目立った傷がないのに当て逃げによる道路交通法違反で逮捕 逮捕されたらすぐに弁護士に相談を

2023-11-15

目立った傷がないのに当て逃げによる道路交通法違反で逮捕 逮捕されたらすぐに弁護士に相談を

路上駐車の車に追突した物損事故

当て逃げは、交通事故後に適切な措置を取らずに逃走する行為で、重大な法的責任を伴います。
当て逃げをするとどのような罪に問われるのでしょうか。
今回のコラムでは、当て逃げについて弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例

宮城県仙台市青葉区に住むAさんは近所のスーパーに車で買い物に来ていました。
Aさんはスーパーからの帰り道、路上に駐車している車に気づかず追突してしまいました。
Aさんはすぐに車を停車して、追突してしまった車を確認しました。
幸いなことに、追突した車にへこみや目立った傷は確認できなかったため、Aさんは警察に事故の報告をすることなく、家に帰りました。
一か月後、Aさんの家に宮城県仙台中央警察署の警察官が訪れ、Aさんは道路交通法違反の容疑で逮捕されることになりました。
Aさんが追突した車の持ち主が車に見知らぬ傷が多数ついていることから警察に通報し、防犯カメラ映像から、Aさんの事故が発覚したようです。
(事例はフィクションです。)

当て逃げとは何か?

当て逃げは、交通事故を起こした後、法律で定められた義務を果たさずに逃走する行為を指します。
交通事故が発生した際、運転者は道路における危険を防止する措置をとることや警察署に事故を起こしたことを報告する義務があります。(道路交通法第72条第1項)
当て逃げは、物損事故を起こした際に、破損した部品の回収などの二次被害を防止する措置を取らなかったり、警察への報告を怠って、現場から逃走することをいいます。
また、人身事故を起こし、その事故が原因で人を死傷させ、負傷者の救護や警察への報告を行わずに現場から逃走することをひき逃げといいます。

人身事故だけでなく、物損事故の場合にも、警察への報告は必要になります。
事故の報告を怠ってしまうと、当て逃げになり、道路交通法違反が成立する可能性がありますので、注意が必要です。

今回の事例では、Aさんは車に追突し、目立った傷などがないことから、警察に事故の報告を行いませんでした。
運転している車が車などに追突することは、紛うことなき事故です。
人身事故に限らず、事故を起こした場合には必ず、警察に報告をする必要があります。
ですので、事故を起こしたにもかかわらず、警察に報告せずに家に帰ったAさんには道路交通法違反が成立することになります。

物損事故を起こした際に、危険を防止する措置を講じなかった場合の法定刑は、1年以下の懲役または10万円以下の罰金です。(道路交通法第117条の5第1項1号)
また、物損事故を起こして警察に報告をしなかった場合の法定刑は、3月以下の懲役または5万円以下の罰金です。(道路交通法第119条1項10号)

事故を起こした際に目立った傷がなくとも、今回の事例のように見知らぬ傷が増えていることに気づいた被害者によって通報され、後々事故を起こしたことが発覚してしまうことも考えられます。
事故を起こして逃げたことが発覚してしまいますと、当て逃げにより道路交通法違反が成立してしまいますので、目視での傷の確認で警察への報告を判断するのではなく、事故を起こした場合には必ず、警察へ報告することが重要です。

逮捕されたら

今回の事例では、Aさんは当て逃げをしたとして道路交通法違反の容疑で逮捕されています。
当て逃げでは逮捕されないと思っている方もいらっしゃるかもしれませんが、当て逃げの場合も逮捕される可能性は十分にあります。

当て逃げでは、運転手が事故を起こしたにもかかわらず、危険防止措置や警察への事故の報告を怠って現場から逃走しています。
ですので、捜査を受けていることを知った場合に、逃走する可能性が高いと判断されて逮捕されてしまう可能性があります。

逮捕されてしまうと、自由に外部との連絡を取ることはできませんので、会社の無断欠勤や学校の無断欠席につながる可能性が非常に高いです。

また、逮捕後に勾留される場合があります。
勾留期間は最長で20日間にも及ぶ可能性がありますので、長期間本人と連絡をとれないことで、会社や学校に本人が逮捕されたことを知ってしまうことも考えられます。
会社や学校に逮捕を知られてしまったことで、解雇退学などの処分を下される可能性もあります。

勾留の可否は逮捕後72時間以内に判断されます。
弁護士は勾留が判断される前であれば、検察官や裁判官に意見書を提出することができます。
この意見書で、容疑者を監督できる親族がいることや逃亡や証拠隠滅をできない環境を整えられること、釈放されないと解雇処分や退学処分に付される可能性があることを検察官や裁判官に訴えることで、早期釈放を認めてもらえる可能性があります。
勾留判断前に提出する意見書は逮捕後72時間以内に提出する必要がありますので、早期釈放を考える場合には、早期に弁護士に相談をする必要があります。

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