事業の用に供する自動車をいいます。
~ 一般交通の用に供するその他の場所 ~
では,最後の「一般交通の用に供するその他の場所」とはどのような場所をいうのでしょうか?
「一般交通の用に供するその他の場所」とは,不特定の人や車両が自由に通行できる場所をいい,公道であるか私道であるかを問わないとされています。
そして,交通実務では,次の3点から「一般交通の用に供するその他の場所」かどうかを判断しています。
①一般交通の用に供されていると客観的に識別できること
②当該道路が反復,継続して利用されていること
③公開されていること
これらの要素が満たされた場所であれば,「私道」,「空地」,「広場」,「海辺」,「公開中の公園の道路」,「学校の構内の道路」,「神社の境内」等を問わず,道路交通法上の「道路」とされます。
~ 「道路」であるとどうなるの? ~
「道路」であると認められる場合は,道路交通法に基づく罰則を科される可能性が出てきます。
ちなみに,Aさんは酒気帯び運転をした疑いが高いわけですが,酒気帯び運転について定めた道路交通法65条1項は,まず,「何人も,酒気を帯びて運転してはならない」と規定し,さらに「運転」の意義については,道路交通法2条1項17号で「『道路』において,車両又は路面電車(以下,車両等という)をその本来の用い方に従って用いることをいう。」とされています。
したがって,「空き地,駐車場では絶対に交通違反にはならない」などという認識は誤りですから注意しましょう。
* 人身事故の場合は? *
仮に,「道路」では場所で,人身事故を起こした場合はどうでしょうか?
この場合,道路交通法の適用とありませんが,過失により人に怪我をさせたり死亡させた場合は,「自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律」に規定される過失運転致死傷罪に問われる可能性があります。
同罪の罰則は「7年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金」です。
~ おわりに ~
道路交通法は,「道路」における危険を防止し,その他交通の安全と円滑を図り,及び道路の交通に起因する障害の防止に資することを目的としています。
したがって,道路交通法を理解することは「道路」意義を理解するといっていいほど「道路」の意義は重要です。
皆さんも,日頃運転している道が「道路」なのか否か少し気に留めてみてはいかがでしょうか?
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,交通違反をはじめとする刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。
交通違反に関連する刑事事件でお困りの方は,0120-631-881までお気軽にお電話ください。
無料法律相談,初回接見サービスのお問合せを24時間受け付けております。
直進車と右折車の交通事故
直進車と右折車の交通事故
Aさんは、普通乗用自動車を運転して兵庫県尼崎市内の交差点を直進しようとしてたところ、Vさん運転の軽自動車が同交差点を右折してきた(Aさんから見て左折してきた)ため、これを避けようとしてハンドルを左に切りました。
しかし、Aさんの車はVさんの車と衝突してしまい、さらに交差点で信号待ちをしていた歩行者Wさんにも衝突させるなどして怪我を負わせてしまいました。
事故後、兵庫県尼崎北警察署の警察官が現場に駆け付け、Aさん、Vさんは過失運転致傷罪の被疑者として捜査を受けることになりました。
(事実を基にしたフィクションです)
~ はじめに ~
先日、滋賀県大津市内の信号交差点で、直進車と右折車が衝突し、右折車を避けようとした直進車が保育園児らの列に突っ込み、園児2名を死亡させ、14人に重軽症の怪我を負わせるという痛ましい悲惨な事故が起きたことは記憶に新しいと思います。
報道によると、交通事故に関して、直進車の運転者の方は「突然、右折してきた」「右折車をよけようとハンドルを左に切った」と話しており、直進車の運転者の方は「前をよく見ていなかった」などと話しているとのことです。
全国的にみても、交差点における「直進車と右折車」の交通事故は比較的多いかと思われます。
そこで、今回は「直進車と右折車」の交通事故に関する基本原則について確認していきたいと思います。
~ 基本的には右折車が悪い ~
交差点における直進車と右折車の交通事故においては、通常、「直進車が優先」です。
したがって、交差点における直進車と右折車の交通事故の場合、右折車の運転者に過失有りとされることが多いかと思います。
これは、道路交通法37条が、
車両等は、交差点で右折する場合において、当該交差点において直進し、又は左折しようとする車両があるときは、当該車両等の進行を妨害してはならない
としているところに根拠があります。
これを直進車の運転者側から解釈すると「右折車両が交通法規(道路交通法37条)に従って停止し、自車の通過を待つものと信頼して進行することが許されている」ということができます。
~ 例外もある ~
しかしながら、どのような場合でも右折車の運転者に過失があり、直進車の運転者には過失がないというわけではありません。
例えば、直進車の運転者が法外な速度で交差点に進入してきた場合などです。
そのような場合、右折車の運転者において、法外な速度で交差点に進入してくることまで予測して、安全を確認すべき注意義務(過失)はないとされます。
同種事例における過去の裁判例では、右折車運転者の過失を否定したもの(平成13年10月24日、東京高裁など)もあれば、肯定したもの(平成5年2月1日、仙台高裁など)もあります。
~ どうして直進者の運転者も被疑者扱い? ~
これまでご説明してきた内容からすれば、基本的に直進車の運転者は「被害者」となり得ると思います。
しかし、事例や大津市で起きた交通事故の直進車の運転者は被疑者として扱われています。
どうしてでしょうか?
それは、まず、直接に被害者を死亡させたり、怪我を負わせているのは直進車の運転者だからです。
刑事事件では、まず、結果(死亡、怪我)を発生させた直接の原因となる行為をした人に焦点を当てます。
それが、直進車の運転者だったということになります。
また、事故直後では、直進車の運転者に過失があるのか、右折車の運転手に過失があるのか証拠関係から明らかでなく不明です。
そこで、直進車の運転者も被疑者として扱われたものと考えられます。
~ AさんVさんの刑事処分、量刑は? ~
まず、Aさんについてですが、Aさんに過失が認められない限りは、不起訴処分(起訴猶予あるいは嫌疑不十分)となる可能性が高いと考えます。
次に、Vさんについてです。
まず、Vさんに過失が認められ、それによってWさんが怪我をした、つまり過失と結果との間に因果関係が認められる場合は起訴される可能性が高いでしょう。
略式起訴か正式起訴からは、Wさんの怪我の程度などの事情にかかってきます。
~ おわりに ~
今回は、実際に起きた交通事故を基に事例を作成しています。
この記事を読まれて、少しでも日頃の運転、特に交差点における運転に注意していただければ幸いです。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件、少年事件を専門とする法律事務所です。
刑事事件、少年事件でお困りの方は、まずは、お気軽に0120-631-881までお電話ください。
無料法律相談、初回接見サービスのお問合せ・お申込みを24時間受け付けております。
大阪府箕面警察署管内のひき逃げ事件
大阪府箕面警察署管内のひき逃げ事件
【事件】
通勤中のAさんは、大阪府箕面市の路上を会社に向かって自動車で走行中、信号がついている交差点に進入したところで何か物に当たったような重たい音と小さな揺れを感じました。
場所は住宅街で死角も多く、Aさんはもしかしたら人をはねたかもしれないと思いましたが、会社に急いでいたためそのまま走り去りました。
そのとき信号はちょうど黄色から赤色に変わったところでした。
帰宅途中、Aさんは通勤中に物音と揺れを感じたあたりで、大阪府箕面警察署の警察官に停止を求められ、Aさんは停車しました。
警察官は、今朝この付近で人が車にはねられてけがをする事件が発生しておりその犯人を捜していること、被害者の証言と一致した車種と色の車に職務質問をしていることを告げ、何か知っていることや心当たりのあることはないかAさんに質問しました。
Aさんはもしかしたら自分かもしれないと思い、その旨を告げると警察官とともに大阪府箕面警察署に向かいました。
Aさんの証言と自動車についた傷などの状況から、警察官はAさんを過失運転致傷罪(自動車運転死傷行為処罰法第5条)および道路交通法違反(同法72条)の容疑者として捜査を行うことにしました。
(フィクションです)
【ひき逃げ】
一般にいうひき逃げとは、道路交通法の第72条に違反することをいいます。
交通事故に関係した車両等の運転者等について、道路交通法第72条には次のような義務があると定められています。
① 直ちに運転を停止する義務
② 負傷者の救護義務
③ 道路上の危険防止の措置義務
④ 警察官に、発生日時、死傷者・物の損壊の状況や事故後の措置、積載物を報告する義務
⑤ 報告を受けた警察官が必要と認めて発した場合に、警察官が到着するまで現場に留まる命令に従う義務
これらのうち②救護義務違反と④報告義務違反の場合がひき逃げとされることが多いです。
今回のケースを見れば、Aさんは被害者を救護する行為や警察に報告する行為をしていないため、②と④の義務に違反していると認められひき逃げとなると考えられます。
ひき逃げをした場合の法定刑は、
②救護義務違反の場合は10年以下の懲役又は100万円以下の罰金(事故の原因が本人に無い場合は5年以下の懲役または50万円以下の罰金)
④報告義務違反の場合は3月以下の懲役または5万円以下の罰金
となります。
①の救護義務違反と④の報告義務違反は「一個の行為」であり観念的競合とするとした判例がありますので、この場合はより重たい10年以下の懲役又は100万円以下の罰金の範囲で刑が決まります。
【過失運転致死傷罪】
過失運転致死傷罪は、自動車の運転に必要な注意を怠ったために人を死傷させた場合に成立します。
この事件の場合、被害者はけがをしたにとどまっていますので、過失運転致傷罪になります。
この罪の法定刑は7年以下の懲役もしくは禁錮または100万円以下の罰金です。
また、この罪は但書で被害者のけがが軽い場合はその刑を免除することができるとされています。
今回、Aさんは信号が赤色の灯火に変わった交差点に進入し、もしこのときに赤色の灯火を不注意により認識していなかったこと等の事情が認められれば、自動車運転上必要な注意を怠った(過失がある)と認められることになります。
【危険運転致傷罪】
注意しなければならないのは、今回の事件のようなケースですと、さらに重い罪に問われる可能性があるということです。
それは、危険運転致死傷罪(自動車運転死傷行為処罰法第2条)です。
この罪は、
1.アルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状況で自動車を走行させる行為
2.進行を制御することが困難な高速度で自動車を走行させる行為
3.進行を制御する技能を有しないで自動車を走行させる行為
4.人または車の通行を妨害する目的で走行中の自動車の直前に進入し、その他通行中の人または車に著しく接近し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を走行させる行為
5.赤色信号またはこれに相当する信号を殊更に無視し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を走行させる行為
6.通行禁止道路を進行し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為
のいずれかに当たる行為を行って人を死傷させた場合に成立します。
法定刑は、被害者を死亡させた場合に1年以上の有期懲役、負傷させた場合は15年以下の懲役となっています。
「重大な交通の危険を生じさせる速度」とは、判例によれば、時速20キロから30キロの速度で走行していれば、危険速度に当たるとされる場合が多いようです。
今回の場合ではAさんは赤信号の交差点に減速することなく進入しけがをさせていますので、場合によっては5.の類型に当たることも考えられます。
赤信号を殊更に無視するとは、赤色信号であることの確定的な認識がない場合であっても、信号の規制自体に従うつもりがないため、その表示を意に介することなく、たとえ赤色信号であったとしてもこれを無視する意思で進行する行為をも含(最決平20・10・16刑集62巻9号2797頁)みます。
Aさんは仕事に遅れないよう信号に従わず車を走行させていますので、危険運転致傷罪の容疑に切り替わる可能性もありそうです。
【弁護活動】
Aさんに依頼された弁護士の活動としては、まず被害者との示談を目指して活動していくことが考えられます。
示談をすることで被害感情の治まりをアピールすることができ、不起訴処分や罰金刑での事件収束、執行猶予の獲得も期待できます。
対人の交通事故を起こしてしまった方、ご家族やご友人が大阪府箕面警察署でひき逃げ事件の取り調べを受けて困っている方は、交通犯罪に強い弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談下さい。
過失運転致死罪から殺人罪へ
過失運転致死罪から殺人罪へ
Aさん(45歳)は、埼玉県蕨市を通っている一般道において車を時速60メートルで運転していたところ、携帯電話に脇見をして前方を左から右へ横断中のVさん(78歳)に自車を衝突させてその場に転倒させてしまいました。
Aさんは、車が少し浮いたような感じだったことから「Vさんに乗り上げたかもしれない」とは思いましたが、「Vさんが死んでも、誰も見てないし見つかりはしない」と思い、車から降りてVさんの様子を確認することなくその場を後にしました(Vさんはその後死亡)。
そうしたところ、Aさんは、埼玉県蕨警察署に過失運転致死罪で逮捕され、その後、殺人罪に切り替え起訴されてしまいました。
Aさんは「殺すつもりはなかった」などと話しています。
(フィクションです)
~ 過失運転致死罪と殺人罪 ~
まず始めに、過失運転致死罪と殺人罪について簡単にご紹介いたします。
= 過失運転致死罪 =
過失運転致死罪は「自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律(以下、法律)」という法律の第5条に規定されています。
法律5条
自動車の運転上必要な注意義務を怠り、よって人を死傷させた者は、7年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金に処する。
ただし、傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができる。
この条文の「必要な注意義務を怠り」という部分が「過失」にあたります。
自動車運転者としては、前方左右をよく確認しながら運転することが求められますから、今回のAさんは「携帯電話を脇見したこと」が「過失」に当たると判断され逮捕されてしまったのでしょう。
= 殺人罪 =
殺人罪は刑法199条に規定されています。
刑法199条
人を殺した者は、死刑又は無期若しくは5年以上の懲役に処する。
交通事故といえば、過失運転致死罪のほか過失運転致傷罪、危険運転致死傷罪などの罪名を思い浮かべる方も多い方とは思いますが、事案によっては刑法に規定されている罪名も適用されることは十分あり得ます。
今回はVさんが死亡しているので殺人罪で起訴されていますが、怪我など傷害を負わせた場合は「傷害罪(刑法204条)」、その結果、人を死亡させた場合は「傷害致死罪(刑法205条)」が適用されます。
~ なぜ、殺人罪?? ~
では、なぜ、Aさんは殺人罪で起訴されてしまったのでしょうか?
この点に関しては、過失運転致死罪は「過失犯」と殺人罪は「故意犯」という罪の性質の違いが大きく影響しています。
過失とは、不注意によって、結果(本件の場合、Vさんの「死」)発生に対する認識、認容しなかったこと、反対に、故意とは、結果(本件の場合、Vさんの「死」)発生に対する認識、認容があることをいいます。
殺人罪の場合、故意は殺意とも言われます。
したがって、過失運転致死罪と殺人罪との分水嶺は「殺意」の有無にありそうです。
~ 殺意の認定は難しい ~
殺意とは,要は「人の内心」ですから,本人が語らなければ殺意があったかどうか認定することは難しくなります。
刑事実務では,加害者の供述のほかに、被害者の受傷の部位、受傷の程度、犯行道具の有無・内容、犯行態様、犯行に至るまでの経緯、犯行時の加害者の言動、犯行後の言動などの要素から殺意を認定するとしています。
しかし、交通事故に関しては、さらに認定が難しいと思われます。
なぜなら、交通事故の場合、「明らかに車を走らせる場所ではない場所で、特定人の歩行者めがけて車を走らせて衝突させ、歩行者を死亡させた」などという明らかに殺意が認められるケースは稀だからです。
~ 過失運転致死罪から殺人罪は稀 ~
したがって、過失運転致傷罪から殺人罪に切り替えられて起訴されるケースは極めて稀といっていいでしょう。
しかし、その可能性が全くないかといえばそうではありません。
交通事故の場合、事故現場にどういう痕跡が残されていたかも重要です。
例えば、事故現場にブレーキ痕が全く残っていなかったという場合は「殺意」有りとの認定に傾くでしょうし、反対に残っていた場合は「殺意」なしの認定に傾きます。
いずれにしても、過失運転致死罪の法定刑と殺人罪との法定刑とには大きな開きがありますから、殺意の認定には慎重な検討が求められます。
また、裁判でも明らかにしていく必要があるでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,交通事故をはじめとする刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。
刑事事件・少年事件でお困りの方は、まずはお気軽に、0120-631-881までお電話ください。
24時間,無料法律相談,初回接見サービスのご予約を受け付けております。
(埼玉県蕨警察署までの初回接見費用:37,300円)
バイクで飲酒運転
バイクで飲酒運転
神奈川県茅ケ崎市に住むAさんは、高校時代の友人と飲み会をすることになり、バイクで居酒屋に向かいました。
久しぶりに会った友人との飲み会は大いに盛り上がり、Aさんはかなり酔っぱらってフラフラな状態でした。
その後、飲み会が終わり、解散することになりました。
フラフラな状態のAさんを見て友人は、「バイク置いてタクシーで帰れよ」と言いました。
それに対しAさんは、「近くだからバイク押して帰る」などと言いながら、バイクを押して帰っていきました。
Aさんは、途中でバイクを押すことに疲れ、バイクを運転してしまいました。
しかし、フラフラな状態のAさんは、案の定、バランスを崩して転倒。
歩道にバイクごと乗り上げ、歩行者とぶつかりケガをさせてしまいました。
Aさんもケガをしたことから、歩行者とともに救急車で病院に運ばれました。
翌日、Aさんの入院する病院に神奈川県茅ケ崎警察署の警察官が訪れ、もう少し回復したら取調べをする旨を言い残し、帰っていきました。
Aさんはどうなってしまうのでしょうか。
(フィクションです)
~バイクの飲酒運転もダメ、ゼッタイ~
飲酒運転で人を死傷させたニュースを見ると、自動車を運転して事故を起こしたケースが多いと思います。
しかし、当然ながらバイク・原付での飲酒運転も禁止されており、事故を起こした際には自動車の飲酒運転の場合と同じ法律が適用されます。
条文を見てみましょう。
——————
道路交通法
第65条1項
何人も、酒気を帯びて車両等を運転してはならない。
第117条の2
次の各号のいずれかに該当する者は、5年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。
第1号 第65条(酒気帯び運転等の禁止)第1項の規定に違反して車両等を運転した者で、その運転をした場合において酒に酔つた状態(アルコールの影響により正常な運転ができないおそれがある状態をいう。以下同じ。)にあつたもの
第117条の2の2
次の各号のいずれかに該当する者は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
第3号 第65条(酒気帯び運転等の禁止)第1項の規定に違反して車両等(軽車両を除く。次号において同じ。)を運転した者で、その運転をした場合において身体に政令で定める程度以上にアルコールを保有する状態にあつたもの
自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律(自動車運転処罰法)
第2条
次に掲げる行為を行い、よって、人を負傷させた者は十五年以下の懲役に処し、人を死亡させた者は1年以上の有期懲役に処する。
第1号 アルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態で自動車を走行させる行為
第3条
アルコール又は薬物の影響により、その走行中に正常な運転に支障が生じるおそれがある状態で、自動車を運転し、よって、そのアルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態に陥り、人を負傷させた者は12年以下の懲役に処し、人を死亡させた者は15年以下の懲役に処する。
第5条
自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、7年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金に処する。
ただし、その傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができる。
——————
飲酒運転には、罪が軽い順に以下のような罪が成立する可能性があります。
①酒気帯び運転の罪(道路交通法第65条1項、第117条の2の2第3号)
②酒酔い運転の罪(道路交通法65条1項、第117条の2第1号)
③過失運転致傷罪(自動車運転処罰法5条)+①または②
④自動車運転処罰法3条の危険運転致死傷罪
⑤自動車運転処罰法2条1号の危険運転致死傷罪
①と②は事故を起こしていなくても飲酒運転をした時点で成立し、免許取消しや免許停止にもなるでしょう。
①はろれつが回らなかったり、千鳥足になっているなど、正常な運転が出来ない恐れがある場合で、そこまでではないが飲酒はしているという場合が②です。
さらに人をケガさせたり、死亡させた場合には、③④⑤が成立する可能性が出てきます。
③は、飲酒運転をしているが、事故の直接の原因が飲酒運転以外にある場合(たとえばわき見運転やスピード違反)に成立します。
④と⑤は事故の直接の原因が飲酒運転にある場合です。
⑤は最初から正常な運転が困難な状態で運転した場合を規定しています。
④は正常な運転に支障が生じるおそれがあるにとどまる状態で運転をはじめ、やがて正常な運転が困難な状態に陥って事故を起こした場合を規定しています。
⑤の方がより悪質なので、より重い刑罰が定められています。
~逮捕・懲役の可能性も~
今回のAさんのような場合にどの条文が適用されるかの判断は難しいところです。
実際には、より詳しい事情もふまえて判断されることになりますが、居酒屋を出た時やバイクを乗る時にフラフラだったことを考えれば、一番重い⑤の危険運転致傷罪が成立する可能性も否定できません。
そして警察はAさんの回復を待ってAさんを逮捕するかもしれません。
その後、刑事裁判を受けて、懲役刑を受ける可能性もあるでしょう。
自動車での飲酒運転はもちろん、バイク・原付の飲酒運転で交通事故を起こした場合も、一度弁護士に相談されるとよいでしょう。
弁護士であれば、それぞれの事案に応じた今後の見通しや、取調べの受け方についてアドバイスすることができます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事弁護を専門とする弁護士による法律相談が初回無料となっております。
ぜひ0120-631-881までご連絡ください。
(神奈川県茅ケ崎警察署までの初回接見費用:37,600円)
東京都東久留米市で示談・不起訴獲得
東京都東久留米市で示談・不起訴獲得
~ケース~
会社員のAさんは,東京都東久留米市で自動車を運転中,ふとよそ見をしていたところ,わき道から歩いて来たVさんと接触してしまった。
Vさんはその場で転倒し,全治2週間の怪我を負ってしまった。
Aさんはその場で警視庁田無警察署に通報し,救急車を呼んで事故の対応をした。
ところで,Aさんは取締役をしており,規則には刑事罰を受けた場合には取締役から外される旨が定められていた。
Aさんは事故を不起訴にできないかと弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士に相談した。
(フィクションです。)
~過失運転致傷~
今回のAさんのような交通事故は自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律(通称:自動車運転処罰法)の過失運転致傷罪(第5条)となります。
過失運転致傷罪の法定刑は7年以下の懲役もしくは禁錮または100万円以下の罰金となっています。
また,軽傷の場合には刑の裁量的免除ができる規定がありますが,今回のケースでは全治2週間ですので軽傷というのは難しいと思われます。
そのため,Aさんが刑事罰を受けないためには事件が刑事裁判とならない,すなわち不起訴処分となるように活動する必要があります。
~不起訴処分~
刑事事件が起きた場合には警察による捜査を経て,原則的に事件は検察官に送致されます。
事件の送致を受けた検察官は事件を起訴するか不起訴とするかを決定します。
事件が起訴された場合には刑事裁判を受けることになり,ほとんどの場合に刑事罰を受けることになります。
一方で,不起訴となった場合には事件はそこで終了し刑事裁判を受けることも刑事罰を受けることもありません。
不起訴処分には事件事務規定75条2項によって全部で20種類に分類されていますが不起訴処分のほとんどは起訴猶予によるものです。
起訴猶予とできる場合としては「被疑事実が明白な場合において,被疑者の性格,年齢及び境遇,犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の情況により訴追を必要としないとき。」とされています。
すなわち,検察官が刑事罰を科す必要がないと判断した場合に起訴猶予の不起訴処分とすることになります。
刑事罰を科す必要があるかどうかの判断は事件を担当する検察官によって異なりますが,多くの場合は,事件の態様,被疑者の前科の有無,被害弁償の情況,被害者の処罰感情などが考慮されます。
~弁護活動~
前科のない方の交通事故の場合,重大な事故でなければ被害者の方と示談が成立すれば起訴猶予となる場合も見られます。
その為,起訴猶予となるためには被害者の方と示談をすることが重要となります。
しかし,交通事故の被害者の方と面識があるというケースは非常に稀でしょう。
そのため,示談交渉をしようと思っても被害者の方の連絡先などがわからないことがほとんどだと思います。
弁護士であれば,警察や検察官から被害者の方の同意のもと,連絡先を取り次いでもらえる場合もあります。
被害者の方の連絡先を取り次いでもらえれば,示談交渉も可能となります。
示談の際には,示談書に「加害者を許す,刑事処罰を求めない」という内容の宥恕条項を盛り込んでもらうことが重要になります。
先ほど述べた通り,起訴猶予の不起訴処分には被害者の処罰感情も考慮されます。
事件の内容にもよりますが,被害者と加害者の間で事件が解決しているような場合にあえて国家が刑事罰を科す必要はないと考えられるからです。
また,今回のケースではAさんは事故直後に警察・救急車を呼んでおり報告義務・救護義務違反など(いわゆるひき逃げ)を犯していないことも重要です。
いわゆるひき逃げを犯してしまった場合には軽微な事故で示談が成立している場合であっても不起訴処分とならない場合もありますので注意が必要です。
交通事故を起こしてしまった場合にはまずは交通事故の刑事弁護に詳しい弁護士に相談されることをお勧めします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は交通事件を含む刑事事件専門の法律事務所です。
交通事故を起こしてしまい,お困り・お悩みの方は0120-631-881までお気軽にご相談ください。
警察署などでの初回接見・事務所での無料法律相談のご予約を24時間受付けています。
(事務所での法律相談は初回1時間無料です)