危険運転致傷罪で逮捕 あおり運転

2019-02-10

危険運転致傷罪で逮捕 あおり運転

Aは、京都市下京区内で自らの自動車を運転していたところ、普段から快く思っていなかったV1およびV2が乗った自動二輪車を発見した。
AはV車を追走しながら、著しく接近し、高速度で走行させた結果、Vらは自動二輪車のコントロールを失い地面に転倒した。
その結果、Vらは全治2か月の怪我を負った。
通報を受けた京都府下京警察署の警察官は、Aを危険運転致傷罪の疑いで逮捕した。
なお、Aは積極的な妨害目的があったことを否認している。
Aの家族は、交通事件に強いと評判の弁護士に相談することにした。
(本件は事実を基にしたフィクションです。)

~自動車運転処罰法とあおり運転~

昨今、あおり運転による人身事故が多発し、世間の耳目を集め社会問題と化しています。
このような社会問題化に対応して、あおり運転に関しては暴行罪や殺人罪など適用される罪名も様々なものとなっているのが現状です。
本稿では、旧来は刑法に規定されていた、危険運転致死傷罪あおり運転に対する適用について解説していきます。

2014年から施行された自動車運転処罰法は、その2条において危険運転致死傷罪を規定しており、同条各号において危険運転行為を類型化しています。
自動車運転処罰法2条4号は、
・「人又は車の通行を妨害する目的で、走行中の自動車の直前に進入し、その他通行中の人又は車に著しく接近し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為
によって、「人を負傷させた者」(や「人を死亡させた者」)を処罰する旨を規定しており、この規定があおり運転にも適用される可能性があります。

本罪は各号に類型化した危険運転行為の故意が必要となる、結果的加重犯であり、いわゆる交通犯罪に多い過失犯とは異なる点に注意が必要です。
仮に「走行中の自動車の直前に進入し、その他通行中の人又は車に著しく接近し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為」があったとしても、「人又は車の通行を妨害する目的」がなければ4号は適用されないため、上記目的があるかどうかが争点になることが少なくありません。

この点、裁判例(大阪高判平成28・12・13(本稿執筆段階では上告中))は、「人又は車の通行を妨害する目的」とは、
人又は車の自由かつ安全な通行を妨げることを積極的に意図する場合のみに限られず
危険回避のためやむを得ないような状況等もないのに人又は車の自由かつ安全な通行を妨げる可能性があることを認識しながら
あえて「走行中の自動車の直前に進入し,その他通行中の人又は車に著しく接近し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する」場合
も含まれると判断しています。
したがって、弁護士として上記目的がないと主張する場合には、上記目的の積極的な意図が認められないことのみならず、通行妨害が生じる可能性を認識していたとはいえなかったことまで主張することが必要になってくる可能性があります。

~交通事件における弁護活動~

交通事件に関する否認事件では、弁護士自身による現場検証といった調査活動も重要になってきます。
また、事故時における速度の推定など、交通事件においては科学的知見も必要不可欠です。
捜査機関の盲点を指摘するためにも、交通事件については専門知識の重要性は他の犯罪に比べて大きいともいえるでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、危険運転致傷罪などの交通事件を含む刑事事件専門の法律事務所です。
交通事件の弁護活動にも習熟した弁護士が、依頼者様やご家族の要望や疑問にお応えします。
危険運転致傷罪で逮捕された方のご家族は、弊所フリーダイヤル(0120-631-881)までお早めにお問い合わせください。

Copyright(c) 2016 弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所 All Rights Reserved.