自賠責保険に加入しないと犯罪になるの⁈無保険で事故を起こすとどうなるの?無保険運転で捜査を受けたらどうしたらいい?

2023-11-08

自賠責保険に加入しないと犯罪になるの⁈無保険で事故を起こすとどうなるの?無保険運転で捜査を受けたらどうしたらいい?

無保険状態で事故を起こし、途方に暮れる男性

自賠責保険などの保険に加入せずに車を運転する行為によって、罪が成立してしまう可能性があります。
今回のコラムでは、無保険で車を運転した場合に成立する罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

無保険での車の運転

自賠責保険などの加入していない状態、つまり無保険状態での車の運転は、自動車損害賠償保障法で禁止されています。(自動車損害賠償保障法第5条)
この法律は、自賠責保険などの保険への加入を義務づけており、事故発生時の被害者保護を目的としています。

保険への加入は義務ですので、保険未加入の状態で車を運行した場合には、自動車損害賠償保障法違反が成立することになります。
また、無保険で車を運転した場合の法定刑は「1年以下の懲役または50万円以下の罰金」とされています。(自動車損害賠償保障法第86条の3)

保険に加入していないだけで懲役刑が科される可能性があるのは重すぎるのではないかと思われる方もいらっしゃるかもしれません。
ですが、交通事故を起こして被害者が重症を負った場合に保険に加入していないと、被害者に十分な補償がされない可能性が非常に高くなります。
そういった事態を避けるためにも、交通事故による被害者の権利を保護し、運転者に対する責任感を強化するためにこのような罰則が規定されているのでしょう。

法定刑とその適用

繰り返しになりますが、無保険状態で車を運転した場合は、1年以下の懲役または50万円以下の罰金が科される可能性があります。
懲役刑が科されるのか、罰金刑が科されるのかは、事件によって異なります。
例えば、事故を起こしてしまった場合、その責任はさらに重くなり得ます。
また、過去に同様の前科がある場合には、より厳しい刑が科される可能性が高まります。

無保険の車で事故を起こした事例

東京都練馬区で起きた事例を見てみましょう。

30代の女性Aさんは、無保険の状態で車を運転中、前方を歩いている歩行者を見落とし、歩行者に衝突してしまいました。
この事故により歩行者は全治5日の擦り傷を負いました。
Aさんは過失運転致傷罪無保険による自動車損害賠償保障法違反の疑いで東京都練馬警察署の警察官に逮捕されました。
(事例はフィクションです。)

この事例では、無保険状態で車を運転していたわけですから、自動車損害賠償保障法違反が成立してしまう可能性が高いといえます。

また、逮捕罪名である過失運転致傷罪とは、簡単に言うと、運転上の不注意で事故を起こし、相手にけがを負わせてしまった場合に成立します。
過失運転致傷罪の法定刑は、7年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金であり、けがの程度が軽い場合には情状により刑が免除される可能性があります。(自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律第5条)

事例では、Aさんが事故を起こし、歩行者がけがを負っています。
Aさんが前方を歩いている歩行者を見落としたようなので、この事故は前方不注意が原因で起きた事故=過失による事故だといえます。
過失による事故でけがを負わせていますので、今回の事例では自動車損害賠償保障法違反だけでなく、過失運転致傷罪も成立してしまう可能性があります。
ただ、歩行者が負ったけがは全治5日の擦り傷ですので、けがの程度が軽いと判断され、過失運転致傷罪については刑が免除される可能性もあります。

無保険での事故と弁護士

保険の加入の有無にかかわらず、車で事故を起こした場合には、過失運転致傷罪が成立する可能性が高いです。

過失運転致傷罪は被害者と示談を締結することで、不起訴処分を得られる可能性があります。
加害者が被害者と直接示談交渉を行う場合には、被害者保護の観点や証拠隠滅のおそれから、被害者の連絡先を教えてもらえない場合があります。
そうなってしまうと示談締結はおろか、示談交渉さえ行えません。
弁護士が警察官や検察官などを通じて被害者と連絡を取ることで、示談交渉に応じてもらえる場合がありますので、示談交渉を行う際は弁護士を介して行うことが望ましいでしょう。

また、今回の事例のように、被害者のけがの程度が軽微である場合、被害者と示談を締結できなかったとしても、弁護士が検察官と処分交渉を行い、不起訴処分を求めることで、不起訴処分を獲得できる可能性があります。

加えて、無保険運転による自動車損害賠償保障法違反についても、無保険状態での運転は故意ではなく過失であったことや保険に入っていると過信していてもおかしくない状況であったことなどを弁護士が訴えることで、不起訴処分の獲得や略式命令による罰金に抑えられる可能性もあります。

無保険での自動車事故は弁護士に相談を

車を運転する場合には、自賠責保険などの保険に入っていないと、犯罪行為になってしまいます。
無保険運転自動車損害賠償保障法違反が成立し、罰金刑や懲役刑が科されてしまった場合には前科が付くことになります。
そういった事態を避けるためには、自賠責保険に加入することが一番なのですが、気づかないうちに保険の加入期間がきれていたなど、知らないで無保険運転をしてしまうケースもあると思います。
そういった場合でも、弁護士に相談をすることで、不起訴処分など良い結果を得られる場合がありますので、弁護士に相談することをお勧めします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、初回接見サービス無料法律相談を行っています。
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