【事例紹介】警察官が事故を起こし、逮捕、釈放された事例

2023-12-13

【事例紹介】警察官が事故を起こし、逮捕、釈放された事例車が人に追突した人身事故

京都府警・舞鶴署の警察官が事故を起こしたとして、過失運転致傷罪の容疑で逮捕され、その後釈放された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例

(前略)京都市右京区の西大路通で、会社員(中略)が車にひかれ、死亡しました。
警察によりますと(中略)さんは、片側2車線の道路の中央車線寄りでうずくまっていたということです。
警察は、車を運転していた京都府警・舞鶴署の男性警察官(51)を、過失運転致傷の疑いで逮捕しました。
「男性に気づかなかった」と話し、容疑を認めているということです。
警察は、「逃亡や証拠隠滅のおそれがない」として逮捕した警察官を釈放し、調べを続けています。
(12月2日 ABCニュース 「深夜に路上でうずくまっていた男性 車にひかれ死亡 運転の警察官逮捕 「逃亡や証拠隠滅のおそれがない」として釈放 京都・右京区」より引用)

過失運転致死傷罪

自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律第5条
自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、七年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する。ただし、その傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができる。

大まかに説明すると、前方の確認を怠ったなどの運転上の不注意で人を亡くならせてしまった場合には過失運転致死罪が、人にけがを負わせてしまった場合には過失運転致傷罪が成立します。

今回の事例では、男性警察官は片側2車線の道路の中央車線寄りでうずくまっていた被害者に気づかずに車でひいてしまったようです。
前方の確認不足などの不注意が原因による事故の場合には、過失運転致死罪過失運転致傷罪が成立します。
報道では過失運転致傷罪の容疑で逮捕されたと報じられていますが、被害者が亡くなられているようなので、過失運転致死罪が成立する可能性があります。

逮捕と釈放

報道によると「逃亡や証拠隠滅のおそれがない」として男性警察官は釈放されたようです。
どうして男性警察官は釈放されたのでしょうか。

刑事訴訟法第60条1項
裁判所は、被告人が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由がある場合で、左の各号の一にあたるときは、これを勾留することができる。
1号 被告人が定まつた住居を有しないとき。
2号 被告人が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき。
3号 被告人が逃亡し又は逃亡すると疑うに足りる相当な理由があるとき。

刑事訴訟法第60条1項では、犯人だと疑うに足りる相当な理由があるうえで、容疑者が定住していない場合や証拠隠滅のおそれがある場合、逃亡のおそれがある場合には勾留することができると定めています。
逆に言うと、容疑者が定住していて証拠隠滅や逃亡のおそれがある場合には、勾留は認められないことになります。

今回の事例では、男性警察官は「逃亡や証拠隠滅のおそれがない」として釈放されていますので、おそらく勾留の要件には当てはまらなかったのでしょう。

ひき逃げと釈放

交通事故のニュースを見ていると、ひき逃げによる道路交通法違反で逮捕されているケースが多いように思われます。
実は、ひき逃げは、逮捕勾留されるリスクが高く、釈放が認められづらい犯罪の1つです。

繰り返しになりますが、定住しておらず証拠隠滅や逃亡のおそれがある場合に、勾留されることになります。
刑事事件では、逮捕後72時間以内に検察官が勾留請求を行うかどうかの判断をし、勾留請求を行った場合には、裁判官が勾留の有無を判断します。
この際に、定まった住所がなかったり、証拠隠滅や逃亡のおそれがあると判断された場合には、勾留されることになります。
ひき逃げは、事故を起こした場合に、救護や事故の報告をせずに事故現場から逃げると成立しますので、勾留の判断を行う際に逃亡のおそれがあると判断されてしまう可能性が高いです。

ですが、ひき逃げをしたからといって釈放が認められないわけではありません。
弁護士が釈放を求めることで、釈放が認められる可能性があります。

弁護士が検察官や裁判官に意見書を提出し、釈放してもらわなければ困る理由や証拠隠滅や逃亡をしないように家族が監視監督できる体制が整っていることなどを訴えることで釈放を認めてもらえる可能性があります。
この意見書は勾留が決定するまでのあいだ、つまり逮捕後72時間以内に提出する必要があります。
意見書の提出には入念な準備が必要になりますから、意見書の提出を行う場合には、なるべく早い段階で弁護士に相談をすることが重要になります。

また、ひき逃げをしていない場合でも勾留されてしまう可能性は十分にあります。
ですので、ご家族が逮捕された場合には速やかに弁護士に相談をすることが望ましいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件に精通した法律事務所です。
身柄開放活動の経験豊富な弁護士に相談をすることで、早期釈放を実現できるかもしれません。
ご家族が逮捕された方、過失運転致死罪などでお困りの方は、お気軽に弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
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