Archive for the ‘スピード違反’ Category
無免許の速度違反
無免許の速度違反を犯した場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
Aさんは、免許停止中であるにもかかわらず車を運転していました。
神奈川県小田原市の最高速度が時速50キロの道路を90キロ近いスピードで運転していたAさんは、神奈川県小田原警察署の警察官に車を停止するよう求められました。
Aさんは不拘束のまま無免許運転と速度違反について捜査されています。
Aさんは今後どのような処分となるのか分からず不安でたまりません。
そこでAさんは、今後の流れや対応方法などについて弁護士に相談することにしました。
(フィクションです。)
無免許運転
「無免許運転」は、公安委員会の運転免許を受けないで自動車または原動機付自転車を運転することです。
自動車等を運転しようとする場合には、必ず公安委員会の運転免許を受けなければなりません。
これを受けずに自動車等を運転した場合に「無免許運転」となります。
無免許運転には、純粋にこれまで一度も免許を受けていない場合だけでなく、何かしらの交通違反を犯してしまい違反点数が加算され免許が停止となった期間中の運転や免許が取消された後の運転、運転しようとする自動車等の種類に応じた免許を受けていないのに運転する場合も含まれます。
Aさんは、免許停止期間中に運転したため、Aさんの運転行為は無免許運転に当たります。
無免許運転は、道路交通法で禁止されており、違反した場合には、3年以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられる可能性があります。
速度違反
道路標識等によりその最高速度が指定されている道路においてはその最高速度を、その他の道路については政令で定める最高速度を超える速度で運転することを「速度違反(速度超過違反)」といいます。
政令で定める最高速度は、一般道では自動車は60キロ、原動機付自転車は30キロ、高速道路は100キロです。
速度違反の法定刑は、6月以下の懲役または10万円以下の罰金です。
無免許運転と速度違反の関係
Aさんは無免許でありながら車を運転し、速度違反を犯しました。
この場合、速度違反に当たる行為は無免許運転を継続する中での一時的局所的な行為であって、別個のものと判断されます。
つまり、無免許運転については、道路交通法違反(無免許運転)が、速度違反については同じく道路交通法違反(速度超過)という2つの罪が成立します。
この2つの罪の関係ですが、併合罪の関係にあります。
併合罪というのは、確定裁判を経ない数罪のことです。
刑は、成立する罪の法定刑に法律上または裁判上の加重・減軽をする必要がある場合に、法定刑に規定されている刑の重さを足したり引いたりして裁定されます。
併合罪の場合、いずれかの罪の法定刑が死刑、無期懲役・禁錮である場合には、最も重い罪の刑によって刑の重さを足りたり引いたりします。
つまり、併合罪のうち1個の罪について死刑に処するときは、他の刑を科すことはできませんし、併合罪のうち1個の罪について無期懲役・禁錮に処するときも他の刑を科すことはできません。(ただし、死刑においては没収が、無期懲役・禁錮については罰金、科料、没収が併科されます。)
併合罪中に2個以上の有期懲役・禁錮に処すべき罪がある場合は、各罪中最も重い犯罪に対する刑罰に一定の加重を施して、これを併合罪の罪とします。
無免許運転と速度超過の2罪については、前者の法定刑が3年以下の懲役または50万円以下の罰金、後者が6月以下の懲役または10万円以下の罰金となっているので、前者が最も重い罪となります。
懲役刑については、その最も重い罪について定めた刑の懲役にその2分の1を加えたものを長期とすることになっているので、上限は3年から4年半に加重されます。
また、罰金については、それぞれの罪について定めた罰金の多額の合計以下の範囲内で刑が決められます。
そのため、無免許運転と速度違反の2罪について罰金に処するときは、50万円に10万円を足した60万円以下の範囲で決められることになります。
バレなければいいだろうと軽い気持ちで犯してしまったとしても、厳しい処分を受けることになりかねません。
交通違反で刑事事件として立件された場合には、弁護士に相談されるのがよいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、交通事件にも対応する法律事務所です。
無料法律相談・初回接見サービスに関するご予約・お問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881で24時間受け付けております。
まずはお気軽にご連絡ください。
交通事件と交通反則通告制度
交通反則通告制度について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
神奈川県茅ヶ崎市の国道を自家用車で走行していたAさんは、神奈川県茅ヶ崎警察署の警察官に停止を求められました。
法定速度を25キロオーバーしていたとして、交通切符の交付を受けたのですが、Aさんは25キロもオーバーしていた認識はなく、反則金の納付を拒否し、警察署にもその旨を主張しました。
反則行為を争いたいAさんでしたが、このまま反則金納付を許否した場合、どのような手続となるのか心配になり、翌日、交通事件にも対応する弁護士に相談することにしました。
(フィクションです)
交通違反をした際に支払う「反則金」を、刑罰である「罰金」と混同されている方が多くいらっしゃいますが、反則金と「交通反則通告制度」に基づく行政処分で科せられる過料のことを指し、罰金とは、刑事処分の一種です。
交通反則通告制度とは、自動車や原動機付自転車の運転者がした違反行為のうち、反則行為については、一定期間内に郵便局又は銀行に反則金を納めることによって、刑事裁判、少年の場合は家庭裁判所の審判を受けることなく事件が処理される制度のことです。
自動車による交通が増加し、道路交通法違反事件の数が飛躍したことで、検察庁や裁判所の業務に負担をかけることになったため、軽微な交通違反については刑事手続によらず処理することとし、交通反則通告制度が設けられました。
反則行為が発覚すると、交通反則告知書(通称、交通切符、青切符)と反則金仮納付書が交付されます。
告知を受けた日の翌日から起算して7日以内に反則金を納付すれば、納付をもって手続は終了します。
他方、7日以内に反則金を納付しない場合には、通告センターに出頭し、通告書及び納付書の交付を受ける、出頭できなかった場合には、通告書及び納付書が送付されるので、通告を受けた日の翌日から起算して10日以内に反則金を納付することによって手続を終了させることができます。
10日以内に反則金を納付しなかった場合には、刑事手続に移行し刑事裁判、少年の場合には家庭裁判所の審判を受けることになるので留意が必要です。
反則金を納付すれば、刑事手続に移行することなく手続が終了するため、前科が付くことはありません。
ちなみに、前科とは、過去に有罪判決を受けたという事実のことを指します。
無免許運転、飲酒運転、反則行為の結果交通事故を起こした場合には、交通反則通告制度は適用されません。
反則行為を認めている場合、そして反則金を納付することによって刑事手続を避けたい場合には、交通反則通告制度に従い反則金を納付するのがよいでしょう。
しかし、反則行為を認めないのであれば、刑事裁判で争うことになります。
最初に警察官から交付される反則金仮納付書に従って納付せず、次の交付される納付書についても同様に対応した場合には、刑事手続に移行することになり、今度は検察庁から出頭を要請されます。
検察庁では、取調べを受けた上で、略式手続を提示されることになりますが、これについても拒否した場合には、検察官は公判請求をすることになり、刑事裁判がひらかれます。
検察官が、嫌疑不十分での不起訴又は起訴猶予での不起訴となれば、事件は終了となります。
そうでなければ、略式手続を断ると、正式な裁判となります。
反則行為を争う場合には、交通事件にも対応する刑事事件に強い弁護士に相談されるのがよいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、交通事件を含めて刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
交通事件でお困りの方は、弊所の弁護士にお気軽にご相談ください。
無料法律相談・初回接見サービスについては、フリーダイヤル0120-631-881にて24時間受け付けております。
スピード違反の否認事件
スピード違反の否認事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
兵庫県明石市の国道を車で運転していたAさんは、兵庫県明石警察署の速度取締で、法定速度の30キロオーバーで赤切符が切られました。
しかし、Aさんは、法定速度を30キロもオーバーした認識はなく、車の速度メーターでも30キロは超えていなかったと記憶しています。
Aさんは、スピード違反の否認事件にも対応してくれる弁護士に相談することにしました。
(フィクションです)
スピード違反:道路交通法違反(速度超過)
警察庁によれば、平成29年及び30年に取り締まった道路交通法違反事件のうち、最も多かったのがスピード違反です。
道路交通法は、道路標識等によりその最高速度が指定されている道路においてはその最高速度を、その他の道路においては政令で定める最高速度を超える速度で車両を進行してはならないと定めています。(道路交通法第22条1項)
法令で定める最高速度については、高速自動車国道の本線車道以外の道路における、自動車の最高速度は60キロ、自動車が高速自動車国道の本線車道を通行する場合の最高速度は、車種などによって異なりますが、普通自動車の場合は100キロです。
指定又は法定最高速度を超える速度で走行した場合、例えそれが1キロオーバーであっても、速度超過となり、道路交通法に違反することになります。
道路交通法に違反した場合、行政処分や刑事処分を受けることになります。
ここでいう行政処分とは、道路交通法に基づき、都道府県公安委員会が行う免許取消処分、免許停止処分、免許許否処分、免許保留処分、運転禁止処分のことです。
車両の運転において、道路交通法に規定される違反行為があった場合、違反の程度に応じた違反点数が科せられます。
この違反点数が累積され一定の点数になるなど、所定の条件を満たした場合に行政処分を受けることになります。
また、車両の運転者がした違反行為のうち、反則行為については、一定期間内に郵便局か銀行に反則金を納めると、刑事裁判(少年の場合は家庭裁判所の審判)を受けずに事件が処理される「交通反則通告制度」が適用されます。
速度超過による道路交通法違反において、超過速度が30キロ未満の場合には当該制度が適用されます。
しかし、超過速度が高速自動車国道の本線車道以外の道路において30キロ以上の場合、高速自動車国道の本線車道において40キロ以上の場合には、交通反則通告制度は適用されず、刑事手続がとられ、刑事罰(6月以下の懲役又は10万円以下の罰金)が科される可能性が生じます。
スピード違反の否認事件
多くのスピード違反事件は、走行している車の速度計を基準に検挙するのではなく、何らかの方法で警察官が車の速度を測定し、それに基づいて検挙を行います。
警察が行う測定の方法としてレーダー式の測定や、レーザー光線を用いた測定などが知られています。
しかし、これらの測定が常に100%性格であるとは限りません。
科学技術を用いた捜査が行われる場合、その捜査による結果に信用性が認められるためには、一般に①原理が科学的根拠を有すること②(科学的に)適切な方法により検査等が実施されたことが要求されます。
たとえレーダーやレーザー光線自体の原理が科学的に間違いないないとしても(おそらく、多くは間違いないと思われますが)、その実施方法に問題があれば測定結果等は誤ったものになってしまいます。
たとえば、自動車の速度を機械を用いて図る場合には、自動車と機械の位置関係が重要になってきます。
レーダーで波を照射する角度が異なれば、反射時間等が変化しますし、あくまでも機械の設定上は車が真っ直ぐに走行することを想定していますから、車体が何らかの事情で斜めになっていた場合などには、必ずしも測定結果が正確になるとは限りません(ただし、このような場合でも正確に測定できる場合もあります)。
スピード違反を通告され、実際に走行していた速度について争う場合には、ドライブレコーダーの映像や、タコグラフを用いて争い、同時にスピードの測定方法等を争うことになります。
しかし、この主張は,高度に科学的な問題でもありますから、専門的な知識が必要となります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、交通事件を含めた刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
スピード違反の否認事件でお悩みであれば、弊所の弁護士にご相談ください。
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スピード違反による交通事故
スピード違反による交通事故が起きた場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
京都府長岡京市の高速道路を時速180キロで走行していたAさんは、前方を走行していた車が車線変更したことに気が付くのが遅く、速度を十分に落とすことができず、前を走っていた車に衝突してしまいました。
前の車に乗車していた夫婦は、怪我をしているようで、通報を受けて駆け付けた救急車に運ばれていきました。
Aさんは、京都府警察の警察官に過失運転致傷および道路交通法違反(速度超過)の疑いで現行犯逮捕されました。
(フィクションです。)
スピード違反について成立する罪
法定速度を超える速度で運転した場合、いわゆるスピード違反は、重大な事故につながるおそれがあることから、道路交通法で厳しく規制されています。
スピード違反は、道路交通法において「速度超過」と呼ばれ、次のように禁止されています。
道路交通法第22条
車両は、道路標識等によりその最高速度が指定されている道路においてはその最高速度を、その他の道路においては政令で定める最高速度をこえる速度で進行してはならない。
政令で定める最高速度とは、一般道では時速60キロ、高速道路では時速100キロです。
法定速度を1キロでもオーバーすれば速度超過となります。
一般道路において、超過速度が30キロ未満であれば、反則金の納付による行政処分で終了しますが、超過速度が30キロ以上となれば、行政処分ではなく刑事処分の対象となります。
高速道路であれば、超過速度が40キロ以上で刑事手続に付されます。
速度超過による道路交通法違反の罰則は、6月以下の懲役又は10万円以下の罰金です。
お金を納めるという点では、反則金も罰金も同じですが、罰金は刑事罰であり、有罪判決を受けたことが前提となりますので、前科が付くことになります。
スピード違反による交通事故を起こした場合
スピード違反で交通事故を起こし、相手に怪我を負わせてしまった場合、以下の罪が成立する可能性があります。
(1)過失運転致死傷罪
自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、7年以下の懲役もしくは禁固または100万円以下の罰金に処される可能性があります。
ただし、その傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができるとされています。
(2)危険運転致死傷罪
危険運転致死傷罪は、次に掲げる行為を行い、よって、人を負傷させる罪です。
①アルコールや薬物の影響により、正常な運転が困難な状態で自動車を走行させる行為。
②進行を制御することが困難な高速度で自動車を走行させる行為。
③信仰を制御する技能を有しないで自動車を走行させる行為。
④人又は車の通行を妨害する目的で、走行中の自動車の直前に進入し、その他通行中の人又は車に著しく接近し、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為。
⑤赤信号等を殊更無視し、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為。
⑥交通禁止道路を進行し、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為。
スピード違反の程度が、②の「進行を制御することが困難な高速度」である場合には、危険運転致傷罪が成立する可能性があります。
「進行を制御することが困難な高速度」であるか否かは、スピードだけでなく、走行していた道路の状況等を考慮して判断されます。
危険運転致死傷罪の刑罰は、人を負傷させた場合は15年以下の懲役、人を死亡させた場合には1年以上の有期懲役と、過失運転致死傷罪よりも重くなっています。
スピード違反で交通事故を起こした場合、道路交通法違反や過失運転致死傷罪、場合によっては危険運転致死傷罪が成立することがあります。
多くが正式裁判となり、危険運転致死傷罪で有罪となれば実刑の可能性もあります。
ですので、交通事件にも対応する刑事事件に強い弁護士に相談・依頼し、できる限り寛大な処分となるよう動くことが重要です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、交通事件を含めた刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
交通事件でお困りの方は、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。
スピード違反で逮捕
スピード違反で逮捕
今回は、スピード違反の疑いで逮捕されてしまうケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。
~ケース~
Aさんは、埼玉県内の時速80キロメートル制限の高速道路において、自動車を時速180キロメートルで走行させていたところ、自動速度取締装置が赤く発光したのを見ました。
後日、埼玉県警の高速道路交通警察隊から出頭を要請されましたが、出頭するのが面倒だったので無視することにしました。
半年近く無視していたところ、Aさんの自宅に現れた警察官から逮捕状を見せられ、道路交通法違反の疑いで逮捕されてしまいました。
Aさんはどうしてスピード違反で逮捕されてしまうのか納得できず、憤っています。(フィクションです)。
~スピード違反について解説~
道路交通法第22条1項には、「車両は、道路標識等によりその最高速度が指定されている道路においてはその最高速度を、その他の道路においては政令で定める最高速度をこえる速度で進行してはならない」と定められています。
Aさんが運転した高速道路の最高速度は「時速80キロメートル」と指定されているので、これを超えた速度で運転する行為は道路交通法に違反します。
さらに、道路交通法第118条1項1号は、「第二十二条(最高速度)の規定の違反となるような行為をした者」を、「六月以下の懲役又は十万円以下の罰金」に処するとしています。
スピード違反行為は、刑罰が予定されている、立派な犯罪行為なのです。
~交通反則通告制度について~
Aさんが自身の行為について重く考えなかったのは、交通反則通告制度(いわゆる『青切符』の制度です)の存在によるものかもしれません。
スピード違反などの道路交通法に違反する行為は犯罪ですので、本来は刑事裁判を受けて処罰され、前科が付くことになります。
しかし、比較的軽い違反の場合には、所定の反則金を納付することにより、そこで手続を終了させ、刑事裁判や処罰、前科を避けることができる制度になっているのです。
もっとも、反則金の納付を長期間怠るなどすれば、スピード違反行為が犯罪である以上、逮捕されてしまう可能性があります。
~今回は反則金制度の対象外~
しかしAさんのように、最高速度を時速100キロメートル超過して自動車を運転した場合には、軽い違反とは言えず、交通反則通告制度の適用はありません。
警察がAさんに出頭を求めた理由は、逮捕まではしないものの、あくまで刑事裁判にかけようとしたからです。
しかし出頭要請を正当な理由なく無視していれば、証拠隠滅や逃亡のおそれがあるとみなされ、逮捕されてしまうことにもつながります。
Aさんとしては、弁護士に相談し、取調べでの受け答え方のアドバイスを聞いた上で、なるべく早く出頭すべきであったと考えられます。
~刑事手続の流れ~
今回の事件は、適切な身柄解放活動を尽くすことにより、比較的早期に外へ出られるかもしれません。
ですが今回は、スピード違反としてはかなり悪質な部類に属する事件です。
裁判では検察官が、被告人をどのくらいの刑罰にするべきかという意見を述べてきますが(求刑)、罰金ではなく懲役を求刑してくる可能性が十分あります。
罰金や執行猶予付き判決の獲得を目指して、弁護士と十分善後策を練る必要があるでしょう。
~公判に向けた準備~
車を処分し、二度と運転しないと誓うことを含めて、準備を行う必要があります。
また、責任をもってAさんを監督できる人物を探して、法廷で証言してもらう必要もあります。
また刑事事件においては、被害者と示談をする活動が重要視されていますが、スピード違反の場合は、傷害罪におけるような被害者が存在しません。
この場合は、弁護士会などの団体に寄付をして謝罪の意思を示す「贖罪寄付」が有効かもしれません。
弁護士と相談しながら、よりAさんにとって有利な事件解決を目指していきましょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
ご家族がスピード違反などで逮捕された、取調べを受けるといった方は、ぜひご相談ください。
危険運転致死罪で逮捕
危険運転致死罪で逮捕
今回は、危険運転致死罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。
~ケース~
Aさんは、東京都北区内の交通量の少ない車道を自動車で、時速140キロメートルもの速度を出し、走行していました。
運転中、Aさんは交差点の対面信号が赤色であることを認識しました。
そのまま適切にブレーキを操作すれば、交差点手前の停止線までに車を停止させることが十分可能でしたが、他に交差点に入ってくる車や歩行者も無いだろうと考え、そのまま進入したところ、青色信号により左から交差点に進入してきたVの運転する車の右側面に衝突してしまい、Vは即死しました。
Aさんも重傷を負い、病院に搬送されました。
警視庁赤羽警察署は、Aさんの回復を待って、危険運転致死の疑いで逮捕する方針です。(フィクションです)
~危険運転致死罪とは?~
危険運転致死傷罪にはいくつかの類型がありますが、今回のケースの場合に成立するのは、「赤信号殊更無視」という類型の危険運転致死罪が成立する可能性が高いと思われます。
以下、自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律第2条を引用します。
第二条 次に掲げる行為を行い、よって、人を負傷させた者は十五年以下の懲役に処し、人を死亡させた者は一年以上の有期懲役に処する。
一~四 省略
五 赤色信号又はこれに相当する信号を殊更に無視し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為
六 省略
これによれば、①赤色信号又はこれに相当する信号を殊更に無視し、かつ、②重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為を行い、③よって人を死傷させた場合に、危険運転致死傷罪が成立することになります。
以下、①②について詳しく解説します。
~「殊更に無視」とは?~
「赤色信号を確定的に認識し、交差点手前の停止線で停止することが十分可能であるのにこれを無視して交差点に侵入した場合」は、当然、「殊更に無視」に該当します。
また、裁判例上、「赤色信号に気付いたときの速度から停止線で停止できず、停止線を越えて停止することになるが特段の道路上の危険を生じさせない場所に停車することが可能であるのにそのまま交差点を通過した場合」も、「殊更に無視」に該当します。
Aさんは、赤色信号を確定的に認識していて、ブレーキを踏めば停止線までに停止することができたのに、これを無視して交差点に進入しています。
この場合は、「殊更に無視」したものと評価される可能性が高いでしょう。
~「重大な交通の危険を生じさせる速度」~
自車が相手方と衝突すれば大きな事故を生じさせる速度、あるいは、相手方の動作にすぐに応じて大きな事故を回避することが困難であると認められる速度をいいます。
時速140キロメートルで走行中に相手方と衝突すれば、被害者の即死を含む悲惨な事故が生じ得ることは容易に想像できますし、また、事故を回避する行動をとることも困難でしょう。
したがって、ケースの場合は、「重大な交通の危険を生じさせる速度」で自動車を運転したものと評価される可能性が高いと思われます。
以上によれば、Aさんに危険運転致死罪が成立する可能性は高いでしょう。
~危険運転致死事件の弁護活動~
このような危険運転致死事件を起こすと、新聞やテレビでも大きく報道されることになります。
また、刑事裁判にかけられる(起訴される)可能性もかなり高いでしょう。
実刑判決を受ける可能性も十分見込まれます。
なるべく軽い判決を獲得するためには、
・誠心誠意、遺族に謝罪し、生じさせた損害を賠償すること
・自動車を処分し、二度と運転しないことを固く誓うこと
・Aさんが再度運転をしないよう監督できる人物を用意し、法廷でその旨を証言してもらうこと
などの対応が考えられます。
まずは、接見にやってきた弁護士からアドバイスを受け、事件解決を目指していきましょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
ご家族が危険運転致死事件を起こしてしまいお困りの方は、ぜひご相談ください。
高速道路でのスピード違反で人身事故
高速道路でのスピード違反で人身事故
今回は、スピード違反で危険運転致死傷罪に問われた事件の弁護活動につき、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。
~ケース~
Aさんは大阪府和泉市内の、制限速度が時速80キロメートルの高速道路において、自動車を時速200キロメートルで走行させていたところ、左カーブを曲がり切れず、対向車線に飛び出してしまいました。
さらに、対向車線を走っていた車の右横部分に衝突してしまい、衝突した車に乗っていたVさんら5名のうち3名が死亡、2名が重傷を負いました。
Aさんも重傷を負い、病院に搬送されました。
大阪府和泉警察署は、Aさんの回復を待って、危険運転致死傷罪の疑いで逮捕する方針です。(フィクションです)
~Aさんに成立する「危険運転致死傷罪」とは?~
制限速度を120キロもオーバーするスピード違反をして事故を起こしたAさん。
危険運転致死傷罪に問われる可能性が高いです。
自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律第2条2号は、「その進行を制御することが困難な高速度で自動車を走行させる行為」を行い、「人を負傷させた者」を15年以下の懲役に処し、「人を死亡させた者」を1年以上の有期懲役(上限は余罪がなければ20年)に処するとしています。
上記の運転を行うことによって、被害者に傷害を負わせた場合が危険運転致傷罪、被害者を死亡させた場合が危険運転致死罪、両方を合わせて危険運転致死傷罪といいます。
時速80キロメートル制限の高速道路において、時速200キロメートルで走行すると、正しくハンドルを操作してカーブを曲がることが著しく困難になることは明らかです。
これにより対向車線に飛び出してVらの乗車する車に衝突し、同人らを死傷させてしまったAさんに危険運転致死傷罪が成立する可能性は極めて高いと思われます。
~Aさんが逮捕されていないのはなぜか~
犯罪をしたと疑われている人(被疑者)を逮捕するためには、「逮捕の必要性(罪証隠滅、逃亡のおそれ)」が必要です。
明らかに逮捕の必要性がないのに、被疑者を逮捕することは違法です。
Aさんはケースの事故で重傷を負っているため、逃亡したり、証拠を隠したりするなどのおそれがないと判断されたものと思われます。
また、逮捕・勾留する場合においては、被疑者を拘束できる時間に限りがあります(捜査段階で最長23日間)。
Aさんが取調べに応じられない状態であるのに逮捕したところで、必要な事情を聞きだすことができまないまま、タイムリミットが来てしまう可能性があります。
治療の必要性から、退院させて留置場に入れることができないといった事情も考えられますので、Aさんを事故直後の段階で逮捕しなかったのは、妥当であると考えられます。
~逮捕後はどうなるか?~
Aさんが取調べや留置場での生活に耐えられる状態まで回復した後、逮捕される可能性があるでしょう。
逮捕・勾留されると、先述の通り、捜査段階で最長23日間、身体拘束をされます。
このうち、最初の3日間を逮捕期間、その後の20日間を勾留期間と呼びます。
ケースの事件は、捜査上のミスや、事実認定に用いる証拠に問題がない限り、実刑判決となる可能性が高いでしょう。
さらに、危険運転致死罪は裁判員裁判の対象事件となります。
さらに、裁判員がいることによる心理的な負担もあります。
このような手続に対応するには、弁護士のサポートを受けることが大切です。
~裁判に向けた対応~
今回のケースでは、被害者が多く、120キロもオーバーしていたという悪質性もあるので、かなり長期間の懲役刑を言い渡されることも想定されます。
まずは、事件を起こしてしまったことを真摯に反省しなければなりません。
また、Vさんらの遺族に謝罪し、生じさせた損害を賠償する必要もあります。
Aさんがきちんと任意保険にも入っていれば、保険により上記の損害を賠償できる場合があります。
Aさんが「真摯な反省」をしているかどうかを判断するために、捜査時の供述が考慮される場合もあります。
捜査段階で被害者を侮辱したり、自身の行為を正当化するような供述をしていると、裁判で反省の弁を述べても、信用されなくなるかもしれません。
自ら反省文を作成しておくといった対応も重要となるかもしれません。
捜査段階でAさんが行わなければならないことはたくさんあります。
弁護士のサポートを受けながら、事件解決を目指していきましょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
あなたやご家族が交通事故を起こしてしまった場合は、ぜひ無料法律相談・出張法律相談や初回接見サービスをご利用ください。
身代わり出頭で犯人隠避罪
身代わり出頭で犯人隠避罪
スピード違反をしたが他人に身代わり出頭してもらい、犯人隠避罪やその教唆犯で逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
【事例】
Aさんは、東京都内の高速道路を走行していた際、自車がオービスに反応したことに気づきました。
それから1週間後、Aさんはスピード違反の疑い(道路交通法違反の疑い)で東京都調布警察署から呼び出しを受けたことから、知人のBさんに身代わり出頭をお願いしました。
Bさんは了承して出頭しましたが、身代わり出頭が発覚して犯人隠避罪の疑いで逮捕され、Aさんも犯人隠避罪の教唆犯として逮捕されました。
Aさんの家族が弁護士にAさんとの接見を依頼しました。
(フィクションです。)
~ 身代わり出頭 ~
警察署から呼び出しを受けた際、自らの代わりに他者を警察に出頭させることを身代わり出頭といいます。
捜査機関に身柄を拘束されない在宅事件では、犯罪日時から出頭まで一定期間を要することから、その間、真犯人が別の者に身代わり出頭を依頼するというケースもあるようです。
特に交通違反でこうしたケースを見かけます。
~ 身代わり出頭した方が問われる罪 ~
身代わり出頭した方(本件であればBさん)は犯人隠避罪に問われる可能性がありますので、以下検討していきます。
犯人隠避罪は刑法103条に規定されています。
刑法103条
罰金以上の刑に当たる罪を犯した者(略)を蔵匿し、又は隠避させた者は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。
「罰金以上の刑に当たる罪」とは、法定刑として罰金刑以上の刑が規定されている罪をいいます。
つまり、死刑・懲役・禁錮・罰金のいずれかが定められていればよく、これらより軽い拘留・科料という罰則が同時に定められている場合も該当します(拘留・科料のみが定められている場合には該当しません)。
Aさんが犯したスピード違反の法定刑は、
6月以下の懲役又は10万円以下の罰金(故意犯の場合)
3月以下の禁錮又は10万円以下の罰金(過失犯の場合)
ですから(道路交通法118条1項1号、同条2項参照)、「罰金以上の刑に当たる罪」に当たります。
また、「蔵匿」とは、犯人に場所を提供してかくまってやることをいいます。
「隠避」とは、蔵匿以外の方法によって官憲による逮捕・発見を免れされる一切の行為をいいます。
身代わり出頭は「隠避」に当たるでしょう。
そのほか、犯人に代わって警察官に「自分が犯人だ」と言う行為、犯人に代わって自首する行為、犯人に変装用の衣服や旅費を与える行為なども「隠避」に当たります。
最後に、本罪に問われるには、相手方(Aさん)が「罰金以上の刑に当たる罪を犯した者」との認識(故意)が必要です。
しかし、スピード違反が「罰金以上の刑に当たる」ことまで知っている必要はないので、「Aさんがスピード違反を犯した人」という認識があれば、故意があるとされてしまうでしょう。
~ 身代わり出頭を依頼した方が問われる罪 ~
本来、罪を犯した人(本件であればAさん)が自ら逃げ隠れしても、そのこと自体を罪に問われることはありません。
罪を犯した人に対し、逃げ隠れしないことを強く期待することはできないとされているからです。
しかし、他人をそそのかしてまで逃げ隠れすることは許されない、とするのが現在の実務の立場です。裁判所は次のように述べています。
「犯人自身の隠匿行為が不可罰とされるのは、これらの行為を罰することが刑事訴訟法における被告人の防御の地位と相容れないからであるのに対して、他人を教唆してまでその目的を達成しようとすることは、もはや法の放任する防御の範囲を逸脱する」
なお、そそのかすことを法律上は「教唆」といいます。
もう少し詳しくご説明すると、「まだその犯罪に対する実行の決意を生じていない他人を唆して、犯罪実行の決意を生じさせること」をいいます。
本件では、身代わり出頭の依頼は「教唆」に当たると判断されるでしょう。
教唆犯の場合、正犯(Aさん)と同じ刑が科されます(刑法61条)。
刑法61条1項
人を教唆して犯罪を実行させた者には、正犯の刑を科する。
情状によってはBさんよりも判決で言い渡される刑罰の重さ(量刑)が重たくなることも考えられます。
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高速道路で最低速度違反
高速道路で最低速度違反
高速道路で最低速度違反をしたケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
東京都三鷹市に住む会社員のAさんは、普通乗用自動車を運転し、時速約40キロメートルで東京都三鷹市内の高速道路を走行中、後方から来た覆面パトカーに呼び止められ、車を道路脇に停めました。
Aさんは運転窓を開けると警視庁三鷹警察署の警察官から「ずっと後方からついていましたが、今回の走行は最低速度違反に当たります。」と言われました。
Aさんは、指定、法定速度を超えて運転していなかったことから納得がいかず、はじめは抵抗しましたが、警察官の説得により書類にサインをし、後日、金融機関で反則金を納付しました。
(フィクションです)
~ ご存じですか?最低速度 ~
車の速度に関する違反といえば、真っ先に思い浮かべるのは指定最高速度を超えて運転する「指定最高速度違反」や、法定速度を超えて運転する「法定最高速度違反」で、それぞれ反則金、違反点数、罰則が設けられていることは多くの方がご存じかと思います。
ところが、最低速度についても道路交通法で規定され、高速道路における最低速度違反については反則金、違反点数、罰則が設けられていることはそれほどの方がご存じでしょうか?
車を運転する方にとっては、当然、知っておかなければならない事項ですが、ここで改めて確認してみようと思います。
~ 高速道路における最低速度 ~
高速道路における最低速度については、道路交通法75条の4に規定されています。
道路交通法75条の4
自動車は、法令の規定によりその速度を減ずる場合及び危険を防止するためやむを得ない場合を除き、高速自動車国道の本線車道(政令で定めるものを除く。)においては、道路標識等により自動車の最低速度が指定されている区間にあつてはその最低速度に、その他の区間にあつては政令で定める最低速度に達しない速度で進行してはならない。
「道路標識等により自動車の最低速度が指定されている区間」とは、公安委員会が規制標識「最低速度」(数字の下に線が引かれてあるもの)を設置して最低速度を指定した道路の区間という意味です。
「その他の区間にあつては政令で定める最低速度」とは、道路交通法施行令27条の3で次のように規定されています。
道路交通法27条の3
法(※注:道路交通法のこと)75条の4の政令で定める最低速度は、50キロメートル毎時とする。
つまり、高速道路においては、標識で最低速度が指定されている場合はその速度以上で、指定されていない場合は時速50キロメートル以上で走行しなければ「最低速度違反」とされる可能性があるのです。
ただし、「法令の規定によりその速度を減ずる場合及び危険を防止するためやむを得ない場合を除く」とされています。
「危険を防止するためやむを得ない場合」とは、前者が急減速したためこれとの衝突を避けるために急減速したり徐行したりする場合、渋滞のため減速する場合などが考えられます。
~ 反則金、違反点数、罰則は? ~
高速道路における反則金は、
大型車:7000円
普通車:6000円
二輪車:6000円
原付車:5000円
※大型車=大型自動車、中型自動車、準中型自動車、大型特殊自動車、重被牽引車、普通車=普通自動車、二輪車=大型自動二輪車、普通自動二輪車、原付車=小型特殊自動車、原動機付自転車
です。
違反点数は、車種にかかわらず「1点」、罰則は「5万円以下の罰金」です。
もっとも、最低速度違反で検挙されても、通常は、交通反則通告制度の対象となりますから青切符を切られ罰金ではなく反則金を納付するよう促されます。
反則金を納付すれば、以後、刑事手続きに移行することはなく終了です。
反則金の納付をしない場合には、道路交通法違反として刑事事件化することになるでしょう。
~ 道路における安全かつ円滑な交通が目的 ~
最高速度も最低速度も「道路における安全かつ円滑な交通」が目的です。
高速度で運転する人が増えても困りますし、反対にノロノロ運転する人が増えても困る、ということなのです。
適切な速度を守って運転してこそ、誰もが安心して車を運転できるのです。
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スピード違反って?
スピード違反って?
福岡県北九州市に住む会社員のAさんは、北九州市八幡西区の一般市道で、道路標識等により「指定最高速度40キロメートル」されているところを、指定速度を60キロメートル超える時速100キロメートルで普通乗用自動車を運転していました。
そうしたところ、Aさんは、一般市道でスピード違反の取り締まりを実施していた福岡県八幡西警察署の警察官に道路交通法違反で検挙されてしまいました。
Aさんは、事情聴取に当たった警察官に「40キロと指定されていたとは知らなかった。」などと話しています。
(フィクションです)
~スピード違反って?~
決められた速度に反して車を運転することを「スピード違反」あるいは「速度違反」といいますが、具体的にどんな場合に成立し、どんな罰則が用意されているのかご存じでしょうか?
道路交通法22条1項には「車両は、道路標識等によりその最高速度が指定されている道路においてはその最高速度を、その他の道路においては政令で定める最高速度を超える速度で進行してはならない。」と規定されています。(※車両=自動車、原動機付自転車、軽車両及びトローリバス、軽車両=自転車など)
そして、「最高速度が指定されている道路においてはその最高速度」が「指定最高速度」を、「その他の道路においては政令で定める最高速度」が「法定最高速度」のことを意味していますから、スピード違反、速度違反という場合は、「指定最高速度違反」あるいは「法定最高速度違反」であることをまず抑えておきましょう。
今回、Aさんは「指定最高速度40キロメートル」とされている道路を時速100キロメートルで車両を運転していたわけですから、Aさんは「指定最高速度違反」に問われうることになります。
~故意犯も過失犯も規定されている罰則~
罰則についてはどのように規定されているのでしょうか?
この点、道路交通法118条1項には、
道路交通法118条
次の各号のいずれかに該当する者は、6月以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。
1号 第22条(最高速度)の規定の違反となるような行為をした者
と規定されています。
また、道路交通法118条2項には
道路交通法118条2項
過失により前項第1号の罪を犯した者は、3月以下の禁錮又は10万円以下の罰金に処する。
と規定されています。
前項第1号の罪とは「道路交通法118条1項1号」のことを指していますから、道路交通法118条1項1号はスピード違反の「故意犯」、道路交通法118条2項はスピード違反の「過失犯」についての規定ということになります。
ちなみに、スピード違反における「故意」とは、指定最高速度が表示されている道路標識等を(未必的にでも)認識しつつ敢えてこれを超えて車両を運転したこと、「過失」とは、認識はしていないが、注意すれば認識することができた場合に不注意によって認識せずに車両を運転したこと、をいいます(なお、「法定最高速度を知らなかった」という言い分は通じませんから、法定最高速度違反の場合はもっぱら故意犯が成立することになります)。
~Aさんはスピード違反の故意犯?過失犯?~
Aさんの話によれば、Aさんは道路標識等により指定最高速度を40キロメートルとされていることを知らなかった、と主張しているわけですから、Aさんを指定最高速度の故意犯に問えるかどうかが問題となります。
この点に関しては、
① 法定最高速度違反の故意犯が成立
② 指定最高速度違反の過失犯が成立
③ 指定最高速度違反の故意犯が成立
とする3つの考え方があるようですが、裁判例の多くは③説を取っていることが多いようです。
~スピード違反事件の処理の流れ~
スピード違反の場合、一般道なら30キロ未満、高速道なら40キロ未満の速度超過であれば「反則行為」とされ、交通反則通告制度(青切符)により反則金が科されることは皆様をご存じではないかと思います。
ところが、それ以上の速度超過となると「反則行為」とはされず、通常の刑事事件と同様、警察、検察庁の捜査を受けることになります。
そして、検察庁に起訴されれば、上記でご紹介した罰則を科されるおそれもありますから注意が必要です。
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