Archive for the ‘自動車運転死傷行為処罰法’ Category

人身事故を起こし、ひき逃げ

2019-08-19

人身事故を起こし、ひき逃げ

Aさんは埼玉県川口市内で自動車を運転中、赤信号を見落として交差点に進入し、Aさんからみて右方向から青信号に従い交差点に進入してきたバイクと接触し、運転手Vさんに傷害を負わせてしまいました。
Aさんは車を停めてVさんの様子を見に行きましたが、怪我の様子を見て怖くなり、そのまま事故現場を立ち去り、帰宅しました。
次の日、Aさんの自宅に逮捕状を携えた埼玉県川口警察署の警察官が現れ、Aさんは過失運転致傷罪救護義務違反の疑いで逮捕されてしまいました。
(フィクションです)

~Aさんは上記の罪に問われるか?~

ここ数年間で、自動車を運転し、人を死傷させる行為の厳罰化が進んでいます。
Aさんは過失運転致傷罪救護義務違反の嫌疑で逮捕されていますが、これらの犯罪はどのような罪なのか解説したいと思います。

(過失運転致死傷罪)
過失運転致死傷罪は、自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させる犯罪です(自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律第5条本文)。
簡単に言えば、自動車の運転中、運転ミスにより人を死亡、あるいは傷害した場合に成立する犯罪です。
人の死傷結果につき故意がある場合は、過失運転致死傷罪の成否ではなく、殺人罪、傷害罪の成否が検討されることになります。

自動車の運転上必要な注意」とは、自動車運転者が、自動車の各種装置を操作し、そのコントロール下において自動車を動かす上で必要な注意義務をいいます。
道路を通行する車両等は、信号機の表示する信号に従わなければならず(道路交通法7条)、ケースの場合には、Aさんに「交差点の信号の色に留意し、これに従って自動車を進行させる」注意義務があったと考えられます。
こうしたことから、Aさんには赤信号に留意すべき注意義務を怠り、漫然と交差点に進入した過失があると判断される可能性が極めて高いと思われます。
この不注意により右からやってきたバイクと衝突し、傷害を負わせてしまったのですから、この時点でAさんに過失運転致傷罪が成立する可能性は高いでしょう。
過失運転致傷罪につき、有罪が確定すると、7年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金に処せられます。
ただし、その傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除されることがあります。

(救護義務違反の罪)
交通事故があったときは、車両等の運転者その他の乗務員には、直ちに車両等の運転を停止して、負傷者を救護し、道路における危険を防止する等必要な措置を講じなければなりません(道路交通法72条1項前段:救護義務)。
車両等(軽車両を除きます)の運転者が、その車両等の交通による人の死傷があった場合に、この人の死傷が運転者の運転に起因するものであるときに上記の義務に違反すると、10年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処せられます(道路交通法第117条2項)。
一般的に「ひき逃げ」と呼ばれる犯罪です。

Aさんは、自動車の運転者であり、その自動車の運転上必要な注意を怠ってVを傷害したのに、これを救護するなどの必要な措置を講じず、そのまま立ち去り帰宅したということなので、Aさんに救護義務違反の罪が成立する可能性は高いでしょう。

~Aさんの身柄解放活動その他弁護活動~

過失運転致傷罪の嫌疑だけであれば、逮捕されずに済むケースも多くありますが、これにひき逃げによる救護義務違反が加わると、自宅まで警察がやってきて逮捕される可能性が高まります。
また、ひき逃げによる救護義務違反という犯罪の性質上、逃亡のおそれがあると判断される可能性が高く、したがって、勾留される可能性も比較的高いと思われます。
起訴されてしまった場合には、保釈請求が可能なので、起訴された場合には、保釈保証金の準備などを行っていく必要があります。

また、Vさんと示談交渉を行うことも重要です。
Vさんと示談が成立すれば、Aさんが釈放される可能性、検察官による不起訴処分がなされる可能性も高まり、また、起訴された場合も、より軽い量刑による判決がなされることが期待できます。
加えて、後日、損害賠償請求を受けるなどの民事紛争に巻き込まれるリスクを無くすこともできます。
このように、示談を成立させることには、多くのメリットがあります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所には、刑事事件に熟練した弁護士が多数在籍しており、過失運転致傷事件救護義務違反事件の解決実績も豊富です。
ご家族が過失運転致傷事件救護義務違反事件を起こし、お困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

危険運転致死事件と裁判員裁判

2019-08-09

危険運転致死事件と裁判員裁判

~ケース~
Aさんは、日頃のストレスを発散するために、法定速度60キロの東京都府中市の一般道路にて、時速約100キロで自動車を走行させていた。
Aさんの運転する自動車は、カーブに進入する際にも減速をしなかったため、カーブを曲がりきることが出来ず、そのまま歩道に乗り上げ歩行中のVさんに衝突した。
Vさんは事故後すぐに救急車で病院に運ばれたが、事故から数時間後に死亡してしまった。
Aさんは、事故後すぐに、通行人の通報によって駆け付けた警視庁府中警察署の警察官に逮捕され、後日Aさんは危険運転致死罪で起訴された。
その後、Aさんの公判は裁判員裁判になることとなった。
(上記のケースはフィクションです)

~危険運転致死罪について~

危険運転致死傷罪は、これまで過失犯として刑法上の業務上過失致死罪によって処罰されていた悪質な危険運転行為による死傷事件について、故意犯として重く処罰するものです。
危険運転致死傷罪は、自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律という特別法において規定されており、①正常な運転が困難になるほどの飲酒・薬物使用運転、②制御困難なほどの高速度での運転、③車を制御する技能を有しないでする運転、④人や車の通行を妨害する目的でに著しく接近するなどし、かつ重大な交通の危険を生じさせる速度での危険な運転、⑤赤信号等を殊更に無視し、かつ重大な交通の危険を生じさせる速度での運転、⑥通行禁止道路の進行し、かつ重大な危険を生じさせる速度での運転で人に怪我をさせたり死亡させたりした場合に成立します。
危険運転致死傷罪が成立する場合、死亡事故なら1年以上20年以下の有期懲役、負傷事故なら15年以下の懲役という極めて重い刑が科されます。

上記事例の場合、Aさんは法定速度60キロの一般道路を時速約100キロで自動車を走行させ、カーブを曲がり切れずに歩行者と衝突していることから、その進行を制御することが困難な高速度で自動車を走行させ、Vを死亡させたといえることから危険運転致死罪が成立する可能性があります。

~裁判員裁判について~

裁判員法2条1項2号は「裁判所法第26条第2項第2号に掲げる事件であって、故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪に係るもの」を裁判員裁判の対象としています。
危険運転致死罪は、危険運転自体が故意行為であり、これによって被害者を死亡させた行為を処罰する規定なので、故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪に該当し、裁判員裁判対象事件となります。

裁判員裁判とは、通常の職業裁判官のみで行われる裁判とは異なり、原則として一般市民の裁判員6人と職業裁判官3人による合議で行われる裁判です。
裁判員裁判では、一般市民である裁判員も、事実の認定、法令の適用、量刑に至るまで判断することになります。

また、裁判員裁判では、一般市民が参加していることから、公判を通じた法廷での被告人の態度や発言、立ち振る舞いに至るまでの全てが、裁判員の量刑判断に影響する可能性があります。
そのため、裁判員裁判においては、検察側の過大な求刑に対しては、裁判員に対し冷静な対応を求めるなど、裁判員に配慮した弁護活動が必要となります。

ただし、裁判員裁判の対象はあくまで1審のみであり、2審(控訴審)以降は職業裁判官のみ(つまり通常の刑事裁判と同じ)の構成による裁判が行われます。
もっとも、裁判員裁判の結論は2審(控訴審)以降でも重視される傾向があり、1審の裁判員裁判における弁護活動が極めて重要であるといえます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件専門の法律事務所であり、危険運転致死事件裁判員裁判も取り扱う弁護士が多数在籍しています。
0120-631-881にて初回接見サービス、無料相談を24時間受け付けておりますので、お気軽にお電話ください。

東京都台東区で過失運転致死事件

2019-08-04

東京都台東区で過失運転致死事件

【事件】
東京都台東区に住むAさんは,その日が休日だったため車で買い物に出ました。
見通しの良い信号付きの交差点を左折しようとしたところ,時速約40キロメートルの速度で後方から直進してきた自転車を巻き込んでしまい,自転車を運転していた男性は死亡しました。
Aさんは巻き込み確認を行ったつもりでしたが,確認時に約30メートル後方にいた自転車には気付いていませんでした。
Aさんは駆けつけた警視庁蔵前警察署の警察官によって過失運転致死罪の容疑で現行犯逮捕されました。
(フィクションです)

【過失運転致死傷罪】

過失運転致死傷罪自動車運転死傷処罰法(正式名称:自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律)第5条に規定されている罪です。
条文は「自動車の運転上必要な注意を怠り,よって人を死傷させた者は,7年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金に処する。ただし,その傷害が軽いときは,情状により,その刑を免除することができる。」となっています。

過失運転致死傷罪における自動車とは,原動機によって走行する車で,レールや架線を用いないものを意味します。
よって,自動二輪車や原動機付自転車も処罰対象になります。

自動車の運転とは,発進に始まり停止に終わるものとされています。
ただし,普通乗用自動車を運転していた者が車を道路左端に停車後,降車しようとして後方を十分確認することなく運転席ドアを開けたため後方から進行してきた自転車にドアをぶつけ,自転車に乗っていた人に傷害を負わせたという事件で,自動車の運転自体はすでに終了しており自動車運転上の過失は認められないものの,自動車の運転に付随する行為であり自動車運転業務の一環としてなされたものから傷害結果が発生したものとして業務上過失傷害罪の成立が認められた判例(東京高判平成25・6・11高刑速平成25年73頁)があります。
また,停止させる場所が不適切だったために事故につながった場合にも過失運転致死傷罪の適用が考えられます。

そして,過失運転致死傷罪が成立するためには,自動車の運転に必要な注意を怠ったこと,すなわち過失が必要です。
ここでの過失は,前方不注意やわき見運転,巻き込み確認を怠ったこと,歩行者や自転車等の飛び出しに気付かなかったこと,方向指示器(ウインカー)を点滅させずに方向転換したことなど,ちょっとした不注意でもこれにあたるとされています。
さらには,自分では注意を払ったつもりでも,別の行為をとっていたりより注意深くしていれば事故を避けることができたと裁判所が判断し,過失が認定されてしまうケースもあります。

ここでAさんの事件についてみてみましょう。
事故が起こったのは交差点を左折しているときで,このときが自動車の運転中であることに疑いはないでしょう。
Aさんは巻き込み確認をしていますが,当時約30メートル後方にいた被害者の男性には気付いていません。
もし裁判になった際は,男性に気付かなかったことが過失にあたるかどうかが争点になると考えられます。
Aさんに後続車があまりなかった場合を除いて,運転席にいる状態でサイドミラーや目視で約30メートル後方の自転車を認識することは困難とも言えそうです。
また,自転車が時速約40キロメートルという速い速度で走行してきたことも考慮されるべきでしょう。
以上の点を主張することにより,Aさんの過失の認定を回避することができるかもしれません。

今回の事件は被害者が死亡しており,公判請求され刑事裁判となる可能性も十分考えられます。
しかし,事故直後から適切な対応をとることにより,公判請求を回避したり執行猶予を得られる場合もあります。
刑事裁判にならなくてよい事件なのに裁判になってしまったり,必要以上に刑が重くなってしまわないよう,早期から交通犯罪に強い弁護士に事件を依頼して適切な弁護活動を行うことが重要です。

過失運転致死罪の被疑者となってしまった方,ご家族やご友人が警視庁蔵前警察署に逮捕されてしまって困っている方は,お早めに交通事件に強い弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所弁護士にご相談ください。

京都市伏見区の人身事故

2019-07-25

京都市伏見区の交通事故

~ケース~
Aさん(70代)は京都市伏見区内の道路で自動車を運転中,運転操作を誤り歩道を歩いていたVさんと接触しVさんに怪我をさせてしまった。
Aさんはその場で警察および救急車を呼んだ。
駆けつけた救急車によりVさんは病院に搬送され,Aさんは過失運転致傷罪の疑いで京都府伏見警察署で事情を聞かれることになった。
連絡を受けたAさんの家族は弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所弁護士初回接見サービスを依頼した。
(フィクションです)

~交通事故~

交通事故を起こしてしまった場合には多くの場合,自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律(通称:自動車運転処罰法)第5条の過失運転致死傷罪となります。
しかし,大幅な速度超過や赤信号の無視などによって事故が発生した場合には第2条の危険運転致死傷罪となる場合もあります。
また,自動車を利用して故意に相手方にぶつかったというような場合には刑法の傷害罪や傷害致死罪,殺人罪となる可能性もあります。

過失運転致死傷罪の法定刑は7年以下の懲役もしくは禁錮または100万円以下の罰金となっています。
なお,被害者の方の怪我が軽い場合には情状により刑が免除されることもあります。

また,人身事故のみならず交通事故が発生した場合には,警察官への報告義務や危険防止措置義務,人身事故の場合には救護義務が発生します。
これらの義務を果たさずに事故現場から離れることをいわゆる「ひき逃げ」「当て逃げ」といいます。
救護義務違反の場合の法定刑は5年以下の懲役または50万円以下の罰金,事故の原因となった運転者が違反した場合には10年以下の懲役または100万円以下の罰金となります(道交法117条1項および2項)。
物損事故にかかる危険防止措置義務違反の場合は1年以下の懲役または10万円以下の罰金(道交法117条の5),警察官への報告義務違反の場合は3か月以下の懲役または5万円以下の罰金(道交法72条1項)となります。

~事故を起こしてしまったら~

人身事故に限らず交通事故を起こしてしまった場合には,逃亡するのではなくその場で警察および救急車を呼ぶことが重要です。
過失運転致傷罪では怪我が軽い場合には刑の裁量的免除が規定されていますが,あくまでも情状により免除されるに過ぎないので,ひき逃げとなってしまった場合には免除される可能性は低いでしょう。
さらに,ひき逃げの場合には救護義務違反と過失運転致傷罪の併合罪となり,事件も悪質とみなされ初犯であっても執行猶予も付かない実刑判決になってしまう可能性もあります。

自動車の運転には大きな責任が伴いますので人身事故を起こしてしまった場合,怪我が軽い場合を除いて不起訴処分となることは多くはありません。
しかし,被害者の方と示談交渉をし,治療費などの金銭的な賠償をすることによって有利な情状となり執行猶予付きの判決や怪我の程度などによっては罰金刑となる可能性もあります。

最近,高齢者の運転する乗用車による交通事故が多く発生しています。
交通事故はひき逃げでなければ逮捕されたとしても勾留されないケースも多いです。
その場合には,国選弁護人は起訴された後にしか選任することはできず,起訴後に弁護活動を開始しても実刑判決となってしまう可能性も考えられます。
そのため,人身事故を起こしてしまった場合に実刑判決とならないためには私選で弁護士を依頼することが重要です。

さらに,交通事故の場合には他の刑事事件と異なり保険会社などを通じてご自信で示談交渉が可能なこともあります。
しかしながら,ご自身で示談交渉をすすめた場合,話がこじれてしまい逆効果となってしまう場合もあります。
有効な示談交渉を進めるためには専門家である弁護士に依頼されることをお勧めします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は交通事件を含む刑事事件専門の法律事務所です。
交通事件の示談交渉・弁護活動の経験豊富な弁護士が多数所属しております。
交通事故を起こしてしまった方やご家族の方が交通事故を起こしてしまった場合には0120-631-881までお気軽にご相談ください。

飲酒運転で危険運転致死事件

2019-07-20

飲酒運転で危険運転致死事件

~ケース~
Aさんは神戸市須磨区内の居酒屋でアルコールを飲んだ後、乗ってきた自動車に乗り帰路につきました。
Aさんは酒に酔っていたこともあって運転への集中力が低下しており、道路を横断するVに気付かず、ノーブレーキでVに衝突してしまいました。
Aさんは自ら兵庫県須磨警察署に通報し、Vは救急車で病院に搬送されましたが、間もなく死亡が確認されました。
Aさんは呼気検査を受け、呼気1リットルにつき0.35ミリグラムのアルコールが検出されたので、危険運転致死罪の疑いで現行犯逮捕されました。(フィクションです)。

~酒気帯び運転の罪~

身体に政令で定める程度以上にアルコールを保有する状態で車両等(軽車両を除く)を運転すると、「酒気帯び運転の罪」が成立します。
法定刑は3年以下の懲役又は50万円以下の罰金となります。(道路交通法第117条の2の2第3号)。
「政令で定める程度」とは、「血液1ミリリットルにつき0.3ミリグラム又は呼気1リットルにつき0.15ミリグラム」です(道路交通法施行令第44条の3)。

Aさんは呼気1リットルにつき0.25ミリグラムのアルコールが検出される状態で自動車を運転していたのですから、酒気帯び運転の罪は逃れられないでしょう。
もっとも、Aさんは酒を飲んで運転への集中力が低下していたというので、正常な運転が困難であったとして、後述する危険運転致死罪が成立する可能性も高いと思われます。
この場合、酒気帯び運転についても危険運転致死罪の中に含まれるため、危険運転致死罪と別に酒気帯び運転に問われることがありません。

~過失運転致死罪~

過失運転致死罪は自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死亡させる犯罪です。
「自動車の運転上必要な注意」とは、自動車運転者が、自動車の各種装置を操作し、そのコントロール下において自動車を動かす上で必要な注意義務のことをいいます。

ケースのAさんには、左右から横断する歩行者の有無及びその安全を確認しながら自動車を進行させる注意義務があったといえるでしょう。
これを怠った結果Vと衝突し、よってVを死亡させてしまったと評価できるならば、Aさんに過失運転致死罪が成立します。
過失運転致死罪の法定刑は7年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金となります(自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律5条)。
この罪も、より重い危険運転致死罪が成立する場合は別途問われることはありません。

~危険運転致死罪~

飲酒運転により人を死傷させた場合は、「アルコールの影響により正常な運転が困難な状態で自動車を走行させ、よって、人を死亡させた」者については「危険運転致死」の罪が成立します。
裁判で有罪が確定すると1年以上の有期懲役(20年以下)に処されます(自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律2条1号)。
また、危険運転致死罪については「アルコール又は薬物の影響により、その走行中に正常な運転に支障が生じるおそれがある状態で、自動車を運転し、よって、そのアルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態に陥り、人を負傷させた者は12年以下の懲役に処し、人を死亡させた者は15年以下の懲役に処する。」(自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律3条)という条文もあることから、飲酒運転し始めたときから「アルコールの影響により正常な運転が困難な状態」でなくとも認められる可能性があります。

Aさんは居酒屋でアルコールを飲んで、運転への集中力が低下しており、アルコールの影響により正常な運転が困難な状態となったとされる可能性があります。
この状態で自動車を走行させVさんを死亡させており、危険運転致死罪に問われる可能性が高いです。

~身柄解放活動~

Aさんが勾留されず、起訴もされなければAさんの社会復帰も円滑に進みますが、近年は酒気帯び運転中の事故に大変厳しく、勾留・勾留延長の決定がなされ、さらに起訴される可能性も充分考えられます。
勾留されてしまった場合には、準抗告などの不服申し立て手続きを行い、Aさんの釈放を目指す活動が考えられますが、準抗告が功を奏さず身柄拘束が続き、起訴されてしまった場合には、「保釈」を目指すことになります。
「保釈」とは、保釈保証金の納付を条件として、被告人に対する勾留の執行を停止して、その身柄拘束を解く裁判及びその執行を意味します。
保釈金の額は、犯罪の性質・情状、証拠の証明力、被告人の性質・資産を考慮し、被告人の出頭を保証するに足りる相当な金額が定められます。

~公判~

危険運転致死罪として起訴された場合、裁判員裁判となり、裁判官だけでなく一般市民から選ばれる裁判員による裁判となります。
被害者の遺族との示談が成立していること、あるいは保険により被害者の損害が遺族に賠償される見込みがあることなどを主張し、より軽い量刑の判決の獲得を目指します。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門とする法律事務所です。
ご家族が飲酒運転で死亡事故を起こしてしまった方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

スピード違反の人身事故で逮捕

2019-07-05

スピード違反の人身事故で逮捕

神奈川県相模原市に住むAさんは、自動車でスピードを出したときの爽快感が忘れられず、制限速度を大きくオーバーして運転することを繰り返していました。
ある日、Aさんがいつものように制限速度オーバーで運転していると、道端から猫が飛び出してきました。
慌てて避けようとしてブレーキを踏みつつハンドルを切ったAさん。
その結果、自動車は操縦不能に陥り、歩道に乗り上げ、偶然歩いていた歩行者Vさんをひいてしまいました。
怖くなったAさんはその場から逃走しましたが、神奈川県津久井警察署の捜査の結果、Aさんの犯行であると判明し、Aさんは逮捕されました。
(フィクションです)

~Aさんに成立しうる犯罪~

制限速度を守っていても、突発的な出来事により人身事故が起こる可能性はあります。
ましてや制限速度を大きくオーバーしていれば、人身事故が起こる可能性は高まりますし、人身事故が起こった時の被害も大きくなりやすいです。

Aさんの場合、行政処分として免許停止等となるほか、以下の犯罪が成立する可能性があります。

①過失運転致死傷罪(自動車運転処罰法5条)
→7年以下の懲役もしくは禁錮または100万円以下の罰金
②危険運転致死傷罪(自動車運転処罰法2条2号)
→被害者負傷15年以下の懲役、被害者死亡1年以上20年以下の懲役
③救護義務違反(道路交通法72条1項前段・117条2項)
→10年以下の懲役または100万円以下の罰金
④報告義務違反(道路交通法72条1項後段・119条1項10号)
→3か月以下の懲役または5万円以下の罰金

今回のAさんの場合、少なくとも①過失運転致死傷罪は成立するでしょう。
さらに、大幅に制限速度を超えていれば、進行を制御することが困難な高速度で自動車を走行させたと判断され、より重い②危険運転致死傷罪が成立する可能性もあります。

また、被害者を助けずに逃げた行為については③救護義務違反となります。
加えて、事故を警察に報告しなかったことから④報告義務違反にもなります。

~刑事手続きの流れ~

逮捕されたAさんは、まずは最大で3日間の身体拘束がなされます。
そして逃亡や証拠隠滅のおそれがあるとして、検察官が勾留(こうりゅう)を請求し、裁判官が許可すれば、さらに最大で20日間の身体拘束がされます。
その後、検察官が被疑者を刑事裁判にかけると判断すれば(起訴)、刑事裁判がスタートし、保釈が認められない限り、身体拘束が続きます。
そして裁判で無罪や執行猶予とならない限り、刑罰を受けることになります。

運転の悪質さや被害の程度にもよりますが、これらの手続に関し、弁護士としては以下のような弁護活動を行うことが考えられます。

まず、検察官が勾留請求しなければ、あるいは裁判官が勾留を許可しなければ、最初の3日間で釈放されます。
そこで検察官や裁判官に対し、逃亡や証拠隠滅のおそれがないことや、身体拘束が続くことによる本人や家族などに過度の不利益が生じることを具体的事情に基づいて主張し、勾留をしないよう要請していきます。

また、起訴するか否かの判断は検察官が行いますが、検察官が罰金刑が適切と判断した場合、簡易な裁判手続で罰金刑にする略式起訴をすることもあります。
過失運転致死傷罪にとどまれば罰金刑もありえますので、本人が反省していること、被害者のケガが軽いこと、被害者と示談が締結できたことなど、本人に有利な事情があれば出来る限り主張し、略式起訴を目指していきます。

罰金刑が無理な場合も、執行猶予や、より短い懲役・禁錮を目指して弁護活動をすることになります。

~弁護士に相談を~

人身事故を起こして逮捕された場合、どのような罪が成立するのか、今後の刑事手続きはどうなるのか、取調べにはどのように受け答えしたらよいのかなど、不安点が多いと思います。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門とする弁護士事務所です。
ご家族などからご依頼いただければ、拘束されている警察署等にすみやかに接見に伺います(初回接見サービス)。
仮に逮捕されていない場合には、事務所での法律相談を初回無料で行っております。
接見や法律相談では、上記の不安点などにお答えいたします。
スピード違反やそれに起因する人身事故逮捕された、捜査を受けたといった場合には、ぜひご相談ください。

飲酒運転(アルコール)の発覚をおそれひき逃げ

2019-06-25

飲酒運転(アルコール)の発覚をおそれひき逃げ

Aさん(52歳)は、東京都足立区で自動車を運転中に、交差点で自転車と接触事故を起こし、自転車の運転手に加療2カ月を要する怪我を負わせてしまいました。
しかし、Aさんは、事故を起こす直前に飲酒をしていたため、飲酒運転による人身事故の発覚を恐れて、そのまま走り去ってしまいました。
帰宅したAさんは、Aさんの様子を不審に思った妻から問い詰められた結果、妻に事件のことを打ち明け、妻とともに事故から約10時間後に警視庁綾瀬警察署に出頭しました。
Aさんは「過失運転致死傷アルコール等影響発覚免脱罪」と「ひき逃げ」の疑いで、警視庁綾瀬警察署で事情を聴かれることになったため、Aさんの妻は刑事事件に強い弁護士無料相談を申込みました。
(フィクションです。)

~ はじめに ~

過失運転致(死)傷アルコール等影響発覚免脱罪は、「自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律」(以下、法律)という法律が新設された際(施行日は平成26年5月20日)に設けられた罪で、法律の4条に規定されています。

~ 新設の趣旨 ~

過失運転致(死)傷アルコール等影響発覚免脱罪が新設された趣旨は、学説からは様々な批判があるものの、一般に「『逃げ得』を防止するため」と説明されています。
つまり、アルコールの影響により正常な運転が困難な状態で自動車を走行させて人を死亡させた場合には危険運転致死罪が適用されますが (法律2条1号、。法定刑の上限は懲役20年)、 その場合に犯人が逃走することで、 アルコールによる影響の程度を立証できないために危険運転致死罪の適用を免れる事態が生じてしまいます。
こうした法制の下では、 救護義務違反罪 (いわゆる、ひき逃げ) を犯してでも、罪の重たい危険運転致死傷罪の適用を免れるためにその場を逃走する者が生じやすくなり、結果として、過失運転致死罪と救護義務違反でしか処罰できないということになりかねません(この場合の刑(処断刑)の上限は懲役15年)。
そこで,、このような「逃げ得」を防止し、 適正な処罰を可能とするために本罪が新設されたと説明されています(過失運転致(死)傷アルコール等影響発覚免脱罪と救護義務違反が成立した場合の刑の上限は懲役18年)。

~ 過失運転致(死)傷アルコール等影響発覚免脱罪とは ~

では、過失運転致(死)傷アルコール等影響発覚免脱罪の内容について具体的にみていきましょう。
法律4条では次の規定が設けられています。
法律4条の規定が長いので、これを箇条書きにしてまとめると、過失運転致(死)傷アルコール等影響発覚免脱罪は

(行為者):アルコール又は薬物の影響によりその走行中に正常な運転に支障が生じるおそれがある状態で自動車を運転した者
(条 件):運転上必要な注意義務を怠り、よって人を死傷させた場合
(行 為):アルコール又は薬物の有無又は程度が発覚することを免れるべき行為

をした場合に成立し得る犯罪ということになります。

~ 逃げても出頭すれば罪に問われない? ~

Aさんは「ひき逃げ」の罪にも問われています。
ひき逃げとは、道路交通法72条1項前段に規定する救護措置義務、同項後段に規定する事故報告義務義務に違反することです。同項1項前段では、「直ちに車両等の運転を停止して、負傷者を救護し、道路の危険を防止する等必要な措置を講じなければならない」と規定されています。
つまり、まずは、「直ちに車両等の運転を停止」しなければならず、停止せず立ち去った場合はもちろん、停止した場合でも、負傷者を救護し、道路の危険を防止する等必要な措置を講じなかった場合は、その時点で救護義務違反(ひき逃げ)が成立します。
あとで警察に出頭したからといって「ひき逃げ」の罪が免除されるわけではありませんから注意が必要です。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、飲酒運転、交通事故、交通違反をはじめとする刑事事件少年事件専門の法律事務所です。
刑事事件少年事件でお困りの方は0120-631-881までお気軽にお電話ください。
無料法律相談、初回接見サービスのお申し込みを24時間受け付けております。

直進車と右折車の交通事故

2019-06-10

直進車と右折車の交通事故

Aさんは、普通乗用自動車を運転して兵庫県尼崎市内の交差点を直進しようとしてたところ、Vさん運転の軽自動車が同交差点を右折してきた(Aさんから見て左折してきた)ため、これを避けようとしてハンドルを左に切りました。
しかし、Aさんの車はVさんの車と衝突してしまい、さらに交差点で信号待ちをしていた歩行者Wさんにも衝突させるなどして怪我を負わせてしまいました。
事故後、兵庫県尼崎北警察署の警察官が現場に駆け付け、Aさん、Vさんは過失運転致傷罪の被疑者として捜査を受けることになりました。
(事実を基にしたフィクションです)

~ はじめに ~

先日、滋賀県大津市内の信号交差点で、直進車と右折車が衝突し、右折車を避けようとした直進車が保育園児らの列に突っ込み、園児2名を死亡させ、14人に重軽症の怪我を負わせるという痛ましい悲惨な事故が起きたことは記憶に新しいと思います。
報道によると、交通事故に関して、直進車の運転者の方は「突然、右折してきた」「右折車をよけようとハンドルを左に切った」と話しており、直進車の運転者の方は「前をよく見ていなかった」などと話しているとのことです。
全国的にみても、交差点における「直進車と右折車」の交通事故は比較的多いかと思われます。
そこで、今回は「直進車と右折車」の交通事故に関する基本原則について確認していきたいと思います。

~ 基本的には右折車が悪い ~

交差点における直進車と右折車の交通事故においては、通常、「直進車が優先」です。
したがって、交差点における直進車と右折車の交通事故の場合、右折車の運転者に過失有りとされることが多いかと思います。
これは、道路交通法37条が、

車両等は、交差点で右折する場合において、当該交差点において直進し、又は左折しようとする車両があるときは、当該車両等の進行を妨害してはならない

としているところに根拠があります。
これを直進車の運転者側から解釈すると「右折車両が交通法規(道路交通法37条)に従って停止し、自車の通過を待つものと信頼して進行することが許されている」ということができます。

~ 例外もある ~

しかしながら、どのような場合でも右折車の運転者に過失があり、直進車の運転者には過失がないというわけではありません。
例えば、直進車の運転者が法外な速度で交差点に進入してきた場合などです。
そのような場合、右折車の運転者において、法外な速度で交差点に進入してくることまで予測して、安全を確認すべき注意義務(過失)はないとされます。
同種事例における過去の裁判例では、右折車運転者の過失を否定したもの(平成13年10月24日、東京高裁など)もあれば、肯定したもの(平成5年2月1日、仙台高裁など)もあります。

~ どうして直進者の運転者も被疑者扱い? ~

これまでご説明してきた内容からすれば、基本的に直進車の運転者は「被害者」となり得ると思います。
しかし、事例や大津市で起きた交通事故の直進車の運転者は被疑者として扱われています。
どうしてでしょうか?

それは、まず、直接に被害者を死亡させたり、怪我を負わせているのは直進車の運転者だからです。
刑事事件では、まず、結果(死亡、怪我)を発生させた直接の原因となる行為をした人に焦点を当てます。
それが、直進車の運転者だったということになります。

また、事故直後では、直進車の運転者に過失があるのか、右折車の運転手に過失があるのか証拠関係から明らかでなく不明です。
そこで、直進車の運転者も被疑者として扱われたものと考えられます。

~ AさんVさんの刑事処分、量刑は? ~

まず、Aさんについてですが、Aさんに過失が認められない限りは、不起訴処分(起訴猶予あるいは嫌疑不十分)となる可能性が高いと考えます。

次に、Vさんについてです。
まず、Vさんに過失が認められ、それによってWさんが怪我をした、つまり過失と結果との間に因果関係が認められる場合は起訴される可能性が高いでしょう。
略式起訴か正式起訴からは、Wさんの怪我の程度などの事情にかかってきます。

~ おわりに ~

今回は、実際に起きた交通事故を基に事例を作成しています。
この記事を読まれて、少しでも日頃の運転、特に交差点における運転に注意していただければ幸いです。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件少年事件を専門とする法律事務所です。
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大阪府箕面警察署管内のひき逃げ事件

2019-06-05

大阪府箕面警察署管内のひき逃げ事件

【事件】
通勤中のAさんは、大阪府箕面市の路上を会社に向かって自動車で走行中、信号がついている交差点に進入したところで何か物に当たったような重たい音と小さな揺れを感じました。
場所は住宅街で死角も多く、Aさんはもしかしたら人をはねたかもしれないと思いましたが、会社に急いでいたためそのまま走り去りました。
そのとき信号はちょうど黄色から赤色に変わったところでした。
帰宅途中、Aさんは通勤中に物音と揺れを感じたあたりで、大阪府箕面警察署の警察官に停止を求められ、Aさんは停車しました。
警察官は、今朝この付近で人が車にはねられてけがをする事件が発生しておりその犯人を捜していること、被害者の証言と一致した車種と色の車に職務質問をしていることを告げ、何か知っていることや心当たりのあることはないかAさんに質問しました。
Aさんはもしかしたら自分かもしれないと思い、その旨を告げると警察官とともに大阪府箕面警察署に向かいました。
Aさんの証言と自動車についた傷などの状況から、警察官はAさんを過失運転致傷罪(自動車運転死傷行為処罰法第5条)および道路交通法違反(同法72条)の容疑者として捜査を行うことにしました。
(フィクションです)

【ひき逃げ】

一般にいうひき逃げとは、道路交通法の第72条に違反することをいいます。
交通事故に関係した車両等の運転者等について、道路交通法第72条には次のような義務があると定められています。

① 直ちに運転を停止する義務
② 負傷者の救護義務
③ 道路上の危険防止の措置義務
④ 警察官に、発生日時、死傷者・物の損壊の状況や事故後の措置、積載物を報告する義務
⑤ 報告を受けた警察官が必要と認めて発した場合に、警察官が到着するまで現場に留まる命令に従う義務

これらのうち②救護義務違反と④報告義務違反の場合がひき逃げとされることが多いです。

今回のケースを見れば、Aさんは被害者を救護する行為や警察に報告する行為をしていないため、②と④の義務に違反していると認められひき逃げとなると考えられます。
ひき逃げをした場合の法定刑は、

②救護義務違反の場合は10年以下の懲役又は100万円以下の罰金(事故の原因が本人に無い場合は5年以下の懲役または50万円以下の罰金
④報告義務違反の場合は3月以下の懲役または5万円以下の罰金

となります。
①の救護義務違反と④の報告義務違反は「一個の行為」であり観念的競合とするとした判例がありますので、この場合はより重たい10年以下の懲役又は100万円以下の罰金の範囲で刑が決まります。

【過失運転致死傷罪】

過失運転致死傷罪は、自動車の運転に必要な注意を怠ったために人を死傷させた場合に成立します。
この事件の場合、被害者はけがをしたにとどまっていますので、過失運転致傷罪になります。
この罪の法定刑は7年以下の懲役もしくは禁錮または100万円以下の罰金です。
また、この罪は但書で被害者のけがが軽い場合はその刑を免除することができるとされています。
今回、Aさんは信号が赤色の灯火に変わった交差点に進入し、もしこのときに赤色の灯火を不注意により認識していなかったこと等の事情が認められれば、自動車運転上必要な注意を怠った(過失がある)と認められることになります。

【危険運転致傷罪】

注意しなければならないのは、今回の事件のようなケースですと、さらに重い罪に問われる可能性があるということです。
それは、危険運転致死傷罪(自動車運転死傷行為処罰法第2条)です。
この罪は、

1.アルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状況で自動車を走行させる行為
2.進行を制御することが困難な高速度で自動車を走行させる行為
3.進行を制御する技能を有しないで自動車を走行させる行為
4.人または車の通行を妨害する目的で走行中の自動車の直前に進入し、その他通行中の人または車に著しく接近し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を走行させる行為
5.赤色信号またはこれに相当する信号を殊更に無視し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を走行させる行為
6.通行禁止道路を進行し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為

のいずれかに当たる行為を行って人を死傷させた場合に成立します。
法定刑は、被害者を死亡させた場合に1年以上の有期懲役、負傷させた場合は15年以下の懲役となっています。
「重大な交通の危険を生じさせる速度」とは、判例によれば、時速20キロから30キロの速度で走行していれば、危険速度に当たるとされる場合が多いようです。

今回の場合ではAさんは赤信号の交差点に減速することなく進入しけがをさせていますので、場合によっては5.の類型に当たることも考えられます。
赤信号を殊更に無視するとは、赤色信号であることの確定的な認識がない場合であっても、信号の規制自体に従うつもりがないため、その表示を意に介することなく、たとえ赤色信号であったとしてもこれを無視する意思で進行する行為をも含(最決平20・10・16刑集62巻9号2797頁)みます。
Aさんは仕事に遅れないよう信号に従わず車を走行させていますので、危険運転致傷罪の容疑に切り替わる可能性もありそうです。

【弁護活動】

Aさんに依頼された弁護士の活動としては、まず被害者との示談を目指して活動していくことが考えられます。
示談をすることで被害感情の治まりをアピールすることができ、不起訴処分や罰金刑での事件収束、執行猶予の獲得も期待できます。

対人の交通事故を起こしてしまった方、ご家族やご友人が大阪府箕面警察署ひき逃げ事件の取り調べを受けて困っている方は、交通犯罪に強い弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談下さい。

過失運転致死罪から殺人罪へ

2019-05-31

過失運転致死罪から殺人罪へ

Aさん(45歳)は、埼玉県蕨市を通っている一般道において車を時速60メートルで運転していたところ、携帯電話に脇見をして前方を左から右へ横断中のVさん(78歳)に自車を衝突させてその場に転倒させてしまいました。
Aさんは、車が少し浮いたような感じだったことから「Vさんに乗り上げたかもしれない」とは思いましたが、「Vさんが死んでも、誰も見てないし見つかりはしない」と思い、車から降りてVさんの様子を確認することなくその場を後にしました(Vさんはその後死亡)。
そうしたところ、Aさんは、埼玉県蕨警察署過失運転致死罪で逮捕され、その後、殺人罪に切り替え起訴されてしまいました。
Aさんは「殺すつもりはなかった」などと話しています。
(フィクションです)

~ 過失運転致死罪と殺人罪 ~

まず始めに、過失運転致死罪殺人罪について簡単にご紹介いたします。

= 過失運転致死罪 =

過失運転致死罪は「自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律(以下、法律)」という法律の第5条に規定されています。

法律5条
自動車の運転上必要な注意義務を怠り、よって人を死傷させた者は、7年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金に処する。
ただし、傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができる。

この条文の「必要な注意義務を怠り」という部分が「過失」にあたります。
自動車運転者としては、前方左右をよく確認しながら運転することが求められますから、今回のAさんは「携帯電話を脇見したこと」が「過失」に当たると判断され逮捕されてしまったのでしょう。

= 殺人罪 =

殺人罪は刑法199条に規定されています。

刑法199条
人を殺した者は、死刑又は無期若しくは5年以上の懲役に処する。

交通事故といえば、過失運転致死罪のほか過失運転致傷罪、危険運転致死傷罪などの罪名を思い浮かべる方も多い方とは思いますが、事案によっては刑法に規定されている罪名も適用されることは十分あり得ます。
今回はVさんが死亡しているので殺人罪で起訴されていますが、怪我など傷害を負わせた場合は「傷害罪(刑法204条)」、その結果、人を死亡させた場合は「傷害致死罪(刑法205条)」が適用されます。

~ なぜ、殺人罪?? ~

では、なぜ、Aさんは殺人罪で起訴されてしまったのでしょうか?
この点に関しては、過失運転致死罪は「過失犯」と殺人罪は「故意犯」という罪の性質の違いが大きく影響しています。
過失とは、不注意によって、結果(本件の場合、Vさんの「死」)発生に対する認識、認容しなかったこと、反対に、故意とは、結果(本件の場合、Vさんの「死」)発生に対する認識、認容があることをいいます。
殺人罪の場合、故意は殺意とも言われます。
したがって、過失運転致死罪殺人罪との分水嶺は「殺意」の有無にありそうです。

~ 殺意の認定は難しい ~

殺意とは,要は「人の内心」ですから,本人が語らなければ殺意があったかどうか認定することは難しくなります。
刑事実務では,加害者の供述のほかに、被害者の受傷の部位、受傷の程度、犯行道具の有無・内容、犯行態様、犯行に至るまでの経緯、犯行時の加害者の言動、犯行後の言動などの要素から殺意を認定するとしています。

しかし、交通事故に関しては、さらに認定が難しいと思われます。
なぜなら、交通事故の場合、「明らかに車を走らせる場所ではない場所で、特定人の歩行者めがけて車を走らせて衝突させ、歩行者を死亡させた」などという明らかに殺意が認められるケースは稀だからです。

~ 過失運転致死罪から殺人罪は稀 ~

したがって、過失運転致傷罪から殺人罪に切り替えられて起訴されるケースは極めて稀といっていいでしょう。
しかし、その可能性が全くないかといえばそうではありません。
交通事故の場合、事故現場にどういう痕跡が残されていたかも重要です。
例えば、事故現場にブレーキ痕が全く残っていなかったという場合は「殺意」有りとの認定に傾くでしょうし、反対に残っていた場合は「殺意」なしの認定に傾きます。

いずれにしても、過失運転致死罪の法定刑と殺人罪との法定刑とには大きな開きがありますから、殺意の認定には慎重な検討が求められます。

また、裁判でも明らかにしていく必要があるでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,交通事故をはじめとする刑事事件少年事件専門の法律事務所です。
刑事事件・少年事件でお困りの方は、まずはお気軽に、0120-631-881までお電話ください。
24時間,無料法律相談初回接見サービスのご予約を受け付けております。
埼玉県蕨警察署までの初回接見費用:37,300円)

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