呼気検査を拒否して逮捕

2019-08-24

呼気検査を拒否して逮捕

大阪府池田市在住のAさん(45歳)は、仕事終わりに瓶ビールを2本ほど飲んで、車で帰宅していました。
Aさんはその帰宅途中に、大阪府池田警察署の警察官による飲酒検問に引っかかり、警察官に飲酒検知のための呼気検査をするように求められました。
しかし、飲酒運転が発覚して仕事を失うなど日常生活に影響が出ることを恐れたAさんは、警察官からの呼気検査の求めに対して、窓を閉めたまま応じませんでした。
そのため、Aさんは飲酒検知拒否罪現行犯逮捕され、大阪府池田警察署に連行されてしまいました。
(これはフィクションです。)

今回問題となるであろう条文は、以下のものです。

道路交通法 第67条第3項 危険防止の措置
車両等に乗車し(中略)ている者が第65条第1項の規定(酒気帯び運転の禁止)に違反して車両等を運転するおそれがあると認められるときには、警察官は、(中略)その者が身体に保有しているアルコールの程度について調査するため、(中略)その者の呼気を検査することができる。

道路交通法 第118条の2 
第67条第3項の規定による警察官の検査を拒み、又は妨げた者は、3月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

~飲酒検知とは~

飲酒検知とは、運転者の体内にどれくらいのアルコールが含まれているかを警察官が測定することを指します。
そこで一定のアルコール濃度を超えると、酒気帯び運転、又は酒酔い運転として検挙されます。

~呼気検査は違法?~

飲酒検知の1つの方法として呼気検査があります。
呼気検査では、運転者の呼気に含まれるアルコールの濃度を測定することで、飲酒運転に当たるかどうかを判断します。

過去には、呼気検査は憲法38条第1項に違反するのではないか、ということが議論になりました。
憲法38条第1項は、「何人も、自己に不利益な供述を強要されない」というもので、呼気検査は、自分が飲酒運転をしているという自己に不利益なことを強制的に供述させれられていることになり、健保違反ではないか、と主張されたのです。
しかし、裁判所の判例によれば、呼気検査は、飲酒運転の防止を目的として呼気を採取し、アルコールの保有の程度を調査するものであって、供述を得ようとするものではない、として憲法違反にならない、とされました。

~飲酒検知拒否罪~

警察官の飲酒検知の求めに応じない、または、飲酒検知を妨害した場合には、冒頭にあげた道路交通法の規定に違反し、飲酒検知拒否罪に該当して逮捕されるおそれがあります。
今回の事例のように、飲酒検知のための呼気検査を受けることを拒否し続けることや、飲酒検知前に必要なうがいを拒んだり、飲酒検知のための道具を壊したりすることも飲酒検知拒否罪となります。

~逮捕された後の動き~

時間が経つとアルコールは体内から抜けていくので、現在の飲酒状況を確認するために、警察官は、飲酒検知拒否罪に当たる人を現行犯逮捕する可能性が極めて高いです。

現行犯逮捕され、警察署の方へ連行されると、取調べを受けると同時に、飲酒検知を再度求められるでしょう。
そこでも飲酒検知を拒否した場合は、裁判所が出した令状に基づいて、たとえ飲酒検知を拒否していたとしても強制的に血液を採取され、血中アルコール濃度が測定されることが考えられます。
その検査の結果によって、規定値以上のアルコール濃度が出ると、飲酒運転と判断されることになります。

呼気検査を拒否すると、通常は酒酔い運転又は酒気帯び運転の処罰で済むところを、呼気検査拒否の処罰まで上乗せされることになります。

~無罪の可能性~

最近の裁判で、飲酒検知拒否罪で起訴された男性に無罪判決が言い渡されています。(横浜地方裁判所 平成27年9月9日)
この裁判では、「警察官によって具体的な言動で呼気検査が要求されていたか」「男性の呼気検査を拒否する意思が明確だったか」が争点になりました。
裁判官は、この2つのことを認定するのは困難だと判断して、無罪判決を言い渡しました。

飲酒検知拒否罪逮捕されてしまった場合でも、状況次第では無罪を主張していくことも考えられます。
そこで、ご家族の方が飲酒検知拒否罪で逮捕されてしまった場合は、まずは刑事事件に強い弁護士に相談することをおすすめします。

大阪府池田市飲酒運転、交通違反に関連した刑事事件でお悩みの方、ご家族が道路交通法違反などで警察に逮捕されてしまった方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
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