Archive for the ‘ブログ’ Category

(事例紹介)道路の使用の許可に抵触する行為

2023-05-03

(事例紹介)道路の使用の許可に抵触する行為

道路使用許可違反について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

・参考事例

山車が激しくぶつかりあう「突き当て」で知られる福岡県苅田町の「苅田山笠」で、許可されていない道路上で突き当てをしたとして、行橋署は10日、山車を先導していた総括責任者の会社員男性(51)を道路交通法違反(道路使用許可違反)の疑いで行橋区検に書類送検したと発表した。男性は「危ないとは分かっていたが、達成感と満足感を得るためだった」と話しているという。

署によると、男性は昨年10月2日午後5時過ぎ、苅田町京町1丁目の路上で、「いけー」などと呼びかけて、指揮する山車の舁(か)き棒を、他の山車に16回衝突させ、署の道路使用許可条件に従わなかった疑いがある。

山車は全長約15メートル、幅と高さは各約3メートルで、数十人がかりで運行させる。
突き当ては通常、町役場前の駐車場で実施され、署は道路使用許可を出す際、道路上では突き当てをしないよう条件を付けていた。
道路上で突き当てをした際、現場で署員が中止を呼びかけたが、男性は止めなかったという。

(中略)

(朝日新聞デジタル 令和5年4月10日(月) 20時11分配信 「許可外なのに「いけー」 路上で山車激突16回、責任者を書類送検」より引用)

・道路の使用の許可

参考事例の道路使用許可違反は道路交通法の77条各項に定められています。
同法77条は1号から4号までの行為を挙げ、それらを行う際は当該行為に係る場所を管轄する警察署長の許可を受けなければならないと定めています。
参考事例における男性は、下記の号に違反した疑いがあると考えられます。

道路交通法77条第1項4号
前各号に掲げるもののほか、道路において祭礼行事をし、又はロケーシヨンをする等一般交通に著しい影響を及ぼすような通行の形態若しくは方法により道路を使用する行為又は道路に人が集まり一般交通に著しい影響を及ぼすような行為で、公安委員会が、その土地の道路又は交通の状況により、道路における危険を防止し、その他交通の安全と円滑を図るため必要と認めて定めたものをしようとする者

要するに、道路は車両や歩行者の通行のために用いられる場所であり、それらの場所を通行することは何ら問題となりませんが、道路で祭礼行事をしたりロケーション(ドラマや映画を撮影する等)をする際には、予め所轄の警察署署の許可を必要とします。
今回の神事では、予め警察署長の許可を得て行われていたのですが、その許可にない場所に山車を運び喧嘩神事を行ったことが問題となっているのです。
本条に違反した場合の罰条は「3月以下の懲役又は5万円以下の罰金」とされています(道路交通法119条第2項)。

・弁護士への相談

道路交通法の第1条では、道路交通法の目的は「この法律は、道路における危険を防止し、その他交通の安全と円滑を図り、及び道路の交通に起因する障害の防止に資すること」としています。
そのため、自動車やバイクなどの車両を運転する場合のみならず、歩行者の行為についても禁止・処罰する規定が設けられています。
一般には馴染みのない条文も多いことから、道路における禁止行為をして捜査を受けているという場合、一度弁護士に相談して罪の成立可否や取調べでのアドバイス、今後の見通しなどについて相談した方が良いと思われます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件と少年事件を専門とする弁護士事務所です。
当事務所では、これまで数多くの交通事件・事故を取り扱ってきました。

道路の使用の許可等、馴染みのない罪名で捜査を受けている場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所に御連絡ください。
在宅事件の場合は事務所にて無料で相談を受けることができます。
家族が逮捕・勾留されている場合はこちら。

(事例紹介)酒気帯び運転と酒酔い運転

2023-04-26

(事例紹介)酒気帯び運転と酒酔い運転

お酒を飲んで運転をする飲酒運転で問題となる酒気帯び運転・酒酔い運転の罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

・参考事例

三重県名張市で、飲酒運転をしたとして、自称71歳の男が逮捕されました。
逮捕されたのは、自称・名張市に住む71歳の無職の男です。
警察によりますと、男は10日午後9時ごろ、名張市の国道165号で、酒を飲んだ上で軽四トラックを運転した、道路交通法違反の疑いが持たれています。
片側一車線で中央分離帯の無い国道を、警察がパトカーでパトロールしていたところ、目の前でふらつきながら運転をしていた男の車を発見。
停止を求め、職務質問しようとした際、酒の匂いがしたため検査を行ったところ、飲酒運転が発覚しました。
同乗者はおらず、調べに対し、男は容疑を認めているということで、警察が酒を飲んだ場所など、詳しい経緯を調べています。

(CBCテレビ 4月11日(火) 6時04分配信 「”パトカーの目の前”をふらふら…パトロール中の警察が71歳の無職男を飲酒運転で逮捕 三重・名張市の国道で」より引用)

・飲酒運転

飲酒運転」はテレビなどで目にすることの多い言葉ですが、これは通称であり、道路交通法などには飲酒運転という単語は登場しません。
まず、道路交通法65条第1項は「何人も、酒気を帯びて車両等を運転してはならない。」と定めています。

①酒気帯び運転について
道路交通法117条の2では

次の各号のいずれかに該当する者は、5年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。

と定めていて、同条1号で

第65条(酒気帯び運転等の禁止)第1項の規定に違反して車両等を運転した者で、その運転をした場合において酒に酔った状態(アルコールの影響により正常な運転ができないおそれがある状態をいう。以下同じ。)にあつたもの

とされています。
この場合の基準値は、呼気検査で1Lあたり0.15mg以上、血液検査で1mlあたり0.3㎎以上です。
上記基準値を上回るアルコールが検知された場合、酒気帯び運転に該当します。

②酒酔い運転について
道路交通法117条の2の2では

次の各号のいずれかに該当する者は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

と定めていて、同条3号で

第65条(酒気帯び運転等の禁止)第1項の規定に違反して車両等(軽車両を除く。次号において同じ。)を運転した者で、その運転をした場合において身体に政令で定める程度以上にアルコールを保有する状態にあつたもの

とされています。
酒酔い運転については①の酒気帯び運転とは違い明確な基準値があるわけではなく、アルコール検知の数値や受け答えの状態、歩行検査などを総合的に考慮し判断されます。
多くの事件で①酒気帯び運転の基準値を大きく上回る数値が検知された場合に②酒酔い運転と評価されますが、体質などで①の基準値未満であっても酩酊状態にあり運転していた場合には②酒酔い運転の罪が成立すると考えられます。

今回の報道事例ではどちらの罪が適用されたのか不明ですが、いずれの場合も、刑事罰が科せられたり行政処分を受けたりする可能性があるため、適切な対応が求められます。

・弁護士への相談

一般には飲酒運転という言葉でお酒を飲んで運転する道路交通法違反は知られていますが、このように状況次第で適用される条文が異なり、当然罰則にも差があります。
飲酒運転の嫌疑で逮捕・検挙された場合、当時の状況や警察官とのやり取りを踏まえ今後どのような手続き・見通しになるのか等、弁護士に相談や質問をしてアドバイスを求めることをお勧めします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門に取り扱う弁護士事務所で、交通事故・事件の弁護活動の経験も豊富です。
当事務所では、家族が逮捕・勾留されている場合、留置先の警察署や拘置所などに行って接見を行う初回接見サービス(有料)を実施しています。
また、在宅事件であれば、事務所にて無料で相談を受けて頂くことができます。

いわゆる飲酒運転をしてしまい、酒酔い運転・酒気帯び運転の罪で捜査を受けている方、あるいは家族が飲酒運転の嫌疑で逮捕・勾留されている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご連絡ください。

(事例紹介)歩行者にも適用される道路交通法違反

2023-03-08

(事例紹介)歩行者にも適用される道路交通法違反

多数の歩行者がいる交差点で歩行者や車の通行を妨害する危険な行為をし、禁止行為の道路交通法違反となった男性の事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説致します。

・参考事例

東京・渋谷のスクランブル交差点で花火を打ち上げて歩行者や車の通行を妨害した疑いで35歳の男が書類送検されました。
書類送検された35歳の男は去年11月、渋谷駅前のスクランブル交差点で手に持った連発花火を打ち上げ、歩行者や車の通行を妨害した道路交通法違反の疑いが持たれています。
捜査関係者によりますと、男は拡声器で叫びながらおよそ1分間に50発程度の花火を打ち上げ、駆けつけた警察官に取り押さえられました。ケガ人はいませんでした。
男は調べに対し、「世間の注目を集める渋谷スクランブル交差点で打ち上げ花火をあげれば目立つと思った」と容疑を認め、「危険な行為をしたことについては反省している」と話しているということです。
(FNNプライムオンライン 2月15日(水) 10時40分配信 「【独自】渋谷スクランブル交差点 “花火”打ち上げ男を書類送検 歩行者・車を妨害容疑「目立つと思った」 警視庁」より引用)

・道路における禁止行為等

参考事例に「歩行者や車の通行を妨害した道路交通法違反の疑い」とありますが、これは道路交通法の第5章である「道路の使用など」に定められています。
その条文とその罰則についての条文は下記の通りです。

道路交通法第76条第4項
何人も、次の各号に掲げる行為は、してはならない。
 7号 前各号に掲げるもののほか、道路又は交通の状況により、公安委員会が、道路における交通の危険を生じさせ、又は著しく交通の妨害となるおそれがあると認めて定めた行為

道路交通法第120条
次の各号のいずれかに該当する者は、5万円以下の罰金に処する。
(以下略)

上記の120条の第10号の中に、第76条第4項が含まれています。
道路交通法は、道路における危険の防止と円滑で安全な交通、交通に起因する障害を防止するための法律です。
そのため道路交通法には自動車などの車両の運転手だけでなく、歩行者などの道路を使用する者にも適用される条文が当然記載されています。
第76条第4項に「何人も」という表記がされていることからも、この条文が歩行者にも適用されることは明らかです。
参考事例では人通りが激しい渋谷のスクランブル交差点で、花火を打ち上げて交通の危険を生じさせていることから、道路交通法違反が適用されています。
参考事例のような禁止行為は、最高刑が5万円以下の罰金と軽微ではありますが、その場合でも前科が付くことになります。
なお、それ以外に道路交通法の定める禁止行為の中には懲役刑が定められている罪もあるため、禁止行為に該当する行為をした場合には、弁護士に相談することが望ましいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は道路交通法違反などを含む交通事故事件を数多く取り扱っている、刑事事件専門の弁護士事務所です。
道路上での禁止行為などに依り道路交通法違反で捜査を受けているという方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
在宅事件の場合、事務所にて無料で相談を受けることができます。
家族が道路交通法違反事件で逮捕・勾留されている場合はこちら。

(事例紹介)ながら運転を目撃され逮捕?

2023-02-22

(事例紹介)ながら運転を目撃され逮捕?

ながら運転を目撃されたことをきっかけに逮捕されたという報道事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説致します。

・参考事例

1月31日夕方、北海道新ひだか町で、スマートフォンを使用しながら軽トラックを運転したとして、フィリピン国籍の46歳の男が逮捕されました。
 道路交通法違反(携帯電話仕様等)の疑いで逮捕されたのは、フィリピン国籍で、新ひだか町に住む46歳の自称・牧場作業員の男です。
 警察によりますと、1月31日午後4時半ごろ、新ひだか町静内山手町で、パトロール中の警察官が、顔の前のスマートフォンの画面を見ながら、軽トラックを運転している男を目撃しました。
 停車させて職務質問すると、免許証も不所持だったことがわかり、引き続き調べをすすめる必要があると判断、その場で逮捕しました。
 取り調べに対してフィリピン国籍の46歳の男は「ごめんなさい」などと話し、容疑を認めているということです。
 警察は、引き続き男について、調べをすすめています。
(HBCニュース北海道 2月1日(水) 9時10分配信 「顔の前にスマホで運転、フィリピン国籍の46歳の男…免許証の不所持も発覚、その場で逮捕「ごめんなさい」 北海道新ひだか町」より引用)

・ながら運転

スマートフォンを見ながら運転するいわゆる「ながらスマホ」「ながら運転」は、以下にある道路交通法の「運転手の遵守事項」を記載した条文によって禁止されており、違反者は以下の条文による罰則があります。

道路交通法第71条
第1項
車両等の運転者は、次に掲げる事項を守らなければならない。
第5号の5
自動車又は原動機付自転車…を運転する場合においては、当該自動車等が停止しているときを除き、携帯電話用装置、自動車電話用装置その他の無線通話装置…を通話…のために使用し、又は当該自動車等に取り付けられ若しくは持ち込まれた画像表示用装置…に表示された画像を注視しないこと。

道路交通法第118条 
第1項
次の各号のいずれかに該当する者は、6月以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。
第2号
第71条(運転者の遵守事項)第5号の5の規定に違反して無線通話装置を通話のために使用し、又は自動車若しくは原動機付自転車に持ち込まれた画像表示用装置を手で保持してこれに表示された画像を注視した者…。

上記の条文は令和元年12月1日に施行されたものであり、令和元年11月30日まではながら運転による罰則は5万円以下の罰金でした。
しかしスマートフォンが普及したことで携帯電話使用等によって起きる交通事故が増加したことが原因で、これらの罰則が強化されました。

通常、ながら運転をした場合にはすぐに刑事事件に発展するわけではなく、交通反則通告制度(いわゆる青キップ)により反則金を支払う等の手続きで処理されます。
しかし、ながら運転を否認し署名押印を拒否したり、参考事例のように無免許運転などの余罪が疑われる場合には、刑事事件として捜査が行われるおそれがあります。
また、「交通の危険」を生じさせた(例えば、交通事故を起こした)場合などであれば、罰条が異なり「1年以下の懲役又は30万円以下の罰金(第117条の4第2号)」の罰則になってしまい、逮捕される可能性も高まります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、逮捕されてしまった方のもとに直接弁護士が伺う初回接見サービスを実施しています。
弊所は刑事事件を専門に扱っている弁護士事務所であり、交通事件の弁護対応も行っております。
ながら運転をした際に無免許運転が発覚した、ながら運転の結果交通事故を起こしてしまったという場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の無料相談をご利用ください。
また、家族がながら運転などがきっかけで逮捕・勾留されている場合はこちら。

(事例紹介)道路に金属片 車をパンクさせて器物損壊罪・道路交通法違反

2023-01-26

(事例紹介)道路に金属片 車をパンクさせて器物損壊罪・道路交通法違反

~事例~

路上に金属片をまき散らして車をパンクさせたとして、大阪府警は15日、大阪府河内長野市の会社員の男(48)を器物損壊と道路交通法違反(道路における禁止行為)の疑いで大阪地検堺支部に書類送検し、発表した。
(略)
富田林署によると、男は6月7日と同10日の夕方、同府富田林市の住宅街の路上で、鉄くず(長さ約3センチ、幅約5ミリ)をひとつかみ程度まき散らし、通過した乗用車1台の左前輪タイヤをパンクさせた疑いがある。
(略)
(※2022年9月15日17:55朝日新聞デジタル配信記事より引用)

~道路に金属片をまいて道路交通法違反~

今回取り上げた事例の報道内容は、男性が道路に金属片をまき、車をパンクさせたという器物損壊罪道路交通法違反の容疑で男性が書類送検されたというものになっています。
男性の容疑として挙げられている犯罪は、
・器物損壊罪
・道路交通法違反
の2つとなっています。

まず、この2つの犯罪のうち、器物損壊罪は刑法に定められている犯罪(刑法第261条)であり、簡単にいえば人の物を壊したり使えなくしたりした際に成立する犯罪です。
器物損壊罪の刑罰は「3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料」と定められています。
この事例では、男性には、道路に金属片をまき、その金属片によって車をパンクさせたという容疑がかけられていますが、車をパンクさせたという部分が他人の物を損壊した=器物損壊罪に当たると判断されたものと考えられます。

もう1つの容疑となっている道路交通法違反についても確認してみましょう。
道路交通法では、以下のようにして、道路における禁止行為を定めています。

道路交通法第76条第4項
何人も、次の各号に掲げる行為は、してはならない。
第4号 石、ガラスびん、金属片その他道路上の人若しくは車両等を損傷するおそれのある物件を投げ、又は発射すること。
第7号 前各号に掲げるもののほか、道路又は交通の状況により、公安委員会が、道路における交通の危険を生じさせ、又は著しく交通の妨害となるおそれがあると認めて定めた行為

道路交通法第76条では、道路における禁止行為を定めていますが、その第4項第4号では、「…金属片…を投げ、又は発射すること」を禁止しています。
今回の事例では、報道によると、男性は金属片を道路にまいたという容疑をかけられているため、金属片を「投げ、又は発射」したと考えられているのかは不明ですが、同じく道路交通法第76条第4項の第7号では、この「…金属片…を投げ、又は発射すること」以外にも、「道路又は交通の状況により、公安委員会が、道路における交通の危険を生じさせ、又は著しく交通の妨害となるおそれがあると認めて定めた行為」が禁止されています。
これに関連して、各都道府県ではそれぞれ道路交通規則が定められており、例えば大阪府の「大阪府道路交通規則」では、以下のような条文があります。

大阪府道路交通規則第14条
法第76条第4項第7号の規定による道路における禁止行為は、次の各号に掲げるものとする。
第1号 みだりに交通の妨害となるように道路に物を干し、泥土や汚水をまき、又は物を捨てること。
(※注:「法」とは、道路交通法のことを指します。)

金属片を道路にまくことは「みだりに交通の妨害となるように道路に…物を捨てること」に当たり得るといえるでしょう。
ですから、金属片を道路にまくという行為が、道路交通法第76条第4項第4号の「…金属片…を投げ、又は発射すること」に当たらなかったとしても、道路交通法第76条第4項第7号の「道路又は交通の状況により、公安委員会が、道路における交通の危険を生じさせ、又は著しく交通の妨害となるおそれがあると認めて定めた行為」として道路交通法違反になるということが考えられるということになります。
こうした道路における禁止行為をして道路交通法違反となった場合、刑罰は「5万円以下の罰金」(道路交通法第120条第1項第10号)となります。

道路交通法違反というと、飲酒運転やスピード違反、無免許運転などのいわゆる交通違反がイメージされやすいですが、今回取り上げたような、「道路上の危険を引き起こす」というような行為も道路交通法違反事件として刑事事件になります。
道路交通法違反という罪名ではあるものの、いわゆる交通違反によって刑事事件となったケースとは対応も変わってきますし、求められる活動内容も異なるものとなることが予想されます。
まずは弁護士に相談し、可能な活動や行うべき活動を把握してみることをおすすめします。

刑事事件を多く取り扱う弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、様々な種類の刑事事件に対応が可能です。
交通違反による道路交通法違反事件はもちろん、今回取り上げたような、道路における禁止行為をしてしまったという道路交通法違反事件のご相談・ご依頼も受け付けています。
0120-631-881では、スタッフがお問い合わせを受け付けていますので、まずはお気軽にお電話下さい。

(事例紹介)阪神高速で逆走・急停止 道路交通法違反で逮捕

2023-01-19

(事例紹介)阪神高速で逆走・急停止 道路交通法違反で逮捕

~事例~

大阪府内の高速道路で逆走などの危険な運転を繰り返したとされる男が現行犯逮捕されました。
警察によりますと、午前10時15分ごろ、阪神高速東大阪線の上り車線で「急停車や車線変更を繰り返している」と目撃者から通報がありました。
その後も同様の通報が相次ぎ、11時前には阪神高速松原線の下り車線で「逆走している」という情報が入りました。
紺色の普通乗用車ということで、パトカーが先回りして発見しましたが、停止の呼びかけに応じず逆走したり、加速・減速を繰り返したりしながら、阪神高速堺線の堺出口から一般道に逃走したということです。
(略)
運転していたのは、自称・奈良市内居住の40代の男で、道路交通法違反の疑いで現行犯逮捕されました。
(略)
(※2022年12月20日17:55YAHOO!JAPANニュース配信記事より引用)

~高速道路での逆走~

今回取り上げた事例では、男性が阪神高速逆走などの危険な運転を繰り返し、道路交通法違反の容疑で現行犯逮捕されたと報道されています。
道路交通法では、以下のようにして車両が道路を通行する際の方向について定めています。

道路交通法17条
第4項 車両は、道路(歩道等と車道の区別のある道路においては、車道。以下第九節の二までにおいて同じ。)の中央(軌道が道路の側端に寄つて設けられている場合においては当該道路の軌道敷を除いた部分の中央とし、道路標識等による中央線が設けられているときはその中央線の設けられた道路の部分を中央とする。以下同じ。)から左の部分(以下「左側部分」という。)を通行しなければならない。
第5項 車両は、次の各号に掲げる場合においては、前項の規定にかかわらず、道路の中央から右の部分(以下「右側部分」という。)にその全部又は一部をはみ出して通行することができる。この場合において、車両は、第一号に掲げる場合を除き、そのはみ出し方ができるだけ少なくなるようにしなければならない。
第1号 当該道路が一方通行(道路における車両の通行につき一定の方向にする通行が禁止されていることをいう。以下同じ。)となつているとき。
第2号 当該道路の左側部分の幅員が当該車両の通行のため十分なものでないとき。
第3号 当該車両が道路の損壊、道路工事その他の障害のため当該道路の左側部分を通行することができないとき。
第4号 当該道路の左側部分の幅員が六メートルに満たない道路において、他の車両を追い越そうとするとき(当該道路の右側部分を見とおすことができ、かつ、反対の方向からの交通を妨げるおそれがない場合に限るものとし、道路標識等により追越しのため右側部分にはみ出して通行することが禁止されている場合を除く。)。
第5号 勾配の急な道路のまがりかど附近について、道路標識等により通行の方法が指定されている場合において、当該車両が当該指定に従い通行するとき。

つまり、道路交通法第17条第4項において、原則として車両は道路の左側を通行すると定められており、右側通行ができるのは、道路交通法第17条第5項に定められている例外のみということになっています。
ですから、道路交通法第17条第5項に定められているような例外に当てはまらないのにも関わらず、道路を右側通行=逆走すれば、この道路交通法第17条第4項に違反するということになるのです。
道路交通法第17条第4項に違反してしまうと、「3月以下の懲役又は5万円以下の罰金」となる可能性が出てきます(道路交通法第119条第1項第6号)。

今回の事例では、男性が阪神高速逆走しているところを通報によって臨場した警察官らも目撃しているようです。
当然、阪神高速などの高速道路もこの道路交通法の対象となりますから、阪神高速での逆走行為道路交通法第17条第4項に違反することとなります。
報道によると、この逆走行為などによってけが人などはいないようですが、もしもこれらの行為によって交通事故が起こり死傷者が出た場合、道路交通法違反に加え、危険運転致死傷罪や過失運転致死傷罪などが成立することが考えられます。

道路交通法違反というと、単なる交通違反のように思えるかもしれませんが、こうした逆走行為なども道路交通法違反として刑事事件になります。
刑事手続については分からないことも多いと思いますので、ご自身やご家族が当事者となったら、早めに専門家である弁護士に相談されることをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、初回無料の法律相談を受け付けています。
逆走行為などによって道路交通法違反事件の捜査を受けることになった、刑事事件の当事者になって困っているといったケースのご相談が可能です。
まずはお気軽にお問い合わせください。

【解決事例】飲酒運転による当て逃げで示談締結 公判請求を回避

2023-01-12

【解決事例】飲酒運転による当て逃げで示談締結 公判請求を回避

事件

Aさんは兵庫県神戸市東灘区にある自宅でお酒を飲んでいましたが、買い物をするためにお店まで車を運転しました。
お店からの帰り道の交差点に差し掛かった時、信号が赤であったため停車しようと思いましたが停まり切れず、Aさんは、赤信号により停車していたVさんのバイクに後ろから追突しました。
AさんはすぐさまVさんの下に行き話をしましたが、警察官を呼ぶとなったことに焦ったAさんは、その場から車に乗って逃走してしまいました。
その後、パトカーに車を停められたAさんは事故を自白し、兵庫県東灘警察署の警察官に道路交通法違反の容疑で逮捕されました。
その後Aさんは釈放され、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の無料法律相談を利用しました。
(※守秘義務の関係で一部事実と異なる表記をしています。)

事件解決のながれ

弁護士は、依頼を受けてすぐに、Vさんに連絡を取り、示談交渉を行いました。
示談交渉の結果、弁護士の話を聞いたVさんは賠償を受けてくれることになりました。

その後も弁護士は何度もVさんとやり取りを行うことで、Vさんのけがの治療費やバイクの修理代、慰謝料を算定し、Vさんに示談金額を提示しました。
Vさんには弁護士の呈示した示談金額に納得してもらうことができ、無事、示談を締結することができました。

Aさんは飲酒運転(酒気帯び運転)で事故を起こし、事故現場から逃走して当て逃げをしていることから、その行為がより悪質であると判断され、正式起訴によって公判請求される可能性がありました。
公判請求されるということは刑事裁判受けるということであり、そこで有罪判決を下されれば、実刑判決や執行猶予付きの判決が下される可能性がありました。
さらに、公判請求によって刑事裁判を受けるということは、傍聴人が入った公開の法廷で刑事裁判を受けるということですから、事件が周囲の人に知られてしまうというリスクがあります。
しかし、示談締結などの弁護士による弁護活動の結果、Aさんは略式命令により罰金刑が科され、公判請求を回避することができました。

略式命令を受けると、正式な刑事裁判を開かずに科される刑罰が決定します。
略式命令では科料か罰金刑しか科すことができませんので、懲役刑や禁錮刑、執行猶予付きの判決が下されることはありません。
なお、検察官から略式命令を出されたとしても、期限内に正式な裁判を請求することで、裁判を受けることができます。

また、公判請求されずに略式命令で罰金刑が下された場合には、正式な刑事裁判が開かれませんので、刑事裁判が開かれた場合に比べて早期に事件を終わらせられるメリットもあります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、飲酒運転当て逃げなどの交通事件に関するご相談・ご依頼も受け付けています。
交通事故の加害者になってしまった場合や、飲酒運転で逮捕・捜査された場合には、ぜひ弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
また、弊所では初回接見サービス、無料法律相談を行っております。
ご予約は0120―631―881で受け付けておりますので、お気軽にお電話ください。

【事例紹介】事故の後続車に急ブレーキを踏ませ過失運転致傷罪

2023-01-05

【事例紹介】事故の後続車に急ブレーキを踏ませ過失運転致傷罪

事故を起こした車の後続車に急ブレーキを踏ませ逮捕された事件を基に、過失運転致傷罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務が解説します。

事例

京都府警下京署は6日、自動車運転処罰法違反(過失傷害)の疑いで、滋賀県湖南市の派遣社員の男(47)を逮捕した。
逮捕容疑は(中略)軽乗用車を運転中に、対向車線にはみ出してタクシーと衝突。タクシーの後ろを走っていた乗用車に急ブレーキをかけさせ、助手席の会社員男性(33)=北区=に頭部打撲のけがを負わせた疑い。
下京署によると、(中略)道交法違反(無免許運転)の疑いでも捜査している。(中略)男の呼気から基準値未満のアルコールが検出されたという。
(12月6日 京都新聞 「京都・四条通で対向車線にはみ出しタクシーに衝突、後続車の男性にけが負わせる 容疑の男逮捕」より引用)

過失運転致傷罪

車の運転中に注意を怠って人にけがを負わせた場合は、過失運転致傷罪が成立し、有罪になると7年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金が科されます。(自動車運転処罰法第5条)

今回の事例では、容疑者の運転する車が対向車線にはみ出してタクシーと衝突し、その影響で、タクシーの後ろを走行していた車が急ブレーキをかけたことにより助手席の男性が頭部に打撲を負ったと報道されています。
報道が事実であれば、容疑者がタクシーに追突したことによってタクシーの後続車が急ブレーキをかけることになり、搭乗していた男性が打撲を負ったという流れになり、打撲の原因は容疑者が事故を起こしたことによるものであると考えられ、容疑者の運転により男性がけがを負ったといえるでしょう。
今回の事例の内容からすると、容疑者の車が直接的に被害者の男性に打撲を負わせたわけではありませんが、容疑者の運転によって起こった事故が原因で後続車の男性が怪我を負っているという経緯により、容疑者に過失運転致傷罪の容疑がかけられたものと考えられます。

加えて、今回の事例の事故は、対向車線にはみ出したことが原因だと報道されています。
実際に対向車線をはみ出して走行していたのであれば、運転をするのに必要な注意を怠っていたのだと考えられるでしょう。
ですので、報道内容が事実であった場合には、容疑者は過失運転致傷罪に問われることになります。

無免許運転と過失運転致傷罪

報道によれば、容疑者は無免許運転の疑いでも捜査されています。

無免許運転は道交法第64条第1項で禁止されています。
これに違反し、有罪になった場合には、3年以下の懲役または50万円以下の罰金が科されます。(道交法第117条の2の2第1項第1号)
ですので、容疑者が実際に無免許運転を行っており、有罪になった場合には上記の刑罰が科されることになります。

先述の通り、今回の事例の容疑者は過失運転致傷罪の容疑で逮捕されています。
過失運転致傷罪は無免許運転だった場合に罪が過重されます。
ですので、実際に容疑者が報道のとおりに事故を犯し、なおかつ無免許運転だった場合には、有罪になると、10年以下の懲役刑が科されることになります。(自動車運転処罰法第6条第4項)

事故を起こして人にけがを負わせてしまうと、多くの場合は過失運転致傷罪に問われることになります。
しかし、過失運転致傷罪は相手のけがの程度が軽かった場合には、刑が免除されることがあります。
ですので、事故を起こして人にけがを負わせたからといって、必ずしも刑罰が科されるわけではありません。
さらに、けがの程度が軽くない場合でも、示談など被害弁償や謝罪を行っている場合には、不起訴処分になることがあります。

また、示談交渉を行う際に、事故を起こした本人や家族からの連絡を嫌がられる被害者もいます。
そういった場合でも、弁護士を介してであれば話を聞いてもらえることがありますので、示談交渉を行う際には、弁護士を介して行うことが望ましいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、初回接見サービス、無料法律相談を行っています。
過失運転致傷罪、道交法違反、刑事事件の示談交渉でお悩みの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談くださいませ。

(事例紹介)年末年始の飲酒運転に注意~道路交通法違反で逮捕された事例

2022-12-29

(事例紹介)年末年始の飲酒運転に注意~道路交通法違反で逮捕された事例

年末年始は、忘年会や新年会、親戚同士の集まりなどにより、飲酒する機会が多くなるという方もいらっしゃるでしょう。
特に、ここしばらくはコロナ禍の影響で行動制限のある年末年始となっていましたが、今回は特に行動制限のかかっていない年末年始期間ということもあり、久しぶりの忘年会・新年会をしたという方や、数年ぶりに親戚一同で集まったという方も多いのではないでしょうか。

こうした中で、飲酒運転による道路交通法違反事件や、飲酒運転をしての交通事故が増加してしまう懸念があります。
実際に、年末の時点で飲酒運転飲酒運転をしての交通事故で逮捕されたという事例が全国各地で、複数報道されています。

~事例1~

福岡県で25日、酒を飲んで車を運転したとして、自称会社員の男2人が逮捕されました。
(略)
また、25日午前7時ごろには、福岡市博多区で酒を飲んで車を運転し、対向車線の車に衝突したとして、福岡県筑紫野市の自称会社員(略)が酒気帯び運転の疑いで逮捕されました。
(略)容疑者は「アルコールは抜けていると思った」と話し、容疑を否認しているということです。
(※2022年12月26日8:50YAHOO!JAPANニュース配信記事より引用)

~事例2~

三重県警名張署は12月27日、道路交通法違反(飲酒運転)の疑いで、伊賀市の会社員の男(52)を現行犯逮捕したと発表した。容疑を認めているという。
発表によると、同日午前1時15分ごろ、伊賀市桐ケ丘2の市道で、飲酒して普通乗用車を運転した疑い。
同署によると、道沿いに停まっていたトラックに男が運転する車が前から衝突する事故が発生。警察官が駆け付けたところ、男から酒の臭いがしたため飲酒検知し、呼気から基準値以上のアルコールが検出された。事故により、トラックのそばで作業をしていた男性が右足を負傷したという。
(略)
(※2022年12月27日伊賀タウン情報ユー配信記事より)

~事例3~

埼玉県警川口署は23日、道交法違反(酒気帯び)の疑いで、川口市西青木2丁目、無職の男(74)を現行犯逮捕した。
逮捕容疑は同日午前10時ごろ、同市青木5丁目の市道で、酒気を帯びた状態で軽自動車を運転し、前方の自動車計2台を巻き込む交通事故を起こした疑い。
同署によると、男は蕨方面から都内に進行中、前方で減速中の普通自動車(40代男性運転)に追突。同車は、前方で停止中の大型貨物自動車(50代男性運転)に衝突した。40代男性が軽傷を負った。50代男性からの110番で署員が駆け付けたところ、男の呼気からは1リットル当たり0・2ミリグラムのアルコールが検出された。その後の調べで、男は無免許で、事故直後に一度逃げていたことなどが分かり、同署は無免許、危険運転致傷、ひき逃げ、事故不申告の罪で送致する予定。男は飲酒運転の容疑は認めているという。
(※2022年12月25日13:41YAHOO!JAPANニュース配信記事より)

ご存知の方も多いように、飲酒運転はそれだけで道路交通法違反となる犯罪行為です。
「忘年会から帰宅するだけ」「新年会の途中で買出しに行くだけ」と軽く考えてはいけません。
飲酒運転自体も刑事事件となる犯罪行為ですし、飲酒運転をして交通事故を起こせば、単に不注意で交通事故を起こした際よりも重く処罰されることになります。
また、交通事故後に飲酒運転の発覚を免れようとすれば、それもまた別の犯罪(過失運転致死傷アルコール等影響発覚免脱罪)が成立することになります。

さらに、場合によっては危険運転致死傷罪に問われる可能性も出てきます。
実際に、ご紹介した事例の3つ目では、飲酒運転をして事故を起こした男性が危険運転致傷罪の容疑で送致予定とされています。
報道だけではこの男性が危険運転致傷罪のどの要件に当たっていると考えられているのかは不明ですが、飲酒運転によって危険運転致死傷罪の容疑がかけられ得るということは間違いありません。

飲酒運転は、やろうとすれば簡単にできてしまう行為かもしれませんが、飲酒運転自体に定められている刑罰も「5年以下の懲役または100万円以下の罰金」もしくは「3年以下の懲役または50万円以下の罰金」(道路交通法第117条の2、同法第117条の2の2)と重いものとなっています。
加えて、先ほども触れた通り、飲酒運転をして交通事故を起こしたということになれば、さらに成立する犯罪が加わり、重い刑罰が下されることが想定されます。
飲酒の機会が増える年末年始だからこそ、飲酒運転をしない・させないということをより強く意識することはもちろんですが、それでも当事者となってしまったら、早い段階から弁護士に相談し、刑事手続に備えることをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、飲酒運転に関わる刑事事件のご相談・ご依頼も承っています。
年末年始弁護士のスケジュール次第では即日対応も可能となっていますので、まずはお気軽にお問い合わせください。

(事例紹介)飲酒運転の末の危険運転致傷罪 執行猶予判決

2022-12-22

(事例紹介)飲酒運転の末の危険運転致傷罪 執行猶予判決

~事例~

(略)被告(55)は、ことし4月、酒を飲んで、正常な運転に支障が生じるおそれがある状態で乗用車を運転し、神戸市須磨区の市道の交差点で、信号待ちをしていたバイクにぶつかり、乗っていた男性に大けがをさせたとして、危険運転傷害の罪に問われました。
これまでの裁判で、検察は懲役1年8か月を求刑し、弁護側は反省しているとして執行猶予の付いた判決を求めていました。
7日の判決で、神戸地方裁判所の西森英司裁判官は「(略)帰りも運転することが分かっていながら大瓶のビール5本以上を飲み、相当酔っ払った状態で運転して事故を起こした。(略)」と指摘しました。
一方で、「自業自得ながら議員を辞職して反省している」などと述べて、懲役1年8か月執行猶予5年の有罪判決を言い渡しました。
(※2022年7月7日17:35NHK NEWS WEB配信記事より引用)

~飲酒運転と危険運転致傷罪~

自動車運転処罰法(正式名称:自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律)では、危険運転致死傷罪を規定しています。

自動車運転処罰法第2条
次に掲げる行為を行い、よって、人を負傷させた者は15年以下の懲役に処し、人を死亡させた者は1年以上の有期懲役に処する。
第1号 アルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態で自動車を走行させる行為

自動車運転処罰法第3条
第1項 アルコール又は薬物の影響により、その走行中に正常な運転に支障が生じるおそれがある状態で、自動車を運転し、よって、そのアルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態に陥り、人を負傷させた者は12年以下の懲役に処し、人を死亡させた者は15年以下の懲役に処する。
第2項 自動車の運転に支障を及ぼすおそれがある病気として政令で定めるものの影響により、その走行中に正常な運転に支障が生じるおそれがある状態で、自動車を運転し、よって、その病気の影響により正常な運転が困難な状態に陥り、人を死傷させた者も、前項と同様とする。

一般に危険運転致死傷罪と呼ばれるのは、自動車運転処罰法第2条のものを指すことが多く、自動車運転処罰法第3条のものは、準危険運転致死傷罪と呼ばれることもあります。

これらは、飲酒運転をして人身事故を起こしたという全ての場合に適用されるわけではなく、「アルコール…の影響により正常な運転が困難な状態」や「アルコール…の影響により、その走行中に正常な運転に支障が生じるおそれがある状態」で車を運転し、人身事故を起こした場合に成立する犯罪です。
大まかに言えば、飲酒による影響が著しく大きい状態で車を運転し、それによって人身事故を起こした場合に、こうした危険運転致死傷罪となるというイメージです。

危険運転致死傷罪は、危険運転行為という故意的な行為によって事故を起こしていることから、悪質性が高いと考えられやすいです。
設定されている刑罰も、「人を負傷させた者は15年以下の懲役に処し、人を死亡させた者は1年以上の有期懲役」「人を負傷させた者は12年以下の懲役に処し、人を死亡させた者は15年以下の懲役」と重いものとなっています。

被害者が亡くなっているのかどうか、被害者が怪我をしているとしてどの程度の怪我なのか、被害者や遺族への謝罪や弁償を行っているのかなど、様々な事情によって、執行猶予の有無や刑罰の重さが判断されます。
今回の事例でも、危険運転致傷罪という罪名ではありますが、最終的に執行猶予判決となっています。
危険運転に関わる犯罪であるからといって、必ずしも実刑判決となるわけではありません。
しかし、先ほど触れた通り、危険運転致死傷罪は悪質であると判断されやすい犯罪であり、決して軽い犯罪ではないため、執行猶予を獲得できるかどうかは非常にシビアな犯罪であることは間違いありません。
ですから、事件の見通しがどのようなものかということも含めて、早めに弁護士に相談してみることをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、飲酒運転に関わる危険運転致死傷事件についてのご相談・ご依頼も受け付けています。
まずはお気軽にお問い合わせください。

« Older Entries
Copyright(c) 2016 弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所 All Rights Reserved.