名古屋のひき逃げ事件で逮捕 無罪判決の弁護士
名古屋のひき逃げ事件で逮捕 無罪判決の弁護士
Aさんは、ひき逃げの容疑で愛知県警中村警察署に逮捕されました。
目撃者によると、原付バイクを運転していたAさんは名古屋駅の名鉄バスターミナル付近で事故を起こした後すぐに逃走したそうです。
Aさんは、接見に来た弁護士に対して「事故直後、被害者と話したら大丈夫そうだったので現場を立ち去った」と話しています。
今回は昭和37年7月17日札幌高等裁判所判決を参考に事案を作成しました。
事件現場や対応した警察署の名前は、修正してあります。
~ひき逃げ事件で無罪判決が言い渡された事例~
ひき逃げとは、人身事故を起こした後、被害者を救護したり事故現場の危険を防止する措置を取らず現場を離れることを言います。
もっとも、被害者が外見上ケガをしておらず、いかにも大丈夫そうな場合でも被害者の救護をしなければならないのでしょうか??
今回ご紹介する昭和37年7月17日札幌高裁判決では、運転手の救護義務の有無について以下のように基準を示し、判決を下しました。
(判決文を短くまとめてありますので、原文とは異なる書き方になっています)
「交通事故の結果人の負傷があればすべて救護義務があるというべきではない。
当該具体的状況にかんがみ救護の必要がない場合、すなわち、
・負傷が軽微で社会通念上ことさら運転手等の助けをかりなくとも負傷者において挙措進退に不自由を来さず、
・年齢、健康状態等に照らし受傷後の措置を自らとり得る
と認められるような場合には、この義務は発生しない。
もっとも、救護の必要がないということは運転手等が交通事故後、直ちに運転を中止した上、確認した結果判断されることを要する」
本件は、原付バイクを運転していた被告人が被害者2名を負傷させた人身事故事件でした。
しかし、事故当時被害者らの意識ははっきりしており、外見的にも出血その他の異常はありませんでした。
被害者らの負傷は、事故後、警察の指示で病院に行き、初めて明らかになりました。
そして被告人は、事故直後被害者らに話しかけるなどしてケガの程度を確認していたようです。
その上で、「怪我はない」あるいは「軽傷程度である」との判断を行い、現場を去ったということです。
こうした事実関係において札幌高裁は、被告人に対して無罪判決を言い渡しました。
救護義務がない以上、被害者を救護しなかったとしてもひき逃げの罪に問われることは無いという判断です。
もっとも、ひき逃げの前提となる人身事故については、禁錮3カ月執行猶予1年の有罪判決を受けています。
ひき逃げ事件でお困りの方は、愛知名古屋弁護士ノリタケ法律事務所にご相談下さい。