名古屋の速度違反事件 緊急避難の弁護士

2015-01-24

名古屋の速度違反事件 緊急避難の弁護士

Aさんは、最高速度時速50キロと指定されている一般道において、時速112キロの速度で車を運転したとして罰金刑に処せられました。
Aさんを検挙した愛知県警守山警察署によると、Aさんは「後続のトラックが異常に接近してきたため、やむを得ず速度違反をした」と話したそうです。
しかし、名古屋地方裁判所で行われた裁判でも、Aさんの主張は認められませんでした。

今回は平成13年11月15日神戸地方裁判所判決を参考に作成しました。
警察署名については、修正してあります。

~速度違反で過剰避難が認定された裁判~

今回ご紹介するのは、上記の事案のとおり、一般道を制限速度62キロオーバーで走行した普通自動車運転手の刑事裁判です。
被告人は、当初の警察取調べの段階から、一貫して緊急避難の成立を主張していました。
つまり、本件速度違反は「危険な状態を回避するためにやむを得ずした結果だ」ということを主張していたのです。

まず事件の内容を確認しましょう。

①被告人車両は後続トラックから4、5回あおり行為を受けた
②被告人があおり行為による危険を回避するため、スピードを上げたところ、前方トラックに追突する危険が生じた
③被告人は前方トラックに追突する危険を避けるため、速度違反を犯し前方トラックを追い抜いた
④前方トラックを追い抜いた後、再び後ろからトラックによるあおり行為を受けた
⑤被告人はあおり行為の危険を避けるために、制限速度を62キロ超える速度で走行した

このうち、①~④に関しては、被告人や同乗者の生命身体に対する危険を避けるためにやむを得ずした行為であるとして緊急避難の成立が認められました。

被告人が速度違反(道路交通法違反)の罪に問われたのは、⑤です。
裁判で認定された事実によると、被告人は③以降、継続して追越車線を走行していたそうです。
とすると、被告人は⑤の時点で後続車のあおり行為を回避する方法として、
・速度を上げて、後続車との車間距離を上げる
・走行車線に車線変更する
という2つの選択肢があったことになります。

そのため裁判所は、
「被告人車両が再度走行車線に車線変更し、この大型トラック(後続車)をやり過ごすという方法をとることも十分可能であった」
として、⑤の行為を「やむを得ずにした行為というわけにはいかない」「過剰避難に該当すると認めるのが相当である」と判示しました。
過剰避難とは、簡単に言えば、緊急避難として行った行為が「やりすぎだった」ということです。
過剰避難が認められた場合は、裁判所の裁量によって、刑を免除されまたは軽減されることがあります。
実際この裁判でも、求刑は罰金9万円でしたが、最終的な判決では罰金5万円が言い渡されました。

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