【事例紹介】無免許運転でひき逃げ事故 大阪①

2023-10-04

【事例紹介】無免許運転でひき逃げ事故 大阪①

大阪府寝屋川市で起きた無免許運転によるひき逃げ事故について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例

無免許運転でひき逃げ事故を起こしたとして、大阪府警寝屋川署は3日、自動車運転死傷処罰法違反(無免許過失運転致傷)や道交法違反(ひき逃げ)の疑いで、大阪府守口市(中略)容疑者(64)を逮捕したと発表した。逮捕は2日付。「無免許がばれて処罰されるのが怖くなった」などと容疑を認めているという。
逮捕容疑は(中略)、大阪府寝屋川市仁和寺町の府道交差点で車を無免許運転して右折しようとしたところ、横断歩道を歩いていた(中略)男性(49)と衝突したが、逃走したとしている。男性は右足骨折などで全治2カ月の重傷。
(10月3日 産経新聞 THE SANKEI NEWS 「「無免許ばれるのが怖くて…」ひき逃げ 容疑で64歳男逮捕 大阪・寝屋川署」より引用)

過失運転致傷罪

車で事故を起こし、相手にけがを負わせた場合には、罪に問われる可能性があります。
では、車の事故でけがを負わせた場合にはどのような犯罪が成立するのでしょうか。

車の事故でけがを負わせた場合の多くが、過失運転致傷罪という犯罪が成立します。
過失運転致傷罪は、簡単に説明すると、車を運転するのに必要な注意を怠り事故を起こしてけがを負わせた場合に成立する犯罪です。

過失運転致傷罪は刑法に規定はなく、自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律(以下「自動車運転処罰法」といいます。)で規定されています。

自動車運転処罰法第5条
自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、七年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する。ただし、その傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができる。

上記が過失運転致傷罪の条文です。
過失運転致傷罪で有罪になった場合には、七年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金が科されることになります。
しかし、けがの程度が軽い場合には、刑罰が科されるのを免除できる場合があります。

今回の事例では、容疑者が交差点を右折する際に、横断歩道を歩行していた男性と追突したと報道されています。
右折する際には、歩行者などがいないか注意し、安全を確認してから右折する必要があります。
容疑者が男性に気付かずに右折してしまったのであれば、車を運転するうえで必要な注意をはらえていなかったことになります。
また、この追突により男性が全治2か月のけがを負ったと報道されていますので、今回の事例では、過失運転致傷罪が成立する可能性があるといえます。

報道によると、今回の事例は無免許運転だと報道されています。
無免許運転事故を起こした場合は、どのような刑罰が科されるのでしょうか。
次回のコラムでは、無免許運転事故を起こした場合に成立する犯罪、科される刑罰を解説していきます。

過失運転致傷罪と弁護活動

今回の事例では、過失運転致傷罪を解説しましたが、自動車運転処罰法では危険運転致傷罪という犯罪が規定されています。
危険運転致傷罪は、大まかに説明すると、アルコールなどで正常な運転や、悪質なあおり運転など、危険な運転事故を起こし、相手にけがを負わせた場合に成立する犯罪です。

危険運転致傷罪の法定刑は、十五年以下の懲役です。(自動車運転処罰法第2条)
過失運転致傷罪の法定刑は七年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金でしたので、危険運転致傷罪ではかなり重い刑罰が科されることになります。
また、過失運転致傷罪の場合は、けがの程度が軽い場合に刑の免除規定がありましたが、危険運転致傷罪にはありません。

過失運転致傷罪危険運転致傷罪のどちらが成立するかの判断基準は明確に規定されているわけではありません。
そのため、当初は危険運転致傷罪の容疑をかけられていたが、最終的に過失運転致傷罪が成立する場合などもあります。
過失運転致傷罪危険運転致傷罪の境界線は曖昧であるため、過失運転致傷罪が成立するような事故であっても、危険運転だと判断され、危険運転致傷罪が成立してしまう可能性もあります。

繰り返しになりますが、危険運転致傷罪過失運転致傷罪に比べてかなり刑罰が重いため、危険運転致傷罪の容疑をかけられた場合の多くは、過失運転致傷罪の成立を目指していくことになります。

弁護士は、あなたの主張を検察官に訴えることができます。
弁護士が、危険運転ではなく過失による事故だったと検察官へ訴えることで、危険運転致傷罪ではなく、過失運転致傷罪での起訴や略式命令による罰金刑が望める場合があります。
また、事故を起こした加害者本人が取調べなどで、危険運転はしていない、過失による事故だったと弁明しても警察官や検察官に聞く耳すらもってもらえないことが多々あります。
そういった場合でも、弁護士が弁護人として付くことで、あなたの主張を弁護士が検察官に訴えることができます。
ですので、危険運転致傷罪の容疑をかけられている場合や、取調べで訴えを聞いてもらえないなど、取調べで困っている方は、弁護士に相談をしてみることが望ましいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、交通事故の豊富な弁護経験をもつ法律事務所です。
交通事故に強い弁護士を選任することで、危険運転致傷罪ではなく過失運転致傷罪の成立を目指せる可能性がありますし、弁護士があなたの主張を検察官に訴えることができます。
危険運転致傷罪過失運転致傷罪などの交通事故でお困りの方は、一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
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