交通事犯で略式起訴
交通事犯で略式起訴される場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
会社員のAさんは、道路交通法違反の疑いで警視庁立川警察署に逮捕されました。
逮捕後、釈放されたAさんは、立川警察署での取調べを数回受けた後に、東京地方検察庁立川支部からの呼び出しを受けました。
Aさんが東京地方検察庁立川支部に出頭したところ、検察官から略式起訴について言及されましたが、このまま同意していいものか分からず、いったん回答を保留にしてもらいました。
Aさんは、翌日、刑事事件専門弁護士のところに略式起訴について相談に行きました。
(フィクションです。)
略式起訴とは
原則、すべての事件が検察官のもとに集まり、検察官がこれらの事件を処理します。
捜査が終了すると、検察官は、起訴処分(公訴の提起)、不起訴処分、家庭裁判所送致(少年事件の場合)のいずれかを選択し、終局的な処分を決定します。
公訴の提起というのは、裁判所に対して審判を求める意思表示のことです。
検察官が裁判所に対して起訴状を提出することによって行われます。
公訴の提起には、正式裁判の手続(公判請求)、と簡易裁判の手続(略式命令の請求、即決裁判手続の申立て)、があります。
公判請求は、公開の法廷における審理を求める起訴のことで、公判請求されると、通常の公開の法廷で被告人が有罪であるか否か、有罪である場合にはどのような罪を科すかが審理されます。
他方、検察官が略式命令の請求をした場合、被告人は、通常の刑事裁判ではなく簡略化された手続に付されることになります。
検察官が裁判所に対して正式な裁判手続によることなく、書面のみの審理で罰金または科料の刑罰を言い渡す手続を求めることを「略式起訴」といいます。
そして、そのような簡略化された手続を「略式手続」と呼びます。
略式手続の特徴としては、
①略式命令の請求は、公訴の提起と同時に書面でしなければならない。
②被疑者が略式手続によることについて異議がないことを書面で明らかにしなければならない。
③起訴状一本主義は適用されず、必要な書類・証拠物も裁判所に提出しなければならない。
④略式命令では、100万円以下の罰金または科料を科すことができる。
⑤略式命令を受けた者または検察官は、略式命令の告知を受けた日から14日以内に正式裁判の請求をすることができる。
といって点があげられます。
略式起訴され、略式手続となるメリットは、
・裁判に出席したり、証拠収集をしたりする負担を回避することができる。
・非公開で事件処理が進むため、公開の法廷で審理されるリスクを回避することができる。
・手続に費やす時間が短い。
といって点があります。
逆に、デメリットとしては、
・事実関係を争うことができない。
・手続は簡略化されてはいても、言い渡されるのは有罪判決であることには変わりはなく、前科が付く。
ことでしょう。
交通事犯で略式起訴となる場合
交通事犯では、単純な無免許運転や飲酒運転などの場合には、公判請求ではなく略式起訴となるケースが少なくありません。
このような事件では、逮捕されてもその後に釈放されることが多く、在宅事件として捜査が進み、事件日から随分経ってから検察官に呼び出されて、略式手続について説明を受ける、などということが多く見受けられます。
起訴されるといっても、書面での審理で終了し、刑も罰金または科料であるため、容易に承諾してしまいがちですが、被疑事実を争う場合や前科を回避しなければならない理由がある場合には、略式手続に同意する前に、一度弁護士に相談されるのがよいでしょう。
先に述べたように、略式起訴され略式手続に付されることには、メリットとデメリットの両方がありますので、法律の専門家である弁護士に相談し、ご自分の場合にはどうであるのかを十分に検討されることをお勧めいたします。
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