【事例紹介】無免許運転でひき逃げ事故 大阪②

2023-10-11

【事例紹介】無免許運転でひき逃げ事故 大阪②

前回のコラムに引き続き、大阪府寝屋川市で起きた無免許運転によるひき逃げ事故について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例

無免許運転でひき逃げ事故を起こしたとして、大阪府警寝屋川署は3日、自動車運転死傷処罰法違反(無免許過失運転致傷)や道交法違反(ひき逃げ)の疑いで、大阪府守口市(中略)容疑者(64)を逮捕したと発表した。逮捕は2日付。「無免許がばれて処罰されるのが怖くなった」などと容疑を認めているという。
逮捕容疑は(中略)、大阪府寝屋川市仁和寺町の府道交差点で車を無免許運転して右折しようとしたところ、横断歩道を歩いていた(中略)男性(49)と衝突したが、逃走したとしている。男性は右足骨折などで全治2カ月の重傷。
(10月3日 産経新聞 THE SANKEI NEWS 「「無免許ばれるのが怖くて…」ひき逃げ 容疑で64歳男逮捕 大阪・寝屋川署」より引用)

無免許運転と過失運転致傷罪

前回のコラムでは、今回の事例で過失運転致傷罪が成立する可能性があると解説しました。
報道によると、今回の事例は無免許運転による事故だそうです。
無免許運転事故を起こした場合は、どのような罪が成立するのでしょうか。

無免許運転

無免許運転で事故を起こした場合に成立する罪を解説する前に、無免許運転について解説していきます。

無免許運転とは、その名の通り、免許を取得しない状態で運転する行為を指します。

道路交通法第64条第1項
何人も、第八十四条第一項の規定による公安委員会の運転免許を受けないで(第九十条第五項、第百三条第一項若しくは第四項、第百三条の二第一項、第百四条の二の三第一項若しくは第三項又は同条第五項において準用する第百三条第四項の規定により運転免許の効力が停止されている場合を含む。)、自動車又は一般原動機付自転車を運転してはならない。

道路交通法第64条第1項では、無免許運転を禁止しています。
ですので、無免許運転を行った場合、道路交通法違反が成立することになります。

無免許運転により道路交通法違反で有罪になった場合は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金が科されます。(道路交通法第117条の2に2第1項第1号)

無免許過失運転致傷罪

では、無免許運転で事故を起こしてしまった場合には、道路交通法違反以外の罪は成立するのでしょうか。

前回のコラムで解説したように、事故を起こして相手にけがを負わせた場合には、ほとんどの場合、過失運転致傷罪が成立します。

過失運転致傷罪は、自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律(以下「自動車運転処罰法」といいます。)第5条に規定されています。
自動車運転処罰法には、無免許運転過失運転致傷罪が成立した場合の加重規定が存在します。

自動車運転処罰法第6条第4項
前条の罪を犯した者が、その罪を犯した時に無免許運転をしたものであるときは、十年以下の懲役に処する。

上記が無免許過失運転致傷罪の条文になります。
無免許過失運転致傷罪は、過失運転致傷罪が成立する場合に無免許運転だったときに成立します。

過失運転致傷罪の法定刑が七年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金(自動車運転処罰法第5条)なのに対し、無免許過失運転致傷罪十年以下の懲役です。
無免許過失運転致傷罪は罰金刑や禁固刑の規定がないので、有罪になると、懲役刑が科されることになり、罰金刑の規定のある過失運転致傷罪と比べると、圧倒的に重い刑罰が科されていることがわかります。

今回の事例では、容疑者が無免許運転だと報道されています。
前回のコラムで解説したように、今回の事例では、過失運転致傷罪が成立する可能性があります。
過失運転致傷罪が成立する場合で、無免許運転であれば無免許過失運転致傷罪が成立しますので、今回の事例では、無免許過失運転致傷罪が成立する可能性があります。

無免許過失運転致傷罪と弁護活動

過失運転致傷罪無免許過失運転致傷罪は、示談を締結することで、科される刑罰を軽くできる場合があります。

交通事故の場合、被害者と知り合いではない場合がほとんどだと思います。
被害者の連絡先を知らないと示談締結はおろか、示談交渉すらできません。
ですので、警察官などに被害者の連絡先を聞くことから始める必要があるのですが、被害者保護などの事情から加害者本人には被害者の連絡先を教えてもらえない場合があります。
しかし、弁護士であれば連絡先を教えてもらえる場合がありますので、示談交渉を行う場合には弁護士を介して行うことが望ましいといえます。

また、弁護士を介して示談交渉を行うことで、トラブルを回避できる可能性があります。
一度示談を断られた場合であっても、弁護士が再度示談交渉を行うことで、示談が締結できる場合もありますので、示談締結を考えている方は、弁護士に相談をしてみることをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、初回接見サービス無料法律相談を行っています。
示談のことでお悩みの方、過失運転致傷罪無免許過失運転致傷罪などで捜査されている方は、お気軽に、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

次回のコラムでは、ひき逃げについて解説します。

Copyright(c) 2016 弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所 All Rights Reserved.