他人の運転免許証を改ざんして提示

2019-11-02

他人の運転免許証を改ざんして提示

他人の運転免許証を改ざんして提示したケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~ケース~
東京都練馬区に住むAさんは、過去の交通違反事件により運転免許の停止処分を受けていた。
Aさんは、免許停止期間中に運転してもバレないだろうと考え、友人であるBさんからB名義の運転免許証を借り、交通違反で捕まったときにはこれを提示するつもりで、運転免許証のBさんの顔写真部分に自己の写真を貼り付け、運転免許証を改ざんした。
その後、Aさんは自動車の運転中に交通違反を起こし、Bさんになりすまし、到着した警視庁石神井警察署の警察官に改ざんした運転免許証を提示した。
しかし、対応した警察官がAさんの態度を不審に思い、他の身分証明書の提示を求めたところ、AさんがBになりすましていることが判明し、Aさんはその場で現行犯逮捕されてしまった。
(上記のケースはフィクションです)

~無免許運転~

(無免許運転等の禁止)
道路交通法第64条 何人も、第84条第1項の規定による公安委員会の運転免許を受けないで(第90条第5項、第103条第1項若しくは第4項、第103条の2第1項、第104条の2の3第1項若しくは第3項又は同条第5項において準用する第103条第4項の規定により運転免許の効力が停止されている場合を含む。)、自動車又は原動機付自転車を運転してはならない。

無免許運転については、運転免許を取得したことの無い人が自動車を運転する場合だけでなく、免許停止期間中又は免許取り消し処分後に免許の再取得をすることなく自動車を運転する場合や、本来運転ができない区分の車両を運転する場合なども含まれます。

上記の事例のAさんは、過去の交通違反によって運転免許の停止処分を受けているにもかかわらず、その免許停止期間中に運転していることから無免許運転の罪が成立することになります。

~有印公文書偽造・同行使罪~

(公文書偽造等)
刑法第155条1項 行使の目的で、公務所若しくは公務員の印章若しくは署名を使用して公務所若しくは公務員の作成すべき文書若しくは図画を偽造し、又は偽造した公務所若しくは公務員の印章若しくは署名を使用して公務所若しくは公務員の作成すべき文書若しくは図画を偽造した者は、1年以上10年以下の懲役に処する。

運転免許証については、都道府県の公安員会が作成、発行していることから、「公務所若しくは公務員の作成すべき文書」にあたり、公文書といえます。

「偽造」とは、名義人と作成者の人格の同一性を偽る行為をいいます。
Aさんは、Bさん名義の運転免許証の顔写真部分に自己の写真を貼り付けて改ざんをしており、Bさんになりすまして免許証を提示しています。
そのため、Aさんの運転免許証の改ざん行為は、作成者をAさん、名義人をBさんとして、名義人と作成者の人格の同一性を偽る行為として「偽造」にあたります。

また、「偽造」といえるためには文書の本質的部分を変更する必要があると考えられていますが、他人の免許証の写真部分に自己の写真を貼り付ける行為は、免許証の本質的部分を改ざんしたといえ、問題なく「偽造」にあたります。

さらに、偽造した免許証を交通違反で捕まった際に提示するつもりでいたことから、「行使の目的」もあったといえます。

偽造した公文書を行使した場合には、偽造公文書行使罪が成立します。
Aさんは、実際に偽造した運転免許証を警察官に提示していることから偽造公文書行使罪が成立することになります。

このように、免許停止期間中に偽装した他人の運転免許証を提示した場合には様々な犯罪が成立することになり、公文書偽造罪等の犯罪は比較的重い刑罰が定められていることから、早期の段階での弁護士の介入が重要となってきます。
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